「生きたい 一日でもよけいに生きていたい カメラをか し ま か え て 生 き て い た い … 」。㠀 さ ん は 写 真 集 を 発 行 し て 数 カ 月 後 、 すい臓がんで亡くなったのですが、冒頭、短く自分の気持ち を 率 直 に 書 い て い ま し た 。 も う 15 年 も 前 の こ と で す 。 息 子 さんが過日その写真集を持ってきてくれた。私も一言『まえ がき』を書いていました。 「正直いって、少しまごついています。すい臓ガンにかか っていて、余命が限られている人の写真日記にあいさつ文を 書けという。正直いって、複雑な心境です。こんなことは初 めてです。写真を何枚か見させていただきました。生活のな かにある、私たちが気のつかない自然を素直に表現してくれ ていました。その一瞬の静けさを、冷静に精確に、しかもや わらかな共感をこめた眼差しでとらえているのです。そのと きどきの感じたままを、すてきな言葉を添えているのが心に くい。㠀山さんの研ぎ澄まされた感性に胸をときめかされま した。 ( 中 略 )病 気 を 通 し て 多 く の 人 と 知 り 合 い 、そ の お 力 を いただきながら奇跡を信じて生きている迫力に圧倒されまし た 。 す ば ら し い 家 族 愛 に 感 激 し ま し た 。『 私 た ち の 生 は 、 大 河 の流れの一滴にすぎない。しかし、無数の他の一滴たちとと も に 大 き な 流 れ を な し て 、確 実 に 海 へ と く だ っ て い く 』 (五木 寛之著、大河の一滴より)私はこの文が好きです。㠀山さん にお会いして、私も㠀山さんと同じ流れの中にいるように感 じました。それぞれ役割は異なりますが、大河を構成する一 滴です。ずっとずっと同じ流れの中で『一滴の役割』を果た していきたいと思っています。 『 㠀 さ ん の 写 真 日 記 』は 㠀 山 さ んと多くの人たちとの心はずむ場です。奇跡は必ず起こりま す。がんばれ㠀さん」 㠀さんの写真日記をロビーの本棚に立て掛けておきます。
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