規制改革推進会議(行政手続部会)

資料 3-1
規制改革推進会議行政手続部会における取組
1.規制・行政手続コスト削減の取組方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
2.行政手続部会について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2
3.行政手続部会の今後の進め方
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3
4.事業者ニーズの把握について
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4
<参考> 諸外国における行政手続コスト削減に向けた取組
規制改革推進室
平成 28 年 11 月7日
1.規制・行政手続コスト削減の取組方針
○我が国を「世界で一番企業が活動しやすい国」とすることを目指し、事業
者の生産性向上を後押しするため、事業者目線で規制・行政手続コスト削
減に取り組むことを、日本再興戦略 2016 で閣議決定。
日本再興戦略 2016(平成 28 年 6 月 2 日閣議決定)(抜粋)
Ⅰ部
2.生産性革命を実現する規制・制度改革
(1)新たな規制・制度改革メカニズムの導入
②事業者目線で規制改革、行政手続の簡素化、IT 化を一体的に進める新たな規
制・制度改革手法の導入
・まずは、外国企業の日本への投資活動に関係する規制・行政手続の抜本的な
簡素化について1年以内に結論を得る。
【1年以内を目途に結論(早期に結論が得られたものについては、
先行的な取組として年内に具体策を決定し、速やかに着手)】
・外国企業の日本への投資活動に関係する分野以外についても、先行的な取組
が開始できるものについては、年内に具体策を決定し、速やかに着手する。
【先行的な取組として年内に具体策を決定し、速やかに着手】
こうした先行的な取組と上記取組の実施状況等を踏まえつつ、諸外国の取組
手法に係る調査等を行い、規制・手続コスト削減に係る手法や目標設定の在り方
を検討した上で、本年度中を目途に、本格的に規制改革、行政手続の簡素化、
IT 化を一体的に進めるべき重点分野の幅広い選定と規制・行政手続コスト削減
目標の決定を行い、計画的な取組を推進する。
【本年度中を目途に、重点分野と削減目標を決定】
1
2.行政手続部会について
規制改革、行政手続の簡素化、IT 化を一体的に進めるため、規制改革推進
会議令(平成 28 年政令第 303 号)第4条の規定に基づき行政手続部会を設置
する。
(平成 28 年 9 月 12 日規制改革推進会議決定)(抜粋)
委員・専門委員名簿<敬称略>
(委員)
部会長
髙橋
滋
法政大学法学部教授
部会長代理 森下
竜一
大阪大学大学院医学系研究科寄付講座教授
野坂
美穂
中央大学ビジネススクール大学院戦略経営研究科助教
原
英史
政策工房代表取締役社長
吉田
晴乃
BTジャパン代表取締役社長
大崎
貞和
野村総合研究所主席研究員
川田
順一
JX ホールディングス取締役副社長執行役員
國領
二郎
慶應義塾大学総合政策学部教授
(専門委員)
佐久間 総一郎
新日鐵住金代表取締役副社長
堤
キャリア・マム代表取締役
香苗
2
3.行政手続部会の今後の進め方
○行政手続部会は、本年9月以降3回開催。今後も月1~2回程度開催予定。
【開催実績】
時期
検討・議論の論点
1.部会長代理指名
2.部会の運営について
9月 20 日
(第1回)
3.規制・行政手続コストの削減に係る経緯と現状
(1)「日本再興戦略 2016」における経緯等について
(2)諸外国における取組について
(3)我が国における既存の取組について
4.行政手続部会の進め方について
1.他部局における先行的取組の検討状況
10 月3日
2.諸外国における行政手続コスト削減に向けた取組
(第2回)
3.
「規制・行政手続コスト」の考え方
4.事業者ニーズの把握の進め方
10 月 20 日
(第3回)
・関係者からのヒアリング
(日本行政書士会連合会、日本税理士会連合会、全国社会保険労務
士会連合会)
【今後の予定】
時期
検討・議論予定の論点
11 月
・関係者からのヒアリング
1.事業者ニーズの整理
2.海外調査結果
12 月
3.他部局における先行的取組の実施状況
(内閣府、経済再生事務局)
4.削減手法・目標、重点分野の検討
1月~2月
3月~4月
・議論の取りまとめに向けた検討
(削減手法・目標、重点分野の検討)
・議論の取りまとめ
(削減手法・目標、重点分野の決定)
3
4.事業者ニーズの把握について
○以下の3つの取組により、事業者の規制・行政手続コストの削減ニーズの
把握を行う。
(1)事業者に対する、アンケート調査の実施
○経済団体の協力を得て、各団体の加入企業を対象としたアンケート調査を
実施。
(2)団体等からの意見聴取(ヒアリング)
○行政手続部会の場で、経済団体、士業団体、政府関係機関、有識者から、
我が国の事業者の「規制・行政手続コストの削減ニーズ」について、意見
聴取を実施。
(3)内閣府HPを活用した意見募集
○内閣府HPにおいて、時期を決めて、国民から幅広く規制・行政手続のコ
スト削減に関する意見募集を実施。
4
<参考>諸外国における行政手続コスト削減の取組
(1)2000年代の取組の概要
○欧州諸国では、 2000年代、政府全体で削減率を目標に定め、その実現に向けて「標準的費用モデル
(Standard Cost Model(SCM ))」 を用いて行政手続コストを数値化し、その削減に取り組んだ。
国
期間
目標
達成状況
標準的費用
モデル使用
<参考>
世界銀行「Doing Business」
の順位の推移
06年
08年
10年
12年
14年
16年
デンマーク
2001年~2010年
25%削減
24.6%削減
○
8位 5位 6位 5位 5位 3位
オランダ
2003年~2007年
25%削減
23.9%削減
○
24位 21位 30位 31位 28位 28位
英国
2005年~2010年
26.6%削減
○
9位 6位 5位 7位 10位 6位
ドイツ
2006年~2011年
フランス
2007年~2011年
カナダ
2007年~2008年
25%削減
※各省一律。ただし、歳入庁は10%、
内閣府は35%、国家統計局は19%。
(35億ポンド(約4,550億円))
25%削減
(110億ユーロ(約1兆2,600億円))
○
19位 20位 25位 19位 21位 15位
25%削減
(不明)
○
44位 31位 31位 29位 38位 27位
ー
4位 7位 8位 13位 19位 14位
20%削減
※中小企業の行政手続コストに限定
22.5%削減
※2012年に25%削減達成
達成せず
※2009年に目標達成
<参考> 日本
(出典)各国政府報告書、OECD報告書より作成。
(注)世界銀行「Doing Business」において、世界各国の順位は、2006年から公表されている。
10位 12位 15位 20位 27位 34位
○標準的費用モデル(Standard Cost Model(SCM) )
1. 欧州諸国では、行政手続コスト(=規制等を遵守するために企業において発生する事務作業等の費用)の
測定手法として、「標準的費用モデル(Standard Cost Model(SCM))」が広く浸透。
2. 具体的には、事業者に情報提供義務が課された行政手続を洗い出し、事業者に対するヒアリングやアンケート等
を通じて、当該手続に要するコストを金銭換算する手法である。
3. 標準的費用モデルの長所は、「人件費単価×所要時間」という単純な計算で、行政手続コストを数値化すること
ができることと言われている。
4. 他方、短所は、行政手続コストの計測に膨大な費用や日数がかかる等と言われている。
事業者に係る規制コストの分類
規制
事業者に対する規制のコスト
直接的な金銭コスト
遵守コスト
(Compliance Costs)
間接的な金銭コスト
(Indirect Financial Costs)
(例)環境要件を遵守するためのフィ
 内部コスト
(Regulation)
(The Cost of Regulation to Businesses)
(Direct Financial Costs)
(例)行政機関への手数料、
税等
Standard Cost Modelの構造
長期構造コスト
(Long term
structural costs)
行政手続コスト
情報提供義務1
(Information Obligation)
情報提供義務2
情報提供義務3
(Administrative Cost)
(Internal Costs)
データ要求1
(Data Requirement)
データ要求2
データ要求3
活動1
(Activity)
— 人件費単価
— 所要時間
— 間接費用
 外部コスト
(External Costs)
活動2
活動3
— 人件費単価
— 所要時間
 諸経費
(Acquisitions)
①
②
③
④
⑤
⑥
― 郵便代、封筒代等
ルター装置の投資費用、労働条件規
制を遵守するための物的設備の投資
費用等
一回当たりの行政手続コスト = 内部コスト+外部コスト+諸経費
(①×②+③)(④×⑤)
全国の行政手続コスト
⑥
= 一回当たりの行政手続コスト×事業者数×頻度
(2)行政手続コスト削減効果が高かった取組(英国の上位10の取組)
1.
英国では、2005年から2010年の期間で、約35億ポンド(行政手続コスト全体の26.6%)の行政手続コストの削減を行ったが、
そのうち約60%は、IT化など様々な手法を用い、以下の①~⑩の分野における削減により行われた。
2.
各省庁は、特定の手続に集中して行政手続コストの削減に取り組んだ。
・ ビジネス・イノベーション・技能省(BIS)では、下記5つ(①、②、⑤、⑧ 、⑨(網掛け部分))の削減額が、
BIS削減額全体の97%を占める。
・ コミュニティー・地方政府省(CLG)では、下記2つ(④、⑦)の削減額が、CLG削減額の58%を占める。
・ 衛生安全庁(HSE)では、下記1つ(③)の削減額が、HSE削減額の42%を占める。
【行政手続コストの削減効果が高かった上位10の取組】
削減分野
所管省庁
内容
行政手続
コスト削減額
労働法関連の契約書や提出書類に関し、標準的な雛形を策定し、無料のオンラインツー
ルにて処理できるように改善。また、労働法関連報告・登記等において外部コンサルタント
等に依頼することなく自前で処理できるよう、事務処理ガイダンスをオンライン上で整備。
(約580億円)
£418m
①
労働法ガイダンスプログラム
ビジネス・イノベーショ
ン・技能省(BIS)
②
消費者向け広告など商業上の不正行
為に関するルール等
ビジネス・イノベーショ
ン・技能省(BIS)
消費者向け広告など商業上の不正行為に関するルール等の簡略化
(約430億円)
③
労働環境における安全・健康面のリス
クアセスメント
衛生安全庁(HSE)
コンビニエンスストア運営など低リスクの34業態を類型化し、オンライン上で簡便にリスクア
セスメントを実施できるツールを提供。
(約330億円)
④
住宅法6章の廃止
コミュニティー・地方政
府省(CLG)
複数人が入居する住宅に関し、家主に求められる免許の数を削減。
(約290億円)
⑤
株主報告の電子化
ビジネス・イノベーショ
ン・技能省(BIS)
紙媒体しか認められなかった株主への事業報告書について、電子送付を許可。
(約250億円)
⑥
アルコール及びエンターテインメント免許
法の改正
文化・メディア・スポー
ツ省(DCMS)
アルコールとエンターテインメントの免許登録を1つに纏めた。
(約250億円)
⑦
建築関係の資格緩和
コミュニティー・地方政
府省(CLG)
事前に政府に登録した人(Competent Person)による認証で代替できるものとした。
(約190億円)
⑧
測定器の更新基準の適正化
ビジネス・イノベーショ
ン・技能省(BIS)
測定器の更新にあたっての基準を適正化した。
(約180億円)
⑨
労働争議手法の改善
ビジネス・イノベーショ
ン・技能省(BIS)
労働争議にあたって雇用法ではなく裁判外紛争処理手続を活用できるようにした。
(約160億円)
⑩
アセットマネジメント業界の取引電子
化推進
アセットマネジメント業界において、ファンドマネージャーや株主等に送付する、所有権移転
や決済の証跡となる文書の送付をやめて電子化。
(約160億円)
財務省(HM
Treasury)
電気工事(120万件)を、建築検査官の検査によってではなく、一定の技術力を満たし
(出典)UK HM Government (2010),“Simplification Plans 2005-2010 Final Report”
£309m
£235m
£207m
£182m
£181.1m
£136m
£129m
£115m
£115m
総削減額に
対する割合
11.9%
8.8%
6.7%
5.9%
5.2%
5.2%
3.9%
3.7%
3.3%
3.3%