「科学的思考力を育成するための「すべ」に関する研究」

は じ め に
.問題の所在
科学的思考力の育成は学習指導要領が改訂されるごとに提唱されてきた。改訂の度に提
唱されるということは,育成のための具体的な方略が提示されてこなかったことが問題と
いえる。このため,本誌では「科学的な思考」の育成の具体的な方略を検討する。
(
)科学的な思考
科学的な思考の育成の具体的な方略を検討するために,まず,
「思考」
について分析する
ことから始める。
. 思考とは
思考とは,ある目標の下に,生徒が既有経験をもとにして対象に働きかけ,種々の情報
を得て,それらを既有の体系と意味付けたり,関係付けたりして,新しい意味の体系を創
りだしていくことといえる。つまり,生徒自らが既有経験をもとに対象に働きかけ,新た
な意味の体系を構築していくことが思考といえる。ここでいう意味の体系とは,対象に対
して働きかける方法とその結果得られた概念やイメージなどをいう。このため,思考力を
育成するためには,「対象に対して働きかける方法」と「その結果得られた概念やイメージ
など」,特に,対象に対して働きかける方法を生徒が獲得することが大切になる。
対象に働きかける方法を獲得するには,生徒が対象に関して自分で目標を設定し,既有
の体系と意味付けたり,関係付けたりして,新しい意味の体系を構築していくという「す
べ」が必要になる。とりわけ,科学的な思考を育成する理科という教科では,自然事象を
対象とした思考力育成のための意味付け,関係付けには,違いに気付いたり,比較したり,
観察している現象と既有知識を関係付ける等の「すべ」がある。
. 科学的な思考とは
前項の理科における思考力を生徒に育成するためには,日常の理科学習指導において,
①違いに気付いたり,比較したり,②観察している自然事象と既有知識を関係付けるなど
の「すべ」を獲得できるようにすることが大切になる。ここで,①,②のそれぞれについ
て理科の授業である問題解決過程で具体化すると,以下のようになる。
)違いに気付いたり,比較したりするという「すべ」
問題解決過程において,違いに気付いたり,比較したりするという思考は,まず,生徒
が直面している文章や映像,図表,現象等について,現象どうし,あるいは現象と既有の
知識との間に違いを見いだすことから始まる。例えば,月の観察を例にすると,上弦の月
と満月というような月の形の違いに気付くことである。このような形の違いを見いだすこ
とから,生徒は月の形の違いを問題とする。
ところで,現象の違いに気付くためには,比較の基準が必要で,その基準と現象を比べ
- 1-
ることが大切になる。また,比較するという場合,
「何と何を」
比べているのかが不明確な
ことが多い。このため,生徒が比較する場面では,
「何と何を」
比べているのかを教師は明
確にする指導も大切になる。
)関係付けるという「すべ」
問題解決過程において関係付けるためには,生徒が生起している現象と既有の知識とを
関係付け,その現象が生じる原因(要因)を発想することが必要になる。具体的には,問
題解決過程の仮説を発想する場面において,生徒が現象と既有の知識を関係付け,現象が
生じる原因(要因)を類推できるようにすることである。
.研究の目的
科学的な思考は前項で述べたように,いろいろな場面で具現化する。本研究では,生徒
の主体的な問題解決の要となる,仮説の発想場面における科学的な思考を取り上げ,ここ
での「すべ」を明らかにすることにした。
.研究方法
まず,一つの単元を例にして,いくつかの仮説発想場面を取り上げる。そこで適用され
ている「すべ」を詳細に抽出する。
次に,同様の方法で,他の単元においても「すべ」を抽出する。
そして,このようにして抽出した「すべ」を他の単元に転移できるか否かを検討する。
最後に,抽出した「すべ」を分類整理する。
.結果
以上のような方法を用いて科学的な思考の「すべ」を抽出した結果,仮説設定場面での
「すべ」は,以下の
種に整理できた。
①学年や校種を貫いて一つの概念(例えば「流れ」)から仮説を設定するという
「すべ」
②例外を入れることでクリティカルに仮説を設定するという「すべ」
③表やグラフの変化に着目しデータから仮説を設定するという「すべ」
④モデルをもとに仮説を設定するという「すべ」
以後,①〜④について代表的な単元の詳細について述べる。
研究代表者 日本体育大学児童スポーツ教育学部教授 角屋重樹
- 2-
目 次
はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第
章 研究の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
.
研究の目的
.
研究の方法
.
研究計画の概要と組織
.
研究の成果と課題
第
章 科学的思考力を育成するための「すべ」に関する指導案作成の考え方・・
「すべ」に関する指導案の見方
.
第
.
指導案の作成意図
章 科学的思考力を育成するための「すべ」に関する指導案・・・・・・・・・・・・・・
「身近な物理現象(光と音)
.
-光の屈折-」・
・
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「回路と電流・電圧 -直列回路の電圧-」・
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「電流と磁界 -誘導電流の大きさ-」・
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・・
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「身の回りの物質(水溶液)
.
-水に溶けた物質をとり出す-」・
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「水溶液とイオン -塩酸(塩化水素水)の電気分解-」・
.
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「花のつくりと働き -いろいろな花のつくり-」・
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「葉・茎・根のつくりと働き -光合成-」・
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「大地の成り立ちと変化 -地層の重なりと過去の様子-」・
.
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「霧や雲の発生 -霧の発生-」・
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「気象とその変化 -前線の通過と天気の変化-」・
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・
- 3-
第
章 研究の概要
− 5−
第
章 研究の概要
.研究の目的
「科学的思考力」に関しては,中野(
)の研究など古くから行われてきた。また近
年のPI
SA調査においても,科学的リテラシーの観点の
的思考力」と対応していると言われており(猿田
つである「科学的能力」が「科学
)
,より一層「科学的思考力」を育成
する学びが求められている。
そこで,本研究会では,科学的思考力育成のための具体的な方略として,まず,科学的
思考力の「すべ」を見いだし,次に見いだした「すべ」について具体的な方略の検討を行
うこととした。
それまでに,科学的思考力育成ための「すべ」として,
「比較」や「関係付け」などを既
に見いだしている。それを踏まえ,本研究会では,とりわけ理科授業の仮説発想場面にお
ける具体的な「すべ」を明らかにしようとする。
.研究の方法
前項で示した目的を達成するため,以下の手順で研究を進めることにした。
まず,一つの単元を例にして,いくつかの仮説発想場面を取り上げ,そこで適用されて
いる「すべ」を詳細に抽出する。次に同様の方法で,他の単元においても「すべ」を抽出
する。そして,このようにして抽出した「すべ」を他の単元に転移できるか否かを検討す
る。最後に,抽出した「すべ」を分類整理する。
.研究計画の概要と組織
(
年次)
研究方法に従い,前半では,一つの単元を例にして,いくつかの仮説発想場面を取り上
げ,そこで適用されている「すべ」を詳細に抽出し,整理する。
(
年次)
年次に明らかになった知見を,他の単元にも適用し,仮説発想場面などで適用されて
いる「すべ」を抽出し,分類し,整理する。また,授業の中で生徒の「すべ」を導くため
の,具体的な「手立て」についても検討する。
中野栗夫(
)『科学的思考力育成の実際』
,東洋館出版社.
猿田祐嗣(
)「TI
MSS論文式問題の分析から」,『理科の教育』Vo
l
. ,No.,日本
理科教育学会,pp. - .
− 6−
(研究組織)
氏名
角屋 重樹
所属
分担
総括(研究会の運営)
日本体育大学
児童スポーツ教育学部
科学的思考力を育成するための
すべの明確化
副総括(研究会の運営)
木下 博義
広島大学大学院教育学研究科
科学的思考力を育成するための
すべの明確化
副総括(研究会の運営)
寺本 貴啓
國學院大學人間開発学部
科学的思考力を育成するための
すべの明確化
(中学校実践者との連携)
田中 利明
科学的思考力を育成するための
広島市立城山中学校
すべの実践化
平賀 博之
広島大学附属福山中・高等学校
桂木 浩文
広島市立安佐中学校
佐伯 貴昭
熊野町立熊野東中学校
玉木 昌知
広島県教育委員会
川口 健史
広島市立五日市南中学校
野上 真二
広島市教育センター
雲財 寛
広島大学大学院生
菅 恭平※
広島大学大学院生
植田 悠未※
広島大学大学院生
平成
年度の所属を記載。※
:平成
科学的思考力を育成するための
すべの具体化
科学的思考力を育成するための
すべの具体化
科学的思考力を育成するための
すべの具体化
科学的思考力を育成するための
すべの具体化
科学的思考力を育成するための
すべの具体化
科学的思考力を育成するための
すべの具体化
科学的思考力を育成するための
すべの具体化についての校正等
科学的思考力を育成するための
すべの具体化についての校正等
科学的思考力を育成するための
すべの具体化についての校正等
年度の委員,※
− 7−
:平成 年度の委員
.研究の成果と課題
本研究の成果として,中学校理科における仮説設定場面での「すべ」は,以下の
種に
整理できた。
①学年や校種を貫いて一つの概念(例えば「流れ」)から仮説を設定するという
「すべ」
②例外を入れることでクリティカルに仮説を設定するという「すべ」
③表やグラフの変化に着目しデータから仮説を設定するという「すべ」
④モデルをもとに仮説を設定するという「すべ」
また,①〜④の「すべ」およびそれを導くための「手立て」について,各単元での授業
を想定し,指導案の形式で明確化した。
− 8−
第
章 科学的思考力を育成するための「すべ」に関する
指導案作成の考え方 − 9−
第
章 科学的思考力を育成するための「すべ」に関する指導案作成の考え方
.
「すべ」に関する指導案の見方
第
章以降では,科学的思考力を育成するための「すべ」に関する指導案を提示する。
本節では,第
章に示した中学校第
学年「水溶液とイオン」に対応する指導案を例とし
て,指導案の見方について解説する。
本指導案は,一般的な指導案で示される事柄に加え,授業内で想定される教師と生徒と
のやりとりを,吹き出しの形式で挿入している。ここでは,生徒が用いる具体的な「すべ」
や,教師が提示する「手立て」が明示されている。
Ⅰ 学習指導要領
小学校
「A 物質・エネルギー」
第
学年 (
)電気の通り道
乾電池に豆電球などをつなぎ,電気を通すつなぎ方や電気を通す物を調べ,電
気の回路についての考えをもつことができるようにする。
Ⅰ 学習指導要領
ア 電気を通すつなぎ方と通さないつなぎ方があること。
イ 電気を通す物と通さない物があること。
○本単元の学習指導
第
学年 (
▲
「A 物質・エネルギー」
)電気の働き
乾電池や光電池に豆電球やモーターなどをつなぎ,乾電池や光電池の働きを調
べ,電気の働きについての考えをもつことができるようにする。
ア 乾電池の数やつなぎ方を変えると,豆電球の明るさやモーターの回り方が変
わること。
イ 光電池を使ってモーターを回すことなどができること。
要領における位置
付け,および本単
元で「すべ」を用
いる際に必要とな
る既習事項を整理
した。
中学校
[第
分野]
(
)電流とその利用
電流回路についての観察,実験を通して,電流と電圧との関係及び電流の
働きについて理解させるとともに,日常生活や社会と関連付けて電流と磁界
についての初歩的な見方や考え方を養う。
(エ)静電気と電流
異なる物質同士をこすり合わせると静電気が起こり,帯電した物体間では
空間を隔てて力が働くこと及び静電気と電流は関係があることを見いだすこ
と。
−1
0−
Ⅱ 単元の指導について
「流れ」という視点について
本研究の目的は,問題解決の過程における仮説設定での「すべ」を明らかにするとと
もに,この「すべ」を明らかにするために,中学校の学習内容と小学校の学習内容とを
関係付け,この関係付けの過程の中で,単元構成の新たな視点を明らかにすることであ
る。
今回の提案は,小学校第
学年から中学校第
学年までを「流れ」という新たな視点
下位の視点を設定して,単元の指導を構想する必要があると考えた。
○単元における具体的
①「流れ」る何か(何が流れるのか,移動するのか)
②「流れ」る何かが,移動する向き(どこからどこへ移動するのか)
小学校では,何か正体はわからないが,電流のもととなる「何か」が電気回路の中を,
電池の陽極から陰極に向かって流れているということを学ぶ。
中学校ではまず第
学年において,いくつかの現象を観察することを通して,電気回
路を流れる電流のもととなる「何か」は,マイナスの性質を持っており,陰極から陽極
に移動していることを学ぶ。この「何か」を電子という。
第
いて
▲
で単元を構想しようとする試み・提案である。この際,
「流れ」という視点に次の二つの
Ⅱ 単元の指導につ
学年では,水溶液中に電極を挿入すると豆電球が点灯したり,モーターが回転す
る現象を観察することから,離れている電極を電子が移動するための橋渡しをする「何
か」が,水溶液中にあることを課題提起する。
次に,いくつかの水溶液を用いた実験を行い,離れている電極を電子が移動するため
の橋渡しをする「何か」が存在する水溶液と存在しない水溶液とがあることを学ぶ。
な「すべ」の解説
仮説設定の際に生徒
が用いる「すべ」を
具体的に解説する。
ここでは,学年や校
種を貫く一つの概念
である「流れ」につ
いて解説している。
この離れている電極を電子が移動するための橋渡しをする「何か」が存在する水溶液
を用いた電気泳動の実験を通して,離れている電極を電子が移動するための橋渡しをす
る「何か」は,陽極側に移動するものと陰極側に移動するものとが存在することを学ぶ。
これまでの学習内容をもとに,塩酸(塩化水素水)の電気分解について自分なりの仮
説を設定し,仮説を検証する実験を立案・実施して,考察をしていく。
そして,第
学年での水溶液の学習内容(溶質が小さな粒子となって均一に広がって
いる)と関連付けながら,水溶液中に存在する「何か」について学んでいく。
最後に,これまで学んできた内容をもとにして,電気回路に電流が流れるしくみを説
明することをこころみる。
−1
1−
また,次のページで
は各学年の学習内容
のうち「流れ」とい
う概念に一致する部
分を整理している。
Ⅲ 本時の指導
Ⅲ 本時の指導
本時の目標 うすい塩酸に電流を通すと,何ができるのか自分なりに仮説を
本時の評価基準 うすい塩酸に電流を通すと,何ができるのか自分なりに仮説を
本時の準備物 立てることができる。
立てることができている。
くための教師の具体
%塩酸(塩化水素水溶液)
電気分解装置 電源装置
的な「手立て」
学習プリント
本時の展開 学 習 活 動
.本時の目標を知る。
○生徒の「すべ」を導
生徒が仮説を設定す
教 師 の 支 援
.仲間分けをした,電流を通す水溶液の
中で塩酸(塩化水素水溶液)を取り上げ
ることを知らせる。
るための「すべ」を
導くために,教師が
行う「手立て」を,
具体的な発問として
うすい塩酸に電流を通すと,両極付近には何ができるのか自分なりに仮説を立
てることができる。
吹き出しの中に提示
している。
.水溶液に電流を通して,電極付近の変
化を調べる実験を想起する。(すべ)
▲
▲
T:これは,塩酸の電気分解の実験だね。
これまで,電気分解の実験はどんな実験
をやったかな。(手立て)
S :やはり水の電気分解ですね。(すべ)
T:そうそう。電極付近に何ができたかな。
(手立て)
S :水素と酸素。
T:そうだね。それぞれ,どちらの極に発生
したかな。(手立て)
S :水素が+極,酸素が−極
S :何言ってるのよ。逆よ。
S :あっ,そっか。
S :もうっ・・・。
○生徒が用いる具体的
な「すべ」
生徒が仮説を設定す
るために用いる「す
べ」を,生徒の具体
的な発言として吹き
出しの中に提示して
いる。
本頁では,吹き出し内において,想定される生徒と教師のやりとりを提示し,生徒(S)
が用いる具体的な「すべ」や,教師(T)が提示する「手立て」を明示した。
−1
2−
.指導案の作成意図
第
章以降に提示した指導案は,中学校理科の授業を想定した指導案である。中学校理
科の各分野に幅広く対応させるために,表 ・ に示すように,全小単元のうち,
「エネル
ギー」分野から
ら
単元の計
単元,「粒子」分野から
単元,
「生命」分野から
単元,
「地球」分野か
の小単元を選択し,その単元内で想定される一つの授業について指導案を
作成した。
また,第
章で述べたように,仮説設定場面での「すべ」は,以下の
種に整理されて
いる。
①学年や校種を貫いて一つの概念(例えば「流れ」)から仮説を設定するという
「すべ」
②例外を入れることでクリティカルに仮説を設定するという「すべ」
③表やグラフの変化に着目しデータから仮説を設定するという「すべ」
④モデルをもとに仮説を設定するという「すべ」
表中には,各単元で用いる「すべ」が,①〜④のどの「すべ」に分類されるのかを示し
てある。
−1
3−
表
分野
単元表(第
分野…「エネルギー」「粒子」)
単元
力と圧力
小単元
力の働き
圧力
光の反射・屈折
光と音
指導案 「すべ」の
作成
分類
○
①
○
①
○
①
○
①
○
①
凸レンズの働き
音の性質
回路と電流・電圧
電流
エ
ネ
ル
ギ
電流・電圧と抵抗
電流とそのエネルギー
静電気と電流
電流がつくる磁界
電流と磁界
磁界中の電流が受ける力
電磁誘導と発電
力のつり合い
運動の規則性
運動の速さと向き
力と運動
力学的エネルギー
エネルギー
物質のすがた
水溶液
状態変化
物質の成り立ち
粒
子
仕事とエネルギー
力学的エネルギーの保存
様々なエネルギーとその変換
エネルギー資源
身の回りの物質とその性質
気体の発生と性質
物質の溶解
溶解度と再結晶
状態変化と熱
物質の融点と沸点
物質の分解
原子・分子
化合
化学変化
酸化と還元
化学変化と熱
化学変化と物質の質量
化学変化と質量の保存
質量変化の規則性
水溶液の電気伝導性
水溶液とイオン
原子の成り立ちとイオン
化学変化と電池
酸・アルカリとイオン
酸・アルカリ
中和と塩
−1
4−
表
分野
単元表(第
単元
植物の体のつくりと働き
植物の仲間
生物の観察
動物の体のつくりと働き
生
命
生物と細胞
動物の仲間
生物の変遷と進化
生物の成長と殖え方
遺伝の規則性と遺伝子
火山と地震
小単元
○
②
葉・茎・根のつくりと働き
○
①
○
④
霧や雲の発生
○
③
前線の通過と天気の変化
○
③
種子植物の仲間
種子をつくらない植物の仲間
生物の観察
生命を維持する働き
刺激と反応
生物と細胞
脊椎動物の仲間
無脊椎動物の仲間
生物の変遷と進化
細胞分裂と生物の成長
生物の殖え方
遺伝の規則性と遺伝子
火山活動と火成岩
地震の伝わり方と地球内部の働き
地層の重なりと過去の様子
気象観測
気象観測
日本の気象
天体の動きと地球の自転・公転
日本の気象の特徴
大気の動きと海洋の影響
日周運動と自転
年周運動と公転
太陽の様子
太陽系と恒星
指導案 「すべ」の
作成
分類
花のつくりと働き
地層の重なりと過去の様子
天気の変化
地
球
分野…「生命」「地球」)
月の運動と見え方
惑星と恒星
−1
5−
第
章 科学的思考力を育成するための「すべ」に関する指導案
-1
7-
科学的思考力を育成するための「すべ」に関する指導案
単 元 名:身近な物理現象(光と音)
- 光の屈折 -
熊野町立熊野東中学校
佐伯 貴昭 -1
9-
Ⅰ 学習指導要領
小学校
「A 物質・エネルギ-」
第
学年 (
)光の性質
鏡などを使い,光の進み方や物に光が当たったときの明るさや暖かさを調べ,
光の性質についての考えをもつことができるようにする。
ア 日光を集めたり反射させたりできること。
イ 物に日光を当てると,物の明るさや暖かさが変わること。
中学校
[第
分野]
(
)身近な物理現象
身近な事物・現象についての観察,実験を通して,光や音の規則性,力の性
質について理解させるとともに,これらの事物・現象を日常生活や社会と関連
付けて科学的にみる見方や考え方を養う。
ア 光と音
(ア)光の反射・屈折
光の反射や屈折の実験を行い,光が水やガラスなどの物質の境界面で反
射,屈折するときの規則性を見いだすこと。
(イ)凸レンズの働き
凸レンズの働きについての実験を行い,物体の位置と像の位置及び像の
大きさの関係を見いだすこと。
(ウ)音の性質
音についての実験を行い,音はものが振動することによって生じ空気中
などを伝わること及び音の高さや大きさは発音体の振動の仕方に関係する
ことを見いだすこと。
-2
0-
図
小学校・中学校理科の「エネルギー」「粒子」を柱とした内容の構成
Ⅱ 単元の指導について
小学校では,光に関する内容として,第
第
学年で
「光の性質」
,力に関する内容として,
学年で「物と重さ」,
「風やゴムの働き」
,第
学年で「空気と水の性質」
,第
学年
で「てこの規則性」について学習している。
ここでは,光や音,力など日常生活と関連した身近な事物・現象に関する観察,実験
を行い,結果を分析して解釈し,それらの規則性などを見いださせるとともに,身近な
物理現象に対する生徒の興味・関心を高め,日常生活や社会と関連付けながら,科学的
にみる見方や考え方を養うことが主なねらいである。その際,レポートの作成や発表を
適宜行わせ,思考力,表現力などを育成する。
なお,身近な物理現象の学習に当たっては,例えば,簡単なカメラや楽器などのもの
づくりを取り入れ,原理や仕組みの理解を深めさせ,興味・関心を高めさせることが考
-2
1-
えられる。 本単元を貫く概念の一つに,「光はまっすぐ進む(光の直進性)」がある。光の進み方
や物の見え方・光の反射といった学習は,
「光がまっすぐ進む」という概念で思考し整理
することができる。しかし,屈折という現象は,物質の境界面で光が折れ曲がることで
あり,「光がまっすぐ進む」という概念だけでは思考・整理できなくなる。その矛盾が生
じるような事象を提示することにより,「光はまっすぐ進むはずなのにどうして? お
かしいなあ?」という疑問が生徒に生じ,その問題を解決するための仮説を立てること
ができると考えた。
Ⅲ 指導計画
第
第
次 光の反射・屈折
時 光の進み方とものの見え方
本時の目標:光は直進することや,物体が見えることは光源からの光や反射
した光が目に入っていることを説明することができる。
第
時 鏡にうつる像
本時の目標:光が反射するときのきまりを実験結果から見いだすことができ
る。
第
時 光の反射
本時の目標:光の反射の法則を利用して,光が反射した後の道筋を予測する
ことができる。
第
時 光の屈折【本時】
本時の目標:光の屈折による物体の見え方を光の進み方と関連付け,説明す
ることができる。
第
時 光の屈折と全反射
本時の目標:光の屈折による入射角と屈折角の大きさや,全反射の規則性を
見いだすことができる。
第
時 レンズの働き
本時の目標:凸レンズの焦点と焦点距離について説明することができる。
第
時 凸レンズによってできる像
本時の目標:凸レンズによってできる像について,条件を整理して記録し,
実像や虚像のでき方の規則性を見いだすことができる。
第
時 凸レンズによってできる像の関係
本時の目標:凸レンズによってできる実像や虚像の大きさや向きを,作図に
よって表し,説明することができる。
-2
2-
Ⅳ 本時の流れ
学 習 活 動
教 師 の 支 援
.前時までの復習をする。
T:これまでの光の学習を振り返ってみまし
ょう。
T:光の進み方にはどのような特徴がありま
したか?(手立て)
S:光には,まっすぐに進むという性質があ
ります。(すべ)
T:物体が見えるということはどういうこと
でしたか?(手立て)
S:物体に当たった光が反射して,目に入っ
てくるということです。(すべ)
T:物体の表面で光が反射するときの角度に
は,どのようなきまりがありましたか?
(手立て)
S:入射角と反射角は等しいです。(すべ)
T:では,鏡に反射した光は,人間の目にと
ってはね返ってきたと認識できたのでし
ょうか?(手立て)
S:直進してきたと認識するので,鏡の奥に
像が見えます。(すべ)
.手作りレンズを提示する。
半円状の容器に,増粘多糖体(グミ)
を充填し,底に目印を付け,上部をスリ
ットの入った黒紙で覆ったもの。
-2
3-
.手作りレンズの底の目印をめがけて,
S
竹串を突き刺してみる。
S
S
S
S
S
:
(スリットからねらいを付けて)
しっか
りねらってと。よし,当たった。
:
(底から見ていて)
え? 何言ってるの
? 当たってないじゃん。
:そんなはずはないよ。しっかり当てた
よ。
:うそ。こっちの底から見てみてよ。
:あれ? 本当だ。ずれてるね。じゃあ,
こっちのスリットから見てみてよ。
:あれ? ちゃんと目印に当たってるね。
おかしいなあ? これって,どういう
こと?(すべ)
.本時の目標を知る。
目印の光はどのように目に届いたのかを調べ,竹串がずれた理由を説明するこ
とができる。
. 目印から出た光がどのようにして目 【仮説の例】
に届いたのか,仮説を立てる。
竹串を目印に突いたつもりが実際にずれ
ていたということは,空気との境目で光が
仮説を立てるために必要な既習
直進しているのではなく,折れ曲がって届
事項
いているのではないか。
①光は直進する。
②光の反射の法則 入射角=反射角
③鏡の表面で光が反射してきたこと
を人間の目(脳)は認識できない。
図版出典:「新しい科学」教師用図版集(東京書籍)
-2
4-
.各班のなかで自分の仮説を発表し,交
流する。
.学級で仮説を交流する。
.仮説を検証するための実験を各班で行
う。
・半円形レンズに光を差し込ませ,光の
通り方を確認させる。
・入射角と屈折角を測定する。
.仮説に照らし合わせて実験結果を考察
する。
.まとめ
図版出典:「新しい科学」教師用図版集(東京書籍)
-2
5-
科学的思考力を育成するための「すべ」に関する指導案
単 元 名:回 路 と 電 流・電 圧
- 直列回路の電圧 -
熊野町立熊野東中学校
佐伯 貴昭 -2
7-
Ⅰ 学習指導要領
小学校
「A 物質・エネルギ-」
第
学年 (
)電気の通り道
乾電池に豆電球などをつなぎ,電気を通すつなぎ方や電気を通す物を調べ,
電気の回路についての考え方をもつことができるようにする。
ア 電気を通すつなぎ方と通さないつなぎ方があること。
イ 電気を通す物と通さない物があること。
第
学年 (
)電気の働き
乾電池や光電池に豆電球やモーターなどをつなぎ,乾電池や光電池の働きを調
べ,電気のはたらきについての考えをもつことができるようにする。
ア 乾電池の数やつなぎ方を変えると,豆電球の明るさやモーターの回り方が変
わること。
イ 光電池を使ってモーターを回すことなどができること。
第
学年 (
)電流の働き
電磁石の導線に電流を流し,電磁石の強さの変化を調べ,電流の働きについて
の考えをもつことができるようにする。
ア 電流の流れているコイルは,鉄心を磁化する働きがあり,電流の向きが変わ
ると,電磁石の極が変わること。
イ 電磁石の強さは,電流の強さや導線の巻き数によって変わること。
第
学年 (
)電気の利用
手回し発電機などを使い,電気の利用の仕方を調べ,電気の性質や働きについ
ての考えをもつことができるようにする。
ア 電気は,つくりだしたり蓄えたりすることができること。
イ 電気は,光,音,熱などに変えることができること。
ウ 電熱線の発熱は,その太さによって変わること。
エ 身の回りには,電気の性質や働きを利用した道具があること。
中学校
[第
分野]
(
)電流とその利用
電気回路についての観察,実験を通して,電流と電圧との関係及び電流の
働きについて理解させるとともに,日常生活や社会と関連付けて電流と磁界
についての初歩的な見方や考え方を養う。
-2
8-
ア 電流
(ア)回路と電流・電圧
回路をつくり,回路の電流や電圧を測定する実験を行い,回路の各点を
流れる電流や各部に加わる電圧についての規則性を見いだすこと。
(イ)電流・電圧と抵抗
金属線に加わる電圧と電流を測定する実験を行い,電流と電圧の関係を
見いだすとともに金属線には電気抵抗があることを見いだすこと。
(ウ)電流とそのエネルギー
電流によって熱や光などを発生させる実験を行い,電流から熱や光など
が取り出せること及び電力の違いによって発生する熱や光などの量に違い
があることを見いだすこと。
(エ)静電気と電流
異なる物質同士をこすり合わせると静電気が起こり,帯電した物体間で
は空間を隔てて力が働くこと及び静電気と電流は関係があることを見いだ
すこと。
図
小学校・中学校理科の「エネルギー」「粒子」を柱とした内容の構成
-2
9-
Ⅱ 単元の指導について
小学校では,第
学年で電気を通すつなぎ方と通さないつなぎ方があること,第
学
年で乾電池の数やつなぎ方を変えると豆電球の明るさが変わることについて学習してい
る。
ここでは,簡単な直列回路や並列回路における電流や電圧に関する規則性を実験を通
して見いださせ,回路の基本的な性質を理解させることがねらいである。この学習では,
まず,回路の作成の仕方,電流計や電圧計,電源装置などの扱いに習熟させることが重
要である。例えば,豆電球などの抵抗及び電源装置を入れた簡単な回路をつくらせ,そ
の回路に流れる電流や抵抗に加わる電圧の測定などを行わせ,回路の作成の仕方,電流
や電圧の測定など,基本的な技能を身に付けさせる。その上で,二つの抵抗をつなぐ直
列回路や並列回路などの簡単な回路の各点を流れる電流や各部に加わる電圧などを調べ
る実験を行い,規則性を見いださせる。電流については,分岐点のない回路では,回路
のどの部分でも電流の大きさが等しいこと,分岐点のある場合は,流入する電流の和と
流出する電流の和が等しいことを見いださせる。
また,電圧については,抵抗を直列につないだ回路では,各抵抗の両端の電圧の和が
回路の両端の電圧に等しいこと,抵抗を並列につないだ回路では,それぞれの抵抗の両
端の電圧は等しいことなど,実験を通してその結果を分析して解釈させてそれぞれの規
則性を見いださせる。
本単元を貫く一つの概念は,「電子」である。電流については,電流を電子(粒子)の
量としてとらえ,モデルに当てはめながら現象を整理し,規則性を見いだしていく。直
列回路の豆電球の明るさが異なる現象について,電子の流れる量(電流)だけでは整理
がつかなくなるため,その矛盾を解決するための仮説を立て,粒子を押し出そうとする
力(電圧)が関連していることに気付かせていく。また,電子を目に見える形のモデル
で説明させることで,電流や電圧の概念について思考・整理させる。
-3
0-
Ⅲ 指導計画
第一次 回路と電流・電圧
第
時 回路と回路図
本時の目標:豆電球・乾電池・導線(
本)で明かりをつける活動から小学
校での回路の学習を思い出し,電気用図記号を使って回路図を
書くことができる。
第
時 直列回路と並列回路
本時の目標:直列・並列につないだ豆電球を
個はずしたときの電流の道筋
について考え,直列回路と並列回路を説明することができる。
第
時 回路に流れる電流の大きさ 本時の目標:豆電球に流れ込む電流と流れ出る電流の大きさが等しいことを,
電流計を使って測定することができる。
第
時 直列回路と並列回路を流れる電流の大きさ
本時の目標:直列回路・並列回路の各点を流れる電流の大きさを測定するこ
とができる。
第
時 回路を流れる電流のモデル化
本時の目標:回路を流れる電流のきまりを,電気の粒子や水流モデルを使っ
て説明することができる。
第
時 回路に加わる電圧
本時の目標:電圧の概念を理解し,電圧計を使って測定することができる。
第
時 直列回路に加わる電圧の大きさ【本時】
本時の目標:直列回路に加わる電圧の大きさについての仮説を立てて調べ,
モデルを使って説明することができる。
第
時 並列回路に加わる電圧の大きさ
本時の目標:並列回路に加わる電圧の大きさについての仮説を立てて調べ,
モデルを使って説明することができる。
-3
1-
Ⅳ 本時の流れ
学 習 活 動
教 師 の 支 援
.前時までの復習をする。
T:これまでの電気の学習で電流と電圧とい
うものを学習してきました。
T:電流とはどういうものですか?(手立て)
S:回路を流れている電気の量のことです。
(すべ)
T:直列回路の電流の大きさにはどんなきま
りがあったかな?(手立て)
S:回路を流れる電流の大きさはどこでも同
じです。(すべ)
T:では,電圧とはどういうものですか?
(手立て)
S:回路に電流を流そうとする働きのことで
す。(すべ)
T:電圧をモデルで表すと,
どうだったかな?
(手立て)
S:高さで表すことができます。(すべ)
-3
2-
.直列回路の豆電球の明るさを確認する。
T:直列回路の豆電球に電流を流します。豆
電球の明るさはどうですか?
(実際に電流を流して明るさを見せる)
(手立て)
S:明るさが違います。片方が明るくて,も
う一方が暗いです。
S:なんでかなあ。
T:どうして明るさに違いがあるのでしょう
か? 今日は,このことを調べてみまし
ょう。
.本時の目標を知る。
直列回路の各豆電球の明るさが違うのかを仮説を立てて調べ,モデルを使って
説明することができる。
.各自で直列回路の豆電球の明るさが何
に関係しているのか仮説を立てる。
仮説を立てるために必要な既習
事項
①直列回路の電流の大きさは,どこ
でも同じ大きさである。
②
つの豆電球に加える電圧の大き
さを変えれば,豆電球の明るさは
変わる。
S
S
S
.各班のなかで自分の仮説を発表し,交
流する。
S
S
S
-3
3-
:直列回路だから,電流の大きさはどち
らの豆電球も同じはずなのに,どうし
てかなあ?(すべ)
:じゃあ,電流ってことは考えられない
ね。
:そういえば,豆電球 個のとき,つな
ぐ乾電池の数を変えたら明るさが変わ
ったよ。(すべ)
:乾電池の数が変わると,何が変わるの
?
:電圧が変わるんじゃなかったっけ?
:じゃあ,電圧が関係しているのかな。
仮説の例
直列回路の各豆電球の明るさは,電流の大きさではなく,電圧を変えると豆電
球の明るさが変わったことから,各豆電球にかかる電圧が異なるのではないか。
.学級で仮説を交流する。
.仮説を検証するための実験を各班で行
う。
電圧計で,各豆電球の電圧と電源の電
圧を測定する。
.仮説に照らし合わせて実験結果を考察
する。
以下のようなモデルを用意する。
(手立て)
.結果から得られたことをモデルで説明
する。
モデルで説明するために必要な
既習事項
①電圧とは,電流を流そうとする働
きのことである。
②電流をビー玉のモデルで表すこと
ができる。
③電圧を高さ(落差)のモデルで表す
ことができる。
図版出典:「新しい科学」教師用指導書図版集(東京書籍)
-3
4-
説明の例
直列回路の各豆電球の明るさは,電圧が大きいほうが明るく,小さいほうが暗
い。また,両方の電圧の大きさの和は
つの豆電球全体の電圧の大きさに等しい。
このことをモデルで表すと,電圧が大きいほうは高さが高く,電圧の小さいほう
は高さが低い。そして,両方の高さの和は,全体の高さと等しくなっている。
.まとめ
図版出典:「新しい科学」教師用指導書図版集(東京書籍)
-3
5-
科学的思考力を育成するための「すべ」に関する指導案
単 元 名:電 流 と 磁 界
- 誘導電流の大きさ -
広島市立五日市南中学校
川口 健史 -3
7-
Ⅰ 学習指導要領
小学校
「A粒子・エネルギー」
第
学年 (
)電流の働き
電磁石の導線に電流を流し,電磁石の強さの変化を調べ,電流の働きについて
の考えをもつことができるようにする。
ア 電流の流れているコイルは,鉄心を磁化する働きがあり,電流の向きが変わ
ると,電磁石の極が変わること。
イ 電磁石の強さは,電流の強さや導線の巻数によって変わること。
中学校
[第
分野]
イ電流と磁界
(ア)電流がつくる磁界
磁石や電流による磁界の観察を行い,磁界を磁力線で表すことを理解する
とともに,コイルの回りに磁界ができることを知ること。
(イ)磁界中の電流が受ける力
磁石とコイルを用いた実験を行い,磁界中のコイルに電流を流すと力が働
くことを見いだすこと。
(ウ)電磁誘導と発電
磁石とコイルを用いた実験を行い,コイルや磁石を動かすことにより電流
が得られることを見いだすとともに,直流と交流の違いを理解すること。
(ウ)電磁誘導と発電について
小学校第
学年で,手回し発電機などの実験を通して,電気はつくりだした
り蓄えたりすることができることについて学習している。
ここでは,コイルと磁石の相互運動で誘導電流が得られることを観察,実験
を通して見いださせること,及び直流と交流の違いを理解させることがねらい
である。
例えば,コイル,磁石及び検流計などを用いて,磁石またはコイルを動かす
ことにより,コイルに誘導電流が流れることを見いださせる。その際,磁石ま
たはコイルを動かす向きや磁極を変えることにより誘導電流の向きが変わるこ
と,さらに,磁石またはコイルを速く動かしたり,磁石の強さを強くしたり,
コイルの巻数を多くしたりすると,誘導電流が大きくなることを見いださせる。
-3
8-
図
小学校・中学校理科の「エネルギー」「粒子」を柱とした内容の構成
-3
9-
Ⅱ 単元の指導について
本単元で問題を解決していく中で,生徒は問題の原因となる要因を取り出し,仮説を
設定していくという思考の流れを踏むことが多くある。しかしながら,自然の事物・事
象から,問題の原因となる要因を取り出すことは生徒にとって容易ではないことが多い。
そこで,まず,問題となる事象に関係する既習知識を,実際に具体物を操作しながら
体験として想起し関係付けることを「すべ」として提案する。具体物を操作しながら既
習知識を想起することで,より既習知識が関係付けやすくなるのではないかと考える。
次に,生徒の状態によって,問題の提示方法を変えることを「手立て」として提案す
る。生徒が,要因の取り出しや仮説の設定に熟達し,あまり困難を示さない状況であれ
ば,発問を「どのようにすれば?」などの,
「何を」「どのように」を包含したものとし
て,生徒の主体性に任せる展開が妥当ではないかと考える。しかし,生徒が要因の取り
出しや,仮説の設定に困難を示すことが予想される場合では,要因を比較できる物を提
示・操作することで要因に着目しやすくするなどの手立てが必要だと考える。
生徒の状況
手立て
すべ
要因の取り出しや,仮説の設定
発問を「どのようにすれば?」
既習知識を,
などの,何を」「どのように」
際に具体物を
を包含したものにする。
操作しながら
要因を比較できる物を提示・操
体験として想
作することで要因に着目しやす
起し関係付け
くする。
る。
A に熟達している生徒
要因の取り出しや,説の設定に
B 困難を示す生徒
-4
0-
Ⅲ-
既習知識を想起する導入
学 習 活 動
教 師 の 支 援
.既習事項を体験として想起する
.既習事項を体験として想起させる。
次の実験について,実物を用いて既習
事項を想起する。(すべ)
①電磁石を強くする方法を調べた実験
(電磁石の実物を提示)
②手回し発電機で豆電球をつけた実験
(手回し発電機の実物を与える)
対話例①
T:これは何ですか?(電磁石の実物を提示して)
S :電磁石です。
T:小学校の時,電磁石を用いた実験でどのようなことが明らかに
なりましたか?
想起される既習事項
①コイルの巻き数を多くすると電磁石の力が
大きくなる。
②コイルに流す電流を大きくすると電磁石の
力が大きくなる。
③手回し発電機の回転数を上げるほど豆電球
は明るくなる。
.コイルと磁石を動かしたりすると,誘
導電流が発生したことを確認する。
問題提示A 問題提示B へ
-4
1-
Ⅲ-
問題提示A:
「どのようにしたら誘導電流が大きくなるだろうか?」
と問う展開
学 習 活 動
教 師 の 支 援
.問題を把握する
○発電所では,前時に学習した誘導電流を ○発電所では,前時に学習した誘導電流を
用いて大きな電流を起こしていることを
用いて大きな電流を起こしていることを
知る。
伝える。
発電所のように,より大きい誘導電流を生み出すにはどうしたらいいだろうか。
.仮説を設定する
予想される生徒の思考の流れ
S
S
S
:電磁石が強くなったように「コイルの巻き数」をふやせば,誘
導電流が大きくなるのではないかな?
:手回し発電機を動かす速さを上げたら,電流は強くなったから,
「磁石を動かす速さ」を速くすればいいんじゃないかな?
:小学校でやった電磁石の実験を振り返ると,流れる電流の大き
さと,
「コイルの巻き数」と,「磁力の大きさ」の つはお互い
に何か関係があるのではないかな。だから磁石を強くして,コ
イルの巻き数を増やせば,残りの つの電流,つまり誘導電流
は大きくなるのではないかな。
T:条件はでてきたけど,どうすれば確かめられるかな?
S:対照実験をすればいいと思います。
-4
2-
Ⅲ-
問題提示B:要因を比較できるものを提示する展開
学 習 活 動
教 師 の 支 援
.問題を把握する
○様々な巻き数のコイルと,磁力の磁石を ○様々な巻き数のコイルと,磁力の磁石を
操作し,誘導電流を発生させる。
提示する。(手立て)
T:巻き数の違うコイルが何種類かと,磁力の違う磁石が何種類かあ
るのだけれども,前時にやったようにこれらで誘導電流を起こし
てみてごらん。(手立て)
S
S
S
:あれ,組み合わせで誘導電流の大きさが違うよ?
:本当だ,違うね。
:何が誘導電流の大きさに関係しているのかな?
誘導電流の大きさは何によって決まるのだろうか。
.仮説を設定する
予想される生徒の思考の流れ
S :コイルの「巻き数」が関係しているんじゃないかな?
ほら見て,巻き数が大きい方が誘導電流が大きくなってるでし
ょ。(操作をしながら)
S :いや,でもそれ,磁石の強さが違うよ。巻き数ではなくて磁石
の強さが関係しているんだよ。
S :いや,電磁石の時にコイルの巻き数が関係していたから,やっ
ぱり,巻き数は関係しているはずだよ。(すべ)
S :それだったら,磁石を動かす速さも関係しているよ。だって,
手回し発電機の時に,早くハンドルを回した方が大きい電流が
流れたじゃないか。(すべ)
T:色々と条件はでてきたけど,どうすれば確かめられるかな。
S:対照実験をすればいいと思います。
-4
3-
科学的思考力を育成するための「すべ」に関する指導案
単 元 名:身の回りの物質(水溶液)
- 水に溶けた物質をとり出す -
広島市立安佐中学校
桂木 浩文 -4
5-
Ⅰ 学習指導要領
小学校
「A 物質・エネルギー」
第
学年 (
)物の溶け方
物を水に溶かし,水の温度や量による溶け方の違いを調べ,物の溶け方の規則
性についての考え方をもつことができるようにする。
ア 物が水に溶ける量には限度があること。
イ 物が水に溶ける量は水の温度や量,溶ける物によって違うこと。また,この
性質を利用して,溶けている物を取り出すことができること。
ウ 物が水に溶けても,水と物とを合わせた重さは変わらないこと。
中学校
[第
分野]
(
)身の回りの物質
身の回りの物質についての観察,実験を通して,固体や液体,気体の性質,
物質の状態変化について理解させるとともに,物質の性質や変化の調べ方の
基礎を身に付けさせる。
イ 水溶液
(ア)物質の溶解
物質が水に溶ける様子の観察を行い,水溶液の中では溶質が均一に分散し
ていることを見いだすこと。
(イ)溶解度と再結晶
水溶液から溶質を取り出す実験を行い,その結果を溶解度と関連付けてと
らえること。
-4
6-
-4
7-
Ⅱ 指導計画
時
学 習 活 動
第
【本時の目標】①
・単元の見通しをもつことができる。
【子どもが出会う現象】
時
・メキシコ北部のナイカ山地の地下で見つかった硫酸カルシウムの巨大な結晶
(写真)
【学習内容】
・本単元に興味をもつとともに,課題意識をもつ。
【指導】
・この小単元を通じて解決するべき課題は,以下の二つである。
①物質はどのように水に溶けているのだろうか。
②どのようにして溶けていたものがふたたび姿を現すのだろうか。
第
【本時の目標】②
・物質が水に溶けたとき,溶けた物質はどのようになっているのか,説明できる。
【子どもが出会う現象】
時
・ビーカーの水の中に吊された塩化ナトリウムの結晶が,溶けていく現象
(教科書では,
枚の写真:シュリーレン現象と溶けきった状態)
(実際にコーヒーシュガー等を用いて観察させると良い)
・硫酸銅が水に溶けるようすの観察
(教科書では,
枚の写真:①溶質をいれた直後,② 時間後,③
④
日後,
日後)
(映像で観察させても良い)
【ふり返り】
・塩化ナトリウムが水に溶けるとき,どのようになると水に塩化ナトリウムが
溶けたといったか。
・溶けた物は見えず,溶液は透明になる。溶けた物は,目には見えなくても,
溶液全体に広がっている。
【学習内容】
・水溶液の性質
透明である(色のついたものもある)
。
濃さはどの部分も同じである。
・溶質,溶媒,溶液,水溶液の定義
・粒子のモデルで水溶液を考え説明する。
-4
8-
【指導】
・第
の課題を解決するために,ビーカーの水の中に吊された塩化ナトリウム
の結晶が,溶けていく現象を観察させ,その後既習事項のふり返り(ものが水
に溶けて透明になった液を水溶液という)を行う。
・塩化ナトリウムは無色の溶質だから,水溶液中の溶質の様子がわからないた
め,溶質が溶けていく様子を色がついた溶質(教科書では硫酸銅)を用いて観
察する。このことにより水溶液の性質である,①透明になる②濃さが均一に
なる,が確認できる。
・さらにこのことを,粒子のモデルを用いて表現(見える化)し,説明をこころ
みる。
第
【本時の目標】③
・水溶液の濃さを数字で表すことができる。
【子どもが出会う現象】
時
・濃い硫酸銅水溶液とうすい硫酸銅水溶液を観察する。
【学習内容】
・水溶液の濃さを数字で表すには,どのようにすれば良いのだろうか。
【指導】
・濃い硫酸銅水溶液とうすい硫酸銅水溶液を観察することで,色がついている
水溶液は色の濃さである程度水溶液の濃さを判断することができる。しかし,
限界がある。さらに無色の水溶液についてはどのように濃さを比べたら良い
のだろうか。問題提起をする。
・これを解決する手段として,水溶液の濃さを数字で表現することを提案する。
・質量パーセント濃度(溶液の質量に対する溶質の質量の割合,いいかえれば,
水溶液
g当たりに溶けている溶質の質量)を理解する。
第
【本時の目標】④の
・水に溶けた物質を取り出す方法を説明することができる。
【子どもが出会う現象】
時
・溶けきれなかったミョウバンの写真。
・水 gに塩化ナトリウム gとミョウバン gをそれぞれ溶かす実験。
【ふり返り】
・塩化ナトリウム,ミョウバンを水に溶かしたとき,溶ける量に限度があったか。
・溶ける量は何に関係したか。
-4
9-
【学習内容】
・一定量の水に溶ける物質の質量は,物質の種類と温度によって決まっている
こと。
・水
gに物質を溶かして飽和水溶液にしたとき,溶けた溶質の質量[g]の値
をその物質の溶解度ということ。
・溶解度をモデルで考えること。
【指導】
・第
の課題を解決するためにまず,一定量の水に溶ける溶質の質量には限度
があること,そして,一定量の水に溶ける溶質の質量は水の温度に関係して
いることをふり返る。
次に,水 gに塩化ナトリウム gとミョウバン gをそれぞれ溶かす実験を
観察させ,溶け残る物質の量に違いがあることから,一定量の水に溶ける物
質の量は物質の種類によって違うことを学ばせる。
さらに,水の量を変化させずに溶け残った物質を溶かすためには,水の温
度を変化させると良いことを学ばせる。
・以上のことから,溶解度,溶解度曲線を定義する。
・塩化ナトリウムと硝酸カリウムについて,
gの水に溶ける質量と温度の関
係について,違いを説明する。
第
【本時の目標】④の
。本時
・水に溶けた物質を取り出す方法を説明することができる(仮説設定)
【学習内容】
時
・前時まで学んだことを活用して,水に溶けた物質を取り出す方法を考えて説
明する。
【指導】
・水に溶けた物質は見えないけれども,なくなってしまったわけではないこと
を学んでいるから,ふたたび取り出すことができるのではないか。
・小学校の既習事項を想起させながら,溶解度曲線を用いて実験方法を考え,
説明する。
第
【本時の目標】⑤
時
・物質を取り出す方法が正しいのか,を実験で確かめる。
第
【本時の目標】⑥ 時
・水溶液の温度を下げて取り出せる物質の質量を説明できる。
-5
0-
Ⅲ 本時の指導
目 標 塩化ナトリウム水溶液と硝酸カリウム水溶液から,それぞれの溶質を
できるだけたくさん取り出す方法を説明できる。
評価基準 塩化ナトリウム水溶液と硝酸カリウム水溶液から,それぞれの溶質を
できるだけたくさん取り出す方法を説明できている。
準 備 物 溶解度のグラフ,物質ごとにした溶解度のグラフ
展 開
学 習 活 動
.第
教 師 の 支 援
の課題を解決するために,水溶液
.前時まで学んだように,水に溶けた物
の中から溶けている物質を,ふたたび取
質は,なくなったわけではないことを確
り出すことができないのか,を考えてい
認する。
くことを知る。
.本時の目標を知る。
水溶液に溶けている塩化ナトリウムと硝酸カリウム,ミョウバンをできるだけ
たくさん取り出す方法を説明できる。
.小学校
年生で学んだことを思い出す。 .塩化ナトリウム,ミョウバン,硝酸カ
リウムが掲載されているグラフを提示す
る。(教科書では,さらにショ糖が掲載
されている。)
T:水溶液については,小学校 年生の時に
学んでいるよね。
S :そうですね・・・。
T:あれっ。ミョウバンのブローチとかを,
つくらなかった?
S :そうそう。ミョウバンって確かに使っ
たわ。
-5
1-
T:そうだね。じゃあ,一度水に溶けたミョ
ウバンをもう一度取り出すには,どのよ
うにしたのか,覚えている?(手立て)
S :水を蒸発させたり,水溶液の温度を下
げたりしたと思います。(すべ)
T:そうそう。ミョウバンと塩化ナトリウム
の水溶液を実験に使っていたね。
T:じゃあ,水を蒸発させたのは,どちらか
覚えている?
S :塩化ナトリウムだったような・・・。
S :確かに・・・。
T:そうだね。
どうして,温度を下げる方法を採用しな
かったの?(手立て)
S :水の温度を変えても,塩化ナトリウム
の溶ける質量に変化がなかったんだと
思います。(すべ)
T:そうだね。水に溶ける物質の質量が,温
度によって変化することを,小学校で学
んでいるね。このことを中学校でも先日
学んだよね。
S :あっ,溶解度。グラフがあったよね。
T:そうだね。グラフをもってきたんだ。
-5
2-
.提示されたグラフを観察する。
T:こんなグラフだったね。
塩化ナトリウムのグラフは,こちら。
ミョウバンのグラフは,こちら。
グラフの形が異なるね。(手立て)
S :そうそう。
塩化ナトリウムはほとんど水平で一直
線。ミョウバンは,ぐうって急激に上
がっていったんだよね。(すべ)
T:そうだね。グラフの形で判断できそうだ
ね。
S S :そうですね。
T:じゃあ,もう一度,今日の目標を確認す
るよ。
S S :はい。
T:水溶液に溶けている塩化ナトリウムと硝
酸カリウム,ミョウバンをできるだけ多
く取り出したい。その方法を考えよう。
どうしようかな?
S S :うーん。
S
S
S
S
-5
3-
:まずは水を加熱しながら物質を水に溶
かして,飽和水溶液をつくってみまし
ょうよ。
:そうだね。
:溶解度曲線があるから,水の量が決ま
れば,必要な溶質の質量も計算できる
し。
:そうしましょ。
T:そうなるね。次にどうするかな?
もう一度小学校の実験を思い出してごら
ん。(手立て)
S :水溶液の温度を下げる,と,水を蒸発
させるでした。
T:そうだね。
S :溶解度のグラフをもう一度見てみよう
よ。グラフの形に注目したから。(す
べ)
S :あっ。そうだった。
T:そうだね。
塩化ナトリウム,ミョウバン,硝酸カリ
ウムの溶解度がわかるグラフを見てごら
ん。
今回取り出して欲しい,硝酸カリウムは,
小学校 年生で学んだ塩化ナトリウム,
ミョウバンどちらのタイプかな。(手立
て)
S S :ミョウバンの方です。あっ,そっ
か。
T:なんか,できそうかな?
S S :はい。やってみます。
.小グループで,実験方法を考える。
.クラス全体で交流する。
(例)
塩化ナトリウムは,加熱して水をすべて蒸発させる。ミョウバンは,水溶液の温
度をできるだけ下げる。硝酸カリウムは溶解度曲線がミョウバンと似ているので,
水溶液の温度をできるだけ下げる。
-5
4-
科学的思考力を育成するための「すべ」に関する指導案
単 元 名:水 溶 液 と イ オ ン
- 塩酸(塩化水素水)の電気分解 -
「流れ」という視点をもとにした指導過程(例)
広島市立安佐中学校
桂木 浩文 -5
5-
Ⅰ 学習指導要領
小学校
「A 物質・エネルギー」
第
学年 (
)電気の通り道
乾電池に豆電球などをつなぎ,電気を通すつなぎ方や電気を通す物を調べ,電
気の回路についての考えをもつことができるようにする。
ア 電気を通すつなぎ方と通さないつなぎ方があること。
イ 電気を通す物と通さない物があること。
「A 物質・エネルギー」
第
学年 (
)電気の働き
乾電池や光電池に豆電球やモーターなどをつなぎ,乾電池や光電池の働きを調
べ,電気の働きについての考えをもつことができるようにする。
ア 乾電池の数やつなぎ方を変えると,豆電球の明るさやモーターの回り方が変
わること。
イ 光電池を使ってモーターを回すことなどができること。
中学校
[第
分野]
(
)電流とその利用
電流回路についての観察,実験を通して,電流と電圧との関係及び電流の
働きについて理解させるとともに,日常生活や社会と関連付けて電流と磁界
についての初歩的な見方や考え方を養う。
(エ)静電気と電流
異なる物質同士をこすり合わせると静電気が起こり,帯電した物体間では
空間を隔てて力が働くこと及び静電気と電流は関係があることを見いだすこ
と。
-5
6-
(内容の取扱い)
エ アの(エ)については,電流が電子の流れであることを扱うこと。
(
)化学変化とイオン
化学変化についての観察,実験を通して,水溶液の電気伝導性や中和反応
について理解させるとともに,これらの事物・事象をイオンのモデルと関連
付けてみる見方や考え方を養う。
ア 水溶液とイオン
(ア)水溶液の電気伝導性
水溶液に電流を通す実験を行い,水溶液には電流が流れるものと流れな
いものとがあることを見いだすこと。
(イ)原子の成り立ちとイオン
電気分解の実験を行い,電極に物質が生成することからイオンの存在を
知ること。また,イオンの生成が原子の成り立ちに関係することを知るこ
と。
(ウ)化学変化と電池
電解質水溶液と
種類の金属などを用いた実験を行い,電流が取り出せ
ることを見いだすとともに,化学エネルギーが電気エネルギーに変換され
ていることを知ること。
-5
7-
図
小学校・中学校理科の「エネルギー」「粒子」を柱とした内容の構成
-5
8-
-5
9-
Ⅱ 単元の指導について
「流れ」という視点について
本研究の目的は,問題解決の過程における仮説設定での「すべ」を明らかにするとと
もに,この「すべ」を明らかにするために,中学校の学習内容と小学校の学習内容とを
関係付け,この関係付けの過程の中で,単元構成の新たな視点を明らかにすることであ
る。
今回の提案は,小学校第
学年から中学校第
学年までを「流れ」という新たな視点
で単元を構想しようとする試み・提案である。この際,
「流れ」という視点に次の二つの
下位の視点を設定して,単元の指導を構想する必要があると考えた。
①「流れ」る何か(何が流れるのか,移動するのか)
②「流れ」る何かが,移動する向き(どこからどこへ移動するのか)
小学校では,何か正体はわからないが,電流のもととなる「何か」が電気回路の中を,
電池の陽極から陰極に向かって流れているということを学ぶ。
中学校ではまず第
学年において,いくつかの現象を観察することを通して,電気回
路を流れる電流のもととなる「何か」は,マイナスの性質を持っており,陰極から陽極
に移動していることを学ぶ。この「何か」を電子という。
第
学年では,水溶液中に電極を挿入すると豆電球が点灯したり,モーターが回転す
る現象を観察することから,離れている電極を電子が移動するための橋渡しをする「何
か」が,水溶液中にあることを課題提起する。
次に,いくつかの水溶液を用いた実験を行い,離れている電極を電子が移動するため
の橋渡しをする「何か」が存在する水溶液と存在しない水溶液とがあることを学ぶ。
この離れている電極を電子が移動するための橋渡しをする「何か」が存在する水溶液
を用いた電気泳動の実験を通して,離れている電極を電子が移動するための橋渡しをす
る「何か」は,陽極側に移動するものと陰極側に移動するものとが存在することを学ぶ。
これまでの学習内容をもとに,塩酸(塩化水素水)の電気分解について自分なりの仮
説を設定し,仮説を検証する実験を立案・実施して,考察をしていく。
そして,第
学年での水溶液の学習内容(溶質が小さな粒子となって均一に広がって
いる)と関連付けながら,水溶液中に存在する「何か」について学んでいく。
最後に,これまで学んできた内容をもとにして,電気回路に電流が流れるしくみを説
明することをこころみる。
-6
0-
指導計画
校種 学年
小
学
校
第
単 元
電気の通り道
【本時の目標】①
・豆電球と乾電池をつないで,明かりをつけましょう。
学
年
【子どもが出会う現象】
・豆電球と乾電池を,+極から-極に
つの輪のように,
つなぐと豆電球の明かりがつく。
【学習内容】
・回路の中を肉眼では見えないけれど「電気」が流れてい
る。この「電気」が導線の中を流れるようにつなぐと豆
電球の明かりがつく。【既習事項①】
【指導】
・乾電池の+極,豆電球,乾電池の-極を導線で
つの輪
のようにつなぐと,「電気」が回路という「電気」の通り
道を移動するからである。
「流れ」という考えを導入する。
・「電気」の通り道(回路)が
か所でも切れていると
「電気」が通らない(移動できない)ので,明かりがつ
かない。
【本時の目標】②
・「電気」を通すものと,通さないものとを仲間分けしま
しょう。
【子どもが出会う現象】
・回路の途中にいろいろなものを挟んでみると,明かりが
つくものと明かりがつかないものとがある。
【学習内容】
・「電気」が移動できる物質と移動できない物質とがあ
る。(固体)【既習事項②】
【指導】
・学んだ事を使う。「電気」を通すものと,電気を通さな
いものとがそれぞれどのようなところで利用されている
のかを説明させる。
小
学
校
第
学
年
電流の働き
【本時の目標】③
・乾電池,モーター,プロペラを使って,プロペラカーを
作りましょう。
【子どもが出会う現象】
・乾電池の向きを変えると,プロペラカーの進む向きが変
わる。
-6
1-
【学習内容】
・「電気」は,乾電池の+極から出て,モーターを通り,乾
電池の-極に入る向きに流れる。
この「流れ」を電流という。【既習事項③】
【指導】
・回路の中を「電気」が流れている。この流れている「電
気」の移動する向きが逆になることで,プロペラの回転
する向きが逆になるのではないか。
中
学
校
第
学
年
電流の正体
【本時の目標】④
・電流の正体は何か。
【子どもが出会う現象】
・十字板入り放電管に電源装置をつなぎ,電圧を加えると
電流が流れ(電流計をつなげば,確認できる)
,十字形の
影ができる。
・また,この実験で電源装置の陰極と陽極をつなぎ替える
と,十字形の影ができる場合とできない場合がある。
・陰極から陽極に向かう方向に平行な電極を入れた放電管
で実験を行うと,電流のもとになる「何か」が,電極の
うち陽極側に引かれて曲がることが観察できる。
【学習内容】
・十字形の影ができることから,回路の中を電流のもとに
なる「何か」が電源装置の陰極から陽極側に向かって流
れている(移動している)。
(小学校では固体,ここでは気体)【既習事項④】
・この電流のもとになる「何か」は,-の電気をもってい
る。【既習事項⑤】
【指導】
・十字形の影ができるのは。陰極から陽極側に移動した
「何か」が,十字板に遮られるからではないか。
・そうであるならば,極を逆にすると,影ができないはず
である。
・静電気の学習の中で,電気には+の電気と-の電気とが
あり,お互いに引き合う力がはたらく。このことから,
「何か」は-の電気を持っているのではないか。
-6
2-
中
学
校
第
果物でモーター
【本時の目標】⑤
学
年
が回る
・単元の見通しをもつことができる。
【子どもが出会う現象】
・果物電池がモーターを回転させる。(生徒実験)
(異なる種類の金属,同じ種類の金属,果汁,砂糖水)
【学習内容】
・本単元に興味をもつとともに,課題意識をもつ。
【指導】
・果物電池がモーターを回転させる実験を生徒達に実施さ
せて,本単元に興味をもたせるとともに,課題意識をも
たせる。また,水溶液中に
枚の金属板を挿入し,モー
ターが回転する場合と回転しない場合とがあることを観
察させ,電気エネルギーが取り出せるための条件につい
て学ぶことを意識付ける。このような学びを通して,本
単元の見通しを生徒自身にもたせる。このとき実験に使
用している
枚の金属板は,離れていることに視点をあ
てる(小学校では,回路は途切れずに繋がっていた:既
習事項①)。
中
学
校
第
水溶液とイオン
【本時の目標】⑥
・電流を通す水溶液と通さない水溶液とを区別することが
学
年
できる。①
【子どもが出会う現象】
どのような水溶
・固体の食塩(塩化ナトリウム)は豆電球の明かりがつか
液が電流を通す
ない(モーターが回転しない)が,固体の食塩を水に溶
か
かした電解質水溶液の中に電極を入れると電極が離れて
いるのに,豆電球の明かりがつく。
(モーターが回転する)
【学習内容】
・離れている電極間で,移動する「何か」(つまり電子を
橋渡しする他の「何か」)が,塩化ナトリウム(食塩)
の水溶液中には存在し,その「何か」が移動しているの
ではないだろうか。
・塩化ナトリウム(食塩)の固体では電流が通らずに,水
溶液にすると電流が通ったことから,離れている電極間
で,移動する「何か」(つまり電子を橋渡しする他の
「何か」)は,水溶液中にある溶質ではないか。
-6
3-
中
学
校
第
どのような水溶
【指導】
学
年
液が電流を通す
・まず一つ目の小単元では,小学校
か
年生の学習を想起さ
せ,塩化ナトリウム(食塩)の固体は,電流を通すだろ
うか,という問題を提起して実験を行う。(豆電球,あ
るいはモ-タ-を接続した回路を使用した演示実験:既
習事項②)実験の結果,電流は流れないことから,回路
を流れる「何か」が移動できない物質であることがわか
る。次にこの塩化ナトリウム(食塩)を水に溶かした水
溶液ではどんな結果になるのだろうか,という問題提起
をして,実験を行う。(豆電球,あるいはモーターを接
続した回路を使用した演示実験:既習事項②)水溶液に
電極を入れると,豆電球が点灯する(あるいはモーター
が回転する)現象を観察させ,一つ目の小単元を通して
解決するべき課題を設定する。水溶液に挿入した電極は
離れている。つまり今まで学んできた,「輪のようにひ
とつなぎになったとき回路を「何か」(つまり電子:既
習事項④⑤)が流れて豆電球が点灯する」,という既習事
項(既習事項①)に矛盾する。そこで,離れている電極
間で,移動する「何か」
(つまり電子を橋渡しする他の「何
か」)が,塩化ナトリウム(食塩)の水溶液中には存在
し,その「何か」が移動しているのではないだろうか,
という問題意識を生徒にもたせ,一つ目の小単元の導入
とする。
塩化ナトリウム(食塩)の固体では電流が通らずに,
水溶液にすると電流が通ったことから,離れている電極
間で,移動する「何か」
(つまり電子を橋渡しする他の「何
か」)は,水溶液中にある溶質ではないだろうか,とい
う問題提起を行う。前述したように小学校
年生で生徒
は,回路が途切れた箇所にいろいろな物体を挿入し,電
気を通すもの・通さないものを仲間分けしている(既習
事項②)。そこで次にこのことを想起させながら,水溶
液についても同様の実験を通して,仲間分けをする。
教科書に掲載されている水溶液(塩酸,水酸化ナトリ
ウム,砂糖水,塩化ナトリウム水溶液,エタノールと水
の混合物,塩化銅水溶液)と蒸留水について過去の実験
を想起させながら,電流を通すか通さないかの予想を生
徒にさせる(すべ:過去の実験を想起する)。
同時に,そのように考えた理由を記入させる。
-6
4-
中
学
校
第
どのような水溶
【本時の目標】⑦
学
年
液が電流を通す
・電流を通す水溶液と通さない水溶液とを区別することが
のか
できる。②
【子どもが出会う現象】
・水溶液によって,電流が流れる(モーターが回転する)
場合と電流が流れない(モーターが回転しない)場合と
がある。
【学習内容】
・予想を検証する実験を行い,電流を通す水溶液と電流を
通さない水溶液とを分類する(小学校では固体,ここで
は液体)。その際,電極付近での変化(気体の発生や色の
変化)も記録させる。そして次に,分類された電流を通
す水溶液について考えていく。
・蒸留水(溶質を含まない)は離れている電極間で,移動
する「何か」を含んでいないから,電流は流れない。
【指導】
・金属板表面での変化も観察すること。
中
学
校
第
水溶液の電気分
【本時の目標】⑧
学
年
解を調べよう
・塩化銅水溶液中で,銅原子や塩素原子は電気的な性質を
もっていることを説明できる。
【子どもが出会う現象】
・塩化銅水溶液を電気分解すると,陰極に金属の銅,陽極
に塩素が発生する。
・塩化銅水水溶液のシミを付けたろ紙に電圧を加えると,
青色のシミが陰極側に移動して,さらに灰白色のシミは
陽極側に移動する。
【学習内容】
・塩化銅水溶液の溶質である塩化銅は水溶液中で目に見え
ないくらい小さな銅の粒子と塩素の粒子になって,均一
に広がっている。
・これらの粒子は,+と-の電気をもっているようだ。
-6
5-
【指導】
・実験で仲間分けした水溶液の中から,塩化銅水溶液の電
気分解をとりあげ,電極付近のようすを思い出させる。
さらにその後,電気泳動のようすをとりあげる。これら
のことから,銅の粒子はどのような性質をもっているの
か(電気的性質)を考える(
年生の水溶液の単元で,
溶質が溶けて見えなくなったのは,目に見えないくらい
の小さな粒(つまり原子)になったからであることを学
んでいる。さらに
年生では,異種の電気は引きつけ合
い,同種の電気は退け合うことを学んでいる。これらの
既習事項を関連付けて,塩化銅水溶液の溶質である塩化
銅は,水溶液中で銅と塩素の小さな粒子になっており,
銅はプラス(+)の電気,塩素はマイナス(-)の電気
の性質をもっていることを導かせる)。
中
学
校
第
水溶液の電気分
【本時の目標】⑨
学
年
解を調べよう
・うすい塩酸に電流を通すと,何ができるのか自分なりに
仮説を立てることができる(本時)。
【本時の目標】⑩
・仮説を検証する実験を行い,仮説が正しいかどうか,を
判断することができる。
【本時の目標】⑪
・電解質は水溶液中でどのような粒子になっているのか
(イオン)。
【本時の目標】⑫
・電解質は水溶液中でどのような粒子になっているのか
(電離)。
【本時の目標】⑬
・離れた電極間を電子が移動するために,水溶液中に存在
する電子を橋渡しするものとは何か理解できる。
【本時の目標】⑭
・これまでに学んできたことを活用して,電解質の水溶液
が電流を通すしくみを説明しよう。
第
次 酸・ア
ルカリとイオン
-6
6-
Ⅲ 本時の指導
本時の目標 うすい塩酸に電流を通すと,何ができるのか自分なりに仮説を
立てることができる。
本時の評価基準 うすい塩酸に電流を通すと,何ができるのか自分なりに仮説を
立てることができている。
本時の準備物 %塩酸(塩化水素水溶液)
電気分解装置 電源装置
学習プリント
本時の展開 学 習 活 動
教 師 の 支 援
.本時の目標を知る。
.仲間分けをした,電流を通す水溶液の
中で塩酸(塩化水素水溶液)を取り上げ
ることを知らせる。
うすい塩酸に電流を通すと,両極付近には何ができるのか自分なりに仮説を立
てることができる。
.水溶液に電流を通して,電極付近の変
化を調べる実験を想起する。(すべ)
T:これは,塩酸の電気分解の実験だね。
これまで,電気分解の実験はどんな実験
をやったかな。(手立て)
S :やはり水の電気分解ですね。(すべ)
T:そうそう。電極付近に何ができたかな。
(手立て)
S :水素と酸素。
T:そうだね。それぞれ,どちらの極に発生
したかな。(手立て)
S :水素が+極,酸素が-極
S :何言ってるのよ。逆よ。
S :あっ,そっか。
S :もうっ・・・。
-6
7-
T:そうだね。ということは,
「流れ」
で考え
るとどうなるかな?(手立て)
S :えっと。酸素の粒が陽極に移動して,
水素の粒が陰極に移動した,ですね。
(すべ)
T:他にあるかな。(手立て)
S :たしか,わたしが習った先生は,青い
液体を,あっ,水溶液を見せてくれた
わ。(すべ)
塩化銅水溶液だったよ
うな。
S :そうだよ。きっと。
T:何ができたの。
S :銅と塩素です。確か,陰極に銅,陽極
に塩素でした。
S :「流れ」で考えると・・・。えっと。
塩素の粒が陽極に移動して,銅の粒が
陰極に移動した,ですね。(すべ)
T:そうだね。どんな方法でそれぞれの気体
を確認したかな。
S :水素は,マッチの火を近づける。ポン
ッ,て音を立てて燃えた。
酸素は,火のついた線香を近づけると
激しく燃えました。
-6
8-
T:塩化銅水溶液はどうだった。
S :塩素は,プールの消毒のにおいがした
わ。それに電極付近の水溶液に赤いイ
ンクを垂らしたら,インクの色が消え
たわ。
T:そうだね。
S :銅は,赤色の物質だったね。
T:そうだね,色で判断できるね。まとめて
みよう。
実験を想起させることで,導き
出される既習事項
塩素の代わりに,酸素が発生と考える生徒
もいるだろう。
① 水を電気分解すると
陽極(+極)に酸素の粒が移動し
て酸素が発生する。
陰極(-極)に水素の粒が移動し
て水素が発生する。
② 確認する方法は
酸素:火の付いた線香を入れると
激しく燃える。
水素:マッチの火を近づけるとポ
ン ッ,と 音 を 立 て て 燃 え
る。
③ 塩化銅水溶液を電気分解すると
陽極(+極)に塩素の粒が移動し
て塩素が発生する。
陰極(-極)に銅の粒が移動して
銅が発生する。
④ 確認する方法は
塩素:プールの消毒のにおい。色
が消える。
銅:電極に,赤色の物質が付着
する。
-6
9-
.塩酸の溶質と溶媒を思い出す。
T:塩酸の溶質と溶媒は何かな。
S :・・・。
T:塩酸は塩化水素水ともいうね。
S :塩化水素が溶質ですか・・?
T:そうそう。じゃあ,溶媒は?
塩化水素を溶かしている液体は何かな。
S :水かな。
T:そうだね。
T:では,溶質の塩化水素は化合物です。何
と何の化合物だと思う。
S :・・・。
T:以前にも話したよね。物質名に塩化とい
うのがあると・・・。
S :あっ,塩素。Cl
T:そうだね。だったら,もう一つは。塩化
水素だから・・・。
S :水素?
T:そうそう。つまり塩素と水素の化合物だ
ね。
-7
0-
T:では,これらのことを使って,仮説を立
ててみよう。
塩酸(塩化水素水)に電流を通すと電極
には何ができるのだろう。
S :塩化水素は,水の中で水素,塩素の粒
になっている。水素の粒が陰極に移動
して,塩素の粒が陽極に移動するのだ
から,
(すべ)
水素と塩素が発生する
と思う。
S :水素はいいんだけど,陽極に移動する
のは塩素だけではないよね・・・。酸
素の可能性もあるよね・・・。(すべ)
.各自で仮説を設定する。
仮説の例
水の電気分解で陰極に水素の粒が移動して水素が陰極から発生しているから,
塩酸(塩化水素水)でも陰極に水素の粒が移動して水素が発生する。
また,塩化銅の水溶液で陽極に塩素の粒が移動して塩素が発生しているから,
塩酸(塩化水素水)でも陽極に塩素の粒が移動して陽極から塩素が発生するだろう。
※いくつかの仮説がでてくると考えられる。
仮説を図で表現する生徒がいても良いだ
Cl‫ۑ‬
Cl
‫ۑ‬
H‫ۑ‬
H
‫ۑ‬
Cl ‫ۑ‬
Cl ‫ۑ‬
Cl
‫ۑ‬
ろう。
H
‫ۑ‬
H
‫ۑ‬
H‫ۑ‬
Cl ‫ۑ‬
H ‫ۑ‬
H
‫ۑ‬
-7
1-
.各グループで,仮説を交流する。
.クラスで,仮説を交流する。
.仮説を検証するための実験を計画する。
T:では,仮説が正しいのかどうかを確かめ
るためには,どのような実験をしたら良
いのかな?
S:はい。考えてみます。
えーっと・・・。
S
S
実験の仕方
① 電気分解装置を組み立てる。
② 塩酸に電流を通す。
③ 陰極に気体が
目盛り集まった
ら電流を止める。
④ 陰極に集まった気体に,マッチ
の火を近づける。
⑤ 陽極に,集まった気体に火の付
いた線香を入れる。
⑥ 陽極付近の塩酸をスポイトでペ
トリ皿に採り,においをかぐ。
さらに,赤いインクを垂らす。
-7
2-
:たしか,水の電気分解の時使った装置
があったよな。あれをつかえば良いよ。
:そうね。
.実験結果の予想を考える。
実験結果の予想
① 水素であれば,
音を立て燃える。
他の気体であれば,変化なし。
② 酸素であれば,
激しく燃える。
他の気体であれば,変化なし。
③ 塩素であれば,
プールの消毒のにおい。
色が脱色する。
.実験を実施する。
.実験結果の予想と実験結果を関係付け
て,考察を行う。
.まとめ
.振り返り
-7
3-
科学的思考力を育成するための「すべ」に関する指導案
単 元 名:花 の つ く り と 働 き
- いろいろな花のつくり -
広島県教育委員会
玉木 昌知 -7
5-
Ⅰ 学習指導要領
小学校
「B 生命・地球」
第
学年 (
)植物の発芽,成長,結実
植物を育て,植物の発芽,成長及び結実の様子を調べ,植物の発芽,成長及び
結実とその条件についての考えをもつことができるようにする。
ア 植物は,種子の中の養分を基にして発芽すること。
イ 植物の発芽には,水,空気及び温度が関係していること。
ウ 植物の成長には,日光や肥料などが関係していること。
エ 花にはおしべやめしべなどがあり,花粉がめしべの先に付くとめしべのもと
が実になり,実の中に種子ができること。
中学校
[第
分野]
(
)植物の生活と種類
身近な植物などについての観察,実験を通して,生物の調べ方の基礎を身
に付けさせるとともに,植物の体のつくりと働きを理解させ,植物の生活と
種類についての認識を深める。
イ 植物の体のつくりと働き
(ア)花のつくりと働き
いろいろな植物の花のつくりの観察を行い,その観察記録に基づいて,花
のつくりの基本的な特徴を見いだすとともに,それらを花の働きと関連付け
てとらえること。
(イ)葉・茎・根のつくりと働き いろいろな植物の葉,茎,根のつくりの観察を行い,その観察記録に基づ
いて,葉,茎,根のつくりの基本的な特徴を見いだすとともに,それらを光
合成,呼吸,蒸散に関する実験結果と関連付けてとらえること。
-7
6-
図
小学校・中学校理科の「生命」「地球」を柱とした内容の構成
-7
7-
Ⅱ 単元の指導について
生徒は,小学校第
学年で,「植物の発芽,成長,結実」
で花のつくりの観察をし,花
は,花びら,がく,おしべ,めしべからできていることを学んでいる。そして,めしべ
の根元が膨らみ,実ができて,その中に種子ができることも学んでいる。中学校でも花
のつくりを観察し,同様のことを学習する。小学校と異なるのは,めしべのつくりと,
胚珠が種子になり,子房が果実になることを詳しく学ぶ点である。基本的には小学校で
学んだことを少し詳しく学ぶだけなので,なかなか探究的な学習にはならない。
そこで,この単元において,小学校で学習したことをもとに探究的な流れが作れない
かを考えてみた。基本的に観察が主となる植物分野では,帰納的な考え方で思考させる
ことが多い。この「花のつくり」でいえば,色々な花を調べ,その中から共通点として,
花はめしべを中心として,おしべ,花びら,がくが順についていることを捉え,異なる
点として,花弁やおしべの数を捉えることになっている。そこには仮説を設定する余地
はないが,この共通点を捉えさせた上で,一見,その共通項にはあてはまらないものを
提示し,花はめしべ,おしべ,花びら,がくからできているという事実が本当であると
いう仮説の上に,共通項にあてはまらない事象を説明させるという方法を考えてみた。
仮説設定が難しい帰納的な学習内容の際に同じような手法が使える可能性があると考
え,提案する。
帰納的な学習における科学的思考力を育成するための「すべ」
を育てるための「手立て」
①帰納的な方法(共通点,差異点を見いだす「すべ」の活用)により,規則性を見出す。
②その規則性に一見そわないような事象を提示する。(ずれ)
③仮説を「その事象も規則性にそっているはずである」とし,既習事項を使いながら,
その事象も実はその規則性にそったものであることを証明する。
-7
8-
Ⅲ 本時の流れ
学 習 活 動
教 師 の 支 援
.アブラナを提示し,小学校の時に学習
した内容を想起する。(すべ)
T:この花,知ってる?(手立て)
S :アブラナです。(すべ)
T:何で知ってるの?(手立て)
S :小学校の時,花の観察をしました。
S :花に印をつけて,どの部分が実になる
かを調べました。(すべ)
T:それじゃあ,花びらは何枚あったか覚え
ていますか?
S :確か, 枚だったと思います。
T:じゃあ,めしべは何本?おしべは何本?
がくは何枚?
S :めしべは 本だけど,おしべは何本だ
っけ。がくも分かんないなあ。
T:じゃあ,調べてみよう。
T:ただ,アブラナの花を調べるだけじゃな
く,他の花と比べてみよう。
.本時の目標の提示
いろいろな花のつくりを調べ,共通点や違う点をまとめよう。
アブラナ以外にツツジ,エンドウ等の花を
準備
.小学校の時に行った観察方法をもとに
観察を行う。
T:小学校の時,アブラナの花のつくりをど
のようにして調べましたか?(手立て)
S :虫眼鏡で観察しました。
S :ピンセットを使ってバラバラにしまし
た。
S :バラバラにしたものをセロハンテープ
でノートに貼ったのを覚えています。
(すべ)
-7
9-
・花の外側にあるものからピンセットで
T:観察記録を正確に残すことができるので,
今回もセロハンテープを使って記録して
いきましょう。
T:それぞれの部分がどのようにくっついて
いたか分かるように外側の部分から順に
台紙に貼って下さい。
ていねいにはずす。
・はずしたものから順に台紙に貼りつけ
る。
・各部の名称,特徴,数などを記録する。
.観察
.まとめ
共通点
・花は中心からめしべ,おしべ,花弁,
がくの順についている。
・めしべは
本である。
違う点
・花弁やおしべの数が異なる。
.前時の確認(手立て)
花のつくり
共通点
・花は中心からめしべ,おしべ,花弁,
がくの順についている。
・めしべは
本である。
違う点
・花弁やおしべの数が異なる。
T:前の時間,みんなが花のつくりについて
まとめてくれました。結局,数は違って
も,花はめしべ,おしべ,花弁,がくか
らできていることが分かりました。(手
立て)
T:それでは,今日は,この花のつくりを確
認してみましょう。
S :チューリップですか?
S :早速,調べてみよう。
.観察
チューリップの観察
・バラバラにさせずに,外観から観察さ
せる。
-8
0-
.問題意識を持たせる。
S
:先生,チューリップにはがくがありま
せん。
T:本当にないのですか?せっかく,前の時
間にみんなが花のつくりの共通点をめし
べ,おしべ,花弁,がくがあることとま
とめてくれたんだけど。(手立て)
S :チューリップは例外なのかなぁ。
S :本当にチューリップにはがくがないの
かアブラナのようにバラバラにして調
べてみようよ。(すべ)
.本時の目標の提示
チューリップのがくの有無について調べ,その理由を説明しよう。
T:チューリップを調べる前に,みんなはが
くがあると思う?ないと思う?(手立て)
S :ないと思う。だって,どう見てもがく
が見当たらないから。
S :僕はあると思う。アブラナにもツツジ
にもエンドウにもがくがあった。だか
ら,花のつくりの共通点をおしべ,め
しべ,花弁,がくってまとめた。だか
ら,チューリップにもがくがあるはず
だ。
・チューリップにがくがあるとするならば,何が説明できれば,がくの有無が説明でき
どこががくでその理由は何なのかを説明 るのかを明確にする。
する。
・チューリップにがくがないとするならば,
チューリップの花のどの部分もがくでな
いことを説明する。
-8
1-
.観察
比較対象として,アブラナも準備しておく。
アブラナと同じ方法で観察させる。
(手立て)
.考察
○チューリップにはがくがある
花弁が
※次のようなことを提示したり,気付かせ
枚あるように見えるが,外側の たりすることで根拠とさせることができる。
枚ががくである。その理由は
花弁のようなものは
枚ある ・アブラナのがくも,花が終わりに近づく
枚が外側,
枚が
内側についている。花は外側からがく,
花弁の順についているので,外側の
ころには黄色に色づき,花弁と同じよう
な色になることがあること
枚 ・がくには花を守る役割があり,つぼみの
ががくである。
時には花をがくが覆っている。つぼみの
○チューリップにはがくがない
時の様子をアブラナとチューリップで比
較しチューリップの外側の
枚あるのは花弁であり,がくではない。
その理由は
枚とも同じような色と形を
役割をしていること
しているから。
.結論
○チューリップにはがくがある
花のつくりでは,花の一番外側にがくが
ある。チューリップのがくは花弁によく
似ているが,花のつくりにそって考えて
みると,一番外側に
枚のがくがある。
-8
2-
枚ががくの
科学的思考力を育成するための「すべ」に関する指導案
単 元 名:葉・茎・根のつくりと働き
- 光合成 -
広島県教育委員会
玉木 昌知 -8
3-
Ⅰ 学習指導要領
小学校
「B 生命・地球」
第
学年 (
)植物の発芽,成長,結実
植物を育て,植物の発芽,成長及び結実の様子を調べ,植物の発芽,成長及び
結実とその条件についての考えをもつことができるようにする。
ア 植物は,種子の中の養分を基にして発芽すること。
イ 植物の発芽には,水,空気及び温度が関係していること。
ウ 植物の成長には,日光や肥料などが関係していること。
エ 花にはおしべやめしべなどがあり,花粉がめしべの先に付くとめしべのもと
が実になり,実の中に種子ができること。
中学校
[第
分野]
(
)植物の生活と種類
身近な植物などについての観察,実験を通して,生物の調べ方の基礎を身
に付けさせるとともに,植物の体のつくりと働きを理解させ,植物の生活と
種類についての認識を深める。
イ 植物の体のつくりと働き
(ア)花のつくりと働き
いろいろな植物の花のつくりの観察を行い,その観察記録に基づいて,花
のつくりの基本的な特徴を見いだすとともに,それらを花の働きと関連付け
てとらえること。
(イ)葉・茎・根のつくりと働き いろいろな植物の葉,茎,根のつくりの観察を行い,その観察記録に基づ
いて,葉,茎,根のつくりの基本的な特徴を見いだすとともに,それらを光
合成,呼吸,蒸散に関する実験結果と関連付けてとらえること。
-8
4-
図
小学校・中学校理科の「生命」「地球」を柱とした内容の構成 -8
5-
Ⅱ 単元の指導について
予想・仮説は必ずしも正解でなくてよい。それよりもできる限り多様な予想・仮説が
出る方がお互いの考えを交流したり,比較したりできるので,思考が深まりやすいと考
える。そのために,正解を導き出すことのできる既習知識ではなく,その既習知識を想
起できるものを「すべ」にできるとよいと考えた。そこで,一つの案として,既習知識
を「すべ」とするのではなく,その既習知識とつながる実験・観察方法の想起を「すべ」
として予想・仮説を考えさせる授業展開を考えてみた。そのことによって,既習知識を
「すべ」とするよりも多様な予想・仮説が出てくると思われる。また,そうすることに
より,知識をただ覚えるのではなく,知識の根拠としての観察・実験も合わせて定着さ
せることができると考える。
○既習事項そのものでなく,観察・実験方法の想起によって考えられる利点
・観察・実験の好きな生徒は多い。また,知識を身に付けるのが苦手な生徒もどんな
観察・実験を行ったかを覚えている生徒は多い。よって,既習事項そのものを思い
出すよりも観察・実験を手掛かりにどんなことをやって,どんな結果になったかを
思い出すことによって既習事項を思い出す可能性が高くなる。
・たとえ,既習事項が定着していなくても,観察・実験を行ったことを思い出し,ど
んな結果になったか,それから何が分かるかを結び付けて思い出すことを通して,
エピソード記憶として,定着していなかった既習事項を定着させることができる。
・観察・実験方法も想起させるため,仮説設定ののち,観察・実験方法を考えさせる
際に,その方法を想起しやすくなる。また,観察・実験技能の習得にもつながる可
能性がある。
○観察・実験を通して既習事項を想起させる手立てについて
・同じ出身小学校の生徒同士で想起させあう。そのことによって,その観察・実験を
した時の記憶を思い出させやすいと考える。
・観察・実験の図(小学校の教科書)を提示する。
・色,におい,光等,五感を刺激するような特徴的な体験を手掛かりに想起させる。
インパクトのある内容は記憶に残りやすい。
・可能であれば,小学校の先生と連携をとり,どんな観察・実験を行ったのか,どん
な教材を使ったのか,その時のエピソードなどを聞いておくとよい。
・あらかじめ,宿題として取り組ませておく。
-8
6-
Ⅲ-
本時の流れ 「光合成に必要な原料」
学 習 活 動
教 師 の 支 援
.小学校で学習してきたことを想起させ 小学校で行った植物に関する実験を想起さ
る。(すべ)
せる。
次の実験について,教師との対話や小 その際に,実験方法だけを想起させ,予想
学校の教科書の挿絵から想起させる。
を立てる「すべ」とする。
実験① 日光や肥料と植物の成長
同じ小学校の生徒でグループを作り,どん
実験② 植物に取り入れられる水
な実験をやったかを思い出させる。
実験③ 植物の体から出る水
実験④ 植物と空気
対話例(実験①の場合)
T:「日光や肥料と植物の成長」についての実験を小学校で行いましたか?(手立
て)
S :わかりません。覚えていません。
T:では,小学校の教科書の図を見せます。(手立て)
<小学校教科書「日光や肥料と植物の成長」の実験場面の図の提示>
どうですか? 覚えていますか?
S :なんとなくやったような気がするけど…。
S :やったよ。思い出した。
…(同様に実験②〜④まで想起させる)
既習事項
<「既習事項」参照>
.光合成について,葉に光が当たったら,前回の授業「光合成の行われる場所」を想
デンプンができることを確認する。
起させ,確認する。
.光合成の材料について考えさせる。
光
T:実は,光合成は
水+( A ) →デンプン+( B )
と表すことができる。
まずは,このAに入る光合成の材料を予想して,実験を考え,確かめてみよ
う。
-8
7-
.小学校の時にやった実験をもとにして
予想を立てさせる。(手立て)
S :実験①から(すべ)肥料があると,植物は元気に育つ。元気になるというこ
とはデンプンができたということだから,Aは肥料だと思う。
S :実験④から(すべ)植物に日を当てると,二酸化炭素が減少する。二酸化炭
素が減少するということは,二酸化炭素が使われたということだから,A
は二酸化炭素だと思う。
.予想を確かめる実験を考えさせる。
S :まず,デンプンが含まれていない葉を準備する必要があるね。
S :「光合成が行われる場所」の実験でやったように,葉に日を当てずに数日置
いておけば,葉からデンプンがなくなるよね。
S :その植物の葉を使って,肥料を与えた植物と肥料を与えていない植物を日に
当てて,数時間後に葉にデンプンができているか調べればいいね。(原料
は肥料であるという仮説の検証方法)
S :わたしは,デンプンがなくなった植物の葉に袋をかぶせて,その袋の中に二
酸化炭素を充満させたものと,違う気体を充満させたものを日に当てて,
数時間後に葉にデンプンができているか調べればいいと思う。(原料は二
酸化炭素であるという仮説の検証方法)
.実験を行う。
.結果をまとめる。
.考察をし,結論を出す。
年生の時の「日光や肥料と植物の成長」
の実験では,対照実験を意識して行う実験
なので,実験方法を考える際に,対照実験
を意識した実験を想起できる可能性がある。
-8
8-
「既習事項」
植物の成長,光合成,植物が取り入れている物について第
第
,
学年で習うこと(実験)
学年
・植物が成長する条件
実 験:日光や肥料と植物の成長(実験①)
実験内容:日光と肥料について植物の成長に必要なのか対照実験により調べる実験
実験結果:植物に日光を当てないと葉や茎の色が変わってきて,成長できなくなる。
植物に肥料を与えないと肥料を与えたものより成長が悪くなった。
結 論:植物の成長には水の他に日光が必要である。また,肥料を与えると,植物が
よく成長する。
第
学年
・植物と水
実 験:植物に取り入れられる水(実験②)
実験内容:色水を植物に与え,根,茎,葉の様子を観察する。
実験結果:根,茎,葉の管のような部分が染まる。
結 論:植物の根,茎,葉には水の通り道があり,水はこの通り道を通って,体全体
に行きわたる。
実 験:植物の体から出る水(実験③)
実験内容:晴れた日にいろいろな植物の葉数枚に袋をかぶせ,
〜 分後,袋の内側の
様子を観察する。
晴れた日に同じ種類で同じ大きさの植物で葉があるものと葉をとったものに
袋をかぶせ,
〜
分後,袋の内側の様子を観察する。
実験結果:植物にかぶせた袋の内側には水滴がついていた。
葉のついている植物の袋の内側にはより多くの水滴がついていた。
結 論:植物の葉から主に水分が出ていく。
・植物と空気
実 験:植物と空気(実験④)
実験内容:晴れた日の朝,植物の葉に穴をあけた袋をかぶせ,その中に息を吹き込む。
その直後と約
時間後で袋の中の酸素と二酸化炭素の量の違いを気体検知管
で調べる。
実験結果:葉を日光に当てた後では,二酸化炭素が減り,酸素が増えていた。
結 論:植物の葉に日光が当たると二酸化炭素を取り入れ,酸素を出す。
-8
9-
Ⅲ-
本時の流れ 「光合成によってできるもの」
.光合成によってできるものについて考
えさせる。
光
T:
水+二酸化炭素 →デンプン+( B )
今度は,このBに入る光合成によってできるものを予想して,実験を考え,
確かめてみよう。
.小学校の時にやった実験をもとにして
予想を立てさせる。
(手立て)
S :実験③から(すべ)植物の葉から水が出ている。だから,Bは水で,その光
合成によってできた水が植物の葉から出ているのだと思う。
S :実験④から(すべ)植物に日を当てると,酸素が増加する。だから,Bは酸
素だと思う。光合成によって酸素が発生したから植物に日を当てると酸素
が増加するのだと思う。
.予想を確かめる実験を考えさせる。
S :まず,植物に日を当てずに,葉からデンプンを抜いた植物を二つ準備して…。
S :両方の植物に袋をかけて,片方には日を当てずに光合成をさせない。もう一
方には光を当てて,光合成をさせ,袋の中の水分をくらべればよいね。
S :じゃあ,酸素を調べるには,同じようにして,光合成をさせた時とさせなか
った時の酸素の量を調べればいいんだね。
.実験を行う。
.結果をまとめる。
.考察をし,結論を出す。
-9
0-
科学的思考力を育成するための「すべ」に関する指導案
単 元 名:大地の成り立ちと変化
- 地層の重なりと過去の様子 -
広島大学附属福山中・高等学校
平賀 博之 -9
1-
Ⅰ 学習指導要領
小学校
「B 生命・地球」
第
学年 (
)土地のつくりと変化
土地やその中に含まれる物を観察し,土地のつくりや土地のでき方を調べ,土
地のつくりと変化についての考えをもつことができるようにする。
れき
ア 土地は,礫,砂,泥,火山灰及び岩石からできており,層をつくって広がっ
ているものがあること。
イ 地層は,流れる水の働きや火山の噴火によってでき,化石が含まれているも
のがあること。
ウ 土地は,火山の噴火や地震によって変化すること。
<内容の取扱い>
ア アについては,岩石として礫岩,砂岩及び泥岩を扱うこと。
イ イの「化石」については,地層が流れる水の働きによって堆積したことを示
す証拠として扱うこと。
中学校
[第
分野]
(
)大地の成り立ちと変化
大地の活動の様子や身近な岩石,地層,地形などの観察を通して,地表に見ら
れる様々な事物・現象を大地の変化と関連付けて理解させ,大地の変化について
の認識を深める。
イ 地層の重なりと過去の様子
(ア)地層の重なりと過去の様子
野外観察などを行い,観察記録を基に,地層のでき方を考察し,重なり方
や広がり方についての規則性を見いだすとともに,地層とその中の化石を手
掛かりとして過去の環境と地質年代を推定すること。
<内容の取扱い>
ウ イの(ア)については,地層を形成している代表的な堆積岩も取り上げるこ
と。「野外観察」については,学校内外の地層を観察する活動とすること。
しゅう
「地層」については,断層, 褶 曲にも触れること。「化石」については,示相
-9
2-
化石及び示準化石を取り上げること。「地質年代」の区分は古生代,中生代,
新生代の第三紀及び第四紀を取り上げること。
(学習指導要領解説より)
地層を構成する堆積岩としては,小学校では礫岩,砂岩,泥岩を学習しているが,
これらの岩石のほか,地域の実状に応じて,例えば石灰岩,チャートなどを扱い,
粒の大きさや構成物質の違いなどに気付かせる。
(教材に対する思い)
堆積岩に関する素朴な疑問は,なぜ地層が固まるのかという点ではないだろうか。
そもそも地層が堆積したときには,砂や泥など崩れやすいものなのに,それが次第
に固まって,堆積岩へと変化する。この素朴な疑問に対する答えを考えさせるため
に,コンクリートが固まるしくみのモデルを適用することで,堆積岩が固化する仕
組みを想起させる展開とする。
-9
3-
【補助資料】<堆積物はどのようにして固まっていくのだろうか?>
人工的に作られた岩石にコンクリートがある。コンクリートは,砂とセメントの粉に水
を加えて混ぜ合わせる。すると時間と共に固化し,固いコンクリートになる。いちど固ま
ったコンクリートは,水をかけても崩れることなく固さを保持する。当然,砂だけでは固
まらないので,コンクリートが固まっているのは,セメントの粉の働きによるものだと考
えられる。セメントの粉は,砂の粒を接着する接着剤の働きをしており,一度固化すると,
水をかけても元には戻らない成分に変化している。
<コンクリートを固める成分>
では,どのような物質がどのようなしくみでコンクリートを固める働きをしているのだ
ろうか?
しょうにゅうどう
右の写真は,石灰岩地帯の鍾乳洞にできる鍾乳石である。
鍾乳石は,雨に二酸化炭素が溶け込んで酸性になった水が石
灰岩を溶かし,それが鍾乳洞の中に岩の隙間からしみ出して
しずく
雫となって落ちる際,水が少しだけ蒸発した分,ほんのわず
かな量の石灰分があとに残る。その石灰分が長い年月をかけ
て蓄積され成長していったものが鍾乳石である。鍾乳石は方
解石というCaCO (炭酸カルシウム)の成分からなる鉱物に
よってできており,水の中に含まれていた石灰分が,方解石という結晶に変化することを
教えてくれる。
地層の中でも,水に溶けている石灰分は,水が失われる際に方解石へと変化する。この
変化が何度も繰り返されるうちに,方解石の結晶は成長する。結晶となった方解石は,砂
粒どうしを接着し,硬い堆積岩へと変えていく。これが,堆積岩が固まるしくみの
あると考えられる。
・海岸や風化した露頭などで,まわりの地層よりも硬
いために,けずり残された硬い部分を「ノジュール」
という。ノジュールを割ってみると,しばしば中に
右の写真のように,化石が含まれている。
・ノジュールが硬くなっているのはなぜか。本時の内
容を活用して,説明してみよう。
-9
4-
つで
Ⅱ 単元の指導について
「地層の重なりと過去の様子」の小単元では,地層を観察する野外観察を中心とした
構成となっており,教室内での実験・観察としては,堆積岩の観察や石灰岩とうすい塩
酸の反応を調べるなどの実験が教科書では扱われているが,実験の位置付けも,二酸化
炭素の発泡を確認するにとどまるものであり,課題意識や見通しを持った実験になりに
くい。
小学校では,第
学年で,水の働きによって侵食,運搬,堆積が起こること,第
学
年で,土地は礫,砂,泥,火山灰及び岩石からできており,層をつくって広がっている
ものがあることなどの初歩的な学習をしており,礫岩,砂岩,泥岩などの堆積岩につい
ても学習している。これに対して,中学校での学習は,堆積岩の種類として,チャート
や石灰岩などが加わるが,基本的には生徒の思考を大きく転換させるような内容が乏し
く,ただ名称を覚えることで終わってしまいがちである。
この小単元の学習で,中学校で新たに生徒に獲得させる視点としては,礫岩・砂岩・
泥岩の違いは,粒径を基準とした分類であること,石灰岩やチャートは,岩石の組成に
基づいた分類であるといった,分類の基準に関する視点が考えられる。
実験に基づく内容としては,そもそも堆積したときにはやわらかかったはずの地層が,
長い時間を経る間に,どのようにして「かたい岩石」へと変化するのか?という,生徒
にとっての素朴な疑問に答えることや,人の時間スケールでは感じることのできない,
長い時間を経て起こる,地学的な時間スケールを体感させることが可能である。
Ⅲ 本時の内容
(
)本時の内容に関する目標
・堆積岩(砂岩)が固まっているしくみを,コンクリート(固結のモデル)の事例
を手がかりにして,既習事項や体験等を活用して見通しを持って実験計画を立て,
塩酸を加えた際の気泡の出方のちがいから結果を解釈するとともに,砂岩が固結す
るしくみを論拠に基づいて説明できるようになる。
(
)本時に活用させるモデル,既習事項や既習経験
① 火成岩はマグマが冷えて固結し(物質の三態変化)
,鉱物の結晶が作られること
によってできている。<既習の火成岩の固結のしくみ>
② 堆積岩は,礫や砂,泥の粒が固まってできている。<小学校での学習>
③ コンクリートは砂の粒子を石灰分のセメント(接着剤)がつないで固まってい
る。
<既習事項ではなく,類推が可能な身の回りの物質や現象を「すべ」として与
えることで,堆積岩が固結する仕組みのモデルを想起させる>
④ 石灰石(石灰分)に塩酸を加えると,二酸化炭素が発生する。
・堆積岩(砂岩)が固まっていくしくみを,コンクリート(固結のモデル)の事例
から類推し,推論することで,自分なりのモデルを構築させる。
-9
5-
(
)本時における問題解決の過程
<問 題 発 見>砂岩はどのようにして固まるのか。コンクリートを手がかりにして考
えてみよう。砂岩の砂を接着している物質は何だろう?
↓
<仮説の発想>どのような実験を行えば,コンクリートや砂岩の砂粒を接着している
物質を明らかにすることができるだろうか。
↓
<実 験 計 画>石灰分(炭酸カルシウム)を検出する方法を考える。
↓
<観察・実験>塩酸にコンクリートや砂岩,チャートなどのかけらを入れて観察する。
↓
<結果の解釈>観察結果から,堆積岩の固まるしくみを考察する。
石灰岩からは盛んに気泡が発生
砂岩(ノジュールのまわりの部分)からはわずかに気泡が発生する
チャートからは気泡が発生しない
ここでは,仮説の発想の場面での「すべ」や「手立て」を明らかにする。
-9
6-
(
)展開
授 業 展 開
教 師 の 支 援
導
既習事項の確認
入
<火成岩についての確認>
火成岩が固まるしくみ
T:火成岩はマグマが冷えて固まってできま
す。なぜ冷えると固まるのでしょうか?
(三態変化による凝固の例を
想起する)
T:冷却すると液体が固体になる物質の例を
挙げてみましょう。(手立て)
S:水が氷になります。(すべ)
S:液体のロウが,固体のロウになります。
(すべ)
◎ 液体を冷却すると融点より低くなった物質が固
体になる。
本時の主題の提示
T:では,堆積岩はどのようにして固まるの
でしょうか? 堆積岩も何かが冷やされ
て,液体が固体になっているのでしょう
か?
「堆積岩はどのようなしくみで固まるか」
展
<モデルの提示>
開
固まる前の生コンクリートは,砂とセメ
ントの粉に水を加えて混ぜ合わせたもので
あり,時間と共に固化し,固いコンクリー
T:では,砂にセメントと水を
加えて固めている,コンク
リートを例に考えてみまし
ょう。
トになる。セメントは,水と混ぜると砂の
粒を接着する接着剤の働きをして,一度固
化すると水をかけても元には戻らない成分
に変化している。
<問題発見の場面>
T:自然界でコンクリートと同じ砂が固まってでき
ているのは砂岩です。コンクリートの固まるし
くみを参考にして,
「砂岩」が固まるしくみを推
論して説明してみましょう。(手立て)
S:コンクリートは砂の粒がセメントによって接着
されて固まっているのかな。そうだとしたら,
砂岩も,砂の粒を何かが接着して固まっている
と考えられるんじゃないかな?(すべ)
S:砂岩の砂を接着する物質は,何だろう?
(問題発見)
-9
7-
<仮説の発想の場面>
T:どのような実験を行えば,コンクリート
や砂岩の砂粒を接着している物質を明ら
かにすることができるでしょうか。(手
立て)
S:セメントの成分って,何だっけ?
S:原料は石灰岩でしょ !
S:じゃあ,塩酸をかけたら泡が出るかな?
(仮説の発想)
生徒からの仮説の発想を受けた
演示
コンクリート片を塩酸に入れ
ると発泡することを確認
T:コンクリートや砂岩の砂粒を接着してい
る物質が石灰岩の成分であると仮定して,
実験計画を立ててみましょう。(手立て)
S:コンクリートと砂岩を,塩酸に入れて比
較してみよう!
(すべ)
S:ほかの堆積岩も試してみる?
S:じゃあ,チャートも入れてみる?
(実験方法の想起,結果の予想)
<実験>
〇少量の塩酸を入れた試験管を数本準備
〇それぞれの試験管に,石灰岩,コンクリート
片,砂岩片(ノジュールのまわりの部分)
,チ
ャートなどを入れる。
〇発泡のようすを比較する。
【結果の例】
〇石灰岩からは盛んに気泡が発生,次にコンク
リート片からの発泡が多い。
〇砂岩(ノジュールのまわりの部分)からはわ
ずかに気泡が発生する。
〇チャートからは気泡が発生しない。
<結果の解釈>
T:コンクリート片から出る泡は何という物質でしょう?
S:二酸化炭素です。セメントの原料は石灰岩なので,泡が出
るのだと思います。
T:岩石の種類によって泡の出方に違いがあるのは,なぜでし
ょうか?
S:きっと,石灰岩の量に違いがあるのだと思います。
-9
8-
ま
と
め
・本時のまとめとして,結論を記述する。
T:ノジュールが硬くなっているのはなぜか。
本時の内容を活用して,説明してみよう。
-9
9-
科学的思考力を育成するための「すべ」に関する指導案
単 元 名:霧 や 雲 の 発 生
- 霧の発生 -
広島市教育センター
野上 真二 -1
0
1-
Ⅰ 学習指導要領より
小学校
「A 物質・エネルギー」
第
学年 (
)金属,水,空気と温度 金属,水及び空気を温めたり冷やしたりして,それらの変化の様子を調べ,金
属,水及び空気の性質についての考えをもつことができるようにする。
ア 金属,水及び空気は,温めたり冷やしたりすると,その体積が変わること。
イ 金属は熱せられた部分から順に温まるが,水や空気は熱せられた部分が移動
して全体が温まること。
ウ 水は,温度によって水蒸気や氷に変わること。また,水が氷になると体積が
増えること。
ウ 水を熱していき,
℃近くになると沸騰した水の中から盛んに泡が出てくる。
児童の中には,この泡を水の中から出てきた空気であるという見方や考え方をして
いるものがいる。この泡を集めて冷やすと水になることから,この泡は空気ではな
く水が変化したものであることに気付くようにする。このことから,見えない水蒸
気の存在を温度の変化と関係付けてとらえるようにする。また,寒剤を使って水の
温度を
℃まで下げると,水が凍って氷に変わることもとらえるようにする。さら
に,水が氷になると体積が増えることもとらえるようにする。
「B 生命・地球」
第
学年 (
)天気の様子 日の気温の変化や水が蒸発する様子などを観察し,天気や気温の変化,水と
水蒸気との関係を調べ,天気の様子や自然界の水の変化についての考えをもつこ
とができるようにする。
ア 天気によって
日の気温の変化の仕方に違いがあること。
イ 水は,水面や地面などから蒸発し,水蒸気になって空気中に含まれていくこ
と。また,空気中の水蒸気は,結露して再び水になって現れることがあるこ
と。
イ 身の回りでは,溜まった水の水位が低下したり,ぬれた地面や洗濯物が乾いたり
して水の自然蒸発が起こっている。例えば,水を入れた容器に覆いをしておくと,
やがて内側に水滴が付いて曇ってくることがある。このような現象を観察すること
から,自然界では水面や地面などから水が蒸発していることをとらえるようにする。
また,冷えた物を常温の空気中に置くとその表面に水滴が付く現象などから,空
-1
0
2-
気中には蒸発した水が水蒸気として存在していることや,冷やすと結露して再び水
になって現れることがあることをとらえるようにする。
中学校
[第
分野]
(
)気象とその変化
身近な気象の観察,観測を通して,気象要素と天気の変化の関係を見いださせ
るとともに,気象現象についてそれが起こる仕組みと規則性についての認識を深
める。
イ 天気の変化
(ア)霧や雲の発生
霧や雲の発生についての観察,実験を行い,そのでき方を気圧,気温及び
湿度の変化と関連付けてとらえること。
(内容の取扱い)
ア イの(ア)については,気温による飽和水蒸気量の変化が湿度の変化や凝結
にかかわりがあることを扱うこと。また,水の循環も扱うこと。
(ア) 霧や雲の発生について
小学校では,第
学年で水は蒸発し水蒸気となって空気中に含まれること,空気
が冷やされると水蒸気は水になって現れることについて学習している。
ここでは,霧や雲が発生する状況を観察し,大気中の水蒸気が凝結する現象を気
圧,気温及び湿度の変化と関連付けてとらえさせることがねらいである。
窓や鏡,コップがくもるなど大気中の水蒸気が水滴に変化する現象から露点の測
定を行い,水蒸気の凝結現象について理解を深める。
霧については,気温が下がると湿度が上がるという規則性と併せて,気温の低下
に伴って大気中の水蒸気が凝結する現象として霧の発生の原因を理解させる。
-1
0
3-
-1
0
4-
小・中学校における既習事項と本単元との対応関係について
校種
学年
年生
本提案に関係する学習内容
○地面の暖かさや湿り気の違い
【学習内容】
太陽の光が当たっている地面と当たっていない地面の暖か
さや湿り気を体感や温度計で調べ,それらに違いがあること。
年生
○水の三態変化
【学習内容】
小学校
水は,温度によって水蒸気や氷に変わること。
○水の自然蒸発と結露
【学習内容】
水は,水面や地面などから蒸発し,水蒸気になって空気中
に含まれていくこと。また,空気中の水蒸気は,結露して再
び水になって現れることがあること。
年生
○状態変化と熱
【学習内容】
物質を加熱したり冷却したりすると状態が変化する(体積
は変化するが質量は変化しない)こと。
年生
○霧や雲の発生
【学習内容】
大気中の水蒸気が凝結する現象を気圧,気温及び湿度の変
化と関連付けてとらえさせること。
中学校
霧…気温が下がると湿度が上がるという規則性と併せて,
気温の低下に伴って大気中の水蒸気が凝結する現象と
して霧が発生する
<提案Bのみ>
【学習内容】
気温による飽和水蒸気量の変化が湿度の変化や凝結にかか
わりがあること。
Ⅱ 単元の指導について
生徒は,小学校第
学年で,水は蒸発し水蒸気となって空気中に含まれること,空気
は冷やされると空気中の水蒸気は水になって現れることについて,中学校第
学年で水
の状態変化について学習している。
本単元では,水は,地球(全体)で見ると地表と大気の間で,液体,気体,固体と状
態を「変化」させながら循環していることを学習する。
-1
0
5-
水(液体)は熱せられると,水面や地面などから蒸発して目に見えない水蒸気
(気体)
に
なり,空気中に出ていき,地表付近の空気が冷やされると空気中の水蒸気が水滴となり
霧が発生(部分)すること。また,空気は上昇すると膨張して温度が下がり,空気中の
水蒸気の一部が水蒸気になり雲が発生(部分)すること。さらに,小さな雲粒が互いに
ぶつかって合体するなどして大きく成長して雨や雪となって地表に降り
(部分)
,地表に
達することを学習する。
指導にあたっては,空気中の水が液体なのか,気体の水蒸気なのかを確認をしながら,
観察・実験に取り組ませ,身の回りに見られる霧や雲の発生,雨,雪といった大気中の
水蒸気に関する事象を,気圧,気温,湿度などの変化と関連付けて考えさせる。
本提案では,教科書によって学習上の位置付けが異なる「霧」に着目し,子供の体験・
既習事項や思考の流れを大切にしながら,単元の構成による既習事項(知識)の違いに
よって,どのように仮説設定を行わせればよいかについて提案する。
提案A:単元のはじめに霧の発生を位置付け,霧という事象をつかませた後に,霧の発生
条件についての仮設設定を行う。
提案B:飽和水蒸気量・湿度・露点等を学んだ後に霧の発生を位置付け,霧の発生条件に
ついての仮設設定を行う。
<使用する「すべ」>
③ 表やグラフの特徴に着目しデータを見る「すべ」
Ⅲ 指導計画
<提案A>
空気中の水の変化(
時間)
第
〜
時:水蒸気の変化(霧の発生)
(
)
第
〜
時:飽和水蒸気量と湿度 (
)
第
〜
時:水蒸気の変化(雲の発生)
(
)
第
時 :水の循環 (
)
<提案B>
空気中の水の変化(
時間)
第
〜
時:飽和水蒸気量と湿度 (
)
第
〜
時:水蒸気の変化(霧の発生)
(
)
第
〜
時:水蒸気の変化(雲の発生)
(
)
第
時 :水の循環 (
)
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0
6-
Ⅳ 本時の展開
提案A
学 習 活 動
教 師 の 支 援
.本時の目標を知る。
霧ができる日とできない日の違いから,霧ができる条件について仮説を立てる
ことができる。
.
枚 の 写 真 を 比 べ,違 い を 考 え る。
(すべ)
霧のない状態
大規模霧が発生した場合
T:これら 枚の写真は,朝 時ごろに同じ
場所を撮影したものなんだけど,違いは
ない?(手立て)
S :うーん。右の方が,もやがかかってい
る。
S :霧なんじゃない。
T:そうだね。霧が出てるね。
S :そういえば,霧が出ているのを見たこ
とがあるよ。(すべ)
T:いつ出てるのを見たの?(手立て)
S :クラブで朝早く出かけたときに見たよ。
(すべ)
S :そうそう。僕も,寒い日の朝に見たよ。
(すべ)
T:本当? ところで,霧の正体は何か知っ
てる?(手立て)
S :水じゃないの。だって,前,霧の中を
歩いたら服が濡れたから。(すべ)
S :僕も水だと思うよ。小学校の時,地面
から水が蒸発するのを勉強したじゃな
い。(すべ)
写真提供:コーベット・フォト・エージェンシー
-1
0
7-
.グラフから早朝に霧ができた日とでき
なかった日の違いを考える。(すべ)
①
T:二人とも,朝に霧を見たんだね。これは,
霧ができた日とできなかった日のグラフ
なんだけど,どっちが霧のできた日のグ
ラフかな。(手立て)
S :②なんじゃない。だって,前,霧が出
ていたときは寒かったもの。(すべ)
S :そうだよ。きっと。
T:みんなが言うとおり,霧が発生したのは,
②のグラフの時でした。じゃあ,②のグ
ラフを見て。
T:霧が発生するのは,気温がどんな時なの
?(手立て)
S :低い時じゃないかな。(すべ)
S :気温が低いだけで,霧ができるのかな。
寒くても,霧ができない日があるし。
T:もう一度,グラフを見てごらん。(手立
て)
S :湿度も載っているよ。
S :湿度も関係するのかな。ところで,湿
度って何?
T:湿度は,空気の湿り気の度合いだよ。
②
経験を想起させることで,導き
出される既習事項
○ 水は,水面や地面などから蒸発
し,水蒸気になって空気中に含ま
れていくこと。
○ 空気中の水蒸気は,結露して再
び水になって現れることがあるこ
と。
-1
0
8-
.各自で仮説を設定する。
T:では,これらのことを使って,霧ができ
る条件について仮説を立ててみよう。
仮説の例
○ 霧は,雨などで地面が濡れていて,気温が低い時に発生するだろう。
○ 朝,寒い時に霧が出ていたし,グラフから気温が低い状態が続いている時
に霧が発生しているので,霧は,気温が低い時に発生するだろう。
○ 朝,寒い時に霧が出ていたし,グラフから気温が低く,湿度が高い時に霧
が発生していたので,霧は,気温が低く,湿度が高い時に発生するだろう。
.各グループで,仮説を交流する。
.クラスで,仮説を交流する。
.仮説を検証するための実験を計画する。
T:では,仮説が正しいかどうかを確かめる
ためには,どのような実験をしたらいい
かな?
S :気温を下げるには,氷を使えばいいん
じゃない。小学校の時にやったように。
湿度はどうしようか。
S :お湯を入れておけばいいんじゃない。
お風呂のように。霧みたいな湯気が出
ていたよ。
S :本当に霧の発生に湿度が関係するのか
を確かめるためには,対照実験をした
方がいいよ。大きなビーカーを つ用
意して,お湯を入れたものと入れない
ものを用意しようよ。
.実験結果の予想を考える。
.実験を実施する。
.実験結果の予想と実験結果を関係付け
て,考察を行う。
.まとめ
-1
0
9-
提案B
学 習 活 動
教 師 の 支 援
.本時の目標を知る。
霧ができる日とできない日の違いから,霧ができる条件について仮説を立てる
ことができる。
.
枚 の 写 真 を 比 べ,違 い を 考 え る。
(すべ)
霧のない状態
大規模霧が発生した場合
T:これら 枚の写真は,朝の 時ごろ同じ
場所を撮影したものなんだけど,違いは
ない?(手立て)
S :うーん。右の方が,もやがかかってい
る。
S :霧なんじゃない。
T:そうだね。霧が出てるね。
S :そういえば,霧が出ているのを見たこ
とがあるよ。(すべ)
T:いつ出てるのを見たの?(手立て)
S :クラブで朝早く出かけたときに見たよ。
(すべ)
S :そうそう。僕も,寒い日の朝に見たよ。
(すべ)
T:本当? ところで,霧の正体は何か知っ
てる?(手立て)
S :水じゃないの。だって,前,霧の中を
歩いたら服が濡れたから。(すべ)
S :僕も水だと思うよ。小学校の時,地面
から水が蒸発するのを勉強したじゃな
い。(すべ)
写真提供:コーベット・フォト・エージェンシー
-1
1
0-
.グラフから早朝に霧ができた日とでき
なかった日の違いを考える。(すべ)
①
②
T:二人とも,朝に霧を見たんだね。これは,
霧ができた日とできなかった日のグラフ
なんだけど,どっちが霧のできた日のグ
ラフかな。(手立て)
S :②なんじゃない。だって,前,霧が出
ていたときは寒かったもの。(すべ)
S :グラフの気温が ℃ぐらいだし。そう
だよ。きっと。
T:霧ができるのは,気温がどんな時なの?
(手立て)
S :低い時じゃないかな。(すべ)
S :気温が低いだけで,霧ができるのかな。
寒くても,霧ができない日があるし。
S :うーん!
T:そういえば,この間,教室の水蒸気量を
調べたよね。(手立て)
S :そうだ。くみ置きの水の水温を測って,
水温を下げて,くもりはじめの水温を
測ったね。(すべ)
S :そうそう。飽和水蒸気量は温度によっ
て決まってたよ。(すべ)
ということは,湿度も関係しているの
かも。
湿度のグラフはないですか。
※必要に応じて,湿度のグラフを提示する。
経験を想起させることで,導き
出される既習事項
○ 水は,水面や地面などから蒸発
し,水蒸気になって空気中に含ま
れていくこと。
○ 空気中の水蒸気は,結露して再
び水になって現れることがあるこ
と。
○ 気温による飽和水蒸気量の変化
が湿度の変化や凝結にかかわりが
あること。
-1
1
1-
.各自で仮説を設定する。
T:では,これらのことを使って,霧ができ
る条件について仮説を立ててみよう。
仮説の例
○ 寒い朝で,雨の後に霧が出ていたので,気温が低く,湿度が高い時に霧が
発生するだろう。
○ グラフから,気温が
℃ぐらいまで下がり,湿度が
%の時に霧が発生す
るだろう。
○ 前に習ったように,飽和水蒸気量は気温によって決まっていて,気温が低
いと湿度が
%になりやすい。湿度が
%になると,空気中の水蒸気が水と
なって出てくる。だから,霧が発生するのは気温が低く,湿度が
%の時だ
ろう。
.各グループで,仮説を交流する。
.クラスで,仮説を交流する。
.仮説を検証するための実験を計画する。
.実験結果の予想を考える。
.実験を実施する。
.実験結果の予想と実験結果を関係付け
て,考察を行う。
T:では,仮説が正しいのかどうかを確かめ
るためには,どのような実験をしたら良
いのかな?
S :気温を下げるには,氷を使えばいいん
じゃない。小学校の時にやったように。
湿度はどうしようか。
S :お湯を入れておけばいいんじゃない。
お風呂のように。霧みたいな湯気が出
ていたよ。
S :本当に霧の発生に湿度が関係するのか
を確かめるためには,対照実験をした
方がいいよ。大きなビーカーを つ用
意して,お湯を入れたものと入れない
ものを用意しようよ。
.まとめ
-1
1
2-
科学的思考力を育成するための「すべ」に関する指導案
単 元 名:気 象 と そ の 変 化
- 前線の通過と天気の変化 -
広島大学附属福山中・高等学校
平賀 博之 -1
1
3-
Ⅰ 学習指導要領
小学校
「B 生命・地球」
第
学年 (
)天気の様子
日の気温の変化や水が蒸発する様子などを観察し,天気や気温の変化,水と
水蒸気との関係を調べ,天気の様子や自然界の水の変化についての考えをもつこ
とができるようにする。
ア 天気によって
日の気温の変化の仕方に違いがあること。
イ 水は,水面や地面などから蒸発し,水蒸気になって空気中に含まれていくこと。
また,空気中の水蒸気は,結露して再び水になって現れることがあること。
小学校
「B 生命・地球」
第
学年 (
)天気の変化
日の雲の様子を観測したり,映像などの情報を活用したりして,雲の動きな
どを調べ,天気の変化の仕方についての考えをもつことができるようにする。
ア 雲の量や動きは,天気の変化と関係があること。
イ 天気の変化は,映像などの気象情報を用いて予想できること。
中学校
[第
分野]
(
)気象とその変化
身近な気象の観察,観測を通して,気象要素と天気の変化の関係を見いださせ
るとともに,気象現象についてそれが起こる仕組みと規則性についての認識を深
める。
イ 天気の変化
(イ)前線の通過と天気の変化
前線の通過に伴う天気の変化の観測結果などに基づいて,その変化を
暖気,寒気と関連付けてとらえること。
<内容の取扱い>
イ イの(イ)については,風の吹き方にも触れること。
-1
1
4-
(学習指導要領解説より)
ここでは,様々な気象現象について自ら探究しようとする態度を育成することが大
切である。また,気象とその変化に関する基礎的・基本的な知識や観測技能を習得さ
せ,観測記録や資料などを分析して解釈させたり,レポートの作成や発表を行わせた
りすることにより,思考力,表現力などを育成する。さらに,それらの活動を通して
時間概念や空間概念を形成し,気象現象が起こる仕組みと規則性についての見方や考
え方を養うことが大切である。
-1
1
5-
Ⅱ 単元の指導について
(イ)前線の通過と天気変化について
(学習指導要領解説より)
前線の通過の観測は,その地域に実際に前線が通過する時をうまくとらえて実施す
る。「(
)ア 気象観測」で行う気象観測の時期を前線の通過が予想される
〜
日前から始めるように計画し,観測結果の考察を通して,前線の通過というのは暖気
と寒気の境界が移動する現象であることを理解させる。前線通過の観測ができない場
合は,天気図や気象衛星画像に加えて,地域の気象台の観測データなどにより同様の
学習を行うことも考えられる。
(前線の通過を捉える授業構成)
前線の通過の観測は,現実としては授業の時間割が決まっている中で実施すること
は難しい。近年の気象観測のデジタル化に伴い,アメダスやデジタル百葉箱のデータ
など,気象観測データを教室内で容易に活用できるようになってきた。こうしたデー
タから前線の通過について考察することを本時のねらいとし,仮説を発想する場面を
設定する内容を中心とする授業構成とした。
Ⅲ 本時の内容
(
)本時の内容に関する目標
・前線の通過時に観測される気象データの変化を,前時までの既習事項を活用して
結果を予想するとともに,実際の観測データから前線の通過を論拠に基づいて説
明できるようになる。
(
)本時に活用させる既習事項や既習経験
①前線は気温や水蒸気の量がほぼ一様な空気の塊同士の境界に発生し,その境界で
は気温の差が大きく,風も急に変わる場合が多い。
<前時まで>
②天気のちがいで
日の気温の変化の様子が異なる。
<小学校
年>
③雲には様々な種類があり,天気と関係している。
<小学校
年>
④寒冷前線が通過するときはにわか雨が降り,通過後は気温が下がり,急速に天候
が回復することが多い。 <経験>
(
)本時で扱う「解決すべき問題」
生徒は前時までの既習事項から,「前線とは何か」,
「前線が通過することによっ
てどのような変化が起こるか」を,理論の上では学習している。前線は空気塊の境
界であるため,目で見て視覚的に確認することはできない。では,「実際に前線が
通過する際に,どのような気象観測をすれば前線の通過を捉えることができるか?」
を解決すべき問題として提起し,その方法を発想させる。
-1
1
6-
しかし,実際に前線が通過するという現象に遭遇するのは,年に数回であり,ま
た典型的な前線通過としてデータから確認できるような様子となるのは,数年に
度あるかどうかの機会である。そのため生徒に前線通過を実際に観測させることは
難しい。そこで,アメダスのデータやデジタル百葉箱の観測データを活用し,前線
通過時のさまざまな気象要素の観測データを用いることによって,前線の通過をそ
れぞれのデータの変化から読み取ることを課題として設定する。この活動から,観
測データをグラフ化し,変化の特徴を捉え,科学的な事象(ここでは前線の通過)
を明らかにするという,データの見方の「すべ」を獲得させる。
(
)本時における問題解決の過程
<問 題 発 見>寒冷前線が通過した日のデジタル気象データから,前線の通過時刻
を,判断できるか?
↓
<仮説の発想>観測された気象要素ごとに,前線の通過が明らかになるか考察する。
またその際,データにどのような変化が起こると考えられるか予想
する。
↓
<実 験 計 画>寒冷前線通過時の気象要素のデータ処理方法を考える。
↓
<観察・実験>デジタル気象観測機器の観測データ用いて,データの視覚化を行う。
↓
<結果の解釈>データの検討を行い,寒冷前線が何時頃に通過したか,判断する。
-1
1
7-
(
)本時の展開
授 業 展 開
教 師 の 支 援
導
既習事項の確認
入
<前線が通過する際の変化についての確認>
例:寒冷前線
T:前線が通過する際には,どのような変化
が見られるのだったかな?
① 気温の低下
② 風向の変化
③ にわか雨の後,急激に天候が回復
④ その他・・・いろいろな可能性?
展
本時の主題の提示
開
「寒冷前線が通過したのは何時頃か,
気象データの変化から判断できるか」
T:左の図は, 月 日の天気図です。広島
県を寒冷前線が通過しています。
資料 (p.
1
2
1
に掲載)は, 月 日の福
山におけるアメダスの観測データです。
このデータから,寒冷前線は何時頃に通過し
たと判断できるか,検討してみましょう。
気象庁ホームページ
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www.
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4
0
5
.
pdfより
<仮説の発想の場面>
仮説の発想を促す発問例
<発問>寒冷前線が何時頃に通過したかを明ら
かにするためには,どのような気象デ
ータの変化に注目すれば判断できるだ
ろうか?
T:これまでの学習の中から,何か手がかり
を探してみよう!
T:次のグラフから,この期間( 日間)の
天気の変化が読み取れるかな?(手立て)
-1
1
8-
・まず,小学校で学習した気温のデータに着目して,
検討を行ってみる。
5月6日∼11日の気温の変化(福山)
5 / 6
5 / 7
5 / 8
5 / 9
5 / 10
5 / 11
25
20
15
10
5
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
S:小学校で,天気がちがうと,気温の変化
の様子がちがうことを勉強したよ。(す
べ)
S:
日目・ 日目( 月 日〜
天気がよかったみたい!
福山の気温(5月10日)
日)は,
T:では, 月 日の気温のグラフを見てみ
ましょう。この中に,寒冷前線が通過し
たと考えられる特徴が見られるでしょう
か?
30
25
20
15
0:00
6:00
12:00
18:00
0:00
S:この日の天気は晴れではないよね。くも
りだったら点線のようなグラフになるの
かな?
寒冷前線が通過したら,気温は下がると
習ったから,気温が下がったところに注
目して見ればよいのかな?(すべ)
福山の気温(5月10日)
30
25
20
15
0:00
6:00
12:00
18:00
0:00
S:気温が上がるはずの,午前 時〜 時の
間に気温が低下しているね!
ということは,福山での寒冷前線の通過
は午前 時〜 時の間の可能性が高いと
考えられます。
-1
1
9-
記述の仕方を,次の例を用いて統一する。
「寒冷前線が通過する際には気温が下がるので,気
温の変化を検討したら急に気温が下がったときが
寒冷前線の通過したときだと判断できるだろう。」
・気温以外のアメダスの観測項目に
ついて,寒冷前線が通過したとき
の変化を予想し,記述させる。
T:気温以外のデータはどうでしょう?
アメダスには,気温,降水量,日照時間,
風速,風向,気圧,湿度の つのデータ
がありますので,それぞれについて,寒
冷前線の通過に伴って,何か変化がある
か,ないかを,予想してみましょう。
生徒の記述例
「寒冷前線が通過する際にはにわか雨が降るの
・なぜその観測データから
で,降水量を検討したら急にたくさんの雨が
判断できる(できない)
降ったときが寒冷前線の通過したときだと判
のか,論拠を記述させる。
・記述は,発問に対する答
断できるだろう。」
えになるように記述させ
「寒冷前線が通過した後には天候が急激に回復
る。
するので,日照時間を検討したら日が照り始
めた時刻より前に寒冷前線が通過したと判断
できるだろう。」
「天気図から,寒冷前線が通過した際には気圧
には大きな変化は見られないので,気圧を検
討してもいつ寒冷前線が通過したかを判断す
ることはできないだろう。」
・アメダスの観測データは,気温,
降水量,日照時間,風速,風向,
気圧,湿度の
項目で,
時間
ごとの観測値が記録されている。
T:気温以外のデータについて,グラフを作
成して,自分たちの予想をもとに,寒冷
前線の通過に伴って,何か変化があるか,
ないかを,検証してみましょう。(班で
分担して作業する)
・実際にグラフを作成して,
【考察】
・結果を基に,寒冷前線が福山で何時に通過したか
データの変化の様子を見
て考察する。
を総合的に判断する。
-1
2
0-
・アメダスの
項目のデー
タについて,班ごとに議
論して,班としての意見
をまとめる。
T:班ごとの検証が終わったら,クラス全体
で議論しましょう。
・
つのデータだけに頼る
のではなく,関連する多
くのデータを総合的に判
断して,寒冷前線の通過
した時刻を決定する。
ま
と
め
・本時のまとめとして,結論と
<資料
時間を通しての感
想を記述する。
>寒冷前線が通過した日のアメダスのデータ(広島県福山)
気象庁ホームページ ht
t
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x.
phpより
-1
2
1-
公益財団法人 日本教材文化研究財団 定款
公益財団法人 日本教材文化研究財団定款
第
章 総 則
(名 称)
第 条 この法人は,公益財団法人 日本教材文化研究財団
と称する。
(事務所)
第 条 この法人は,主たる事務所を,東京都新宿区に置
く。
この法人は,理事会の決議を経て,必要な地に従たる
事務所を設置することができる。これを変更または廃止
する場合も同様とする。
第
章 目的及び事業
(目 的)
第 条 この法人は,学校教育,社会教育及び家庭教育にお
ける教育方法に関する調査研究を行うとともに,学習指導
の改善に資する教材・サービス等の開発利用をはかり,も
ってわが国の教育の振興に寄与することを目的とする。
(事 業)
第 条 この法人は,前条の目的を達成するために,次の各
号の事業を行う。
( )学校教育,社会教育及び家庭教育における学力形
成に役立つ指導方法の調査研究と教材開発
( )家庭の教育力の向上がはかれる教材やサービスの
調査研究と普及公開
( )前二号に掲げる研究成果の発表及びその普及啓蒙
( )教育方法に関する国内外の研究成果の収集及び一
般の利用に供すること
( )他団体の検定試験問題及びその試験に関係する教
材の監修
( )その他,目的を達成するために必要な事業
前項の事業は,日本全国において行うものとする。
第
章 資産及び会計
(基本財産)
第 条 この法人の目的である事業を行うために不可欠な別
表の財産は,この法人の基本財産とする。
基本財産は,この法人の目的を達成するために理事長
が管理しなければならず,基本財産の一部を処分しよう
とするとき及び基本財産から除外しようとするときは,
あらかじめ理事会及び評議員会の承認を要する。
(事業年度)
第 条 この法人の事業年度は,毎年
月3
1
日に終わる。
月
日に始まり翌年
(事業計画及び収支予算)
第 条 この法人の事業計画書,収支予算書並びに資金調達
及び設備投資の見込みを記載した書類については,毎事業
年度開始の日の前日までに,理事長が作成し,理事会の承
認を受けなければならない。これを変更する場合も同様と
する。
前項の書類については,主たる事務所に,当該事業年
度が終了するまでの間備え置き,一般の閲覧に供するも
のとする。
(事業報告及び決算)
第 条 この法人の事業報告及び決算については,毎事業年
度終了後 箇月以内に,理事長が次の各号の書類を作成し,
監事の監査を受けた上で,理事会の承認を受けなければな
らない。承認を受けた書類のうち,第 号,第 号,第
号及び第 号の書類については,定時評議員会に提出し,
第 号の書類についてはその内容を報告し,その他の書類
については,承認を受けなければならない。
( )事業報告
( )事業報告の附属明細書
( )貸借対照表
( )正味財産増減計算書
( )貸借対照表及び正味財産増減計算書の附属明細書
( )財産目録
第 項の規定により報告または承認された書類のほか,
次の各号の書類を主たる事務所に 年間備え置き,個人
の住所に関する記載を除き一般の閲覧に供するとともに,
定款を主たる事務所に備え置き,一般の閲覧に供するも
のとする。
( )監査報告
( )理事及び監事並びに評議員の名簿
( )理事及び監事並びに評議員の報酬等の支給の基準
を記載した書類
( )運営組織及び事業活動の状況の概要及びこれらに
関する数値のうち重要なものを記載した書類
(公益目的取得財産残額の算定)
第 条 理事長は,公益社団法人及び公益財団法人の認定等
に関する法律施行規則第4
8
条の規定に基づき,毎事業年度,
当該事業年度の末日における公益目的取得財産残額を算定
し,前条第 項第 号の書類に記載するものとする。
第
章 評議員
(評議員)
第1
0
条 この法人に,評議員1
6
名以上2
1
名以内を置く。
(評議員の選任及び解任)
第1
1
条 評議員の選任及び解任は,評議員選定委員会におい
て行う。
評議員選定委員会は,評議員 名,監事 名,事務局
員 名,次項の定めに基づいて選任された外部委員 名
の合計 名で構成する。
評議員選定委員会の外部委員は,次のいずれにも該当
しない者を理事会において選任する。
( )この法人または関連団体(主要な取引先及び重要
な利害関係を有する団体を含む。以下同じ。)の業
務を執行する者または使用人
( )過去に前号に規定する者となったことがある者
( )第 号または第 号に該当する者の配偶者,三親
等内の親族, 使用人(過去に使用人となった者も含
む。)
評議員選定委員会に提出する評議員候補者は,理事会
または評議員会がそれぞれ推薦することができる。評議
員選定委員会の運営についての詳細は理事会において定
める。
評議員選定委員会に評議員候補者を推薦する場合には,
次に掲げる事項のほか,当該候補者を評議員として適任
と判断した理由を委員に説明しなければならない。
( )当該候補者の経歴
( )当該候補者を候補者とした理由
( )当該候補者とこの法人及び役員等(理事,監事及
び評議員)との関係
( )当該候補者の兼職状況
評議員選定委員会の決議は,委員の過半数が出席し,
−1
2
3−
公益財団法人 日本教材文化研究財団 定款
その過半数をもって行う。ただし,外部委員の 名以上
が出席し,かつ,外部委員の 名以上が賛成することを
要する。
評議員選定委員会は,第1
0
条で定める評議員の定数を
欠くこととなるときに備えて,補欠の評議員を選任する
ことができる。
前項の場合には,評議員選定委員会は,次の各号の事
項も併せて決定しなければならない。
( )当該候補者が補欠の評議員である旨
( )当該候補者を 人または 人以上の特定の評議員
の補欠の評議員として選任するときは,その旨及び
当該特定の評議員の氏名
( )同一の評議員( 人以上の評議員の補欠として選
任した場合にあっては,当該 人以上の評議員)に
つき 人以上の補欠の評議員を選任するときは,当
該補欠の評議員相互間の優先順位
第 項の補欠の評議員の選任に係る決議は,当該決議
後 年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関す
る定時評議員会の終結の時まで,その効力を有する。
(評議員の任期)
第1
2
条 評議員の任期は,選任後 年以内に終了する事業年
度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結のときま
でとする。また,再任を妨げない。
前項の規定にかかわらず,任期の満了前に退任した評
議員の補欠として選任された評議員の任期は,退任した
評議員の任期の満了するときまでとする。
評議員は,第1
0
条に定める定数に足りなくなるときは,
任期の満了または辞任により退任した後も,新たに選任
された評議員が就任するまで,なお評議員としての権利
義務を有する。
(評議員に対する報酬等)
第1
3
条 評議員に対して,各年度の総額が5
0
0
万円を超えな
い範囲で,評議員会において定める報酬等を支給すること
ができる。
前項の規定にかかわらず,評議員には費用を弁償する
ことができる。
第
章 評議員会
(構 成)
第1
4
条 評議員会は,すべての評議員をもって構成する。
(権 限)
第1
5
条 評議員会は,次の各号の事項について決議する。
( )理事及び監事の選任及び解任
( )理事及び監事の報酬等の額
( )評議員に対する報酬等の支給の基準
( )貸借対照表及び正味財産増減計算書の承認
( )定款の変更
( )残余財産の処分
( )基本財産の処分または除外の承認
( )その他評議員会で決議するものとして法令または
この定款で定められた事項
(開 催)
第1
6
条 評議員会は,定時評議員会として毎事業年度終了後
箇月以内に 回開催するほか,臨時評議員会として必要
がある場合に開催する。
(招 集)
第1
7
条 評議員会は,法令に別段の定めがある場合を除き,
理事会の決議に基づき理事長が招集する。
評議員は,理事長に対して,評議員会の目的である事
項及び招集の理由を示して,評議員会の招集を請求する
ことができる。
(議 長)
第1
8
条 評議員会の議長は理事長とする。
理事長が欠けたときまたは理事長に事故があるときは,
評議員の互選によって定める。
(決 議)
第1
9
条 評議員会の決議は,決議について特別の利害関係を
有する評議員を除く評議員の過半数が出席し,その過半数
をもって行う。
前項の規定にかかわらず,次の各号の決議は,決議に
ついて特別の利害関係を有する評議員を除く評議員の
分の 以上に当たる多数をもって行わなければならない。
( )監事の解任
( )評議員に対する報酬等の支給の基準
( )定款の変更
( )基本財産の処分または除外の承認
( )その他法令で定められた事項
理事または監事を選任する議案を決議するに際しては,
各候補者ごとに第 項の決議を行わなければならない。
理事または監事の候補者の合計数が第21
条に定める定数
を上回る場合には,過半数の賛成を得た候補者の中から
得票数の多い順に定数の枠に達するまでの者を選任する
こととする。
(議事録)
第2
0
条 評議員会の議事については,法令で定めるところに
より,議事録を作成する。
議長は,前項の議事録に記名押印する。
第
章 役 員
(役員の設置)
第2
1
条 この法人に,次の役員を置く。
( )理事 名以上1
2
名以内
( )監事 名または 名
理事のうち 名を理事長とする。
理事長以外の理事のうち, 名を専務理事及び 名を
常務理事とする。
第 項の理事長をもって一般社団法人及び一般財団法
人に関する法律(平成1
8
年法律第4
8
号)に規定する代表
理事とし,第 項の専務理事及び常務理事をもって同法
1
条第1
項に規定する業務執行
第1
9
7条で準用する同法第9
理事(理事会の決議により法人の業務を執行する理事と
して選定された理事をいう。以下同じ。)とする。
(役員の選任)
第2
2
条 理事及び監事は,評議員会の決議によって選任する。
理事長及び専務理事並びに常務理事は,理事会の決議
によって理事の中から選定する。
(理事の職務及び権限)
第2
3
条 理事は,理事会を構成し,法令及びこの定款で定め
るところにより,職務を執行する。
理事長は,法令及びこの定款で定めるところにより,
この法人の業務を代表し,その業務を執行する。
専務理事は,理事長を補佐する。
常務理事は,理事長及び専務理事を補佐し,理事会の
議決に基づき,日常の事務に従事する。
理事長及び専務理事並びに常務理事は,毎事業年度に
箇月を超える間隔で 回以上,自己の職務の執行の状
−1
2
4−
公益財団法人 日本教材文化研究財団 定款
況を理事会に報告しなければならない。
(監事の職務及び権限)
第2
4
条 監事は,理事の職務の執行を監査し,法令で定める
ところにより,監査報告を作成する。
監事は,いつでも,理事及び事務局員に対して事業の
報告を求め,この法人の業務及び財産の状況の調査をす
ることができる。
(役員の任期)
第2
5
条 理事の任期は,選任後 年以内に終了する事業年度
のうち最終のものに関する定時評議員会の終結のときまで
とする。
監事の任期は,選任後 年以内に終了する事業年度の
うち最終のものに関する定時評議員会の終結のときまで
とする。
前項の規定にかかわらず,任期の満了前に退任した理
事または監事の補欠として選任された理事または監事の
任期は,前任者の任期の満了するときまでとする。
理事または監事については,再任を妨げない。
理事または監事が第2
1
条に定める定数に足りなくなる
ときまたは欠けたときは,任期の満了または辞任により
退任した後も,それぞれ新たに選任された理事または監
事が就任するまで,なお理事または監事としての権利義
務を有する。
(役員の解任)
第2
6
条 理事または監事が,次の各号のいずれかに該当する
ときは,評議員会の決議によって解任することができる。
( )職務上の義務に違反し,または職務を怠ったとき
( )心身の故障のため,職務の執行に支障がありまた
はこれに堪えないとき
(役員に対する報酬等)
第2
7
条 理事及び監事に対して,各年度の総額が3
0
0
万円を
超えない範囲で,評議員会において定める報酬等を支給す
ることができる。
前項の規定にかかわらず,理事及び監事には費用を弁
償することができる。
第
章 理事会
(構 成)
第2
8
条 理事会は,すべての理事をもって構成する。
(権 限)
第2
9
条 理事会は,次の各号の職務を行う。
( )この法人の業務執行の決定
( )理事の職務の執行の監督
( )理事長及び専務理事並びに常務理事の選定及び解
職
(招 集)
第3
0
条 理事会は,理事長が招集するものとする。
理事長が欠けたときまたは理事長に事故があるときは,
各理事が理事会を招集する。
(議 長)
第3
1
条 理事会の議長は,理事長とする。
理事長が欠けたときまたは理事長に事故があるときは,
専務理事が理事会の議長となる。
(決 議)
第3
2
条 理事会の決議は,決議について特別の利害関係を有
する理事を除く理事の過半数が出席し,その過半数をもっ
て行う。
前項の規定にかかわらず,一般社団法人及び一般財団
法人に関する法律第1
9
7
条において準用する同法第9
6
条
の要件を満たしたときは,理事会の決議があったものと
みなす。
(議事録)
第3
3
条 理事会の議事については,法令で定めるところによ
り,議事録を作成する。
出席した理事長及び監事は,前項の議事録に記名押印
する。ただし,理事長の選定を行う理事会については,
他の出席した理事も記名押印する。
第
章 定款の変更及び解散
(定款の変更)
第3
4
条 この定款は,評議員会の決議によって変更すること
ができる。
前項の規定は,この定款の第 条及び第 条並びに第
1
1
条についても適用する。
(解 散)
第3
5
条 この法人は,基本財産の滅失によるこの法人の目的
である事業の成功の不能,その他法令で定められた事由に
よって解散する。
(公益認定の取消し等に伴う贈与)
第3
6
条 この法人が公益認定の取消しの処分を受けた場合ま
たは合併により法人が消滅する場合(その権利義務を承継
する法人が公益法人であるときを除く。)には,評議員会
の決議を経て,公益目的取得財産残額に相当する額の財産
を,当該公益認定の取消しの日または当該合併の日から
箇月以内に,公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関
する法律第 条第1
7
号に掲げる法人または国若しくは地方
公共団体に贈与するものとする。
(残余財産の帰属)
第3
7
条 この法人が清算をする場合において有する残余財産
は,評議員会の決議を経て,公益社団法人及び公益財団法
人の認定等に関する法律第 条第17
号に掲げる法人または
国若しくは地方公共団体に贈与するものとする。
第
章 公告の方法
(公告の方法)
第3
8
条 この法人の公告は,電子公告による方法により行う。
事故その他やむを得ない事由によって前項の電子公告
を行うことができない場合は,官報に掲載する方法によ
り行う。
第1
0
章 事務局その他
(事務局)
第3
9
条 この法人に事務局を設置する。
事務局には,事務局長及び所要の職員を置く。
事務局長及び重要な職員は,理事長が理事会の承認を
得て任免する。
前項以外の職員は,理事長が任免する。
事務局の組織,内部管理に必要な規則その他について
は,理事会が定める。
−1
2
5−
公益財団法人 日本教材文化研究財団 定款
(委 任)
第4
0
条 この定款に定めるもののほか,この定款の施行につ
いて必要な事項は,理事会の決議を経て,理事長が定める。
附 則
第
条 会員になろうとするものは,会費を添えて入会届を
提出し,理事会の承認を受けなければならない。
第
この定款は,一般社団法人及び一般財団法人に関する
法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関す
る法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第
1
0
6
条第 項に定める公益法人の設立の登記の日から施
行する。
一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益
社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行
に伴う関係法律の整備等に関する法律第10
6
条第 項に
定める特例民法法人の解散の登記と,公益法人の設立の
登記を行ったときは,第 条の規定にかかわらず,解散
の登記の日の前日を事業年度の末日とし,設立の登記の
日を事業年度の開始日とする。
第2
2
条の規定にかかわらず,この法人の最初の理事長
は杉山 茂,専務理事は新免利也,常務理事は星村平和
及び中井武文とする。
第1
1
条の規定にかかわらず,この法人の最初の評議員
は,旧主務官庁の認可を受けて,評議員選定委員会にお
いて行うところにより,次に掲げるものとする。
有田 和正 尾田 幸雄
梶田 叡一 角屋 重樹
亀井 浩明 北島 義斉
木村 治美 佐島 群巳
佐野 金吾 清水 厚実
田中 博之 玉井美知子
中川 栄次 中里 至正
中洌 正堯 波多野義郎
原田 智仁 宮本 茂雄
山極 隆 大倉 公喜
条 会員は,この法人の事業を行う上に必要なことがら
について研究協議し,その遂行に協力するものとする。
第 条 会員は次の各号の事由によってその資格を失う。
( )脱退
( )禁治産および準禁治産並びに破産の宣告
( )死亡,失踪宣告またはこの法人の解散
( )除名
第
条 会員で脱退しようとするものは,書面で申し出なけ
ればならない。
第
条 会員が次の各号( )に該当するときは,理事現在
数の 分の 以上出席した理事会の議決をもってこれを除
名することができる。
( )会費を滞納したとき
( )この法人の会員としての義務に違反したとき
( )この法人の名誉を傷つけまたはこの法人の目的に
反する行為があったとき
第
条 既納の会費は,いかなる事由があってもこれを返還
しない。
第
条 各年度において納入された会費は,事業の充実およ
びその継続的かつ確実な実施のため,その半分を管理費に
使用する。
昭和4
5
年の法人設立時の理事及び監事は,次のとおり
とする。
理事 (理事長) 平澤 興
理事 (専務理事)堀場正夫
理事 (常務理事)鰺坂二夫
理事 (常務理事)渡辺 茂
理事 (常務理事)近藤達夫
理事 平塚益徳
理事 保田 與重郎
理事 奥西 保
理事 北島織衛
理事 田中克己
監事 高橋武夫
監事 辰野千壽
監事 工藤 清
賛助会員規約
第
条 公益財団法人日本教材文化研究財団の事業目的に賛
同し,事業その他運営を支援するものを賛助会員(以下
「会
員」という)とする。
第
条 会員は,法人,団体または個人とし,次の各号に定
める賛助会費(以下「会員」という)を納めるものとする。
( )法人および団体会員 一口3
0
万円以上
( )個人会員 一口 万円以上
( )個人準会員 一口 万円未満
−1
2
6−
内閣府所管
公益財団法人 日本教材文化研究財団
理事・監事・評議員
⑴ 理事・監事名簿 (敬称略) 名
役 名
氏 名
就任年月日
理事長 村上 和雄
(理事長就任 H. ..)
重
専務理事
常務理事
常務理事
理 事
理 事
理 事
理 事
理 事
理 事
理 事
監 事
監 事
平成
平成
平成
平成
平成
平成
平成
平成
平成
平成
平成
平成
重
重
重
重
重
重
重
就
重
重
重
就
年
年
年
年
年
年
年
年
年
年
年
年
月
就重
平成
新免 利也
中井 武文
星村 平和
角屋 重樹
北島 義俊
杉山 茂
中川 栄次
中洌 正堯
原田 智仁
菱村 幸彦
中合 英幸
古谷 滋海
年
(平成2
8
年
月
月
月
月
月
月
月
月
月
月
月
月
日
日
日
日
日
日
日
日
日
日
日
日
日
職務・専門分野
法 人 の 代
業 務 の 総
事
務
総
事
業
運
月3
1
日現在)
備 考
表
理 筑波大学名誉教授 全日本家庭教育研究会総裁
括
新学社執行役員
営 (株)
財 務 (株)新学社代表取締役会長
社 会 科 教 育 元兵庫教育大学教授 国立教育政策研究所名誉所員
理 科 教 育 広島大学名誉教授 日本体育大学教授
財
務 大日本印刷(株)代表取締役社長
数 学 教 育 元早稲田大学教授 東京学芸大学名誉教授
財 務 (株)新学社代表取締役社長
国 語 教 育 学 元兵庫教育大学学長 兵庫教育大学名誉教授
社 会 科 教 育 兵庫教育大学大学院教授
教
教
育
育
行
法
財
財
政
規
元文部省初中局長 国立教育政策研究所名誉所員
務 (株)新学社執行役員
務 大日本印刷(株)常務執行役員
(
音順)
⑵ 評議員名簿 (敬称略) 名
役 名
氏 名
就任年月日
就重
評議員 秋田喜代美 平成 年 月 日 就
評議員 浅井 和行 平成
年
月
日
重
評議員 安彦 忠彦 平成
年
月
日
重
評議員 亀井 浩明 平成
評議員 北島 義斉 平成
評議員 木村 治美 平成
年
年
年
月
月
月
日
日
日
重
重
重
評議員 櫻井 茂男 平成
年
月
日
重
評議員 佐野 金吾 平成
評議員 清水 厚実 平成
評議員 清水 美憲 平成
年
年
年
月
月
月
日
日
日
重
重
重
評議員 下田 好行 平成
年
月
日
重
評議員 鈴木 克明 平成
年
月
日
就
評議員 髙木 展郎 平成
年
月
日
重
評議員 田中 博之 平成
年
月
日
重
評議員
評議員
評議員
評議員
年
年
年
年
月
月
月
月
日
日
日
日
重
重
重
重
前田 英樹
松浦 伸和
峯 明秀
吉田 武男
平成
平成
平成
平成
担当職務
備 考
教育心理学・発達心理学
学 校 教 育 学
教
育
工
学
メ デ ィ ア 教 育
教 育 課 程 論
教育評価・教育方法
初 等 中 等 教 育
キ ャ リ ア 教 育
財 英
文
育
京都教育大学大学院教授
名古屋大学名誉教授 神奈川大学特別招聘教授
元東京都教委指導部長 帝京大学名誉教授
務 大日本印刷(株)代表取締役副社長
学 共立女子大学名誉教授 エッセイスト
認知心理学・発達心理学
キ ャ リ ア 教 育
社 会 科 教 育
教育課程・学校経営
教
東京大学大学院教授
筑波大学人間系教授
元東京家政学院中・高等学校長 全国図書教材協議会会長
学 日本教材学会副会長 学校法人福山大学理事長
数 学 教 育 学
評
価
論
国
語
教
育
教 育 方 法 学
教育工学・情報教育
教育メディア学
国 語 科 教 育 学
教 育 方 法 学
教
育
工
学
教
育
学
フ ラ ン ス 思 想
言
語
論
筑波大学人間系教授
元国立教育政策研究所総括研究官 東洋大学教授
熊本大学大学院教授
横浜国立大学名誉教授
早稲田大学教職大学院教授
立教大学教授
英 語 教 育 学 広島大学大学院教授
社会科教育学 大阪教育大学教授
道 徳 教 育 論
家 庭 教 育 論
筑波大学人間系教授
(
−1
2
7−
音順)
調査研究シリーズ 67
科学的思考力を育成するための
「すべ」に関する研究
平成2
8
年
月3
0
日発行
編 集/公益財団法人 日本教材文化研究財団
発行人/新免 利也(専務理事)
発行所/公益財団法人 日本教材文化研究財団
〒1
6
2
0
8
4
1
東京都新宿区払方町
番地
電話 0
3
5
2
2
5
0
2
5
5
FAX 0
3
5
2
2
5
0
2
5
6
ht
t
p:
/
/
www.
j
f
e
c
r
.
o
r
.
j
p
表紙デザイン(株)
エスファクトリー 竹内則晶/印刷(株)
天理時報社