資料1 平成 28 年 12 月7日 結婚の希望を叶える環境整備に係る検討の論点(案) ※朱書き部分は、第3回検討会における主な意見(第3回の後に事務局宛に頂い た意見を含む。)。第2回までと同様の意見が出た事柄については適宜整理し て記載している。 1.国や自治体が結婚支援の充実に取り組む中で、企業・団 体・大学等において自主的に行うことができる具体的取 組としてどのようなものが考えられるか <これまでの検討会における主な意見> ・ 企業の立場としても、自治体や商工会議所等の団体が行う取組に企業が 自主的に協力していくことは一つの形としてあるだろう。 ・ 自治体のコーディネート・支援を前提に、既婚社員が後輩の独身社員の 結婚・婚活を支援する婚活メンターを企業に設置し、自治体の結婚支援の 取組の周知等を行う方法もある。 ・ 自治体のマッチングシステム登録やセミナー参加の声かけ・ポスター掲 示等をするだけでも違う。ただし、そのような場合にもハラスメントにな らないよう留意する必要がある。 ・ 信頼できる、安心して同僚と付き合える、良好な人間関係のネットワー クを構築できている職場での出会いは結婚に結びつきやすいのではないか。 ・ 企業においてまず取り組むべき基本的な課題は、働き方改革を通じたワ ーク・ライフ・バランスの推進や、若者が継続して就業し、安定した収入 を得られるような環境の整備。 ・ ワーク・ライフ・バランスは子育てをしている社員の応援と認識してお り、子育てをしている社員の短時間勤務による仕事のしわ寄せを独身社員 が対応するという誤った展開をしている企業も少なくない。結婚したいと 考えている独身者にも、オフの時間を与えて、結婚を考えるような時間の 確保ができるように、働き方改革と結婚支援を連動して進められることが 期待される。 ・ 例えば、入社2、3年時に研修期間を置くことでワーク・ライフ・バラ ンスを確保しやすくするといった間接的な環境づくりもよい。 ・ 家事・育児をする男性が増えるような取組を進めることも必要ではない か。産休期間中に、男性の休暇取得を推進するのもよい。 ・ 企業による学校等におけるライフプランセミナー等の出張事業を実施 することも考えられる。 1 ・ 仕事以外にも若者同士が話をする機会を増やすことが必要。 ・ 結婚支援を目的としない緩やかな異業種間交流のような場が増えるとよい。 ・ 企業・団体等による取組には、自社従業員向けの取組もあれば、地域の 独身者向けの取組もある。また、お見合い相手の紹介や出会い交流会の開 催などより直接的な結婚支援であって負担が重い取組もあれば、社外での 研修制度の創設など必ずしも結婚支援を目的とせず負担も軽い取組もあ り、広く捉えるべきではないか。例えば、飲料会社が、自社の社員に対し てではなく世の中一般に対して、自社の製品を使って出会いのきっかけの 交流会を開催する、といった自社のビジネスとも絡めながら地域の独身者 向けに結婚支援を展開していくということも考えられる。 ・ 出会いの交流会の開催について、いわゆる社会貢献(CSR 活動)として行 ってもよいし、例えば、喫茶店やレストランが出会いの交流会を開催し、男 女が一緒に食事をし、交流するというように、本業を生かした様々な CSV 活 動としての取組も考えられる。 ・ 出会いの機会の提供としては、まだ結婚を考えてはおらず、結果的に結 婚につながるか分からない、広い意味での出会いの機会と、結婚したいと 思っている人たちがパートナーを探すための出会いの機会との2つがあ る。それぞれの支援の仕方は違うと考えられるが、両方重要である。 ・ 企業内のコミュニティー活動支援については、あれこれ指導するよりも、 社員の自主性に任せた方が、積極的な取組がなされるのではないか。ただ し、支援した資金の使途の報告を求め、透明性を担保すること、楽しいと いうことを他の社員に広めてもらうことが大事。 ・ 社内外で積極的にコミュニケーションをとるためのイベント等の取組につ いては、会社が補助を行うというところもあるかもしれないが、逆に参加費 をとっても喜んで集まってくる、家族も連れてくるというケースもあり、そ のような取組は、会社が関与して大いにやっていけばよい。 ・ 従業員に自社製品の楽しさを発見してもらうイベント等の一環として 出会いの機会を提供する取組を行う方法もある。地域の企業として地域活 性化・地域おこしの観点も重要であるし、従業員も地域の一部であり、ま ずは従業員に楽しんでもらうという意識が重要ではないか。 ・ 本質的には、働き方改革や女性活躍の環境整備が重要であるが、今の若 者の要望に沿って、それぞれの会社ができる出会いの場の創出の仕組みづ くりを考えていくのもよい。単発の場をつくるというより、仕組みづくり を考えなければ続かない。 ・ 就職活動のときに、子供が生まれてから受けられるサポートや、結婚した 社員がどこまで働けているのかということが分かるとよいのではないか。 2 ・ 職制等の中で動くと反発が出て成果が出ず、むしろ任意の集まりの中で の取組の方がうまくいくということもある。労働組合の機会の活用や、企 業コンソーシアム型での取組など、知恵の出しどころではないか。 ・ 法人会など企業組織が活動するに当たっては、地域に基づいた事務局が ないことが課題であり、基礎自治体との連携が必要である。 ・ 上下関係のある組織よりも商工会議所のような横のつながりのある組 織の方が取り組みやすい。 婚活支援事業を実施した商工会議所の 88%は、 参加者から概ね好評であったとの評価が出ており、地域の商工会議所が開 催しているということが、安心感を与えている様子。 ・ 中小企業では、企業の垣根を越えて交流する機会がないため、婚活色を 薄くして独身者の企業間交流会を開くことは、横のつながりのない独身者 を抱える企業にとってもメリットになり得る。 ・ 出会う段階の取組と出会ってから結婚を決断するまでの段階の取組と の両方を考えていかなければいけない。 ・ 親が専業主婦のため、家庭と仕事の両立がイメージできない若者には、 多様なロールモデルに出会う機会を提供したり、結婚が身近に感じられな いという若者には、家族形成に当事者意識を持てるような機会を提供する ことが必要ではないか。 ・ ライフプランニング支援については、テキストベースではなく、実際に 身近な人から聞いたり、触れ合いや体験を通して学ぶことが重要。 ・ ライフプランニング支援策として、自治体が企業に講師を直接派遣し、 講座を開催するとともに、その取組を企業等に周知し、企業の取組の拡大 を図るという方法もある。 ・ ライフプランニング支援については、自治体が講座のメニュー例を示した 上で、企業がそれぞれの社内の雰囲気に合った支援の在り方を考え、講座の 企画等を企業自らが行って講座を実施する方法もある。また、結婚は個人の 自由によるものであり、独身従業員が押付けに感じることは避けるべき観点 から、結婚色の強いものから弱いものまで講座メニューの選択肢は幅を持た せることが望ましい。 ・ 大学生へのライフプランニング支援について、大学生の多くは、次の進 路は社会に出ていくことになるので、より具現化し、短期間でそれぞれの 将来を見据えたキャリア教育がなされなければいけないと思う。その際に、 目の前の就職や結婚から、少し遠い将来の家族形成などを見つめていくよ うな教育が必要。どこかに就職する、何になるということではなく、どう 生きるかということを根本的に考えることが、将来、家庭をつくり、命を つないでいく、学生に希望を与えるということにつながるのではないか。 3 ・ ライフプランニング支援については、高校生向けにもライフプランニン グの授業、ロールモデルの提供、育児講話などがあればよい。 ・ 結婚意欲の高い人には、民間サービスの活用もあるのではないか。例え ば、特に都市部では、福利厚生として民間サービスを使う従業員に多少資 金を援助するなどの支援を行っても良い。 2.取り組むに当たって留意すべき点は何か <これまでの検討会における主な意見> ・ 若者たちの間では、結婚や子供を産むことへの押し付けに対して、相当 な拒否感がある。 ・ 価値観が多様化する中で、多くの企業が、ダイバーシティ経営を進めて いる。こうした状況下、企業による結婚支援の取組が価値観の押付けと捉 えられないように留意する必要がある。 ・ 立地や職場の男女比、職場環境など企業の実情は多様であり、企業ごと、 職場ごとに参加する人の判断は相当異なってくる。個の侵害に当たるよう なものは、厳に慎む前提で、参加できる職場・人が参加するということに なるだろう。 ・ 企業等による結婚支援については、それを利用したいという明確な従業 員の意思表示がある場合、手法等にもよるが、ハラスメントとは捉えられ にくい。ただし、特に参加を希望しない人が行くことを強制されたと思う と、パワハラになる可能性がある。 ・ 男性だから又は女性だから、早く結婚しなさい、早く出産しなさいなど 性別役割分担意識に基づくような発言をすることは、雇用機会均等法上の 問題がある。 ・ 特に、性的マイノリティの従業員にとって、異性とのカップリングや結 婚を会社から勧められることは、苦痛であり、職場環境を阻害し、ハラス メントに該当する可能性がある。 ・ 2017 年1月1日に改正均等法及び改正育児介護休業法が施行され、事 業主は、妊娠・出産・育休等に限らず、広くハラスメントに対する措置義 務がある。結婚支援について苦情・相談が寄せられた場合は適切に対応す る必要がある。 ・ (訴訟リスクについて、)希望しない人に結婚支援に当たるような取組 をすれば、上司であれ、同僚であれ、ハラスメントと捉えられるリスクは ある。しかし、すぐに訴えるという話になるのは、そもそもの信頼関係に 問題がある。 4 ・ 上司の結婚に関する発言等がハラスメントに該当するリスクは、結婚以 外の事例と同じ問題であり、部下のマネジメントの中で、ハラスメントに ついてきちんと考えるべき。 ・ 企業は組織体であり、業務遂行に当たっては上意下達が構造化されてい るため、上司から言われれば、部下は業務命令として受け取りかねない状 況も生じ得る点に留意する必要がある。 ・ イベントの開催案内がハラスメントになることが懸念される場合には、 例えば、食堂の横などにカードサイズのイベントの開催案内などを置いて おき、興味がある従業員に取ってもらうという方法もあるのではないか。 3.企業・団体・大学等を含め社会全体として取り組みやす い機運の醸成はどう進めるべきか <これまでの検討会における主な意見> ・ 企業の取組の実態についての調査が必要ではないか。 ・ (企業・団体に聞き取りを行った感触として)独身でいる従業員の未婚 化、晩婚化に対して、何らか支援しなければいけないという意識のある企 業・団体も多いのではないか。 ・ 企業・団体・大学等を巻き込んで新たな取組をする際には、経営者だけ でなく、取組の担当者にも十分に説明するなど、結婚支援のへの理解がな ければ、どのような取組もうまくいかない。 ・ 社会全体の機運醸成を図るに当たっては、企業の取組に過度に依存する のではなく、特に結婚・妊娠・出産・子育てに関する正しい知識や家族や コミュニティーの重要性、円滑なコミュニケーションの方法等について学 ぶ機会の提供など、学校等の協力も必要である。 ・ 各企業、同一企業内でも各部署によって状況は大きく異なるため、自治 体等への協力の是非は、各企業が自主的に判断するべき。協力の是非によ って、企業に対する自治体の評価が大きく変わるなど、何らかの強制力が 働かないよう留意する必要がある。 ・ 企業における結婚支援の活動は、その企業がハラスメント防止とリスク マネジメントが可能と判断する範囲に限定され、その内容は現場の状況を 踏まえた各企業の判断に委ねられるべき。 ・ 複数の会社で一般社団法人を設立するなどして会社とは別組織という 意味でインフォーマル組織として活動する利点として、従業員の自主性を 尊重しながら、人生を豊かにする活動を会社が支援していくことができる こと、インフォーマルであるがゆえに思い切って旗を振ることができるこ とが挙げられる。 5 ・ 妊娠・出産・子育ての段階についての民間の取組を応援する制度として、 くるみん・プラチナくるみんの制度があるが、結婚の段階についても、企 業・団体等のメリットとなるような認定制度をつくるべき。 ・ 認定制度を創設するとなると、価値観が多様化する中で、従業員の受け 取り方にも十分配慮する必要があり、企業の負担は大きい。また、結婚支 援の取組を実施しない企業が「悪い企業」と評価されることがないよう、 企業におけるリスクを十分に考慮し、慎重に検討すべき。 ・ 企業・団体等の結婚支援の取組を、結婚支援を直接の目的とせず負担も軽 い取組も含めた広い範囲で捉えていくことで、企業・団体等の活動の活発化 を促し、社会全体として結婚支援の機運が高まっていくことが望ましい。 ・ 多様な働き方の推進や社内コミュニティー活動支援などに取り組むに 至る一番大きな契機は、トップの決意である。トップ自らが育休をとって 実践するなどにより、ロールモデルになることも必要ではないか。 ・ 企業はメリットがなければ動かない。結婚は個人の選択によるものであ るが、例えば、晩婚化が進行すれば、40 代に産休や育休をとる人が増加す ることになるが、20 代に産休や育休をとる人が増えれば、代替要員の確保 や費用が抑制されることになる。 ・ 例えば、経済団体、農林水産団体、労働団体など、県内の主要な企業・団 体が連携した既存の協議会があるので、県の支援センターがコーディネー トするなどして、当該協議会に結婚支援の観点も少し入れて、各団体に当 事者意識を持っていただくこともよいのではないか。 4.国・自治体の支援はどうあるべきか <これまでの検討会における主な意見> ・ 結婚等への価値観の多様化する中で、個人に特定の価値観を押し付けた り、プレッシャーを与えたりすることがあってはならないことに留意しな ければならない。 ・ 結婚支援に関する反応は、都市部と地方で大きな認識のギャップがある。 人口流出で悩む地域では、行政のみならず、地元企業の経営者たちも、結 婚支援が地域の持続可能性を高めて、企業の持続可能性も高めると考えて いる。 ・ 国や自治体は、企業に取組を促していくときには、同時に、企業におい て留意すべきリスクについても注意喚起を行うことが必要。 ・ 国は、地域少子化対策重点推進交付金を有効活用しモデル事業により、 取組の効果を検証した上で、優良事例の横展開を進めるべき。地域少子化 6 対策重点推進交付金を有効活用し、国が企業・団体・大学等の取組事例を 収集し、全国に横展開すべき。モデル事業としての取組例としては、例え ば以下のようなものが考えられる。 ・企業等の結婚支援に係る調査(取組実態、従業員ニーズ等) ・自治体による結婚支援の取組の情報提供 ・結婚支援窓口の設置(外部相談員の配置)・情報共有 ・企業内の婚活メンター(サポーター)の設置・育成・情報共有 ・複数企業間における交流の機会の提供 ・ロールモデルの提示などライフプランニング支援 ・ 直接の結婚支援だけではなく、社会活動のためのコミュニティーを推進 する取組もモデル事業に組み込むべき。 ・ モデル事業とする企業・団体等による取組内容については、全国一律に しゃくし定規に考えるべきではなく、地域性も配慮して考えるべき。 ・ 若者を多く吸収している都市部における課題の整理とその解決策を提 示していく必要がある。 ・ 妊娠・出産・子育ての段階についての民間の取組を応援する制度として、 くるみん・プラチナくるみんの制度があるが、結婚の段階についても、企 業・団体等のメリットとなるような制度をつくるべき。(再掲) ・ 認定制度を創設するとなると、価値観が多様化する中で、従業員の受け 取り方にも十分配慮する必要があり、企業の負担は大きい。(再掲) ・ 認定制度の創設については、結婚支援の取組を実施しない企業が「悪い 企業」と評価されることがないよう、企業におけるリスクを十分に考慮し、 慎重に検討すべき。(再掲) ・ 企業等の取組の広がりや進捗状況を踏まえつつ、結婚支援で効果を上げ ている取組やほかの企業でも着手できそうな取組を表彰するなど、良い取 組を広げることを、行政には検討してもらいたい。その際には、企業個々 の実情に配慮することは当然である。 ・ 物事を中長期的に考えるライフプランニングは、リスクマネジメントで ある。自治体におけるライフプランニング支援の取組は進められているが、 今後は、企業、団体、大学、高校等が、社員や学生向けの支援に取り組み やすいように、行政が支援ツールを提供するなど、推進策を進めてもらい たい。 ・ 自治体から企業団体等が事業を受託する場合等において、広報や公共施 設の柔軟な利用など、自治体と受託団体間で十分に連携し、事業の効果を 上げていくことが必要(県と市町村が協力して行う事業において当該県と 市町村の間の連携強化を含む。)。 7
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