111 シャリンバイ 【病害】 1.そうか病 Sphaceloma sp. 〈生態と防除のねらい〉 4~5月頃、葉や新梢に赤褐色の円形病斑が発生し、葉が変形するのが典型的病 徴である。また、葉にそうか型病斑が認められる場合がある。 病 原 菌 に つ い て は 、 Sphaceloma 属 菌 の 一 種 で あ る こ と は 判 明 し て い る が 、 種 名 は 不 明 で あ る 。 分 生 子 は 楕 円 形 ~ 紡 錘 形 、 無 色 、 単 胞 、 大 き さ は 5.8~ 12.9μ m×2.3 ~ 5.5μ m で あ る 。 菌 糸 は 5~ 30℃ で 生 育 し 、 最 適 温 度 は 25℃ で あ る 。 ま た 、 2006 年 に 報 告 さ れ た 新 病 害 で あ る こ と か ら 、 詳 細 な 伝 染 方 法 等 は 不 明 で あ る。 なお、所属する病原菌の属から推定して、春先の降雨により、旧葉の病斑部に形成 された分生胞子が、展葉直後の未硬化葉に飛散し感染しているものと考えられる。 なお、硬化した葉には感染しない。 〈防除法〉 (1)萌 芽 直 前 か ら 雨 よ け ハ ウ ス 等 で 管 理 す る 。 シャリンバイそうか病菌による 赤褐色円形病斑 シャリン 2.ごま色斑点病 ( Entomosporiummespili ) 〈生態と防除のねらい〉 初め紅色の少斑点が葉に発生し、やがて周囲に赤紫~黒紫色帯を伴う灰褐色で直 径 3~ 5 ミ リ の 円 形 と な る 。葉 裏 で は 紫 ~ 赤 紫 色 で 不 整 形 の 病 徴 を 示 す 。病 斑 中 央 部 には光沢のある黒色のかさぶた様の分生子層を生じ、後に亀裂を生じて白色粘質の 分生子塊を溢出する。さらに症状が進行すると激しく落葉する。春の新葉展開後秋 まで発病が継続するため、症状の激しい樹では全て落葉し、衰弱枯死することもあ る。本病は糸状菌によるもので、葉の表皮下に形成される分生子層上に球体~楕円 形で無色~淡黄色の数個の細胞から成る分生子を形成する。 病原菌は樹上や落下した病葉上で分生子として越冬し、翌春の第1次伝染源とな る。春から秋にかけて病葉上で分生子が多量に形成されるため、伝染が繰り返して 起こる。雨水などで伝染するため梅雨期や秋雨期で雨が多い場合、被害が拡大しや すい。さらに本病はベニカナメ、ビワなど多くのバラ科ナシ亜科樹木樹木に感染で きるため、これらの病植物間で互いに感染を繰り返し、病気が拡大することが知ら れている。 111 112 シャリンバイ 〈防除法〉 ○耕種的防除 (1)初 発 を な る べ く 早 く 見 つ け 摘 葉 す る 。落 下 し た 病 葉 も 株 元 に 放 置 せ ず 、除 去 す る。 ○薬剤防除 (1)薬 剤 散 布 は 梅 雨 期 、秋 雨 期 を 中 心 に 行 う が 、薬 剤 に よ る 防 除 だ け で は 不 十 分 な ので、必ず病葉の除去といった耕種的防除を併用する。 シラカシ 【病害】 1.枝枯細菌病 Xanthomonas campestris 〈生態と防除のねらい〉 当年生枝に濃褐色から黒色の病斑が発生し、病斑が枝を一周するとそこから先の 枝が枯れる。枝元から樹幹部に病斑が進展することもあるが、この場合がんしゅ状 になる。一度発生し始めると次々に周囲の木に伝染し、枯れ枝を摘み取っても枯れ 枝症状の再発を繰り返す。枝枯れによって樹形が悪くなるために、緑化樹として価 値が下がる。 1980 年 代 に 南 九 州 で 確 認 さ れ 、 被 害 は 九 州 各 地 に 急 速 に 拡 大 し た 。 本 県 で も 発 生 して いるが、詳細な伝搬方法等は不明である。寄主範囲はシラカシの他、アラカシ、シ リブカガシ、ウラジロガシ等のブナ科である。本県ではシロカシ、アラカシの被害 が大きく、ウバメガシ、マテバシイ等は被害が少ない。 〈防除法〉 (1)病 気 に 冒 さ れ た 枝 を 剪 定 す る 。 (2)登 録 農 薬 を 新 梢 伸 長 期 か ら 発 病 初 期 に 散 布 す る 。 枝枯れの発生状況① 枝枯れの発生状況② 112 113 ツツジ類 【病害】 1.花腐菌核病 Ovulinia azaleae 〈生態と防除のねらい〉 最初花弁に淡褐色の斑紋を生じ、次第に拡大して花全体がしおれる。花弁には円 状の黒色偏平の菌核が形成され、花弁とともに落下して、上中で越冬する。 4月 中旬以降、菌核から長い柄のある皿状のきのこが発生し、子のう胞子を飛散して伝 染する。雨が続く年には、つぼみのうちから被害が発生し、開花せずにしおれて実 害が激しくなる。 〈防除法〉 (1)し お れ た 花 弁 を て い ね い に 摘 み と り 処 分 す る 。 (2)開 花 期 間 中 は 、 出 来 る だ け 花 を 濡 ら さ な い よ う に 潅 水 や 降 雨 に 注 意 す る 。 2.褐斑病 Septoria azaleae 3.葉斑病 Pseudocercospora handelii 〈生態と防除のねらい〉 4 月 か ら 10 月 に か け 葉 が 侵 さ れ る 。 一 旦 被 害 が 発 生 すると連年被害が継続し被害も激しくなる。褐斑病は、 病斑周縁が次第に黄化して落葉するものが多く、病斑 上には微小な白色小粘塊が散生する。葉斑病は、葉脈 に区切られた3~5㎜大の褐色~暗褐色角斑を多数生 じ、病斑両面に淡緑灰色の毛ばだったすすかび状物を 多 数 形 成 す る (※ 写 真 1 )。 両 病 害 と も 、 一 部 の 病 葉 が 着 生したまま越冬し、それが翌春開葉期の伝染源になる。 〈防除法〉 (1)病 落 葉 ・ 着 生 病 葉 を 集 め 処 分 す る 。 (2)毎 年 発 生 す る 株 に は 、 開 葉 期 に 殺 菌 剤 を 数 同 散 布 す る 113 写真1:葉脈に区切られた褐色~ 暗褐色角斑を多数生じ 病斑両面に淡緑灰色の 毛ばだったすすかび状 物を多数形成する。 114 ツツジ類 Exobasidium japonicum,E.cylindrosporum,E.sakishimaense,E.sp. 裏 白 も ち 病 E.japonicum,E.otanianum 4 .も ち 病 平もち病 E.yoshinagai,E.magnusii,E.Kawanennse 〈生態と防除のねらい〉 も ち 病 は 、 新 葉 展 開 期 頃 (5 月 頃 )に 発 生 す る 。 新 葉 、 葉 柄 、 新 梢 が 肥 厚 し 、 光 沢 の あ る 淡 緑 色 を 帯 び た も ち 状 の 肥 大 部 を 生 じ 、奇 形 を 肌 す る (※ 写 真 1)。肥 大 部 は や がて白粉状物で覆われる。 裏白もち病、平もち病は新葉展開後5~6月頃発生 し、肥厚せず、患部裏面を円状の白粉が覆う。 〈防除法〉 (1)患 部 が 緑 味 を 帯 び 、 白 粉 状 に な る 前 に 切 除 処 分 す る 。 (2)殺 菌 剤 に よ る 防 除 は 困 難 で あ る 。 写真1:新葉、葉柄、新梢が肥大 し光沢のある淡緑色を帯 びたもち状の肥大部を生 じ、奇形を呈する 5.そうか病 Sphaceloma sp. 〈生態と防除のねらい〉 本 病 は 平 成 16 年 に 報 告 さ れ た 病 害 で 、現 在 、全 国 に 植 栽 さ れ て い る 久 留 米 ツ ツ ジ で 発 生 が 認 め ら れ て い る 。 葉 や 新 梢 に 赤 褐 色 、 円 形 で 径 1~ 3mm の 小 斑 点 を 発 生 す る のが特徴で、多発すると早期落葉し、枯死に至る。 病 原 菌 に つ い て は 、 Sphaceloma 属 菌 で あ る こ と は 判 明 し た が 、 種 名 は 明 ら か で は ない。病原菌は罹病葉や罹病枝内で越冬し、春季や秋季の降雨時に展葉直後の新葉 に感染する。このことから、主要感染時期は4~6月及び9月である。 品種間差があり、品種「暮の雪」や「花遊」及び「今狸々」には発生が多いのに 対して、品種「騏麟」や「筑紫紅」ではほとんど認められない。このことから、本 病が多発している圃場では、抵抗性品種に切り替えることが望ましい。本病は典型 的な雨媒伝染性病害であり、降雨を遮断すれば感染しない。また、柔らかい新葉に は感染するが、硬化した葉には感染しない。採穂用のツツジ樹を雨よけ条件下で栽 培すれば、無病苗を育成できる。 〈防除法〉 ○耕種的防除 114 115 ツツジ類 (1)無 病 苗 を 定 植 す る 。 (2)罹 病 樹 か ら 採 穂 し な い 。 (3)採 穂 用 の ツ ツ ジ は 雨 よ け 条 件 下 で 栽 培 す る 。 葉に発生した赤褐色の病斑 庭園のツツジに発生した落葉被害 【害虫】 1.グンバイムシ類(ツツジグンバイ、トサカグンバイ) 〈生態と防除のねらい〉 ツツジグンバイはサツキ及びツツジ類全般を、トサカグンバイはオオムラサキ、 ヨ ド ガ ワ 、ヒ ラ ド ツ ツ ジ を 加 害 す る 。前 者 は 翅 が 大 き く 、た た ん だ と き は 淡 褐 色 の X 状の斑紋ができるのが特徴である。また、後者は翅の斑紋が黒褐色で光沢があり、 前者に比べやや細長い体形をしている。 ツ ツ ジ グ ン バ イ は 主 に 卵 態 で 越 冬 し 、4 月 中 下 句 か ら ふ 化 し 始 め 、年 3 世 代 を 繰 り 返す。各世代の成虫の発生時期はおおよそ5月中旬、7月中旬、9月下旬である。 幼虫・成虫とも葉裏に棲息し、吸汁加害する。被害葉は白くなり著しく外観を損な う。加害が進むと落葉の原因にもなる。防除は、第1世代幼虫が出そろう4月下句 ~5月上旬に行うと効果的である。 トサカグンバイはアセビの葉肉内で卵態で越冬し、3月下句~4月中下句 にふ化 する。その後、第1世代成虫は5月上句に現れ、ツツジ、カキ、ネジキ等に移動し 増 殖 す る 。さ ら に 、第 2 世 代 成 虫 は 7 月 上 中 句 よ り 、第 3 世 代 成 虫 は 8 月 上 句 よ り 、 第4世代成虫は9月下句より発生し、越冬のため再びアセビに戻って産卵する。 〈防除法〉 (1)ア セ ビ を 近 く に 植 え な い 。 (2)樹 勢 を 強 く 保 つ 。 115 116 ツツジ類 2.ベニモンアオリンガ 〈生態と防除のねらい〉 幼虫がツツジ、サツキ類の新葉や菅を食害する。小枝上のマユ内の蛹で越冬し、 幼虫は4月下旬、6月下旬、8月下旬の3回発生する。第一、第二世代幼虫は葉を 食害し、三世代幼虫は蕾に食入するので、翌年に花が咲かなくなる。 〈防除法〉 (1)被 害 蕾 を つ み 取 り 処 分 す る 。 (2)越 冬 マ ユ を か き 取 る 。 3.モシクソハムシ 〈生態と防除のねらい〉 5~6月頃ツツジ、サツキの葉が坊主になり、小枝上にネズミの糞のような袋を か ぶ っ た 小 さ な 虫 が 付 着 す る の で 判 別 で き る 。 成 虫 は 3 mm 程 度 の 黒 色 棒 状 の ハ ム シ で、7月に現れ地上に産卵する。8月上旬に孵化した幼虫は排泄物で黒褐色の袋を 作りそれを被って歩行食害する。そのまま越冬し、4月下旬から食害を開始し、6 月下旬に蛹化する。 〈防除法〉 (1 )7 ~ 8 月 に 地 上 に 細 砂 を 敷 く と 、 産 卵 予 防 に な る 。 4.ルリチュウレンジ 〈生態と防除のねらい〉 幼虫は群棲して葉や蕾を食害する。成虫は青藍色のハバチで、土中のマユ内で越 冬し、年3回の発生。最初の幼虫は5月から孵化し加害を始める。産卵は葉縁の組 織内に行い、幼虫は葉表で一列に並び食害するが、成長とともに分散する。 〈防除法〉 (1)5 月 に 葉 が 少 な く な っ た ら 、 葉 裏 を 探 し 群 生 幼 虫 を 捕 殺 す る 。 116 117 ツツジ、サザンカ 【病害】 1.環紋葉枯病 所属不詳 〈生態と防除のねらい〉 4 ~ 6 月 と 9~ 10 月 、 葉 に 発 生 す る 。 最 初 赤 褐 色 の 小 斑 点 を 生 じ 、 急 激 に 拡 大 し て 1~ 2 cm の 大 型 の 輪 紋 円 斑 と な る (※ 写 真 1)。 病 斑 は 1 葉 に 1 ~ 2 個 と 少 な い が、病葉は黄化して早期に落葉する。激害樹では樹勢 が衰え、枝枯れを生ずる。病斑上には、黄色~淡褐色 の小さく盛り上がったきのこ状の菌体が形成される。 写真1:葉に赤褐色の小斑点を生じ、 拡大して輪紋円斑となる 〈防除法〉 (1)病 葉 を 早 期 に 摘 み と り 、 病 落 葉 は 集 め て 処 分 す る 。 2.もち病 粉もち病 平もち病 Exobasidium gracile,E. camelliae. E.nudum E.sasanqua 〈生態と防除のねらい〉 新葉が僅かに展葉する頃から、新梢部や葉が侵される。ツバキではもち状に、サザ ン カ で は セ ン ベ イ 状 に 膨 ら む ( ※ 写 真 1)。 最 初 は 、 光 沢 の ある淡緑色を呈するが、やがて白粉状物で覆われる。 病患部は褐変乾固し、ミイラ状になって長く樹上に 着生して美観をそこねる。 粉もち病、平もち病は病葉が肥厚せず、表面は黄 緑色~黄色の円斑となり、のち裏側は白粉で覆われ る。 〈防除法〉 (1)病 患 部 が 白 粉 で 覆 わ れ る 前 に 、 摘 み と り 処 分 す る 。 写 真 1 : サ ザ ン カ の も ち 病 センベイ状に膨らむ (2)殺 菌 剤 に よ る 防 除 は 困 難 で あ る 。 【虫害】 1.チャドクガ 〈生態と防除のねらい〉 年2回の発生で、葉裏の卵塊で越冬し、幼虫は5~6月と8~9月に見られる。 群 生 し て 食 害 し 、土 中 で 蛹 に な る 。羽 化 は 6 ~ 7 月 と 10~ 11 月 で あ る 。成 虫 、幼 虫 、 マユ、卵塊とも毒刺毛を持つ。チャやナツツバキも加害するが、異常発生するとサ クラ、コナラ、クリなども食害するようになる。 〈防除法〉 (1) 卵塊のある葉や群生幼虫を除去する。 117 118 ツツジ、サザンカ 2.スギタニモンキリガ 〈生態と防除のねらい〉 幼虫はずんぐりしたイモムシで偕や花を内部から食害し、花が咲かなくなる。成 虫 は 10~ 11 月 に 羽 化 し 、 夜 間 花 芽 に 産 卵 す る 。卵 も し く は 成 虫 で 越 冬 。 2 月 頃 か ら 孵化幼虫は蕾に潜り食害を始める。被害蕾は幼虫が入ったまま落下し、4月に土中 でマユを作り夏をすごした後、9月頃蛹化する。 〈防除法〉 (1)落 花 を 集 め て 処 分 す る 3.チャノミドリヒメヨコバイ 〈生態と防除のねらい〉 成虫で越冬後、新芽の仲長が始まる3月下旬~4月上旬に現れ、新幼虫は4月中 旬以降に出現する。その後世代を繰り返し、新葉を吸汁加害する。7月から秋にか けて密度が高まり、秋に雨が少ないと多発する。被害を受けると新芽の伸長が悪く なり、新葉は萎縮、黄色化し、葉先から葉縁にかけて部分枯れをおこす。 〈防除法〉 (1)被 害 苗 を 植 え な い 。 (2)共 通 害 虫 コ ナ ジ ラ ミ 類 の 項 に 準 じ る 。 ツゲ、クサツゲ 【虫害】 1.ツゲノメイガ 〈生態と防除のねらい〉 幼虫がツゲ科の葉を食害する。新梢に糸を張り周りの葉を食う。若齢幼虫は葉を 透 か す よ う に 食 べ 、葉 は 半 透 明 に 見 え る よ う に な る 。激 し い 被 害 が 続 く と 木 を 枯 ら す こともある。被害は4月末から始まり、9月頃まで年2~3回の発生。越冬は幼虫 態で、蛹化は被害部で行う。 〈防除法〉 共通害虫 ハマキガ類の項参照 118 119 ナンテン 【病害】 1.紅斑病 Cercospora nandinae 〈生態と防除のねらい〉 夏頃から、葉の先端や周縁部に褐色小斑を生じ、のちに半円形またはくさび状に 拡大し、暗褐色の不整斑となる。病斑周縁は淡紅色からやがて鮮紅色になる。病斑 裏面に暗緑色すすかび状物が密生する。多発すれば頂部を残して全部落葉して翌年 の成育が不良になる。 〈防除法〉 (1)病 落 葉 及 び 冬 期 の 着 生 病 葉 を 新 葉 展 開 直 後 に 除 去 、 処 分 す る 。 (2)毎 年 発 病 す る 場 所 で は 、 予 防 的 に 殺 菌 剤 を 散 布 す る 。 ビャクシン(コニファー類) 【病害】 1.さび病 Gymnosporangium asiaticum G.yamadae 〈生態と防除のねらい〉 ナシ、ボケ、カリン、カイドウ、リンゴなどに発生するさび病(赤星病)の巾間 寄主である。2月上旬から葉や若枝上に明褐色の突起物が作られ、3~4月の雨天 時にはオレンジ色の寒天状に膨れて胞子を飛散し、ナシ・ボケなどに感染する。ビ ャクシン類に実害は少ない。 〈防除法〉 (1)中 間 寄 主 を 近 く に 植 え な い 。 119 120 ビャクシン(コニファー類) 【虫害】 1.イブキチビキバカ 〈生態と防除のねらい〉 幼虫で越冬し、5月、7月、8~9月の年3同成虫が発生する。幼虫は葉の中に 潜ってトンネル状に食害する。成虫の発生期に葉が赤変した枝を叩くと、小さな蛾 が一斉に飛び立つ。蛹化は粗皮の下のマユの中で行う。 〈防除法〉 (1)幼 虫 穿 入 期 に 強 く 剪 定 す る と 密 度 が 低 下 す る 。 4.マスダクロホシタマムシ 〈生態と防除のねらい〉 成 虫 は 体 長 1 cm 前 後 の 小 形 の 干 虫 で 、 幼 虫 ( ※ 写 真 1) は 衰 弱 し た ヒ ノ キ や ス ギ の 樹 皮 下 を 食 害 する4月下旬から8月まで成虫は見られる。樹皮の 開に産卵し、幼虫は樹皮下を食害し、そのまま樹皮 下で蛸化、羽化後樹皮に楕円形の孔を開けて脱出する。 健全本では産卵されても若齢幼虫はヤニに巻かれて死 亡する。 コニファー類では切り枝で枯れ下がった部分から 侵 人 さ れ 、 健 全 部 の 樹 皮 下 ま で 食 害 を 受 け る ( ※ 写 真 2)。 写 真 1:体 調 I cm 前 後 の 小 形のタマムシで す。樹皮の間に産 卵し、幼虫は樹皮 下を食害します。 〈防除法〉 (1)樹 勢 を 強 め る 。 (2)被 害 枝 条 部 の 除 去 と 消 却 。 写 真 2 :食 害 痕 120
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