救助工作車:地域の災害特性を考慮した最新車

救助工作車:地域の災害特性を考慮した最新車
由利本荘市消防本部・本荘消防署
救助工作車は、人命救助にとって非常に重要な車両です。多くの資機材
を搭載する必要があり、救助隊員が迅速に動きの取れる車内空間の柔
軟性、また高い機能性を求められます。
常に最新の資機材を搭載し、救助活動の効率を向上するため、救助工
作車は常に進化しています。
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由利本荘市消防本部
市民を守るための本部機能
消火・救急・救助への備え
秋田県の南西部に位置する日本海に面した由利本荘市
は、大海原を望む自然豊かな土地で、県外からも鳥海山の
登山客などを含む多くの観光客が訪れる市です。
海 に 近 い 位 置 に 庁 舎 を 置 く 、由 利 本 荘 市 消 防 本 部
は、2015年3月に庁舎を新築し、大災害時にも様々な役割
を果たす最新型の消防本部です。土地柄もあり、特に地震
に対する災害時には、本部としての機能を失わない様に多
くの工夫がされています。海や川に近いこともあり、1Fは津
波や近くを流れる子吉川の濁流の波力から建物の破壊を
防ぐように、水が抜ける構造になっています。また、本部の
主要機能である通信指令センターや電気機械室などのイ
ンフラは、建物の上層階に配置しています。通信指令セン
ターの床には地震力の制御をするため、免震を考慮した工
事が行なわれ、同階にある大会議室は、大災害発生時の
一時避難所として、直接外から入室できるように外階段を
付けるなど、防災だけでなく人命保護としても機能するよう
にしています。建物の屋上には、消防活動や急病人を搬送
するため、ヘリポートがあります。
資機材や車両の管理、防災訓練や本部内の運営など、幅
広く役割を担っているのが警防課です。
本部には2つの訓練塔があり、 毎日14-15名が消防隊、救
急隊、救助隊として交代で勤務し、訓練を行っています。
その中で救助隊の出動体制は、4名となります。大規模な組
織とは違い、隊員全員が網羅性を持てるよう、訓練について
は、消防隊および救助隊共に同じ訓練を実施し、様々な状
況に備えます。
地域的に海と山に囲まれておりますので、山岳救助、水難
救助それぞれを想定した訓練も行います。
広範囲な活動範囲
20 05年の3月に1市7町の合併で由利本荘市になり、約
1,210m 2 を網羅する県内一の面積となりました。これにより
災害時の各消防署との連携による迅速な対応が重要とな
り、見直しが必要となりました。この新しい体制を支援する
ため、情報インフラの整備もしました。これは高機能通信
指令センターのある消防本部と車両運用端末装置を搭載
した消防車両、救急車両がデジタル無線のインフラを使っ
て、タイムリーに情報伝達が出来る画期的なシステムです。
1つの火災について、出動する車両数は決まっています。同
時に出動要請があつた場合は、近くの分署からの支援も
必要となるため、この伝達システムは、広範囲を管轄する
由利本荘市消防本部の特徴とも言えます。
津波対策として1Fの構造を考慮した高い天井
車両と資機材への拘り
出動時の車両については、異なるものが搭載されていた
り、不足している資機材がないよう、同等の資機材と量が搭
載されるように考慮しています。
それぞれの資機材については、迅速な対応が出来る事が
必須条件となりますので、操作性と堅牢性を重要視するこ
とが多いです。現場で使うものですので、故障が少ない、丈
夫であることは必須です。
救助工作車の導入の際には、同じ資機材でもより高性能
なものがあれば、前向きに検討します。今回ご紹介している
救助工作車は、現場で実際に車両を使用している隊員の
声をより多く反映しました。最新の資機材情報収集は、メー
カー側からの提案だけでなくWEBサイト、雑誌等で日頃か
らリサーチを行なっています。各種講演会時に併設される
展示や、既に同じ資機材を導入している消防本部からの評
価も参考にします。
由利本荘市街地を一望できるヘリポート
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由利本荘市消防本部
由利本荘市本荘消防署の隊員の皆さん
訓練塔を使用した人命救助訓練
救助工作車内には、非常に多くの資機材の搭載が必要と
なりますので、積載スペースの効率化や、緊急出動時に車
内での着装などを考慮し、ハイルーフ仕様にしました。全体
的にも、細部に拘りを持って各メーカーと共に丁寧に作り上
げており、無駄なスペースなく資機材を搭載できていること
に、非常に満足しています。
高性能な資機材を導入するメリット
油圧制御を搭載:オートルーカス
夜間・荒天向け照明:ナイトスキャンチーフ
UCF熱画像カメラの導入は、画像の鮮明さも含め高性能さ
が決め手でした。目視で簡単に判断できることは、早期火
点の発見に繋がり、無駄な破壊の作業も必要なくなります。
搭載している空気呼吸器もですが、ドレーゲル製品は作り
が非常に丁寧かつ、丈夫です。
最新の資機材を導入するメリットは、メンテナンスの観点で
も大きいです。救助工作車は、長く使用する車両ですので、
車両購入時に最新の資機材をできるだけ選定しないと、使
用中に故障したり、修理時に部品がなかったり、代替品が
不足することもあり、実際の救助活動に影響がでます。従っ
て、高機能だけでなく、購入時に一番新しい機種を導入す
ることは安全性の観点でも非常に重要だと考えています。
救助工作車は、隊員の安全な活動、そして市民の救助を円
滑にするための重要な車両です。より機能的な車両は、救
助隊員の安全と効率的な出動を支援し、より早い人命救助
と、被害の拡大を防ぐことが可能となります。今後も地域的
な災害の特徴を網羅した隊員の援護支援として、車両機能
の充実化と様々な状況を想定した訓練を、継続して行なっ
ていきます。
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由利本荘市消防本部
主な仕様
消防車専用シャシ 増トン仕様
形状
キャブオーバー型ダブルシート 4ドア
ホイールベース
3,750mm以下
全長
7,800mm以下
全高
3,300mm以下
全幅
2,500mm以下
総排気量
6,000cc以上
制動・駆動
低床 ABS付き 4輪駆動 パワーステアリング
トランスミッション
マニュアルミッション(6MT)
最高出力
220PS以上
エンジン種別
ディーゼル
乗員人員
6名(前2名、後4名)
動力伝達装置
フルパワーPTO(サイドPTO付)
ハイルーフで着装スペースを十分に確保:空気呼吸器
熱画像カメラ、ガス検知器など最新の資機材を搭載
発刊元
ドレーゲル・セイフティージャパン
株式会社
〒141-0021
東京都品川区上大崎2–13–17
目黒東急ビル 4F
Tel +03-6447-7171
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