MLP市場見通し - Goldman Sachs

2016年12月20日
Goldm an Sachs Asset M anagem ent
MLP市場見通し
情報提供資料
OPEC/非OPECの減産合意とMLP市場の見通し
概要
 2016年11月30日のOPECの減産合意に続き、12月10日には非OPEC産油国も協調減産に合意しまし
た。OPEC/非OPECで合意した減産規模は176万バレル/日に及び、2017年の原油市場は需給逼迫する
可能性が高いとみられます。当社では、原油価格は55ドル程度で安定化すると予想しています。
 原油価格が再び40ドル以下に下落する可能性が限りなく低下したことは、MLP市場の潜在的なリスク要因
(下値リスク)が大きく後退したことを示しており、MLP市場の関心は徐々に原油価格からMLPのファンダメ
ンタルズに回帰するでしょう。トランプ新政権の発足も、MLP市場に明らかな追い風になるとみられます。
OPEC/非OPECの減産合意と原油市場の見通し
11月30日 OPEC減産合意
2016年11月30日、オーストリアのウイーン本部で開催されたOPEC(石油輸出国機構)総会において、120万バレ
ル/日の減産で最終合意に至りました。特に合意された内容は、市場参加者の大方の予想を上回るポジティブなも
ので、同日の原油価格(WTIスポット)は前日比+9.3%の1バレル49.44ドルまで急伸しました。
OPEC総会の合意事項
 2017年1月以降、OPEC加盟国全体の原油生産は日量120万バレル減産。日量3,250万バレルを上限に適
用
 各国ほぼ一律の4.6%前後の減産割り当て。ただし、経済制裁解除後の回復途上にあるイランは2.4%の増
産が認められ、リビアとナイジェリアも減産免除
 効力期間は6か月。次回5月27日のOPEC総会において、その時の市場環境を考慮し、更に6か月延長
 加盟各国の生産動向を監視するためのモニタリング委員会を設置。各国による生産枠の順守を担保
12月10日 非OPEC産油国も協調減産へ
OPECの減産合意に続き、12月10日開催されたOPEC閣僚会合において、ロシアなど非OPEC産油国11ヵ国も、
2017年1月から55.8万バレル/日の協調減産に合意しました。減産規模は概ね予想通りになったものの、週明け
12日の原油価格(WTIスポット)は前週末比2.6%の上昇と好感しました。
今後の焦点は減産の進捗へ
今後の焦点は、OPEC/非OPEC諸国含め、各国に割り当てられた減産がどの程度実行されるかに移ります。何故
なら、これまでOPECは自ら定めた生産目標を、推定平均120万バレル/日程度(2000年以降)上回る生産を継続
2016年初来 MLP/エネルギーセクター株式./原油価格の推移
11/30
OPEC総会
140
MLP(左軸)
130
エネルギーセクター株式(左軸)
120
原油(右軸)
70
60
(
米
110
50 ド
ル
バ
40 レ
ル
/
100
)
90
80
30
70
60
15/12
16/1
16/2
16/3
16/4
16/5
16/6
16/7
16/8
16/9
20
16/10 16/11 (年/月)
出所:ブルームバーグ 期間:2015年12月31日~2016年12月19日 MLP:アレリアンMLP指数(配当込み)、エネルギー・セクター株式:S&P500エ
ネルギーセクター指数(配当込)、 原油:WTIスポット(共に米ドルベース) MLPとエネルギーセクター株式は2015年12月31日を100として指数化
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が、当社がその正確性・完全性を保証するものではありません。上記は経済や市場等の過去のデータおよび一時点における予測値であり、将来の動
向を示唆あるいは保証するものではありません。経済、市場等に関する予測は資料作成時点のものであり、情報提供を目的とするものです。予測値
の達成を保証するものではありません。本資料に記載された見解は情報提供を目的とするものであり、いかなる投資助言を提供するものではなく、ま
た個別銘柄の購入・売却・保有等を推奨するものでもありません。記載された見解は資料作成時点のものであり、将来予告なしに変更する場合があり
ます。本資料の一部または全部を、当社の書面による事前承諾なく(I)複写、写真複写、あるいはその他いかなる手段において複製すること、あるいは
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2016年12月20日
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MLP市場見通し
情報提供資料
OPEC/非OPECの減産合意とMLP市場の見通し
2017 4Q
2017 3Q
2017 2Q
2017 1Q
2016 4Q
2016 3Q
2016 2Q
2016 1Q
2015 4Q
2015 3Q
2015 2Q
2015 1Q
2014 4Q
2014 3Q
2014 2Q
2014 1Q
(前頁より続く) 的に行ってきた歴史があるためです。今
世界の原油需給の推移(予想)
回、OPEC/非OPECが合意した減産規模は、合わせて (万バレル/日)
176万バレル/日に達します。現在の世界の原油の過 250
剰供給が約50万バレル/日規模であることを踏まえると、
予想
減産が確実に実行されれば、2017年初から世界の原 200
油在庫が大きく削減され始めることになります。仮に多 150
くの国が減産を実行しない保守的な見方を取ったとして
も、サウジアラビアに近いGCC(湾岸協力会議)諸国の 100
クウェート、UAEおよびオマーンはサウジアラビアに同 50
調する可能性が高いと考えられます。GCC4か国の減
0
産規模は80.1万バレル/日となり、それだけでも現在の
世界の供給過剰規模50万バレル/日を上回ることが可 -50
能になります。つまり、原油需要が例年通り100万バレ
ル/日程度増加するとの前提に立つと、2017年を通して -100
原油需給は逼迫する可能性が高いと当社ではみてい
ます。原油価格については、2017年を通して55ドル程
度で推移すると当社では予想していますが、季節的に
期間:2014年
需要が増える夏場には、一時的にその水準を超える可 出所:ゴールドマン・サックス・グローバル投資調査部、GSAM
第1四半期~2017年第4四半期(2016年第4四半期以降は予想) 2016年12
能性は十分にあり得ると考えています。
月1日時点予想
MLP市場へのインプリケーション
MLP市場に対するインパクト
MLP市場にとって、OPEC/非OPECによる減産合意は、 (機)
非常にポジティブな影響をもたらすと考えられます。少 1,800
なくとも原油価格が再び40ドル以下に下落する可能性 1,600
は、ゼロではないにしろ、限りなく低下したと言えるで 1,400
しょう。このことは、MLP市場の潜在的なリスク要因を 1,200
大きく後退させたことを示唆しています。
米国の原油稼働リグ数の推移
1,000
2016年下期以降、MLP市場の原油価格との相関は
800
徐々に低下傾向にあります。原油市場の安定化に伴い、
600
原油価格からMLPのファンダメンタルズに、MLP市場
400
の関心が回帰してきた証です。MLPなどエネルギー・イ
200
ンフラ産業のファンダメンタルズは、エネルギーの「価
14/12 15/3 15/6 15/9 15/12 16/3 16/6 16/9 (年/月)
格」ではなく「ボリューム(生産/輸送量)」に依存したビジ
出所:ブルームバーグ
期間:2014年12月26日~2016年12月16日
ネスです。原油価格が55ドル程度で安定化することは、
特に優良地域とされるパーミアンを中心に、複数のシェール鉱区で増産に弾みがつくと考えられます。実際、米国の稼
働リグ数は、OPEC減産合意後の3週間で8%増加、ボトムの5月末から61%増加しました。米国シェール・エネルギーの
生産拡大は、中長期的にパイプライン等のインフラに対する需要の拡大を促すとみられます。
従来より当社では、OPECによる協調減産の実現可否にかかわらず、中期的に世界の原油市場は需給均衡に向かうと
みていました。2015年以降、非OPEC産油国を中心に大規模な投資削減が行われ、今後供給が抑制されることが必至
なためです。今回のOPEC/非OPECによる減産は、その流れを前倒しする形となりました。
トランプ新政権による追い風も
環境政策を重視したオバマ政権から、シェール開発に意欲的なトランプ氏による新政権への移行により、MLPを取り巻く
事業環境は大きく好転する見込みです。一例として、環境保護局(EPA)長官に、気候変動に懐疑的なプリュット氏を指名
する方針等が明らかにされました。Dakota Access Pipelineなど停止中の大型プロジェクトも、新政権発足後すぐに再
び動き始めるとの見方が支配的で、しばらくMLPにとってポジティブなニュースフローが続く可能性があります。
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向を示唆あるいは保証するものではありません。経済、市場等に関する予測は資料作成時点のものであり、情報提供を目的とするものです。予測値
の達成を保証するものではありません。本資料に記載された見解は情報提供を目的とするものであり、いかなる投資助言を提供するものではなく、ま
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