35年間に及ぶ 国の 利低下が転換期を迎えた可能性

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マ - ケ ッ ト 情 報
2016年11⽉30⽇
35年間に及ぶ⽶国の⾦利低下が転換期を迎えた可能性
-トランプ次期⼤統領の政策はレジームチェンジを起こすか-
当レポートの主な内容
①⽶国の⻑期⾦利は、⻑い期間にわたって概ね低下トレンドを辿ってきました。
②トランプ⽒の⽶⼤統領選における勝利以降は、⽶国の⻑期⾦利が急上昇しました。
③同⽒が掲げる「インフラ投資」と「減税」の政策ミックスが、景気を刺激するとともに財政⾚字を
拡⼤させ、インフレを加速させるとの思惑を背景とした動きだと考えられます。
④この動きが、35年間に及ぶ⽶国⻑期⾦利の低下トレンドを反転させるかどうかが注⽬されます。
35年間に及ぶ⻑期⾦利の低下トレンドの背景
⽶国の⻑期⾦利は、1981年9⽉以降、35年間に
わたって低下基調が続きました(図表1)。主に以
下の理由があったと考えられます。
(図表1)⽶国の10年国債利回り
(%)
18
(期間:1975年1⽉〜2016年10⽉、⽉次)
16
14
12
10
まず、貯蓄と投資のバランスが、徐々に「貯蓄過
多・投資不⾜」に傾いたことが挙げられます。貯蓄
8
6
4
して債券を買う個⼈投資家などが、債券を発⾏する
2
政府や法⼈などより増加すれば、⾦利は下がりやす
0
75
くなります。
特にリーマン・ショック以降は、潜在成⻑率の低
下を背景に、企業経営者は資⾦を借りて企業を成⻑
させようとせず、個⼈は将来不安の⾼まりを受けて
益々貯蓄に励むようになってきたことが、⾦利の低
下に拍⾞をかけたものと思われます。実際、⽶国の
個⼈貯蓄率は、2005年7⽉の1.9%から、2016年9
⽉には5.7%に上昇しました。
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(年)
(図表2)⽶国の政策⾦利(FFレート誘導⽬標)
(%)
25
(期間:1975年1⽉〜2016年10⽉、⽉次)
20
15
10
5
第2の理由として、インフレリスクの低下が挙げ
られます。80年代に世界中でインフレ率が⾼まった
0
75
時代には、⽶連邦準備制度理事会(FRB)が政策⾦
利(FFレート誘導⽬標)を20%まで引上げてイン
フレ退治を⾏いました(図表2)。その後、⽶国に
12
10
界の⼯場として勃興してきたことも、世界中で物価
8
を押下げたものと思われます。
6
⻑期⾦利の低下を促したと考えられます。
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87
90
93
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02
05
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11
14
(年)
(期間:1975年1⽉〜2016年10⽉、⽉次)
14
3)。テクノロジーの進歩や、低賃⾦の新興国が世
の導⼊など、主要中央銀⾏の⾮伝統的な⾦融政策が
81
(図表3)⽶国のインフレ率(コアCPI)
(%)
16
おけるインフレ率は低下傾向を辿っています(図表
また、ここ数年は、量的⾦融緩和やマイナス⾦利
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4
2
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(年)
(図表1-3の出所)Bloomberg のデータより岡三アセットマネジメント作成
<本資料に関してご留意いただきたい事項>
■本資料は、投資環境に関する情報提供を⽬的として岡三アセットマネジメント株式会社が作成したものであり、特定のファンドの投資勧誘を⽬的として作成し
たものではありません。■本資料に掲載されている市況⾒通し等は、本資料作成時点での当社の⾒解であり、将来予告なしに変更される場合があります。また、
将来の運⽤成果を保証するものでもありません。■本資料は、当社が信頼できると判断した情報を基に作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するもの
ではありません。■投資信託の取得の申込みに当たっては、投資信託説明書(交付⽬論⾒書)をお渡ししますので必ず内容をご確認のうえ、投資判断はお客
様ご⾃⾝で⾏っていただきますようお願いします。
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(図表4)⽶10年国債利回りの推移(本年10⽉以降)
⼤統領選挙以降に10年国債利回りが急上昇
⽶国の⼤統領選挙におけるトランプ⽒の勝利以降、
(期間:10⽉3⽇〜11⽉28⽇)
(%)
2.4
10年国債利回りは1.8%台から2.3%を上回る⽔準
まで急上昇しました(図表4)。
2.2
同⽒が掲げる「インフラ投資」と「減税」の政策
ミックスが景気を刺激し、国債の増発を招いてイン
2.0
フレを加速させるとの思惑が⾼まった結果と考えら
れます。また、通商協定の⾒直しや輸⼊関税の引上
1.8
げによって輸⼊物価が上昇する可能性や、移⺠排斥
やビザの厳格化によって、⽶国内の労働市場が逼迫
(⽶国⼤統領選挙:11/8)
10/03
して賃⾦が上昇し、インフレをもたらすとの⾒⽅な
⽶⻑期⾦利の上昇が急激であったことから、短期
的には揺り戻し局⾯となることが予想されます。
しかしその後は、トランプ次期⼤統領の政策が⾦
融市場の枠組みの変更(レジームチェンジ)を起こ
し、財政⽀出の拡⼤を想定した⾦利の緩やかな上昇
基調が継続すると予想しています。
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10/24
10/31
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11/21
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(図表5)政府総⽀出がGDPに占める割合の推移
(%)
(期間:2001年〜2015年)
48
46
44
42
40
G7の平均
38
⽶国
36
34
また、中⻑期的な観点では、世界レベルで債券か
32
ら株式への「グレート・ローテーション」が数年単
30
位で継続する可能性があると思われ、以下の点がポ
イントになると考えます。
10/10
(出所)Bloomberg のデータより岡三アセットマネジメント作成
どが影響したと思われます。
「グレート・ローテーション」が継続する可能性
(⽉/⽇)
1.6
(年)
2001
2003
2005
2007
2009
2011
2013
2015
(注)G7は、⽶国、英国、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ、⽇本
(出所)IMF World Economic Outlook 2016年10⽉のデータより
岡三アセットマネジメント作成
¾ 先進国の政府総⽀出は、リーマン・ショックによる景気悪化に対応するため⼀時拡⼤した後、低下基調を
辿ってきました(図表5)。⾦融緩和策の限界がささやかれるなか、⾦融政策より財政政策を重視する流
れが定着して政府⽀出の割合が増⼤することが、⾦利が上昇していく条件のひとつと考えられます。
¾ ⽶国のインフラ投資や減税が⼀時的な需要を作り出す政策にとどまらず、⽣産性の引上げなどを通して供
給サイドを強靭化し、⻑期にわたる持続的な成⻑の礎になることが求められます。また、企業経営者が積
極的に成⻑投資(設備投資やM&A、⼈材採⽤や賃上げの積極化)を⾏うようになることや、個⼈の将来
不安が取り除かれて積極的に消費を⾏うようになることも必要とみられます。
¾ さらに、⽶国のインフラ投資が呼び⽔となり、新興国を中⼼とする世界のインフラ投資が活発化して次世
代の「世界の成⻑エンジン」を担うことになることが期待されます。
ただ、これらのポイントが実現するハードルは⽐較的⾼いことから、再び⻑期⾦利の低下トレンド(ボン
ド・ラリー)に戻る可能性も否定できません。⾦利の上昇やドル⾼が企業収益を悪化させて⽶国内の雇⽤を
脅かす状況となる場合には、⾦利上昇に⻭⽌めがかかるものと思われます。
以上
(作成:投資情報部)
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