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“PEOPLE ON WAR” 調査
スナップショット
戦争に関する様々な問題についてどのような見解を持っているのか、2016年6月から9月にかけて、16カ国1万
7000以上の人々に質問しました。調査はWINギャラップ・インターナショナル(本部スイス・チューリッヒ)が調査対
象国のパートナーの協力を得て実施。実際の質問に対する回答者の見解と分析結果を、インフォグラフィックス
で分かりやすくまとめました。約20年前の1999年に実施した同様の調査での質問を今回も多数投げかけ、比較
分析結果も提示しています。
主要な調査結果
•
•• 紛争下にある国々に住んでいる人々は、「法制度が
重要である」と考えている。戦争に一定の制限を加え
ることに「意義がある」としたのは、回答者の三分の
二以上。紛争の影響を受けている国々での調査で
は、回答者の半数以上が「ジュネーブ諸条約がある
からこそ戦争の悪化に歯止めがかかっている」と考
えていることが分かった。
• 非国家主体を含む全ての紛争当事者は、国際人道
法で求められている人々の命と尊厳を守るという義
務を果たさなくてはならない。武力紛争当事者へのサ
ポートは、法律をどこまで遵守しているのか見極めて
からにすべきである。
• 医療に対する攻撃は「容認できない」ということが浮き
彫りとなった。病院や救急車、医療従事者への攻撃
は「許されるべきではない」と回答者の四分の三以
上が答えた。
•• 国際連合安全保障理事常任任理事国(以下、常任理
事国)とスイスに住む回答者は、一般市民が戦争に
巻き込まれ犠牲になることは「ある程度は致し方な
い」と考える傾向にある。また、1999年の結果と比較
するとその割合が高くなっている。
•• この20年間で、拷問に対する人々の考え方が変化し
てきたことがうかがえる。2016年調査では回答者の
三分の二以上が、拷問を「許すべきではない」と回答
した。しかし、敵対する戦闘員に対する拷問の是非
については、1999年と比べると、「非」とする回答者数
は減っている。また、「分からない」、「回答したくな
い」を選んだ人が大きく増えている。
• 一般市民や病院、人道支援従事者への攻撃は許さ
れない行為だと信じている一般大衆と、実際にこのよ
うな行為を行っている各国や武装グループ、罰則規定
のない政策の間にかい離があることも判明した。
For more information: www.icrc.org/peopleonwar
•• 各国政府や武装グループは、法律を破った者には責
任を問うなど、国際人道法の遵守を強化するという政
治的意思を表明する必要がある。
•• 武力紛争下で傷病者への治療を拒否すれば、国際
人道法違反である。敵対する戦闘員が負傷した場合
など、人々をどのように処遇し対応するのかが重要で
あり、戦闘が終わった後のコミュニティの再建にも影
響を及ぼす、ということを全紛争当事者が理解してお
くべきである。
•• 拷問は違法で、いかなる状況にあっても許容される
べきではない。紛争の全当事者が法律を守らなくて
はならない。拷問は人の道から外れた行為であり、社
会を不安に陥れる可能性がある。拷問した者は、訴
追され罰を受ける必要がある。
危機に立つ医療
敵対する相手の力を弱めるために、病院や救急車、医療従事者を攻
撃することは、悪いことですか、それとも戦争の一部であって仕方が
ないと考えますか?
調査対象10人中8人が、「悪い」と回答。紛争下にある
国では、その傾向が強まる。
82%
89% 79%
13%
9% 15%
戦争の一部
悪い
グローバル
4%
1% 5%
1%
分からない
1% 1%
回答したくない
常任理事国・スイス
武力紛争下にある国々
武力紛争について、自分の考えを最もよく表しているのは?
a. 医療従事者は、味方の傷病者だけを治療すべき
b. 医療従事者は、敵味方の区別なく傷病者を治療すべき
10人中7人が、「医療従事者は敵味方の区別なく傷病者を治療すべき」と回答。しかし、調査対象者の四分の三は、「医療従事者
は味方のみを助けるべき」と回答し、この傾向は武力紛争下にある国々で強かった。*
回答したくない
1%
5%
分からない
71%
23%
医療従事者は敵味方の区別な
く傷病者を治療すべき
医療従事者は味方の傷病者
を治療すべき
*武力紛争下にある国に住む人々の25%が、「医療従
事者は味方の傷病者のみを助けるべき」と回答
拷問
回答者の三分の二が拷問は「許されない」と答えた。しかし、情報を得るために敵対する戦闘員を拷問しても「問題
ない」と考える人の人数は、2016年の回答者のほうが1999年より大きく上回っている。また、「分からない」、「回答し
たくない」を選んだ人の数も増えている。下図にある通り、拷問に対しては16カ国で多様な見解があるということも明
らかになった。
拷問は許されない行為ですか、
戦争の一部だと考えますか?1
許されない
66%
27%
分からない 5%
回答したくない 2%
戦争の一部
軍の機密情報を入手するためであれ
ば、敵対する戦闘員への拷問は許され
ると思いますか?
許されない
48%
36%
許される
13%
回答したくない 3%
分からない
66%
48%
36%
16%
28%
6%
1999
1
許されない
なかったため、2016年との比較は困難。
イエメン
スイス
コロンビア
アフガニスタン
ウクライナ
フランス
中国
シリア2
英国
ロシア
イラク
ナイジェリア
南スーダン
米国
イスラエル
パレスチナ
100%
許される
分からない/回答したくない
99%
86%
12%
85%
2%
14%
83%
16%
72%
18%
71%
15%
3% 3%
71%
79%
18%
1% 1%
65%
1%
62%
2% 3%
56%
24%
73%
23%
72%
19%
15%
1%
14%
75%
1%
85%
80%
8% 1%
18%
56%
2% 4%
53%
33%
68%
30%
1%
52%
21%
1%
51%
44%
7%
50%
2%
30%
46%
5%
29%
70%
3%
25%
38%
58%
23%
54%
33%
44%
35%
38%
戦争の一部
11%
13%
52%
分からない
13%
10%
1% 1%
13%
12%
17%
26%
3%
5%
9%
39%
26%
61%
2% 7%
26%
20%
1%
13%
20%
69%
2
許されない
2016
1999年の調査ではこの質問が項目に入ってい
5%
13%
17%
2%
10%
1% 4%
21%
3%
21%
3%
1%
50%
17%
8%
イエメン
コロンビア
スイス
中国
フランス
シリア2
ロシア
南スーダン
アフガニスタン
パレスチナ
ウクライナ
イラク
英国
米国
ナイジェリア
イスラエル
レバノンに住むシリア人
回答したくない
許されない
許される
分からない
回答したくない
戦時下の振る舞い
多くの市民の命が犠牲になることが分かっていながら、人口が
過密した村で敵対する戦闘員を攻撃することは間違っていると
思いますか、それとも戦争の一部で仕方がないと考えますか?
68%
全回答者の10人中6人が「間違った行為」と回答。1999年と
比較すると10%低下している。紛争下にある国々と常任理事
国・スイスでは、数字の差異が際立っている。前者は10人中8
人が「間違っている」と回答したのに対し、後者ではその数が
半数の5人にとどまった1 。
30%
59%
34%
3%
7%
1999
2016
12016年の調査では、紛争下にある国に住む人々の78%、常任理事国・スイスの50%
間違っている
が、「間違った行為」と回答した。
敵を弱体化させるために、宗教や文化的な
遺跡を破壊することは間違っていますか、そ
れとも戦争の一部だと考えますか?
多くの回答者が「間違った行為」と回答し、紛争の影
響にある国ではその傾向が強まった。
間違っている
戦争の一部
分からない/回答したくない
人道支援従事者が活動最中に負傷したり命を
奪われることがありますが、これは間違っていま
すか、それとも戦争の一部だと考えますか?
間違っていると回答したのは全体の59%。常任理事国・ス
イスでは、「間違っている」と考えるのは50%を少し上回る程
度で、40%が「戦争の一部」と考えていることが分かった。
72%
59%
84%
66%
73%
53%
戦争の一部
21%
35%
12%
25%
25%
40%
分からない
6%
4%
3%
8%
2%
6%
グローバル
武力紛争下にある国々
常任理事国・スイス
第二次世界大戦後に採択された1949年のジュネーブ諸条約から約70年が経ちました。
現代の戦闘は当時とは様相が異なりますが、それでも戦争に制限を設けることは必要
だと考えますか2?
戦争に制限を設けることは「必要」と回答者の三分の二が考えている。紛争の影響に
ある国々では、この傾向が強くなる。
1%
15%
67%
グローバル
•• 4292/002 12.2016
1%
17%
70%
1%
10%
紛争下にある
国々
20%
67%
16%
常任理事国
・スイス
2この質問は、国際人道法やジュネーブ諸条約を「知っている」と答えた人(全体の67%)を
はい
いいえ
分からない
回答したくない
対象に行われた。
16%