バレーボールのゲーム分析についての研究 ~レセプションからの攻撃について~ 内橋 昌哉 (競技スポーツ学科 コーチングコース) 指導教員 吉川 文人 キーワード:クイック,ダイレクト・デリバリー,インダイレクト・デリバリー 1.研究目的 本研究では,実際の試合映像からトスの種類 維持・向上を図るためには,レセプション技術 (特に A カット)の強化も必要である. 図(c),(d)では,ブロックシステムで分けた を分け,スパイカーの決定力を上げるためにダ イレクト・デリバリー,インダイレクト・デリ ブロック種別毎のスパイク決定率を比較した バリーのどちらが有効であるのかを調査する. ものを示した.ブロックシステムで比較した場 また,クイック時にトスを上げる瞬間の相手の 合,スパイク決定率に大きな差は見られなかっ ブロックシステムとその種類についても調査 することとした. た.ブロック種別毎に分析すると.ダイレク ト・デリバリーのトスが,バンチブロック,デ 2.研究方法 ディケートブロック共にリードブロックに対 本調査は,2015 年度関西学生バレーボール して有効であった.インダイレクト・デリバリ 1 部秋季リーグ戦における天理大学の試合と ーが,コミットブロック,デディケートブロッ クどちらに対しても決定率が高かった. その対戦相手同士の試合,計 12 試合を対象と する.研究室で開発した索引付け・映像閲覧ツ ールを用いて, 試合映像中のサーブ直前から レセプション,トス,クイックといった一連の 流れを反復再生しながら,次の 5 つの項目すな わち①トスの種類,②レセプション評価(A カ ット,B カット),③相手のブロックシステム, ④ブロックの種類,⑤決定打について,データ 収集と集計を行った.それぞれの項目における 2 つのカテゴリ(結果参照)の集計結果に差が あるか否か確認するため,対応のない t 検定を (a)トスの種類別決定率 行った. 3.結果及び考察 (b)レセプションからスパイク本数 (c)バンチシステムでの決定率 全 12 試合についての種別トス総数は,ダイ レクト・デリバリー151 本,インダイレクト・ (d)デディケートシステムでの決定率 図.レセプションからのクイック指標の結果 デリバリー191 本,計 342 本であった.図(a) は,ダイレクト・デリバリー,インダイレクト・ 4.まとめ 本研究では,レセプション,相手のブロック デリバリーのトスによるスパイク決定率を示 したものである.本研究において分析対象とし を考慮しつつクイック時のトス種別とスパイ クの決定力との関係について調査を行った.調 た試合においては,トス種別間の決定率に有意 差は認められなかった. 図(b) では,レセプ 査結果から,スパイク決定力を向上させるため ション種別毎に 1 試合当たりのクイック時の トス平均使用本数をトス種別毎に示した.レセ 強化や相手ブロック種別を考慮した戦術や技 術面の強化を図る必要性が強調される. プション時は,A カットの方が多くクイックに 使用されていることがわかった.近年の動向と 引用・参考文献 吉田ら(2008) バレーボールにおけるジャン して,吉田ら(2008)はサーブ威力の増強を指摘 している.レセプションからのクイック精度の プサーブの効果についての研究 法政大学体 育・スポーツ研究センター紀要第 26 巻 21-23 には,トスの技術だけでなく,レセプションの
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