「不 当 利 得」 の 構 造 不当利得 債権 第703条 不当利得の要件と効果 第一章 総則 第704条 悪意の受益者の返還義務 第二章 契約 第705条 非債弁済 第三章 事務管理 第706条 期限前の弁済 第四章 不当利得 第707条 他人の債務の弁済 第五章 不法行為 第708条 不法原因給付 第703条 不当利得の返還義務 • 法律上の原因なく他人の財産又は労務に よって利益を受け、そのために他人に損失を 及ぼした者(以下この章において「受益者」と いう。)は、その利益の存する限度において、 これを返還する義務を負う。 第704条 悪意の受益者の返還義務 • 悪意の受益者は、その受けた利益に利息を 付して返還しなければならない。この場合に おいて、なお損害があるときは、その賠償の 責任を負う。 第705条 債務の不存在を知って した弁済 • 債務の弁済として給付をした者は、その時 において債務の存在しないことを知っていた ときは、その給付したものの返還を請求する ことができない。 第706条 期限前の弁済 • 債務者は、弁済期にない債務の弁済として 給付をしたときは、その給付したものの返還 を請求することができない。ただし、債務者が 錯誤によってその給付をしたときは、債権者 は、これによって得た利益を返還しなければ ならない。 第707条 他人の債務の弁済 • 1 債務者でない者が錯誤によって債務の弁 済をした場合において、債権者が善意で証書 を滅失させ若しくは損傷し、担保を放棄し、又 は時効によってその債権を失ったときは、そ の弁済をした者は、返還の請求をすることが できない。 • 2 前項の規定は、弁済をした者から債務者 に対する求償権の行使を妨げない。 第708条 不法原因給付 • 不法な原因のために給付をした者は、その 給付したものの返還を請求することができな い。ただし、不法な原因が受益者についての み存したときは、この限りでない。 不当利得とは • 不当利得は、正当な理由なく利得を得た者が、 そのために損失を受けた者に対して利得の 償還をする制度(703条) • 不当利得は、公平の原則から見てその利得 が不等な場合に損をした者に返させようとい う制度。 不当利得の成立要件 • • • • 他人の財産・労務によって利益を受ける者 がいる 法律上の原因がないのに利得があること その利益によって他人が損をしている 利得と損失の間に因果関係がある 不当利得の一般的成立要件 • 1.他人の財産または労務によって利益を受 けたこと(受益) • 2.他人に損害を与えたこと • 3.受益と損失との間に因果関係があること • 4.法律上の原因がないこと 不当利得の類型 • 1.侵害利得 – 物が本来その帰属すべき権利者にではなく、無権限者に よって使用・収益・消費・処分などがされた場合に利益を 金銭で償還させる場合。 • 2.給付利得 – 一定の法律上の原因の存在を前提として給付がなされた がその前提が存在しなかった場合。 • 3.支出利得 – 本来他人の負担に属するべき費用を負担し、または債務 を弁済する場合にその立替支出の返還を求める場合。 不当利得の効果 • 受益の返還 – 可能な場合は原物返還 – 善意の受益者 • 現存利益 利益の存する限度(703条) – 悪意の受益者 • 利息支払義務、損害賠償義務 非債弁済 • • • 1.債務が存在しないのに存在すると思って 弁済した場合 2.期限前の弁済 3.他人の債務の弁済 不法原因給付 • 給付が法律上の原因を欠くため本来ならば 不当利得返還請求権が成立する場合でも、 不法の原因のための給付であるときは、原則 として返還請求をすることができない(708条 本文)。 • 例:賭博で負けて支払った金銭(90条違反) • 立法趣旨:クリーン・ハンドの原則
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