平成 28 年 11 月 24 日(木) 10 時 00 分 ~ 12 時 00 分 厚生労働省省議室(9階) 第7回 医療計画の見直し等に関する検討会 議 事 次 第 1.基準病床数等について ・ 結核病床について ・ 精神病床について 2.検討会における意見のとりまとめに向けて 3.その他 【資料】 資料1-1 資料1-2 資料1-3 資料2 病床の種別ごとの基準病床数について 結核の医療提供体制について 精神病床における基準病床数の算定式について 意見のとりまとめ(たたき台) 【参考資料】 参考資料1 参考資料2 前回検討会における主な意見 総合確保方針の改定に向けた議論の整理(案) 第7回 医療計画の見直し等に関する検討会 平成28年11月24日(木) 10:00~12:00 櫻 木 構 成 員 ○ 随 行 者 席 齋 藤 構 成 員 ○ 相 澤 構 成 員 ○ 座 長 ○ 厚生労働省省議室(9階) 森 参 考 人 ○ 佐藤構成員 ○ ○ 市川構成員 田中構成員 ○ ○ 伊奈川構成員 西澤構成員 ○ ○ 今村構成員 野原構成員 ○ ○ 尾形構成員 本多構成員 ○ ○ 加納構成員 ○ 結核感染症課 島田課長補佐 随 行 者 席 精神・障害保健課 ○ 鶴田課長補佐 原澤課長補佐 ○ ○ ○ 黒田医療介護 連携政策課長 ○ ○ 地伯 域野 医医 療師 対確 策保 室等 長 ○ 木 下 課 長 補 佐 ○ 医佐 療々 計木 画地 課域 長 ○ 椎 葉 審 議 官 事 務 局 傍聴者席 ○ 濵 谷 審 議 官 ○ 中 村 総 務 課 長 出 入 口 医療計画の見直し等に関する検討会 開催要綱 1.目的 ○ 医療計画は、医療機能の分化・連携の推進を通じて、地域において切れ 目のない医療の提供を実現し、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体 制の確保を図ることを目的としている。 ○ 本検討会は、現行の医療計画の課題等について整理を行うことにより、 平成30年度からの次期医療計画をより実効性の高いものとするため、当該 計画の作成指針等の見直しについて検討することを目的に開催するもので ある。 2.検討事項 (1)医療計画の作成指針等について (2)医療計画における地域医療構想の位置付けについて (3)地域包括ケアシステムの構築を含む医療・介護の連携について (4)その他医療計画の策定及び施策の実施に必要な事項について 3.構成等 (1)構成員は、別紙のとおりとする。 (2)座長は、構成員の互選により選出する。座長は座長代理を指名すること ができる。 (3)座長は、必要に応じ、構成員以外の関係者の出席を求めることができる。 4.運営 (1)会議の議事は、特に非公開とする旨の申し合わせを行った場合を除き、 公開とする。 (2)会議の庶務は、医政局地域医療計画課において処理する。 (3)この要綱に定めるもののほか、会議の運営に関し、必要な事項は、座長 が定めることとする。 医療計画の見直し等に関する検討会 構成員名簿 (敬称略。五十音順) 氏 ◎ ○ ※ 名 所 属・役 職 相澤 孝夫 一般社団法人日本病院会副会長 安部 好弘 公益社団法人日本薬剤師会常任理事 市川 朝洋 公益社団法人日本医師会常任理事 伊奈川 秀和 全国健康保険協会理事 今村 知明 奈良県立医科大学教授 遠藤 久夫 学習院大学経済学部教授 尾形 裕也 東京大学政策ビジョン研究センター特任教授 加納 繁照 一般社団法人日本医療法人協会会長 齋藤 訓子 公益社団法人日本看護協会常任理事 櫻木 章司 公益社団法人日本精神科病院協会理事 佐藤 保 公益社団法人日本歯科医師会副会長 田中 滋 慶應義塾大学名誉教授 西澤 寛俊 野原 勝 岩手県保健福祉部副部長 本多 伸行 健康保険組合連合会理事 山口 育子 NPO 法人ささえあい医療人権センターCOML 理事長 ◎ 座長 公益社団法人全日本病院協会会長 ○ 座長代理 第 7 回 医 療 計 画 の 見 直 し 等 に 関 す る 検 討 会 資料 平 成 2 8 年 1 1 月 2 4 日 1-1 病床の種別ごとの基準病床数について 基準病床数制度について 第 3 回 医 療 計 画 の 見 直 し 等 に 関 す る 検 討 会 資料 平 成 2 8 年 7 月 1 5 日 1 目的 病床の整備について、病床過剰地域(※)から非過剰地域へ誘導することを通じて、 病床の地域的偏在を是正し、全国的に一定水準以上の医療を確保 ※既存病床数が基準病床数(地域で必要とされる病床数)を超える地域 仕組み ○ 基準病床数を、全国統一の算定式により算定 ※一般病床・療養病床は、二次医療圏ごとの性別・年齢階級別人口、病床利用率等から計算 精神病床は、都道府県の年齢階級別人口、1年以上継続して入院している割合、病床利用率等から計算 結核病床は、都道府県において結核の予防等を図るため必要な数を知事が定めている 感染症病床は、都道府県の特定感染症指定医療機関等の感染症病床の合計数を基準に知事が定めている ○ 既存病床数が基準病床数を超える地域(病床過剰地域)では、公的医療機関等の 開設・増床を許可しないことができる 病床数の算定に関する特例措置 ① 救急医療のための病床や治験のための病床など、更なる整備が必要となる一定の病床については、 病床過剰地域であっても整備することができる特例を設定 ② 一般住民に対する医療を行わない等の一定の病床は既存病床数に算定しない(病床数の補正) 1 病床の種別ごとの基準病床数について 第 3 回 医 療 計 画 の 見 直 し 資料 等 に 関 す る 検 討 会 平 成 2 8 年 7 月 1 5 日 1 種別 概要 一般病床 病院及び診療所の病床について、二次医療圏ごとに、医療法施 行規則に定める全国一律の算定式により算定。 ※この際、一般病床については、地方ブロックごとに算定式に代 入する係数(一般病床退院率・平均在院日数)を設定。 療養病床 精神病床 病院の病床について、都道府県の区域ごとに、医療法施行規則 に定める全国一律の算定式により算定。 感染症病床 病院の病床について、都道府県の区域ごとに、法令の規定により 指定を受けている医療機関の感染症病床の合算値を基準として 算定。 結核病床 病院の病床について、都道府県の区域ごとに、結核の予防及び 結核患者に対する適正な医療の提供を図るため必要な数を算定。 (具体的な算定方法は、健康局結核感染症課長通知により、技 術的助言として都道府県に通知している。) 2 関連する検討会等について 第 3 回 医 療 計 画 の 見 直 し 資料 等 に 関 す る 検 討 会 平 成 2 8 年 7 月 1 5 日 1 病床の種別ごとに、関連する検討会等の場において、議論を行う。 一般及び療養病床 本検討会において議論 精神病床 「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」において、あるべき地 域精神保健医療福祉体制を検討する中で議論 結核病床 「厚生科学審議会結核部会」において、必要に応じて議論 3 第 7 回 医 療 計 画 の 見 直 し 等 に 関 す る 検 討 会 資料 平 成 2 8 年 1 1 月 2 4 日 1-2 結核の医療提供体制について 1-1: 結核の入院医療体制の現状 入院患者数の減少により、結核病床を有する医療機関の結核病棟維持が困難となっている。また、入院 するケースが多い肺結核喀痰塗抹陽性患者の年代別割合において、身体合併症や精神疾患を有するこ とが多い高齢者の割合が増えている。 (患者数) 肺結核喀痰塗抹陽性患者数 20,000 肺結核喀痰塗抹陽性患者の年代別割合の推移 65歳未満 16,000 70-74 75-79 80歳以上 100% 27年 7,131 12,000 65-69 90% 8,000 80% 4,000 0 平成1年 70% 6 11 16 21 26 結核病床(許可病床)の病床数・医療機関数 ● 基準病床数 60,000 許可病床数 (病床数) 医療機関数 900 (医療機関数) 40,000 600 60% 50% 40% 30% 27年 222 20,000 300 27年 5,499 0 平成1年 10% 0 6 11 16 21 20% 26 0% 平成18年 基準病床数は、直近の減少傾向にある入院患者数等を勘案して定めているため、定めた時点では 許可病床数と乖離があるものの、その後病床が廃止されることで乖離が解消されている。 (出典)結核登録者情報システム(肺結核喀痰塗抹陽性患者数・年代別割合)、感染症指定医療機関調査(結核病床を有する医療機関数・病床数) 21 24 27 1 1-2: 結核の入院医療体制の課題と解消策 都道府県は、結核病棟のみならず、結核病棟と一般病棟を併せて一つの看護単位として治療にあ たる、いわゆる「ユニット化」や、結核患者収容モデル事業による「モデル病床」などを組合せること で、適切な医療提供体制の構築に努めている。 ①入院患者の減少により、結核病床を有する医療機関の 体制維持が困難となっている。 少ない入院患者数に応じて、小規模な病 棟でも効率的に運営できる「ユニット化」を 推進してきた。 (全国40施設、計597床で実施) (平成27年4月時点) ②入院患者のうち、身体合併症や精神疾患を有すること が多い高齢者の割合が増えている。 合併症患者の入院診療に対応できる「モデ ル病床の整備」を進めてきた。 (全国90施設、計422床を指定) (平成27年4月時点) モデル病床の内訳 一般病床 精神病床 308床(69施設) 114床(23施設) いわゆる「ユニット化」 (保険局医療課長通知) 病棟の概念は、病院である保険医療機関の各病棟における看 護体制の1単位をもって病棟として取り扱う。 平均入院患者数が概ね30名程度以下の小規模な結核病棟を 有する保険医療機関については、一般病棟と結核病棟を併せて 1看護単位とすることができる。 1病棟当たりの病床数については、原則として60床以下を標準 とする。 モデル病床 (結核患者収容モデル事業実施要領) 結核患者収容モデル事業によって指定された一般病床または 精神病床(モデル病床)においては、感染症法による入院の勧 告・措置に対応する医療機関として、次の要件の結核患者の収 容を行うことができるものとする。 (1) 合併症が重症あるいは専門的高度医療又は特殊医療を必要 とする場合 (2) 合併症が結核の進展を促進しやすい病状にある場合 (3) 入院を要する精神障害者である場合 (出典)感染症指定医療機関調査(ユニット化病床数・医療機関数、モデル病床数・医療機関数) ※モデル病床の一般病床と精神病床を両方有する医療機関が2施設ある。 2 1-3: 一般病床や精神病床における高度な合併症や精神障害を有する結核患者の治療 高度な合併症や精神障害を有する結核患者の治療のための基準の策定を目的に、こうした患者 の結核治療が可能な一般病床や精神病床を、モデル病床として整備している。 結核患者収容モデル事業実施要領(抜粋) 【事業の目的】 本事業は、平成3年5月27日付公衆衛生審議会の意見「結核患者収容施設のあり方につ いて」及び平成11年6月30日付同審議会の意見「21世紀に向けての結核対策」並びに平成 14年3月20日付厚生科学審議会感染症分科会結核部会報告「結核対策の包括的見直しに 関する提言」の趣旨を踏まえ、結核患者の高齢化等に伴って複雑化する、高度な合併症を 有する結核患者又は入院を要する精神障害者である結核患者に対して、医療上の必要性 から、一般病床又は精神病床において収容治療するためのより適切な基準を策定するた めにモデル事業として行うものである。 【モデル病室で治療する結核患者の要件】 モデル病室に収容する結核患者は、結核の治療が必要な者のうち、次の条件の 1つ以上に該当する者とする。 ① 合併症が重症あるいは専門的高度医療又は特殊医療を必要とする場合 ② 合併症が結核の進展を促進しやすい病状にある場合 ③ 入院を要する精神障害者である場合 3 2: 結核の医療提供体制について 現状 ⃝ 入院患者数の減少により、結核病床を有する医療機関の結核病棟維持が困難となり、結核病 床を有する医療機関数や結核病床数が減少している。 ⃝ 各自治体は、モデル病床やユニット化を組合せて、結核の入院医療体制の維持に努めている。 ⃝ 入院するケースが多い肺結核喀痰塗抹陽性患者の年代別割合において、身体合併症や精神 疾患を有することが多い高齢者の割合が増えている。 課題 ⃝ 結核病床を有する医療機関数や結核病床数が少ない都道府県であっても、結核病床の病床利 用率は高いわけではない。 ⃝ 必要な入院医療の確保が困難になっている自治体もある。 提案 ⃝ 都道府県は、引き続きユニット化や病床単位の入院医療体制の確保に努め、病床利用率が低 い都道府県は特に努めることと記載してはどうか。 ⃝ 国は、低まん延国化を達成した後の結核の医療提供体制のあり方について、全国の状況を踏 まえて、改めて検討することとしてはどうか。 4 (参考)現行の予防指針における結核地域医療連携体制 専門施設ネットワーク 高度専門施設 国 内 (外科治療、多剤耐性対応等) 結核研究所 技 術 支 援 (相 談 ) 治療困難 な患者 中核的な病院〈国立病院機構の病院等〉 都道府県域 (多剤耐性、副作用対応等) 一般医療/ 主治医等 技 術 支 援 (相 談 ) 地域/二次医 療圏を目安 菌 陰 性 化 後 地域の基幹病院 入 院 (合併症治療を担うモデル病床、感染症指定医療機関など) 菌 陰 性 化 後 入 院 診療所、一般病院 等 地域医療連携体制 5 結核病床に係る基準病床数 医療計画において定めるべき結核病床に係る基準病床数については、都道府県の区域ごとに結 核の予防及び結核患者に対する適正な医療の提供を図るため必要なものとして都道府県知事が 定める数とされている。 基準病床数の算定に当たっては、下記を参酌するとともに、現に利用されている結核病床の数を著しく超えな いよう留意すること。 A 1日当たりの当 該都道府県の区 域内における法 第19条及び第20 条の規定に基づ き入院した結核 患者数 × B 法第19条及び第 20条の規定に基 づき入院した結 核患者の退院ま でに要する平均 日数 × C 次に掲げる当該 区域における法 第12条第1項の 規定による医師 の届出のあった 年間新規患者 (確定例)発生 数の区分に応 じ、それぞれに 定める数値 0人~ 99人 100人~499人 500人~ × D 1(粟粒結核、結 核性髄膜炎等の重 症結核、季節変 動、結核以外の患 者の混入その他当 該都道府県の区域 の実情に照らして 1を超え1.5以 下の範囲内で都道 府県知事が特に定 めた場合にあって は、当該数値) + 当該都道府県の区 域内における慢性 排菌患者(2年以 上登録されており、 かつ、1年以内に 受けた検査の結果、 菌陽性であった肺 結核患者に限 る。)のうち入院 している者の数 1.8 1.5 1.2 ※「医療計画における結核病床の基準病床数の算定について」(平成17年7月19日健感発第0719001号厚生労働省健康局結核感染症課長通知) 6 第 7 回 医 療 計 画 の 見 直 し 等 に 関 す る 検 討 会 資料 平 成 2 8 年 1 1 月 2 4 日 1-3 精神病床における 基準病床数の算定式について 厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 精神・障害保健課 これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会 における検討状況について ※以下の資料については、第4回検討会(11月11日)において議論に用いた資料であり、 検討会における今後の議論を踏まえ必要な見直しが行われる可能性があるもの (「論点整理」の赤枠は精神病床における基準病床数の算定式に関するもの) 論点整理 3.精神病床のさらなる機能分化について これからの精神保健医療福祉 のあり方に関する検討会 平成28年11月11日(第4回) (現状・課題) ○平成16年に、精神保健福祉対策本部(本部長:厚生労働大臣)において、「精神保健医療福祉の改革ビジョン」 を決定し、「入院 医療中心から地域生活中心へ」の政策理念を明確にした。精神保健医療福祉体系の再編の達成目標として、①平均残存率(1年 未満群)24%以下、②退院率(1年以上群)29%以上を掲げ、この目標の達成により、10年間で約7万床相当の精神病床数の減少が 促されるとした。精神病床数(入院患者数)の変化をみると、平成14年の35.6万床(33.2万人)から、平成26年に33.8万床(29.6万人)へと、 1.8万床(3.6万人)減少している。地域移行を進めるためには、あるべき地域精神保健医療福祉体制を見据えた新たな目標を設定し、 計画的に取り組む必要がある。 ○障害福祉計画、医療計画等における指標として、精神保健福祉資料(630調査)を用いて、入院後3か月時点の退院率、平均残存 率(1年未満群)などの指標を活用しているが、現時点で入手可能な最新のデータは3年前(平成25年度)となっており、計画の進捗管 理に課題がある。より速やかに地域の実態が分かるように、都道府県及び二次医療圏を集計単位とした指標の開発に取り組む 必要がある。 ○厚生労働科学研究(平成24~27年度)において、1年以上の長期入院精神障害者(認知症を除く)の重症度を評価するための「重度かつ 慢性」の基準案が策定された。当該基準案の取り扱いを検討する必要がある。 (対応の方向性) ○ 「重度かつ慢性」に関する研究班の実施した全国調査では、1年以上の長期入院精神障害者(認知症を除く)のうち約6割が当該基 準に該当することが明らかとなった。これにより、1年以上の長期入院精神障害者(認知症を除く)のうち約4割は、地域の精神保健 医療福祉体制の基盤を整備することによって、入院から地域生活への移行が可能であると示唆された。このような研究成果等を 踏まえつつ、平成32年度末・平成37年(2025年)の精神病床における入院需要(患者数)及び、地域移行に伴う基盤整備量(利用者 数)の目標を明確にした上で、計画的に基盤整備を推し進める方策を検討すべきである。あわせて、医療計画における精神病床 の基準病床の算定式との整合性を検討すべきである。 ○より速やかに地域の実態を把握できるように、630調査の改善を図るとともに、レセプト情報等データベース等を用いて、新たな指 標を設定すべきである。 ○「重度かつ慢性」については、厚生労働科学研究において策定された基準案を医学的評価尺度の一つとして活用すべきである。 「重度かつ慢性」に該当する精神障害者が、地域生活できるように、研究を推し進めるべきである。 2 精神病床における基準病床数の算定式の変遷 1 第一次医療法改正以前(昭和60年以前) 公的医療機関等の開設等の規制 精神病床の必要病床数 =(一定の地域に含まれる各市町村別人口)×(病床の種別に応じて厚生大臣が定める数値) 2 第一次医療法改正(昭和60年~) 医療計画制度の創設 精神病床の必要病床数 = ((性別・年齢階級別人口)×(性別・年齢階級別入院受療率) +(流入入院患者)-(流出入院患者))÷病床利用率+加算部分(*) *加算部分=(流入入院患者) ÷ (流出入院患者) ×1/3 を限度として、都道府県知事が適当と認める数を加えることができる 3 第四次医療法改正(平成12年~) 精神病床の基準病床数 = ((性別・年齢階級別人口)×(性別・年齢階級別入院受療率) +(流入入院患者)-(流出入院患者))÷病床利用率+加算部分 (※) 算定式は変更なし。入院受療率及び病床利用率について更新。 4 第五次医療法改正(平成18年~現行の算定式) ○在院1年未満群の基準病床数 =((年齢階級別人口)×(年齢階級別新規入院率)+(流入入院患者)-(流出入院患者)) ×(平均残存率)÷(入院期間が1年未満である者についての病床利用率) ○在院1年以上群の基準病床数=((入院期間が一年以上である年齢階級別入院患者数)×(1-(年齢階級別退院率)) +(入院期間が1年に達した患者数)-(退院する長期入院患者の目標値)) ÷(入院期間が1年未満である者についての病床利用率) ○在院1年未満群と在院1年以上群の合計数に流出超過加算を加える ※次ページ参照 3 現行の精神病床における基準病床数の算定式 以下の合算値を基準病床数として算定 1.在院1年未満群 年齢階級 別人口 × 年齢階級別精神 病床新規入院率 + 入院患者のうち当該都道 府県以外の都道府県に 住所を有する者の数 - 当該都道府県以外に所在する 病院の精神病床における入院患 者のうち当該都道府県に住所を 有する者の数 × 厚生労働大臣が定め る当該都道府県の平 均残存率又は全国の 平均残存率の目標値 入院期間が一年未満である者についての病床利用率 2.在院1年以上群 当該都道府県の入院期 間が一年以上である年 齢階級別入院患者の数 × 1- 厚生労働大臣の定める 当該都道府県の年齢階 級別年間退院率又は全 国の退院率の目標値 + 当該年において入院期間が 一年に達した入院患者の数 - 退院する長期入院 患者数の目標値 入院期間が一年以上である者についての病床利用率 3.流出超過加算 都道府県外入院患者数を病床利用率で除して得た数の3分の1を限度に加算 ※当該区域に住所を有するものの数が、(年齢階級別人口)×(年齢階級別精神病床入院率)の総 和を下回る場合に加算可能。 4 精神病床における基準病床数の算定式の見直しについて 新たな精神病床における基準病床数の算定式は、平成30年度から開始する第7次医療計画と第5期障害福祉計 画が連動するように、第5期障害福祉計画の最終年度である平成32年度末の精神病床における入院需要(患者数 )との整合性を図る。 現状・課題 ○現行の精神病床の基準病床数の算定式は、「精神保健医療福祉の改革ビジョン(平成16年)」における精神保健医療福 祉体系の再編の達成目標である、①平均残存率(1年未満群)24%以下、②退院率(1年以上群)29%以上を前提とし ていることから、新たな目標値との整合性の図られた算定式へと見直す必要がある。 ○この際、平成30年度から開始する医療計画と障害福祉計画が連動するように、第5期障害福祉計画の最終年度である 平成32年度末の精神病床における入院需要(患者数)との整合性を図る必要がある。 対応方針(新たな算定式への見直し) ○平成30年度から開始する医療計画では、精神病床における基準病床数の算定式を以下の通り見直す。 新たな精神病床における基準病床数 =(平成32年度末の入院需要(患者数)+流入入院患者-流出入院患者)÷病床利用率 急性期:3ヶ月未満の入院、回復期:3~12ヶ月未満の入院、慢性期:12ヶ月以上の入院 平成26年 急性期入院需要 平成32年度末 急性期入院需要 回復期入院需要 回復期入院需要 慢性期入院(長期入院)需要 慢性期入院(長期入院)需要 地域移行に伴 う基盤整備量 平成32年度末の入院需要(患者数) ※第7次医療計画の中間年において、第6期障害福祉計画と整合性が図られるように基準病床数を見直す。 5 (参考資料) 6 これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会について <趣旨> 改正精神保健福祉法(平成26年)の附則において、同法の施行後3年(平成29年4月)を目途として、 医療保護入院の手続の在り方等について検討を加え、所要の措置を講ずるものとされた。 ①当該規定を踏まえた検討を行うとともに、②平成26年7月に取りまとめた「長期入院精神障害者の地 域移行に向けた具体的方策の今後の方向性」を踏まえた精神科医療の在り方のさらなる検討を行う場と して、「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」を本年1月から開催。 座長は、樋口輝彦 前国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター総長 <主な検討事項> 医療保護入院における移送及び入院の手続等の在り方 医療保護入院者の退院を促進するための措置の在り方 医療保護入院等のあり方分科会 入院中の処遇、退院等に関する精神障害者の意思決定 及び意思の表明の支援の在り方 精神病床のさらなる機能分化 精神障害者を地域で支える医療の在り方 精神疾患にかかる医療体制の在り方 新たな地域精神保健医療体制の あり方分科会 7 これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会の開催状況 これからの 精神保健医 療福祉のあ り方に関す る検討会 医療保護入 院等のあり 方分科会 新たな地域 精神保健医 療体制のあ り方分科会 第1回 (1月7日) 検討会を立ち上げ、検討会の下に分科会を設置することについて説明 第2回 (2月25日) 関係者ヒアリング (日本精神科病院協会、精神保健福祉事業団体連絡会、全国精神保健福祉会連合会、全国「精神病」者集団) 第3回 (9月30日) 「相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止検討チーム」の中間とりまとめについて説明 「新たな地域精神保健医療体制のあり方分科会」における論点整理について説明、議論 「医療保護入院等のあり方分科会」における論点整理について説明、議論 第4回 (11月11日) 「新たな地域精神保健医療体制のあり方」「精神保健指定医」「医療保護入院等のあり方」について議論 第1回 (3月11日) 「医療保護入院における移送及び入院の手続等の在り方」及び「医療保護入院者の退院を促進するための措置の在り方」につい て議論 第2回 (4月28日) 「入院中の処遇、退院等に関する精神障害者の意思決定及び意思の表明の支援の在り方」について議論 第3回 (6月29日) 「医療保護入院における移送及び入院の手続等の在り方」及び「医療保護入院者の退院を促進するための措置の在り方」につい て議論 第4回 (7月21日) 「医療保護入院における移送及び入院の手続等の在り方」及び「医療保護入院者の退院を促進するための措置の在り方」につい て議論 →座長預かり 第1回 (3月29日) 「精神病床のさらなる機能分化」、「精神障害者を地域で支える医療の在り方」及び「多様な精神疾患等に対応できる医療体制の 在り方」について議論 第2回 (4月22日) 関係者ヒアリング (竹島正氏(川崎市健康福祉局障害保健福祉部担当部長・精神保健福祉センター所長)、安西信雄氏(帝京平成大学大学院臨床 心理学研究科長・教授)) 第3回 (5月27日) 関係者ヒアリング (公益社団法人日本精神神経科診療所協会、一般社団法人日本精神科看護協会、一般社団法人日本作業療法士協会、公益社 団法人日本精神保健福祉士協会) 第4回 (6月29日) 関係者ヒアリング (松田晋哉氏(産業医科大学医学部公衆衛生学教授)、公益社団法人日本医師会) 第5回 (7月15日) 「精神障害者を地域で支える医療の在り方」、「多様な精神疾患等に対応できる医療体制の在り方」及び「精神病床のさらなる機能 分化」について議論 →座長預かり 精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に向けての入院需要及び基盤整備量の目標値① 精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に向けて、医療計画、障害福祉計画、介護保険事業(支援)計画に基づき基 盤整備するため、平成32年度末・平成37年の精神病床における入院需要及び地域移行に伴う基盤整備量の目標値を設定する。 現状・課題 ○「精神保健医療福祉の改革ビジョン(平成16年)」では、「入院医療中心から地域生活中心へ」の理念のもと、退院率 等の目標値を掲げ、この達成により10年間で約7万床相当の精神病床数の減少が促されるとした。結果は、平成14年か ら平成26年で、精神病床1.8万床(入院患者3.6万人)減少した。地域移行を進めるためには、新たな目標設定が必要。 ○「重度かつ慢性」に関する研究班より、長期入院精神障害者のうち一定数は、地域の精神保健医療福祉体制の基盤を整 備することによって、地域生活への移行が可能であると示唆された。このような研究成果等を踏まえつつ、平成32年度 末・平成37年(2025年)の精神病床における入院需要(患者数)及び、地域移行に伴う基盤整備量(利用者数)の目標を各 都道府県ごとに算出することのできる推計式を開発する必要がある。 対応方針(推計式の開発) ○平成37年までに重度かつ慢性に該当しない長期入院精神障害者の地域移行を目指す(※)とともに、治療抵抗性統合失 調症治療薬の普及や認知症施策の推進による地域精神保健医療福祉体制の高度化を着実に推し進めることを目標とした 推計式を開発する。この際、人口の高齢化による影響も勘案する。 ※平成32年度末(第5期障害福祉計画の最終年度)の時点では、重度かつ慢性に該当しない長期入院精神障害者の地域移行の半分を目指す。 急性期:3ヶ月未満の入院、回復期:3~12ヶ月未満の入院、慢性期:12ヶ月以上の入院 平成26年 急性期入院需要 平成32年度末 急性期入院需要 回復期入院需要 平成37年 (2025年) 急性期入院需要 回復期入院需要 回復期入院需要 慢性期入院(長期入院)需要 慢性期入院(長期入院)需要 慢性期入院(長期入院)需要 地域移行に伴 う基盤整備量 地域移行に伴う基盤整備量 9 精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に向けての入院需要及び基盤整備量の目標値② 目標値を算出する推計式 急性期:3ヶ月未満の入院、回復期:3~12ヶ月未満の入院、慢性期:12ヶ月以上の入院 ○平成32年度末(第5期障害福祉計画の最終年度)における入院需要(患者数)の推計式のイメージ H26年の性・年齢階級別急性期入院受療率×H32年の性・年齢階級別推計人口 + H26年の性・年齢階級別回復期入院受療率×H32年の性・年齢階級別推計人口 + H26年の性・年齢階級別慢性期入院受療率(認知症以外)×(1+重度かつ慢性の割合)/2×α3×H32年の性・年齢階級別推計人口 + H26年の性・年齢階級別慢性期入院受療率(認知症) ×β3×H32年の性・年齢階級別推計人口 ○平成32年度末(第5期障害福祉計画の最終年度)における地域移行に伴う基盤整備量(利用者数)の推計式のイメージ H26年の性・年齢階級別慢性期入院受療率(認知症以外)×{1-(1+重度かつ慢性の割合)/2×α3}× H32年の性・年齢階級別推計人口 + H26年の性・年齢階級別慢性期入院受療率(認知症) ×(1-β3) × H32年の性・年齢階級別推計人口 ○平成37年(2025年)における入院需要(患者数)の推計式のイメージ H26年の性・年齢階級別急性期入院受療率× H37年の性・年齢階級別推計人口 + H26年の性・年齢階級別回復期入院受療率× H37年の性・年齢階級別推計人口 + H26年の性・年齢階級別慢性期入院受療率(認知症以外)×重度かつ慢性の割合×α7× H37年の性・年齢階級別推計人口 + H26年の性・年齢階級別慢性期入院受療率(認知症) ×β7×H37年の性・年齢階級別推計人口 ○平成37年(2025年)における地域移行に伴う基盤整備量(利用者数)の推計式のイメージ H26年の性・年齢階級別慢性期入院受療率(認知症以外)×(1-重度かつ慢性の割合×α7)× H37年の性・年齢階級別推計人口 + H26年の性・年齢階級別慢性期入院受療率(認知症) ×(1-β7) × H37年の性・年齢階級別推計人口 ※治療抵抗性統合失調症治療薬の普及による効果を勘案して「1年あたりの地域精神保健医療体制の高度化による影響【α】」を算出。 ※これまでの認知症施策の実績を勘案して「1年あたりの地域精神保健医療体制の高度化による影響【β】」を算出。 ※H30年度からの計画実施期間による影響を算出するため、H32年度末の推計ではαβそれぞれ3乗、H37年の推計ではαβそれぞれ7乗で計算。 ※都道府県ごとの目標値の推計にあたっては、それぞれの都道府県の入院受療率、推計人口を用いて計算。 ※基盤整備量(利用者数)には、自立して一人暮らし生活を送る退院患者等も含まれる。 10 精神病床における急性期入院患者(3ヶ月未満)の 年齢階級別入院受療率の推移 ⃝ 精神病床における急性期入院患者の年齢階級別入院受療率は、平成14年度から平成26年度にかけて、ほとんど 変わらない。 700 (人口10万対) 600 平成14年度 500 平成17年度 400 平成20年度 300 平成23年度 200 平成26年度 100 0 資料:厚生労働省「患者調査」より厚生労働省障害保健福祉部で作成 ※H23年の調査では宮城県の一部と福島県を除いている 11 精神病床における回復期入院患者(3ヶ月以上1年未満)の 年齢階級別入院受療率の推移 ⃝ 精神病床における回復期入院患者の年齢階級別入院受療率は、平成14年度から平成26年度にかけて、緩やかな 減少傾向にある。 700 (人口10万対) 600 平成14年度 500 平成17年度 400 平成20年度 300 平成23年度 200 平成26年度 100 0 資料:厚生労働省「患者調査」より厚生労働省障害保健福祉部で作成 ※H23年の調査では宮城県の一部と福島県を除いている 12 精神病床における慢性期入院患者(1年以上)の 年齢階級別入院受療率の推移 ⃝ 精神病床における1年以上長期入院患者(慢性期入院患者)の年齢階級別入院受療率は、平成14年度から平成26年 度にかけて、減少傾向にある。 600 (人口10万対) 500 400 平成14年度 平成17年度 平成20年度 300 平成23年度 200 平成26年度 100 0 資料:厚生労働省「患者調査」より厚生労働省障害保健福祉部で作成 ※H23年の調査では宮城県の一部と福島県を除いている 13 精神病床における慢性期入院患者(1年以上)の 年齢階級別入院受療率(疾病別内訳)【平成26年度】 ⃝ 精神病床における1年以上長期入院患者(慢性期入院患者)の年齢階級別入院受療率は、主に統合失調症入院患者、 認知症入院患者から構成されている。 ⃝ 統合失調症による1年以上長期入院患者(慢性期入院患者)は60代に入院受療率のピークがあり、認知症による1年 以上長期入院患者(慢性期入院患者)は高齢になるにつれて入院受療率は高くなる。 700 (人口10万対) 総数 600 認知症(血管性認知症+アルツハイマー病) 精神作用物質使用による精神及び行動の障害 500 400 統合失調症,統合失調症型障害及び妄想性障害 気分[感情]障害(躁うつ病を含む) 神経症性障害,ストレス関連障害及び身体表現性障害 300 その他の精神及び行動の障害 てんかん 200 その他 100 0 資料:厚生労働省「患者調査」より厚生労働省障害保健福祉部で作成 14 精神病床における慢性期入院患者(1年以上)の 年齢階級別入院受療率の推移 ⃝ 精神病床における1年以上長期入院患者(慢性期入院患者)の年齢階級別入院受療率は、認知症以外の精神疾患(主 に統合失調症、気分障害)であっても、認知症であっても、平成14年度から平成26年度にかけて、減少傾向にある。 700 平成14年度認知症以外の精神疾患 600 500 平成17年度認知症以外の精神疾患 (人口10万対) 平成20年度認知症以外の精神疾患 平成23年度認知症以外の精神疾患 400 平成26年度認知症以外の精神疾患 平成14年度認知症 300 200 平成17年度認知症 平成20年度認知症 平成23年度認知症 100 平成26年度認知症 0 資料:厚生労働省「患者調査」より厚生労働省障害保健福祉部で作成 ※H23年の調査では宮城県の一部と福島県を除いている 15 第 7 回 医 療 計 画 の 見直 し 等 に 関 す る 検 討 会 資料 平 成 2 8 年 1 1 月 24 日 2 意見のとりまとめ(たたき台) 本検討会におけるこれまでの議論を踏まえ、第7次医療計画の「医療計画作成指 針」及び「疾病・事業及び在宅医療に係る医療体制構築に係る指針」等の見直しが 必要と考えられる事項を中心に意見のとりまとめを行う。 Ⅰ 医療計画全体に関する事項 1 医療計画の作成について 平成 30 年度からの第7次医療計画の作成にあたっては、医療提供体制の現状、 地域医療構想において検討した今後の医療需要の推移等、地域の実情に応じて、 関係者の意見を十分踏まえた上で行うこととする。 2 医療連携体制について (医療連携体制に関する事項) 医療連携体制に関する事項は、がん、脳卒中、心筋梗塞等の心血管疾患、糖尿 病、及び精神疾患の5疾病、救急医療、災害時における医療、へき地の医療、周 産期医療及び小児医療(小児救急医療を含む。)の5事業並びに在宅医療を、医療 計画に定めることとする。 また、ロコモティブシンドローム、フレイル、肺炎、大腿骨頚部骨折等につい ては、医療計画に記載すべき5疾病に加えることとはしないものの、その対策に ついては、他の関連施策と調和をとりながら、疾病予防・介護予防等を中心に、 医療・介護が連携した総合的な対策を講じることが重要である。 (病病連携及び病診連携) 医療及び介護の連携を促進し、地域包括ケアシステムの構築を進めていく上で、 医療機関と関係機関との連携は、ますます重要となる。今後、地域における医療 提供体制の構築に当たっては、地域医療構想における病床の機能分化・連携を進 めていくこととしており、それぞれの医療機関が地域において果たす役割を踏ま え、地域全体で効率的・効果的な医療提供体制を構築していくことが必要である。 次期医療計画においては、急性期の医療提供体制の整備を進めるとともに、回 復期・慢性期までの切れ目ない連携体制の構築に取組むことや、疾病予防・介護 予防まで含めた体制の構築を進めていくことから、病病連携及び病診連携を、よ り一層進めることが必要となる。 1 (歯科医療機関との連携) 地域包括ケアシステムの構築を進める上で、歯科診療所等の歯科医療機関と連 携体制を構築することが重要である。特に、近年は、口腔ケアが誤嚥性肺炎の発 症予防につながるなど、口腔と全身との関係について広く指摘されていることか ら、入院患者や在宅等で療養を行う患者に対して、医科歯科連携を更に推進する ことが必要となる。 (薬局との連携) 地域において安全で質の高い医療提供体制を構築するためには、薬物療法につ いても入院から外来・在宅医療へ移行する中で円滑に提供し続けることが重要で ある。このため、地域の薬局では、医薬品等の供給体制の確保に加え、医療機関 等と連携して患者の服薬情報を一元的・継続的に把握し適切な薬物療法を提供す ることや、入退院時における医療機関等との連携、休日・夜間の対応等の役割を 果たすことが必要となる。 (訪問看護ステーションとの連携) 住み慣れた地域で安心して健やかに暮らすためには、24 時間切れ目のない医療 サービスが提供されるとともに、医療機関と居宅等との間で、療養の場が円滑に 移行できることが必要である。そのため、居宅等において、患者の医療処置や療 養生活の支援等のサービスを提供する訪問看護ステーションの役割は、重要であ る。特に今後は、高齢多死社会を迎え、本人の意思を尊重した療養生活を支援す るため、看取りや重症度の高い利用者にも対応できるよう、地域の医療・介護・ 福祉サービスを提供する関係機関との連携が必要となる。また、日常的に医療を 必要とする小児患者への対応についても、医療・福祉サービスを提供する関係機 関との連携が必要となる。 3 医療従事者の確保等の記載事項について 医療従事者の確保等については、「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師 等の働き方ビジョン検討会」、「医療従事者の需給に関する検討会」等での議論を 踏まえ、必要な見直しを行うこととする。 4 医療の安全の確保等について 医療機器の安全管理等に関する事項として、高度な医療機器について、配置状 況に加え、稼働状況等も確認し、保守点検を含めた評価を行うこととする。 CT・MRI 等の医療機器を有する診療所については、都道府県において、それらの 機器の保守点検を含めた医療安全の取り組み状況について、定期的に報告を求め ることとする。 2 特に、放射線治療装置等の高額な医療機器については、医療資源の有効活用の 観点から、それらの機器の共同利用の状況や新たな導入に向けた方針等について、 地域医療構想調整会議において、協議することとする。 なお、それ以外の医療機器についても、限られた医療資源を有効活用すること は重要であることから、今後も、その配置のあり方等については、研究を行うこ とが必要である。 5 基準病床数及び特定の病床等に係る特例等について (1)二次医療圏の設定 既設の二次医療圏が、入院に係る医療を提供する一体の圏域として成り立っ ていない場合は、その見直しについて検討することとする。 見直しに当たっては、人口規模が 20 万人未満であり、且つ、二次医療圏内の 流入入院患者割合が 20%未満、流出入院患者割合が 20%以上となっている二次 医療圏については、入院医療を提供する区域として成り立っていないと考えら れるため、設定の見直しについて検討することとする。その際、現時点におけ る人口規模や患者の流出入の状況の他、将来の人口規模の変化も考慮した上で、 二次医療圏の見直しを行うこととする。 また、地域医療構想策定ガイドラインにおいては、現在、策定が進められて いる地域医療構想の構想区域の設定に当たって、現行の二次医療圏を原則とし つつ、人口規模、患者の受療動向、疾病構造の変化、病院までのアクセス時間 など将来における要素を勘案して検討すること、また、構想区域と二次医療圏 が異なっている場合は、次期医療計画の策定において、二次医療圏を構想区域 と一致させることが適当であるとされている。 (2)基準病床数 ① 病床利用率について 基準病床数の病床利用率は、これまで、直近の病院報告の値を用いて算定 することとしていたが、地域医療構想では一定の値を用いていることから、 直近6カ年の一般病床、療養病床それぞれの病床利用率を用いて、一定の値 を定めることとする(一般病床 76% 療養病床 90%)。 また、各都道府県における直近の病床利用率が、この一定の値に比べて高 い場合は、その数値を上限、一定の値を下限として、各都道府県が定めるこ ととする。 ② 平均在院日数について 一般病床の基準病床数の算定に当たって用いる平均在院日数は、これまで 各地方ブロックの経年推移を踏まえ、一律の短縮率を見込むこととしてきた。 3 次期医療計画においては、経年推移に加え、次の各要素を勘案して設定す ることとする。 ア 平均在院日数の経年推移 イ 各地方ブロックの差異 ウ 将来のあるべき医療提供体制の構築に向けた取組 具体的には、直近の病院報告(平成 27 年)までの6年間(平成 21~27 年 の6年間)の平均在院日数の変化率を基礎とし、地域差の是正を進める観点 から、 ⅰ)各地方ブロックの平均在院日数がその全国平均を下回っている(短い) 場合、当該ブロックの変化率を用いる ⅱ)各地方ブロックの平均在院日数がその全国平均を上回っている(長い) 場合、「全国値+α」と当該ブロックの変化率を比較し、より高い変化率 を用いる (αについては、地域差の是正を目的として適当とする値を定める。) ③ 介護施設対応可能数について 介護施設対応可能数から、在宅医療等対応可能数へ見直すこととする。こ の在宅医療等対応可能数については、都道府県知事が各都道府県の状況等に 応じて見込むことができるよう、今後その考え方について国で整理し、都道 府県に示すこととする。 また、療養病床の在り方等の検討状況を踏まえ、必要に応じて見直すこと とする。 (3)今後病床の整備が必要となる構想区域における基準病床数の対応について 将来の医療需要の推移を踏まえた病床の必要量(必要病床数)は、各地域の 人口推移の影響を大きく受ける。特に、今後高齢化が更に進む地域においては、 医療需要の増加が大きく見込まれ、それに応じた医療提供体制の整備が求めら れる。 このことは、急激な人口増加が見込まれる場合に、基準病床数の算定に対し、 特例を認めている医療法第 30 条の4第7項1の規定の趣旨に合致するものと考え られる。 以上を踏まえ、病床過剰地域で、病床の必要量(必要病床数)が将来におい ても既存病床数を大きく上回ると見込まれる場合は、 1 医療法第 30 条の4 7 都道府県は、第2項第 14 号に規定する基準病床数を定めようとする場合において、急激 な人口の増加が見込まれることその他の政令で定める事情があるときは、政令で定めるとこ ろにより、同号に規定する基準病床数に関し、前項の基準によらないことができる。 4 ① 高齢化の進展等に伴う医療需要の増加を毎年評価するなど、基準病床数 を確認すること ② 医療法第 30 条の4第7項の基準病床数算定時の特例措置で対応すること とする。 また、上記①②による病床の整備に際しては、次の点を考慮しつつ、地域の 実情等を十分に踏まえた上で、検討する必要がある。 ・ 機能区分(高度急性期、急性期、回復期、慢性期)ごとの医療需要 ・ 高齢者人口のピークアウト後を含む医療需要の推移 ・ 疾病別の医療供給の状況、各医療圏の患者の流出入、交通機関の整備状 況などの地域事情 ・ 都道府県内の各医療圏の医療機関の分布 等 (4)特定の病床等に係る特例等 有床診療所の取扱いについては、今後、地域包括ケアシステムの構築を推進 する上で有床診療所の役割がより一層期待されることから、当分の間、病床設 置が届出により可能になる診療所の範囲等を見直すこととする。 6 既存病床数について (1)放射線治療室等の取扱い 放射線治療室については、専ら治療を行うために用いられる病床であること から、現行と同様に、既存病床数として算定しない取扱いを継続する。 一方、その他の治療室については、無菌病室、集中強化治療室(ICU)及び心 疾患強化治療室(CCU)の他にも、多様な治療室の類型が存在しており、診療報 酬における施設基準等を参考にしながら、その定義等も含め、現状を踏まえた 見直しを行うこととする。 (2)既存病床数における介護老人保健施設の取扱い 医療法施行規則(昭和 23 年厚生省令第 50 号)附則第 48 条第5項において、 療養病床から転換した介護老人保健施設については、当該転換を行った日から、 新たに基準病床数を算定するまでの間は、入所定員数を既存病床数に算定する 取扱いとしているが、引き続き、同様の取扱いとする。 7 医療計画の作成手順等について (1)手続きの変更 医療計画の作成等に関しては、平成 26 年の医療法の改正において、都道府県 ごとに設けられている医療保険者による協議会である保険者協議会の意見を聴 5 くこととされたことを踏まえ、事前に意見を聴くこととされている団体として、 都道府県医師会、歯科医師会、薬剤師会等学識経験者の団体に、保険者協議会 を加えることとする。 (2)他計画との関係 医療計画の作成に当たっては、他の法律の規定による計画であって医療の確 保に関する事項を定めるものとの調和が保たれ、関連する施策との連携を図る ことが重要である。 新たに、平成 26 年に成立した、アレルギー疾患対策基本法(平成 26 年法律 第 96 号)に定める基本方針等を追加することとする。 (3)計画期間 次期医療計画より、計画期間は、6年を基本とすることとする。 都道府県は、6年ごとに施策全体又は医療計画全体の達成状況等について調 査、分析及び評価を行い、当該都道府県の医療計画を変更することとする。 また、計画期間の中間年にあたる3年目に在宅医療等について、調査、分析 及び評価を行い、必要があると認めるときは、医療計画を変更することとする。 (4)協議の場 医療計画、市町村介護保険事業計画及び都道府県介護保険事業支援計画を一 体的に作成し、これらの計画の整合性を確保することができるよう、都道府県 や市町村関係者による協議の場を設置することとする。 (5)地域医療構想及び地域医療構想調整会議での議論の進め方 地域医療構想は、医療計画の一部として位置付けられており、その取組を進 めることを目的に協議の場(地域医療構想調整会議)を構想区域ごとに設置さ れている。また、各都道府県においては、平成 27 年4月より地域医療構想の策 定が進められ、平成 28 年度中に全ての都道府県で、策定が完了する見込みであ る。 今後は、地域医療構想調整会議での議論を通じて取組を進めることとなるた め、その議論の進め方の手順について、次のとおり、整理を行うこととする。 <調整会議の役割を踏まえた議論する内容及び進め方の整理> ■ 医療機能の役割分担について ア 構想区域における将来の医療提供体制を構築していくための方向性の共 有 6 (ア)構想区域における医療機関の役割の明確化 ○ 将来の医療提供体制を構築していくための方向性を共有するため、当 該構想区域における医療機関であって、地域における救急医療や災害医 療等を担う医療機関が、どのような役割を担うか明確にすることが必要 である。その際に、次の各医療機関が担う医療機能等を踏まえ、調整会 議の場で検討を進めること。 ・ 構想区域の救急医療や災害医療等の中心的な医療機関が担う医療 機能 ・ 公的医療機関等2及び国立病院機構の各医療機関が担う医療機能 (公立病院の担う医療機能については、新公立病院改革ガイドラ イン3に基づき検討すること) ・ 地域医療支援病院及び特定機能病院が担う医療機能 等 ○ 上記以外の医療機関については、これらの医療機関との連携や、これ らの医療機関が担わない医療機能(例えば、重症心身障害児に対する医 療等)や、地域の多様な医療ニーズを踏まえ、それぞれの役割を明確化 すること。 (イ)将来に病床機能の転換を予定している医療機関の役割の確認 ○ 病床機能報告においては、6年後の病床機能も報告されていることか ら、将来に病床機能の転換を予定している医療機関についても、その転 換の内容が地域医療構想の方向性と整合性のあるものとなっているかと いう点について確認すること。 2 公的医療機関等 医療法第 31 条に定める公的医療機関(都道府県、市町村その他厚生労働大臣の定める者 (地方独立行政法人、日本赤十字社、社会福祉法人恩賜財団済生会、厚生農業協同組合連合会 等)の開設する医療機関)及び医療法第7条の2第1項2号から8号に掲げる者(共済組合、 健康保険組合、地域医療機能推進機構等)が開設する医療機関。 3 新公立病院改革ガイドライン ○ 究極の目的は、公・民の適切な役割分担の下、地域において必要な医療提供体制の確保を 図り、その中で公立病院が安定した経営の下でへき地医療・不採算医療や高度・先進医療等 を提供する重要な役割を継続的に担っていくことができるようにすること。 ○ 今後の公立病院改革は、医療法に基づく地域医療構想の検討及びこれに基づく取組と整合 的に行われる必要がある。 ○ なお、新改革プランは、地域医療構想と整合的であることが求められているものであるが、 仮に、新改革プラン策定後に、地域医療構想調整会議の合意事項と齟齬が生じた場合には、 速やかに新改革プランを修正すべきである。 7 (ウ)その他の事項 ○ 地域の住民が望む医療へのかかり方等を聴取し、ニーズを把握するこ と。 ○ 上記の検討結果を踏まえて、構想区域ごとの将来の医療提供体制を構 築していくための方向性を定め、関係者間で共有すること。 8 医療計画の推進について (1)各種指標の見直し 第6次医療計画より、5疾病・5事業及び在宅医療については、全都道府県 共通の、病期・医療機能及びストラクチャー・プロセス・アウトカムに分類し た指標を用いることとした。 その目的は、地域の医療提供体制に関する調査を通じて現状を把握した上で、 5疾病・5事業及び在宅医療のそれぞれについての目指すべき方向を踏まえて、 課題を抽出し、課題の解決に向けた数値目標の設定及び施策の明示、それらの 進捗状況の評価等を実施することであった。 しかしながら、現行の指標について、 ・ 指標を達成する際の行動主体が分かりにくいため、行動主体(医療提供 者、保険者、患者等)を明確に示すべき ・ 指標のうち、意義が低いとされた指標については、その理由を検討し、 参考とする指標とするなど位置づけを検討すべき ・ 必ず記載すべき内容、示すべき指標等については、その算出方法も含め て示すべき ・ 現在の指標例以外にも有効と考えられる指標や不足している指標がない かについても検討すべき といった指摘がある。 次期医療計画における指標は、医療計画の実効性をより一層高めるために政 策循環の仕組みを強化するとともに、共通の指標により現状把握を行うことで 都道府県ごと、二次医療圏ごとの医療提供体制を客観的に比較できるようなも のとするため、指標を見直すこととする。 8 Ⅱ 5疾病・5事業及び在宅医療のそれぞれの医療連携体制等に関する事項 1 5疾病について (1)がんに関する医療提供体制について ① 見直しの方向性 ○ がん医療提供体制の構築に当たっては、「がん診療連携拠点病院等の整備 について」(平成 26 年1月 10 日健康局長通知)などの各指針等を踏まえて 取り組むことを基本とする。 ○ これまでの治療を主とする医療に加え、予防や社会復帰、治療と職業生 活の両立に向けた支援に取り組む。 ○ 指標は、関連する各指針等を踏まえつつ、「指標に見るわが国のがん対策」 (平成 27 年 12 月、国立がん研究センターがん対策情報センター)を参考 に見直す。 ② 具体的な内容 (均てん化の取組) ○ 拠点となる医療機関の無い二次医療圏においては、がん診療連携拠点病 院との連携により、地域がん診療病院の整備に取り組み、均てん化を進め る。 ○ 外来や在宅医療におけるがん診療に関し、これらの拠点病院等を中心と した、その他医療機関、薬局等(在宅医療提供施設を含む。)との地域にお ける連携体制を構築する。 (集約化の取組) ○ がんの治療において、一部の放射線治療やゲノム医療、希少がん、小児 がん等の分野については、それぞれの拠点病院等が担う機能の分化・連携 を進める。 ○ がんのゲノム医療等の実施のため、それぞれの拠点病院等の機能分化・ 連携と合わせ、それを担う人材についても育成を進める。 (合併症予防や社会復帰に向けた支援等) ○ がん治療の合併症の予防や軽減のための、周術期の口腔管理に係る医科 歯科連携等や、患者の生活の質の向上を図るための支援を推進する。 ③ 指標の見直し(例) ・ 拠点病院の無い二次医療圏における地域がん診療病院の整備状況 ・ 地域連携クリティカルパスに参加している登録医療機関数及び適応患者 数 ・ がん診療連携拠点病院における標準的治療実施割合(標準的治療) 9 ・ ・ 周術期口腔機能管理料を算定している医療機関数及び算定回数 薬局における在宅緩和ケアの実施回数 (2)脳卒中に関する医療提供体制について ① 見直しの方向性 ○ 脳血管疾患による死亡を防ぎ、また、要介護状態に至る患者を減少させ るため、発症後、病院前救護を含め、早急に適切な急性期診療を実施する 体制の構築を進める必要がある。 ○ 急性期から慢性期を通じて、リハビリテーションや、再発・合併症予防 を含めた、一貫した医療を提供する体制の構築が必要である。 ② 具体的な内容 (標準的治療の普及) ○ 脳梗塞における rt-PA 静注療法適正治療指針の改訂、脳血管内治療の科 学的根拠の確立等、近年の標準的治療を踏まえた医療が提供されるよう体 制を構築する。 (一貫したリハビリテーションの実施) ○ 要介護状態に至る患者を減少させるため、発症早期のリハビリテーショ ンを推進するとともに、回復期、維持期のリハビリテーションに間断なく 移行できるよう、医療機関相互の連携を図る。 (合併症予防の推進) ○ 誤嚥性肺炎予防のため、嚥下機能維持・改善のためのリハビリテーショ ンや、清潔保持のための口腔ケアの実施等に向けた医科歯科連携等の合併 症予防の取組みを推進する。 ③ 指標の見直し(例) ・ 脳梗塞に対する脳血管内治療(診療報酬点数 K178-4 経皮的脳血栓回収 術 等)の実施件数 ・ 脳血管疾患により救急搬送された患者の圏域外への搬送率 ・ 嚥下機能評価の実施件数 ※ 更なる検討が必要な指標 ・ 要介護認定患者のうち、脳卒中を主な原因とする患者の占める割合 ・ 脳卒中患者のうち、地域連携診療計画加算の算定率 (3)心筋梗塞等の心血管疾患に関する医療提供体制について ① 見直しの方向性 ○ 急性心筋梗塞に限らず、心不全等の合併症や、他の心血管疾患(急性大 10 動脈解離等)を含めた医療提供体制の構築を進める。 ○ 急性心筋梗塞による突然死を防ぐため、発症後、病院前救護を含め、早 急に適切な治療を開始する体制の構築を進める。 ○ 急性期の治療に引き続き、回復期及び慢性期の適切な治療を含めた医療 提供体制を構築する。 ② 具体的な内容 (回復期及び慢性期の体制整備) ○ 「急性心筋梗塞」を「心筋梗塞等の心血管疾患」と見直し、回復期及び 慢性期を含めた医療体制を構築する。 (標準的治療の普及) ○ カテーテル治療に代表される、急性期における低侵襲な治療法の発達等、 近年の標準的治療と、その遵守率等を踏まえて、患者情報の早期共有等、 病院前救護と救急医療機関との連携の推進を含めた医療が提供されるよう 体制を構築する。 (一貫した医療提供体制の構築) ○ 早期心臓リハビリテーションを推進するとともに、適切な運動療法や薬 物療法等、急性期から回復期及び慢性期まで一貫した医療が提供されるよ う、かかりつけ薬剤師・薬局の活用等を含め、医療機関相互の連携を図る。 ③ 指標の見直し(例) ・ 来院後 90 分以内の冠動脈再開通達成率 ・ 心臓リハビリテーション実施件数 ※ 更なる検討が必要な指標 ・ 慢性心不全患者の再入院率 ・ 要介護認定患者のうち、心疾患を主な原因とする患者の占める割合 (4)糖尿病に関する医療提供体制について ① 見直しの方向性 ○ 発症予防・重症化予防に重点をおいた対策を推進するため、病診連携や 診療科間連携等の地域における連携体制の構築を目指す。 ○ 重症化予防対策には、受診中断患者数の減少や早期からの適切な指導・ 治療が重要であり、医療機関と薬局、保険者が連携する取組みを進める。 ② 具体的な内容 (医療機関等の連携体制構築) ○ 初期・安定期及び専門治療に関して、地域において医療機関と薬局、保 11 険者等が連携し、健診者及び治療中断者への受診勧奨等を行う体制を構築 する。 ○ その際、重症化予防のための定期的な眼底検査や栄養指導、腎機能検査 等、必要と考えられる医療を提供できる体制とする。また、連携体制の中 で入手・活用可能な、医療機関や保険者等が持つデータ等を用いて、課題 解決に向けた PDCA サイクルを推進する。 (多職種による取組) ○ 医療機関のみではなく、日常生活に近い場でも栄養・運動等の指導を受 けることが可能となるよう、医療従事者が地域での健康づくり・疾病予防 に参加できる機会を創出する。 ③ 指標の見直し(例) ・ 糖尿病透析予防指導管理料の算定件数 ・ 外来栄養食事指導料の算定件数 ※ 更なる検討が必要な指標 ・ 糖尿病の有病者数 ・ 標準的治療の実施割合 ・ 治療中断率 ・ 合併症の発症率 ・ 地域連携クリティカルパスの普及状況 (5)精神疾患に関する医療提供体制について ① 見直しの方向性 ○ あるべき精神保健医療福祉体制の構築に向けて、精神障害者が、地域の 一員として安心して自分らしい暮らしをすることができるよう、障害福祉 計画等と整合的な計画を策定する。 ○ 長期入院精神障害者の地域移行等の課題を踏まえた精神疾患の医療提供 体制の構築に当たっては、これからの精神保健医療福祉のあり方に関する 検討会における議論を踏まえて必要な見直しを行う。 ② 具体的な内容 (長期入院精神障害者の地域移行) ○ 長期入院精神障害者のうち一定数は、地域の精神保健医療福祉体制の基 盤を整備することによって、地域生活への移行が可能であることから、 2020 年・2025 年の精神病床における入院需要(患者数)及び、地域移行に 伴う基盤整備量(利用者数)の目標を明確にした上で、計画的に基盤整備 を推し進める。 12 (精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築) ○ 精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に向けて、圏域ごと の保健・医療・福祉関係者による協議の場を通じて、精神科医療機関、一 般医療機関、地域援助事業者、市町村などとの重層的な連携による支援体 制を構築する。 (多様な精神疾患等への対応) ○ 多様な精神疾患等に対応できる医療提供体制の構築に向けて、「良質かつ 適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針」(平成 26 年 厚生労働省告示第 65 号)を踏まえて、多様な精神疾患等ごとに医療機関の 役割分担・連携を推進できるよう、各医療機関の医療機能を明確化する。 ③ 指標の見直し(例) ・ 抗精神病特定薬剤治療指導管理料(クロザピン)の算定件数 ・ 依存症集団療法の実施件数 ※ 今後見直しを行う指標 ・ 長期入院患者に関する指標 (現行)在院期間5年以上かつ 65 歳以上の退院患者数 等 ・ 早期退院に関する指標 (現行)1年未満入院者の平均退院率 等 2 5事業 (1)救急医療 ① 見直しの方向性 ○ 適正な搬送先の選定や円滑な救急搬送受入れ体制の構築に向け、メディ カルコントロール(MC)協議会等をさらに活用する。 ○ いわゆる出口問題等に対応する観点から、救急医療に係る医療提供者の 機能と役割を明確にしつつ、地域包括ケアシステムの構築に向け、より地 域で連携したきめ細かな取組みを進める。 ○ 地域住民の救急医療への理解を深めるための取組みを進める。 ② 具体的な内容 (地域連携の取組み) ○ 円滑な受入体制の整備やいわゆる出口問題へ対応するため、救急医療機 関と、かかりつけ医や介護施設等の関係機関との連携・協議する体制を構 築する。また、日頃からかかりつけ医を持つこと、救急車を適正利用する こと等についての理解を深めるための取組みを進める。 (救急医療機関等の機能の充実) 13 ○ 救命救急センターの充実段階評価を見直し、地域連携の観点をより取り 入れる。併せて、救急医療機関について、数年間受入実績がない場合には、 都道府県による指定の見直しを検討する。 ○ 初期救急医療機関の整備とともに、休日夜間対応できる薬局、精神科救 急と一般救急との連携等をさらに進める。 ③ 指標の見直し(例) ・ 地域ごとの受入れ困難事例数・割合 ・ 転棟・転院を調整する者を配置する救命救急センター数 ・ 二次救急医療機関等の救急医療機関やかかりつけ医、関係機関が参加し たメディカルコントロール協議会の開催回数 (2)災害時における医療 ① 見直しの方向性 ○ 都道府県医療対策本部の機能向上を目的としたロジスティックチームの 強化と、被災地域の医療ニーズ等の情報収集及び医療チーム(DMAT や JMAT 等)との連絡調整等を行う災害医療コーディネート体制の整備をすすめる。 ○ 事業継続計画(BCP)の策定について、災害拠点病院だけでなく、地域の 一般病院においても引き続き推進する。 ○ 大規模災害時に備え、災害医療に係る医療提供者の機能と役割を明確に するとともに、政府の防災基本計画と整合性をとりつつ、広域医療搬送を 想定した訓練を積極的に実施するなど、災害時における近隣都道府県との 連携を強化する。 ○ 被災地における必要な医薬品の提供体制の確保に関しても、災害医療の 連携体制下で併せて検討し、円滑に取り組むことができるようにする。 ② 具体的な内容 (コーディネート体制、事業継続計画の充実) ○ ロジスティックを担当する業務調整員の養成を引き続き進める。 ○ JMAT など様々な医療チームをコーディネートできる体制を都道府県単位 だけでなく、二次医療圏(保健所管轄区域)単位でも構築する。 ○ 研修等を通じて事業継続計画(BCP)の策定を支援するとともに、医療機 関における BCP の策定状況を把握する。 (連携体制等の構築) ○ 被災地に、必要な医薬品の提供体制が確保されるよう、医療チーム、地 域の薬剤師会、医薬品卸売販売業者等を始めとする関係機関の連携体制の 構築を進める。 14 ○ 熊本地震の経験を踏まえ、精神科病院が被災した際の対応も今後重要で あることから、精神科の災害医療体制の整備等を進める。 ③ 指標の見直し(例) ・ 航空搬送拠点臨時医療施設(SCU)、ドクヘリ参集拠点等を用いた災害実 働訓練の実施回数 ・ 都道府県医療対策本部においてロジスティックを担当する業務調整員の 養成数 ・ BCP を策定している病院の割合(任意指標から必須指標へ変更) ・ 保健所管轄区域や市町村単位等で地域災害医療対策会議のコーディネー ト機能の確認を行う災害実働訓練実施箇所数及び回数(推奨指標から必 須指標へ変更) (3)へき地の医療 ① 見直しの方向性 ○ へき地医療対策を医療計画における医療従事者の確保等の他の取組みと 連動し、より充実したものするため、「へき地保健医療計画」を「医療計画」 に一本化して推進する。 ○ へき地医療拠点病院の要件の見直し等を通じて、巡回診療等の取組みを 着実に進める。 ○ 地域における医師確保等の取組みと併せて、へき地の医療提供医体制を 更に充実させる。 ② 具体的な内容 (計画の一体化と医療従事者の確保) ○ へき地における医療従事者の確保やチーム医療の充実については、「へき 地保健医療計画」を「医療計画」に一本化した上で、医療計画における医 療従事者の確保等の取組みと連動して進める。 ○ その際、へき地医療支援機構と地域医療支援センターが連携して、医療 従事者の確保や派遣、キャリア形成等に取組む。 (拠点病院の機能充実) ○ へき地における巡回診療等の実績に基づいて、へき地医療拠点病院の要 件を見直す。 ③ 指標の見直し(例) ・ へき地保健医療対策に関する協議会における医療従事者確保に関する検 討回数 15 ・ ・ ・ へき地における医師以外の医療従事者の確保状況 へき地医療拠点病院からへき地への医師派遣実施回数及び日数(推奨指 標から必須指標へ変更) へき地医療拠点病院からへき地への巡回診療実施回数及び日数(推奨指 標から必須指標へ変更) (4)周産期医療 ① 見直しの方向性 ○ ハイリスク妊産婦及び新生児に係る整備を都道府県全体の医療体制整備 と連動したものとしてさらに進めるため、「周産期医療体制整備計画」を 「医療計画」に一本化して、推進する。 ○ 周産期医療の体制を整備するに当たり、周産期医療の実態に則した圏域 を設定する。 ○ 災害時において、特に医療のサポートが必要となる妊産婦・新生児等に ついて、適切に対応できる体制を構築する。 ○ 精神疾患を合併した妊婦の診療に対応できるよう、周産期医療と精神科 医療が連携した体制を整備する。 ② 具体的な内容 (計画の一体化と体制整備の充実) ○ 「周産期医療体制整備計画」を「医療計画」に一本化した上で、二次医 療圏を原則としつつも、基幹病院へのアクセス範囲や医療資源等の実情を 考慮した圏域を設定する等の体制整備を進める。 (災害に備えた対応の充実) ○ 災害時に妊産婦・新生児等へ対応できる体制の構築を進めるため、「小児 周産期災害リエゾン」の養成を進める。 (精神疾患合併妊婦への対応) ○ 総合周産期母子医療センターにおいて、精神疾患を合併した妊婦への対 応ができるような体制整備を進める。 ③ 指標の見直し(例) ・ 小児周産期災害リエゾンが参加した災害実働訓練の実施回数 ・ 精神疾患を合併した妊婦への対応ができる周産期母子医療センターの割 合 ・ 患者の居住地から基幹病院までのアクセス時間カバー率 16 (5)小児医療(小児救急医療を含む。) ① 見直しの方向性 ○ 日本小児科学会の提言も踏まえ、拠点となる医療機関の整備を進めると ともに、拠点となる医療機関が存在しない地域においては、地域の実情を 踏まえた医療体制を整備する。 ○ その際には、拠点となる医療機関と小児科のかかりつけ医等の関係機関 との連携を推進する。 ○ 地域における受入れ体制を構築するための人材の育成や、地域住民の小 児医療への理解を深めるための取組みを進める。 ② 具体的な内容 (地域の実情に応じた体制整備) ○ 日本小児科学会の提言も踏まえ、小児中核病院、地域小児医療センター のどちらも存在しない圏域では、「小児地域支援病院(仮称)」を設定し、 拠点となる医療機関等と連携しつつ、地域に必要な診療体制を確保する。 (地域における人材育成と住民への情報発信の推進) ○ 研修等を通じて地域で活躍する人材の育成を図るとともに、引き続き小 児救急電話相談事業(#8000)に取組み、その普及等を進める。 ③ 指標の見直し(例) ・ 小児地域支援病院(仮称)の数及び病床数 ※ 更なる検討が必要な指標 ・ 小児の対応が可能な訪問看護ステーションの数 ・ 「小児かかりつけ診療料」を算定している医療機関数 3 在宅医療 ① 見直しの方向性 ○ 増大する慢性期の医療・介護ニーズに対応するため、在宅医療の整備目標 等についての考え方を記載する。 ○ 在宅医療に必要な医療機能を確実に確保するため、各医療機能との関係が 不明瞭な指標の見直し、実績に着目した指標の充実を図る。 ○ 効果的な施策を講じるため、圏域設定等を徹底し、また市町村との連携等 を推進する。 ② 具体的な内容 (実効的な整備目標の設定) ○ 医療サービスと介護サービスが、地域の実情に応じて補完的に提供される 17 よう、都道府県や市町村関係者による協議の場を設置し、介護保険事業計画 等における整備目標と整合的な目標を検討する。 ○ 協議が実効的なものとなるよう、協議の進め方や、例えばサービス付き高 齢者向け住宅の整備計画(高齢者の居住の安定確保に関する法律(平成 13 年 法律第 26 号)に基づく計画)や療養病床の動向など、在宅医療の提供体制を 考える上で地域において留意すべき事項について、今後、国において整理し、 都道府県に示していく。 (効果的な施策の推進) ○ 在宅医療にかかる圏域設定や課題把握を徹底し、課題把握に当たっては、 圏域内の市町村と連携した取組を進める。 ○ 在宅医療の提供者側に対する施策に偏重しないよう、多様な職種・事業者 が参加することを想定した施策を進める。 (例)・地域住民に対する普及啓発 ・入院医療機関に対し在宅医療で対応可能な患者像についての研修 ・入院医療機関と、かかりつけの医療機関や居宅介護支援事業所等との 入退院時における情報共有のための協議の実施 等 ○ 地域の医療に精通した医師会等との連携や保健所の活用により、地域支援 事業の在宅医療・介護連携推進事業を担う市町村に対し必要な支援を行う。 ○ 特に、医療に係る専門的・技術的な対応が必要な「(ウ)切れ目のない在宅 医療と在宅介護の提供体制の構築推進」や「(オ)在宅医療・介護連携に関す る相談支援」、二次医療圏等の広域の視点が必要な「(ク)在宅医療・介護連 携に関する関係市区町村の連携」について、在宅医療にかかる圏域毎の課題 に鑑みて、医療計画に記載して確実に達成するよう支援するなど、重点的に 対応する。 ③ 指標の見直し(例) ・ 在宅患者訪問診療料、往診料を算定している診療所、病院数 ・ 24 時間体制をとる訪問看護ステーションの数 ・ 歯科訪問診療料を算定している診療所、病院数 ・ 在宅患者訪問薬剤管理指導料(診療報酬)、居宅療養管理指導費(介護報酬) を算定している薬局、診療所、病院数 ・ 退院支援加算、退院後訪問指導料を算定している病院、診療所数 ・ ターミナルケア加算を算定している診療所、病院数 18 第 7 回 医 療 計 画 の 見 直 し 参考 等 に 関 す る 検 討 会 資料 平 成 2 8 年11 月 24日 1 前回検討会(第6回 平成 28 年 11 月9日)における主な意見 1.基準病床数等について ○ 医療資源投入量の少ない患者の受け皿整備については、患者の介護度など、 実態を踏まえた上で、適切な行き先を確保する必要がある。 2.5疾病・5事業及び在宅医療等の見直し ○ 指標はあくまでも「何が原因か」をはっきりさせるためのもので、分析が ないままに施策に活用するというと、違和感がある。あくまでも、指標に基 づいた分析をした上で、施策を検討する必要があるのではないか。 ○ 救急、急性期の医療提供体制だけでも十分に構築できていない医療圏があ る中で、回復期、慢性期、介護についても含めた検討を行うと現場が混乱す るのではないか。 ○ へき地保健医療対策に関する協議会について、協議会の実態が分かるよう な指標にしてはどうか。 ○ アウトカムとアウトプットとの違いは、明確にした上で活用すべき。 ○ 精神疾患を含む地域包括ケアシステムについては、圏域の調整などをきち んとした上でないと、構築が困難なのではないか。 ○ 多様な精神疾患等への対応という点では、身体合併症を発症した場合や、 認知症や BPSD の問題への対応などを含めて、一般医療と精神医療の連携を盛 り込んでいくことが重要。 ○ 災害において、DPAT の整備については、すでに防災基本計画に記載されて いることもあるため、医療計画にも記載していく必要があるのではないか。 ○ メディカルコントロールについては、二次救急医療機関を含めた体制で協 議を行う必要があるのではないか。 ○ 誤嚥性肺炎や、大腿骨頚部骨折については、高齢化に伴い増加する疾患と して、今後重要なものとなると考えられるため、対策を進めていくべきでは ないか。 1 ○ 指標については、都道府県が実際に計画を作る上で、個々の指標について 十分な検討の時間が取れなかったという問題があるので見直しが必要ではな いか。 ○ NICU から地域に出て行く患児を、地域においてどのように受け入れるか、 という視点を含めた指標を組み込むことはできないか。 ○ 地域における緩和ケアについては、拠点病院との連携等を踏まえて検討し ていく必要があるのではないか。 ○ 医療機器の保守点検を的確に行っていない医療機関については、被曝の危 険性など、患者の安全性に関わる問題があるため、報告のみではなく、適切 な対処ができるように検討が必要ではないか。 以上 2 第 7 回 医 療 計 画 の 見 直 し 参考 等 に 関 す る 検 討 会 平 成 2 8 年 1 1 月 2 4 日 資料 2 第9回医療介護総合確保促進会議 (平成28年11月14日) 資料1-1 総合確保方針の改定に向けた議論の整理(案) ※ 総合確保方針の改定に向けた論点と これまでにいただいたご意見について、 事務局の責任において整理したもの。 地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針(概要) 平成26年9月12日 告示 第1 地域における医療及び介護の総合的な確保の意義・基本的な方向 ○ いわゆる「団塊の世代」が全て75歳以上となる2025年を見据え、医療や介護が必要な状態となっても、できる限り住み 意 慣れた地域で安心して生活を継続し、その地域で人生の最期を迎えることができる環境を整備していくことは喫緊の課題。 義 ○ 利用者の視点に立って切れ目のない医療及び介護の提供体制を構築し、自立と尊厳を支えるケアを実現していく。 【基本的な方向性】 基 本 的 な 考 え 方 ① 効率的で質の高い医療提供体制の構築と地域包括ケアシステムの構築 ② 地域の創意工夫を活かせる仕組み ③ 質の高い医療・介護人材の確保と多職種連携の推進 行政の役割 【 国 】 ・医療計画基本方針及び介護保険事業計画基本指針の策定 ・基金を通じた都道府県、市町村への財政支援 ・診療報酬、介護報酬を通じた医療・介護の連携推進 ・情報分析を行うための基盤整備、先進事例の収集・分析・周知 サービス提供者・利用者の役割 等 【都道府県】 ・地域医療構想に基づく医療機能の分化・連携の推進 ・地域包括ケアシステムの構築に向けた人材確保、市町村の支援 等 【 市町村 】 等 ・地域包括ケアシステムの推進 / 地域支援事業の実施 → 地方自治体の人材育成が重要。国は研修を充実すること等により継続的に支援 第2 ④ 限りある資源の効率的かつ効果的な活用 ⑤ 情報通信技術(ICT)の活用 【サービス提供者等】 ・ サービス提供者等の間で、利用者に関する情報や 地域における様々な社会資源に関する情報を共有し ていく仕組みの構築、活用 ・ 人材の確保・定着のための取組 【サービス利用者の役割】 ・ 効率的かつ効果的なサービス利用 ・ 高齢者が、地域の構成員として積極的に社会参加 していくことも重要。 医療計画基本方針・介護保険事業計画基本指針の基本となるべき事項 都道府県計画・医療計画・都道府県介護保険事業支援計画の整合性の確保 【医療計画基本方針・介護保険事業計画基本指針の整合性の確保等】 病床の機能の分化と連携の推進による効率的で質の高い医療提供体制の構築と、地域包括ケアシステムの構築が一体的に行われるよう、 医療計画と介護保険事業(支援)計画を一体的かつ整合性をもって作成すること等が必要。 2 【都道府県計画・医療計画・都道府県介護保険事業支援計画の整合性の確保等】 ○ 平成30年度以降(医療計画と介護保険事業(支援)計画のサイクルが一致)に向けた取組 ・ 各計画の作成に当たって、より緊密な連携が図られるような体制の整備 ・ 両計画の区域の整合性の確保 / 両計画の人口推計などの基礎データ等についての整合性の確保 ○ 平成30年度までにおいても、各計画において医療・介護の連携を強化するための取組 ・ 第6期介護保険事業(支援)計画における在宅医療・介護連携、認知症対策、地域ケア会議の開催による多職種協働等の推進 ・ 地域医療構想における急性期から、回復期、慢性期、在宅医療・介護に至る切れ目のないサービス提供体制の確保等 第3 ○ 都道府県計画・市町村計画の作成と整合性の確保 都道府県計画及び市町村計画(基金事業計画)の作成に当たっての留意事項 ・ 保健・医療担当部局と介護・福祉担当部局の緊密な連携。都道府県による市町村の後方支援 ・ 公正かつ透明なプロセスの確保(関係者の意見を反映させる仕組みの整備) ○ 都道府県計画及び市町村計画の基本的な記載事項 医療介護総合確保区域の設定(※) / 目標と計画期間(原則1年間) / 事業の内容、費用の額等 / 事業の評価方法 (※都道府県は、二次医療圏及び老人福祉圏域を念頭に置きつつ、地域の実情を踏まえて設定。市町村は、日常生活圏域を念頭に設定。) ○ 都道府県は市町村計画の事業をとりまとめて、都道府県計画を作成。 第4 ○ 新たな財政支援制度(基金)に関する事項 基金に関する基本的な事項 ・ 関係者の意見が反映される仕組みの整備 / 事業主体間の公平性など公正性・透明性の確保 / 診療報酬・介護報酬等との役割分担 ・ 都道府県は、市町村の協力を得つつ、事業の事後評価等を実施 / 国は、都道府県の事業を検証し、基金の配分等に活用 ○ 基金を充てて実施する事業の範囲 1 地域医療構想の達成に向けた医療機関の施設又は設備の整備に関する事業(※) 2 居宅等における医療の提供に関する事業(※) 3 介護施設等の整備に関する事業(地域密着型サービス等) 4 医療従事者の確保に関する事業(※) 5 介護従事者の確保に関する事業 ※ 基金の対象事業は、平成26年度は医療を対象として1、2及び4を、平成27年度以降は介護を含めて全ての事業とする。 3 総合確保方針改定に向けた議論のたたき台 総合確保方針改定に向けた主な論点 ≪1.医療計画と介護保険事業支援計画、介護保険事業計画の一体的かつ整合的な策定≫ (計画策定に関する整合性確保の視点) (1)① 計画の作成体制について ⇒ 都道府県と市町村の担当部局間の連携の推進は、引き続き重要。 ⇒ それぞれの計画のうち整合性の確保が必要な部分について、都道府県や市町村の連携が進むよう、例えば、 関係者が協議を行う場を設けることとしてはどうか。 前回会議でいただいた主なご意見 ・ 協議の場は必須。計画の作成においては都道府県と市町村で組織として協議の場が必要であると明確にするべき。 ・ 都道府県や市町村に医療と介護の連携を担当する部署を創設したうえで、都道府県と市町村の連携を行う協議の場を設置すべき。 ・ 医療と介護を一体的に議論するために、都道府県と市町村の一時的なタスクフォースが必要ではないか。そのための方針を国で示し、 その中で都道府県や市町村にどれくらい自由度を持って進めていってもらうかが明確になっていない。 ・ 都市部と地方では人口減、高齢化、若者の数等々で状況は異なり、対応も全く異なる。一律での対応ではなく、地域ごとに誰がどの ようにコントロールしていくのかが重要。都道府県と市町村の調整を両者だけで行うのは困難なため、国が調整する一定の仕組みを総 合確保方針に入れてはどうか。 対応方針案 〇 都道府県や市町村など関係者による協議の場の設置を、総合確保方針に明記することとしてはどうか。 ※協議の場の具体的な在り方は、医療計画基本方針や介護保険事業計画基本指針において具体的に検討。 (具体的な記載案) ✓ 医療計画と介護保険事業(支援)計画を一体的に作成し、これらの計画の整合性を確保できるよう、計画作成において、関係者によ る協議の場を設置し、より緊密な連携が図られるような体制整備を図っていくことが重要。 4 現行の総合確保方針と改正案(第2二1(1)) 改正案 現行 第2 医療計画基本方針及び介護保険事業計画基本指針の基本とな るべき事項並びに地域における医療及び介護の総合的な確保に関 し、都道府県計画、医療計画及び都道府県介護保険事業支援計画 の整合性の確保に関する事項 二 都道府県計画、医療計画及び都道府県介護保険事業支援計画 の整合性の確保等 1 平成30年度以降対応すべき事項 (1)計画の一体的な作成体制の整備 医療計画、市町村介護保険事業計画及び都道府県介護 保険事業支援計画を一体的に作成し、これらの計画の整 合性を確保することができるよう、都道府県や市町村に おける計画作成において、関係者による協議の場を設置 し、より緊密な連携が図られるような体制整備を図って いくことが重要である。 第2 医療計画基本方針及び介護保険事業計画基本指針の基本とな るべき事項並びに地域における医療及び介護の総合的な確保に関 し、都道府県計画、医療計画及び都道府県介護保険事業支援計画 の整合性の確保に関する事項 二 都道府県計画、医療計画及び都道府県介護保険事業支援計画 の整合性の確保等 1 平成30年度以降対応すべき事項 (1)計画の一体的な作成体制の整備 医療計画、市町村介護保険事業計画及び都道府県介 護保険事業支援計画を一体的に作成し、これらの計画の 整合性を確保することができるよう、都道府県や市町村 における計画作成において、より緊密な連携が図られる ような体制整備を図っていくことが重要である。 5 総合確保方針改定に向けた議論のたたき台(続き) 総合確保方針改定に向けた主な論点 ≪1.医療計画と介護保険事業支援計画、介護保険事業計画の一体的かつ整合的な策定≫ (計画策定に関する整合性確保の視点) (1)② 計画の区域について ⇒ 一部の県(5県)では、二次医療圏と老人福祉圏域が一致していないが、一致していない圏域については、 1つの二次医療圏(又は老人福祉圏域)の中に2つの老人福祉圏域(または二次医療圏)があるといった包含関 係にあることを踏まえ、どう考えるか。 前回会議でいただいた主なご意見 ・ 医療と介護を一体的に行う場合、区域を一致させていくべき。 ・ 医療介護総合確保区域ができた後も二次医療圏はそのまま変わっていない。強力に国が指導して進めるべき。 ・ 論点として、需要を把握する圏域とサービスを提供する圏域が一緒でよいのか。予防は市町村よりも小さな単位、医療はより大きな単 位で対応しなければならず、それを一体的に行おうとして困難に直面している。 対応方針案 〇 両計画の計画区域を可能な限り一致させるよう努めることを、総合確保方針に明記してはどうか。 <参考:現行の介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針(抄)> 老人福祉圏域については、保健医療サービス及び福祉サービスの連携を図る観点から、二次医療圏(一体の区域として入院に係る医療を提供 する体制の確保を図る地理的な単位として区分する区域をいう。以下同じ。)と一致させることが望ましい。 このため、老人福祉圏域が二次医療圏と一致していない都道府県は、可能な限り、両者を一致させるよう努めること。 6 現行の総合確保方針と改正案(第2二1(2)) 改正案 現行 第2 医療計画基本方針及び介護保険事業計画基本指針の基本とな るべき事項並びに地域における医療及び介護の総合的な確保に関 し、都道府県計画、医療計画及び都道府県介護保険事業支援計画 の整合性の確保に関する事項 二 都道府県計画、医療計画及び都道府県介護保険事業支援計 画の整合性の確保等 1 平成30年度以降対応すべき事項 (2) 計画の作成区域の整合性の確保 医療・介護サービスの一体的な整備を行う観点から、医療 計画で定める二次医療圏(一体の区域として入院に係る医療 を提供する体制の確保を図る地理的な単位として区分する区 域をいう。以下同じ。)と、都道府県介護保険事業支援計画 で定める老人福祉圏域(介護給付等対象サービス(介護保険法 第24条第2項に規定する介護給付等対象サービスをいう。)の 種類ごとの量の見込みを定める単位となる圏域をいう。以下 同じ。)を、可能な限り一致させるよう、平成30年度からの 計画期間に向けて、努める必要がある。 (後略) 第2 医療計画基本方針及び介護保険事業計画基本指針の基本とな るべき事項並びに地域における医療及び介護の総合的な確保に関 し、都道府県計画、医療計画及び都道府県介護保険事業支援計画 の整合性の確保に関する事項 二 都道府県計画、医療計画及び都道府県介護保険事業支援計 画の整合性の確保等 1 平成30年度以降対応すべき事項 (2) 計画の作成区域の整合性の確保 医療・介護サービスの一体的な整備を行う観点から、医療 計画で定める二次医療圏(一体の区域として入院に係る医療 を提供する体制の確保を図る地理的な単位として区分する区 域をいう。以下同じ。)と、都道府県介護保険事業支援計画 で定める老人福祉圏域(介護給付等対象サービス(介護保険法 第24条第2項に規定する介護給付等対象サービスをいう。)の 種類ごとの量の見込みを定める単位となる圏域をいう。以下 同じ。)を一致させるよう努める必要がある。 (後略) 7 総合確保方針改定に向けた議論のたたき台(続き) 総合確保方針改定に向けた主な論点 ≪1.医療計画と介護保険事業支援計画、介護保険事業計画の一体的かつ整合的な策定≫ (計画策定に関する整合性確保の視点) (1)③ 計画におけるサービス必要量等の推計の整合性について ⇒ 医療計画と介護保険事業(支援)計画のサービス必要量等の推計の整合性について、どのように確保していく か。 前回会議でいただいた主なご意見 ・ ・ ・ 医療計画と介護保険事業計画のサービス必要量の整合性がとれていないため、工程表等に落とし込んでいただきたい。 サービス必要量の推計について、医療・介護それぞれの動きを相互に共有し、早急に着手する必要があり、総合確保方針においても 記載を明記するべき。 サービス必要量の推計が現在と異なる場合、どのようなスケジュールで、どのような取組を行うべきか明確にすべき。 対応方針案 〇 両計画におけるサービス必要量等の推計の整合性は、現行の総合確保方針にも一定の記載。今後 さらに、病床の機能分化・連携の推進に伴い、その重要性が増す。 ⇒ このため、サービス必要量の整合性に関する新たな記載を総合確保方針に盛り込んではどうか。 (具体的な記載案) ✓ 医療及び介護の連携を推進するためには、計画作成の際に用いる人口推計等の基礎データや、退院後に介護施設等を利用する者、 退院後又は介護施設等の退所後に在宅医療・介護を利用する者の数等の推計について、整合性を確保する必要がある。特に、病床の 機能分化・連携に伴い生じる、在宅医療等の新たなサービス必要量に関する整合性の確保が重要である。市町村が市町村介護保険事 業計画において掲げる介護の整備目標と、都道府県が医療計画において掲げる在宅医療の整備目標について整合的なものとし、医 療・介護の提供体制を整備していく必要がある。 8 現行の総合確保方針と改正案(第2二1(3)) 改正案 第2 医療計画基本方針及び介護保険事業計画基本指針の基本とな るべき事項並びに地域における医療及び介護の総合的な確保に関 し、都道府県計画、医療計画及び都道府県介護保険事業支援計画 の整合性の確保に関する事項 二 都道府県計画、医療計画及び都道府県介護保険事業支援計 画の整合性の確保等 1 平成30年度以降対応すべき事項 (3)基礎データ、サービス必要量等の推計における整合 性の確保 医療及び介護の連携を推進するためには、計画作成 の際に用いる人口推計等の基礎データや、退院後に介 護施設等を利用する者、退院後又は介護施設等の退所 後に在宅医療・介護を利用する者の数等の推計につい て、整合性を確保する必要がある。特に、病床の機能 分化・連携に伴い生じる、在宅医療等の新たなサービ ス必要量に関する整合性の確保が重要である。市町村 が市町村介護保険事業計画において掲げる介護の整備 目標と、都道府県が医療計画において掲げる在宅医療 の整備目標について整合的なものとし、医療・介護の 提供体制を整備していく必要がある。 現行 第2 医療計画基本方針及び介護保険事業計画基本指針の基本とな るべき事項並びに地域における医療及び介護の総合的な確保に関 し、都道府県計画、医療計画及び都道府県介護保険事業支援計画 の整合性の確保に関する事項 二 都道府県計画、医療計画及び都道府県介護保険事業支援計 画の整合性の確保等 1 平成30年度以降対応すべき事項 (3)基礎データ、サービス必要量等の推計における整合 性の確保 医療及び介護の連携を推進するためには、計画作成 の際に用いる人口推計等の基礎データや、退院後に介 護施設等を利用する者、退院後又は介護施設等の退所 後に在宅医療・介護を利用する者の数等の推計につい て、整合性を確保する必要がある。 9 総合確保方針改定に向けた議論のたたき台(続き) 総合確保方針改定に向けた主な論点 ≪2.在宅医療の推進及び在宅医療と介護の連携の推進に関する視点≫ (1) これまで医療提供体制を担っていた都道府県が、医療分野への取組実績が限られている市町村に対して 行う支援として、どのような支援ができるか。 (例)市町村を越えた広域的な医療介護連携(関係者間の協議、情報の共有等)の支援、市町村と医師会との連携の支援 (2) 在宅医療サービスと介護サービスが地域の実情に応じて補完的に提供されるようにするため、医療計画、 介護保険事業(支援)計画の策定段階で、これらの提供目標等を整合的なものとしていくには、どのよう な方策が考えられるか。(例)1.(1)①の協議の場の活用 等 前回会議でいただいた主なご意見 ・ 医療と介護のシームレスな提供のためは、地域ごとの医療機関及び介護事業所等の間での情報共有・協議・連携が必要であるが、都 道府県の支援については、二次医療圏域での医療・介護資源を把握しており、地域の医師会等関係機関にも働きかけやすく、広域的な 連携や調整を行える保健所を活用していく視点が重要であり、総合確保方針で位置付けを明記すべき。 ・ 市町村が主体となって地域包括ケアシステムを構築しつつ、市町村単独で実施困難なことや複数の市町村がまたがる広域的な調整に ついて都道府県が支援していくべき。 ・ 保健所を持つ中核市はいずれ約80弱に増えると言われており、それぞれの都道府県、市町村の関係をきめ細やかに見ていきながら、 適切な連携体制の構築を図る必要がある。そのための協議の場、枠組みを、国としてしっかりと手順等を示していく、それを都道府県 及び市町村で基本方針に盛り込んで進めていくことが重要。 ・ 都道府県の役割として、先進事例の展開、情報分析基盤の検討等は重要である。 対応方針案 〇 地域包括ケアシステムの構築における自治体の役割は、市町村が中心的役割を果たし、都道府県が国とともに 市町村を支援。 〇 また、自治体がこの役割を進めるにあたり、関係部局に質の高い人材を配置することも必要。 〇 ⇒ 市町村の取組み状況は地域毎に様々であり、市町村の求めるきめ細かな対応が必要。 都道府県が策定する医療計画と介護保険事業支援計画に、市町村が行う在宅医療・介護連携推進事業への都道府県の 支援を、盛り込んではどうか。 ⇒ また、市町村の取組み状況に応じて、市町村が単独では実施困難な事業や複数の市町村にまたがる調整について、 都道府県が広域的な支援を行うことを盛り込んではどうか。 10 現行の総合確保方針と改正案(第1二2(1)) 改正案 現行 第1 地域における医療及び介護の総合的な確保の意義及び基本的 第1 地域における医療及び介護の総合的な確保の意義及び基本的 な方向に関する事項 な方向に関する事項 二 医療及び介護の総合的な確保に関する基本的な考え方 二 医療及び介護の総合的な確保に関する基本的な考え方 2 行政並びに医療・介護サービス提供者及び利用者の役割 2 行政並びに医療・介護サービス提供者及び利用者の役割 (1)行政の役割 (1)行政の役割 (中略) (中略) 都道府県は、平成27年度以降、地域医療構想に基づき、 都道府県は、平成27年度以降、地域医療構想に基づき、 病床の機能の分化及び連携を推進し、市町村と連携しつ 病床の機能の分化及び連携を推進し、市町村と連携しつ つ、質の高い医療提供体制を整備するとともに、広域的 つ、質の高い医療提供体制を整備するとともに、広域的 に提供される介護サービスの確保を図ることが求められ に提供される介護サービスの確保を図るほか、地域包括 る。また、都道府県は、市町村が実施する在宅医療・介 ケアシステムの構築に向けた市町村の創意工夫を活かし 護連携推進事業について、市町村単独では実施困難な取 つつその取組を支援し、地域包括ケアシステムを支える 組に対し広域的に支援を行うことにより、医療及び介護 医療・介護人材の確保のために必要な取組を行うことが の連携の推進を図るほか、地域包括ケアシステムの構築 求められる。 に向けた市町村の創意工夫を活かしつつその取組を支援 し、地域包括ケアシステムを支える医療・介護人材の確 保のために必要な取組を行うことが求められる。 (中略) (中略) また、今後、都道府県及び市町村において、医療提供 また、今後、都道府県及び市町村において、医療提供 体制や地域包括ケアシステムの構築に向けた計画等の立 体制や地域包括ケアシステムの構築に向けた計画等の立 案、評価等に携わる人材の育成を行うとともに、関係部 案、評価等に携わる人材の育成を行っていくことは重要 署に質の高い人材を配置していくことは重要である。国 である。国は、地方自治体職員に対する研修等を充実す は、地方自治体職員に対する研修等を充実することによ ることにより、継続的な人材育成を支援していく必要が り、継続的な人材育成を支援していく必要がある。 ある。 さらに、国、都道府県及び市町村に共通の役割として、 さらに、国、都道府県及び市町村に共通の役割として、 国民に対して、在宅医療等に関する普及・啓発を進め、 国民に対して的確な情報提供及びわかりやすく丁寧な説 的確な情報提供及びわかりやすく丁寧な説明を行ってい 明を行っていくことが求められる。 くことが求められる。 11 総合確保方針改定に向けた議論のたたき台(続き) 総合確保方針改定に向けた主な論点 ≪2.在宅医療の推進及び在宅医療と介護の連携の推進に関する視点≫ (在宅や退院時、看取りといった場面における医療と介護のシームレスな提供) (3) 地域包括ケアシステムの構築に向け、在宅での生活から病院へ入院し、退院してまた在宅へと帰って行く ことができるよう、医療と介護のシームレスな提供を実現することが重要。また、住み慣れた地域で最期を 迎えることができる環境整備も重要。これらを実現するため、どのような取組みを行っていくか。 (平成30年度から全ての市町村で行うこととなる在宅医療・介護連携推進事業、地域包括支援センター、地域ケア会議といっ た事業や枠組みの活用等) (多職種の連携) (4) 在宅や入院・退院、看取りといった、さまざまな場面に応じた医療と介護の連携を実現するに当たって、 医療職や介護職等の多職種の連携を進めるために、どのような取組みが考えられるか。 前回会議でいただいた主なご意見 ・ 医療と介護のシームレスな提供について、入院医療機関と在宅医療機関との間の認識の差を埋めていくことが、特に退院支援では重 要。入院医療機関も地域包括ケアシステムの一員であり、退院後の地域での生活をイメージして退院支援を行っていく必要がある。 ・ 多職種連携においては、施設と施設の連携が重要であり、地域の職能団体が果たす役割が大きい。 ・ 論点に「介護予防」「認知症」を追加していただきたい。特に「介護予防」の医療費への影響が非常に重要であり、総合確保方針の 中で「介護予防」の結果としての経済的評価ができるようにしてほしい。 ・ 在宅や多職種連携に関連する研修が多く実施されており、引き続き取組を継続していくことが重要。 ・ 過疎地域での在宅医療の推進に向けて検討されていないと思われるため、交通政策や住居対策等、様々な問題を含めて考えていく必 要がある。 対応方針案 〇 ⇒ 連携の推進のためには、3者(行政、サービス提供者、サービス利用者)の取組みの更なる充実が必要。 行政(市町村)の役割に、平成30年度から全市町村で行うこととされている在宅医療・介護連携推進事業の実施、 在宅医療等に関する普及・啓発を明記してはどうか。 ⇒ サービス提供者等の役割に、現行は切れ目の無い医療及び介護の連携の一般的な記載をしているが、具体的な場面 (在宅や入院・退院、看取りなど)に応じた医療関係者と介護関係者の連携、在宅医療等に関する普及・啓発を明記し てはどうか。 ⇒ サービス利用者の役割に、在宅医療等への理解を深めてもらうことを明記してはどうか。 12 現行の総合確保方針と改正案(第1二2(2)、(3) ) 改正案 現行 第1 地域における医療及び介護の総合的な確保の意義及び基本的 第1 地域における医療及び介護の総合的な確保の意義及び基本的 な方向に関する事項 な方向に関する事項 二 医療及び介護の総合的な確保に関する基本的な考え方 二 医療及び介護の総合的な確保に関する基本的な考え方 2 行政並びに医療・介護サービス提供者及び利用者の役割 2 行政並びに医療・介護サービス提供者及び利用者の役割 (2)サービス提供者等の役割 (2)サービス提供者等の役割 サービス提供者等は、利用者の視点に立って、入退院支援、 サービス提供者等は、利用者の視点に立って、切れ目ない 医療及び介護の提供体制を確保し、良質な医療・介護サービ 日常の療養支援、急変時の対応、看取り等の場面に応じて切 スを提供するとともに、限られた資源を効率的かつ効果的に れ目ない医療及び介護の提供体制を確保し、良質な医療・介 活用するという視点を持つことも重要である。そのため、在 護サービスを提供するとともに、限られた資源を効率的かつ 宅医療・介護の提供や連携に資する体制を行政が整備すると 効果的に活用するという視点を持つことも重要である。その ともに、サービス提供者等の間で、利用者に関する情報や地 ため、在宅医療・介護の提供や連携に資する体制を行政が整 域における様々な社会資源に関する情報を共有していく仕組 備するとともに、サービス提供者等の間で、利用者に関する みを構築及び活用していくことが重要である。また、医療・ 情報や地域における様々な社会資源に関する情報を共有して 介護サービスを継続的に提供していくためには、人材の確保 いく仕組みを構築及び活用していくとともに、サービス利用 及び定着が重要であることから、キャリアアップの支援や魅 者に対して在宅医療等に関する普及・啓発を行っていくこと 力ある職場づくり等に取り組んでいくことも重要である。 が重要である。また、医療・介護サービスを継続的に提供し ていくためには、人材の確保及び定着が重要であることから、 キャリアアップの支援や魅力ある職場づくり等に取り組んで いくことも重要である。 (3)サービス利用者の役割 医療・介護サービスの利用者は、当該サービスを支える費 用負担者でもあるため、サービス利用に当たっては限られた 資源を効率的かつ効果的に利用するという視点も持つことや、 在宅医療等をはじめとした医療・介護サービスについて理解 を深めていくよう努めることが重要である。 また、今後の少子高齢化の進展を踏まえれば、例えば、地 域において、元気な高齢者が生活支援等に携わるボランティ アとして活躍するなど、地域の構成員として、積極的な社会 参加ができるようにしていくという視点も重要である。 (3)サービス利用者の役割 医療・介護サービスの利用者は、当該サービスを支える費 用負担者でもあるため、サービス利用に当たっては限られた 資源を効率的かつ効果的に利用するという視点も持つことが 重要である。 また、今後の少子高齢化の進展を踏まえれば、例えば、地 域において、元気な高齢者が生活支援等に携わるボランティ アとして活躍するなど、地域の構成員として、積極的な社会 参加ができるようにしていくという視点も重要である。 13 総合確保方針改定に向けた議論のたたき台(続き) 総合確保方針改定に向けた主な論点 ≪3.医療・介護の連携の核となる人材に関する視点≫ (人材の確保) (1) 質の高い医療・介護人材を確保する際には、在宅や入院・退院、看取りといった各場面で関係職種や医療機 関等を結びつけたり、地域において地域包括ケアの環境作りを先導していったりすることができるような、医療 と介護の連携を促進するための人材の確保が重要であるが、そのような医療・介護の連携の核となる人材には、 どのような役割が求められるか。こうした役割を果たす人材を確保するためには、どのような工夫ができるか。 前回会議でいただいた主なご意見 ・ 地域包括ケアシステムの構築を先導できる人材については、どこの組織に所属し、どのような権限をもっているが関わってくる。そ れぞれの地域における組織間の役割を明確にした上で、関係職種の業務としてどう切り分けていくかを考えていく必要がある。 ・ 連携の核となる人はケアマネ。看護師でケアマネ資格を持っている方を核とすべき。チームのリーダーとしては地区医師会の先生だ と思われるし、そこにコメディカルも加わり、都道府県及び市町村がチームで機能するような体制を構築していくべき。 ・ 日頃から、入院時からケアマネが関われる仕組みを構築し、フットワークをきちんと取れる人材の育成が必要。 ・ ケアマネの更新研修において医療に関する項目も追加されたと聞いており、その成果が明確になるようお願いしたい。 ・ 今後の介護支援専門員の活用にあたっては、より行政研修の中身も考えていかなければならない。 ・ ・ 連携の核となる人材について、家族等で行える在宅・看取りでの医行為に関して、一定の介護職についても実施できるように緩和い ただきたい。特に、座学研修について取り組んでほしい。 多職種連携や人材確保については、政府で、先進事例を横展開し、事業化してほしい。 対応方針案 〇 連携の核となる人材について、 ・医療と介護の両分野に精通し、 ・各場面における連携を促進できる人材であること を、総合確保方針に盛り込んではどうか。 14 現行の総合確保方針と改正案(第1二1(3)) 改正案 第1 地域における医療及び介護の総合的な確保の意義及び基本 的な方向に関する事項 二 医療及び介護の総合的な確保に関する基本的な考え方 1 基本的な方向性 (3)質の高い医療・介護人材の確保と多職種連携の推 進 医療及び介護は対人サービスであり、医療及び介 護の提供体制の整備には、質の高い人材を継続的に確 保していくことが不可欠であり、人材の育成、就業の 促進、勤務環境の改善等、質の高い人材の確保に関す る取組を進めることが重要である。また、人材の育成 に当たっては、医療及び介護を取り巻く環境の変化に 対応した、両分野の連携の促進に資する継続的な研修 体制等を整備する。また、医療及び介護の連携を深め るためには、両分野に精通した人材が必要であり、地 域包括ケアシステムを構築する観点から、医療及び介 護の連携の核となる人材の育成を図りつつ、多職種が 連携して取り組む環境づくりを進めていくことが重要 である。その際には、医療及び介護の関係機関・団体 が相互の役割分担と連携を密にして、利用者にとって わかりやすく総合的な支援が行われる体制を確保する ことが重要である。 現行 第1 地域における医療及び介護の総合的な確保の意義及び基本 的な方向に関する事項 二 医療及び介護の総合的な確保に関する基本的な考え方 1 基本的な方向性 (3)質の高い医療・介護人材の確保と多職種連携の推 進 医療及び介護は対人サービスであり、医療及び介 護の提供体制の整備には、質の高い人材を継続的に確 保していくことが不可欠であり、人材の育成、就業の 促進、勤務環境の改善等、質の高い人材の確保に関す る取組を進めることが重要である。また、人材の育成 に当たっては、医療及び介護を取り巻く環境の変化に 対応した継続的な研修体制等を整備するとともに、地 域包括ケアシステムを構築する観点から、医療及び介 護の連携の核となる人材の育成を図りつつ、多職種が 連携して取り組む環境づくりを進めていくことが重要 である。その際には、医療及び介護の関係機関・団体 が相互の連携を密にして、利用者にとってわかりやす く総合的な支援が行われる体制を確保することが重要 である。 15 総合確保方針改定に向けた議論のたたき台(続き) 総合確保方針改定に向けた主な論点 ≪4.前回の会議で新たにご提示いただいた主な論点≫ (住宅政策関係) ・ 地域包括ケアシステムの構築において、高齢者の住宅問題はとても重要であり、その制度や環境について、縦割 りではなく、誰が見ていくのか、という人材の視点も重要。 ・ 住宅政策については、自治体でも住宅部門と福祉部門は縦割りになりかねない状況があるが、地域包括ケアシス テムの中で、福祉施策としての住宅政策をこれまで以上に考えていかなければならない。 (参考)現行の介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針(抄) 第一 サービス提供体制の確保及び事業実施に関する基本的事項 一 地域包括ケアシステムの基本的理念 5 高齢者の住まいの安定的な確保 地域においてそれぞれの生活のニーズにあった住まいが提供され、かつ、その中で生活支援サービスを利用しながら個人の尊厳が確保された生活が実現されることが、保健、医療、介護等のサー ビスが提供される前提となるため、個人において確保する持家としての住宅や賃貸住宅に加えて、有料老人ホーム(老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)第二十九条第一項に規定する有 料老人ホームをいう。以下同じ。)やサービス付き高齢者向け住宅(高齢者の居住の安定確保に関する法律(平成十三年法律第二十六号)第五条第一項に規定するサービス付き高齢者向け住宅をい う。以下同じ。)等の高齢者向け住まいが、地域におけるニーズに応じて適切に供給される環境を確保するとともに、これらの住まいにおける入居者が安心して暮らすことができるよう、都道府県が適確 な指導監督を行うよう努めることが重要である。 また、所得又は資産が少ないなど、地域での生活が困難となっている高齢者を対象に、空家の活用等による低廉な家賃の住まいの確保や、適切な生活支援体制の確保等にも留意することが重要 である。 第二 市町村介護保険事業計画の作成に関する事項 一 市町村介護保険事業計画の作成に関する基本的事項 3 市町村介護保険事業計画の作成のための体制の整備 (一) 市町村関係部局相互間の連携 計画の検討、立案及び推進は、地域包括ケアシステム構築の推進に向けて極めて重要な過程であり、庁内一丸となって取り組むよう努めることが望ましい。具体的には、介護保険担当部局・課は、 民生担当部局、保健医療担当部局、労働担当部局、住宅担当部局、地域振興担当部局、農林水産担当部局、教育担当部局等の関係部局と連携することができる体制を整備するとともに、計画の 検討、立案及び推進に当たっては相互に連絡を取り問題意識を共有し、協力して必要な施策に取り組むよう努めることが重要である。 必要に応じて、例えば、地域包括ケアシステムの構築に向けた庁内全体のプロジェクトチームを設置し、その中で計画の策定に向けた議論を行うこと等も考えられる。 対応方針案 〇 住宅施策との連携は、地域包括ケアシステムの重要な要素。このため、住宅施策との連携も重要であ る旨を総合確保方針に明記してはどうか。 (具体的な記載案) ✓ 今後、医療及び介護の提供体制を、住宅施策等との連携も踏まえつつ、地域の将来の姿を踏まえた「まちづくり」の一環として位置づ けていくという視点を明確にしていくことも重要。 16 現行の総合確保方針と改正案(第1二1(2)、2(1)) 改正案 現行 第1 地域における医療及び介護の総合的な確保の意義及び基本的 な方向に関する事項 二 医療及び介護の総合的な確保に関する基本的な考え方 1 基本的な方向性 (2)地域の創意工夫を活かせる仕組み 高齢化等の人口動態、医療・介護ニーズの程度、医 療・介護資源等は、地域によって大きく異なる。今後、 地方では高齢者数の減少を含めた人口減少が進む一方、 大都市やその近郊では高齢者数が急増することが見込ま れる中で、医療及び介護を取り巻く状況の地域差は、よ り一層大きく、また多様になっていくと考えられる。こ うした中で、医療及び介護の総合的な確保を進めていく ためには、地域の創意工夫を活かせる柔軟な仕組みを目 指すことが必要である。また、今後、医療及び介護の提 供体制の整備を、住宅施策との連携も踏まえつつ、地域 の将来の姿を踏まえた「まちづくり」の一環として位置 付けていくという視点を明確にしていくことも重要であ る。 第1 地域における医療及び介護の総合的な確保の意義及び基本的 な方向に関する事項 二 医療及び介護の総合的な確保に関する基本的な考え方 1 基本的な方向性 (2)地域の創意工夫を活かせる仕組み 高齢化等の人口動態、医療・介護ニーズの程度、医 療・介護資源等は、地域によって大きく異なる。今後、 地方では高齢者数の減少を含めた人口減少が進む一方、 大都市やその近郊では高齢者数が急増することが見込ま れる中で、医療及び介護を取り巻く状況の地域差は、よ り一層大きく、また多様になっていくと考えられる。こ うした中で、医療及び介護の総合的な確保を進めていく ためには、地域の創意工夫を活かせる柔軟な仕組みを目 指すことが必要である。また、今後、医療及び介護の提 供体制の整備を、地域の将来の姿を踏まえた「まちづく り」の一環として位置付けていくという視点を明確にし ていくことも重要である。 2 行政並びに医療・介護サービス提供者及び利用者の役割 (1)行政の役割 (中略) また、厚生労働省においては、医療及び介護の連携を 推進するための組織再編等の体制強化を行ったところで あるが、本方針を踏まえ、国、地方を通じた医療・介護 の担当部局間のより一層の連携を図っていく。更に、よ り広い「まちづくり」という視点も踏まえ、関係省庁と も連携しながら地方自治体に対して必要な支援・助言を 行うとともに、都道府県及び市町村においても、住宅部 局をはじめとした関係部局と連携を進めていくことが重 要である。 (中略) 2 行政並びに医療・介護サービス提供者及び利用者の役割 (1)行政の役割 (中略) また、厚生労働省においては、医療及び介護の連携を 推進するための組織再編等の体制強化を行ったところで あるが、本方針を踏まえ、国、地方を通じた医療・介護 の担当部局間のより一層の連携を図っていくとともに、 より広い「まちづくり」という視点も踏まえ、関係省庁 とも連携しながら地方自治体に対して必要な支援・助言 を行うものとする。 (中略) 17
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