(6) 中学校 授業改善の特記ポイント 国 語

(6) 中学校
国
授業改善の特記ポイント
語
<国語への関心・意欲・態度>
☆単元の「目標」やその時間の「ねらい」を明確にしましょう。
◆この単元でどのようなことに取り組むのか。=〈活動のゴール〉
◆この単元でどのような力を身に付けるのか。=〈学習のゴール〉
何に取り組む中で、どのような力を身に付けていくのかを明らかにします。2つ
のゴールを明確にし、目的意識と到達後の自分のイメージをもたせて学習に取り組
ませることが大切です。
(例)第1学年〔書くこと〕の単元名の例
学校紹介パンフレットをつくろう ・・・・・・・・・・〈活動のゴール〉
—効果的な構成を工夫して分かりやすく書く— ・・・〈学習のゴール〉
<話す・聞く能力>
☆特に「聞くこと」の指導内容を意識し、「聞く力」の育成を図りましょう。
正確に聞き取ることだけでなく、自分の考えを広げたり深めたりする聞き方を意
識させたり、観点をもって話を聞き評価させたりすることの指導を充実させること
が大切です。
(例)〈話すことの指導と関連付けて指導する〉
話の組み立てを工夫して話す ⇔ 話の組み立ての工夫を聞き取る
どのような工夫がどのような効果を挙げているかを聞き取らせます
<書く能力>
☆目的や意図に応じて表現を工夫して書いたり、表現の効果を吟味したりすることの
指導を充実させましょう。
(例)〈行事についての作文を書く活動と関連付けて指導する〉
合唱コンクールについて、相手や目的を明確にして表現を工夫して書く。
◎ 自分(もしくは友人)を主人公とした短編小説として書く
◎ 小学生のときにお世話になった先生に宛てて書く
<読む能力>
☆問題解決的な学習活動を設定し、読んだことを基に自分の考えをまとめたり、互い
の考えを交流させてものの見方や考え方を広げたり深めたりすることの指導を充実
させましょう。
(例)
「身近な江戸文化のよさを新聞で紹介しよう ~情報を整理し、自分の考えを
まとめる~」
自分の意見や考えを新聞形式でまとめることを目的として、複数の資料から
情報を読み取る活動に取り組ませます
<言語についての知識・理解・技能>
☆語彙を豊かにし、語感を磨く指導の充実を図りましょう。
漢字の指導を語句指導と関連させ、語彙を豊かにしたり語感を磨いたりしていけ
るよう指導の工夫をすることが大切です。
− 186 −
社
会
<社会的事象への関心・意欲・態度>
☆単元末の学習において、次の単元の学習に対して課題意識をもたせる指導の充実を
図りましょう。
各単元のまとめの学習において、時代の特色を明らかにする学習活動を行うこと
が考えられます。その際に、次の単元の学習に取り組むに当たり、これまでの時代
の特色を捉える学習への取組やその成果を踏まえて記述させるなどの学習活動が大
切です。
(例)6(4) 中世以降の文化の特色を意欲的に探究しようとしているか
・近世の文化の特色を捉えることができる学習課題を見いだす活動
・近世の文化の特色を捉えることができる学習方法を明らかにする活動 など
<社会的な思考・判断・表現>
☆学習した内容を活用して、時代の特色を捉える指導の充実を図りましょう。
学習した内容の比較や関連付け、まとめなどを通して、時代の特色を大きく捉え
ること、言葉や図などで表したり、表したことを互いに対話したりすることを通し
て、理解を深めることが大切です。
(例)4(4) 古代までの日本の特色について理解を図る指導
・古代までの日本において、東アジアの国々との交流が、日本国内の政治に
どのような影響を与えたか考察する活動
・国内の政治の担い手がどのように変化したのか、その理由について話し合
う活動 など
<資料活用の技能>
☆地理的技能を育成する指導の充実を図りましょう。
世界の諸地域の学習においては、地球儀、世界地図、地図帳、衛星画像などを活
用し、学習成果を世界地図上や略地図上に表現するなどして、地理的技能を育成す
ることが重要です。地図帳にある主題図、その他写真資料などの地理情報を活用す
る際に、主題図から読み取れることをまとめるとともに、グループ活動等で表現し
合う学習活動が大切です。
(例)3(4) ヨーロッパ州を資料から捉え、説明することができる
・生徒自身が表現した主題図を用い、各州の特色を自分の言葉で表現する活
動
・学習課題を設定し、生徒自身が複数の主題図を関連付けて解決するなどの
活動 など
<社会的事象についての知識・理解>
☆生徒自身が調べ、まとめる指導の充実を図りましょう。
都道府県庁所在地名を日本地図で確認したり、自然及び社会的条件という視点か
ら都道府県庁所在地の共通性を探りながら調べたりするなどの学習活動を行うこと
が大切です。
(例)1(4) 日本の都道府県を理解する活動 など
− 187 −
数
学
<数学への関心・意欲・態度>
☆数学的活動の楽しさや数学のよさを実感し、数学を活用して考えたり判断したりし
ようとする指導の充実を図りましょう。
数学を学ぶことへの意欲を高めるとともに、数学的活動に主体的に取り組むこと
ができるようにし、数学のよさを実感できるようにすることが大切です。
(例)6(3) 図形の作図に意欲的に取り組もうとしているか
・定規とコンパスを使わずに図をかくことと、作図した図を比較する活動
・基本的な作図をする必要性を実感させる活動 など
<数学的な見方や考え方>
☆「式」、「図」、「言葉」を関連付けて考えさせる指導の充実を図りましょう。
課題把握や自力解決の場面において、図や説明に対応する式を導き出したり、式
に対応する図や説明を見出したりすることを通して、
「式」、
「図」、
「言葉」を相互に
関連させ、様々な視点から考察できるようになることが大切です。
(例)4(2) 式を表す図と説明を考える
・囲み方を基に立式したり式の文字や数が何を表すのか説明したりする活動
・「同じまとまりを作る」という観点や、「重なっている部分は除き、不足し
ている部分は補う」などの観点を明確にもち、それを基にその式がどのよ
うな考え方を表しているのか話し合う活動 など
<数学的な技能>
☆反復学習や立ち戻る指導など、個に応じた指導の充実を図りましょう。
ペーパーテストなどで各生徒の習熟の程度を把握し、状況に応じて立ち戻る指導
を行うなど、個に応じた指導の充実を図ることが大切です。
(例)3(1) 式の値を求める
・式の値を求めることを繰り返し行う活動
・つまづきを把握し、それに応じた指導を行う(代入時の誤りなのか、指数
の計算の理解が足りないのか等を、生徒の解答から判断する。)
・誤答の分析から個に応じた課題を設定し、取り組ませる活動 など
<数量や図形などについての知識・理解>
☆既習事項を生かし、新たな知識を構成する指導の充実を図りましょう。
数学は、系統性を重視し、それまで学習した事柄に基づいて新しい内容を構成し
ていくので、どれくらい既知事項を生かすことができるかが重要です。反復学習と
ともに、数学的な見方や考え方を通して知識を習得し、次の問題解決の際に生かせ
るような指導を行うことが大切です。
(例)7(1) ねじれの位置にある辺について正しく理解するために
・空間図形における辺と辺の位置関係について、具体物を用いて指導する。
・平行な辺と、垂直な辺について確認する。
− 188 −
理
科
<自然事象への関心・意欲・態度>
☆学習したことから疑問をもったことを深める探究的な学習場面の設定をしましょう。
単元の学習終了時に、学習したことから新しく出た疑問について、探究的な学習
場面を設定し、学習意欲を向上させることが大切です。
(例)2(3)「植物のからだのつくりとはたらき」の学習内容を探究させるために
・植物の葉が授業で扱った内容の他にどのようなはたらきをしているかにつ
いて、根拠をもって推論させる活動
・植物の生活している環境をなどを、根拠をもって推論させる活動 など
<科学的な思考・表現>
☆「結果が、なぜそのようになるのか」理由を考える学習場面の設定が大切です。
観察・実験を行う際に仮説を立てさせたり、実験計画を立てさせたりしてから、
実験・観察・実験を行い、
「結果が、なぜそのようになったのか」について、仮説に
戻って考えさせることが大切です。
(例)2(2)気孔が葉の裏側に多く分布していることを示す実験の指導
・仮説を立てて、調べる要因に応じて「変化させる要因」と「固定する要因」
を明確にして、実験計画を立てさせる。さらに、実験後の結果を予想させる。
・予想した結果どおりにならなかった理由を言語活動で考えさせる。 など
<観察・実験の技能>
☆習熟を図る機会を増やし、適切な使用方法を指導することが大切です。
実際に道具や器具等を使用する際に、生徒同士で使用方法を確認させる、器具等
の仕組を理解させる、操作の機会が増えるように観察・実験の個別化を図ることが
大切です。
(例)2(1)顕微鏡の使い方の指導
・適切な操作ができるか、1人1回実際に操作をして、生徒同士で教え合う。
・1回の実験での観察について、グループの人数分の機会を設け、1人ずつ
操作の機会を与える。 など
<自然事象についての知識・理解>
☆モデル演示等により、実感を伴って知識を定着させる指導をすることが大切です。
直接観察したり、確認したりできない自然事象について、モデルや模式図などを
活用して視覚化し、実感を伴った理解ができるように指導することが大切です。
(例)5(2)地層がたい積する間に起きたことを推測させる指導
・メスシリンダーを使って、地層のでき方を調べる。
など
− 189 −
英
語
<コミュニケーションへの関心・意欲・態度>
☆生徒が意欲的に取り組めるような言語活動を設定しましょう。
授業で行う言語活動では、情報を伝え合う必然性があることや、情報を伝え合う
際の相手意識があることなどを踏まえた上で進めることが、生徒のコミュニケーシ
ョンへの関心・意欲・態度を育んでいく上で大切です。電子メールで週末の話題を
扱うなど、実際のコミュニケーションの場面を設定するとともに、生徒が読みたい
と思う題材を扱って、意欲的に読むことができるようにしましょう。
<外国語表現の能力>
☆生徒が伝えたいことを伝えられるようにする指導の工夫をしましょう。
ある程度まとまった分量で表現する際は、伝えたいことを図に書き出してみたり、
メモに書いたりすると、思考を整理することができます。このような活動を授業の
中で必要に応じて取り入れて、生徒が既習事項を使いながら自分の意見や気持ちを
表現することができるように指導することが大切です。
<外国語理解の能力>
☆既習事項を実際に使う機会を確保しましょう。
相手からの質問や発言に適切に応答することができるようにするために、授業の
中で、生徒が様々な種類の疑問文や慣用表現をインプット・アウトプットする機会
を確保し、生徒が実際にその表現に触れたり実際に使ったりする経験を積み重ねる
ことができるようにしましょう。
☆表面的な理解で終わらない指導の工夫をしましょう。
まとまりのある英文を読んで趣旨を理解できるようにするために、教科書を使っ
た日常の「読むこと」の指導において、逐語的な読みではなく、筆者の気持ちや行
間を読み取る活動を取り入れるようにしましょう。Yes-No で答えるような質問か
ら、
「筆者はどう思っているか」や「なぜあなたはそう思うのか」など、答えが一つ
ではない open な質問へと発問を変えていくことで、生徒がその内容について十分
に考えられるようにしましょう。
<言語や文化についての知識・理解>
☆既習事項を意味のある文脈の中で触れさせることを通して定着を図りましょう。
文法・語彙等の知識がどれだけ身に付いたかという点に重点を置いた授業を行う
のではなく、生徒がコミュニケーションを行う目的・場面・状況等に応じて語彙や
表現を適切に活用することができることを目指して指導を工夫し、定着を図ってい
くことが大切です。小学校で学んだ語彙や表現などの学習内容も含め、既習事項を
意味のある文脈の中でコミュニケーションを通して繰り返し触れさせ、使えるよう
にします。そのために、生徒の言語運用能力を高めることを踏まえた状況設定や題
材選びを工夫して行いましょう。
− 190 −