【優秀賞】旭川人権擁護委員連合会長賞 “個性” 若杉 涼香 「人はなぜ

【優秀賞】旭川人権擁護委員連合会長賞
“個性”
若杉 涼香
「人はなぜ、互いの癖や個性を認め合う事が出来ないのだろう。
」と私はいつも考えます。
みなさんは、個性を大切にしていますか?また、他人の個性を認めることが出来ていま
すか?
私は、小さい頃から母にいとこの同い年の子と比べられてきました。その子の母も私と
比べてきました。なぜ母たち姉妹でも同じ所はほとんどないのに私たちのことを比べたが
るのだろう。ある日、私が保育園に通い始めた時でした。いとこはひらがなをすらすらと
読み書きが出来るようになりました。でも私は、まだ自分の名前を書くのがやっとでした。
その時、母は「どうしてできないの?どうしてやる気を見せてくれないの?」と怒りまし
た。その時の私は何とも思わずただ泣きながら、ひたすらひらがなの練習をしました。今
思えば、親の願望が強いのと、母は、私の“個性”など考えてもいなかったに違いありま
せん。同じ人間であり、同じ心を持つ人であるのに、なぜそんなに対抗心を持たなければ
ならないのか。私は、不思議でたまりませんでした。ある日、母はテレビの番組である詩
を聞いて私に言いました。
「あなたのことを周りの子と比べすぎた。あなたはあなたらしく
これからゆっくり成長していくのがいいのかも。
」それは金子みすゞの「みんなちがってみ
んないい」という詩でした。それからというもの母は、私と誰かを比べることはしなくな
りました。
“個性”というものには、たくさんのつながりがあります。それは、私がやっている吹
奏楽の楽器もその一つです。私はチューバを担当していますが、トランペットやトロンボ
ーン、チューバを含めた金管楽器のマウスピースは誰の唇にも合うというわけではありま
せん。よりよい音を追求したり、高い音を出したい時や低い音を出したい時にも自分にあ
ったマウスピースがあるのです。もちろん肺活量の差や手の大きさなど人によって個人差
があります。でもそれは、その人が生まれ持った個性や力そのものなのです。
私たちが暮らしている日本は、全国民右にならえといった文化が主流だと思います。そ
んな中で自分の個性を堂々と表現することは時には難しく、とても勇気のいることだと思
います。実際に私も生まれつき左利きでした。しかし、保育園に入る前、左利きだとダメ
だと言われ、無理矢理右利きに直しました。このような小さなことをきっかけに、仲間は
ずれにされるのではないか、笑われるのではないか、おかしいと思われるのではないか…
といつも自分を隠して生きている人がたくさんいます。もし、自分以外の人間がみんな同
じ人だったら、とても退屈な毎日だと思います。考えること、言うことが自分以外はみん
な同じになってしまうのです。世界にはたくさんの人間がいます。ですが、全く同じ人な
んているはずがないのです。みんなそれぞれ自分にしかない“個性”を持って生まれてい
るのです。しかし、体の障害を嫌がったり、見下したり、ありのままの相手の姿を認めよ
うとしていない。そのような世の中でいいのでしょうか。私たちにはそのような権利はな
いと思うし、命というものに勝手に格付けをしてはいけないと思います。一人一人の“個
性”もクセも何もかも世界にたった一つしかない特別なチャームポイントなのです。その
チャームポイントを「良いな。素敵だな。」と思える心や認め合おうとする気持ちを持って
私は接していきます。
また、悩みやコンプレックスは誰もが背負うものだからこそ、
“個性”として生かし、自
分に自信を持って楽しく一人一人が一生懸命に輝いて生きていける日本、そして世界にな
っていくことを期待しています。