(Asia Weekly (10/31~11/4)) ~サービス業では雇用拡大の兆候が出る

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ASIA Indicators
定例経済指標レポート
中国、製造業は景気対策に素直に反応(Asia Weekly (10/31~11/4))
~サービス業では雇用拡大の兆候が出るなど改善も期待される~
発表日:2016 年 11 月 4 日(金)
第一生命経済研究所 経済調査部
主席エコノミスト 西濵 徹(03-5221-4522)
○経済指標の振り返り
発表日
指標、イベントなど
結果
コンセンサス
前回
▲2.0%
▲1.1%
+2.2%
+0.6%
+0.6%
+3.2%
+1.3%
+1.1%
+1.2%
10 月輸出(前年比)
▲3.2%
▲3.1%
▲5.9%
10 月輸入(前年比)
▲5.4%
▲4.4%
▲1.7%
51.2
50.3
50.4
1.50%
1.50%
1.50%
(インドネシア)10 月消費者物価(前年比)
+3.31%
+3.30%
+3.07%
(タイ)10 月消費者物価(前年比)
+0.34%
+0.40%
+0.38%
11/3(木) (香港)9 月小売売上高(前年比/数量ベース)
▲3.9%
▲10.5%
▲12.7%
11/4(金) (豪州)9 月小売売上高(前月比/季調済)
+0.6%
+0.4%
+0.4%
(フィリピン)10 月消費者物価(前年比)
+2.3%
+2.3%
+2.3%
(マレーシア)9 月輸出(前年比)
▲3.0%
▲2.0%
+1.5%
9 月輸入(前年比)
▲0.1%
▲1.6%
+4.9%
10/31(月) (韓国)9 月鉱工業生産(前年比)
(タイ)9 月製造業生産(前年比)
11/1(火) (韓国)10 月消費者物価(前年比)
(中国)10 月製造業 PMI
(豪州)金融政策委員会(政策金利)
(注)コンセンサスは Bloomberg 及び THOMSON REUTERS 調査。灰色で囲んでいる指標は本レポートで解説を行っています。
[中国]
~製造業で生産拡大も雇用調整圧力がくすぶる一方、サービス業で雇用拡大の兆候が現われる~
1日に国家統計局と物流購買連合会が発表した 10 月の製造業PMI(購買担当者景況感)は 51.2 と3ヶ月
連続で好不況の分かれ目となる 50 を上回り、前月(50.4)から+0.8pt 上昇するなど改善基調が強まってい
る。足下の生産動向を示す「生産(53.3)
」は前月比+0.5pt 上昇するなど生産拡大の動きがみられるなか、
先行きの生産に影響を与える「新規受注(52.8)
」は同+1.9pt 上昇する一方、「輸出向け新規受注(49.2)」
は同▲0.9pt 低下して2ヶ月ぶりに 50 を下回っており、
内需が強い一方で外需の調整圧力はくすぶっている。
政府によるインフラ投資を中心とする景気下支え策のほか、小型自動車に対する減税策が終了間近を迎えるな
かで駆け込み需要が発生しており、生産を押し上げる動きがみられるものの、世界経済を巡る不透明感や通貨
人民元相場が実質実効ベースで上昇に転じる動きが出ていることも輸出の足かせとなっている。また、「受注
残(45.8)
」は前月比+0.6pt 上昇しているものの、依然 50 を大きく下回る水準に留まるなど充分に受注が回
復していないなか、
「完成品在庫(46.9)
」も同+0.5pt 上昇するも 50 を大きく下回るなど在庫調整が進んで
いない様子もうかがえる。さらに、
「雇用(48.8)
」は前月比+0.2pt 上昇するなど4ヶ月連続で改善している
ものの、製造業では依然として雇用調整圧力がくすぶっている。企業規模別では、
「大企業(52.5)
」は前月比
▲0.1pt 低下するも 50 を大きく上回る水準にある一方、
「中堅企業(49.9)
」は同+1.7pt、
「中小企業」も同
+2.2pt とともに大幅に上昇するも 50 を下回っており、政府による景気下支え策の恩恵が幅広く行き渡りに
くい事情も垣間見える。先行きは景気下支えの一巡も懸念されるなか、足下のペースで生産拡大の動きが広が
るとは見込みにくく、早晩一服感が広がる可能性には注意が必要と言える。
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容
は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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また、同日に英調査機関の Markit 社が発表した 10 月の財新製造業PMIは 51.2 と4ヶ月連続で 50 を上回
り、前月(50.1)から+1.1pt と大幅に上昇している。足下の生産動向を示す「生産(53.3)
」は前月比+2.5pt
と大幅に上昇するなど生産拡大の動きがみられ、政府版と同様に景気下支え策の効果が出ている様子がうかが
える。また、先行きの生産に影響を与える「新規受注(52.6)
」は前月比+1.8pt と大幅に上昇する一方、
「輸
出向け新規受注(49.7)
」は同▲0.4pt 低下して2ヶ月ぶりに 50 を下回る水準に転じており、当面の生産が景
気下支え策に大きく依存していると判断出来る。なお、
「受注残(52.2)
」は前月比▲0.3pt 低下したものの依
然として 50 を上回るなど堅調ななか、
「完成品在庫(50.4)
」は 50 を上回る水準を維持しつつも同▲0.6pt 低
下するなど在庫が積みあがりつつある。また、
「雇用(47.8)」についても前月比+0.6pt 上昇しているものの、
依然として 50 を大きく下回るなど、生産拡大の動きが期待されるにも拘らず雇用調整圧力はくすぶっている。
一方、1日に国家統計局と物流購買連合会が発表して 10 月の非製造業PMIは 54.0 と引き続き 50 を上回
り、前月(53.7)から+0.3pt 上昇している。足下の業況を示す「業況動向(60.6)」は 50 を大きく上回る水
準を維持するも、前月比▲0.5pt と頭打ち感が出る様子もうかがえるなか、
「新規受注(50.9)」も同▲0.5pt
低下するなど拡大基調は続くものの、そのペースが鈍化する可能性は残る。他方、
「新規輸出(51.4)」は前月
比+3.1pt と大幅に上昇しており、内需の頭打ちを外需がカバーする可能性は期待されるなど、製造業では外
需の苦戦が懸念される一方、サービス業では善戦している様子がうかがえる。なお、
「在庫(45.3)
」は前月比
▲0.6pt 低下するなど在庫が積み上がっている様子はあるものの、
「雇用(50.0)」は前月比 0.3pt 上昇して昨
年1月以来 21 ヶ月ぶりに 50 を上回る水準に転じており、サービス業で雇用拡大の動きが出つつある。
また、3日に英調査機関の Markit 社が発表した 10 月のサービス業PMIは 52.4 と前月(52.0)から+0.4pt
改善し、引き続き好不況の分かれ目となる 50 を上回る水準で推移している。先行きの動向に影響を与える「新
規受注(52.5)
」は前月比+0.3pt 上昇しているほか、「受注残(50.5)」も同+0.8pt 上昇して5ヶ月ぶりに
50 を上回るなど改善が期待される。さらに、
「将来期待(59.3)
」も前月比+0.8pt 上昇するなど、先行きに対
する見方も強含みする動きがみられる。また、
「雇用(51.4)
」も前月比+0.2pt 上昇して雇用拡大への期待も
高まっており、製造業で雇用調整圧力がくすぶるなか、サービス業での雇用拡大が雇用の吸収源になることも
見込まれる。
図 1 CN 製造業 PMI の推移
(出所)国家統計局, Markit より第一生命経済研究所作成
[韓国]
図 2 CN 非製造業(サービス業)PMI の推移
(出所)国家統計局, Markit より第一生命経済研究所作成
~輸出入ともに下押し圧力が掛かるなか、先行きの生産にとっても足かせとなる状況が続こう~
31 日に発表された9月の鉱工業生産は前年同月比▲2.0%となり、前月(同+2.2%)から5ヶ月ぶりに前
年を下回る伸びに転じた。前月比は+0.3%と前月(同▲2.4%)から2ヶ月ぶりに拡大に転じているものの、
前月に大幅に減少した反動の影響を勘案すると、力強さに乏しい状況にあると判断出来る。国際商品市況が底
入れしていることを反映して前月に大きく生産が拡大した鉱業部門では一転して生産が大幅に減少する事態
となる一方、製造業においては生産が拡大に転じるなど対照的な動きがみられる。しかしながら、新型スマー
トフォンが発売停止状態となった影響で半導体をはじめとする電子部品関連の生産に下押し圧力が掛かって
いるほか、電気機器や造船といった主力の輸出産業で全般的に生産は低迷している。ただし、前月に生産が大
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容
は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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きく落ち込んでいた自動車関連で生産に底入れの動きが出たことで、生産全体が押し上げられた格好となって
いる。他方、9月末に大手自動車メーカーで 12 年ぶりの全面ストが行われた影響は 10 月に反映される可能性
があり、先行きの生産にとって下押し圧力がくすぶる展開は続くと予想される。
1日に発表された 10 月の消費者物価は前年同月比+1.3%となり、前月(同+1.2%)から加速した。前月
比は+0.10%と前月(同+0.64%)から2ヶ月連続で上昇しているものの、そのペースは鈍化するなど物価上
昇圧力が高まりにくい状況にある。このところの原油相場の底入れを反映してエネルギー価格に上昇圧力が掛
かっている一方、過去数ヶ月に亘って異常気象などの影響で上昇基調を強めてきた食料品価格が落ち着きを取
り戻しており、生活必需品を巡る物価動向はまちまちの展開が続いている。なお、農産品と原油関連を除いた
コアインフレ率は前年同月比+1.53%と前月(同+1.27%)から加速しており、前月比も+0.45%と前月(同
+0.07%)から上昇ペースが加速する動きがみられるものの、これはエネルギー価格が大幅に上昇したことが
影響しており、消費財のみならずサービス物価についても景気の先行き不透明感が重石となる状況は変わって
いない。当面はエネルギーを巡る物価上昇の転嫁に伴い消費財価格が押し上げられる可能性はあるものの、引
き続き景気の勢いの乏しさが物価を押し下げる展開が続くと見込まれる。
また、同日に発表された 10 月の輸出額は前年同月比▲3.3%と2ヶ月連続で前年を下回る伸びとなったもの
の、前月(同▲5.9%)からマイナス幅は縮小している。ただし、当研究所が試算した季節調整値に基づく前
月比は2ヶ月連続で減少している上、前月からそのペースは加速するなど下押し圧力が掛かっている。米国に
よるTHAADミサイル配備を巡って中国との関係がぎくしゃくしており、輸出に下押し圧力が掛かっている
ほか、国際金融市場が落ち着きを取り戻すなかで通貨ウォンの実質実効為替レートは高止まりしており、この
ことも輸出の足かせになっているとみられる。一方の輸入額は前年同月比▲5.3%と2ヶ月連続で前年を下回
る伸びとなり、前月(同▲1.7%)からマイナス幅も拡大している。前月比も2ヶ月連続で減少しており、輸
出の低迷が原材料や部材などに対する需要の下押し圧力になっていることに加え、国内景気の弱さも輸入の足
かせになっていると考えられる。結果、貿易収支は+72.00 億ドルと前月(+69.01 億ドル)から黒字幅が拡
大している。
図 3 KR 鉱工業生産と設備稼働率の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
図 4 KR インフレ率の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
図 5 KR 貿易動向の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容
は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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[インドネシア] ~原油相場上昇の影響はあるも、食料品価格の落ち着きに伴いインフレ率は低位で推移~
1日に発表された 10 月の消費者物価は前年同月比+3.31%となり、前月(同+3.07%)から加速した。た
だし、前月比は+0.14%と前月(同+0.22%)から上昇ペースは鈍化しており、実態として物価上昇圧力は高
まっていない。生鮮品を中心とする食料品物価が落ち着きを取り戻している一方、このところの原油相場の上
昇を反映してエネルギー価格は上昇基調を強めており、生活必需品を巡る物価動向はまちまちの動きをみせて
いる。一方、食料品とエネルギーを除いたコアインフレ率は前年同月比+3.08%と前月(同+3.21%)から減
速しており、前月比も+0.10%と前月(同+0.33%)から上昇ペースが鈍化するなど物価上昇圧力が後退して
いる様子がうかがえる。国際金融市場が落ち着きを取り戻すなかで通貨ルピア相場も安定しており、消費財全
般で輸入インフレ圧力が掛かりにくくなっていることに加え、サービス物価も落ち着いた推移が続くなど、堅
調な景気拡大が続いているにも拘らず物価は落ち着いている。先行きの物価動向については引き続き原油相場
の行方に加え、気候動向に伴う食料品価格が全体を左右する展開が続くと予想される。
図 6 ID インフレ率の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
[タイ]
~製造業の生産に底打ち感がうかがえる一方、先行きに対する不透明感は引き続き物価の重石に~
31 日に発表された9月の製造業生産高は前年同月比+0.6%となり、前月(同+3.2%)から減速した。前
月比も▲1.65%と前月(同+6.42%)から2ヶ月ぶりに減少に転じているものの、前月に大きく拡大した反動
であることを勘案すれば、長期に亘って低迷状態が続いてきた生産が底打ちしつつある様子がうかがえる。平
均設備稼働率は 64.89%と前月(65.87%)から 0.1pt 程度低下しており、生産の一服感を反映した動きをみ
せるものの、比較的堅調な動きをみせている。分野別では、主力の輸出財である自動車関連で生産の底打ちを
示唆する動きがみられるほか、電気機器をはじめとする機械製品や木製品に加え、衣類を中心とする繊維関連
でも生産に底打ち感が出ている一方、金属加工や石油化学関連などが足を引っ張る動きもみられる。先行きに
ついても中国をはじめとする海外経済の動向に左右される展開が続くと予想されるものの、足下では世界経済
が落ち着きを取り戻す動きもみられ、同国内における生産にも少なからずプラスに寄与する可能性はある。
1日に発表された 10 月の消費者物価は前年同月比+0.34%となり、前月(同+0.38%)からわずかに減速
した。ただし、前月比は+0.16%と前月(同+0.04%)から上昇ペースは加速しているものの、依然として落
ち着いた推移が続くなど物価上昇圧力が高まっている状況ではない。生鮮品を中心とする食料品価格が落ち着
きを取り戻している一方、このところの原油相場の上昇を反映してディーゼル油をはじめとするエネルギー価
格が上昇圧力を強めており、生活必需品を巡る物価動向はまちまちの状況にある。他方、食料品とエネルギー
を除いたコアインフレ率は前年同月比+0.74%と前月(同+0.75%)から減速しており、前月比も+0.04%と
前月(同+0.02%)から上昇ペースは加速しているもののわずかな上昇に留まるなど、物価は落ち着いている。
消費財全般で物価上昇圧力が掛かりにくい展開となっている上、サービス物価もほぼ横這いでの推移が続いて
おり、景気の先行き不透明感が物価の重石となっている様子もうかがえる。
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容
は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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図 7 TH 製造業生産と設備稼働率の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
[フィリピン]
図 8 TH インフレ率の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
~生活必需品を巡る物価上昇やペソ安の影響はあるが、依然インフレ率は低位で推移~
4日に発表された 10 月の消費者物価は前年同月比+2.3%となり、前月(同+2.3%)から横這いで推移し
ている。前月比も+0.21%と前月(同+0.21%)と同じペースでの上昇に留まっており、物価動向は比較的落
ち着いた推移が続いている。生鮮品を中心に食料品価格に上昇圧力がくすぶっているほか、このところの原油
相場の底入れなどを反映してエネルギー価格が上昇するなど、生活必需品を中心に物価上昇圧力が高まる動き
はみられる。他方、食料品とエネルギーを除いたコアインフレ率は前年同月比+2.3%と前月(同+2.3%)か
ら横這いで推移しており、前月比も+0.14%と前月(同+0.14%)と同じペースでの上昇となるなど落ち着い
た展開が続いている。国際金融市場における通貨ペソ安の進展に伴い輸入インフレ圧力の高まりが懸念される
なか、一部の消費財について物価上昇圧力が高まる動きはみられるものの、個人消費をけん引役に堅調な景気
拡大が続いているにも拘らずサービス物価は落ち着いた推移をみせており、物価上昇圧力を相殺している。
図 9 PH インフレ率の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
[マレーシア]
~電子部品や電気機械関連で輸出が底堅い動きがみられ、輸出の底打ちを示唆する展開も~
4日に発表された9月輸出額は前年同月比▲3.0%となり、前月(同+1.5%)から2ヶ月ぶりに前年を下回
る伸びに転じた。前月比も▲0.9%と前月(同+9.0%)に大きく拡大した反動で2ヶ月ぶりに減少に転じてい
るものの、そのペースは縮小しており底打ち感が出ている様子がうかがえる。主力の輸出財である電子部品や
電気機械関連のほか、天然ゴムやLNGなどの輸出は堅調な推移が続いている一方、底入れが進んだ原油相場
が頭打ちしたことで原油関連の輸出額に下押し圧力が掛かったほか、パーム油や木材関連の輸出の鈍化も全体
の下押しに繋がっている。国・地域別では、日本向けは堅調な動きをみせる一方、ASEANなど周辺国向け
で頭打ち感が出たほか、中国・香港向けの拡大も一服するなか、欧米向けなどの鈍化も足かせになったとみら
れる。一方の輸入額は前年同月比▲0.1%となり、前月(同+4.9%)から2ヶ月ぶりに前年を下回る伸びに転
じている。ただし、前月比は+1.6%と前月(同+7.2%)からペースこそ鈍化したものの2ヶ月連続で拡大し
ており、輸出の底入れ感を反映して輸入に押し上げ圧力が掛かっている。輸送用機器関連で輸入が拡大してい
る一方、その他の資本財関連の輸入には下押し圧力が掛かるなか、素材や部材を中心とする中間財の輸入は堅
調に推移しており、消費財関連の輸入も全体の押し上げに繋がっている。結果、貿易収支は+75.61 億リンギ
と前月(+85.07 億リンギ)から黒字幅が縮小している。
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容
は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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図 10 MY 貿易動向の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
[香港]
~一部の耐久消費財で需要に底堅さはみられるが、基調としての消費は弱含む展開が続いている~
3日に発表された9月の小売売上高(数量ベース)は前年同月比▲3.9%と 14 ヶ月連続で前年を下回る伸び
となったものの、前月(同▲10.9%)からマイナス幅は縮小した。前月比も+7.14%と前月(同▲3.71%)か
ら2ヶ月ぶりに拡大に転じている上、その幅は前月の減少幅を大きく上回るなど、減少基調が続いてきた展開
の底打ちも期待される。食料品やエネルギーといった生活必需品に対する需要は引き続き堅調ななか、自動車
や家電製品といった耐久消費財に対する需要に底堅さがみられたものの、宝飾品などの高額品に対する需要は
依然として弱いほか、日用品に対する需要も弱含む動きがみられるなど、足下の消費を巡る動きはまちまちの
展開をみせている。中国本土では補助金や減税など景気刺激策によって個人消費が下支えされる展開が続いて
いるが、香港においてもそうした動きが消費を下支えしているとみられる一方、基調としては依然として力強
さを欠く状況は変わりがないと判断出来る。
図 11 HK 小売売上高(数量ベース)の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
以
上
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容
は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。