トルコ中銀は2年10カ月ぶりの利上げを決定

トルコ中銀は2年10カ月ぶりの利上げを決定
情報提供資料
2016年11月25日
 トルコ中銀は2年10カ月ぶりに利上げ。当面の金融政策は為替動向をにらんだ動きが予想
される。
 トルコリラは、政治的不透明感と景気低迷を反映して弱含みの展開が予想される。
2年10カ月ぶりの利上げを決定
図表1 政策金利の推移
11月24日(現地時間)、トルコ中央銀行(以下、中
銀)は、金融政策委員会において政策金利(1週間物レ
2012年11月1日~2016年11月25日:日次
ポレート)を7.50%から8.00%へ、上限金利(翌日物
(%)
14
貸出金利)を8.25%から8.50%へと引き上げました
12
(図表1) 。
利上げは2014年1月以来で2年10カ月ぶりのことで
す。エルドアン大統領が前日の演説で利下げの必要性
について言及していたことなどから、今回の利上げ決
定は大方の市場予想とは異なる結果となりました。
利上げの背景
2016年7月のクーデター未遂を受け、大統領は反体
10
8
6
4
2
0
12/11
13/11
制派の大規模な排除に乗り出しました。さらに足元で
15/11
翌日物貸出金利(上限金利)
1週間物レポレート
翌日物借入金利(下限金利)
はクーデターとの結びつきが薄い複数のクルド人政治
家を逮捕し、一部メディアに強制捜査を行うなど、そ
の性格は大統領の権限強化に向けたものへと変わりつ
14/11
16/11
(年/月)
出所:ブルームバーグのデータを基にアセットマネジメントOneが作成
つあります。こうした動きは政治リスクの高まりによ
図表2 トルコリラの推移
る景況感の低迷や、観光収入の減少に伴う旅行収支の
悪化などを通じて、経済成長とトルコリラ(以下、リ
ラ)に下押し圧力をかけてきました(図表2)。
中銀がリラ下落に対する懸念を示す一方、政府は景
2012年11月1日~2016年11月24日:日次
(円)
60
(リラ)
1.0
リラ高
気回復を目指し、中銀に対し利下げを望んでいました。 55
しかし、米国で大規模な財政政策を主張するトランプ
1.5
50
2.0
ドルで急激にリラ安が進んだことなどから、中銀は通
45
2.5
貨防衛のための利上げに踏み切ったと考えられます。
40
3.0
今後の金融政策とリラ相場の見通し
35
氏が大統領に当選したことで米国金利が上昇し、対米
中銀は声明で、利上げを行った理由として「最近の
世界的な先行き不透明感やボラティリティの上昇を反
30
12/11
映した為替の動きがインフレ率に与える悪影響」を挙
継続的な利上げを志向するものではないと考えられま
す。当面の金融政策は為替動向をにらんだ動きが予想
されます。
13/11
4.0
14/11
15/11
16/11
(年/月)
トルコリラ/円(左軸)
げています。足元の市場環境を強く意識していること
から、今回の利上げは応急処置としての色彩が強く、
3.5
リラ安
米ドル/トルコリラ(右軸、逆目盛)
出所:ブルームバーグのデータを基にアセットマネジメントOneが作成
※上記グラフは、将来の経済、市況、その他の投資環境にかかる
動向などを示唆、保証するものではありません。
※巻末の投資信託に係るリスクと費用およびご注意事項を必ずお読みください。
商 号 等 / アセットマネジメントOne株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第324号
加入協会/ 一般社団法人投資信託協会
一般社団法人日本投資顧問業協会
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今回の利上げにも関わらず、リラは下げ幅を拡大しました。不透明な政治動向と景気の低迷でリラ相場
が下落基調で推移する中、米国の金利上昇による通貨の急落を中銀の利上げによって下支えすることには
限界があったとみられます。利上げ発表と同日、欧州議会がトルコのEU加盟交渉を中断する決議を採択し
たことなど、トルコを取り巻く内外の政治状況は不透明な部分が多く、引き続きリラは弱含みの展開が続
くと予想されます。
(2016年11月25日
※巻末の投資信託に係るリスクと費用およびご注意事項を必ずお読みください。
13時執筆)
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投資信託に係るリスクと費用およびご注意事項
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