審査講評 - 中城村

審査講評
審査委員長
小倉暢之
この度の中城村新庁舎設計業務プロポーザルでは、中城村新庁舎建設基本計
画策定報告書にある新庁舎の基本理念を中心に、敷地環境、防災対策、利便性、
経済性、親しみやすさ等の様々な要素を現実に即して捉え、中城村第四次総合
計画で定める「心豊かな暮らし〜住みたい村、とよむ中城〜」の拠点となる施
設の提案が求められた。
プロポーザル案の審査では、具体的な建築デザインよりもむしろ実際に建設
する上での建築計画の考え方や業務の力量を重視し、求められる業務内容の理
解度やそれらに対する取り組み内容を様々な観点から評価した。また、本庁舎
計画は、限られた予算内で庁舎としての機能性とクオリティの確保は元より、
津波や土砂災害への対応という厳しい制約の中での取り組みを必要とした。
今回提示された6つの応募案はそれぞれ特色のある力作であったが、審査の
過程では予算に対する過剰な提案内容や、採用後の意見聴取による設計対応の
柔軟性への懸念、その他様々な問題が指摘され、活発な議論が展開された。
その結果、一等案はプロポーザルに求められる要件を明快に解決して表現し、
説得力のある提案として高く評価された。取り分け、簡潔な一体型の庁舎計画
は、配置計画や諸室配置の柔軟性があり、経費変動に対する面積調整及び構造
計画の選定に有効である事、また、壇上テラスの構成は避難施設としての視認
性が高く、それが他地域の庁舎建築に無いこの場所ならではの建築表現ともな
り得る事が評価された。その他にも本案に盛り込まれた様々な提案は新庁舎に
相応しい内容となっておりその実現が期待される。
最後に、本プロポーザルの円滑な運営に尽力された関係各位に感謝申し上げ
ます。