遺伝子関連 1. ミトコンドリア DNA と核 DNA ミトコンドリアは細胞中の核外にあり、ミトコンドリア DNA と核 DNA は DNA としては別系統である。ミトコンドリ ア DNA は、ミトコンドリアの持つタンパク質などに関する情報を持っており、細胞分裂時にミトコンドリアは複製 が作られるが、ミトコンドリアに必要な情報の一部は核 DNA に含まれている。したがって、細胞外に置くと、単 体では存在出来ない。また、細胞が必要とするエネルギーを酸素を利用して取り出せるのはミトコンドリアの働き であり、細胞それ自体もミトコンドリアなしには生存できない。このことが真核生命物質が、細胞内でのミトコンドリ アとの共生由来を説明する。 遺伝子異常(筋ジスなど)もミトコンドリア DNA の異常と核 DNA のそれとがある。ミトコンドリア DNA 異常がガ ン転移に影響したり、メタボし易さにも関係しているということである。 高等動物のミトコンドリア DNA は比較的似通っている。脊椎動物では、魚類~哺乳類までの構造と配置はほ ぼ同一である。 陸上植物のミトコンドリア DNA は数多くの反復配列を含んでおり、相同組み換えによって様々な構造の DNA 分子が生じている。1つ1つのミトコンドリア DNA の持つ情報は Big data と考えられる。 その伝達様式であるが、そもそも卵子の細胞質に約25万個存在する。精子鞭毛にも僅かに存在するが、卵子 中にあるミトコンドリア DNA のみが分裂後も引き継がれる。すなわち、ミトコンドリア DNA は母性遺伝と考えて よい。 ミトコンドリア DNA は、母性遺伝であるので、家系を追跡するのに使われたりする。現生人類のホモサピエンス は、アフリカの1人の女性である(5万年前)と推定されている。 ただし、ミトコンドリア DNA は母系をたどることしか出来ないため、人類の系統や移住の足跡をたどるには、父 系のみをたどれる Y 染色体の分析と併せ検証するか、核 DNA そのものを分析する必要がある。 一例として、南アメリカのコロンビア人を調査したところ、ミトコンドリア DNA はほぼモンゴロイド系の特徴を持っ ていたが、Y 染色体はほぼヨーロッパ系コーカソイド(特にスペイン人)であった。逆に東ヨーロッパの諸民族のミ トコンドリア DNA は、ほぼコーカソイド系であったが、Y 染色体および核 DNA にはモンゴロイド系の特徴を 持っている人々が少なからずいたことがわかっている。 ここで染色体について書いておく。細胞の有糸分裂の際に観察される、塩基性色素で濃く染まる棒状の構造体。 以前は細胞中の核 DNA の大部分は染色体に局在していると考えられてきたが、現在ではミトコンドリアなどに もある遺伝子連鎖群と広く考える。 染色体異常(数とか構造の)症候群としてよく知られているのは、ダウン症である。 2. 遺伝子工学 3. 何故男系天皇でないといけないか
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