日野 久美子 - 佐賀大学 産学地域連携機構

学校教育学研究科(教職大学院)
H I N O
K U M I K O
日野 久美子
教授
「発達障害の特性からの子どもの理解と指導・支援の在り方」
「特別支援教育をベースにした通常学級の授業改善」
「特別支援教育担当教員の養成・研修の在り方」
[キーワード]
特別支援教育,発達障害,通常学級,授業改善,通級指導教室,専門性,
特別支援教育担当教員養成・研修
特別支援教育は「子どものニーズに応えるスペシャルな教育」です!
研究紹介
◆研究概要
◆教育の質の保証につなげる,教員の専門性の向上
特別支援教育とは,通常学級の子どもも含めた「全ての
子ども」を対象として,
「一人一人の教育的ニーズを把握
し,学習面や生活面での問題を解決するための指導と支援
を行う」教育のことです.
本研究室では,この特別支援教育の充実と発展を目指し,
下記を主な課題として研究しています.
(1)子どもの理解と指導・支援
・発達障害の子どもを中心とした不適応行動への対処
・幼-小,小-中-高などのスムーズな接続支援の在り方
(2)特別支援教育から考える,通常学級の授業改善
・学びのユニバーサルデザインによるアプローチ
(3)特別支援教育の専門性に関する研修
・通常学校の特別支援教育担当教員(特別支援学級担任,
通級指導教室担当,特別支援教育コーディネーター等)
の養成及び研修の在り方
・教職員以外の子ども支援者への研修の在り方
特別支援学級に在籍する児童生徒は,平成 5 年から 25 年
の 20 年間において,通常の小学校で 2.6 倍,中学校で 2.3
倍に,通級指導教室で通級による指導を受けている児童生徒
は,小学校で 5.9 倍,中学校で 23.5 倍にと急増しています.
特別支援教育の「子ども一人一人のニーズに応じた専門的な
教育」への大きな期待が,ひしひしと伝わってきます.学級設
置などの環境整備の次に問われるのは,これらを担っていく
教員の専門性をいかに高め,子どもへのより良い質の教育を
保証するか,ということです.
「自分に必要な専門性とはなに
か?どのように学んでいけば良いのか?」といった,教師自
身の問いかけに応じ,主体的な学び(アクティブ・ラーニング)を支える
ための具体的な方策について,研究しています.
◆発達障害への対応から学ぶ,子どもの理解と支援
私たちは様々な能力を使って生活しています.発達障害の
子どもは,これらの能力の得意・不得意の差が大きく,バラ
ンスのとれた行動が難しくなる場面が目立ち易いのです.そ
のため,周囲からの理解を得られず,自分に自信をなくして
困っている様子が見られます.
「集団にうまく適応できずに困っている子ども」に出会っ
たら,まずその子どもの行動を,冷静で客観的に「理解する」
ことが大切です.そして,子どもも支援者も「今よりちょっ
とだけがんばればうまくいく
方法」を考えて支援してみま
しょう.
「困る状況を無くす」ので
はなく,
「困ったときの対処法
を身につける」ことは,全ての
子どもの自立を考えることに
つながります.
◆広がる研修の場~家庭・学校・地域の中でできること~
これまで,小学校の学級担任や通級指導教室担当として,
たくさんの子どもや先生,保護者の方たちと直接向き合って
きました.また,学校外で開催されている「親の会」や「子ど
もの会」においても,ボランティアの学生さんたちと一緒に
活動を行ってきました.現在,これらの実践を基に,教育現場
の課題について,先生方をはじめ,子どもに関わる様々な立
場の方たちと共に,特別支援教育の視点から研修を行ってい
ます.最近では,地域やPTAの教育講演会,学習サポーター
の方や,幼児の保護者さんなどが対象の研修会も増えました.
また,医療関係者の皆さんと一緒に,自主的な学習会を開催
しています.
研修の最後に受講の皆さんで読み上げる合い言葉
掲載情報 2016 年 12 月現在
教育関係者・
子ども支援に尽力する方へ
一言アピール
子どもの不適応行動には,背景や意味があります.「その行動に託された,
子どもの『思い・ことば』にまず目を向けてみる」という研修を通して,子
どもを理解し,支援者の主体的な対応につなげたいと考えています.
産学・地域連携機構より
特別支援教育の対象は「全ての子ども」です.全ての人が当事者であることを意味し,社会と
して円滑な関係性の構築が求められます.日野教授は長年の経験と深い知見をもって,子ども
の支援に関わる様々な立場の方へ指導・アドバイスを実施しています.
佐賀大学研究室訪問記
2016
佐賀大学
産学・地域連携機構
(佐賀県佐賀市本庄町1番地)
(お問い合せ先) 国立大学法人 佐賀大学 学術研究協力部 社会連携課
TEL:0952-28-8416
E-mail:[email protected]