D14_「鋼構造の維持管理」への質問と回答

鋼構造技術者育成講習会
土木11(D14)
質問者への回答
髙木講師
Q:橋梁の管理に関する中長期計画に関し、大枠のPDCAサイクルをどのように策定さ
れたのでしょうか。
A:橋梁の管理に関する中長期計画は、計画策定から 30 年間、全ての管理橋梁について維
持、修繕(補修・補強・長寿命化)
、更新の計画を策定したものです。
当然、定期点検を昭和 62 年(1987)から 5 年に一度の頻度で全橋梁を対象に行ってい
るのでそのサイクルで計画の見直しを行う旨指示し、計画にも記載してあります。
①プラン・・・当初策定時(定期点検結果に基づいて原則見直し)
②実施・・・計画は、財源と組織の現状及び将来を考慮して策定されているので当初ア
クションプラン 3 か年を実施、その後は、中期計画枠の中で実施されています。
③チェック・・・計画は、前述したように定期点検結果を基に見直しますが、計画策定
後発生した東日本大震災による耐震補強等の見直し、社会状況の変化による見直しも
当然行われ計画及び実施に活かされます。
④アクション・・・計画は、その時々の社会状況、取り巻く環境、知事の施策方針、施
設の健全度等を毎年当初計画に反映させつつ計画の修正を行っています。
以上が、橋梁の管理に関する中長期計画の PDCA サイクルです。基本は、当初策定し
た計画を後生大事に抱え込むのは愚の骨頂との私の考えでこのようになっています。
なお、トンネル事故(笹子トンネル)が発生しても、東京都の場合は、事前に市街地
トンネルへの対応を進めていたので大きな動揺なしに乗り切っています。
Q:以前のトンネルの落盤事故でケミカルアンカーが問題視されていたが、結局原因不明
であった。施工ミス等だけでなく、今回講義いただいた内容の遅れ破壊も要因の一つ
にあるのでしょうか。
A:笹子トンネル及び米国ボストン・ビッグディグトンネル事故について
トンネル天井板の固定は、ホールインアンカーと同様な考え方で施工されています。
事故の原因は、挿入時に使った接着固定剤の劣化、施工不良等が第一と考えられます。
固定ボルトが遅れ破壊(水素脆性)したとは聞いていませんし、そのような事実は無
いとの考え方が一般的です。