今の行動が5年後の会社の姿・形をつくる 「創意工夫経営」のすすめ 現状を変えるためには、今までになかった発想で アイデアを出し、実行計画を立て実践することが 大切です。さらに改善を継続していけば、あり たい姿に近づくことが出来ますが、どう組織を動か すかは、工夫が必要です。 ■ 活性化3つの要素 企業の売上増加、新事業立上げ、組織の活性化な どの成長は①経営者の目標の明確化と決断力、② 社員の能力・技能と仕事への愛着度、③組織内の志 ます。経営者は品質をどう改善すればよいか、製品の 気の高さとコミュニケーションがベースになります。 いくつもの企業を拝見して、この3要素が重要であると アイデアを一つひとつこなし、結果を確認し課題があ 製品の精度を上げる必要があるのか、どんなサービス を考えればよいのか、分かりません。 それを、どうキャッチして具現化するか。考えられる れば再チャレンジします。 認識しています。 ■ 会社の姿・形を変えられる経営者 ①経営者の目標や方針が明確でないと社員は行 動できません。何をすべきかが分からないでしょう。 経営者のなかには、一般社員も経営層と同じぐら 会社は経営者により、成長もし衰退もする。 これが実感です。同じように製品を製造し販売しながら いの思考能力を持っていると考えている人がいます。 そういう社員はほんの一部であり、大多数は丁寧で も、数年経つとコンペチター会社に大きな差をつけられ 具体性のある指導が必要です。 会社や工場における指導は、学校(学生)と同じ の道を進むように見える。その差はどこからくるのか。 です。面倒ですか、目標や方針を示しその行動方法も具 織編成など見えにくいが、重要なアイテムなどの重要性 体的に提示し、チェックする必要があります。 を認識していないからです。 た。さらに、自社は過去からの体質を変えられず、衰退 ありたい姿+生産システム改善+拡販アイデア+有効組 ②仕事の成果を得るためには、社員の能力・やる気 ・リーダーシップに頼るという方法が一般的だが、瞬発 ■ 今の活動が5年後の姿・形になる 将来を考える場合、大切なことは「今の仕事は今 力を持った若干の社員より、持続力を持った 多くの社員のほうが、会社にとって効果は大きいと 結果が出る」と考えるのではなく、「5年後に会社の姿 言えます。 そういう意味で「仕事に愛着を持つ」・「改善行 ・形となって表れる」ということです。 動 の で き る 」 社 員 を 多 く 育 成 す る こ と がマ ンパ ワ ー るあまり、社員に変容を求められず、事業の展開もでき ず、保守的になり成熟期から衰退期に移行することが 特に、2代目・3代目経営者は事業承継に慎重にな の強化につながります。 あり要注意です。 ③組織の志気は士気とは少し違います。士気は集 団のシュピレヒコールのようなものだが、志気は「ある目 的達成のための集団団結」であり、目標達成や改善 企業サイクル 活動により生まれるものです。 売 創業期 上 ■ 顧客志向を、どう掴むか 成長期 成熟期 衰退期 ↑ 顧客の来社見学や監査などをよく受けている企業 は変容の仕方を肌で体感しています。 一方、顧客からの生の声や指導が入りくい企業があり → 時間 - 1 - 「継往開来経営」のすすめ 中小企業は大企業のマネをしない 「先代の事業を受け継ぎ、発展させながら、会社 の未来を切り開かなければなりません。現状を守 ることに捉われすぎると、衰退してしまいます。 古いモノに、何か新しいモノを吹き込まないと成長 はありません。 ■ 「継往開来」の精神 中小企業の多くは先代から承継しており、経営者は ■ 多くの中小企業の特徴 多くの中小企業には、社員力・組織力アップのため 2代目・3代目の経営の厳しさや組織管理・事業の展開 に改善すべき課題が見られます。 の展開の難しさを肌で感じています。 これを乗り切れる経営者と現状を変えられない経 ①口頭伝達が多く曖昧で不具合が発生しやすい 営者がいます。乗り越えられない経営者は会社が成熟 ③重要な案件の報告・連絡・相談が稀薄 期から衰退期に入り縮小を余儀なくされます。 ④深堀りをしないので、仕事の成長が遅い ②管理監督者の役割がぼやけている ⑤エビデンスが少なく、信頼性に欠ける 企業の経営資源は「ヒト・モノ・カネ」ですが、中小企 ⑥その他 業は大企業に比べいずれも劣るかもしれません。 それに代わるものとして、汎用性の低い資源である技 日常業務は経験と技術で継続できるが、仕事の出 術を磨き、固定制の高いブランドに育て上げることで競 来栄え・結果にはあまり留意しません。そういう傾向が 争優位に立つことを目指します。 あります。そのため問題が発生し易く、改善も表面的で 進歩があまり見られません。 ■ 大企業のマネをしない 大企業とは経営資源に量と質の大きな差異がある ■ 組織風土を成長させる ので、中小企業がマネをしても中途半端な形で終わっ 社内活性化のため「挨拶励行・身だしなみの徹底」 てしまいます。 などを実行している会社があります。 ヒト・モノ・カネで劣る企業は、大企業のマネでなく、 社員のパワー・知恵&工夫・志気を高め信頼できる製 大変良いことですが、それだけで活性化させようとする にはムリがあります。 品と強い組織をつくるべきです。絵に描いた理想的シ ステムを目指すのではなく、努力して作り上げたものが 組織風土変革、は業務のレベルアップと大きく関係 最適システムであり、その方が運営もやり易いものにな しています。業務が改善されるなかで社員意識が変わ ります。つまり、独自性を持ったオンリーワンを目指すべ り、前向き姿勢の職場が生まれます。 きです。 Product Portfolio Managementモデル ■ トップの指示の影響を認識する 中小企業の経営者は大きな権限を持っています。 高 花形(代表的事業) ↑ 収益性高いが、先 市 行投資がかさむ それに気づかず社員と話し合いをしたり会議をしている 問題児 成長には多大な投 資が必要。 場 成 金のなる木 負け犬 長 資金流入が多く、次 収益性低く、いずれ 率 ↓ の事業育成の資金 撤退検討の必要あり 経営者が多いでしょう。 経営者が指示を余り出さない (出しても中途半端) 会社は、モメごとは少ないが社員が勝手に仕事をして、 現状を何も変えられないことが多い。 低 源 経営者が指示・命令を出す会社は、会議で意見な ど出しても結局はトップの指示待ちになります。 高 ← - 2 - 相対的市場シェア → 低 「率先躬行経営」のすすめ プロジェクト活動を決断する 経営者の仕事と従業員の仕事は自ずと違い、 経営者は、まず大局的な方針と目標を示し 従業員にそれを浸透させなければなりません。 浸透させるには、率先して行動し、ブレない姿勢 を持つことです。 ■ プロジェクト活動で改善する 組織体制・風土を変化する環境に合わせて変えて ■ 目標・計画の実践の仕方 職場単位の目標は小集団で実践します。このとき ていきたいという願望(或いは危機感)を経営者は常に ありたい姿・リーダー・プロセス・納期などを決めます。 持っています。 そして、職場の全員がよく分かるよう掲示板をつくり、進 経営者は、日々業務のなかで気が付いたときに、社 捗状況やデータ資料を貼ります。 説明・周知を口頭でなく、文章で定量的に行うことによ 員に指示・指摘をし指導します。つまり、OJTです。 それで思うような効果が出れば良いのですが事例をみ り、現状がより正確に把握できるとともに、エビデンスとし ると、なかなかそうはいきません。 て信頼度が高まります。 経営者がガッカリするのは、①指示したことしかやっ 個人目標は、目標管理制度を活用します。目標に ていない、②少し深く考えればミスは起きないのに、③ 対して、定期的に報告書を提出させるか、プレゼンテー ③必要事項を報告しない、④etc…です。 ションをさせて目標設定が適正か、プロセスが正しいか 社員は与えられた仕事は、個人の能力・技術である 、結果が出ているかを確認し、プレゼンのその場で直接 程度は遂行できるが、出来栄えに拘ったり、他部門との 連携などは考えておらず、それが製品や売上に影 指導を行います。 響を及ぼします。 ■ トップのやるべきこと それでは、どうするか?。 思い切って、全社のプロジェクト活動をすることをお勧 ①活動に必要なお金を出す=活動する上で備品購 入や業者にお金が必要になる。適正であると思えるも します。全員参加です。 社員全員が会社の方針・目標を知って改善活動をする のには購入を許可します。 また、残業も必要になります。社員から内容を聞き ことです。「皆んなでやれば、誰もが動きやすい」。 事前に活動時間を許可しておくと活発化します。 ②適材適所に配置する=こういう活動では、ルーチ ンの仕事では見られない、社員の能力と適正を発見 ■ 方針・目標の立て方 会社方針や目標設定は本当に大切です。社員の することが多々あります。適材配置や昇格などを行い、 自主性に任せて経営者の思う通りに仕事をする人は、 人材の活用を行います。 10人に1人居るかどうかです。多くの社員は、目標を与え ないと最低限の仕事しかしません。 バーナードによる組織の成立要件 共通目的 方針・目標を決めるのは経営者の仕事です。 経営理念・経営方針・年度目標などを経営層間で話し 合い・検討し、ローリングしながら決めます。 よく見るのは、経営者がその時々、いろいろ方針を出し 貢献意欲 ていて、社員にとっては何が目標なのか分からないと いう風景です。こういう機会に目標を統一し、スッキリさ せることが大切です。 - 3 - コミュニケーション 「和衷共同経営」のすすめ 「動機づけ」で社員を育てる 会社や職場の目標に対して心を同じくして、共に 力を合わせ仕事や作業にあたることが出来れば 業績は必ずアップします。 それには、会社目標だけでなく、社員の成長を図 ることが出来るシステムや制度を導入するなどの 対応が必要です。 ■ 社員育成は動機づけがポイント 一般的には目標管理制度などがよく使われる手法 「企業は人なり」・「企業は組織なり」という言葉のと 法です。これを通じて成果とプロセスを確認し「達成度 おり、いかに有能な社員に育てるか、いかに強い組織を ・技術UP」などの評価とします。 作り上げるかが、経営者のタスクになります。 しかし、それだけでは社員の成長全てを把握できる 社員を職務満足に導き仕事に愛着を持たせるに ものではありません。また、定量的に数字で表れるもの は「動機づけ」が重要です。仕事のなかで満足感を味 ではなく社員自身が感じている自身の成長度・満足度 わうのは「達成・承認・技術・責任・仕事そのもの」など、 というものがあります。 これを、「動機づけシート」というチェックシートで表 つまり仕事そのものです。 つまり、日常業務を正確に行なえる技術と経験を身 につけさせること、次に、自分で目標を持ち達成するプ し、継続的管理を行い社員個々の潜在能力とやる気 ロセスのレベルを上げていくことです。 これは、部門管理職が担当するとどうしても職場の成 を引き出します。 果に目が行くので、総務・人事課の管理職が担当する 間違ってはいけないのは、「会社の政策・労働条件・ のが良いでしょう。 給与・人間関係」といった要素は、いくら改善しても、仕 事の動機づけとはならず、職務不満を和らげる効果し かないということです。 ■ 成果一辺倒の評価でよいのか 各職場・各部門の評価は、毎月の売上額・生産高 などの定量的な数値で決まります。一方、社員の評価 を能力・リーダーシップ・行動力などの目に見えるもの だけで評価するのは、仕方ない面はあるものの、改善の 余地ありと考えています。 長い会社生活のなかで、毎月数字だけで評価され ては、息切れしてしまいます。 「自己成長の絶対評価」のような、個人の進化を評価し てもらえるマネジメントがあれば、多くの社員が安心して 働けるでしょう。 ■ どうやって、動機づけするか 新入社員や若年層の時代には、動機づけといって もピンと来ないでしょう。この時期は安定の欲求・社会 的欲求の段階で、仕事を覚えたり、自分の居場所を見 つけることが優先されています。 その後、経験を積み中堅・ベテランになると自我の 要求・自己実現の欲求の時期になります。 この時期に、目標を与えて、プロセスを指導し、結果を ちっと評価するシステムをつくります。 ■ 社員が育てば組織風土が変わる 社員が育つということは、仕事のやり方に付加価値 マズローの欲求5段階説 安全の 生理的 欲求 欲求 自我の 社会的 欲求 欲求 を付けるみことができるということです。 仕事の完成形をイメージできる、仕事の取り掛かりの改 善ができる、仕事の前後を配慮できる、仕事の出来栄 えをチェックできる、など自律的な仕事ができるように なるということ。 また、社員一人ひとりの仕事をオープンにし職場全 体で目標や途中経過や結果を共有する雰囲気ができ れば、大いに活性化するでしょう。 自己実 現欲求 - 4 -
© Copyright 2024 ExpyDoc