第 2 章

第2章
第 2 章 尾道市の概要と水道事業の沿革
2.1. 尾道市の概要
2.2. 水道事業の概要
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第2章
2.1. 尾道市の概要
1)歴史・位置・面積等
(1)歴史
自然の良港を持つ尾道は、平安時代の嘉応元年(1169 年)
、備後大田荘(後、高野
山領)公認の船津倉敷地、荘園米の積み出し港となって以来、対明貿易船や北前船、内
海航行船の寄港地として、中世・近世を通じて繁栄をとげました。港町・商都としての
発展は各時代に豪商を生み、多くの神社仏閣の寄進造営が行われました。
海を望む階段や坂道、路地越しに見える尾道水道、点在する寺院など、歴史を凝縮し
た景観に魅かれ、この地で「暗夜行路」の草稿を書いた志賀直哉、尾道の女学校に通っ
た「放浪記」作者の林芙美子、この地をこよなく愛し描き続けた小林和作をはじめ、多
くの文人墨客が足跡を刻みました。また、近年では数々の映像作品の舞台となり映画の
まちとしても有名です。
明治 31 年(1898 年)
、県内では広島市に次いで 2 番目に市制を施行し、周辺市町
村との合併(※)を経ながら市域を拡大して、緑豊かな北部丘陵地域から尾道水道周辺
地域を経て独特の多島美を有する瀬戸内海地域に至る、多彩な資源を有するまちになり
ました。
歴史と文化に溢れる島々を結び、全長約 70km の海の道をサイクリングで満喫でき
るしまなみ海道をはじめとする新たな魅力と歴史・伝統に育まれた資源を活かし、他に
はない魅力的な価値を持つまちづくりを推進しています。
瀬戸内のほぼ中央に位置し、山陽自動車道、瀬戸内しまなみ海道に加え、平成 27 年
(2015 年)3 月に全線開通した中国やまなみ街道(中国横断自動車道尾道松江線)
により、広域拠点としての機能は高まり、まさに「瀬戸内の十字路」としての発展が大
いに期待される都市です。
また、地域の歴史的魅力や特色を通じて日本の文化・伝統を語るストーリーとして、
『尾道水道が紡いだ中世からの箱庭的都市』、
『芸予諸島を中心に活躍した村上海賊の歴
史遺産群のストーリー』が日本遺産に認定されています。
※平成 17 年(2005 年)3 月 28 日 御調郡御調町・向島町と合併
平成 18 年(2006 年)1 月 10 日 因島市・豊田郡瀬戸田町と合併
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第2章
(2)位置
瀬戸内のほぼ中央、広島県の東南部に位置します。
(3)面積
285.09km2
(4)地勢と気候
大半が山地で、島しょ部は概して急峻で平地に乏しく、平地は尾道水道・御調川沿い・
島しょ部の海岸沿いに形成されています。
また、国立公園である瀬戸内海は独特の多島美を有しており、海・島と山地、丘陵が
織りなす多様で豊かな自然は新市の特徴となっています。
気候は温暖で降雨量が比較的少ない瀬戸内型に属しますが、内陸部は温度較差がやや
大きい山間部の特性を示しています。
出典:尾道市ホームページ
図 2.1 尾道市の位置
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第2章
2.2. 水道事業の概要
1)水道事業の沿革
本市の水道事業は、大正 14 年 4 月、久山田町に完成した貯水池を水源として給水
人口 37,000 人、一日最大給水量 4,500 ㎥の計画規模で給水を開始しました。本市水
道事業の沿革、給水開始から 90 余年の経過年表は図 2.2 のとおりです。
水資源に恵まれていない本市は、創設以後の近隣町村の合併や市勢の発展による水需
要の急速な増加に対処するため、水源の確保や水道施設の拡充等、13 次にわたる拡張
事業を行い水不足の解消や施設整備に努めてきました。この間、平成元年の広島県の沼
田川水道用水供給事業一元化などにより、自己水源中心の事業経営から受水中心の事業
経営へ転換し、より安定的で健全な事業経営を目指しています。
計
画
給
計
水
画
人
給
口
水
人
口
千
人
千
人
140
第10次拡張 第12次拡張
120
第8次拡張
80
第11次拡張 第13次拡張
第4次拡張
60
第9次拡張
40
20
計画給水人口
計画一日最大給水量
創設
0T11.12.26 S7.12.25
T11 S 8
S17.12.26
S18
S27.12.25
S28
S37.12.26
S38
S47.12.25
S48
S57.12.26
S58
図 2.2 尾道市水道事業の沿革
8
第13次拡張
第1回変更
100
( ) )
)
千
m3
/
日
160
(
計画一日最大給水量 千(
3/ )
( m日
計
画
一
日
最
大
給
水
量
H4.12.25
H4
H14.12.26
H14
H24.12.25
H27
第2章
表 2.1 尾道市水道事業の沿革
認可
目標
給水人口
計画一日最大給水量
事業費
年度
年度
(人)
(m3)
(円)
大 11
-
37,000
4,500
1,393,560
第 1 次拡張事業
-
-
40,000
4,500
137,000
第 2 次拡張事業
-
-
40,000
6,000
5,000,000
第 3 次拡張事業
-
-
40,000
7,600
3,050,000
第 4 次拡張事業
昭 26
-
40,000
8,800
10,000,000
第 5 次拡張事業
-
-
40,000
8,800
3,526,662
第 6 次拡張事業
-
-
40,000
8,800
3,238,239
第 7 次拡張事業
-
-
40,000
8,800
13,639,064
第 8 次拡張事業
昭 27
-
73,300
22,500
347,113,199
第 9 次拡張事業
昭 39
昭 47
73,300
27,000
149,873,231
第 10 次拡張事業
昭 44
昭 52
97,500
40,750
719,353,000
第 11 次拡張事業
昭 50
昭 57
102,500
46,150
762,859,559
第 12 次拡張事業
昭 58
昭 63
94,700
35,400
269,513,582
第 13 次拡張事業
平2
平 10
96,000
39,500
449,881,494
第 13 次拡張事業第 1 回変更
平 16
平 29
92,000
39,500
2,006,000,000
第 13 次拡張事業第 2 回変更
平 17
平 29
106,400
45,250
-
第 13 次拡張事業第 3 回変更
平 18
平 29
135,410
61,140
-
第 13 次拡張事業第 4 回変更
平 19
平 29
140,226
62,010
3,400,110,000
第 13 次拡張事業第 5 回変更
平 19
平 29
141,186
62,440
-
第 13 次拡張事業第 6 回変更
平 24
-
137,000
51,800
-
事
創
業
設
9
第2章
久山田水源地
(平成 16 年度
10
登録有形文化財登録)