「柏原延行」の Market View

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コラム
「柏原延行」の Market View
2016年11月10日
#33 想像の羽を広げて(トランプ次期大統領)
皆さま こんにちは。
アセットマネジメントOneで調査グループ長を務めます柏原延行です。
今回のコラムでは、トランプ候補の米国大統領選挙勝利を受けた私なりの見解をご報告させていただきます
(なお、大統領選挙に関しては、弊社ホームページの臨時レポートも是非ご参考ください)。
なにかの見解をご説明する場合には、(当然のことながら)その根拠となるものを、合わせてご紹介するべき
と考えています。しかしながら、トランプ次期大統領に関しては、「どのような政策に優先順位を置くのか」、「議
会の主導的立場の方々との関係がどのようなものになるのか」、「議会との関係を踏まえて、どの政策に実効性
があるのか」など、いまだ不透明であり、現時点でなんらかの根拠を示して、見解をご説明することは困難なよう
に思います。
ただし、コラムは、(有益で、かつ)面白くないといけないとの宿命を持ちますので、原則的なルールを破って、
米国の今後について、自由に想像の羽を広げた私の見解を、ご紹介することをお許しいただければと考えます。
トランプ次期大統領はビジネスマンで、かつ白人の経済的弱者を主要な支持層としていると報道されているこ
とから、仮に経済の活性化に大胆に取り組むと考えてみましょう。
通常では、大きな政策変更は、メディア、議会等のチェックが入り、容易には実行に移すことが困難な場合が
多いと思われます。
しかしながら、我が国の小池知事の例を見ても、国民の支持を受けた大統領が初期に(スタートダッシュ
で)実施する政策に、反対することはメディアや議会等にとっても、難しいのではないかと感じます。
※巻末の投資信託に係るリスクと費用およびご注意事項を必ずお読みください。
商 号 等 / アセットマネジメントOne株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第324号
加入協会/ 一般社団法人投資信託協会
一般社団法人日本投資顧問業協会
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トランプ次期大統領の政策として、私が注目しているものは、景気刺激的な政策と自国優先主義の政策で
す。具体的には、「①減税(企業、及び家計)」、「②財政出動(インフラ支出の増額)」、「③低位な政
策金利(実体経済比低位に維持する可能性、ただし中央銀行の権限です)」、「④関税率アップ(外国
製品の輸入数量減、価格上昇)」、「⑤移民抑制」です。
これらの政策が仮に大胆に実施されたとして、どのような効果が生まれるのかについての私の想像図は、下記
の通りです(関係があまりにも複雑で「⇒の連鎖」で書ききれなかったことをお詫びします)。
政策が与える経済・市場への影響に対する想像図
(トランプ次期大統領の上記政策が大胆に実施された場合)
あ:米国景気拡大
ア:政府債務の拡大?
理由
理由
①減税
①減税
②財政出動
②財政出動
③低位な政策金利
↑反論:景気拡大による税収増
い:米国雇用増・賃金上昇
理由
あ:米国景気拡大
経済活動の
好循環
④関税率アップ(企業の国内回帰)
イ:インフレ
理由
好循環への
阻害要因
あ:米国景気拡大
い:米国雇用増・賃金上昇
⑤移民抑制
う:資産価格上昇
③低位な政策金利
④関税率アップ(輸入価格上昇)
う:資産価格上昇
理由
あ:米国景気拡大
ウ:米国長期金利の上昇
③低位な政策金利
理由
あ:米国景気拡大
イ:インフレ
え:資源価格上昇(原油価格等)
理由
あ:米国景気拡大
エ.他の先進国経済停滞と新興国不安定化
ウ:米国長期金利の上昇(成長資金の米国回帰)
④関税率アップ(貿易の停滞)
↑反論:あ:米国景気拡大
え:資源価格上昇
*想像図自体にデータ出所等はありません。
「①∼⑤」は、柏原が重要と考える政策
「あ∼え」、「ア∼エ」は、政策が引き起こす経済・市場への影響
これが、また次の影響に連鎖します。
※上記図表は、将来の経済、市況、その他の投資環境にかかる動向などを示唆、保証するものではありません。
※巻末の投資信託に係るリスクと費用およびご注意事項を必ずお読みください。
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想像図を見る限り、米国市場への影響としては、「不動産や株式の上昇」、「長期金利の上昇」が起こりそう
です。
それでは、日本に住む我々が米国の不動産や株式に投資する上で、重要な為替については、どのように考え
られるのでしょうか?
まず、円安米ドル高シナリオを支えるものは、①米国景気拡大、②米国金利の上昇(注1)、③企業資金
の本国還流(注2:レパトリ(Repatriation)と呼びます)などです。
一方で、円高米ドル安シナリオを支えるものは、① (日本ではないに等しい)インフレ(インフレはモノなどに
対して、米ドルの価値が下がる現象ですから、通貨の減価(ドル安)要因です) 、②自国優先主義に伴う
基軸通貨米ドルの地位低下 などです。
想像図を見る限り、少なくとも、トランプ次期大統領の支持率が高く、かつ米国景気拡大の初期局面では、
円安米ドル高が起こりやすいように思います。
注1:米国金利の上昇には、 「長期金利の上昇」と「景気拡大に伴う政策金利(短期金利)の上昇
(ただし、実体経済比では低位)」が含まれます
注2:自国優先主義の中で、トランプ氏は、企業に国内回帰することを求める可能性があります。
この場合、企業の海外への投資資金等が本国である米国に戻り(還流し)、米ドルを購入するため、
米ドル高要因となります。
今回のコラムでは、随分と想像の羽を広げた内容を、お話しさせていただきました。
アセットマネジメントOneでは、業界No1の質と量を実現する積極的な情報発信に努めたいと考えます。
是非、弊社の新しいホームページ等をご覧いただければと考えます。
なお、コラムの過去分に関しては、以下をご参照ください。
・2016年10月以降:http://www.am-one.co.jp/report/marketreport/3/
・上記以前:http://www.mizuho-am.co.jp/report/column-list/ctg/041
(2016年11月10日 11:00執筆)
※巻末の投資信託に係るリスクと費用およびご注意事項を必ずお読みください。
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投資信託に係るリスクと費用およびご注意事項
【投資信託に係るリスクと費用】
● 投資信託に係るリスクについて
投資信託は、株式、債券および不動産投資信託証券(リート)などの値動きのある有価証券等(外貨建資産には為替リ
スクもあります。)に投資をしますので、市場環境、組入有価証券の発行者に係る信用状況等の変化により基準価額は
変動します。このため、購入金額について元本保証および利回り保証のいずれもありません。
● 投資信託に係る費用について
[ご投資いただくお客さまには以下の費用をご負担いただきます。]
■お客さまが直接的に負担する費用
購入時手数料 :上限4.104%(税込)
信託財産留保額:上限0.5%
公社債投信およびグリーン公社債投信の換金時手数料:取得年月日により、1万口につき上限108円(税込)
その他の投資信託の換金時手数料:ありません
■お客さまが信託財産で間接的に負担する費用
運用管理費用(信託報酬):上限 年率2.6824%(税込)
※ 上記は基本的な料率の状況を示したものであり、成功報酬制を採用するファンドについては、成功報酬額の加算
によってご負担いただく費用が上記の上限を超過する場合があります。成功報酬額は基準価額の水準等により変
動するため、あらかじめ上限の額等を示すことができません。
■その他費用・手数料
上記以外に保有期間等に応じてご負担いただく費用があります。投資信託説明書(交付目論見書)等でご確認ください。
※上記に記載しているリスクや費用項目につきましては、一般的な投資信託を想定しております。
費用の料率につきましては、アセットマネジメントOne株式会社が運用するすべての投資信託のうち、徴収するそれぞれ
の費用における最高の料率を記載しております。
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●当資料は、アセットマネジメントOne株式会社が作成したものです。
●当資料は、情報提供を目的とするものであり、投資家に対する投資勧誘を目的とするものではありません。
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証するものではありません。
●当資料における内容は作成時点のものであり、今後予告なく変更される場合があります。
●投資信託は、
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えて、証券会社を通して購入していない場合には投資者保護基金の対象ではありません。
2.購入金額について元本保証および利回り保証のいずれもありません。
3.投資した資産の価値が減少して購入金額を下回る場合がありますが、これによる損失は購入者が負担することとなり
ます。
【当資料で使用している指数について】
ございません。
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