授業科目名 民法3(債権総論) 単位数 4 配当年次 2年次 群 第1群 文責 遠藤 研一郎 科目試験出題者 遠藤 研一郎 教科書 遠藤 研一郎 著『民法 3(債権総論)』(中央大学通信教育部) 《授業の目的・到達目標》 (1)債権法の全体構造を理解すること。 (2)債権一般に共通するルール(債権発生原因が、契約によるものか、それとも事務管理・ 不当利得・不法行為といった法定債権発生原因によるものかを問わず、いかなる債権で あっても共通するルール)として債権総則規定の基礎的知識を修得すること。 (3)特に、債権者の債権管理・回収という側面から、周辺領域(民法の他の編や民事執行法 などの手続法)の基礎的知識にも触れつつ、その相関関係を理解すること。 (4)現在、国会に法案が提出されている改正債権法の主たる内容を理解し、今後の債権法が どのように変容を遂げていくのか見通せるようになること。 《授業の概要》 「債権総論」は、民法の条文でいえば、399条〜 520条がこれに該当し、一面において、個別 の債権発生原因(売買、事務管理、不当利得、不法行為等)から発生した債権一般に通じる総 則的なルールを扱ったものということができる。そのような意味において、債権総論に関する 知識の修得は、債権法全体を理解するうえで必要不可欠である。 さらに、債権法という枠を越え、取引実務で重要視される「債権管理・回収」という局面に スポットを当てるとき、債権総論の知識の重要性は、より顕著となる。債権総則規定の全体像 (=学習するポイント)は次のとおり。 ・債権の目的(民法 399 〜 411 条)…債権の目的とは、債権の対象ないし内容のことを意味す る。民法に規定がある、(a) 特定債権、(b) 種類債権、(c) 金銭債権、(d) 利息債権、(e) 選択債 権の 5 種類を中心に学ぶ。 ・債権の効力(民法 412 〜 426 条)…債権の効力とは、平たく言えば、債権者が債権を有して いることによって、いかなることを主張できるか、ということである。(a) 本来の履行をい かにして強制するか(強制履行)、(b) 債務が不履行であった場合の損害賠償、(c) 債務者の 責任財産を保全する制度としての債権者代位権および詐害行為取消権、などを中心に学ぶ。 ・数当事者の債権および債務(民法 427 〜 465 条)…債権者 1 人・債務者 1 人という典型的・ 単純な図式ではなく、債権者や債務者が複数人いる場合は特殊なルールが必要である。その 特殊ルールについて、(a) 分割債権・債務、(b) 不可分債権・債務、(c) 連帯債務、(d) 保証債 務の 4 種類を中心に学ぶ。特に保証債務は、人的担保の側面からの考察も重要である。 ・債権譲渡(民法 466 〜 473 条)…債権も、不動産や動産と同様、1 つの財産権として譲渡が 可能である。それに関する諸ルールを学ぶ。また、近時有効活用されるようになっている「債 権譲渡担保」からの視点も重要である。 ・債権の消滅(民法 474 〜 520 条)…債権の消滅原因として、(a) 弁済、(b) 相殺、(c) 更改、(d) 免除、(e) 混同の 5 種類を学ぶ。特に、弁済は、債権の実現を伴う消滅原因として重要である。 また、相殺は、簡易な決済の実現に加え、どこまで担保的機能が認められるかという点から も学修する必要がある。 《学習指導》 ・民法 1(総則)を履修済み(学修済み)であることが望ましい。 ・カリキュラム上、民法は 1 から 5 まで細分化されているが、学問的には相互に関連し合った 体系的なものである。債権総論の領域だけにとどまらず、同時に他の民法の領域(特に、債 権各論と担保物権)についても学修した方が、効果がある。 ・民事執行・保全法や、倒産処理法をはじめとする倒産諸法にも関心を持ちつつ学修すること が望ましい。 ・現在、債権法改正の作業が最終局面を迎えている。改正内容についても関心をもってもらい たい。 《成績評価》 試験(科目試験またはスクーリング試験)により最終評価する。
© Copyright 2024 ExpyDoc