乳龍帝?なる資格なんて最初からなかった(笑) 鶴マタギ ︻注意事項︼ このPDFファイルは﹁ハーメルン﹂で掲載中の作品を自動的にP DF化したものです。 小説の作者、 ﹁ハーメルン﹂の運営者に無断でPDFファイル及び作 品を引用の範囲を超える形で転載・改変・再配布・販売することを禁 じます。 ︻あらすじ︼ 突然現れた﹁兄﹂を名乗る男に自分の人生を奪われた兵藤一誠。 だけれど彼は今日も幸せな生活を送る。これは﹁夢幻﹂と﹁無限﹂と 一緒に住む彼のドキドキハラハラ殺伐コメディである。 ※第3話を大幅編集いたしました ! 目 次 ││││││││││││ ︻Prolog︼兵藤一誠とその家族 俺、家族との夕食を楽しみます 死亡フラグ乱立なお兄ちゃん ││││││││││││││ ﹁愛﹂と﹁憎﹂と﹁真実﹂と。 │││││││││││││ 秘密の扉の先は地獄 ││││││││││││││││││ ︻愛を叫べ ︼ │││││││││││││ ︻第1章︼戦闘校舎のフェニックス Vivace Re/verse︻垣間見えた本質︼ ││││││││││ 混沌に舞い降りる種馬︵鳥︶ ││││││││││││││ 1 7 13 ! 諦めないうちは失敗ではない。だがもう手遅れ ││││││ ! 20 30 35 41 48 !! ︻Prolog︼兵藤一誠とその家族 俺、家族との夕食を楽しみます キーンコーンカーンコーン 今日もつまらない学校が終わった。はやく帰ろ。 ふぅーーと兵藤一誠は息を吐き出す。彼はもう高校2年生。受験 を意識しだす学年であるというのに彼は授業中寝てばかりであった。 最初の頃は注意していた教師達も今では放置気味で、今日の授業だっ て眠っていた彼を放置していた。とどのつまり彼は授業など受けて いないのである。 鞄を持ち上げせっせと教科書を詰め込む。そんな彼は律儀にも一 応だが勉強道具の準備はしているのだ。1度だけだがそれを教師が 指摘するとこう言ったらしい。 ﹁準備はしましたが使うとは言っていませんよ。﹂ そう言った後に、げんこつを振り落とされたというのは言うまでも ないだろう。そしてそれを後に教師陣の間でも諦めムードが蔓延し はじめたのだ。せっせと準備をする彼。そんな彼の頭の中には家で 待ち受けているある男の手料理とある女の愛らしい笑顔が浮かんで いる。彼のとても大事な人。 ちらりと窓の外を見る彼。淡いオレンジ色の夕日が煩わしくてつ い外を見てしまったようだ。すると﹁うわぁ、嫌なものを見た﹂と言 わんばかりに顔を歪め、早々にその場を立ち去る。彼の目に映ったの ひょうどうしんや は 赤 髪 の お っ ぱ い 悪 魔 と 白 髪 の ぺ っ た ん こ 悪 魔、そ し て 兄 の 兵藤信八。一 応 彼 の 兄 貴 ら し い。突 然 現 れ た 兄 と 名 乗 る 男 に 両 親 を 友人を、全てを奪われた彼。自分の幸せを神の遊びで奪われてしまっ た、なんとも、なんとも可哀想な少年。 そんな彼は今日も生きる。 1 ! ﹁たっだいまー オーちゃん グーちゃん ﹂ ! ポートなどできないので、とにかく美味いとしか言えない。だがなん あ む。う ん、う ま い。も ぐ も ぐ と ハ ン バ ー グ を 頬 張 る。グ ル メ レ ﹁なぁなぁ、聞いてくれよグーちゃん。俺の愚痴ってやつをさぁ。﹂ △▼△▼△▼△▼△▼ で﹁最凶﹂な存在である。 そんな可哀相な少年、兵藤一誠は世界No.1の実力を持つ﹁最強﹂ ! おくれや。 肉の旨みとデミグラスソースのハーモニーが素 グーちゃんが口を挟む。うるさいな。語彙力ないんだよ、勘弁して ﹁お前ハーモニーって言いたいだけだろ。﹂ 晴らしい程に調和している。 というのだろうか ····· 俺の名前はグレート グーちゃんと呼ぶのは止めろ。俺の名前はグレートレッド というのだぞ。﹂ いや、そこまで誇らしげに言える名前ですか なんて言われても失笑しかできない。 2 ! ﹁長いからチェンジで。しかも厨二臭い。﹂ レッドだ ? ﹁それと ····· ! それでいて厨二臭いときたもんだ。なんだよグレートレッドって。 英訳したら﹁great red﹂じゃねぇか。なんだよ﹁素晴らし い赤﹂って。 ﹁おい、一誠。お前が今何を考えているのかが手に取るようにわかる。 だが絶対にそれを口にするな。恥ずか死ぬ自信がある。﹂ 厨二なのに幼稚園児なの ﹂ ﹂ ﹁グレートレッドって名前、日本語訳すると﹃素晴らしい赤﹄だよね。 なんなの レッド︵笑︶より全然いい名前だ。 ﹁そうだぞ。黙って食えやグーちゃん。﹂ ﹁だとしてもその名前はやめてくれぇええええ !!! ーー夕食中だというのに我が家は元気だなぁ。 ﹂ そんな彼に声をかけるのはオーフィスことオーちゃん。グレート ﹁ん、グレートレッドうるさい。﹂ 今はご飯中でしょうが。後でやりなさい、後で。 赤いポニーテールをした男性が額をテーブルに打ち付けて吠える。 ﹁だから言うなと言っただろうがああああああ ? ♢ ♢ 彼はそんな思いを胸に抱き、楽しい夕食の時を過ごしたとさ。 ♢ ? ♢ ? グーちゃんとか言うのか ﹂ たいがためにわざわざ2人用のソファを買ったのだ。計画通りで私、 藤家のいつものポジションである。オーちゃんを俺の膝の上に乗せ 左には俺が、そして俺の膝の上にオーちゃんが乗っている。これが兵 夕食を終え、今はソファの上で団欒中だ。右側にはグーちゃんが、 ? それにしても名前かぁ。いい名前だと思うんだけどグーちゃん ! 3 !!!! ? ? ﹁でもなぁ、一誠。お前俺達を他の人に紹介する時にオーちゃんとか ? 大満足 ····· の言う通り少し要領を得ないかもしれないなぁ。 ﹂ ナデナデされるがままのオーちゃんに聞いてみよう。 ﹁ねぇ、オーちゃんって名前は嫌 どうだ オーちゃんは嫌じゃないらしいぞ ﹁い や な ぁ、お 前 が つ け て く れ た 名 前 が 別 に 気 に 入 ら な い っ て わ け かしいんだよ。 そんな俺の顔を見てはぁ、と溜息をつくグーちゃん。おい、何がお ? ああ、可愛いなぁ。ほれみろと言わんばかりにグーちゃんを見る。 ﹁そんなことない。我、イッセーのくれた名前が好き。﹂ 常に介護欲をそそられる。 ぶんぶんと首を横に振って答えてくれるオーちゃん。可愛い。非 ? ﹂ 何か不穏な空気が ····· ····· ! が壊滅的だぞ。﹂ ﹂ ﹁べ、べっつにおま、と、友達なんているしぃぃい いるもんね 100人ちゃんと ﹁お前、友達いないからわかんねぇかもしれんけど、ネーミングセンス 想を聞かされなかっただけ余計に。だけど たれによしかかる。意外と嬉しいものだ、グーちゃんからは名前の感 ふんふん。意外と気に入っているとな。オーちゃんを抱いて背も じゃねぇ。だけどな ····· なグーちゃんだな ﹁あっ⋮︵察し︶﹂ ちゃんと友達いるし。ちゃんと ﹁おい。何を察しとるんじゃボケ。﹂ ! 何を唐突にネーミングセンスがないだの、友達がいないだの。失礼 いきなり罵倒されてしまい、焦りが身体中から滲み出る。 ! ····· まぁ、正直な話、友達なんていないんだけどね。一匹狼気取って いるし ····· 女性陣からの印象最悪なんだけど。 も入っていません。兄のせいで余計に肩身が狭い。なんで俺のこと 変態だとか言いふらしてんの ここ大事ですよ。 いや、よくはないけどね というかボッチじゃなくて一匹狼です。 ﹁まぁこの際お前のぼっち事情なんてどうでもいい。﹂ ? ? 4 ? ます。いつも1人で弁当食べていつもひとりで帰宅してます。部活 ····· ﹁何事も不測の事態はある。それは強者であればあるほど増えること だ。そういった時のためにちゃんとした偽名は考えるべきだぞ。﹂ んーーー。そう言われればそうかもなぁ。ちょうど兄貴を叩き潰 あのおっぱい星人マジ無能。ちゃんと自分の領地の したかったし、堕天使の動きも活発になってきたから俺がでないとい けないのかな 番いい。 ﹁うへっ ﹂ ? そ、そこまで拒絶する ! ﹂ 流石に泣きたく グーちゃんは赤太郎で、オーちゃんは どいいのが2つほど思いうかんだ。 ﹁いいのが思いついたぞ とにかくはやい ····· グ ー ち ゃ ん よ。そ ん な 不 安 そ う な 声 を 出 す な。安 心 し ろ。ち ょ う い、今すぐにか なるべく早く決めよう。こういう時はパッと思いついたやつが一 ﹁じゃあ今俺が決めるね。﹂ のさ。 ことは把握しておきましょうよ。何人俺の魔法で守ったと思ってる ? ﹁すまん。チェンジで。もう片方ので頼む。﹂ はやい ! 入っていないんだけど それでいい ゆうぎり 俺は夕霧 どうかと思うし何か他の名前を ﹁いや ﹂ ﹂ 俺的には赤太郎と黒美が一番いいのだが ····· ﹂ ? すみか おい、何笑ってんだよ。 ····· 澄 し て は お 前 の 好 き に 呼 べ。さ っ き の 名 前 を 使 う の は 客 人 の 前 で い ﹁いやな、そんな残念そうな顔をされるとは思わなくてな。名前に関 を思いつつグーちゃんを見る。 どちらかといえばオーちゃん、グーちゃんで呼びたい。そんなこと ﹁なぁ、俺もそっちで呼んだほうがいいのか 玲﹂って呟いている。気に入ってもらえて何よりだ。あっ、そうだ。 まぁグーちゃんも満足しているし、オーちゃんだって﹁澄玲 ····· グーちゃんが必死すぎて怖い。というかこんなんで良かったのか オーフィスは澄玲だ お前にしては じゃあグーちゃんは﹃夕霧﹄でオーちゃんは﹃澄玲﹄ね。でも正直 ! ····· な っ て く る ん だ け ど。で も も う 一 つ か ぁ。あ ん ま り こ っ ち は 気 に ? ! ····· 5 ? ! いい名前だと思うぞ ! ! ! ﹁ ····· ? い。﹂ おお そうかそうか。グーちゃんもやはりその名前が気に入って いるのだな。じゃあ家の中ではそう呼ばせてもらおう。すりすりと オーちゃんの頬を軽く撫でる。まったく、眠そうな顔をしちゃって まぁ。 ﹁あっ、それとだな。お前の学校生活が不安すぎるので明日から同行 え するぞ。ちなみに拒否権はねぇから。﹂ ﹁はぁああぁぁぁぁぁぁ ?! ﹂ !!!??? ﹂デュエルスタンバイ 6 ! ? 次回、﹁信八死す ! ·········· 死亡フラグ乱立なお兄ちゃん 目の前の一誠は今、必死になって外れた顎を元に戻そうと奮起して いる。外れすぎたあまりその顎が凶器と化しているがそこは気にし ないでおこう。そしてオーフィスの頭に凶器と化したそれが突き刺 さっているだなんて知らない。だからオーフィスよ。そんな悲しそ うな目でこちらを見ないでくれ。罪悪感に潰されそうになる。 ふー。ようやく直った。﹂ ってほどの顎が突き刺さったのだ。俺なら ﹁うっ、ご、ごめんなオーちゃん。許して下さい。﹂ 半殺しにしている。 殺出来るんじゃないか 大分不機嫌そうだな。流石にこればっかりは謝るべきだろう。刺 ﹁イッセー。頭痛かった。謝って。﹂ 頭をさすりながら恨めしそうな目で一誠を見るオーフィス。 虫を連想させるようなその動きは見ていて気持ち悪かった。 恐ろしほどの伸縮性だな、その顎。にゅにゅにゅって戻ったぞ。芋 ﹁ーー、あっ、あーうへぃ。 ····· そう。こうして見ている分にはこいつはそれほど悪いヤツじゃ ーーこれなら普通友達なんてできるだろ。と。 前から不思議に思っていたのだ。いっつも早々に帰宅してくる我 が息子。そんな彼は面白い時と面白くないときの差が激しいのだが、 まぁまぁのギャグセンスはある。顔もかなりと言っていいほどの美 普通ならほおっておいても勝手に虫の 形だし、体型だって細マッチョと呼ばれるウケのいいものだろう。逆 に何故1人も友達がいない ごとく寄り付いてくるもんだと思うんだが。 まぁいい 俺の懐の深さをと でも許してほしいならアイス買って !····· ﹁イッセーのことは許さない。 ····· なんでそんな高価な物を ﹂ ! ? きて。﹃はーげんだっつ﹄て名前のやつ。﹂ ﹁ちくせう くと知るが良いぞ ! ! 7 ? ない。俺はこういう光景を見るたびに思うのだ。 ····· こいつは優しいやつだ。聖人とまではいかないが人並み以上には なぜひとりぼっちなのだ 優しい。そして特に家族を想い、愛し、守ろうとしている。そんな奴 が何故虐げられているのだ ﹂ 感謝されこそすれ、恨まれる筋合いなんてないぞ。﹂ だから。もし。もしもだ。 だぞ おいおい。オーフィスのパシリに任命されるよう誘導したのは俺 ガリガリくんのシチュー味で悶絶しろ ﹁そして俺をこんなめに合わせたグーちゃん。お前は絶対許さねぇ ? オーフィスとの差が激しすぎるだろ。まぁ別に俺のは要らんぞ。 俺は今お金持ちだから。ほら 財布に5000円 もしもこいつの笑顔を奪うようなやつがいるのなら。 ついで程度でいい。﹂ ﹁遠慮すんなって ﹂ ﹂ もしもこいつの幸せを奪うようなやつがいるのなら。 も入ってるんだぜ 俺はそいつを絶対に許しはしない。殺して殺して、殺し尽くして やる。 ﹁おい、字が違うぞバカ。﹂ ﹁んじゃあ、逝ってきます !? ! 彼の大きくて華奢な身体を見送りながら俺は決意した。 ! ﹁ のチョコレート味を買ってくる。﹂ ﹁あっ、確かにそうだわ。グーちゃん、俺が悪かったよ。ガリガリくん ! ! ? ! 8 ﹁ ·········· ····· ·········· ? ····· △▼△▼△▼△▼△▼ おはようございます。今日はいい朝ですね。スズメさんはちゅん ちゅんと唄って、太陽さんはらんらんと照り輝いている。ものの見事 な快晴だ。この天気のままなら今日の晩御飯はバーベキューがいい なぁ。満天の星空を見ながらのバーベキュー。うん、最高だ。朝から お腹が減ってきたな。 覚束無い足取りで階段を下り、リビングへ向かう。そして目的地に な ん と も ら し い 朝 食 だ。 近 づ け ば 近 づ く ほ ど 匂 い も 香 ば し い も の に な っ て い く の が わ か る。 今日のご飯はパンとハムと目玉焼きかな ﹄ やばい、お腹が減った。なんてこと考えながらふーと息を吐き、ドア ﹄ お前なんか俺の子じゃねぇ の前に立つ。瞼を閉じれば思い出されるあの日々。 ﹃ふざけんな ﹄ もう近寄らないで 私に触っていいのは信八くんだけなの ! オーちゃん グーちゃん すーと息を吸い込みドアを開ける。 ﹁おっはよー ! だ。 ? ******************* 結局ついてくることにした ? ﹁それで昨日の話はどうなったの ﹂ 俺の朝はそんな美味そうな飯の匂いと家族との挨拶から始まるの ﹂ 不安になんてならない。今日も彼らと幸せな日々を生きていこう。 2人。そのふたりがこの扉の向こうにいるのだ。 拒絶された。親から、友人から。そして絶望した俺を助けてくれた ﹃触らないで ﹃なんなのよアンタは ! ! 9 ? ! ! ! ! ! もぐもぐとバターの塗られたトーストを頬張りながら聞いてみた。 行儀が悪いかもしれないが時は一刻を争うのだ。今は8時ちょっき しで、制限時間まであと30分しかない。9時登校にしておくれと刹 ﹂ でもつまらないよ いいのそれでも 行くと言っているだろうが。お前の力ならそんなの造作もな 那に思う。 ﹁うん いことだろう いやー、やっぱりついてくる ? 言ったら静かにすること。オーケー ﹂ ﹁ん ー、ま ぁ わ か っ た よ。で も 大 人 し く し て て ね 俺が静かにって 禿げたデブのおっさんだったら違うんだろうなぁ、と。 がめっさカッコイイ。そしてそんな彼を見る度に思うのだ。これが となく休日のエリートサラリーマンのようにも思えるもので、悔しい 赤髪のイケメンがこんなことをしてもさまになる。その姿はどこ のだ。しかもコーヒーを片手に。 に目を戻す。グーちゃんは毎回新聞を読みながら朝食の時を過ごす だがそんな俺の視線を知ってか知らずか、問題ないとばかりに新聞 ? ? ? ? を拭いて綺麗にする。よし、完璧だ。 能性もあるので特に心掛けなくてはならない。それにしてもやっぱ しい、諭すような声で言ってあげる。言葉の綾で不貞腐れてしまう可 不安な声で尋ねてくるオーちゃん。﹁大丈夫だよ﹂と出来るだけ優 ﹁イッセー。我もついていっていいの ﹂ らを振り向いた。口を汚しちゃってまぁ。ウエットティッシュで口 すると牛乳を口の周りにつけたオーちゃんが不安そうな顔でこち 父親だ。 常識を持っている。そしてめっさ強くてカッコイイ。そんな自慢の やっぱり常識人だった。彼は人ではないが常識人と言える知識と ﹁俺は小学生か。大丈夫だ。そこら辺はちゃんと自重する。﹂ うけど。 願いしたいのだ。まぁそんなことグーちゃんはわかっているのだろ 俺の中で暴れまわったりされてはたまらない。こればっかりはお ? ? 10 ? り癒されるなぁ。不安そなその姿はどことなく子猫を連想させるも グーちゃんの言う通りに行動しな ので、抱き締めたい欲を我慢するのが大変だ。 ﹂ ﹁でもちゃんと静かにするんだぞ さいね ﹁うん。わかった。﹂ しますんで、早く食べちゃってくださいね∼。 あっ、もうこんな時間じゃない。はいは∼い、この特別空間にご招待 そ し て こ れ は 俺 の 能 力 で あ る﹃見 聞 稽 古﹄で 手 に 入 れ た も の だ。 元系の能力で本当に便利で助かっている。 ほかの地に瞬間移動のようなことも出来るのだ。これは最高峰の次 し、この空間の中なら内側からでも攻撃できる。更には異空間移動で ﹃次元破壊﹄で俺の中に最高位の空間を創り出す。誰も干渉出来ない よし。いい子だ。これなら何の問題もないだろう。 ? ♢ ・ ・ ・ ・ それにしても俺の能力で得た能力か。これもうわかんねぇな。 ♢ ・ ? ♢ ・ ? ♢ ? それは﹃見聞稽古﹄ ﹃昇華﹄ ﹃派生﹄ ﹃完成﹄たったこれだけである。 だがしかし、彼の実力は間違いなく世界最強である。 11 ? 彼の能力は4つしかない。 ? 見聞きした力を自分のものにする﹃見聞稽古﹄。 得た全ての能力、それは頭脳・筋力・異能力などの全ての能力を1 00%以上に。いや120%以上に発揮できるようにする﹃昇華﹄。 ﹃時空﹄ ﹃剣技﹄ ﹃銃技﹄ ﹃火﹄などありとあらゆる概念を枝分かれする かのように最大限まで広げ、それを学ぶ﹃派生﹄。 それらを全知した場合にのみ自分の最高峰を設定できる﹃完成﹄。 漫画で、アニメで、小説で、実践で、彼らは多くのものを学び吸収 した。 そんな最強で最凶は今日も家族と一緒に笑い合うのである。 後に訪れる大量の鮮血を見ることになるだなんて露も知らずに。 12 ﹁愛﹂と﹁憎﹂と﹁真実﹂と。 よっす、俺の名前は兵藤信八。転生者だ。 それはある日のことだった。いつも通りつまらない生活を繰り広 げていた時のこと、俺は猫を助けるために車に飛び込んでいったのだ が 死 ん で し ま っ た の だ。勿 論 助 け た 理 由 な ん て 簡 単 だ。刺 激 欲 し さってのが2割。そして残りの8割は期待だ。正直猫の生死だなん て心底どうでもよかったのだが、ラノベ的展開を求めたために命を 張って助けたのだ。 だが運悪く死んだ俺。そんな俺を見かねてか神様が転生させてく れると言ってくれたのだ。正直その時は心踊った。気づいたら真っ 白な空間に居て、ヒゲのモジャモジャした、いかにも神様ですって方 が現れたのだ。よく二次創作で見かける転生ものの主人公になれる とは思ってもいなかった。 そして頼み込んだ。HSDDの世界がいい、と。俺はこの小説が好 きだった。なんといってもハーレムもの。俺が一誠の代わりに主人 公になれば自動的に俺のハーレムが形成されるということなのだ。 そしてもらったのが﹃魅了する能力﹄と﹃赤龍帝の力を完全に制御 できる﹄というものだ。 欲を言えばもう少し欲しかったのだが、これでもなんとかなると 思っていた。原作知識という未来予知もあるし、なにより俺の頭はい いと自負している。それに冷徹の非情さを持っているというのも自 信のひとつだ。女の扱いにも長けていた。 そんな俺は意気揚々とこの世界に転生したのだ。ハーレムをつく るため。主人公に成り代わるために。 そして今のところは全てが順調だ。昨日はアーシアを救った。計 算し尽くして、どうやったら期待値と新愛値を上げるかと随分と考え たものだ。だがその成果は実り、見事にハーレムが出来上がった。そ して生徒会長であるソーナとも関係がある。まぁ、関係といっても身 体の関係なんてないがな。そういうシチュエーションにはこだわが 13 あるのだ。 そ し て 男 組 と も 仲 良 く や れ て い る。木 場 く ん と は 剣 技 を 交 え て。 ギャスパーくんとはネットゲームで。 もう全てが完璧だ。完璧と言っていい。寸分の狂いもないハーレ ム道だろう。 だが少しばかり誤差が生じている。リアスの結婚の話がすぐ近く ま で 迫 っ て い る の だ。俺 と い う イ レ ギ ュ ラ ー が 混 じ っ た か ら そ う なったのかはわからないが、とにかく急だ。 まぁ、ある程度すべきことは考えているから良しとしよう。その ためにも今はあいつが必要だ。兵藤一誠。今日、お前は俺のために死 ね。 △▼△▼△▼△▼△▼ キーンコーンカーンコーン 授業という名の地獄から解放されたことを告げる安らかな音。こ れを聞くたびやっと終わったのだと思うのだ。今日はグーちゃんと オーちゃんが授業風景を見ていたため、できる限り寝ないように頑 張っていた。だっていいとこ見せたいもん。 今日の授業では、できる限りのことはしたと思う。積極的に手を挙 げ、質問する。当てられたら完璧に答え、ソレに関する疑問を投げか ける。先生のプライドを折らない程度の難しさで聞いて、 ﹁やれやれ。 仕方が無いなぁ。﹂と嬉しそうに答えさせる。我ながら完璧だ。 今日の件で俺の評価︵先生方からだけだが︶爆発的に上昇した。授 業が終わる度にこちらへ向かってきて、﹁お前は1通り予習してたん だな。それなら授業中暇になっても仕方が無い。﹂とか、 ﹁そんなに出 来るのなら放課後あたりにでも来いよな。﹂と、嫌味ではなく暖かい笑 顔で言われたのだ。 グーちゃんとオーちゃん以外の人と喋っていなかったため俺は終 始声が小さかったのだが、無事に生還することが出来た。それに先生 14 ····· 方はいい人達ばっかりだった。俺なんかもう既に見放されているも んだと思っていたのだが、裏で密かに﹁兵藤一誠強化計画﹂なるもの を計画していたらしい。何それ怖い。不穏な気配しかしない。 ︵ 嬉しそうだな、一誠。良かったじゃないか。︶ ︶ 心 の 声 が 聞 か れ て い る の を 忘 れ て い た。に や に や と し た 声 の ︵うん。イッセー嬉しそう。こんなイッセー初めて見た。︶ ちょ、こ、こっちからもそっちに聞こえているのか グーちゃんだけ半殺しにしよう。 ︵ バーベキューな ト レ ミ ン グ だ。天 気 も 良 い し 外 で 食 っ て く れ。オ ー ち ゃ ん は 俺 と あぁ、ちゃんと聞こえていたよ。今日のお前の晩ご飯はシュールス !? わかった はぁ。別に言葉の内容は良かったのに声が全部ダメにしてたん だよ。許してあげるけどもう二度目の慈悲はないよ ︵仰せのままに。マイキング。︶ お前の晩飯はにぼしだ、愚か者め。 ? ︵ もしかして。︶ ︶ どうかしたのか、一誠よ。って、おい どうなってるんだ ! まさか。 ﹂ がらり、と教室の扉が開き、ある男の声が谺響する。 ﹁やぁ、俺の弟はいるかな ここにいるぞ。﹂ ? ﹁ ﹁あっ、良かった。ちょっと付いてきてくれないか オカルト研究部 その声の主は兵藤信八。平穏から最も程遠い存在である。 ? ····· ︵ たぞ ! お前の声が聞こえなくなっ 声が上がる。黄色い声援とも言うべきなのか。 そんな茶番劇を繰り広げていた時のことだった。ふと廊下から歓 ? ミングもやめてくれ。︶ ︵おい、一誠。すまなかった。俺が謝るから半殺しもシュールストレ ︵お肉。嬉しい。︶ ? 黄色い声援を浴びながらも着実にこちらへ近づいている足音。 ! 15 ?!?!····· ····· ····· ····· ? ····· まで何だけど。﹂ 一誠 こちらへお前の声を流せ 一体何のつもりだ ︵おい ︶ ! ちゃうから。 ! 別にいいよ。﹂ 良かったー。じゃあ、行こっか ! ﹁ そっか ! ♢ や っ ぱ り こ ん な の 聞 か せ ら れ な い よ な ぁ。グ ー ち ゃ ん と オ ー ♢ ♢ ♢ んで。何の用なんだ ? ﹂ 間をただ進んでいるだけだ。 ﹁話が早くて助かる。お前さ、俺のために死んでみない ? 仮面を剥いだと思ったら何だこれ ﹁俺のために死ね。﹂とかいう ? 家族を残して先に死ねない。﹂ ﹁ぶっ ﹂ そして俺がそう言い放った時だった。 冷静さに欠けていては相手の意図すら読めなくなる。思う壷だ。 だが出来るだけ静かに喋る。伝わるように喋る。恨みの対象だが ﹁ 立たしい。 やつ初めて見たぞ。俺の戒禁にも引っかかっていないのが余計に腹 ﹂ 今は周りに人は誰もいない。ただ先の見えない淡いオレンジの空 ﹁ ? 有象無象に囲まれながら歩く廊下は永遠と思わせるほど長かった。 すくりと立ち上がり兄の後を追いかけるように教室を出る。 ちゃんには。 が脳裏を彷徨く。 お前の本来の姿を見せてみろ。と、ドロドロに塗れたどす黒い心の内 そ の 仮 面 塗 れ の 笑 顔 を 見 せ る な。お 前 の 本 当 の 顔 を 見 せ て み ろ。 ﹁おう ﹂ ご め ん な。グ ー ち ゃ ん。今 の 俺 じ ゃ あ グ ー ち ゃ ん 達 を 失 望 さ せ ! ? ? ? あ 何が可笑しいんだよ。 16 ····· ! ····· ····· ····· ? ·········· ····· ? ! なに ぷーぷっぷっ 誰もいねぇじゃねぇか 目の前にいる野郎は俺の言葉を長い間咀嚼した後、馬鹿にするよう に嗤った。 お前に家族 もしかして頭の中に綿あめでも詰まってんの ﹁あっはっはっはっはっ なに ﹂ 兄貴の邪魔はしないから、もう関わらないでくれないか やめろ。 それ以上言ったら。 ﹂ まーだそんな妄想してんの よ。 お前に 何だって 家族がいる ﹁え か。お前はさっさと俺のために死ねばいいのによ。﹂ それにー、と何か続けようとした。 ぷっ、 こんな出来 ヒーロー気取りなのかねぇ ﹁もし仮にお前に家族がいたとしてもそいつらは屑だな ﹂ ? ! ? 損ないのゴミ野郎を拾ってさぁ ははははははは 本気で殺すぞ。 ! 俺 に も 家 族 は ち ゃ ん と い る。今 は そ い つ ら と 暮 ら し て い る ん だ ぷっ ? ?····· ﹁ ?! ! 俺は全力でそいつの顔をぶん殴った。 ! ! ? ! 17 ····· ·········· ? ····· ! ? ·········· どうなっているんだよ △▼△▼△▼△▼△▼ くっそ だが何故 何故声を遮断した れを聞いたオレらが幻滅すると 本気で思っているのか ? 心 ? そしてそ 何故なんだ ? なったのだ。だいたい予想は出来る。おおかたあいつの嫌いな奴で 俺は今とてつもなく混乱している。突然外からの声が聞こえなく ! の内から溢れる醜い感情でも聞かれると思っているのか も来たのだろう。 ····· が聞こえなくなった。多分早めに対象しないとここら一帯が血の海 になる。﹂ 俺のいうことをちゃんと聞けって。﹂ たしかに変。イッセーの声が何も聞こえない。﹂ ﹁朝、イッセーに言われただろ オーフィスがこくりと頷く。 まぁ、どちらにせよ よし、まさかこんな日に使うとは思 わなかったぞ。いや、そろそろ頃合だったのか 俺達がいて良かったのには違いない。 ﹁オーフィス。解き放て。﹂ しもの時のために渡された呪文だ。 ふー、と息を吐き出し、呪文を唱える準備に入る。イッセーからも ﹁わかった。﹂ ?····· 18 ! ﹁おい、オーフィス。恐らく緊急事態だ。外の声どころか、一誠の全て ? ? ····· ? ····· ﹁ ····· ﹃愛は憎を生む。抱いてはならない。その清らかなる心から生まれた ものは他人には決して抱くな。愛は振舞え。憎はいつでも己の中に。 戒禁﹃慈愛﹄機動。﹄ その瞬間。全ての時が凍ったように止まった。 19 なんで体が動かないんだ 秘密の扉の先は地獄 っ、なんで ! なんで動かないんだ 動け動け動け動け た。そう。踏み出したはずだったのだ。 なんで ! ヒーロー気取りだと言われた。 知らないだろ。 グーちゃんの優しさを知って 俺の家族を馬鹿にするなよ。 オーちゃんの愛らしさを知っているのか お前が俺の家族の何を知っている いるのか 知らねぇのに ?····· るのだろうか ーーそこで問題。今激昂している彼を止められるような人物がい 愛してやまなかった大切な存在だったのだ。 うしても彼は許せなかった。我慢ができなかった。それほどまでに 結局は彼が我慢すれば済む話であったに違いないだろう。でも、ど ? で も、家 族 の こ と を 馬 鹿 に さ れ る の だ け は 許 さ な か っ た。屑 と、 ら。別に自分のことについて何と言われようとも構わなかった。 貶められるのは別に良かった。ただ自分が耐えればいい話なのだか 鹿にされた彼の目に映っていたのは深い深い憤怒であった。自分を もう彼の目にあるのはただただ深い燃えるような怒り。家族を馬 ! ルのようにはね飛ぶ彼を見て、尚も追撃しようと足を踏み出そうとし 怒りに身を任せ、兄を名乗る何者かをぶっ飛ばした。スーパーボー 1歩も足を踏み込むことが出来ない兵藤一誠は今困惑していた。 ! ····· ? 20 ! ? ﹁イッセー。ちょっとばかし説教だ馬鹿野郎。﹂ ﹁イッセー。今回ばかりは我も許さない。﹂ 答えはYesである。 ﹂ ない。今彼の頭を駆け巡っているのは﹁後悔﹂と﹁自責の念﹂である。 ﹁ 久しぶりの拳骨だぁ、一誠。歯ぁ食いしばれよ。﹂ 怒りを顔に滲ませた夕霧は躊躇なく拳骨を放った。 21 目の前に現れたのは紅色の髪の毛を靡かせる、凛とした顔立ちの男 性。それは彼の父親であるグレートレッド。またの名をグーちゃん、 夕霧ともいう。 そしてその隣で一誠を睨みつける少女。グレートレッドと同じよ うに髪の毛を靡かせ、その顔には普段からは想像できないほどの怒気 が含まれていた。彼女の名前はオーフィス。またの名をオーちゃん。 あっ、 澄玲ともいう。 ﹁ ····· そんな愛しの存在を前にした彼に今、先程のような怒りなど、もう ····· ····· その瞬間、一誠の負の感情など吹き飛ばすかのような痛みと突風が 彼の頭上を襲ったのだった。 △▼△▼△▼△▼△▼ ここは どこだ ? ここは、オカルト研究部か。 俺は確か誰かを迎えに行っていた。そして廊下で話をしながら ····· のだ。じゃあ なんで俺はここにいる ? 意打ちであったため、直ぐに立ち直ることが出来ずに意識を手放した う。あ の 変 態 に ぶ ん 殴 ら れ た の だ。そ れ も 勢 い よ く。い き な り の 不 その誰かを思い出した瞬間、ただならぬ怒りが身体を支配した。そ こっちに向かって、それで ゆっくりと上体を起こし、頭に手を当てて考える。 ここがどこなのかは容易に導き出せた。 ンジ、そしてどこかオカルト風な彩りであるインテリアの数々から、 た。そしてその瞳の主の髪の色と目の端に映る微かな淡いろのオレ うっすらと目を開けると心配そうにこちらを覗く2つの瞳があっ ····· がらもこちらをチラチラと伺う朱乃。チョコレートを口に含みなが 目に映るのは、こちらを不安そうに見つめるリアス。お茶を入れな 頭から手を離し周りを見渡す。まずは状況確認をせねば。 ····· 22 ····· ····· ····· らも、どこか不安そうな目でこちらを見る小猫ちゃん。良かった、と ♢ ♢ と言いた 呟いてどこかホッとしているアーシア。そして木場はある人物の監 視をしていた。 その人物とは ﹁あっ、やっと起きたよこの愚兄。﹂ ····· さきほど殴り飛ばした張本人である兵藤一誠であった。 ♢ ? ♢ ? それと安心しろ。お前は人間なのだから負の感情など湧 生ありえん。﹄ ﹃イッセー。家族が大事なのはイッセーだけじゃない。 だから頼りにして。嫌いになんかならないから。﹄ 我も大事。 あんなに大切だ、なんて言っておきながらどこか一線を引いていた し、辛くも思った。そして自分はなんて馬鹿なんだとも。 ちゃぐちゃ。自責の念に苛まれていた俺には本当に嬉しくも思った こ の 時 の 俺 の 顔 っ た ら 酷 か っ た の だ ろ う な。涙 と 鼻 水 で 顔 は ぐ ····· き水の如く湧くものだ。俺達はその程度でお前を嫌いになるなど一 計にな。 ﹃隠し事があるのならちゃんと話せ。それもお前に関わることなら余 そして言われたのだ。 目で睨まれた。正直、グーちゃんのより堪えました。 くなるくらい拳骨を浴びせられて、オーちゃんからはただただ冷たい はい。めっさ怒られました。グーちゃんには虐待だろ ? ····· 23 ! ? のだ。自分の過去を偽り嘘をついていたのだ。そんなのが本当に﹃家 族﹄だなんて言えるのだろうか。ー答えは否であろう。だから俺は全 てを打ち明けよう。ある程度のケリをつけてから。 そう考えた俺は兄をお姫様抱っこし、オカルト研究部へ連れていっ た。 重 そ う な 扉 が 眼 前 に 立 ち 塞 が っ た 時 は 少 し ば か り び っ く り し た。 こんな大層な扉を用意できるのなら暖房を教室につけてくれと切に 願った。 と思ったがこの学校はそういう所だっ 扉を開け、その向こう側にいたのは男女比が狂っている異空間で あったのだ。ハーレム万歳 彼に何をしたの 連れてきてあげ ﹂ た な。と 目 蓋 を 閉 じ、思 い に 耽 っ た。思 い 返 さ れ る の は 虐 げ ら れ る 早く信八から手を離しなさい 気絶させた原因も俺ですけど。 まったく、周りの奴らの警戒心と不安がひしひしと伝わってく たのは俺ですよ このリア充が。 あぁ、リア充ってあれか それはピカチュウな。 ︵ ! 日々。まともに女子と交流出来ていないなぁ。 あなた そんなことを考えていると声が掛かる。 ﹁っ ! それは饅頭な。 つ。︶ 黄色の電気を纏う鼠。︶ ︵イッセー。我それ知ってる。あの白色の生地にあんこはいってるや ? 24 !····· 早くてを離しなさいはないんじゃないですかね ! る。よほどこの愚兄が心配なのだろう。 ? ? ! ····· ····· ····· ーー2人ともどした 頭大丈夫か 心配になってきたぞ。 ? ってあれ あの白い子って確か こえませーん。バーカ。 様です。 あぁ。そういうこと。お疲れ ····· まりマース。恥ずかしいので。だからグーちゃんの荒い声なんて聞 る俺の方がリア充なんじゃないか思ったのは秘密だ。シャーター締 おちゃらけた雰囲気の二人、こんないい奴らに囲まれて生活してい ? かりそうだ。 △▼△▼△▼△▼△▼ !! テメェェェエエ ! 何処かで嗅いだことのあるような し て 信 八 先 輩 の 視 線 の 先 に は ど こ か 面 倒 く さ そ う な 顔 の 一 誠 先 輩。 信八先輩が怒り狂い、一誠先輩に飛びかかろうとしていました。そ ﹁いっせぇぇぇえええ ﹂ シャーターを殴りつける暴龍2匹を押さえつけるのには時間がか ーー早く起きてくれよ愚兄よ。 から監視され続けたことぐらいだろう。沈黙がとにかく辛かった。 そこから先は特に何も無かった。強いていうならば、イケメンくん ? ﹁まぁまぁ、俺に憎しみを抱いちゃダメだよ。兄者。﹂ ? ····· 25 ····· おかしいですね ····· そして何故そんなに余裕そうなのですか 私の思考が彼の放った言葉に遮られました。それにしても憎しみ を抱いちゃダメ ? な、なんで動けねぇんだ ﹂ ! でも怖いです。 っ ! 彼も何か持っているのでしょうか なんか面倒くさいのでパパッと言いたいことだけ言って帰ります ? ﹃ごめんね を募らせる哀しい目。それは何処かで見たことがあるものでした。 うものが映っていたのです。燃え上がるような決意とどこか寂しさ 頭を掻きながらため息をつく彼。その目には信八先輩とは全く違 ね。﹂ ﹁ ました。一誠先輩の何かの神器 するとピタリ。と時が止まったかのように信八先輩の体が止まり ﹁なにふざけたことを ····· した。今の彼も昨日と同じくらいの殺気を纏っていました。正直私 は今代の赤龍帝で、昨日戦った中級堕天使をも瞬殺するほどの強さで 私は信八先輩の戦いっぷりを昨日、この目でちゃんと見ました。彼 ? 白音。﹄ それは思い違いなのでしょうか。いえ、思い違いであってほしい 信八先輩が言うような人ではないと思います。変態で それはあまりにも軽々と出た言葉。まるで殺すということを何 とも思ってない言い方。右足が出たら左足が出る。それくらい短調 鹿にするようならば容赦なく殺しますんで。﹂ ﹁えーと、あっ、そうだ。俺と俺の家族に手をかけたり、貶めたり、馬 人物では絶対にないと思います。 議なくらいでした。その根拠は勿論彼の目。信八先輩が言うような もないし、人格破綻者でもない。逆に何を思ってそう言ったのか不思 見る限り 先輩を見なくては。 ぶんぶんと頭を振り、彼を観察することにしました。今はこの一誠 のでしょうか。 ····· ····· 26 ? ····· ····· ····· な物言いで、それが一層と私を恐怖させたのです。 昨日までやりたい放題されてたようですし。﹂ ﹁ではでは。あっ、無能姫さん。ちゃんとこの町守んなきゃダメです よ そこまで知っているんですか。い、いえ、今のは別にリアス先輩 のことを無能姫と認めたとかそういうんじゃないです。ほ、本当です お、おっほん。 ﹂ 私が聞きたいのは何故この領地の主がリアス先 輩だと知っているのかです。 ﹁な、何故あなたが私が領主であることを知っているのかしら それは俺達が最強の家族だからです。﹂ 誰も声を発することが出来ず、誰も身動きすらできない。そんな空 その言葉とともに、彼は一瞬にして霧のように消え去りました。 ﹁ その言葉に何も答えず、彼は扉の方を向いてこう言ったのです。 !? よ ····· ♢ ♢ ? 気がオカルト研究部を埋め尽くしていました。 ♢ ? ♢ ? 大分怒っているようだ。ごめんなさい。隠し事とといいシャー まずは ずは話さなくちゃ。 そうさなぁ ····· こと。﹂ ﹁まず、隠し事は2つあって、1つは俺のこと。もう1つは隠し家族の ····· 家族の一面を知れたので別に良かったかなーと思っている。でもま ター閉じたことといい、意外と根に持つようだった。意外と知らない ﹁2人用だからだ。ほら、オーフィスと俺でちょっきしだろ。﹂ ですかねぇ。 今は床の上で正座してます。なんでソファに座らせてくれないん ﹁ーーという訳で一誠。まずお前の隠し事を話してもらうぞ。﹂ ? 27 ? ····· ? ····· ····· その言葉に目を見開き、驚くグーちゃん。デメキンみたいだよ、素 ちょ、ちょっと待て、その家族というのは 敵。 ﹁ ﹂ 悪の象徴みたいな黄色の吸血鬼さんは悪魔勢力に。 最凶の雑草刈り名人は天使勢力に。 メルヘンホストは堕天使勢力に。 自らを人外と名乗る少女は禍の団に。 ﹁は、はぁあああああああああ ﹂ !!!??? 28 ····· うん。今はここにはいないよ。ある場所に行ってもらってるから。 ····· お、昨日の仕返しができたかな。 そんな父親の咆吼を聞き、彼はニッコリと微笑んだのだった。 29 ︻愛を叫べ ︼ ︻第1章︼戦闘校舎のフェニックス Vivace 一誠。混乱していて、よく話の内容が掴めん。できるだけ簡潔な ! て、俺の大事な家族。 ﹁ ﹂ なるほど。大体はわかった。だが何故隠していた 容ではないだろう 隠すような内 俺の兄貴を名乗る何者かを追い詰めるた ? にそれぞれ入ってもらったんだ。﹂ 何故そこまであいつを毛嫌いする ? ﹁ やけに心まで通った。冷たく、冷たく広がっていくのがわかる。 相変もわらずこちらを見つめながら呟く。どこか力強そうな声は なかったのだが、そこまで悪いヤツでもなさそうだぞ。﹂ ﹁ 兄貴がいるだなんて聞いてい ﹁まずは外堀を埋めようって考えて、あいつが手を出そうとする戦力 んは真剣に、オーちゃんも真面目に聞いてくれている。 1度話を区切ってグーちゃんとオーちゃんを見つめる。グーちゃ めに動いてもらっているんだ。﹂ ﹁その家族っていうのはね 過去捏造に絡めて話をしよう。 納得したと思ったらまさかの追撃。まぁでも、それに関しては俺の ? 思っている。創造物なんかじゃない。ちゃんとした命がそこにあっ 言 っ て し ま え ば 俺 の 創 造 物。だ け ど ち ゃ ん と し た 家 族 だ と 俺 は と。﹂ ﹃派生﹄の混合技なんだ。つまりは漫画であったり、小説の人物ってこ ﹁うーんとね。まずここにはいない家族っていうのは﹃見聞稽古﹄と も混乱する。 んは未だ混乱しているようだった。こんなこと突然言われたら俺で 衝撃の告白をしてから約5分後。先程までほうけていたグーちゃ 説明を頼む。﹂ ﹁ !! ? 良い奴だったら何もしないよ。﹂ 30 ····· ····· ····· ····· その言葉に少しぶっきらぼうに答える。グーちゃんに悪気がない のはわかってはいるが、あんな奴を﹁悪いヤツじゃなさそう﹂と評価 したのは悔しかったし、哀しかった。 ﹁ そうか。﹂ グーちゃんがそこで言葉を止める。そしてそれと同時にこの空間 この空 う切り出そうとタイミングを見図るがなかなか踏み出せない。 すると、突然オーちゃんが立ち上がり、こちらへ向かってくる。 え、どうしたの ? え しょ 大丈夫。我がやっつけるから。﹂ ﹁我、大体のことはわかった。そいつがイッセーの幸せを奪ったんで さっきから混乱しっぱなしだ。え、どうしたのオーちゃん くる。そして│俺の膝の上に座った。 俺の考えていることなど気にもとめない様子でこちらへ向かって ····· 間は嫌だなぁ。いつもみたいにバカ騒ぎしていたい。話を切り出そ の時も止まった。鳴り響くのは規則正しい時計の針の音。 ····· ? ? うん。ありがとね。 ﹁俺はあいつに全てを奪われた。家族も、友人も、自分の全てを奪われ い感覚を与える。昨日の、さっきまでの心地良さ。 オーちゃんの頭を撫でる。さらさらとした髪の毛が手に心地の良 ﹁ありがと、オーちゃん。﹂ オーちゃんの顔を見れて少し心が晴れた。 えないが恐らくはいい顔しているんだろうな。普段見せてくれない 彼女の柔らかな髪があたってくすぐったい。こちらからは顔が見 ? 31 ····· ····· ····· たんだ。﹂ デメキンみたいだよ、結婚して。 グーちゃんが目を見開きこちらを見る。さっきまでの重たい空気 はどうしたの ﹁だけど、俺を愛してくれる家族がいる。オーちゃんが、グーちゃん が、今は会えないけどまだ沢山いる。﹂ 俺はあいつが嫌いだし、憎い。だけど 張って言い切れるだろう。断言出来るだろう。 咲 か せ よ う 最 高 の 向 日 葵 を。輝 か し い 笑 み を。今 の 俺 な ら 胸 を ちゃんとも会えて。本当に幸せだよ。﹂ ﹁俺 は こ れ で よ か っ た の か も し れ な い。グ ー ち ゃ ん と 会 え て、オ ー ····· 家族3人を取り囲むのは暖かな空気。彼はそっか、と笑って、彼女 ♢ ♢ はうん、と呟いた。 ♢ ? 冷蔵庫:イッセーの野郎が幸せそうで何よりだ。それより早くあの クソ野郎を殺したい。ダメ 金髪デブ:そうだな。今回は悪魔勢力を味方につけるように誘導す セーを立てつつ愉快なパーティにするようにしなくちゃ。 最高峰のBBA:僕としても早めに始末したいけどダメだよ。イッ ? 32 ? ? ♢ ? ﹃イッセーを愛でようの会:念話回路にて﹄ ? るから今は我慢しておけ。フィナーレは全ての勢力が集結した時で いいだろうよ。 病弱腹黒:そうですね。それが一番いい幕締めだと思いますよ。そ の時に処分でいいでしょう。いえ、処分なんていう生温い始末の仕方 で済ませる気などありませんけどもね。 彼らはイッセーの家族である。そしてイッセー大好き。彼を観察 するために自分たち独自の念話回路を作り上げ、様子も観察すること ができるようにした。なんと素晴らしい愛情であろうか。イッセー がこれを聞けば、 ﹁愛が深すぎて重い﹂と言うのだろう。やはり彼は幸 せ者である。 イッセーの知らないところでとある計画が着々と進んでいくので 話を端折りすぎだって て、朝になったら起きて、朝ご飯食べて、学校に来たんですよ。勿論 グーちゃんとオーちゃんは俺の中にいます。 ︵おう。いるぞ。︶ ︵我、とーじょー。︶ はい。 そして悪魔勢力の管理者から昨日連絡が入って、﹁明日面白いこと あるからオカルト研究部へ行っとけ。﹂とのこと。彼も来るようなの で楽しみだ。 そんなこんなで今は放課後。授業は全部終わったし、後は帰るだけ 33 あった。 え ? △▼△▼△▼△▼△▼ 今日も元気にグットイーブニング ? 特にこれといってな何もなかったんだよ。あの後お風呂入って、寝 ! なのだが、今日は昨日言われた通りにオカルト研究部、略してオカ研 に行こうと思う。 ︵ 楽しみだなぁ│ もう来ているようだぞ。2人の新しい魔力を感じる。︶ そうだね。じゃあ早く行こうか ! ん ! 鞄を手に取り廊下に出る。目指すはオカ研 ! ! 昨日とは違って、やけに足取りが軽かったような気がした。 34 ····· 諦めないうちは失敗ではない。だがもう手遅れ ここはオカルト研究部部室。いつもは活気で溢れていたこの明る い部屋は今となっては暗く、重たいものになっていた。 その原因というのは﹁リアスの婚約﹂である。政略結婚の様な仕打 ちに対してリアスとその眷属は共に憤慨していた。王である彼女の 幸せを願っていた彼女等にとって、これほどの屈辱と悔しさはなかっ た。 だが、彼女の口から悔しさと息苦しさの吐露が終わった時であっ た。一人の少年が口を開く。 ﹁大丈夫だよ、リアス。僕が絶対にそんなことをさせない﹂ それは彼女の大好きな、彼女等の大好きな人の力強い言葉であっ た。その言葉を放ったのは最強の赤龍帝である兵藤信八、その人で 私はどうも信用で 見て、どうにも信八を信じきれていないようだった。彼女をそうさせ たのは信八の言動。そして一誠の本質。 信 八 の 言 動 に つ い て は 特 に 言 う こ と は な い。な ん て こ と は な い。 35 あった。 ﹁そのフェニックスとやらに強さを証明すればいいだけだよ。こんな に強い俺がいるんだから弱いお前は不要だって言ってやればいいの さ。非公式のレーティングゲームでもいい。とにかく強さを証明す るんだ﹂ 十八歳の少年から放たれた言葉とは思えないほどの重みと力強さ。 自信満々な顔つきにリアスは安堵し、眷属たちもほっとした。そう だ。大丈夫。信八が、赤龍帝がいるじゃないか、と。 信八先輩がいたらどうにかなるんだろうけど だがしかし、この中に微かな不信感を抱いていた人物がいた。 ︵ ····· それは塔城小猫。通称小猫ちゃんである。先日の一誠との一件を きてない。︶ ····· ただ彼女は気づいただけなのだ。彼の体面のいい仮面に。優しい笑 顔に、誠実な態度に、暖かい言葉に、それらに全て嘘と演技が入って いたと気づいただけなのだ。 そして兵藤一誠の本質。彼女は一度見ただけだが、信八が言うよう な人ではないと分かった。信八とは違う本当の優しさを持っていて、 暖かさを持っていて、そしてーー愛しの姉の匂いをどこかに漂わせ て。 再びじっと信八を見つめる。その顔にはよく見なければ気づかな い打算的な何かが潜んでいた。今この瞬間だって表に出る言葉とは 違う何かを考えている。その顔を見るに、やはりどこか信用が出来な かった。ここに一誠先輩がいたらいいのに、とどこか頭の隅で考えて いる自分がいた。 随分と可愛い小悪党 36 ﹁ーーそこでフェニックスを叩き潰すんだ。大丈夫だよリアス。だっ て俺がいるんだからさ﹂ にっ、と笑い腕を組んでソファにもたれかかる。話は終わったとば かりにリラックスできる体勢に入る。話は終わったらしい。そう思 い、各々がそれぞれ自分のしたいことをしようとした時であった。 ﹁そうか。貴様がフェニックスを打ち倒すか。 来訪者の顔はどこか楽しそうだった。 して突然の事態に攻撃体制に入る眷属達。だがそんな眷属達を見る て銀髪のメイドだった。いきなり何もない空間から現れた彼ら。そ 突如として現れたのは黄色の服を着こなすごつい体型の男。そし 当然でしょう﹂ る 赤 龍 帝 な ど リ ア ス 様 の 傍 に い る の に 相 応 し く あ り ま せ ん か ら ね。 ﹁そう言ってはいけませんよ、DIO。フェニックス如きに遅れをと だが何とかなりそうだな﹂ ····· ﹁っつ、グレイフィア どうしてここにいるの ﹂ ダメですよ、リアス様。まずは眷属達の矛をしまわせないといけ !? 嘘だろ なんでコイツがここにいる ! ! みを前にとある男は驚愕の色を隠せていなかった。 ︵おいおいおいおいおい ︶ 想させるその笑は魅力的なカリスマに溢れていた。だがその男の笑 くっくっくっ、と笑うのがとてつもなく似合う男の笑み。魔王を連 にいるメイドなど有象無象のコスプレ集団ではないか。﹂ ﹁おいおい、笑わせるなよ。貴様がただのメイドさんならばそこら辺 う。 に着く。どこからかブフォという声が聞こえたのは気の所為であろ にこり、と柔らかな笑顔。それを見た眷属は安心し、それぞれが席 お収めください﹂ ﹁私はグレモリー家に仕えるただのメイドです。ですからその闘気は ていた。 激昂するリアスと至って冷静なメイド。眷属達達は完全に混乱し ません﹂ ﹁ !? ﹂ やはり貴様は俺のことを見たことがあるのだな。目にあるのが驚 ﹂ ﹁おや、DIOはどこかで会ったのですか 愕の色だぞ ﹁ たボスなのだ。 た最強の存在。ハートマークと黄色の服が印象的なカリスマに溢れ 目の前にいるのは最凶の吸血鬼。物語の主人公を何度も追い詰め ! バタン ﹁そして俺が来た ﹂ からこそ知識にある彼とは違う面に信八は混乱していた。 話す彼はどこか楽しそうな色を滲ませて意気揚々と喋っていた。だ だがどこかが違う彼。DIOはどこかが違った。グレイフィアと ﹁いや、知らんぞ。完全に誰コイツ状態だ﹂ ? ? その混乱に乗じて登場したのは兵藤一誠。扉を豪快に開け、堂々と ! ! 37 ····· ····· 部室に侵入してくる。 ﹁さっきから地の文がしつこいので巻で﹂ 指をくるくるしメタ発言を放った彼は笑っていた。 △▼△▼△▼△▼△▼ あったら欲しいな﹂ ﹁さっきから地の文多すぎ。慣れなさ過ぎてツライ﹂ ﹁そういうことは言うな﹂ あっ、お菓子ある ? 虚ろな目をしている。 きが隠せていない。信八にいたっては口をだらしなく開けてどこか 楽しそうに談笑をするDIOと一誠。それに反してリアス達は驚 ﹁えー面倒くさいなぁー。 ····· 貴方がDIOの言っていた一誠様ですか。どうも初めまして。グ レイフィア・ルキフグスと申します﹂ ﹁おぉ、これはこれはご丁寧にどうも。俺の名前は兵藤一誠です﹂ お互いにぺこりと礼をして挨拶をする彼等。その実態は最強の女 迷惑かけていませんか ﹂ 王と呼ばれる悪魔メイドと絶対的な強さを誇る人間である。かなり シュールだ。 ﹁あっ、そうだ。DIOはどうです ? ﹁ええ、そう言ってくれると大変扱いやすくなります。これからも奴 もいませんでしたよ。これからも奴隷のようにお使いください﹂ ﹁おぉ、それは良かった。まさかカリスマ︵笑︶が役に立つとは思って がある。 るようだった。チョコボールを口に運ぶその姿はどこか可愛らしさ 一誠のせいかはわからないがDIOはかなり温厚な性格になってい 微 笑 み な が ら お 茶 を 啜 る 彼 女 と チ ョ コ ボ ー ル を 口 に 運 ぶ 吸 血 鬼。 ﹁おい、︵笑︶ってなんだ。︵笑︶って﹂ うるさい老害達も静かにしていますし、大変役に立っていますよ。﹂ ﹁いえいえ、迷惑だなんてとんでもない。彼の自慢のカリスマ︵笑︶で ? 38 ﹁ ····· 俺様は奴隷のようになど扱われるつもりは無いぞ 隷のように働いてもらいます﹂ ﹁おい ﹂ ﹁と、いうわけだDIO。これからもよろしく頼むぞ﹂ ﹁話を聞けぇえええ ﹂ ! た。 ︵なぜ信八の弟がいるの そしてあのDIOって奴は誰なの ︶ !? !? 一番冷静であった朱乃が尋ねる。 ? ﹂ えーとですね。フェニックス家との ﹂ 仲介役に来たのですよ。多分もう時期来るのではないでしょうか その言葉に誰も声を出さず、沈黙をする。 ﹁なぁ、フェニックスって完全に焼き鳥だよな ﹁お前は空気を読むことを覚えろ﹂ ? ? とで深追いはしないでおこう。 まぁそれでも容赦なくツッコむ者もいるが一誠達だからというこ ﹁﹁いや、ちゃんと覚えておけよ﹂﹂ ツッコミと苛立ちが募るのも仕方が無い。 にまずいことだ。であるのに彼女は﹁あっ、そうだった﹂程度なのだ。 う。メイドが本来の役割を果たすを忘れて談笑するというのは非常 それでいいのかというツッコミを抑えた彼等は賞賛に値するだろ ﹁あぁ、そうでしたね。すっかりと忘れていました﹂ 対しても不信感を抱かなかった。 た。グレイフィアのことは既に知っていたし、彼女と共にいる人物に Oが来た時も普通の態度を崩さず、お茶を淹れてお菓子ももてなし 実際彼女はそれほど焦ってなどいなかった。グレイフィアとDI ﹁それでグレイフィアさんとDIOさんはどうしてこちらに ﹂ ピヨピヨとヒヨコが頭の周りを回っている時であった。この中で いるの そして何故グレイフィアと親しげに話して る。だがほのぼのカオスな彼らとは違いリアス側は焦りに焦ってい げに叫び、一誠となっては話などもう聞いておらずお茶を飲んでい 完全なるカオスである。メイドは満足そうに微笑み、吸血鬼は不満 ! ﹁まぁまぁそんなに慌てないで ····· 39 ! !? 前言撤回だ。一誠とDIOは除くだった。彼らは予想以上に図太 かった。もはや今の一誠は水を得た魚であった。完全に暴走してい る。 ﹁ 少し黙っててもらえないかしら﹂ 自分にとって大事なことであるというのに、どこかふざけた態度で ある一誠に毒づく。それも致し方がないのだろう。 ﹁はい。ごめんなさい﹂ 機嫌を損ねたくない彼は素直に謝った。嫌われたくないという理 由が一番であろうがもう遅い。リアスは完全に敵とみなしている。 ﹁これから話す内容は私にとって、とっても大事なことなの。これ以 上巫山戯た態度をとるようであったら即刻でていって頂戴﹂ 完全なる拒絶だ。信八の慈悲心だと思って一誠という存在を許し ていた彼女だが、自分のこれからについてチャチャを入れられたのは どうも逆鱗に触れたらしかった。昨日信八を部室に連れてきた時か ら、初めて会った時から気に食わなかった。だから今の自分の怒りと 鬱憤を一誠めがけて投下した。 ﹁ ・ ・ ・ え ー と で す ね。じ ゃ あ 一 つ だ け 言 い た い こ と が あ る ん で す け ど ﹂ ・ 早くいいなさいよ、信八の偽物﹂ ・ おもむろに彼は口を開く。 ﹁ どこまでも煩わしい。彼女は信八が傷つけられた時から彼を拒絶 すると決めた。愛しの彼をいたぶったであろう彼を嫌った。 ーーだが ﹁ ﹂ 我が儘言ってんじゃねぇよ、三下が。愉快に素敵に踊り狂いてぇ のか 怒気を含んだ彼の顔を見るに、その意思は間違ったものであろうこ とが確定的であった。 40 ····· ····· ····· ····· ····· ? Re/verse︻垣間見えた本質︼ 兵 藤 信 八。彼 は 転 生 者 で あ る。才 能 に 満 ち 溢 れ、容 姿 も 整 っ て い る。だがそんな利点など打ち砕くような鈍器のようなゲス具合が彼 の 底 に は 渦 巻 い て い た。そ ん な ゲ ス の 塊 で あ る 彼 は 目 指 し た の だ。 ハーレム王に、誰からも好かれる英雄に。憧れた、などという純粋で 清い理由ではない。 強いて言うならば女を食い散らかして悠々自適に暮らしたい。そ れだけであろうか。 だから彼は本来の主人公を貶め、自分がその座につこうとしたの だ。計画通りにいけば万々歳だ。一誠はあとからにでも排除できる、 だが。だがしかしだ。 41 と。確信していた。実際に今の所は上手くいっている。 も味方につけているかもしれない。 だからこそ彼は怒鳴りつけた。 ! てめぇ、リアスに謝れやぁああああ ! ﹁イッセェエエエエ ﹂ な力。警戒すべき点はもっとある。もしかしたら赤龍神帝や無限龍 ろうことは信八にもわかった。DIOという異端児や一誠の不思議 目に怒気を含ませた彼を見るとどうやら一筋縄では行かないであ よりも民を、悪魔の世界を幸せにしなくてはならないんだ﹂ ﹁自分の立場を自覚しろ。お前は王だ。その王たるお前は自分の幸せ ····· それは彼女、リアスのために怒ること。いや、怒っている風に見せ ること。そうすれば自然と軍配はこちらに上がる。心か弱き乙女に ・ ・ ・ 説教をする弟から守る兄。完璧だ。おそらくはオレの評価が上がる だろう。リアス達も、もしかしたらグレイフィアも。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ まだまだ一誠という存在は未知数だがDIOという存在に一誠の 能力は関与していない。そ ん な チ ー ト 能 力 が あ る の な ら ば と っ く の 前に俺のことを殺しに来ていただろう。彼はそう考えた。 ﹁ 黙らんか羽虫が。耳障りだ﹂ 42 ー10年前ー △▼△▼△▼△▼△▼ していた。 だがそんな彼の思いとは裏腹に黄色い閃光が信八の首を斬り飛ば ····· ﹁ ﹂ あぁ疲れた。でも早速一誠一家を侵食しよう。なぜなら英気を養 いたいから ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 皆のアイドル、兵藤信八が帰宅しました ・ ﹂ ・ ! ーーピンポーン ・ ﹁ただいまー 信八 早速だけどあそぼ ﹂ ! ﹁おかえりなさい ! ばたばたと鳴る足音をBGMにしながら彼は口を大きく歪めた。 まずは一誠から追い出すかな。 ・ 語が始まる。まぁ仮拠点なのでやりたいようにやらせてもらおう。 眼前にあるのはインターホン。そう、これからだ。これから俺の物 ﹁ま、こんな便利な能力を貰えたんだ。存分に使わせてもらおっと﹂ 誠一家を見つけた。適当な場所に落とした神は許さん。絶対にだ。 いきなり森に落とされてからさまようこと約20分。ようやく一 ! ! だが一誠は意外とタフだった。物理ではダメ。いくら言っても、い りだった。この世から、ではなくこの家からだが。 できるか、ということだけだった。まず俺はさっさと一誠を消すつも となっては覚えていない。覚えているのはどうやったら一誠を排除 そこから先なんて殆ど覚えていない。最初のワクワクなどもう今 初めまして紫藤イリナ。これからも末永くよろしく頼む。 三日月の形に割る口の中にある黒は深く淀んでいた。 ーーあぁ、たくさん遊ぼうな。邪魔者を消してから。 ! 43 ····· くら蹴っても、いくら殴っても一誠は頑なに自分の居場所を守り続け た。 そんな態度にイラつきを感じたのは一誠家に住んでから半年ほど 惨めに泣き崩れ、ワンワンと泣 たった頃。俺は物理攻撃から精神攻撃に手段を移行した。 そうするとどうであっただろうか ﹄ あっちに行って 遊ぼうよ 触らないで イリナ らった。 ﹃ねぇ ﹃いやだ ﹄ イリナに頼んで恋人となった。イリナに頼んで一誠を拒絶しても いるのかと思った。だから蹴ったし、殴った。 き叫ぶ。温情など求めるなと思った。泣けばなんとかなると思って ? た。 ﹄ ! ﹃お母さん 今日の晩ご飯はなーに 親に頼んで贔屓してもらった。親に頼んで一誠を拒絶してもらっ ! ! ーー彼は一つ心に深い傷をつけた。 ! ! アンタは 近寄らないで ﹄ ! ﹃なんなのよ ! 絵本読んで 亀さんとウサギさんの ﹄ ! ﹃お父さん ﹃近寄んじゃねぇ 迷惑だ ! お前なんか俺の子なんかじゃねぇ ! ﹄ 大きな絵本を頭の上に乗せてとてとてと走って駆け寄る一誠。 ! そんな彼を母は拒絶した。彼は二つ目の傷を心に彫られた。 ! 小さな手をブンブンと振って、ご飯をねだる一誠。 ! ! ! 44 ! ! そんな彼を父は拒絶した。彼は三つ目の傷を心の底に突きつけら れた。 ーー彼は立ち直れないほど傷ついた。 自分の親が知らない誰か に取られていくのを遠目で見るしかなかった。 恋していた女の子がいた。ーーだが信八がいつの間にか奪い取っ ていた。 美味しいご飯を食べたいと願った。ーーたが与えられるのは缶詰 のみだった。 暖かい布団でもう一度寝たいと思った。ーー相も変わらず犬小屋 ﹄ こういうのは クソザコナメクジ ! 後一誠と会うことなんてないと思っていたし、事実、高校まで会わな かった。 45 であった。 もう一度だけ。最期でいい。最期だけでも父と母の言葉が聞き 雑魚。やっぱりスッキリすんね 遊ぼうぜー の一誠くんを退治できて、私、大満足 ﹃イーリーナ ! これが彼の記憶。一誠の居場所を奪って吸い尽くした。だから今 ! ! ! そしてそんな拒絶の言葉と共に一誠もどこかへ消え去った。はい、 ーー結局返ってきたのは拒絶だった。 たい。だから、だからーー ····· だからこそ感じた、一誠の異常さ。彼は敵であろうが過小評価は決 してしない。だからであろう、一誠を天敵と見なせたのは。油断し切 れずにいたのは自分の驕りすぎない性格のおかげだと自負していた。 だ が。油 断 し た。彼 は 一 誠 し か 見 て な か っ た。軽 率 す ぎ た。彼 と和気藹々と話すDIOという存在を軽く見すぎたのだ。DIOの もつ本来の残虐性を忘れて。 △▼△▼△▼△▼△▼ ﹂ だから今度こそ一 よ ····· ﹁はっ ﹁とでも思ってんのか ぞくり。 ? ・ ・ それは ・ ・ ・ ・ 太い螺であった ・ たものはなかった。 きまで過去の思いに耽っていた彼にとってこれほどまでに皮肉めい 目を一誠の方に見やる。口を三日月の形にして笑っている。さっ おにーさまー﹂ 誠の野郎を殺してやろう。さっきまでのもなにかの幻覚だ。 かった大丈夫だ。さっきまでのは夢だったんだ 気 づ け ば 信 八 は 生 き て い た。手 を 首 に ま わ し て 確 認 す る。 ····· ! ····· だがそんな彼の顔よりも気になることがある。 ····· 46 ····· ﹁イッセェエエエエ お前は 一体何者なんだ ﹂ ! に狂気に満ちていた。凍てつくような空気が部室を支配する。だが、 ただただ異常であった。恐怖せざるを得なかった。それほどまで ﹃お兄様のことがだーいすきな兵藤一誠くんですよー。にぱー☆﹄ ケメンの可愛らしい高校二年生のお茶目な姿。だが、 がら笑う。頬に人差し指をくっつけ、むにっとする。傍から見ればイ 信八の口から放たれた咆吼をものともせず、螺をどこかにしまいな ! こんなんじゃダメ おにーさま﹂ そんなのを気にもとめずに彼は言った。 ﹁ ? は紅く、蒼く、翠で、どこまでも狂気に溢れていた。 訪れたのは沈黙である。冷水を浴びせられたような痛さと静けさ。 リアスは、信八は、グレイフィアは、夕霧は、澄玲は、彼の知られざ イッセー。そちら側をあまり見せるな る裏側を見てただただ驚愕していた。 ︵ さな冷や汗であった。 世界が飲み込まれる︶ 腕を組んで思考の海に飛び込んでいた吸血鬼の頬を伝ったのは小 ····· 47 ! 満天の笑みから一転。うっすらと開かれた目から放たれていた光 ····· ···· 混沌に舞い降りる種馬︵鳥︶ ﹁ 一誠。少し落ち着け。お前の中にいる者も萎縮してしまっている だろう﹂ 痛い静けさの中で声を出したのはDIO。一誠の肩に手をおいて 諭すような口調で言葉を発する。 ﹁ 俺はいたって冷静だよ。本当に。本当に冷静だよ﹂ だがそんなのは知らんとばかりに殺気と狂気の入り混じった空気 を吐き出す。先程まであった明るいオレンジ色の部屋などとうの昔 に置いてきた、とでもいうような不気味な発光色が心のそばに纏わり 付く。 ﹁﹁ ﹂﹂ まさに一触即発の状態。片方は世界第5位で片方は世界最強。も まるで空気の重みが違う。 はや息をするのも困難になるくらいの重圧。高くなればなるほど低 くなると言ったのは誰であろうか くる二つの影。 えきっていた空気を取り戻すかのような炎。そしてその中から出て 炎は暖かく、燃え上がるように円陣を中心に火の粉をまき散らす。冷 だがそんな時であった。希望の紅色の炎が部室を照らした。その と揺れ始める。もう既に限界であった。 ンデリアは揺れ、シャワー室のカーテンは揺れに揺れ、窓はガタガタ ほどまでに息苦しい空間であったのだ。天井に吊るされているシャ この部屋の者、全員が祈った。あの信八でさえ祈りを捧げた。それ ーー誰か。誰か来てくれないか。この窮地を救う救世主が。 ? 48 ····· ····· ····· ﹂ ﹁うっへっへっ。どーもどーも、ライザーフェニックスと申します。 これ茶菓子という名の食パンなんですけど食べます が無いくらい媚びている。 フェニックス。こんな奴フェニックス家の恥だ うっわ。まじでチキりましたよこのお兄様﹂ と言われても仕方 紅色の炎の中から片手に食パンの袋を持って現れたのはライザー ? フェニックス。なんとも残念なことに彼の妹なのだ。不甲斐ない兄 に変わってしっかりと世渡りをする社交人なのだ。 ︵ ん 果たして彼らにこの状況が止められるのか。争っているの が。 ····· ない笑みを浮かべながらも目には明確な殺意。そしてその中にある レイヴェルの目に映ったのは狂気をまき散らす兵藤一誠。屈託の ︶ 止められるはずがない れ る は ず が な い の だ。し か も 出 て き た の は チ キ ン と 可 愛 い 女 の 子。 は世界を壊すことが出来る力を持つ二人。そう、普通に考えて止めら だが ····· ? 49 ﹁ ! そ ん な 兄 を 道 端 に 落 ち て い る ゴ ミ と 同 列 に 見 て い る レ イ ヴ ェ ル ····· ····· 憎しみと哀しさ。だがその闇の中にある熱を帯びた愛。今も必死に なって狂気と闘っている。 それは兄の補佐として働いてきた彼女だから分かったのだ。人を 見抜くために養われたこの眼を通して見た一誠は彼女の心を揺らし た。憎しみと哀しさが心の大部分を占める中、必死になって愛を、居 場所を守り続ける彼が。 ﹁ カッコイイ﹂ ね ぇ。俺 っ て い ら な く ね ﹂ もう婚約なんてどうでもいいし帰っ 幸いなことに一誠は普通ではない。だからこそこの場面での彼女 の言葉は大きな鍵となった。 △▼△▼△▼△▼△▼ ﹁ ちゃダメ 妹が辛辣すぎて泣きそう﹂ ? カッコイイだと おいお レイヴェルへの愛ならば誰にも負けない自信ある。 ていうかレイヴェルはなんて言った これは俺には無理だな。レイヴェルの応援にまわろう。︶ 止めた。妹の恋を応援する兄。なんとも素敵じゃないか 俺の選択 さっきまでの攻防を耳と気で感じ取っていた俺は勝負することを ︵ 先程までの狂気の原因。 視線をすーとずらすとその先には頭を抱えて悶える少年。恐らく ? 俺がなぶり殺しにしてやるよ。 ? いるんだぞ 何故なんだ。俺の何がいけないというのか。ちゃんと俺は愛して ﹁ ﹁少し黙っててくださいませ﹂ ? いおい。どこの馬の骨だ、そいつは ? ! ! 50 ····· ··············· ····· ﹂ 肢は決して間違ってなどいない。寧ろ正しいと言えるだろう。 いつの間に居たの 俺の存在感薄すぎじゃないか ﹁って、ライザー ﹁な ぁ 流石に泣きたくなってくる ﹂だ。もうマジで死にたく 帰 っ た ら 眷 属 達 に 癒 し て も ら う ん だ。一 緒 に ス ? 愛しの眷属達よ。 ﹂ 俺はお前との婚約なんか死ん 俺のSAN値はもう限界よ﹂ 婚約なんてどうでもいいって、どういうことなの んねするんだ。もう帰りたいよ て、え もうちょっと黙って ﹂ いいか !? ﹁ ····· どういうことなの うるさいなぁ !? ﹁ もぅ ﹁い、いいから ﹁あぁ ····· だが俺達の意見が一致しようが約束を破った俺達を世間がどう見 だから ﹂ って、ちょっと待て リアス ﹂ 騙されるなよ ! ! るしこれ以上面倒事は起きないだろう。 ﹁ ところに付け込むつもりだぞ ! の赤龍帝とか片腹痛い。 負けとかどうでもいい。それにしても何なの こいつ。これが今代 負けることはプライドに関わるが背に腹は代えられない。正直勝ち もうお前死ねよ。さっさとあの少年に殺害されろ。確かにわざと ! こいつは油断した 言いたいことはハッキリ言ってやった。お互いの利害は一致して 破棄。勝ったら結婚だ。勿論八百長で負ける。ほら、完璧だ﹂ ﹁だからレーティングゲームをしよう。俺が負けたらリアスとの婚約 ﹁ るか。その結果は火を見るより明らかだ﹂ ﹁ 事など守るようないい子ちゃんではない。 は婚約する気などハナからなかったのだ。酔っ払った親同士の約束 ぜぇぜぇと息を吐きながら食パンを握りしめるライザー。元々彼 はっきり言わせてもらうが論外なんだよ ! ! ! ﹂ イーツ食べたりショッピングしたり、綺麗な夕焼けを見て一緒にお寝 な っ て き た。俺 あんなに派手に登場したのに﹁居たの !? ? !? ····· ぞ﹂ ····· ! でも無理だ ! ? ! ? ? 51 ! ····· ····· ····· ····· ····· ライザー ﹂ も う そ れ で い い よ。は い は い、僕 ち ゃ ん の 負 け 負 け ー。服 従 の ﹁そ、そうなのね 口を開いたのはグレイフィアさん。グレモリー家の中で唯一まと るとは思えませんが万が一という場合がございますので﹂ ﹁ ! すみませんが八百長というのは信用できませんね。嘘をついてい ポーズしまーす。ワンワン。 !? まぁ、そう言われるとそうなのだろうが。 ﹂ ? せんからね﹂ ? ギッタンギッタンにしてあげる というわけですが。リアス様もよろしいですか 構わないわ ﹂ ! ﹁ ﹁ええ ! 威張るなアホンダラ。 そうだ。レイヴェルちゃん。俺のところにこないかい 赤龍帝くんだけだぞ ﹁ すぎて変な関西弁になった。 ﹁え、何言っているんですか で、レイヴェルはどういう返答を レイ ごめんなさい。生理的に無理です﹂ 立ち直れないくらい深い傷つけられてやんの まぁた一誠かよ﹂ ! ﹁ ヴェルが気に入ったのはテメェの弟さんじゃボケェ は っ は っ ? ····· ﹁じゃ、俺達は帰る。明日また会おうな赤龍帝。リアス﹂ お前は振られたんだよ馬鹿め。 なんか言ったかもしれないが聞こえなかった。まぁどちらにせよ ! ? おい、なんだよこの赤龍帝。マジで殺したろかな。やばい。苛付き ? ? 馬よりも全然いい生活をさせてあげる﹂ そこの種 そんなドヤ顔で言わないでくれ。見た感じ俺に勝てるのはそこの ! ﹂ ﹁勿論構いませんよ。そこの赤龍帝がいるから修行期間なんて設けま ライザー様はそれでよろしいですか ﹁ですので明日、非公式ですがレーティングゲームを執り行います。 もな人だ。 ····· ! 52 ·········· ····· ····· ····· 後ろは振り返らない。後ろ向きで手を振ったらカッコイイとどこ かの雑誌に書いてあったし。それに顔すら見たくない奴が約2名ほ どいるし。 53 さーて、明日はどうしようかな ?
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