2016 年 1 月 19 日 日本政策金融公庫 総 合 研 究 所 「2015年度新規開業実態調査」 ~アンケート結果の概要~ Ⅰ Ⅱ 1 2 3 4 5 Ⅲ 調査の目的と実施要領 ---------------------------調査結果 開業者の属性とキャリア -----------------------開業の動機 -----------------------------------企業の属性 -----------------------------------開業費用と資金調達 ---------------------------開業後の状況と開業にかかる課題 ---------------まとめ ------------------------------------------ <問い合わせ先> 日本政策金融公庫 総合研究所 小企業研究第一グループ TEL 03-3270-1687 担当 楠本、井上 1 2 5 6 8 11 15 Ⅰ 調査の目的と実施要領 1 調査目的 日本政策金融公庫総合研究所では、新規開業企業の実態を把握するため、1991年度から毎年「新規開業実態調査」を実施しており、 開業時の年齢や開業費用など時系列で比較可能なデータを中心に蓄積してきた。 そこで、今年度実施した「2015年度新規開業実態調査」の結果の概要とともに、過去のデータも用いながら、新規開業企業の実態が どのように変化してきたのか、その特徴を分析した。 2 実施要領 (1)調査時点 2015年8月 (2)調査対象 日本政策金融公庫国民生活事業が2014年4月から同年9月にかけて融資した企業のうち、融資時点で開業後1年 以内の企業7,917社 (3)調査方法 調査票の送付・回収ともに郵送、アンケートは無記名 (4)回 収 数 1,869社(回収率23.6%) (5)経営形態 個人企業60.2% 法人企業39.8%(開業時) 3 アンケート回答企業の概要 開業からの経過月数(調査時点) 開業時の従業者数 (単位:%) (単位:%) 25カ月 以上 0~6カ月 10人以上 19~24カ月 4.9 1人 2.1 6.8 12.4 5~9人 17.5 7~12カ月 31.2 35.9 平均14.7カ月 (n = 1,869) 平均3.6人 (n = 1,830) 7.9 4人 12.1 49.4 13~18カ月 19.7 3人 2人 資料:日本政策金融公庫総合研究所「新規開業実態調査」(以下同じ) (注) 1 構成比は小数第2位を四捨五入して表記しているため、その合計が100%にならない場合がある(以下同じ)。 2 以下、調査年度を示していない図は2015年度調査に基づく。 - 1 - Ⅱ 調査結果 1 開業者の属性とキャリア ~開業時の平均年齢は3期連続で上昇~ ○ 開業時の年齢は「30歳代」が35.8%と最も多く、次いで「40歳代」が34.2%となっている(図-1)。開業の主要な担い手となっ ているのは、「30歳代」「40歳代」である。 ○ 開業時の平均年齢は42.4歳となった。2013年以降平均年齢は3期連続で上昇している。 図-1 開業時の年齢 (%) 100 2.2 1.7 1.4 2.1 2.3 1.7 9.3 9.0 11.8 11.1 11.5 12.3 2.6 2.9 12.8 14.6 2.6 18.8 2.7 3.9 21.1 21.5 3.8 19.1 4.2 5.8 6.4 23.2 24.1 5.3 4.3 20.5 21.1 4.8 6.5 7.7 19.4 18.9 18.4 23.1 60歳以上 6.6 5.6 6.5 5.9 7.1 17.7 16.9 15.5 17.4 15.4 50歳代 28.3 29.8 30.5 34.2 40歳代 80 34.1 36.7 34.3 34.3 36.0 34.9 32.6 31.7 30.4 28.3 31.9 60 24.3 26.4 28.4 28.4 26.5 29.2 29.2 27.3 27.7 29.1 31.9 34.2 9.9 8.3 05 06 43.0 42.9 40 39.8 38.5 37.8 39.0 37.0 36.9 37.9 35.6 35.4 36.1 32.2 39.5 36.5 34.4 38.9 33.4 39.4 38.5 35.6 39.2 40.2 30歳代 38.6 35.8 20 14.5 14.1 14.7 13.4 13.2 13.0 15.0 15.2 12.1 12.1 13.4 11.0 11.8 10.3 11.3 9.5 9.1 8.7 8.2 9.8 8.1 7.6 07 08 09 10 11 12 13 14 41.4 41.5 07 08 0 1991 92 93 94 95 96 97 98 99 2000 01 02 03 04 (歳) (平均年齢の推移) 44 42.6 29歳以下 7.4 15 (調査年度) 42.6 42.4 43 42.1 42.1 42.0 41.8 41.7 41.6 41.4 41.4 42 40.9 40.9 40.2 41 40 38.9 38.9 1991 92 39.2 39.2 93 94 39.7 39.6 39.6 95 96 97 39 38 37 0 98 99 2000 01 02 03 04 - 2 - 05 06 09 10 11 12 13 14 15 (調査年度) ~最終学歴は高学歴化傾向が続く~ ○ 開業者に占める女性の割合は、17.0%となった(図-2)。2000年代に入ってから女性の割合は徐々に高まっている。 ○ 最終学歴は、「高校」の割合が28.7%と、前回調査同様30%を下回った(図-3)。代わって、「大学・大学院」「専修・各種 学校」の占める割合が高く、高学歴化の傾向は続いている。 図-2 性 別 (%) 100 12.4 12.9 12.9 14.7 13.3 13.2 14.9 13.6 12.5 14.4 15.3 14.0 13.8 16.1 16.5 16.5 15.5 15.5 14.5 15.5 15.0 15.7 15.1 16.0 17.0 女性 87.1 87.1 85.3 86.7 86.8 85.1 86.4 87.5 85.6 84.7 86.0 86.2 83.9 83.5 83.5 84.5 84.5 85.5 84.5 85.0 84.3 84.9 84.0 83.0 男性 94 95 96 97 98 99 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 (調査年度) 1.2 1.3 0.9 0.3 0.5 0.2 0.6 0.2 0.1 0.2 0.4 0.1 0.1 0.1 その他 35.2 34.4 34.3 34.6 35.5 36.4 34.0 34.2 35.9 37.9 36.2 37.8 37.8 36.7 大学・ 大学院 5.2 4.6 4.6 5.4 4.8 4.6 5.8 短大・高専 23.9 26.6 24.8 専修・ 各種学校 30.4 27.7 28.7 高校 4.0 80 60 87.6 40 20 0 1991 92 93 図-3 最終学歴 (%) 0.0 100 0.6 0.6 0.3 0.7 0.3 0.7 30.6 29.6 29.5 30.8 29.7 29.1 30.5 1.0 0.6 33.8 32.9 80 4.3 3.8 3.9 7.4 7.1 4.1 7.5 12.9 13.2 15.5 18.4 3.8 4.2 3.8 5.5 15.1 16.4 17.6 7.2 60 7.6 16.5 17.2 18.0 14.9 4.5 4.3 5.3 15.3 17.4 15.1 17.5 21.5 20.1 21.3 19.1 24.3 40 40.7 40.8 39.4 40.9 41.5 42.2 39.5 40.0 38.0 36.5 37.9 37.0 35.9 36.4 35.0 34.5 33.2 35.0 20 32.0 31.3 7.4 8.0 8.6 7.6 7.5 5.7 6.9 6.2 6.4 5.0 7.1 6.2 6.6 5.6 6.0 3.6 5.8 5.0 5.5 3.5 3.0 3.2 1992 93 94 95 96 97 98 99 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 12 13 14 0 (注) 1 1991年度の調査の選択肢には「短大」が含まれていないため、結果を掲載していない。また、2011年度調査では最終学歴を尋ねていない。 2 1992年度の調査の選択肢には「その他」がない。また、1999~2002年度調査の「その他」には「海外の学校」が含まれる。 - 3 - 中学 15 (調査年度) ~実務経験を有する分野で開業~ ○ 開業直前の職業は、「正社員(管理職)」の割合が40.7%と最も高く、次いで「正社員(管理職以外)」が29.4%となっている (図-4)。「正社員(管理職)」の割合はやや低下したものの、占める割合は大きい。 ○ 勤務キャリアは、「勤務経験」がある割合は99.0%、「斯業経験」がある割合は85.0%と、多くはビジネス経験をもって開業し ている(図-5)。また、「管理職経験」がある割合も71.4%となっている。 図-4 開業直前の職業 (%) 100 9.1 1.5 9.5 2.9 5.8 3.3 5.9 3.0 9.4 2.6 13.2 5.5 3.6 6.2 3.2 4.8 5.3 6.7 4.2 5.5 6.9 7.2 4.9 8.0 10.2 7.4 5.6 7.0 7.0 6.9 7.1 8.7 7.8 8.0 8.5 9.8 9.5 8.0 7.6 33.9 32.9 32.6 33.6 33.5 39.8 38.2 36.1 37.2 38.4 37.4 12.0 12.2 12.4 13.1 13.1 13.7 10.9 03 04 05 06 07 08 3.2 7.7 7.1 6.4 9.1 8.8 9.2 8.7 9.4 31.3 31.0 38.0 41.2 13.0 その他 非正社員 8.0 10.6 80 39.5 39.5 36.7 41.9 36.2 42.2 47.1 38.5 40.9 28.8 29.2 正社員 29.4(管理職以外) 44.7 44.9 40.7 10.7 10.7 10.2 11.3 12 13 14 15 26.3 36.5 40.1 30.4 34.7 36.4 60 40 正社員 (管理職) 45.2 35.0 36.3 36.5 37.6 35.2 35.2 36.8 42.1 36.6 34.6 37.1 36.1 12.2 12.2 14.6 11.3 97 98 99 2000 31.5 20 14.8 14.5 14.8 13.9 12.0 14.2 95 96 14.5 13.3 13.0 0 1991 92 93 94 01 02 09 10 11 会社や団体の 常勤役員 (調査年度) (注)1 「非正社員」は「パートタイマー・アルバイト」と「派遣社員・契約社員」の合計である。ただし、1991~1994年度および2004年度調査では選択肢のなかに「派遣社員・契約社員」が ない。また、1995~1999年度調査の選択肢は「派遣社員・契約社員」ではなく「派遣社員」である。 2「その他」には「専業主婦・主夫」「学生」が含まれる。 図-5 勤務キャリア (単位:年) 【経験割合】 99.0 (%) 100 80 60 40 20 0 勤務経験あり 【経験年数】 85.0 71.4 勤務経験 斯業経験 管理職経験 経営経験 平均値 19.5 14.2 9.8 10.0 中央値 19.0 13.0 8.0 7.0 14.2 斯業経験あり 管理職経験あり 経営経験あり (注)1 「斯業経験」は現在の事業に関連する仕事をした経験、「経営経験」は現在の事業を始める前に事業を経営した経験(すでにその事業をやめている場合を含む)。 2 経験年数の平均値・中央値は、経験がある人だけを集計。 - 4 - 2 開業の動機 ~最も多い開業動機は「収入を増やしたかった」~ ○ 開業直前の勤務先を離職した理由は、「自らの意思による退職」が82.7%となっている(図-6)。「勤務先の倒産・廃業」「事 業部門の縮小・撤退」「解雇」を合わせた「勤務先都合」による離職は減少しており、9.1%となった。 ○ 開業動機は、「収入を増やしたかった」(49.8%)、「自由に仕事がしたかった」(46.5%)、「仕事の経験・知識や資格を生か したかった」(45.0%)の順に多い(図-7)。 図-6 開業直前の勤務先からの離職理由 勤務先の 倒産・廃業 事業部門の 縮小・撤退 解雇 自らの意思による退職 (単位:%) その他 (調査年度) 2013 79.8 6.9 4.3 1.9 7.1 2014 82.3 4.4 4.0 1.7 7.6 2015 82.7 4.4 3.2 1.5 8.2 勤務先都合 9.1 (注) 「その他」は「定年退職」「退職していない」を含む。「勤務先都合」とは「勤務先の倒産・廃業」「事業部門の縮小・撤退」「解雇」の合計である。 図-7 開業動機(三つまでの複数回答) (%) 60 53.9 49.8 49.6 46.9 47.3 2015年度 49.5 2014年度 2013年度 46.5 45.0 50 40.8 37.6 38.7 40 32.9 33.1 32.4 32.5 30.4 31.8 26.6 30 15.0 13.3 15.7 20 14.6 11.7 13.0 6.5 6.5 7.1 5.6 7.1 7.8 7.5 9.1 10 1.2 その他 適当な勤め先が なかった 趣味や特技を 生かしたかった 年齢や性別に 関係なく仕事が したかった - 5 - 時間や気持ちに ゆとりが欲しかった 社会の役に立つ 仕事がしたかった 自分の技術や アイデアを事業化 したかった 事業経営という 仕事に興味が あった 仕事の経験・ 知識や資格を 生かしたかった 自由に仕事が したかった 収入を 増やしたかった 0 3 企業の属性 ~地域に密着して事業を展開~ ○ 開業業種は、「サービス業」(23.2%)、「医療、福祉」(19.5%)、「飲食店、宿泊業」(15.9%)の順に多い(図-8)。 ○ フランチャイズ・チェーンに加盟している企業の割合は、7.1%となった(図-9)。 ○ 商圏の範囲は、「事務所や店舗の近隣」が15.8%、「同じ市区町村内」が36.3%となっており、地域に密着して事業を展開して いる企業が過半数を占める(図-10)。 図-8 開業業種 (%) 100 1.2 0.8 図-9 フランチャイズ・チェーン加盟企業割合 1.5 0.9 1.2 0.8 (%) 10 その他 7.1 7.3 7.1 15 (調査年度) 8 6.1 23.2 24.8 22.0 23.6 22.2 23.2 サービス業 5.7 5.8 12 13 14 13.1 13.9 6 80 4 2.6 2.1 3.2 2.6 3.4 2.3 教育、 学習支援業 2 15.7 17.5 19.8 19.5 19.6 21.9 0 医療、福祉 2010 60 11 12.8 図-10 商圏の範囲 13.6 12.9 15.9 15.1 14.9 4.1 40 3.6 飲食店、 宿泊業 (%) 40 不動産業 30 36.3 4.2 3.7 4.8 3.7 14.0 12.9 19.7 14.6 11.9 小売業 10.6 20 13.2 15.8 8.4 7.9 20 5.1 7.2 6.1 11 12 13 14 8.6 建設業 2010 15 (調査年度) - 6 - 1.2 0 海外 6.4 0 10 日本国内 6.3 2.6 4.1 卸売業 運輸業 情報通信業 製造業 近隣の 都道府県 7.2 8.8 2.0 同じ 都道府県内 7.1 4.0 2.9 2.7 同じ 市区町村内 2.2 2.7 3.2 2.5 2.6 4.5 5.5 1.8 2.5 3.5 事務所や 店舗の近隣 2.5 2.4 4.7 ~常勤役員・正社員、パートタイマー・アルバイトを中心に従業員は1.4人増加~ ○ 開業時の平均従業者数は3.6人、調査時点の平均従業者数は5.1人で、その増加数は1.4人であった(図-11)。内訳をみると、 「常勤役員・正社員」が0.8人から1.3人、「パートタイマー・アルバイト」が1.4人から2.0人となっており、それぞれ0.5人、 0.6人増えている。 図-11 従業者数 (単位:人) 経営者本人 家族従業員 常勤役員・ 正社員 開業時 2010 (14.8カ月) 調査時点 1.0 0.4 1.1 1.0 0.5 開業時 2011 (14.4カ月) 調査時点 1.0 0.4 1.0 0.4 開業時 2012 (14.8カ月) 調査時点 1.0 0.4 1.0 0.4 開業時 2013 (14.5カ月) 調査時点 1.0 0.4 開業時 2014 (14.8カ月) 調査時点 1.0 開業時 1.0 調査時点 1.0 (調査年度) 派遣社員・ 契約社員 パートタイマー・ アルバイト 1.6 <平均4.4人> 0.3 1.6 2.1 0.9 1.4 1.4 1.0 <平均4.0人> 増加数 1.3人 2.1 1.2 <平均5.1人> 0.4 0.2 1.5 増加数 1.3人 増加数 1.2人 1.9 1.0 <平均5.6人> <平均3.9人> 0.2 1.4 0.5 0.2 <平均5.3人> <平均3.7人> 0.1 増加数 1.3人 1.0 0.4 1.4 1.8 0.4 <平均5.0人> 0.1 0.4 1.0 <平均4.0人> 1.5 増加数 1.4人 1.0 0.4 1.6 2.2 0.3 <平均5.5人> 0.1 2015 (14.7カ月) 0.3 0.4 0.8 <平均3.6人> 1.4 1.3 2.0 0.3 <平均5.1人> (注)1 ( )内は調査時点における開業からの経過月数の平均である。 2 値は小数第2位を四捨五入して表記しているため、同じ値でもグラフの長さが異なったり、内訳の合計と平均および平均の差と増加数が一致しなかったりする場合がある。 - 7 - 増加数 1.4人 4 開業費用と資金調達 ~開業費用はおおむね横ばいで推移~ ○ 開業費用の分布をみると、「500万円未満」の割合が32.8%と最も高く、次いで「500万~1,000万円未満」が31.6%となっている (図-12)。1,000万円未満での開業が64.4%を占めている。 ○ 開業費用の平均値は1,205万円、中央値は720万円であった。開業費用の平均値は2014年度に比べて82万円減少したが、2008年度 以降、おおむね横ばいの状態が続いている。 図-12 開業費用 (%) 100 20.8 21.5 22.9 25.3 24.2 22.4 17.1 20.1 19.3 21.3 28.6 28.8 23.6 21.1 20.8 21.1 25.2 24.5 25.2 13.9 19.6 19.4 18.9 21.7 19.8 23.9 18.3 15.8 15.5 14.5 14.3 13.2 17.9 19.2 19.2 21.1 28.5 26.6 31.1 31.0 15.2 13.8 2,000万円以上 20.5 21.8 1,000万~ 2,000万円未満 31.8 31.6 500万~ 1,000万円未満 32.8 500万円未満 80 21.6 21.6 23.0 28.7 26.8 25.2 27.8 27.0 60 27.5 40 26.7 29.3 28.3 21.4 28.1 28.0 27.5 30.8 29.2 32.2 28.8 24.3 24.3 24.4 22.6 24.9 21.5 97 98 99 2000 01 02 30.3 29.8 22.1 96 29.0 29.1 28.3 35.4 34.3 08 09 28.6 30.2 28.9 29.6 29.8 31.8 30.1 31.7 03 04 05 06 07 27.1 20 23.8 22.4 21.0 19.6 20.3 92 93 94 95 38.1 39.8 35.4 34.7 32.5 12 13 14 0 1991 10 11 15(調査年度) (万円)(平均値・中央値の推移) 2,000 1,750 1,775 1,770 1,682 1,682 1,618 1,537 1,582 1,538 1,530 1,525 1,536 1,486 1,492 1,440 1,377 1,352 1,500 1,238 1,288 1,289 1,287 1,269 1,205 1,195 1,162 平均値 1,000 1,000 1,000 970 919 908 920 900 900 895 850 850 1,000 800 800 780 724 705 700 682 660 620 690 700 720 620 中央値 500 0 1991 92 93 94 95 96 97 98 99 2000 01 02 03 04 - 8 - 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 (調査年度) ~金融機関等からの借入と自己資金が主な資金調達先~ ○ 開業時の資金調達額は平均で1,365万円となった(図-13)。2014年度より99万円減少し、1991年の調査開始以来最低水準であっ た2013年度に続く低い水準となった。資金の調達先に関しては、「金融機関等からの借入」が平均866万円(平均調達額に占める割 合は63.4%)、「自己資金」が平均311万円(同22.8%)となっており、両者で全体の86.2%を占める。 図-13 資金調達額 (調査年度) 1991 92 93 94 95 96 97 98 99 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 自己資金 360 441 426 445 453 424 412 435 445 428 440 413 405 439 448 443 422 374 398 364 356 369 327 350 311 配偶者・親・ 友人・ 兄弟・親戚 知人等 124 119 151 129 154 77 149 81 136 65 151 53 150 83 149 68 177 132 131 110 159 88 151 113 152 91 146 110 165 89 161 91 137 77 100 72 124 65 141 70 97 51 112 47 95 50 100 45 110 53 平均調達額 金融機関等からの借入 748 その他 101 (単位:万円) 1,452 917 972 1,062 1,067 111 120 897 881 73 70 723 67 1,750 1,749 1,828 91 92 1,813 1,598 1,596 1,442 969 895 82 939 865 108 1,645 78 1,704 1,832 86 1,628 748 67 1,461 1,750 954 932 882 935 70 60 102 95 1,645 1,729 1,631 793 66 1,405 62 1,448 46 1,449 1,413 69 95 1,478 1,337 1,464 40 798 827 840 855 833 928 866 32 25 1,365 (注) 1 「配偶者・親・兄弟・親戚」と「友人・知人等」は借入、出資の両方を含む。 2 「友人・知人等」には「取引先」(1992~1999年度調査)、「事業に賛同してくれた個人または会社」(1992~2015年度調査)、「自社の役員・従業員」(2004~2015年度調査)を含む。 3 「金融機関等からの借入」には、日本政策金融公庫(1991~2015年度調査)、民間金融機関(1991~2015年度調査)、地方自治体(制度融資)(1992~2015年度調査)、公庫・地方 自治体以外の公的、政府系金融機関(1999~2015年度調査)が含まれる。 - 9 - ~開業費用の節約に9割の企業が取り組む~ ○ 開業費用を節約するために行ったことを尋ねると、2014年度同様、開業者の約半数(49.5%)が「中古の設備や備品を購入した」 と回答している(図-14)。このほかにも、「取引先と交渉して有利な取引条件にした」(28.2%)、「レンタルやリースの設備や 備品を利用した」(24.6%)などに取り組む開業者が多い。 図-14 開業費用を節約するために行ったこと(複数回答) (%) 60 51.3 49.5 50 40 2014年度 2015年度 28.2 27.8 30 26.1 24.6 22.7 20.2 20.5 19.8 19.5 18.9 17.9 20 16.3 10.6 9.9 7.2 10 6.2 5.6 4.9 3.4 2.2 1.4 1.3 開業費用を節約するために 行ったことはない その他 インキュベーション施設に 入居した 外注やアウトソーシングを 利用した - 10 - 知人の店舗、事務所などの 一部を間借りした 扱う商品やサービスを 絞り込んだ 従業員を雇用せず 家族に働いてもらった 自宅の一部を 店舗、事務所などにした 店舗、事務所などの 内装工事を自分で行った レンタルやリースの 設備や備品を利用した 取引先と交渉して 有利な取引条件にした 中古の設備や備品を 購入した 0 5 開業後の状況と開業にかかる課題 ~予想月商を達成した企業は減少 ~ ○ 現在の業況を尋ねたところ、平均月商は359.3万円であった(図-15の①)。2014年度から売り上げはほぼ横ばいで推移した。 予想月商達成率が「125%以上」「100~125%未満」の割合はそれぞれ27.1%から25.9%、26.2%から23.6%と減少しており、予 想以上の月商を上げている企業は減少している(同②)。 ○ 現在の売上状況が「増加傾向」である割合は61.5%と、前年に比べ3.3%減少した(同③)。しかし、採算状況が「黒字基調」 である割合は64.7%と2014年度とほぼ同水準となった(同④)。 図-15 業 況 ①現在の月商(1カ月あたりの売上高) 100万~ 500万円未満 100万円未満 ③現在の売上状況 (単位:%) (調査年度) 2013 33.5 48.7 2014 33.7 49.0 2015 35.3 47.5 500万~ 1,000万円以上 1,000万円未満 (調査年度) 平均 2013 8.7 9.1 369.6万円 8.7 8.6 平均 366.9万円 2014 9.3 7.8 平均 359.3万円 2015 ②予想月商達成率 増加傾向 59.2 64.8 61.5 2013 10.3 2014 9.1 2015 11.5 34.0 6.8 30.0 5.2 31.9 6.5 ④現在の採算状況 (単位:%) 50% (調査年度) 未満 (単位:%) 減少傾向 横ばい 50~ 75%未満 75~ 100%未満 100~ 125%未満 (単位:%) 125%以上 黒字基調 赤字基調 2013 65.6 34.4 27.1 2014 64.9 35.1 25.9 2015 64.7 35.3 (調査年度) 21.0 19.0 19.2 20.2 18.6 19.8 23.8 26.2 23.6 24.6 予想月商達成 49.5 (注)予想月商達成率=(調査時点の平均月商÷開業前に予想していた月商)×100 - 11 - ~多くの開業者が知識・能力に不足を感じながらもその割合は徐々に低下~ ○ 何らかの知識・能力に不足を感じている開業者は、起業家を志したときで95.7%、開業時点で95.1%に及ぶ(図-16)。多くの開 業者は知識・能力に不足を感じながらも開業に踏み切っている。 ○ 起業家を志したときに不足していると感じていた能力として「経理・税務・法律などの知識」(76.3%)、「顧客を開拓する営業 力」 (48.5%)、「人事・労務や人材教育の知識」(46.7%)などを挙げる開業者が多いが「事業を営むための体力」を除き、時間 とともにその割合は低下している。 図-16 不足していると感じていた・感じている知識・能力(複数回答) (%) 100 90 76.3 80 69.8 70 開業時点 現在 60 54.6 起業家を志したとき 48.5 46.7 45.3 50 44.8 42.8 40.3 39.8 40 35.0 38.2 38.4 32.7 36.6 33.4 30.1 25.0 30 32.831.8 32.3 29.3 25.7 20.3 21.8 20.7 13.4 17.0 20 14.0 14.9 14.4 11.6 11.9 8.4 10 不足していると感じていた・ 感じているものはない 事業を営むための体力 商品・サービスの 企画・開発力 商品・サービスの 知識・技術 ) - 12 - 組織マネジメントに 関する知識 業務効率化のための IT知識 業界に関する知識 インターネット等を 通じた情報発信力 人的ネットワーク 人(脈 人事・労務や 人材教育の知識 顧客を開拓する営業力 経理・税務・法律 などの知識 0 4.3 4.9 じていた・ ~先輩経営者や同じステージの起業家との交流を通じて不足している知識・能力を向上・補完~ ○ 多くの開業者が、不足している知識・能力を向上・補完するために何らかの取り組みを行っている(図-17)。 ○ 開業前後を通じて、「先輩経営者との交流」(開業前51.1%、開業後57.5%)に取り組む割合が最も高い。 ○ 開業後には「同じステージの起業家との交流」(開業前31.1%→開業後41.7%)に取り組む割合が最も増加している。 図-17 知識・能力を向上・補完するための取り組み(複数回答) (%) 100 90 80 70 起業家を志したときから開業時点 57.5 60 開業時点から現在 53.0 51.1 48.5 50 41.7 37.7 37.9 37.0 40 34.1 35.5 33.5 30.5 31.1 30 19.0 20 14.0 8.3 7.9 7.9 7.6 6.2 10 3.4 2.4 1.2 1.7 0.5 取り組んでいない その他の取り組み 大学・大学院への通学 通信教育の受講 - 13 - 1.6 異なる業界での勤務 (注) 1 図-16の「不足していると感じていた・感じている知識・能力」がある企業に対して尋ねたもの。 2 起業家を志したときから開業時点までは平均6.9年、開業時点から現在までは平均14.7カ月。 専修・各種学校 への通学 同じステージの 起業家との交流 専門書などの書籍を 通じた知識習得 現在の事業を通じた 知識・技術の習得 同じ業界での勤務 セミナー等への参加 インターネットによる 情報収集 先輩経営者との交流 0 ~「資金繰り、資金調達」や「顧客・販路の開拓」などが課題~ ○ 開業時に苦労したことは、「資金繰り、資金調達」(47.1%)、「顧客・販路の開拓」(43.3%)、「財務・税務・法務に関す る知識の不足」(26.9%)の割合が高かった(図-18)。現在苦労していることも「顧客・販路の開拓」(40.8%)、「資金繰り、 資金調達」(36.3%)が引き続き課題となっている。また、開業後に増加する課題として「従業員の確保」(28.5%)、「従業員 教育、人材育成」(23.4%)が挙げられる。 図-18 開業時に苦労したことおよび現在苦労していること(三つまでの複数回答) (%) 50 47.1 43.3 現在苦労 していること 40.8 40 開業時に 苦労したこと 36.3 28.5 30 26.9 23.4 20.7 18.6 20 14.9 11.4 11.3 10.1 9.7 10.0 9.4 7.9 10 6.3 6.0 5.1 6.0 4.5 3.6 2.6 1.5 1.6 とくにない その他 家事や育児、介護等との両立 商品・サービスに関する 知識の不足 業界に関する知識の不足 - 14 - 商品・サービスの企画・開発 経営の相談ができる相手が いないこと 仕入先・外注先の確保 従業員教育、人材育成 従業員の確保 財務・税務・法務に関する 知識の不足 顧客・販路の開拓 資金繰り、資金調達 0 Ⅲ まとめ 多くの開業者は、さまざまな知識・能力が不足していると感じながらも、実務経験を有する分野で開業に踏み切っている。 不足している知識・能力の向上・補完のための取り組みとしては、開業前後を通して「先輩経営者との交流」の割合が最も高く、開 業後には「同じステージの起業家」との交流の割合が最も増加している。 ○ 実務経験を有する分野で開業 開業時の平均年齢は42.4歳となっており、現在の事業に関連する仕事を経験した開業者は85.0%(平均14.2年)に上る。管理職と して働いた経験のある開業者も71.4%(平均9.8年)と多く、実務経験を有する分野で開業している。 ○ 地域に密着して事業を展開 商圏の範囲は「事務所や店舗の近隣」が15.8%、同じ市区町村内が36.3%と所在地の近隣が約半数を占めており、地域に密着した 事業を行っている開業者が多い。 ○ 知識・能力の不足を感じる開業者は多いが、その割合は徐々に低下 何らかの知識・能力に不足を感じていた開業者は、起業家を志したときで95.7%、開業時点で95.1%と多い。起業家を志したとき は「経理・税務・法律などの知識」(76.3%)「顧客を開拓する営業力」(48.5%)などを挙げる開業者が多いが、「事業を営むた めの体力」を除き、時間とともにその割合は低下している。 ○ 先輩経営者や同じステージの起業家との交流を通じて不足している知識・能力の不足を向上・補完 多くの開業者が、不足している知識・能力を向上・補完するために何らかの取り組みを行っている。開業前後を通じて「先輩経営 者との交流」(開業前51.1%、開業後57.5%)に取り組む割合が最も高く、開業後には「同じステージの起業家との交流」(開業前 31.1%→開業後41.7%)に取り組む割合が最も増加している。 ○ 資金繰り、資金調達に苦労する開業者が多く、開業後は人材に関しての課題を抱える開業者が増加 開業時には「資金繰り、資金調達」(47.1%)、「顧客・販路の開拓」(43.3%)に苦労する開業者が多く、これらの課題は開 業後も多くの開業者にとって課題となっている。また、開業後は「従業員の確保」(28.5%)「従業員教育、人材育成」(23.4%) といった人材に関する課題に苦労している開業者が増えている。 - 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