「2016年度新規開業実態調査」～アンケート結果の概要～

年 12 月 22 日
日本政策金融公庫
総合研究所
2016
「2016年度新規開業実態調査」
～アンケート結果の概要～
Ⅰ 調査の目的と実施要領　---------------------------- １
Ⅱ 調査結果
１開業者の属性とキャリア ------------------------ ２
２開業動機と事業の決定理由 ---------------------- ５
３企業の属性 ------------------------------------ ７
４開業費用と資金調達 ---------------------------- ９
５開業後の状況と開業にかかる課題 ---------------- 11
６現在の満足度と今後の方針 ---------------------- 14
Ⅲ まとめ ------------------------------------------ 15
＜問い合わせ先＞
日本政策金融公庫総合研究所
小企業研究第一グループ
TEL 03-3270-1687
担当立澤、村上
Ⅰ　調査の目的と実施要領
1　調査目的
日本政策金融公庫総合研究所では、新規開業企業の実態を把握するため、1991年度から毎年「新規開業実態調査」を実施しており、
開業者の属性や開業費用など時系列で比較可能なデータを中心に蓄積してきた。
そこで、今年度実施した「2016年度新規開業実態調査」の結果とともに、過去のデータも用いながら、新規開業企業の実態がどの
ように変化してきたのか、その特徴を分析した。
2　実施要領
（１）調査時点 2016年8月
（２）調査対象日本政策金融公庫国民生活事業が2015年4月から同年9月にかけて融資した企業のうち、融資時点で開業後1年
以内の企業8,145社
（３）調査方法調査票の送付・回収ともに郵送、アンケートは無記名
（４）回収数 1,967社（回収率24.1％）
（５）経営形態個人企業61.0％法人企業39.0％（開業時）
3　アンケート回答企業の概要
開業からの経過月数（調査時点）
開業時の従業者数
カ月
以上
25
カ月
19～24
4.4
（単位：％）
カ月
0～6
2.2
12.9
29.6
平均14.6カ月
人
5～9
カ月
7～12
人
（n = 1,967）
カ月
13～18
（単位：％）
人以上
10
17.0
8.4
4
人
50.9
4.9
32.9
平均3.4人
（n = 1,929）
10.9
3
25.9
人
2
資料：日本政策金融公庫総合研究所「新規開業実態調査」（以下同じ）
（注） 1 構成比は小数第2位を四捨五入して表記しているため、その合計が100％にならない場合がある（以下同じ）。
2 以下、調査年度を示していない図は2016年度調査による。
- 1 -
人
1
Ⅱ 調査結果
１開業者の属性とキャリア
～開業時の平均年齢は上昇が続く～
○　開業時の年齢は「30歳代」が35.3％と最も多く、次いで「40歳代」が34.5％を占める（図－１）。一方、「29歳以下」は7.1％と、
調査開始以来、最も低い割合となった。開業の主要な担い手は、「30歳代」「40歳代」である。
○　開業時の平均年齢は42.5歳となった。2013年度以降、平均年齢は4年連続で上昇している。
図－１　開業時の年齢
（％）
100
2.2
1.7
1.4
2.1
2.3
1.7
2.6
2.9
9.3
9.0
11.8
11.1
11.5
12.3
12.8
14.6
2.6
3.9
3.8
4.2
21.1
21.5
19.1
21.1
31.9
29.2
28.3
26.4
36.1
32.2
34.4
18.8
80
34.1
36.7
34.3
34.3
36.0
34.9
32.6
60
40
39.8
38.5
37.8
39.0
36.9
37.9
37.0
31.7
35.6
2.7
30.4
35.4
36.5
20
0
5.8
6.4
5.3
23.2
24.1
23.1
27.3
27.7
29.1
33.4
31.9
34.2
4.8
20.5
7.7
6.6
5.6
6.5
5.9
7.1
6.2
18.4
19.4
18.9
17.7
16.9
15.5
17.4
15.4
16.9
24.3
28.4
26.5
29.2
28.4
28.3
29.8
30.5
34.2
34.5 40
39.5
38.9
38.5
35.6
39.2
39.4
40.2
38.6
35.8
35.3 30
歳代
歳代
歳以下
（調査年度）
14.1
14.7
13.4
13.2
13.0
15.0
15.2
12.1
12.1
11.0
13.4
11.8
10.3
9.9
8.3
11.3
9.5
9.1
8.7
8.2
9.8
8.1
7.6
7.4
7.1
1991
92
93
94
95
96
97
98
99
2000
01
02
03
04
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
43.0
42.9
42.4
42.5
41.4
41.5
07
08
15
16
44
42.6
43
42
41
38.9
38.9
1991
92
39.2
39.2
93
94
39.7
39.6
39.6
95
96
97
40.2
40.9
41.6
41.8
2000
01
40.9
41.4
歳以上
50歳代
60
6.5
14.5
（歳）（平均年齢の推移）
40
4.3
42.1
42.6
42.0
41.4
41.7
42.1
29
39
38
0
37
98
99
02
03
04
- 2 -
05
06
09
10
11
12
13
14
（調査年度）
～女性の割合は調査開始以来最高～
○　開業者に占める女性の割合は、18.2％である（図－２）。調査開始以来、最も高い割合となっている。
○　最終学歴は、「大学・大学院」の割合が36.9％と、最も高い（図－３）。
図－２　性　別
（％）
100
12.4
12.9
12.9
14.7
13.3
13.2
14.9
13.6
12.5
14.4
15.3
14.0
13.8
16.1
16.5
16.5
15.5
15.5
14.5
15.5
15.0
15.7
15.1
16.0
17.0
18.2
女性
87.6
87.1
87.1
85.3
86.7
86.8
85.1
86.4
87.5
85.6
84.7
86.0
86.2
83.9
83.5
83.5
84.5
84.5
85.5
84.5
85.0
84.3
84.9
84.0
83.0
81.8
男性
1991
92
93
94
95
96
97
98
99
2000
01
02
03
04
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
80
60
40
20
0
図－３　最終学歴
（％）
100
80
60
0
その他
大学・
36.9 大学院
0.0
0.6
0.6
0.3
0.7
0.3
0.7
1.0
0.6
1.2
1.3
0.9
0.3
0.5
0.2
0.6
0.2
0.1
0.2
0.4
0.1
0.1
0.1
30.6
29.6
29.5
30.8
29.7
29.1
30.5
33.8
32.9
35.2
34.4
34.3
34.6
35.5
36.4
34.0
34.2
35.9
37.9
36.2
37.8
37.8
36.7
4.3
3.8
3.9
7.5
7.4
7.1
4.1
16.5
17.2
18.0
18.4
5.5
4.6
5.4
5.2
4.6
15.5
7.6
3.8
13.2
4.2
12.9
4.5
4.8
4.6
5.8
4.9
15.1
15.1
17.6
5.3
4.3
16.4
17.4
17.5
21.5
20.1
21.3
19.1
24.3
23.9
26.6
24.8
24.0
35.9
36.5
37.9
37.0
36.4
34.5
35.0
35.0
33.2
32.0
31.3
30.4
27.7
28.7
30.6
3.6
3.8
7.2
15.3
14.9
40
20
（調査年度）
40.8
40.7
39.4
40.9
41.5
42.2
39.5
40.0
38.0
7.4
8.0
8.6
7.6
7.5
5.7
6.9
6.2
6.4
1992
93
94
95
96
97
98
99
2000
5.0
01
7.1
6.2
6.6
02
03
04
5.6
05
6.0
06
3.6
07
5.8
08
5.0
09
5.5
10
年度の調査の選択肢には「短大」が含まれていないため、結果を掲載していない。また、2011年度調査では最終学歴を尋ねていない。
年度の調査の選択肢には「その他」がない。また、1999～2002年度調査の「その他」には「海外の学校」が含まれる。
（注） 1 1991
2 1992
- 3 -
3.5
3.0
3.2
4.0
12
13
14
15
0.1
短大・高専
専修・
各種学校
高校
中学
16
（調査年度）
～実務経験を有する分野で開業～
○　開業直前の職業は、「正社員（管理職）」の割合が45.1％と最も高く、次いで「正社員（管理職以外）」が28.5％を占める
（図－４）。「非正社員」（10.8％）は、調査開始以来、最も高い割合となっている。
○　勤務キャリアは、「勤務経験」がある割合が98.6％、「斯業経験」がある割合が85.3％と、多くはビジネス経験をもって開業し
ている（図－５）。また、「管理職経験」がある割合は68.7％となっている。
図－４　開業直前の職業
（％）
100
80
9.1
9.5
1.5
2.9
39.5
36.7
5.8
5.9
3.3
3.0
13.2
3.2
39.5
41.9
60
36.4
9.4
5.5
6.2
2.6
3.6
3.2
47.1
42.2
36.2
6.7
4.2
4.8
5.3
40.9
38.5
5.5
6.9
7.2
4.9
7.4
5.6
36.5
40.1
30.4
34.7
8.0
9.5
7.0
7.0
6.9
7.1
8.0
7.6
8.7
7.8
8.0
8.5
33.5
32.6
33.6
33.9
32.9
10.2
9.8
26.3
9.1
7.7
7.1
6.4
8.7
9.4
8.8
9.2
31.3
31.0
28.8
29.2
その他
非正社員
正社員
28.5
（管理職以外）
5.2
8.0
10.6
29.4
10.8
正社員
（管理職）
20
会社や団体の
14.8 14.5 14.8 13.9 12.0 14.2 12.2 11.3 12.2 14.6 14.5 13.3 12.0 12.2 12.4 13.1 10.9 13.1 13.7 13.0 13.0 10.7 10.7 10.2 11.3 10.4
常勤役員
0
1991 92
93
94
95
96
97
98
99 2000 01
02
03
04
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
（調査年度）
（注）1 「非正社員」は「パートタイマー・アルバイト」と「派遣社員・契約社員」の合計である。ただし、1991～1994年度および2004年度調査では選択肢のなかに「派遣社員・契約社員」が
ない。また、1995～1999年度調査の選択肢は「派遣社員・契約社員」ではなく「派遣社員」である。
2「その他」には「専業主婦・主夫」「学生」が含まれる。
40
35.0
36.3
36.5
35.2
35.2
37.6
31.5
37.1
36.1
36.8
36.6
34.6
42.1
37.4
36.1
図－５　勤務キャリア
【経験割合】
98.6
（％）
100
80
60
40
20
0
37.2
39.8
38.2
38.4
45.2
38.0
41.2
44.7
44.9
勤務経験
68.7
45.1
（単位：年）
【経験年数】
85.3
40.7
斯業経験
管理職経験
経営経験
平均値
19.5
13.9
10.1
10.9
中央値
19.0
12.0
8.0
8.5
勤務経験あり
斯業経験あり
管理職経験あり
経営経験あり
（注）1 「斯業経験」は現在の事業に関連する仕事をした経験、「経営経験」は現在の事業を始める前に事業を経営した経験（すでにその事業をやめている場合を含む）。
2 経験年数の平均値・中央値は、経験がある人だけを集計。
12.5
- 4 -
２開業動機と事業の決定理由
～最も多い開業動機は「自由に仕事をしたかった」～
○　開業直前の勤務先を離職した理由は、「自らの意思による退職」が82.6％を占める（図－６）。「勤務先の倒産・廃業」「事
業部門の縮小・撤退」「解雇」を合わせた「勤務先都合」による離職は、前年度からほぼ横ばいの9.0％となった。
○　開業動機は、「自由に仕事がしたかった」（50.6％）、「仕事の経験・知識や資格を生かしたかった」（47.6％）、「収入を増や
したかった」（47.4％）の順に多い（図－７）。
図－６　開業直前の勤務先からの離職理由
（調査年度）
勤務先の事業部門の
(単位：％）
倒産・廃業縮小・撤退解雇その他
自らの意思による退職
2014
82.3
4.4
4.0
2015
82.7
4.4
3.2
2016
82.6
4.1
3.8
1.7
1.5
1.1
7.6
8.2
8.4
）「その他」は「定年退職」「退職していない」を含む。「勤務先都合」とは「勤務先の倒産・廃業」「事業部門の縮小・撤退」「解雇」の合計である。勤務先都合 9.0
（注
図－７　開業動機（三つまでの複数回答）
（％）
60
50
50.6
46.5
49.6
47.6 45.0
40.8
47.4 49.8 46.9
2016年度
37.6 37.6 38.7
40
29.8
30
33.1 32.4
2015年度
26.7
30.4 31.8
20
10
0
自由
し
た
に仕
か
っ
た事が
生か知仕
した識や事
の
かっ資格経験
たを・
増
や
収
し
入
た
か
を
っ
た
仕事事業
あっに経
た興味営とい
がう
ア
したイデ自分
かっアをの技
た事業術や
化
2014年度
仕事社
がし会の
たか役に
った立つ
- 5 -
14.0 15.0 13.3
12.9 11.7 13.0
ゆと時
りが間や
欲し気持
かっちに
た
関
年
し
係
齢
た
な
や
か
く
性
仕
っ
別
た事
がに
8.9 6.5 6.5
生
趣
か
味
し
や
た
特
か
技
っ
たを
6.0 5.6 7.1
適
当
な
な
か
勤
っ
ため
先
が
8.1 7.5 9.1
そ
の
他
～事業の決定理由で最も多いのは「これまでの仕事の経験や技能を生かせるから」～
○　現在の事業に決めた理由は、「これまでの仕事の経験や技能を生かせるから」（47.2％）、「身につけた資格や知識を生かせる
から」（21.0％）、「地域や社会が必要とする事業だから」（14.4％）の順に多い（図－８）。
○ 開業時の年齢別にみると、「これまでの仕事の経験や技能を生かせるから」は、すべての年齢層で最も多い（図－９）。年齢が
高いほど、「身につけた資格や知識を生かせるから」は少なくなり、「地域や社会が必要とする事業だから」は多くなっている。
図－８　現在の事業に決めた理由
（％）
50
40
30
20
10
0
47.2
21.0
14.4
生か資格身
せるや知に
つ
から識をけ
た
これ
生か経
せる技験
やまでの
から能を仕
事の
7.2
事業必要地域
だかとすや社
らる会が
3.7
事業成長が
だか見込
らめる
60
50
40
30
20
10
0
42.9
48.6
50.2
42.1
42.2
ア
見つイデ新し
けたアや事い
からヒン業の
トを
で
経
き
験
そ
が
う
な
だ
く
か
らて
も
活
不
用
動
で
産
き
な
る
ど
か
らを
0.6
1.3
4.3 4.3 2.6 4.3 3.4
2.9 2.5 3.2 5.0 1.7
0.7 0.6 1.4 3.1 1.7
0.7 0.3 0.5 0.6 3.4
1.4 1.6 1.4 0.3 1.7
そ
他の
50
27.9 25.0
19.9
17.0
6.9
こ
生か経
れ
験
ま
せるや
で
技
の
から能
を仕
事
の
60歳以上
歳代
40歳代
25.9
20歳代 30歳代 20.7
1.4
生か趣味
せる特や
から技を
図－９　現在の事業に決めた理由（開業時の年齢別）
（％）
3.2
生
資
身に
か
格
せ
や
つけ
る
知
か
識
らをた
10.7
11.0 13.5
事業必要地域
だかとすや社
らる会が
8.6
6.0 7.5 6.8
事業成長が
だか見込
らめる
12.9
生か趣味
せる特や
から技を
- 6 -
ア
見つイデ新し
けたアや事い
からヒン業の
トを
で
経
き
験
そ
が
う
な
だ
く
か
らて
も
活
不
用
動
で
産
き
な
る
ど
か
らを
そ
他の
３企業の属性
～地域に密着して事業を展開～
○　開業業種は、「サービス業」（26.2％）、「医療、福祉」（18.0％）、「飲食店、宿泊業」（15.8％）の順に多い（図－10）。
○　フランチャイズ・チェーンに加盟している企業の割合は、7.1％である（図－11）。
○　商圏の範囲は、「事務所や店舗の近隣」が15.3％、「同じ市区町村内」が33.0％を占める（図－12）。半数近くの企業が地域に
密着して事業を展開している。
図－10　開業業種
（％）
100
0.8
1.5
図－11　フランチャイズ・チェーン加盟企業割合
0.9
1.2
0.7
1.1
（％）
その他
10
8
24.8
22.0
23.6
22.2
23.2
3.4
3.2
2.6
19.6
21.9
26.2
サービス業
4
2.9
教育、
学習支援業
18.0
医療、福祉
0
80
2.3
60
40
17.5
19.8
13.6
12.9
3.6
12.9
20
7.9
4.0
2.9
0
2.6
15.1
14.9
4.8
3.7
10.6
13.2
4.2
14.6
7.2
6.1
2.2
2.7
2.5
2.6
5.5
19.5
15.9
3.7
11.9
5.1
2.0
2.6
1.8
2.5
4.1
2.7
3.2
4.5
3.5
7.1
7.2
6.3
6.4
8.6
2011
12
13
14
15
15.8
飲食店、
宿泊業
7.1
6
5.7
5.8
12
13
7.3
7.1
7.1
14
15
16
14.0
15.7
都
近
道
隣
府
県の
日
本
国
内
2
2011
（調査年度）
図－12　商圏の範囲
不動産業
9.4
小売業
卸売業
5.6
運輸業
1.9
1.6
情報通信業
4.4
製造業
建設業
8.5
16 （調査年度）
4.5
- 7 -
（％）
40
48.3
33.0
30
20
20.9
15.3
10
0
店舗事
務
近隣のや所
市
区
町
じ同
村
内
都
道
同
府
じ
県
内
1.2
海
外
～開業時の平均従業者数は減少～
○　開業時の平均従業者数は3.4人であった（図－13）。2年連続で減少し、調査開始以来、最も少なくなっている。
○　調査時点の平均従業者数は4.6人で、開業時からの増加数は1.2人であった（図－14）。
○　開業時と調査時点の平均従業者数の内訳をみると、「常勤役員・正社員」が0.8人から1.2人、「パートタイマー・アルバイト」が
1.1人から1.7人となっており、それぞれ0.4人、0.6人増えている。
図－13　開業時の平均従業者数
（）
人
5
4
3.8
4.0
1991
92
3.6
3.7
3.9
4.0
93
94
95
96
4.2
3.8
4.1
3.9
4.2
4.2
4.3
4.3
4.3
4.4
3.9
4.1
07
08
4.4
3.8
3.9
4.0
11
12
3.7
4.0
3.6
3.4
3
2
1
0
97
98
図－14　開業時と調査時点の平均従業者数
（調査年度）
開業時
（カ月）調査時点
2014
14.8
開業時
2015
（14.7カ月）調査時点
経営者本人
家族従業員
1.0
0.4
1.0
0.4
99
2000
01
常勤役員・
正社員
1.0
02
03
04
05
06
1.0
0.3
1.5
1.6
0.4
0.8
10
2.0
0.1
0.3
＜平均3.6人＞
1.4
14
15
（調査年度）
16
（単位：人）
2.2
1.3
13
派遣社員・
契約社員
0.1
＜平均4.0人＞
パートタイマー・
アルバイト
0.1
1.0
09
0.3
＜平均5.5人＞
＜平均5.1人＞
増加数
1.4人
増加数
1.4人
開業時
1.0
0.3
0.8
1.1
＜平均3.4人＞
2016
増加数
（14.6カ月）調査時点
1.2人
＜平均4.6人＞
1.0
0.4
1.2
1.7
0.3
（注）1 （）内は調査時点における開業からの経過月数の平均である。
2 値は小数第2位を四捨五入して表記しているため、同じ値でもグラフの長さが異なったり、内訳の合計と平均および平均の差と増加数が一致しなかったりする場合がある。
- 8 -
４開業費用と資金調達
～「500万円未満」で開業する割合が増加～
○　開業費用の分布をみると、「500万円未満」の割合が35.3％と最も高く、次いで「500万～1,000万円未満」が30.9％を占める
（図－15）。「500万円未満」の割合は、2年連続で増加している。
○　開業費用の平均値は1,223万円、中央値は670万円であった。開業費用の平均値は2015年度に比べて18万円増加したが、2008年度
以降、おおむね横ばいの状態が続いている。
図－15　開業費用
（％）
100
20.8
21.5
22.9
80
60
40
20
0
28.7
26.8
27.8
25.3
27.0
24.2
27.5
22.4
25.2
20.1
19.3
21.3
28.6
28.8
23.6
21.1
20.8
21.1
25.2
24.5
25.2
17.1
19.6
19.4
18.9
18.3
23.0
21.7
19.8
23.9
21.4
30.2
28.9
29.0
27.1
28.6
15.8
15.5
14.5
14.3
13.2
15.2
13.8
13.3
21.6
21.6
17.9
19.2
19.2
21.1
20.5
21.8
20.5
29.1
28.3
28.5
26.6
31.1
31.0
31.8
31.6
30.9
35.3 500
28.1
28.0
30.3
29.8
27.5
30.8
29.2
32.2
28.8
19.6
21.5
24.3
24.3
24.4
22.6
24.9
29.6
29.8
31.8
30.1
31.7
35.4
34.3
39.8
20.3
22.1
38.1
21.0
35.4
34.7
32.5
32.8
93
94
95
96
97
98
99
2000
01
02
03
04
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
26.7
29.3
28.3
23.8
22.4
1991
92
万円以上
1,000万～
2,000万円未満
500万～
1,000万円未満
13.9
2,000
万円未満
16
（調査年度）
（万円）（平均値・中央値の推移）
2,000
1,500
1,000
1,775 1,770
1,682 1,750
1,440
970
908
1,000 1,000 1,000
1,530 1,525
919
920
1,682
1,377
900
1,618
1,537 1,582 1,538
1,352
850
895
850
900
800
1,536 1,486 1,492
1,238 1,288 1,289
780
705
800
724
660
700
07
08
09
1,162
1,269
1,195
1,287
1,205 1,223
620
620
682
690
700
720
670
10
11
12
13
14
15
16
500
0
1991
92
93
94
95
96
97
98
99
2000
01
02
03
04
- 9 -
05
06
平均値
中央値
（調査年度）
～金融機関等からの借入と自己資金が主な資金調達先～
○　開業時の資金調達額は平均で1,433万円であった（図－16）。2008年以降、おおむね横ばいで推移している。
○　資金の調達先は、「金融機関等からの借入」が平均931万円、「自己資金」が平均320万円であり、両者で全体の87.3％を
占める。最近は「自己資金」が減少傾向に、「金融機関等からの借入」は増加傾向にある。
図－16　資金調達額
（調査年度）
1991
92
93
94
95
96
97
98
99
2000
01
02
03
04
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
自己資金
360
441
426
445
453
424
412
435
445
428
440
413
405
439
448
443
422
374
398
364
356
369
327
350
311
320
配偶者・親・
兄弟・親戚
124
友人・
知人等
119
151
154
149
136
151
150
149
177
131
159
151
152
146
165
161
137
100
72
124
65
141
70
97
51
112
47
95
50
100
45
110
53
84
56
金融機関等からの借入
129
77
81
65
53
83
68
748
723
132
110
88
113
91
110
89
91
77
その他
897
881
917
972
1,062
1,067
895
748
793
798
827
840
855
833
928
866
931
865
101
67
969
1,452
111
120
1,442
73
70
67
66
1,461
1,405
1,448
1,449
69
1,413
95
1,478
32
1,337
40 1,464
25 1,365
42 1,433
86
70
60
108
1,645
78
1,704
1,628
1,750
102
95
1,729
1,645
1,631
62
46
配偶者・親・兄弟・親戚」と「友人・知人等」は借入、出資の両方を含む。
友人・知人等」には「取引先」（1992～1999年度調査）、「事業に賛同してくれた個人または会社」（1992～2016年度調査）、「自社の役員・従業員」（2004～2016年度調査）、
「関連会社」(2016年度調査)を含む。
3 「金融機関等からの借入」には、日本政策金融公庫（1991～2016年度調査）、民間金融機関（1991～2016年度調査）、地方自治体（制度融資）（1992～2016年度調査）、
公庫・地方自治体以外の公的機関（1999～2016年度調査）が含まれる。
（注） 1 「
2 「
- 10 -
1,750
1,749
1,828
91
92
1,813
1,598
1,596
82
939
954
932
882
935
（単位：万円）
平均調達額
1,832
５開業後の状況と開業にかかる課題
～予想月商を達成した企業は減少～
○　現在の月商が「100万円未満」である割合は増加している（図－17①）。予想月商達成率が「125％以上」「100～125％未満」の
割合はともに減少しており、予想以上の月商を確保できた企業は減少している（同②）。
○　現在の売上状況が「増加傾向」である割合は61.8％となった（同③）。現在の採算状況が「黒字基調」である割合は64.5％となった
（同④）。いずれも2015年度からほぼ横ばいで推移している。
図－17　売上・採算の状況
①現在の月商（１カ月あたりの売上高）
万～
万円未満
万円未満
（調査年度）
100
500
100
2014
33.7
2015
35.3
2016
49.0
47.5
39.3
②予想月商達成率
％
未満
（調査年度）
50
～
％未満
50
75
2014
9.1
19.0
2015
11.5
19.2
2016
11.6
20.4
44.0
～
％未満
75
100
18.6
19.8
20.7
～
％未満
100
125
26.2
23.6
23.4
③現在の売上状況
（単位：％）
万～ 1,000万円以上
万円未満
（調査年度）
500
1,000
増加傾向
8.7
8.6
2014
9.3
7.8
2015
61.5
31.9
6.5
9.1
7.5
2016
61.8
31.2
7.1
（単位：％）
125％以上
④現在の採算状況
（調査年度）
64.8
（単位：％）
横ばい減少傾向
黒字基調
30.0
（単位：％）
赤字基調
27.1
2014
64.9
35.1
25.9
2015
64.7
35.3
2016
64.5
35.5
23.9
予想月商達成 47.3
（注）予想月商達成率＝（調査時点の平均月商÷開業前に予想していた月商）×100
- 11 -
5.2
～「資金繰り、資金調達」や「顧客・販路の開拓」などが課題～
○　開業時に苦労したこととして、「資金繰り、資金調達」（46.0％）、「顧客・販路の開拓」（45.7％）を挙げる企業割合が高い
（図－18）。この二つは、現在苦労していることの上位2項目でもある。
○ 開業時から現在にかけての変化をみると、「資金繰り、資金調達」「財務・税務・法務に関する知識の不足」などが減少している。
一方で、「従業員の確保」「従業員教育・人材育成」など、人材に関する課題を挙げる企業が増加している。
図－18　開業時に苦労したことおよび現在苦労していること（三つまでの複数回答）
（％）
50
40
46.0
45.7
44.1
38.8
開業時に
苦労したこと
30.9
30
26.5
22.9
20
現在苦労
していること
20.7
17.1
13.6
10
0
11.9
11.6
12.9
10.6
12.3
8.0
5.6
資
金
繰
り
資金、
調達
顧
客
・
販
路
の
開
拓
財務
・
知識税務
の不・法
足務に
関す
る
従業
員の
確保
従業
員教
育、
人材
育成
仕入
先・
外注
の確先
保
3.4
経営
の
いな相談
いこがで
ときる
相手
が
- 12 -
商品
・サ
ービ
スの
企画
・開
発
業
界
に
関
す
る
知
識
の
不
足
5.1
6.3
家
事
や
育
児
、
介
護
等
と
の
両
立
5.1
7.3
3.0
商
品
・
知
サ
識
ー
の
ビ
不
足関ス
に
す
る
0.8 1.6
そ
の
他
8.7
特
に
な
い
～開業時に比べ経営者としての自信が向上～
○　「総合的な経営力」に関する自信の有無をみると、開業時に自信があった割合は50.5％、現在自信がある割合は63.7％である
（図－19）。これを項目別にみると、開業時、現在ともに、「商品・サービスの知識」「業界に関する知識」の割合が高く、
「人事・労務や人材教育の知識」「経理・税務・法律などの知識」の割合が低い。
○ 開業時から現在にかけての変化をみると、自信のある割合はすべての項目で増加している。
図－19　開業時に自信があった知識・能力および現在自信がある知識・能力
（％）
現在
開業時に
自信があった自信がある
知識・能力知識・能力
100
86.8
78.6
80
84.0
73.6
72.5 75.0
63.7
60
75.9
68.8
73.7
66.2
65.1
63.8
72.4
70.3
69.9
69.8
62.1
65.7
58.2
50.5
56.3
50.1
40.6
36.3
40
18.9
20
0
総合
的な
経営
力
商品
・サ
ービ
スの
知識
・技
術
業
界
に
関
す
る
知
識
事業
を営
むた
めの
体力
情報
を収
集・
分析
する
能力
顧客
把握の
する新しい
能力ニー
ズを
事業ア
を組イデ
み立アを
てるもと
能力に
人や
組織
を動
かす
能力
商品
・サ
ービ
スの
企画
開発
力
人
的
ネ
ッ
ト
ワ
ー
ク
（
人
脈
）
顧
客
を
開
拓
す
る
営
業
力
人
事
・
労
務
や
人
材
教
育
の
知
識
経
理
・
税
務
・
法
律
な
ど
の
知
識
（注）それぞれの項目について、「大いに自信があった／ある」「やや自信があった／ある」「あまり自信がなかった／ない」「まったく自信がなかった／ない」の4択で回答。
「大いに自信があった／ある」と「やや自信があった／ある」の回答割合の合計を図に示した。
- 13 -
６現在の満足度と今後の方針
～開業に対して満足している割合が約７割～
○　現在の総合的な満足度をみると、「かなり満足」が23.9％、「やや満足」が45.1％となっており、約７割の開業者が満足している
（図－20）。項目別にみると、「やりがい（自分の能力の発揮）」について満足している割合が他の項目よりも多い。
○ 今後の方針については、売上高を「拡大したい」が92.4％、商圏を「拡大したい」が60.8％となっている（図－21）。開業した
企業の株式公開を考えている割合、新たな企業を設立する意思のある割合（具体的計画あり）は、ともに約10％となっている。
図－20　現在の満足度
図－21　今後の方針
（単位：％）
（単位：％）
やや不満
かなり満足
やや満足
どちらとも
いえない
23.9
45.1
21.9
総合的な満足度
現状程度でよい
かなり不満
6.6
拡大したい
2.4
売上高
縮小したい
92.4
7.6 0.0
現状程度でよい
拡大したい
やりがい
（自分の能力の発揮）
働く時間の長さ
ワークライフバランス
32.7
14.3
11.1
47.2
31.1
28.2
35.1
37.7
14.5
4.8 0.7
15.1
4.4
17.5
商圏
60.8
考えている
開業した企業の
株式公開
5.5
18.2
27.6
26.9
24.2
新たな企業の
設立意思
- 14 -
10.5
0.9
88.3
ある
（具体的計画あり）（具体的計画なし）
事業からの収入 3.1
38.3
考えていない
11.7
ある
縮小したい
27.6
ない
まだわからない
39.6
22.3
Ⅲ　まとめ
多くの開業者は、実務経験を生かせる分野で開業している。開業時および開業後にさまざまな課題に直面するなかで、企
業経営に必要な能力を高め、経営者として自信をつけていく。自分の能力発揮についてやりがいを実感している開業者が
多い。
○ 開業の規模は小型化の傾向
開業時の平均従業者数は2年連続で減少し、調査開始以来、最も少なくなっている（図－13）。現在の月商が「100万円未満」で
ある割合は、前年と比べて増加している（図－17①）。開業の規模は、小型化の傾向がみられる。
○ 実務経験を生かせる分野で開業
現在の事業に関連する仕事を経験した開業者は85.3％（平均経験年数13.9年）、管理職を経験した開業者は68.7％（同10.1年）に
上る（図－5）。また、現在の事業に決めた理由として「これまでの仕事の経験や技能を生かせるから」（47.2％）、「身につけた
資格や知識を生かせるから」（21.0％）を挙げる開業者が多い（図－8）。多くの開業者は、実務経験を生かせる分野で開業している。
○ 開業時は資金繰りや販路開拓に苦労する開業者が多く、開業後は人材に関する課題を抱える開業者が増加
開業時には「資金繰り、資金調達」（46.0％）、「顧客・販路の開拓」（45.7％）に苦労する開業者が多く、これらの課題は開業
後も多くの開業者にとって課題となっている（図－18）。開業後は「従業員の確保」（開業時17.1％→現在26.5％）、「従業員教育、
人材育成」（同13.6％→20.7％）など、人材面の課題に苦労する開業者が増えている。
○ 開業時および開業後の経験を通じて企業経営に必要な能力を高め、経営者として自信をつける
企業経営に必要な知識・能力について、経営者として「現在自信がある」と回答した割合は、すべての項目で開業前を上回って
いる（図－19）。総合的な経営力に関しても、「開業時に自信があった」（50.5％）より「現在自信がある」（63.7％）のほうが高い。
開業者は、開業時および開業後にさまざまな課題に直面するなかで、企業経営に必要な能力を高め、経営者として自信をつけていく。
○ 自分の能力発揮について、やりがいを実感
現在、「やりがい（自分の能力の発揮）」について、「かなり満足」（32.7％）または「満足」（47.2％）している開業者が多い
（図－20）。多くの開業者が、自分の能力発揮について、やりがいを実感している。
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