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シャリンバイ
【病害】
1.そうか病
Sphaceloma sp.
〈生態と防除のねらい〉
4~5月頃、葉や新梢に赤褐色の円形病斑が発生し、葉が変形するのが典型的病
徴である。また、葉にそうか型病斑が認められる場合がある。
病 原 菌 に つ い て は 、 Sphaceloma 属 菌 の 一 種 で あ る こ と は 判 明 し て い る が 、 種 名 は
不 明 で あ る 。 分 生 子 は 楕 円 形 ~ 紡 錘 形 、 無 色 、 単 胞 、 大 き さ は 5.8~ 12.9μ m×2.3
~ 5.5μ m で あ る 。 菌 糸 は 5~ 30℃ で 生 育 し 、 最 適 温 度 は 25℃ で あ る 。
ま た 、 2006 年 に 報 告 さ れ た 新 病 害 で あ る こ と か ら 、 詳 細 な 伝 染 方 法 等 は 不 明 で あ
る。
なお、所属する病原菌の属から推定して、春先の降雨により、旧葉の病斑部に形成
された分生胞子が、展葉直後の未硬化葉に飛散し感染しているものと考えられる。
なお、硬化した葉には感染しない。
〈防除法〉
(1)萌 芽 直 前 か ら 雨 よ け ハ ウ ス 等 で 管 理 す る 。
シャリンバイそうか病菌による
赤褐色円形病斑
シャリン
2.ごま色斑点病
( Entomosporiummespili )
〈生態と防除のねらい〉
初め紅色の少斑点が葉に発生し、やがて周囲に赤紫~黒紫色帯を伴う灰褐色で直
径 3~ 5 ミ リ の 円 形 と な る 。葉 裏 で は 紫 ~ 赤 紫 色 で 不 整 形 の 病 徴 を 示 す 。病 斑 中 央 部
には光沢のある黒色のかさぶた様の分生子層を生じ、後に亀裂を生じて白色粘質の
分生子塊を溢出する。さらに症状が進行すると激しく落葉する。春の新葉展開後秋
まで発病が継続するため、症状の激しい樹では全て落葉し、衰弱枯死することもあ
る。本病は糸状菌によるもので、葉の表皮下に形成される分生子層上に球体~楕円
形で無色~淡黄色の数個の細胞から成る分生子を形成する。
病原菌は樹上や落下した病葉上で分生子として越冬し、翌春の第1次伝染源とな
る。春から秋にかけて病葉上で分生子が多量に形成されるため、伝染が繰り返して
起こる。雨水などで伝染するため梅雨期や秋雨期で雨が多い場合、被害が拡大しや
すい。さらに本病はベニカナメ、ビワなど多くのバラ科ナシ亜科樹木樹木に感染で
きるため、これらの病植物間で互いに感染を繰り返し、病気が拡大することが知ら
れている。
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シャリンバイ
〈防除法〉
○耕種的防除
(1)初 発 を な る べ く 早 く 見 つ け 摘 葉 す る 。落 下 し た 病 葉 も 株 元 に 放 置 せ ず 、除 去 す
る。
○薬剤防除
(1)薬 剤 散 布 は 梅 雨 期 、秋 雨 期 を 中 心 に 行 う が 、薬 剤 に よ る 防 除 だ け で は 不 十 分 な
ので、必ず病葉の除去といった耕種的防除を併用する。
シラカシ
【病害】
1.枝枯細菌病
Xanthomonas campestris
〈生態と防除のねらい〉
当年生枝に濃褐色から黒色の病斑が発生し、病斑が枝を一周するとそこから先の
枝が枯れる。枝元から樹幹部に病斑が進展することもあるが、この場合がんしゅ状
になる。一度発生し始めると次々に周囲の木に伝染し、枯れ枝を摘み取っても枯れ
枝症状の再発を繰り返す。枝枯れによって樹形が悪くなるために、緑化樹として価
値が下がる。
1980 年 代 に 南 九 州 で 確 認 さ れ 、 被 害 は 九 州 各 地 に 急 速 に 拡 大 し た 。 本 県 で も 発 生
して
いるが、詳細な伝搬方法等は不明である。寄主範囲はシラカシの他、アラカシ、シ
リブカガシ、ウラジロガシ等のブナ科である。本県ではシロカシ、アラカシの被害
が大きく、ウバメガシ、マテバシイ等は被害が少ない。
〈防除法〉
(1)病 気 に 冒 さ れ た 枝 を 剪 定 す る 。
(2)登 録 農 薬 を 新 梢 伸 長 期 か ら 発 病 初 期 に 散 布 す る 。
枝枯れの発生状況①
枝枯れの発生状況②
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ツツジ類
【病害】
1.花腐菌核病
Ovulinia azaleae
〈生態と防除のねらい〉
最初花弁に淡褐色の斑紋を生じ、次第に拡大して花全体がしおれる。花弁には円
状の黒色偏平の菌核が形成され、花弁とともに落下して、上中で越冬する。 4月
中旬以降、菌核から長い柄のある皿状のきのこが発生し、子のう胞子を飛散して伝
染する。雨が続く年には、つぼみのうちから被害が発生し、開花せずにしおれて実
害が激しくなる。
〈防除法〉
(1)し お れ た 花 弁 を て い ね い に 摘 み と り 処 分 す る 。
(2)開 花 期 間 中 は 、 出 来 る だ け 花 を 濡 ら さ な い よ う に 潅 水 や 降 雨 に 注 意 す る 。
2.褐斑病
Septoria azaleae
3.葉斑病
Pseudocercospora handelii
〈生態と防除のねらい〉
4 月 か ら 10 月 に か け 葉 が 侵 さ れ る 。 一 旦 被 害 が 発 生
すると連年被害が継続し被害も激しくなる。褐斑病は、
病斑周縁が次第に黄化して落葉するものが多く、病斑
上には微小な白色小粘塊が散生する。葉斑病は、葉脈
に区切られた3~5㎜大の褐色~暗褐色角斑を多数生
じ、病斑両面に淡緑灰色の毛ばだったすすかび状物を
多 数 形 成 す る (※ 写 真 1 )。 両 病 害 と も 、 一 部 の 病 葉 が 着
生したまま越冬し、それが翌春開葉期の伝染源になる。
〈防除法〉
(1)病 落 葉 ・ 着 生 病 葉 を 集 め 処 分 す る 。
(2)毎 年 発 生 す る 株 に は 、 開 葉 期 に 殺 菌 剤 を 数 同 散 布 す る
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写真1:葉脈に区切られた褐色~
暗褐色角斑を多数生じ
病斑両面に淡緑灰色の
毛ばだったすすかび状
物を多数形成する。
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ツツジ類
Exobasidium japonicum,E.cylindrosporum,E.sakishimaense,E.sp.
裏 白 も ち 病 E.japonicum,E.otanianum
4 .も ち 病
平もち病
E.yoshinagai,E.magnusii,E.Kawanennse
〈生態と防除のねらい〉
も ち 病 は 、 新 葉 展 開 期 頃 (5 月 頃 )に 発 生 す る 。 新 葉 、 葉 柄 、 新 梢 が 肥 厚 し 、 光 沢
の あ る 淡 緑 色 を 帯 び た も ち 状 の 肥 大 部 を 生 じ 、奇 形 を 肌 す る (※ 写 真 1)。肥 大 部 は や
がて白粉状物で覆われる。
裏白もち病、平もち病は新葉展開後5~6月頃発生
し、肥厚せず、患部裏面を円状の白粉が覆う。
〈防除法〉
(1)患 部 が 緑 味 を 帯 び 、 白 粉 状 に な る 前 に 切 除 処 分 す る 。
(2)殺 菌 剤 に よ る 防 除 は 困 難 で あ る 。
写真1:新葉、葉柄、新梢が肥大
し光沢のある淡緑色を帯
びたもち状の肥大部を生
じ、奇形を呈する
5.そうか病
Sphaceloma sp.
〈生態と防除のねらい〉
本 病 は 平 成 16 年 に 報 告 さ れ た 病 害 で 、現 在 、全 国 に 植 栽 さ れ て い る 久 留 米 ツ ツ ジ
で
発 生 が 認 め ら れ て い る 。 葉 や 新 梢 に 赤 褐 色 、 円 形 で 径 1~ 3mm の 小 斑 点 を 発 生 す る
のが特徴で、多発すると早期落葉し、枯死に至る。
病 原 菌 に つ い て は 、 Sphaceloma 属 菌 で あ る こ と は 判 明 し た が 、 種 名 は 明 ら か で は
ない。病原菌は罹病葉や罹病枝内で越冬し、春季や秋季の降雨時に展葉直後の新葉
に感染する。このことから、主要感染時期は4~6月及び9月である。
品種間差があり、品種「暮の雪」や「花遊」及び「今狸々」には発生が多いのに
対して、品種「騏麟」や「筑紫紅」ではほとんど認められない。このことから、本
病が多発している圃場では、抵抗性品種に切り替えることが望ましい。本病は典型
的な雨媒伝染性病害であり、降雨を遮断すれば感染しない。また、柔らかい新葉に
は感染するが、硬化した葉には感染しない。採穂用のツツジ樹を雨よけ条件下で栽
培すれば、無病苗を育成できる。
〈防除法〉
○耕種的防除
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ツツジ類
(1)無 病 苗 を 定 植 す る 。
(2)罹 病 樹 か ら 採 穂 し な い 。
(3)採 穂 用 の ツ ツ ジ は 雨 よ け 条 件 下 で 栽 培 す る 。
葉に発生した赤褐色の病斑
庭園のツツジに発生した落葉被害
【害虫】
1.グンバイムシ類(ツツジグンバイ、トサカグンバイ)
〈生態と防除のねらい〉
ツツジグンバイはサツキ及びツツジ類全般を、トサカグンバイはオオムラサキ、
ヨ ド ガ ワ 、ヒ ラ ド ツ ツ ジ を 加 害 す る 。前 者 は 翅 が 大 き く 、た た ん だ と き は 淡 褐 色 の X
状の斑紋ができるのが特徴である。また、後者は翅の斑紋が黒褐色で光沢があり、
前者に比べやや細長い体形をしている。
ツ ツ ジ グ ン バ イ は 主 に 卵 態 で 越 冬 し 、4 月 中 下 句 か ら ふ 化 し 始 め 、年 3 世 代 を 繰 り
返す。各世代の成虫の発生時期はおおよそ5月中旬、7月中旬、9月下旬である。
幼虫・成虫とも葉裏に棲息し、吸汁加害する。被害葉は白くなり著しく外観を損な
う。加害が進むと落葉の原因にもなる。防除は、第1世代幼虫が出そろう4月下句
~5月上旬に行うと効果的である。
トサカグンバイはアセビの葉肉内で卵態で越冬し、3月下句~4月中下句 にふ化
する。その後、第1世代成虫は5月上句に現れ、ツツジ、カキ、ネジキ等に移動し
増 殖 す る 。さ ら に 、第 2 世 代 成 虫 は 7 月 上 中 句 よ り 、第 3 世 代 成 虫 は 8 月 上 句 よ り 、
第4世代成虫は9月下句より発生し、越冬のため再びアセビに戻って産卵する。
〈防除法〉
(1)ア セ ビ を 近 く に 植 え な い 。
(2)樹 勢 を 強 く 保 つ 。
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ツツジ類
2.ベニモンアオリンガ
〈生態と防除のねらい〉
幼虫がツツジ、サツキ類の新葉や菅を食害する。小枝上のマユ内の蛹で越冬し、
幼虫は4月下旬、6月下旬、8月下旬の3回発生する。第一、第二世代幼虫は葉を
食害し、三世代幼虫は蕾に食入するので、翌年に花が咲かなくなる。
〈防除法〉
(1)被 害 蕾 を つ み 取 り 処 分 す る 。
(2)越 冬 マ ユ を か き 取 る 。
3.モシクソハムシ
〈生態と防除のねらい〉
5~6月頃ツツジ、サツキの葉が坊主になり、小枝上にネズミの糞のような袋を
か ぶ っ た 小 さ な 虫 が 付 着 す る の で 判 別 で き る 。 成 虫 は 3 mm 程 度 の 黒 色 棒 状 の ハ ム シ
で、7月に現れ地上に産卵する。8月上旬に孵化した幼虫は排泄物で黒褐色の袋を
作りそれを被って歩行食害する。そのまま越冬し、4月下旬から食害を開始し、6
月下旬に蛹化する。
〈防除法〉
(1 )7 ~ 8 月 に 地 上 に 細 砂 を 敷 く と 、 産 卵 予 防 に な る 。
4.ルリチュウレンジ
〈生態と防除のねらい〉
幼虫は群棲して葉や蕾を食害する。成虫は青藍色のハバチで、土中のマユ内で越
冬し、年3回の発生。最初の幼虫は5月から孵化し加害を始める。産卵は葉縁の組
織内に行い、幼虫は葉表で一列に並び食害するが、成長とともに分散する。
〈防除法〉
(1)5 月 に 葉 が 少 な く な っ た ら 、 葉 裏 を 探 し 群 生 幼 虫 を 捕 殺 す る 。
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ツツジ、サザンカ
【病害】
1.環紋葉枯病
所属不詳
〈生態と防除のねらい〉
4 ~ 6 月 と 9~ 10 月 、 葉 に 発 生 す る 。 最 初 赤 褐 色 の
小 斑 点 を 生 じ 、 急 激 に 拡 大 し て 1~ 2 cm の 大 型 の 輪 紋
円 斑 と な る (※ 写 真 1)。 病 斑 は 1 葉 に 1 ~ 2 個 と 少 な い
が、病葉は黄化して早期に落葉する。激害樹では樹勢
が衰え、枝枯れを生ずる。病斑上には、黄色~淡褐色
の小さく盛り上がったきのこ状の菌体が形成される。
写真1:葉に赤褐色の小斑点を生じ、
拡大して輪紋円斑となる
〈防除法〉
(1)病 葉 を 早 期 に 摘 み と り 、 病 落 葉 は 集 め て 処 分 す る 。
2.もち病
粉もち病
平もち病
Exobasidium gracile,E. camelliae.
E.nudum
E.sasanqua
〈生態と防除のねらい〉
新葉が僅かに展葉する頃から、新梢部や葉が侵される。ツバキではもち状に、サザ
ン カ で は セ ン ベ イ 状 に 膨 ら む ( ※ 写 真 1)。 最 初 は 、 光 沢 の
ある淡緑色を呈するが、やがて白粉状物で覆われる。
病患部は褐変乾固し、ミイラ状になって長く樹上に
着生して美観をそこねる。
粉もち病、平もち病は病葉が肥厚せず、表面は黄
緑色~黄色の円斑となり、のち裏側は白粉で覆われ
る。
〈防除法〉
(1)病 患 部 が 白 粉 で 覆 わ れ る 前 に 、 摘 み と り 処 分 す る 。 写 真 1 : サ ザ ン カ の も ち 病
センベイ状に膨らむ
(2)殺 菌 剤 に よ る 防 除 は 困 難 で あ る 。
【虫害】
1.チャドクガ
〈生態と防除のねらい〉
年2回の発生で、葉裏の卵塊で越冬し、幼虫は5~6月と8~9月に見られる。
群 生 し て 食 害 し 、土 中 で 蛹 に な る 。羽 化 は 6 ~ 7 月 と 10~ 11 月 で あ る 。成 虫 、幼 虫 、
マユ、卵塊とも毒刺毛を持つ。チャやナツツバキも加害するが、異常発生するとサ
クラ、コナラ、クリなども食害するようになる。
〈防除法〉
(1)
卵塊のある葉や群生幼虫を除去する。
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ツツジ、サザンカ
2.スギタニモンキリガ
〈生態と防除のねらい〉
幼虫はずんぐりしたイモムシで偕や花を内部から食害し、花が咲かなくなる。成
虫 は 10~ 11 月 に 羽 化 し 、 夜 間 花 芽 に 産 卵 す る 。卵 も し く は 成 虫 で 越 冬 。 2 月 頃 か ら
孵化幼虫は蕾に潜り食害を始める。被害蕾は幼虫が入ったまま落下し、4月に土中
でマユを作り夏をすごした後、9月頃蛹化する。
〈防除法〉
(1)落 花 を 集 め て 処 分 す る
3.チャノミドリヒメヨコバイ
〈生態と防除のねらい〉
成虫で越冬後、新芽の仲長が始まる3月下旬~4月上旬に現れ、新幼虫は4月中
旬以降に出現する。その後世代を繰り返し、新葉を吸汁加害する。7月から秋にか
けて密度が高まり、秋に雨が少ないと多発する。被害を受けると新芽の伸長が悪く
なり、新葉は萎縮、黄色化し、葉先から葉縁にかけて部分枯れをおこす。
〈防除法〉
(1)被 害 苗 を 植 え な い 。
(2)共 通 害 虫 コ ナ ジ ラ ミ 類 の 項 に 準 じ る 。
ツゲ、クサツゲ
【虫害】
1.ツゲノメイガ
〈生態と防除のねらい〉
幼虫がツゲ科の葉を食害する。新梢に糸を張り周りの葉を食う。若齢幼虫は葉を
透 か す よ う に 食 べ 、葉 は 半 透 明 に 見 え る よ う に な る 。激 し い 被 害 が 続 く と 木 を 枯 ら す
こともある。被害は4月末から始まり、9月頃まで年2~3回の発生。越冬は幼虫
態で、蛹化は被害部で行う。
〈防除法〉
共通害虫
ハマキガ類の項参照
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ナンテン
【病害】
1.紅斑病
Cercospora nandinae
〈生態と防除のねらい〉
夏頃から、葉の先端や周縁部に褐色小斑を生じ、のちに半円形またはくさび状に
拡大し、暗褐色の不整斑となる。病斑周縁は淡紅色からやがて鮮紅色になる。病斑
裏面に暗緑色すすかび状物が密生する。多発すれば頂部を残して全部落葉して翌年
の成育が不良になる。
〈防除法〉
(1)病 落 葉 及 び 冬 期 の 着 生 病 葉 を 新 葉 展 開 直 後 に 除 去 、 処 分 す る 。
(2)毎 年 発 病 す る 場 所 で は 、 予 防 的 に 殺 菌 剤 を 散 布 す る 。
ビャクシン(コニファー類)
【病害】
1.さび病
Gymnosporangium asiaticum G.yamadae
〈生態と防除のねらい〉
ナシ、ボケ、カリン、カイドウ、リンゴなどに発生するさび病(赤星病)の巾間
寄主である。2月上旬から葉や若枝上に明褐色の突起物が作られ、3~4月の雨天
時にはオレンジ色の寒天状に膨れて胞子を飛散し、ナシ・ボケなどに感染する。ビ
ャクシン類に実害は少ない。
〈防除法〉
(1)中 間 寄 主 を 近 く に 植 え な い 。
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ビャクシン(コニファー類)
【虫害】
1.イブキチビキバカ
〈生態と防除のねらい〉
幼虫で越冬し、5月、7月、8~9月の年3同成虫が発生する。幼虫は葉の中に
潜ってトンネル状に食害する。成虫の発生期に葉が赤変した枝を叩くと、小さな蛾
が一斉に飛び立つ。蛹化は粗皮の下のマユの中で行う。
〈防除法〉
(1)幼 虫 穿 入 期 に 強 く 剪 定 す る と 密 度 が 低 下 す る 。
4.マスダクロホシタマムシ
〈生態と防除のねらい〉
成 虫 は 体 長 1 cm 前 後 の 小 形 の 干 虫 で 、 幼 虫
( ※ 写 真 1) は 衰 弱 し た ヒ ノ キ や ス ギ の 樹 皮 下 を 食 害
する4月下旬から8月まで成虫は見られる。樹皮の
開に産卵し、幼虫は樹皮下を食害し、そのまま樹皮
下で蛸化、羽化後樹皮に楕円形の孔を開けて脱出する。
健全本では産卵されても若齢幼虫はヤニに巻かれて死
亡する。
コニファー類では切り枝で枯れ下がった部分から
侵 人 さ れ 、 健 全 部 の 樹 皮 下 ま で 食 害 を 受 け る ( ※ 写 真 2)。
写 真 1:体 調 I cm 前 後 の 小
形のタマムシで
す。樹皮の間に産
卵し、幼虫は樹皮
下を食害します。
〈防除法〉
(1)樹 勢 を 強 め る 。
(2)被 害 枝 条 部 の 除 去 と 消 却 。
写 真 2 :食 害 痕
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