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主要花き:キク
【病害】
1.白さび病
Puccinia horiana
〈生態と防除のねらい〉
潜 伏 期 間 は 10 日 間 ぐ ら い と い わ れ 、電 照 ギ ク な ど の 施 設 栽 培 で は 冬 季 に も 発 生 し 、
周年発病を認める。露地では、梅雨期にかけて多発し、夏季でのまん延は少ない。
胞 子 は 夏 胞 子 が 認 め ら れ ず 、 冬 胞 子 の み 認 め ら れ 、 そ の 発 芽 最 適 温 度 は 18℃ 前 後 で
あ る 。 多 湿 条 件 で 夜 温 が 10~ 15℃ ぐ ら い の 低 温 の と き に 発 病 が 多 い 。
発 病 後 の 薬 剤 散 布 は ほ と ん ど 効 果 が な い の で 、発 病 前 か ら 予 防 散 布 を 徹 底 す る 。
特に葉裏に胞子の形成が多いので、薬剤が葉裏に十分付着するよう散布することが
必要である。
また、罹病苗の持ち込みによる被害拡大に注意する。
〈防除法〉
○耕種的防除
(1)排 水 を は か り 、 ほ 場 の 湿 度 の 低 下 に 努 め る 。 ハ ウ ス で は 換 気 を 行 い 、 湿 度 の
低下を図る。
(2)密 植 を さ け 、 通 風 を よ く す る 。
(3)病 葉 を 除 去 、 処 分 す る 。 特 に 初 期 発 病 の 時 期 に 除 去 の 徹 底 を は か る 。
2.黒斑病
褐斑病
Septoria chysanthemella
Septoria obesa
〈生態と防除のねらい〉
両病害の病徴は非常に類似し、区別がつけにくい。
被 害 部 で 越 年 し 、 翌 年 下 葉 か ら 発 病 し て く る 。 潜 伏 期 間 は 、 28℃ で 20 日 前 後 で
長い方である。したがって発病後の防除では手おくれになるので、予防的散布が必
要である。
多 湿 や 肥 料 切 れ し た 場 合 に は 、発 病 が 多 い 。露 地 栽 培 で は 、梅 雨 期 に 発 病 が 多 い 。
電照ギクなど施設栽培では、周年発病を認める。
〈防除法〉
○耕種的防除
(1)無 病 ほ 場 か ら 苗 穂 を 採 取 す る 。
(2)ほ 場 は 、 多 湿 に な ら な い よ う 排 水 、 通 風 及 び 採 光 を よ く す る 。
(3)肥 料 切 れ し な い よ う 肥 培 管 理 を よ く 行 う 。
(4)被 害 葉 を 除 去 、 焼 却 す る 。
(5)か ん 水 の 際 、 土 が は ね 上 が ら な い よ う 注 意 す る 。
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主要花き:キク
3.ウイルス病
CMMV(キク微斑ウイルス)
CVB(キクBウイルス)
CMV(キュウリモザイクウイルス)
TSWV(トマト黄化えそウイルス)
CSNV(キク茎えそウイルス)
〈生態と防除のねらい〉
一般的にはCMMV、CVBが多く感染していると思われる。症状はウイ
ルス単独感染で軽く、複合感染した場合にひどくなる。モザイク症状は品種
によって程度に差があり、軽いモザイク症状から、えそ状斑紋を生じるもの
がある。被害がひどい場合には草丈が短くなり、花形が変形し花色が退色す
ることがある。
伝染は、り病株からの苗採取によって行われることが多いと思われる。又
アブラムシによって媒介されるほか、汁液伝染も行われる。防除は健全株を
選んで無病穂を用いることが最も大切である。又、育苗期から本田初期にか
けてアブラムシ防除を徹底する。
TSWVおよびCSNVについては『アザミウマ類によって媒介されるウ
イ ル ス ( トポスウイルス) に よ る え そ 病 症 状 』 の 項 を 参 照 す る 。
〈防除法〉
○耕種的防除
(1)無 病 の 親 株 、 苗 を 用 い る 。
(2)発 病 圃 か ら 採 苗 し な い 。
(3)発 病 株 は 見 つ け 次 第 速 や か に 圃 場 外 に 撤 去 す る 。
(4)TSWV お よ び CSNV を 除 い て ア ブ ラ ム シ の 防 除 を 徹 底 す る 。
TSWV お よ び CSNV に つ い て は 虫 媒 伝 染 性 ウ イ ル ス の 項 を 参 照 す る 。
4.わい化病
CSVd( キ ク わ い 化 ウ イ ロ イ ド )
〈生態と防除のねらい〉
茎の節間が短縮して草丈が短くなり、葉は小型化して茎との角度が小さくなり直
立する傾向がある。葉はわずかに淡緑化し、花は退色、劣化し、開花期が促進また
は遅延することがある。高温期には植物体内でウイロイドが増殖しやすく、病徴も
現れやすい。一方、低温、弱光線下では病徴が現れにくい。また、病徴の発現は品
種によって差が認められ、無病徴の品種もある。
我 国 で の 初 確 認 は 1977 年 で 、 本 県 で は 1984 年 頃 か ら 一 部 の 品 種 で 発 生 が 確 認 さ れ
ている。
宿主範囲はキク科植物に限られる。第一次伝染源はわい化症状の出ていない株を
含めた感染株で、摘心、芽つみ、摘蕾、収穫、刈り込みなどの管理作業での接触や
刃物を介して汁液で伝染する。感染株の残渣(根も含む)が生きている間は伝染の
可能性がある。虫媒伝染の報告はない。
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主要花き:キク
〈防除法〉
(1)無 病 苗 を 利 用 す る 。 定 期 的 に 健 全 な 親 株 に 更 新 す る 。
(2)ほ 場 の 残 渣 (生 き た 根 等 )は 土 壌 消 毒 で 枯 ら す 。
(3)挿 し 芽 床 に つ い て も 土 壌 消 毒 を 行 う か 、 用 土 を 入 れ 替 え る 。
(4)発 病 株 は 早 期 に 抜 き 取 り 、 処 分 す る 。 (特 に 親 株 ほ 場 )
(5)葉 の こ す れ あ い や 作 業 中 の 刃 物 で 伝 染 す る の で 、摘 蕾 や 切 花 作 業 で は 衛 生 管 理 を
励行する
(6)新 し く 導 入 し た 品 種 は 、 無 病 徴 で も 感 染 の 可 能 性 を 考 慮 し 、 取 扱 い に 注 意 す る 。
5.立枯病
Rhizoctonia solani
〈生態と防除のねらい〉
病原菌は、糸状菌の一種で、不完全菌類に属する。土壌伝染性の病害であり、病
原菌は菌糸及び菌核の形で、被害株残渣と共に土壌中で越年し、翌年の伝染源とな
る、被害株から繁殖生育した菌糸は、植物体に侵入して被害を与える。
病徴は、株全体が、生育不良気味で葉色が悪くなり、晴天の日中に茎葉がしおれ
る。
病勢が進展すると下葉から枯れ上がり、地際部の茎が褐変して腐敗する。さらに
病勢が進むと生育はいちじるしく不良となり、やがては株全体が萎ちょうして枯死
する。集中的な降雨の後など、土壌水分の多湿や排水不良条件下で発生が多い。ま
た、連作ほ場で、土壌消毒を実施していない場合や土壌消毒の効果が充分でない場
合に発生しやすい。キクは一作目でも、品種によっては立枯病が多発し、発生後は
薬剤による防除は困難である。
〈防除法〉
○耕種的防除
(1)連 作 を 避 け る 。
(2)被 害 株 は 早 め に 除 去 し 、 土 中 に 埋 設 ま た は 除 去 処 分 し 、 栽 培 ほ 場 に 残 さ な い 。
(3)ほ 場 の 土 壌 水 分 が 多 湿 に な ら な い よ う に 、暗 渠 排 水 の 設 置 や 高 畝 作 り 等 の 対 策 を
講じる。
6.ピシウム立枯病
Pythium ultimun var .ultimum
P.aphanidermatum
P.dissotocum
P.oedochilum
P.sylvaticum
P.helicoides
〈生態と防除のねらい〉
病原菌は、糸状菌の一種で、鞭毛菌類に属する。被害植物の残渣とともに卵胞子
の形で土中に残り土壌伝染する。卵胞子は適当な温湿度条件になると発芽し、菌糸
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主要花き:キク
または遊走子を形成し植物体に再感染する。感染後は菌糸が組織中に蔓延し、その
菌糸上に遊走子のうが形成され、雨やかん水等による多湿条件下で遊走子のうから
遊 走 子 が 放 出 さ れ る 。 こ れ が 水 を 介 し て 周 辺 の 植 物 体 へ 感 染 す る 。 概 ね 30℃ で 最 も
強い病原性を示す。
病徴は定植間もない株の地際部の茎に黒褐色水浸状の病斑を形成し、茎を取り巻
くとその上部は萎れ枯死に至る。根は黒変し、量も少なくなる。維管束の変色は見
られない。直挿の場合は、特に感染の危険が高い。
〈防除法〉
( 1) 土 壌 消 毒 を 行 う 。
( 2) 被 害 株 お よ び そ の 周 辺 の 株 は 他 の 植 物 体 か ら 隔 離 し て 処 分 す る 。
7 .萎 凋 病
Fusarium oxysporum
<生 態 と 防 除 の ね ら い >
症状として下葉から黄~褐変し始める。株では初め半身が萎れることが多い。
やがて全身に萎れが及び、その後株枯れを引き起す。病株の導管部は根から茎
上部まで赤褐変する。また、枯死した茎の表面に薄桃色の菌叢の発生が見られ
る 。 茎 は 空 洞 化 し な い 。 露 地 栽 培 で は 6 ~ 9 月 、 施 設 栽 培 で は 3 月 ~ 11 月 の 時
期に発生する。
病原体は糸状菌で、分生子や厚壁胞子を形成する。大型分生子は弓型、隔壁
は1~4個程度、小型分生子は長球形で短分生子柄上に擬頭状に形成される。
厚壁胞子は耐久体として罹病株に形成される。本菌の分化型は不詳。
罹病残さとともに厚壁胞子として土壌中で長期間生存し、根の傷口等から感染す
る。このため感染苗等による病原菌の本圃への持込みにも注意が必要である。
<防 除 法 >
○土壌消毒
土壌消毒の項を参照
○耕種的防除
(1)発病ほ場から採穂しない。
(2)罹病株は直ちに除去処分する。
(3)発病ほ場から土を持込まない。
(4)発病ほ場から健全なほ場への移動を避ける。
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主要花き:キク
8.半身萎凋病
Verticillium dahliae
〈生態と防除のねらい〉
本病は土壌伝染性の病害であるが、病原菌は茎の中にも潜伏し、苗伝染も行う。
病 原 菌 の 生 育 適 温 は 18~ 25℃ で 夏 ギ ク で は 5 ~ 6 月 、 秋 ギ ク は 8 月 ~ 11 月 頃 発 生
する。キク以外ではトマト、ナス、フキ、イチゴ、ハクサイ、オクラ、キャベツ、
アスター、ガーベラ、ヒマワリ、キンギョソウなどに被害を与える多犯性の病害
である。
被害茎葉が土中に残り伝染源となるので被害株を発見したら焼却する。又発生
ほ場からの土の持込によりまん延するおそれがあるので注意する。
〈防除法〉
○土壌消毒
○耕種的防除
(1)発 病 ほ 場 お よ び 発 病 株 か ら 採 穂 し な い 。
(2)母 株 は 健 全 な も の を 厳 選 す る 。
(3)発 病 株 は 根 ご と 掘 り 出 し 焼 却 す る 。
(4)発 病 ほ 場 で は 4 ~ 5 年 の 輪 作 を 行 う か 、 3 年 以 上 水 田 化 す る 。
9.べと病
Peronospora danica
〈生態と防除のねらい〉
本 病 は 4 月 ~ 8 月 に か け て 発 生 が 多 く 、 お お む ね 15~ 20℃ 、 多 湿 条 件 下 で 発 生 し
やすい。品種間差が顕著である。
〈防除法〉
バラのべと病の項参照
14.花枯病
Itersomilia perplaxans
花腐病
Ascochyta chrysanthemi
〈生態と防除のねらい〉
花 弁 を 侵 す の で 、 し お れ た り 早 く 散 っ た り す る 。 病 菌 の 発 育 温 度 は 20℃ で 、 一 般
的 に 雨 の 多 い と き に 発 病 が 多 く 、窒 素 過 多 や 、ほ う 素 欠 乏 の と き も 発 病 が 多 く な る 。
〈防除法〉
○耕種的防除
(1)窒 素 過 多 を さ け る 。
(2)通 風 を よ く し 多 湿 を さ け る 。
(3)被 害 花 を 除 去 す る 。
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主要花き:キク
【害虫】
1.キクモンサビダニ(紋々病)
〈生態と防除のねらい〉
葉 が 若 い と き に 加 害 さ れ る と 、 葉 に 直 径 数 cm の 淡 黄 色 の 輪 紋 や 線 状 の 症 状 ( 紋
々症)が現れ、一見モザイク病のように見える。
本 虫 は 極 め て 微 細 で 、 雌 成 虫 の 体 長 は 0.2mm 前 後 で あ る 。 主 に 新 葉 に 生 息 し 、 展
開し始めた葉での生息密度が高い。顕微鏡で観察すると、淡黄色の細長い体形をし
た成虫が葉や茎の毛茸の間で動いているのが見える。
ダニの発生は5月頃と秋に多くなる。成虫で越冬するが、卵や幼虫での越冬は不
明である。施設栽培では冬期にも被害が進行する場合がある。
前年の被害株から挿し穂をとると、ダニが寄生した苗を養成することになり、被
害が増大する。
〈防除法〉
○耕種的防除
(1)
発病株からは採穂しない。
11.ハガレセンチュウ
〈生態と防除のねらい〉
セ ン チ ュ ウ は 、葉 の 気 孔 か ら 侵 入 し 、葉 脈 で し き ら れ た 扇 形 な ど の 病 斑 を 生 ず る 。
降雨、かん水などの時に水滴のはね上りや、ぬれた部分を伝って移動する。一般に
連作すると発生が多くなるので、土壌消毒する。
キクのほか、キンセンカ、ヒャクニチソウ、グロキシニア、アスター、ボタン、
ガ ー ベ ラ 、 ヨ モ ギ な ど に も 寄 生 し 、時 期 的 に は 5 月 か ら 10 月 に か け て 発 生 が 多 い 。
〈防除法〉
○土壌消毒
○耕種的防除
(1)連 作 を さ け る 。
(2)発 病 を 認 め た 株 か ら 採 穂 し な い 。
(3)被 害 葉 は 、 早 め に 除 去 し 、 被 害 葉 を ほ 場 に 残 さ な い よ う に す る 。
(4)敷 わ ら に よ り 水 滴 の は ね 上 り を 防 ぐ 。
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主要花き:キク
13.アワダチソウグンバイ
〈生態と防除のねらい〉
セイタカアワダチソウやブタクサ等のキク科雑草で多発し、農作物では、キク、
ヒマワリ等のキク科作物やヒルガオ科のサツマイモに寄生する。
成 虫 は 体 長 3 mm 程 度 で 前 翅 に 多 数 の 褐 色 斑 紋 が あ る 。 産 卵 は 葉 裏 の 葉 脈 沿 い に さ
れ、孵化した幼虫は、葉裏で密集し生育する。
〈防除法〉
○耕種的防除
(1)圃 場 周 辺 の 除 草 を 徹 底 す る 。
14.キクグンバイ
〈生態と防除のねらい〉
グ ン バ イ ム シ 科 。 体 長 2.6mm 程 度 。 体 色 は 暗 ~ 濃 褐 色 を し て お り 、 特 に 胸 部 は
奇妙な形に膨れている。ヨモギ、ヨメナ等のキク科雑草に寄生しており、例年、
梅雨明け後に発生が多くなる。キクでは成幼虫が茎葉を吸汁し、かすり状に白化
する。
〈防除法〉
(1)圃 場 周 辺 の 除 草 を 徹 底 す る 。
15.キクヒメタマバエ
〈生態と防除のねらい〉
体 長 1.5mm ぐ ら い の 小 さ な ハ エ で 、 幼 虫 は 、 乳 白 色 で あ る 。 葉 に 食 入 し た 場 合
には、突起状の虫えいをつくり、茎に食入した場合には、新茎がまがる。
〈防除法〉
○耕種的防除
(1)キ ク 科 雑 草 で 越 冬 す る た め 、 ほ 場 周 辺 の 雑 草 を 除 去 す る 。
16.オカダンゴムシ
〈生態と防除のねらい〉
成 体 で 越 冬 し 、 年 間 4 ~ 5 回 発 生 す る が 極 め て 不 規 則 で 、 3 月 ~ 11 月 ま で 常 に
成体、幼生がみられる。生活には湿気を必要とし、湿気が多く蒸し暑い時には多
発 す る 。 ま た 湿 度 が あ れ ば 食 物 が な く と も 20 日 位 は 生 存 す る が 、 乾 燥 し た 砂 の 中
では5日位で死ぬ。寒さに弱くはげしく結氷すると越冬できない。日中は有機物
の積んであるところや雑草の中などにいる。若芽、若苗の茎葉を食害する。ダイ
コン、野菜類、ナタネ、ウリ類、イチゴ、サツマイモ、ナス、タバコ、キクなど
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主要花き:キク
を加害する。腐敗したサツマイモ、ジャガイモ、ダイコンや末熟たい肥、馬ふん、
牛ふんやゴミによく集る。
〈防除法〉
○耕種的防除
(1)ハ ウ ス 内 が 過 湿 に な ら な い よ う に 注 意 す る 。
(2)ほ 場 周 辺 の 雑 草 を 除 去 し 、 発 生 源 を 絶 つ よ う に す る 。
17.ハスジカツオゾウムシ
〈生態と防除のねらい〉
年1回の発生で成虫は5~6月頃多く出現するが、成虫の寿命が長いので遅くま
で見られる。出現した成虫はキクの株元の茎内に1卵ずつ産卵し、ふ化した幼虫が
茎内の髄部を食害するため被害株は立枯れ症状を呈する。キク科のヨモギ、アザミ
等を好むのでそれらの雑章が周辺に多い畑で被害が多い傾向にある。
〈防除法〉
○耕種的防除
(1)被 害 株 は 直 ち に ほ 場 か ら 持 ち 出 す
(2)ほ 場 周 辺 の 雑 草 を 除 去 す る
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主要花き:カーネーション
【病害】
1.萎凋病
Fusarium oxysporum Schlechtendahl f.sp dianthi
〈生態と防除のねらい〉
本病菌は土壌病原菌であり、土壌中で越年し、地際や根に傷がつくと発病しやす
い。病株からの採穂は、保菌しているおそれがあるので、発病ほ場の株からは採穂
しない。外見上発病が認められない株でも保菌しているおそれがある。発病ほ場か
ら他の健全なほ場への出入はさけ、やむを得ない場合には、よく手足などを洗った
のち出入する。
〈防除法〉
○土壌消毒
○耕種的防除
(1)発 病 ほ 場 か ら 採 穂 し な い 。
(2)茎 や 根 に 傷 を つ け な い 。
(3)被 害 株 を 周 囲 の 上 と と も に 除 去 す る 。
(4)被 害 株 や 病 土 を 持 ち こ ま な い よ う に す る 。
2.萎凋細菌病
Pseudomonas caryophylli
〈生態と防除のねらい〉
ほとんど1年中発生する。茎に縦に長い亀裂が生じ、亀裂部分や導管部に白い粘
液状の病原細菌が認められる。
病原菌は土壌伝染を行い、り病株からの採穂によってまん延するので、さし穂採
穂の際は、切片テストを実施し、健全な親株から採穂する。病原菌に病原性の異な
る系統があり、品種によって抵抗性が異なる。
〈防除法〉
○土壌消毒
○耕種的防除
(1)健 全 土 壌 に 栽 培 す る 。
(2)発 病 ほ 場 か ら 採 穂 し な い 。 無 病 苗 を 用 い る 。
(3)病 株 を 直 ち に 除 去 、 処 分 す る 。
(4)採 穂 す る 場 合 は 、 病 苗 か ら の 感 染 を 防 ぐ た め 水 揚 げ を し な い 。
3.斑点病
Alternaria dianthi
〈生態と防除のねらい〉
病原菌は被害植物で越年し温室栽培では周年発生する。降雨や風により傷を受け
たときに発病が助長され、露地では梅雨の時期に発生が多い。草体が柔かく、大輪
系のものは発病しやすい。
発病株から採穂しないで、早めに防除を徹底する。
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主要花き:カーネーション
〈防除法〉
○耕種的防除
(1)発 病 株 か ら 採 穂 し な い 。
(2)育 苗 期 に は 過 湿 に な ら な い よ う に す る 。
(3)被 害 茎 葉 は 早 め に 除 去 、 処 分 す る 。
4.さび病
Uromyces dianthi
〈生態と防除のねらい〉
本病菌は夏胞子によって越年し、まん延する。施設栽培では冬期を含め周年発生
する。
また、ニシキソウが中間寄主となり、越年して銹胞子を形成し、これが、カーネ
ーションに感染して夏胞子を形成することもある。
一且、発病すると防除が困難であるので、発病初期のうちに被害茎葉を除去、焼
却し、防除の徹底をはかる。抵抗性は品種間の差が犬きい。
〈防除法〉
○耕種的防除
(1)被 害 茎 葉 を 早 期 に で き る だ け 除 去 、 処 分 す る 。
(2)施 設 栽 培 で は 、 換 気 を 徹 底 し 多 湿 に な ら な い よ う 注 意 す る 。
6.茎腐病
Rhizoctonia solani
〈生態と防除のねらい〉
病原菌は土壌伝染性の糸状菌であり、菌糸及び菌核の形で被害株残渣とともに土
壌中で越年し、翌年の伝染源となる。地際の茎の表面から濃茶褐色に腐敗し、病勢
が進むとともに茎内部まで侵され、下葉は枯れ上がり、根も腐敗する。このため、
地 上 部 は 生 気 を 失 い 、 や が て 枯 死 す る 。 25~ 30℃ で で 多 湿 の 場 合 に 発 病 し や す く 、
連作圃場でも発生しやすい。
共通病害の苗立枯病の項参照
〈防除法〉
○耕種的防除
(1)連 作 を 避 け る 。
(2)被 害 株 は 早 め に 除 去 し 、 土 中 深 く に 埋 没 ま た は 処 分 す る 。
(3)多 湿 を 避 け 、 通 風 、 換 気 を 図 る 。
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主要花き:カーネーション
10.立枯病
Fusarium roseum Link f.sp. cerealis
Fusarium tricinctum
Cibberella zeae
〈生態と防除のねらい〉
主に地上部の茎が侵され、葉鞘部や分岐基部、茎の切り口などに紫紅色の病斑を
生じる。
進展すると病斑が茎を取り巻き、上部の茎葉が萎凋・枯死する。
病原菌はイネの刈り株やわら、枯死したカヤやススキなどで生存し、風雨により
伝染する。
〈防除法〉
(1)周 囲 に イ ネ 科 の 残 渣 な ど を 放 置 し な い 。
11.斑点細菌病
( Burkholderiaandropogonis)
<生 態 と 防 除 の ね ら い 〉
葉、茎、つぼみのがくに発生し、葉では初めに茶~茶褐色で水浸状の小さな斑点
を生じる。これらはやがて不整形で中央に赤紫~紫色の輪紋を有する灰褐色の斑点
に拡大し、斑点の外縁は黄色、水浸状となる。症状が激しい場合は、病斑部は乾固
し枯れる。病徴は初め下葉に発生し、上位葉へ進展する。本病は斑点病の病徴と類
似している。水浸状を示す罹病切片からは検鏡下で菌泥の溢出が観察されるが斑点
病では見られない。
病 原 細 菌 は 茎 葉 や 被 害 残 さ と と も に 越 年 し 、翌 年 の 第 1 次 伝 染 源 と な る 。本 菌 は 5
~ 35℃ で 生 育 し 、 生 育 適 温 は 26~ 28℃ 、発 病 に 好 適 な 温 度 は 18~ 24℃ で あ る 。発 病
に好適な温度下で病斑上に本菌が淮出して降雨やかん水により飛散することで2次
伝染する。多雨や施設内での高湿度条件が発病を誘発する。本菌はトウモロコシ、
ブーゲンビリア、ストレリチアにも感染する。
【害虫】
7.ウスカワマイマイ
〈生態と防除のねらい〉
発 生 は 年 間 1 回 で あ る が 、極 め て 広 食 性 で あ る 。露 地 で は 、4 月 ご ろ 加 害 を 始 め 、
6月ごろ幼貝が現れ、7月ごろ成貝になる。
主 と し て 、成 長 し た 個 体 が 夜 間 加 害 す る 。
( 10 月 ご ろ 、各 個 体 問 の 生 育 が 揃 っ て い
な い 場 合 は 翌 年 の 発 生 が 多 い 。)
〈防除法〉
○耕種的防除
(1)捕 殺 に 努 め る 。
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主要花き:カーネーション
(2)除 草 な ど に よ っ て 生 息 場 所 を な く す 。
(3)植 付 け 前 に 消 石 灰 を 施 し 、 耕 起 し て 土 壌 p H を 6.5~ 7 に 矯 正 す る 。
(4)石 灰 窒 素 を 作 付 け 前 に 除 草 を 兼 ね て 8kg/ a 程 度 施 用 す る と 効 果 が あ る 。
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主要花き:バラ
【病害】
3.べと病
Peronospora sparsa
〈生態と防除のねらい〉
春、秋の昼夜間の温度較差が大きく、多湿条件の場合には発生が多い。特に窒素
過多で発生が助長される。効果の高い薬剤がないので、発病しないよう管理を行い
薬剤は予防散布を主として、換気を徹底する。薬液は葉裏にもかかるように十分散
布する。
〈防除法〉
○耕種的防除
(1)発 生 を 認 め た ら 、 発 病 枝 、 葉 を 直 ち に 除 去 、 処 分 す る 。
(2)通 風 採 光 に つ と め 、 多 湿 に な ら な い よ う 管 理 す る 。
(3)窒 素 質 肥 料 の 過 多 を さ け る 。
(4)昼 夜 間 の 温 度 較 差 を 少 な く す る た め 暖 房 す る 。
5.根頭がんしゅ病
Agrobacterium tumefaciens
〈生態と防除のねらい〉
病原菌は、土壌伝染性細菌で、土壌中で越年するので、連作地に発病が多い。傷
口 か ら 侵 人 し 、 潜 伏 期 間 は 5~ 20 日 間 で あ る が 、 長 い 場 合 3 ヵ 月 く ら い の と き も あ
る。バラのほか、ウメ、モモ、ダリアなども侵す。発病後は根絶が難しいので、苗
木生産段階での感染を防ぐ。
〈防除法〉
○耕種的防除
(1)健 全 土 壌 に 健 全 苗 を 植 え つ け る 。
(2)4 年 間 ぐ ら い は 輸 作 を 行 う 。
(3)被 害 部 を 健 全 部 ま で 含 め て 完 全 に 削 り と る 。
(4)病 斑 部 を 完 令 に 削 除 後 、 接 ロ ウ を 塗 る 。
6.黒星病
Diplocarpon rosae
〈生態と防除のねらい〉
病原菌は、野外では枝や落葉の病斑部で菌糸や子のう胞子状態で越年し、施設栽
培では4月ごろから発生し、ひどくなると落葉する。5~6月及び秋季の多雨期に
は 発 病 が 著 し い 。 分 生 胞 子 発 芽 の 最 適 温 度 は 20~ 25℃ で 、 多 湿 条 件 下 で は 6 ~ 9 時
間で発芽して侵人する。施設栽培では発病は少ない。多発病枝は除去、多発園では
休眠期防除を徹底する。
〈防除法〉
○耕種的防除
(1)落 葉 を 処 分 し 、 病 枝 も で き る だ け 除 去 、 処 分 す る 。
(2)密 植 を 避 け 、 通 風 を 良 く す る 。
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主要花き:バラ
7.枝枯病
Coniothrium fuckelii
〈生態と防除のねらい〉
病原菌は被害株上で柄子殼の形で越冬し、翌年の伝染源となる。翌年、多湿時や
木が弱ると活発になり、多くは傷口から感染する。病徴は枝のまわりが紫色で中央
部が褐色の病斑である。その後、病患部に裂け目ができ、まわりは黒褐色となる。
枝が傷んだ場合に感染しやすいので、剪定傷口は整理し、強健な枝をつくれば発
病は少ない。
〈防除法〉
○耕種的防除
(1)病 枝 を 除 去 、 処 分 す る 。
(2)剪 定 等 の 傷 口 は 接 ロ ウ な ど を 塗 布 す る 。
(3)樹 を 強 健 に す る よ う に 管 理 す る 。
【害虫】
1.チュウレンジバチ類(チュウレンジバチ、ニホンチュウレンジ)
〈生態と防除のねらい〉
年間2~3回の発生で、第1回の発生は、4~5月ごろで、新梢に傷をつけ組織
中に産卵する。
ふ化直後の幼虫は群生し、生育するにしたがって分散する。幼虫は、秋になると
土中でさなぎとなり越冬する。発生の初期に薬剤防除を徹底する。
〈防除法〉
○耕種的防除
(1)発 生 の 少 な い う ち に こ す り 落 と す 。
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主要花き:ガーベラ
【病害】
4.株枯病
Nectria haematococca (不 完 全 世 代 : Fusarium solani )
〈生態と防除のねらい〉
葉の葉脈が赤く変色し、葉の黄化、萎凋、花の奇形が見られる。根は黒変して腐
り、激しいと株が萎凋し、やがて枯死する。
排水をはかり多湿条件にならないようにするとともに、改植時には土壌消毒を実
施して病原菌密度を低下させる。
〈防除法〉
○耕種的防除
( 1) 土 壌 く ん 蒸 剤 な ど に よ る 土 壌 消 毒 を 実 施 し て 、 病 原 菌 密 度 を 低 下 さ せ る 。
( 2) 排 水 を は か り 過 湿 を 避 け る 。
( 3) 適 切 な 施 肥 を 行 い 、 窒 素 過 多 を 避 け る 。
主要花き:トルコギキョウ
【病害】
1.立枯病
Fusarium oxysporum
Fusarium solani
〈生態と防除のねらい〉
病原菌は糸状菌である。病微は初め日中に萎凋症状が見られるようになり、やが
て枯死して株全体が立ち枯れになる。
6月初旬頃から発生が見られ7~8月に特に多くなる。多湿・過乾になったり多
肥栽培をすると多発する傾向にある。
〈防除法〉
(1)定 植 前 に 土 壌 消 毒 を 行 う
2.茎腐病
Fusarium avenaceum
〈生態と防除のねらい〉
萎凋症状を呈し、葉や茎が淡褐色に変色する。地際の茎髄部は褐変し、表面には
白色綿毛状の気中菌糸を生じることが多い。
(防 除 法 〉
(1)定 植 前 に 土 壌 消 毒 を 行 う 。
3.根腐病
Pythium irregulare
P.spinosum
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主要花き:トルコギキョウ
〈生態と防除のねらい〉
本病は、育苗から採花までの生育全期間を通じて発生する。育苗期の場合、数株
程度の萎凋から始まり、次第に周囲に拡大する。激しい場合には葉は白化し、苗は
枯死する。本ぽ定植後の場合、発病初期では日中、中位葉から下位葉が激しく萎れ
る。萎凋は夜間には回復するが、やがて株全体が萎れるようになり、枯死に至るこ
とが多い。軽症の株で枯死を免れても、萎凋と回復を繰り返すうちに株が疲弊し、
健全株に比べて生育が劣る。
本病の発病初期には細根の先端部に淡褐色の腐敗が認められる。さらに症状が進
行した株は、根部の大部分が褐変腐敗する。 腐敗根は容易に脱落するため、発病株
の根量は非常に少なくなる。同様の萎凋症状を示す灰色かび病、菌核病および茎腐
病は地際部や茎部に特徴のある病徴を見出すことができるが、本病は萎凋症状以外
地上部に異常が認められない。従って、萎凋症状以外の地上部の病徴の有無が診断
上の要点となる。
病原菌は卵菌類に属する土壌伝染性を持つ糸状菌であある。罹病根に形成された
卵胞子が罹病残渣や土壌中で生残し、伝染源となる。過湿条件や連作により多発す
る・
〈防除法〉
○耕種的防除法
(1)罹 病 株 は 抜 き 取 り 、 ほ 場 外 に 撤 去 、 埋 設 す る 。
(2)ほ 場 の 排 水 性 を 良 く す る 。
○化学的防除法
(1)定 植 前 に 土 壌 く ん 蒸 剤 や 土 壌 潅 注 剤 で ほ 場 の 土 壌 消 毒 を 行 う 。
5.萎凋細菌病
Burukholderia
caryophylli
<生態と防除のねらい>
高温期に多発しやすい病害で、最初、葉や茎の一部が褐変し、やがて株全体が萎
凋する。このような株の茎部を切断すると導管部に褐変が認められる。病勢が進展
すると、最終的には枯死する。防除対策としては、罹病株を圃場外へ除去するとと
もに、土壌消毒を行う必要がある。
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主要花き:トルコギキョウ
萎凋症状
6.株腐病
下葉の褐変
Rhizoctonia solani
〈生態と防除のねらい〉
生育初期に土壌に接した葉から腐敗が始まり、やがて株全体が腐敗する。菌の生
育 温 度 は 10~ 35℃ で 、 適 温 は 30℃ で で あ る 。
〈防除法〉
(1)定 植 前 に 土 壌 消 毒 を 行 う 。
7.青かび根腐病
Penicillium pinophilum
〈生態と防除のねらい〉
生育初期に発生した場合、生育不良となり短茎で開花、または萎凋・枯死する。
生育後半に発生した場合、下葉の黄化やしおれ、ボリューム不足等の症状となり、
重症の場合は枯死する。多肥条件で発生しやすい。また、栽培品種間で抵抗性に差
異がある。病原菌は糸状菌で不完全菌類に属する。土壌伝染する。
〈防除法〉
(1)土 壌 消 毒 。
(2)適 正 な 肥 培 管 理 を 行 う 。
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主要花き:トルコギキョウ
8.ウイルス病
T Y L C V ( Tomato yellow leaf curl virus)
T S W V ( Tomato spotted wilt virus)
I N S V ( Inpatiens necrotic spot virus )
I Y S V ( Iris yellow spot virus)
C M V ( Cucumber mosaic virus)
T u M V ( Turnip mosaic virus)
T B S V ( Tomato bushy stunt virus)
L N V ( Lisianthus necrosis virus)
B B W V ( Broad bean wilt fada virus)
B Y M V ( Bean yellow mosaic virus)
〈生態と防除のねらい〉
指導資料参照
〈防除法〉
○耕種的防除
(1)被 害 株 は 伝 染 源 と な る た め 、 抜 き 取 っ て ほ 場 外 に 持 ち 出 す 。
(2)T Y L C V は タ バ コ コ ナ ジ ラ ミ 、T S W V 、I N S V 、I Y S V は ア ザ ミ ウ マ 類
(指 導 資 料 参 照 )、C M V 、T uM V 、 B B W V 、B Y M V は ア ブ ラ ム シ 類 が 媒 介 す
るので、媒介虫の防除を徹底する。
(3)L N V に よ る ウ イ ル ス 病 は 糸 状 菌 (オ ル ピ デ ィ ウ ム 属 菌 )を 媒 介 者 と し て 土 壌 伝
染するので、土壌消毒により媒介糸状菌を防除する。
(4)シ ル バ ー マ ル チ や 施 設 開 口 部 に 防 虫 ネ ッ ト を 設 置 し 媒 介 虫 の 侵 入 を 抑 制 す る 。
10.褐斑病
Stemphylium Iycopersici
〈生態と防除のねらい〉
葉 に 初 め 褐 色 の 小 斑 点 を 生 じ 、 次 第 に 拡 大 し て 円 形 な い し 不 整 型 の 斑 点 (5 mm 前
後 )と な る 。地 際 部 な ど の 茎 に も 発 生 し 、病 徴 が 進 む と 茎 を 取 り 囲 む よ う に 病 斑 が 形
成され、その上部は萎凋・枯死する。
病斑状に形成される分生子が空気伝染し、被害が拡大するため、発病株の早期除
去、処分が防除に有効である。
〈防除法〉
(1)罹 病 葉 ・ 罹 病 株 を 除 去 、 処 分 す る 。
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主要花き:トルコギキョウ
1 1 .斑 点 病
Pseudocercospora eustomatis
<生 態 と 防 除 の ね ら い >
葉 に 症 状 が 現 れ る 。は じ め 直 径 0.5~ 2cm 程 度 の 円 形 の 退 緑 斑 点 が 現 れ 、や が て 退
緑斑上にオリーブ色もしくは灰黒色のすす状の菌叢が生じる。これらすす状物は分
生子柄を形成した子座や密生した分生胞子である。
17~ 23℃ の 温 室 内 の 条 件 下 で は 、 感 染 か ら 発 病 ま で 2 週 間 程 度 を 要 し 、 病 斑 上 に
す す 状 物 が 認 め ら れ る ま で に 、さ ら に 10 日 程 度 か か る 。伝 染 環 は 不 明 な 部 分 が 多 く 、
種子伝染の有無も不明である。育苗の早い時期から感染、発病が認められている場
合もあるため、ほ場を注意深く観察し、発病葉はすぐに摘葉するなどの対応が必要
である。
<防 除 法 >
発 病 苗 、発 病 葉 を 見 つ け 次 第 、す ぐ に ほ 場 か ら 持 出 し 、で き る だ け 離 れ た 場 所
に埋設する。
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主要花き:トルコギキョウ
【害虫】
6.キキョウトリバ
(トリバガ科)
<生態と防除のねらい>
成 虫 の 体 長 は 16~ 23mm 程 度( 開 張 時 ) で 、海 外 で は 年 2 回 の 発 生 が 認 め ら れ る と
の報告があるものの、詳しい生活史は不明である。卵は花蕾上に一つずつ産み付け
られ、幼虫はタバコガと同様に潜孔するように食害し、茎や葉上で蛹化する。リン
ドウ科の植物を好む。
〈防除法〉
(1)成 虫 の 侵 入 を 防 ぐ た め に 、 ハ ウ ス 開 口 部 に 4mm 目 合 い の 防 虫 ネ ッ ト を 展 張 す る 。
主要花き:ユリ類
2.葉枯病
Botrytis elliptica
〈生態と防除のねらい〉
菌核や被害部の菌糸で越年し、温室では分生胞子でも越年する。多湿条件下で発
病しやすく、露地栽培では6月の梅雨期ごろに多発し、温室栽培では、潅水 過多な
ど多湿の場合には発病が多い。防除には湿度の低下を図ることが重要である。発病
後の防除は難しいので、発病前から予防散布を行う。
採 花 期 近 く の 水 和 剤 の 散 布 は 汚 れ が 生 じ る の で 、濃 度 は 低 め に し て 予 防 散 布 を 徹
底する。
〈防除法〉
○耕種的防除
(1)被 害 茎 葉 を 、 早 め に 除 去 、 処 分 す る 。
(2)排 水 を は か り 通 風 採 光 を よ く す る 。
(3)マ ル チ を 行 う 。
3.腐敗病
Rhizopus necans
〈生態と防除のねらい〉
発生生態が不明であるが輸送中にりん茎が腐敗する。病菌は普遍的に存在し、一
般的に高温多湿条件で、植物の活力が衰えたとき発病する。防除上植物が傷まない
ようにし、高温多湿にならないように管理する必要がある。
〈防除法〉
○耕種的防除
(1)罹 病 り ん 茎 は 処 分 す る 。
(2)高 温 多 湿 に し な い .
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主要花き:ユリ類
6.白色疫病
Phytophthora porri
〈生態と防除のねらい〉
病原菌は藻菌類の一種で、卵胞子や厚膜胞子が上中で越夏し、伝染源となる。発
育 適 温 は 15~ 20℃ で 30℃ 以 上 で は 発 育 し な い 。 本 菌 は タ マ ネ ギ 、ネ ギ 、 ワ ケ ギ 、 ニ
ラ、ノビル、チューリップ、ヒヤシンスなどを侵す。
低温、多湿の場合に発生が多く、気温の上昇にともない病勢はおとろえる。
本病は上壌伝染するため発生地での連作をさけるか、土壌消毒を行う。発病後の
防除は困難であるので、早期防除を徹底する。
〈防除法〉
○耕種的防除
(1)発 病 ほ 場 で の 連 作 を さ け る 。
(2)低 湿 地 の ほ 場 は さ け る 。
○土壌消毒
土壌消毒の項参照
3.ネダニ類
ロビンネダニ
〈生態と防除のねらい〉
年 間 10 数 世 代 を 経 過 し 、高 温 多 湿( 適 温 は 24~ 27℃ )で き わ め て 繁 殖 が 盛 ん と な
り 、 20~ 30℃ で の 世 代 日 数 は 10~ 17 日 程 度 で あ る 。
圃場の他、貯蔵中においても被害を及ぼし、ユリ、チューリップ、スイセン、ヒ
ヤシンス、アマリリス、ラッキョウなどの多くの球根類を侵す。
圃場での初発生は種球根による持込であるが、一度発生するとヒポプス(圃場環
境が劣悪な条件下で発生する第2若虫にあたる生育ステージ)の形で長期生存する
ため、その後はヒポプスが発生源となる。
〈防除法〉
○土壌消毒
土壌消毒の項参照
○耕種的防除
(1) 酸 性 土 壌 ( pH5~ 6) に 多 い の で 、 石 灰 を 施 用 し 土 壌 pH を 矯 正 す る 。
( 2) 植 付 け 、 貯 蔵 の 際 は 、 良 い 球 根 を 選 別 し 温 湯 消 毒 を 行 う ( 45℃ で 1 時 間 )
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