Economic Indicators 定例経済指標レポート

Market Flash
盛り上がる転職活動
2017年1月12日(木)
第一生命経済研究所 経済調査部
主任エコノミスト 藤代 宏一
TEL 03-5221-4523
【海外経済指標他】
・トランプ次期大統領の記者会見が行われた。内容は選挙戦における情報操作に重点が置かれたほか、メキ
シコとの国境の「壁」を巡る議論など多岐にわたり、経済政策への具体的な言及は少なかった。もっとも、
製薬会社に対する批判は過激な論調が目立った。医薬品が高額過ぎるとして、現在は禁止されている国と
製薬会社の薬価交渉を可能にするとの見解を示した。
・11月英鉱工業生産は前月比+2.1%と市場予想(+1.0%)を大幅に上回り、4ヶ月ぶりに増産。エネルギ
ー生産が+5.3%と復調したほか、製造業生産も+1.3%と強く反発。3ヶ月前比年率でみた製造業生産の
モメンタムは+0.9%と、3Qに記録した前期比年率▲3.3%から好転している。
英
鉱工業生産指数
(%)
115
15
10
鉱工業
110
英
鉱工業生産指数
製造業
5
0
105
-5
100
-10
製造業
鉱工業
-15
95
-20
-25
90
07
08
09
10
11
12
(備考)Thomson Reutersにより作成
13
14
15
07
08
09
10
11
12
13
14
15
(備考)Thomson Reutersにより作成 3ヶ月前比年率
16
16
【海外株式市場・外国為替相場・債券市場】
・前日の米国株は反発。トランプ次期大統領の記者会見前後で大きく上下した後、あく抜け感から買い優勢
となった。もっとも、NYダウ20000㌦が意識されてか、上値は重かった。セクター別では薬価交渉を巡る
不透明感から医薬品関連株が下落。WTI原油は52.25㌦(+1.43㌦)で引け。トランプ次期大統領の記者
会見後のUSD安に加え、OPECが減産を実行したとの報道が手掛かり。
・前日のG10 通貨はUSDが全面安。次期大統領の記者会見で具体的な景気対策が論じられず、市場はUSD売り
で反応。USD/JPYは115を割れる場面があった。
・前日の米10年金利は2.372%(▲0.4bp)で引け。トランプ次期大統領の記者会見を受けて上下した後、結
局は前日と同水準で引け。なお、この日実施された10年債入札が好調な結果だった。欧州債市場(10年)
は総じて堅調。ドイツ(0.328%、+4.3bp※10年債入札後の調整未実施)、イタリア(1.867%、▲
4.7bp)、スペイン(1.414%、▲6.0bp)、ポルトガル(3.974%、▲7.6bp)が揃って金利低下。周縁3ヶ
国加重平均の対独スプレッドはタイトニング。
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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【国内株式市場・アジアオセアニア経済指標・注目点】
・日本株は米国株上昇に追随できず安く寄り付いた(9:05)。
<#自発的離職率 #賃金上昇
#FEDの利上げ正当化>
・米国では、失業率がNAIRU近傍ないしはそれ以下の水準まで低下し、内生的なインフレメカニズムが
強まるか否かについて市場関係者の注目が集中するなか、12月雇用統計では平均時給が前年比+2.9%へと
伸びを高め、緩やかながらも「賃金インフレ」が現実のものとなった。そうした中、10日発表のJOLTS統計
で、イエレン議長が労働市場の質的改善を判断する際に重視している自発的離職率が上昇したことは重要
だろう。この指標は2016年前半に一旦は停滞し、賃金上昇シナリオに疑問を投げかけていたが、16年後半
からは再び上昇基調に転じた。このことは、労働者が待遇改善を求めて転職活動を活発化させている様子
を映し出していると考えられ、賃金上昇圧力の兆候として認識される。つまるところ、労働市場の「質的」
改善である。実際、自発的離職率は平均時給に半年から1年半程度先行する傾向があることを踏まえると、
最近の自発的離職率の上昇は2017年後半から2018年にかけて賃金上昇という形で実を結ぶ可能性が相応に
高いと予想される。利上げパスを巡っては、FED内部で見方にかなりの幅が生じているようだが、賃金
の先行指標として有用な自発的離職率は追加利上げを促しているようにみえる。
(%)
(平均時給、%)
自発的離職率
4.5
2.4
4
2.2
3.5
2
1.8
3
1.6
2.5
1.4
2
1.2
y = 1.9378x - 0.8475
R² = 0.5286
1.5
1
01
03
05
07
09
11
13
(備考)Thomson Reutersにより作成 3ヶ月平均
15
17
(離職率、%)
1
1
1.5
2
2.5
3
(備考)Thomson Reutersより作成
データは:2001年以降、平均時給(生産従事者)18ヶ月先行
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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