情報提供資料 投資のヒントをお届けします。 2016年11月16日 「柏原延行」の Market View コラム #34 転換点なのか?(急上昇する米国長期金利) 皆さま こんにちは。 アセットマネジメントOneで調査グループ長を務めます柏原延行です。 前回のコラム「#33 想像の羽を広げて(トランプ次期大統領)」では、トランプ次期大統領の政策について は、その優先順位や実効性に関して、現段階で根拠のある予想は困難であると考えていることをお話した上で、 柏原が重要と考える政策が大胆に実施された(と仮定した)場合の想像図を説明させていただきました。 この想像図では、米国長期金利の上昇が起こること(及び本文中でドル高円安が起こりやすいと思うこと) をご説明しました。 その後、実際の市場においても、金利は急ピッチ、かつ大きく上昇しており(価格は下落) 、本年の10月末 に1.8%程度であった米国10年国債金利は足元では2.2%程度に達しています(執筆時点)。そして、この 金利上昇を受けて、今は投資環境の転換点であり、今後、長期的に経済成長率が回復し、金利が上昇傾 向に転じるとの主張がそろそろ出始めるタイミングではないかと考えています。 そこで今回のコラムでは、今後の米国長期金利を考える上での論点を、皆さんと一緒に整理できればと考え ます。 まず、米国金利の長期推移を確認します。米国10年国債金利は、1981年の16%近い水準を頂点として、 30年以上も低下トレンドを続けていることが分かります(図表1)。 図表1:米国10年国債金利の推移 (%) 18 1962年1月2日~2016年11月15日:日次 16 14 12 10 8 6 4 2 0 62 67 72 77 82 87 92 97 02 出所:ブルームバーグのデータを基にアセットマネジメントOneが作成。 07 12 (年) ※上記図表は、将来の経済、市況、その他の投資環境にかかる動向などを示唆、保証するものではありません。 ※巻末の投資信託に係るリスクと費用およびご注意事項を必ずお読みください。 商 号 等 / アセットマネジメントOne株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第324号 加入協会/ 一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会 1 これだけ長期間の一貫した低下トレンドを見るに、トランプ次期大統領がいかに優れた政策を実施したとして も、長期トレンドを政策のみで反転させることは困難であり、「時の運」的な(政策以外の)他の要因によるサ ポートが転換点には不可欠でないかと考えます。 したがって、現段階ではトランプ次期大統領の政策に不透明感が強いことを理由として、「経済や金利動向 はトランプ次期大統領の政策しだい」とご説明することに、(もちろん事実ではありますが)私は躊躇と、思考 停止ではないかとの自戒の念を感じます。 そこで、またしても仮定の話で恐縮ですが、「トランプ(次期大統領)抜き」で、30年以上続く金利の低下ト レンドが転換することに寄与する要因があるかを考えてみましょう(なお、短期的な金利動向は、トランプ次期 大統領の政策の影響を強く受けることは当然です)。 金利の低下トレンドは、経済成長が停滞していることと同義に近いと考えます。すなわち、世界経済全体の 成長が低下し、高いリターンを期待できる投資案件が見つからないため、お金へのニーズが低下したことの表れ が金利の低下トレンドと解釈されることが多いです。金利は経済の体温計と言われることがありますが、まさに低 金利は、経済が停滞していることを示します。 そして、これだけ長い期間の停滞であれば、その理由を循環的要因ではなく、構造的要因ではないかと考え ることも自然なことであると思われます。 これについて、私が「たしかに」と思う構造的要因としては、「①世界的な労働力人口減少・比率低下への懸 念(人口オーナスと呼ばれます)」、「②中国の成長率低下懸念(いわゆる中進国のわな入り)」、「③資 源バブルの崩壊と商品市況の低迷」、「④自国優先主義の強まり」、「⑤リーマンショックの後始末」などが挙げ られます。 これらの要因は、世界経済が停滞している統計を見せられた場合には、構造的要因として納得感のあるも のでした。 しかし、工場の自動化などが進展する中で、「①人口オーナス」が大きな問題になるのでしょうか?(人口 ボーナス期の国(例:インド)にとっては、工業化が進展しても、従来ほど工業に雇用吸収力がないことは大 きな悩みだと思われます) また、「中国製造2015(2015年に中国国務院が発表した製造業発展のロードマップ)」などに取り組み、 いわゆる中進国のわなに対する問題意識が明確と思われる「中国」が、本当に中進国のわなに陥るのでしょう か? ※巻末の投資信託に係るリスクと費用およびご注意事項を必ずお読みください。 2 率直にいって、上記の各要因に関する答えを現段階で明確にご提示することは困難なように思います。 このような状況の中で、投資環境の正確な理解のため重要なことは、各要因が従来多くの人が認識してい たほど、「低成長をもたらす要因として強固ではないかもしれない」ことに注意を向けることであると私は考えます。 加えて、経済成長の停滞はコンドラチェフ・サイクル(技術革新循環:周期約50年)によるもので、「IoT (モノのインターネット)」などの生産性改善に繋がる技術革新により、今後は循環的要因が上向く等、長期 的な経済成長回復の根拠となりえる主張もあります。 実は、本年の長期金利の推移を見た場合、今回の長期金利上昇は、「①本年7月頃から既に始まってお り」、かつ、「②欧州の中核国ドイツにおいても発生している」との特徴を持ちます(図表2)。 今回の金利上昇は、トランプ候補の勝利以前から、実際の世界経済の安定化・底打ちと相俟って、2016 年7月が、「長期的な世界経済の成長率回復(株式の上昇要因と考えます)」、「長期金利の上昇」への 転換点であった可能性を示唆するとの主張は傾聴に値するかもしれません(トランプ候補の勝利を市場が既 に織り込んでいたとの反論もありえます) 。 図表2:米国、ドイツの10年国債金利の推移:2016年 2016年1月1日~2016年11月15日:日次 (%) 2.5 2.0 1.5 1.0 米国10年国債金利 ドイツ10年国債金利 0.5 0.0 -0.5 16/1 16/3 16/5 16/7 16/9 16/11 (年/月) 出所:ブルームバーグのデータを基にアセットマネジメントOneが作成。 現在の投資環境はトランプ次期大統領の政策等に関する発言により、大きく変化する可能性があります。 弊社では、投資環境に関して、積極的な情報提供に努めます。是非、弊社の新しいホームページ等をご覧い ただければと考えます。 なお、コラムの過去分に関しては、以下をご参照ください。 ・2016年10月以降:http://www.am-one.co.jp/report/marketreport/3/ ・上記以前:http://www.mizuho-am.co.jp/report/column-list/ctg/041 (2016年11月16日 11:00執筆) ※上記図表は、将来の経済、市況、その他の投資環境にかかる動向などを示唆、保証するものではありません。 ※巻末の投資信託に係るリスクと費用およびご注意事項を必ずお読みください。 3 投資信託に係るリスクと費用およびご注意事項 【投資信託に係るリスクと費用】 ● 投資信託に係るリスクについて 投資信託は、株式、債券および不動産投資信託証券(リート)などの値動きのある有価証券等(外貨建資産には為替リ スクもあります。)に投資をしますので、市場環境、組入有価証券の発行者に係る信用状況等の変化により基準価額は 変動します。このため、購入金額について元本保証および利回り保証のいずれもありません。 ● 投資信託に係る費用について [ご投資いただくお客さまには以下の費用をご負担いただきます。] ■お客さまが直接的に負担する費用 購入時手数料 :上限4.104%(税込) 信託財産留保額:上限0.5% 公社債投信およびグリーン公社債投信の換金時手数料:取得年月日により、1万口につき上限108円(税込) その他の投資信託の換金時手数料:ありません ■お客さまが信託財産で間接的に負担する費用 運用管理費用(信託報酬):上限 年率2.6824%(税込) ※ 上記は基本的な料率の状況を示したものであり、成功報酬制を採用するファンドについては、成功報酬額の加算 によってご負担いただく費用が上記の上限を超過する場合があります。成功報酬額は基準価額の水準等により変 動するため、あらかじめ上限の額等を示すことができません。 ■その他費用・手数料 上記以外に保有期間等に応じてご負担いただく費用があります。投資信託説明書(交付目論見書)等でご確認ください。 ※上記に記載しているリスクや費用項目につきましては、一般的な投資信託を想定しております。 費用の料率につきましては、アセットマネジメントOne株式会社が運用するすべての投資信託のうち、徴収するそれぞれ の費用における最高の料率を記載しております。 ※税法が改正された場合等には、税込手数料等が変更となることがあります。 【ご注意事項】 ●当資料は、アセットマネジメントOne株式会社が作成したものです。 ●当資料は、情報提供を目的とするものであり、投資家に対する投資勧誘を目的とするものではありません。 ●当資料は、アセットマネジメントOne株式会社が信頼できると判断したデータにより作成しておりますが、その内容の完 全性、正確性について、同社が保証するものではありません。また掲載データは過去の実績であり、将来の運用成果を保 証するものではありません。 ●当資料における内容は作成時点のものであり、今後予告なく変更される場合があります。 ●投資信託は、 1.預金等や保険契約ではありません。また、預金保険機構および保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。加 えて、証券会社を通して購入していない場合には投資者保護基金の対象ではありません。 2.購入金額について元本保証および利回り保証のいずれもありません。 3.投資した資産の価値が減少して購入金額を下回る場合がありますが、これによる損失は購入者が負担することとなり ます。 【当資料で使用している指数について】 ございません。 4
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