楽読 (ラクヨミ) 2016年12月20日 Vol. 1,171 賃金の上昇が続くアジア太平洋地域 ~大消費地として高まる存在感~ ILO(国際労働機関)が12月15日に発表した「世界賃金報告」によると、世界の実質賃金は2015年に前年比 +1.7%と、過去4年間で最低の伸びとなりました。そうした中、アジア太平洋(日本やオーストラリアなどの先進 国を含む、以下、同様)については、実質賃金の高い伸びが継続し、地域別で最高の+4.0%と、堅調ぶりが目 立ちました。 実質賃金の状況を主要国・地域別に見ると、米国を牽引役として北米で+2.0%に伸びが加速したほか、ドイ ツを中心に西欧でも+1.5%へ伸びが高まりました。しかし、資源価格の下落や通貨安の影響などを受けたブラ ジルやロシアを中心に、東欧および中南米で大幅な減少となり、世界全体での上昇率鈍化につながりました。 アジア太平洋では、中国が+6.9%と高い上昇率を記録し、域内はもとより、世界の実質賃金の上昇を引き続き 牽引しました。また、シンガポールやマレーシアも+4.0%、タイ、台湾、韓国なども2%台後半の高い伸びとなり ました。なお、オーストラリアは▲0.2%、インドネシアも▲0.4%と、ともに落込みが続いたものの、減少率は前 年から改善しました。また、日本は3年ぶりに減少を免れ、+0.3%となりました。 アジア太平洋では、賃金の上昇などを背景に消費の堅調な拡大が続くと見込まれています。同地域の個人 消費額は、2005年には欧米を下回る規模でしたが、足元では既にEU(欧州連合)を上回っており、さらに、 2020年には北米をも上回る一大消費地に発展すると予想されています。こうした中、域外からの企業進出や 投資の活発化、さらに雇用の一段の拡大などを通じて、景気の好循環につながると期待されます。 中国の二桁経済成長が終わると、投資家に敬遠されることもあったアジア太平洋ですが、中国の成長率の鈍 化にもひとまず歯止めがかかった模様です。さらに、成長志向の米新政権の発足などをきっかけに、投資家も 成長志向やリスク資産選好の姿勢を取り戻すようであれば、アジア太平洋への注目が高まると期待されます。 主要地域別の個人消費額の推移 主要地域別の実質平均賃金の推移(前年比) 8 (%) (2011年~2015年) 11年 12年 13年 14年 15年 35 6 30 4 25 2 20 0 15 -2 アジア太平洋の賃金上昇率 は、世界的に高水準である ほか、振れが限定的 (兆米ドル) (2000年~2030年予想) ユーロモニター社 の予想 北米 EU(欧州連合) アジア太平洋 注: 北米は米国、カナダおよび メキシコ 10 -4 5 注:北米は米国およびカナダ -6 0 世界 北米 西欧 アジア 太平洋 東欧 中南米 00年 05年 10年 15年 20年 25年 30年 出所:ILO(国際労働機関) 出所:Euromonitor International ※上記は過去のものおよび予想であり、将来を約束するものではありません。 ■当資料は、日興アセットマネジメントが市況等についてお伝えすることを目的として作成したものであり、特定ファンドの勧誘 資料ではありません。また、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料 作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。■投資信託は、値動きのある資産(外貨建 資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことが あります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付 目論見書)をご覧ください。 1/1
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