NANAMI 鑢八茎 ︻注意事項︼ このPDFファイルは﹁ハーメルン﹂で掲載中の作品を自動的にPDF化したもので す。 小説の作者、 ﹁ハーメルン﹂の運営者に無断でPDFファイル及び作品を引用の範囲を 超える形で転載・改変・再配布・販売することを禁じます。 ︻あらすじ︼ 望み通り弟である七花に殺された筈の七実。 しかし気がつけば新しい弟を持ち、本来なら忍ぶはずの忍が忍ばぬ妙な世界に来てい た。 イタチとの出会い │││││││ うずまき七実 │││││││││ 1 目 次 うちはシスイ │││││││││ 5 旅立ちと再会 │││││││││ うちは虐殺 ││││││││││ 葬式 │││││││││││││ 化け物 ││││││││││││ 9 14 19 31 25 うずまき七実 木ノ葉の里のとある森の中、一人の少女は本を読んでいた。 ペラっと紙をめくる音と時折聞こえる鳥の鳴き声以外何も聞こえず、静かなものだ。 だからこそ少女のお気に入りの場所なのだが。 ねえちゃ││﹂ 本を読んでいた少女はパタンと本を閉じ立ち上がる。そして││ ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹂ ﹁おーい ﹂ 動いているから生きているのだろう。 !? そ、声帯を抜き取ってあげようかしら﹂ か、勘弁してくれってばよ姉ちゃん ﹂ 私が本を読んでいる時は静かにしてと⋮⋮いっ 叩かれた少年は本で叩いたとは思えぬほど吹き飛び地面に激突した。時折ピクピク 森の奥から笑顔でやってきた金髪の少年の頭を本で叩く。 ﹁へぶん ﹁うるさい﹂ ! ! ﹁ナルト、何時も言っているでしょう ﹁ひぃ ! ? 1 ﹂ 姉の言葉にガタガタ震える弟、ナルト。彼は幼少期姉に爪を噛まないように何度も注 俺、穴場を見つけたんだぜ 意されても直さず、爪を全て剥がされた経験を持つ。 ﹂ ほら、今度花火あるだろ ﹂ ! ﹁⋮⋮それで、何のようなの ﹁あ、そうだ ﹁そう。それで準備をしよう、ということ ? ? でおきましょう﹂ ﹁やっぱ屋台は回らねえの ? ﹂ ﹁ええ、だって死人が出たら困るでしょ !? ﹂ ? ﹂ 出ないわけにも行かないものね。取り敢えず、花火を見ながら食べる物を今の内に選ん ﹁そうね、それなら外に出ても良いわ。せっかく健康に生まれたのに、何時までも人前に 笑ましい。 自信満々に自己評価を高めるナルトに姉は微笑ましそうな笑みを浮かべた。実際、微 ﹁⋮⋮⋮⋮クス﹂ ﹁姉ちゃん人が多い所は嫌って言うから、俺ってば頑張って探したんだってばよ∼﹂ ? ! ﹁どんな屋台巡りだってばよ うずまき七実 2 ﹁のう、七実よ﹂ ﹂ ? ﹁ええ。期待しています。それと、王手です﹂ ﹂ ﹁⋮⋮⋮そうか。ワシ等も、早い内に犯人を捕まえよう﹂ 実に出来るとは思えない。 い。確かに影分身などが使えるなら話は別だが未だアカデミーにすら通っていない七 男が襲われた時間、七実は猿飛と碁を指していた。その間に男を殺害できるはずがな 私も怖いですからね、と付け足す七実を見て猿飛はむぅ、と唸る。 ことを祈っています﹂ の男ですか。顔の皮を剥がされるなんて⋮⋮随分な目に遭いましたね。犯人が捕まる ﹁⋮⋮⋮ああ、ナルトがお金出してお面を買おうとしたのに化け狐と罵り追い払ったあ ぬか ﹁先日、祭りでお面屋をしていた男が顔の皮を剥がされた状態で発見された。何か知ら けっぷりである。 のは七実だ。きっと一流の棋士とてこの戦況を覆すことは出来ないであろう見事な負 祭りの翌日少女、七実は三代目火影と将棋をしていた。誰がどう見ても、勝っている ﹁何ですかおじいさん、待ったはもう聞きませんよ ? 3 猿飛と別れた七実は重力を忘れたかのように、木ノ葉の里の屋根から屋根の上を跳ん でいく。 と七実は首を傾げそう チラリとバレぬように後ろを振り向けば仮面を付けた集団、木ノ葉の暗部﹃根﹄が付 けてきていた。あれで気づかれていないつもりなのだろうか 実際、暗部達も七実の身体能力にこそ驚きはすれこちらに気づいた様子のない七実を る。 になるがなんとか我慢し、そのまま異常な身体能力を持っただけのただの子供を演じ ? と考えた瞬間、隣の男の首が消えた。 見てここ最近起きている変死事件の容疑者として名が上がった七実を追跡したのは時 間の無駄では ? 翌日大量の暗部の死体がゴミ捨て場から発見された。 えば誰にも気づかれることなく姿を消した。 路地裏に死体を放置した七実は誰にも気づかれることもなく路地裏から出て、かと思 日中に私以外の容疑者にツイてる暗部を皆殺しにしておきましょう﹂ ﹁あ、これじゃあ私が犯人って言ってるようなものね。仕方ないわ、少し面倒だけど、今 うずまき七実 4 イタチとの出会い 七実が暗部数人を殺した日から一週間程経ち、新たに七実の監視についていた暗部は 何時の間にか消えていた。 七実は濡れた服を確認し暫く考えた後そうつぶやくと近くの木の皮を素手で紐のよ ﹁⋮⋮⋮最近暑いし、この池の水も綺麗なようだからちょうど良いわ﹂ 七花が申し訳無さそうに鳴くと素直でよろしいと七実は頭を撫でてやった。 ﹁にゃー﹂ ﹁全く。あなたのせいでずぶ濡れよ⋮⋮気をつけなさい﹂ やる。 そして池に落ちた。七実はもう、と呟きながら溺れている七花を引き上げ陸において ﹁あ、こら七花﹂ 花が追いかける。 ら呟く。猫は気持ち良いのかにゃーと一声鳴いた。と、その時一匹の蝶が飛んできて七 うちはの移住区の池の近くで七実は嘗ての弟の名を名付けた野良猫の顎を撫でなが ﹁証拠なんて残すわけ無いもの。あなたもそう思うでしょ七花﹂ 5 うに切ると別の木に結び服を吊す。火遁で火を起こし自身は池の中に入った。 蒸せるような熱気の中からヒンヤリした水の中に入り七実は思わずほぅ、とため息を はいた。 ﹁昔なら、こんな事をしたらすぐに体調を崩してたわね﹂ ﹂ 病的なまでに白い肌を水滴が滴り、父母どちらにも似ない黒髪が濡れて艶を一層際立 失礼ながら、覗きにしても対象が幼すぎると思いますが たせる。左腕の肌を濡らした右手の平で撫でながら不意に茂みを見つめる。 ﹁アナタは誰でしょう ? れますが ﹂ ﹁ええ。未だ人を欲情させるほどではないとはいえ、女児の裸を見るのはどうかと思わ ﹁⋮⋮⋮驚いたな。気づいていたのか﹂ ? ﹁生憎。今世、私の最初の記憶は両親の死に顔でしたので﹂ ﹂ 池から上がると水遁の応用で肌と髪についていた水を落とし渇いている服を着直す。 だったことを思い出す。顔を逸らしている少年は見えないだろうが謝罪の一礼をして、 茂 み か ら 現 れ た の は 七 実 と は 少 し 年 の 離 れ た 少 年。少 年 の 指 摘 に 七 実 は 自 分 が 裸 ﹁あら、これはお目汚しを⋮⋮﹂ ﹁そう思うなら、服を着てくれ⋮⋮⋮﹂ ? ﹁⋮⋮大したモノだな。その年でそこまで忍術を⋮⋮親に教えてもらったのか イタチとの出会い 6 ? ﹁⋮⋮すまん﹂ ﹂ ? これは本当だ。この近くに俺の修行場があって、珍しく人の気配 ! ことはわかりましたしね﹂ ﹁そういう君は、うちはの者じゃ無さそうだが何故ここへ ﹁七花⋮⋮猫の縄張りがここなモノで。ね、七花﹂ ? あ、私はうずまき七実と言います。両親がいないの 七実が呼ぶと七花は七実の下まで走り寄った。 ﹁みゃあ﹂ ﹁そういえば、お名前を伺っても ﹁うずまき⋮⋮ だとすると親は⋮⋮ん なら物心ついたのって⋮⋮⋮﹂ で、一応は家長と言うことになるのでしょうか⋮⋮﹂ ? ? 少年は七実の言葉に何か思い当たることがあるのか首を傾げ、次に何かに気づいたよ ? ﹂ ﹁まあ良いでしょう。どうせ魅力に欠ける体ですし。それに、アナタがうちはだという も失せる。 七実としてはただからかっただけなのだがここまで素直に謝罪されるとからかう気 がしたから⋮⋮⋮すまなかった﹂ ﹁覗く気は無かった タは結局誰なのですか ﹁謝られても⋮⋮別に気にしていませんよ。所で、こんな幼子の水浴を覗いていたアナ 7 ﹂ うに目を見開く。目の前の少女はそんな少年の様子をただ観察していた。 ﹁それで結局あなたの名前は ﹁あ、ああ⋮⋮うちはイタチだ﹂ ﹁ではイタチさん。私の裸をみた償いとして、七花の世話をお願いできますか げているのですが野良だといつ死んでしまうか解らなくて﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹂ ﹁あ、断るのでしたらあなたが私の水浴を二分ほど見ていたことをバラします﹂ 完全に脅しだ。しかもそうとうたちの悪い。 ﹁⋮⋮⋮わかった﹂ 餌はあ ? ? 餌を運んでくれる奴隷程度に思えばいいから﹂ ﹁ありがとうございます。ほら、七花⋮⋮イタチさんに付いてきなさい。これから毎日 ﹂ ! えたことを祈った。 イタチはせめてこの猫が七実の言葉の殆どを理解せず、餌をくれる存在としてだけ捉 ﹁にゃん イタチとの出会い 8 うちはシスイ ﹂ ? を見ている。 ? ﹂ ? ﹂ ? 微笑ましく見守っていたものだ。当初は⋮⋮⋮。 情報ではないかと思い直す。イタチの下に頻繁に訪れる彼女をうちはの者達は当初は 年下の少女に全てを見透かされていることに薄ら寒さを感じながらも調べられない アナタなら知っているのではなくて ﹁ここにはアナタと私、それに七花だけよ。それにナルトの正体なら暗部に入る予定の ﹁そんな話を、ここでして良いと めないわ。最悪、九尾の驚異を祓うという名文でナルトを殺しにくるかもしれない﹂ ﹁そんなの、ナルトが表の嫌われ者だからに決まっているじゃない。日向はナルトを認 ﹁⋮⋮何故、殺す必要があるんだ ﹂ えばそんなこと言われても知らんと通したかったが七実は逃さないとばかりにイタチ 今やイタチの飼い猫になった七花を撫でながら七実はイタチに尋ねる。イタチと言 ねえイタチさん、あの子殺しておいた方が良いかしら ﹁最近、ナルトを好きな女の子ができたみたいなの。それもよりにもよって日向⋮⋮⋮ 9 最近では七実を警戒する者が増えてきている。だからこうして、初めてあった池の近 くの森で会っているのだから。 ﹂ ﹂ ﹁あそこまで私を警戒していれば何かをすると公言しているようなものですがね﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮聞かないのか ﹁聞いたところで話してくれるんですか ﹁⋮⋮⋮いや﹂ シスイは七実に気づき七実を見ると七実は首を傾げた。 呼ばれた。顔を上げればうちは一族の一人、うちはシスイが立っていた。 イタチが猫じゃらしで七花と遊んでいる七実を見つめていると、不意にイタチの名が ﹁イタチ、ここにいたのか﹂ も言わない。 聡明な彼女のことだ。とっくにうちはの目的には気づいているのだろう。だが誰に なら聞きませんよ、と七実は再び七花を撫で始めた。 ? ? ﹁おい待て 何だその妙な噂は ﹂ ﹂ ﹁⋮⋮⋮ロリ⋮こ⋮⋮何ですそれ ! シスイの言葉に抗議するイタチと首を傾げる七実。だがイタチの反応を見てだいた ? ! ﹁⋮⋮⋮イタチ、こんな所で2人きりとは⋮⋮最近噂のロリコンと言うのは本当なのか﹂ うちはシスイ 10 い察したのかイタチから距離を取る。 ﹁お、おい⋮⋮﹂ ﹁冗談ですよ﹂ ﹂ ﹂ 七実はそう言ってクスクス笑った。イタチはげんなりしてため息を吐いた。 ﹁それで、何の用事だ ﹁サスケが探していたぞ。修行の約束じゃないのか ﹂ ? トを嫌う者も大人しくなるでしょう﹂ ﹁生憎⋮⋮⋮⋮あ、いえ。一人いますね。火影です⋮⋮⋮良いかも知れませんね。ナル ﹁⋮⋮一緒に来てくれる大人はいないのか ﹁ええ。生憎私とナルトには親族が互いにしかいませんが⋮⋮﹂ ﹁そう言えば、君は明日アカデミーの入学式だったな﹂ シスイがこの場に残っている理由が解らないのか時折シスイを見つめる。 イタチは弟を捜しにその場から去り、残ったのはシスイと七花と戯れる七実。七実は ﹁そうか⋮⋮﹂ ﹁行ってかまいませんよ。七花はキチンと家に帰れる頭の良い子ですから﹂ シスイの言葉にイタチはチラリと隣の七実を見る。 ﹁サスケ⋮⋮⋮ああ、未だ見たこと無いイタチさんの弟ですか﹂ ? ? 11 ﹂ 七実はにぃと笑みを浮かべる。確かにそれなら大人しくなるだろう。だがそれは一 時的にだ⋮⋮。 ﹁なんなら、オレが行ってやろうか ﹁ん ﹂ ﹁そうか⋮⋮所で七実ちゃん﹂ ﹁別に結構です。おじいさんにも頼る気はありませんし﹂ ? ﹂ とはいえ明日は入学式だけ。うちはの移住区に行くわけにも行かないし⋮⋮⋮ る。 うちはの移住区の外に出た七実はナルトと共にアカデミーに入る為の準備をしてい ﹁⋮⋮⋮はぁ⋮⋮﹂ ﹁君はもう⋮⋮うちはには近づかない方が良いよ﹂ ? ? う 普通なら一生違和感を感じない筈だが七実と言う化け物は違和感に気づき、掛けられ ? 何故自分は当然のようにうちはの移住区に行かないことを自然に考えていたのだろ ﹁⋮⋮⋮あら うちはシスイ 12 た呪縛を祓う。 相当な苦労でしょうね⋮⋮羨ましい﹂ ? 楽だもの。とはいえ今里を滅ぼしてもね⋮⋮﹂ ﹁まあ必要になれば使いましょう⋮⋮里の者を操るのは⋮⋮面倒ね、殺した方が早いし 七実は鏡に映った自分の目を見ながら不機嫌そうに言う。 れだけの経験があったのでしょう ﹁ああ、あの時のあの眼ですか⋮⋮不思議な眼でしたね、それに凄い力です。いったいど 13 化け物 アカデミーの授業はまさに退屈そのものだった。 木ノ葉の忍道の出発点だというのにこの程度とは底が知れると言うものだ。まあ、暗 部相手に殺し合いをしていた七実にとって、入門編ともいえるアカデミー時代は特筆す べき事は何一つ無い。 んの﹂ ﹁くノ一は忍術だけでなく女性としての幅広い知識と教養を身に付けなければなりませ 敵地に潜り込んだ時、忍と気付かれぬように普通の女を演じる必要がある。故に、生 け花だとか⋮⋮⋮。 ︵敵地に入ったらただ殺せば良いだけじゃない。どうして潜伏する必要があるのかしら ね⋮⋮︶ 花を摘みながら髪を掻き上げ、はぁとため息を吐く。前世で厳格な忍である真庭蟷螂 が若い蜜蜂なら見とれていたと称するほどの七実の美貌でそんな事をすれば、同性でも 思わず見とれている。 ﹁うずまきさ∼ん﹂ 化け物 14 ﹁はい ﹂ 顔を上げればああ、と納得する。 ﹁こ ん に ち は ア ミ さ ん。ど う し た ん で す か 何時もはさくらさんをいじめているのに 七実が花を纏めていると三人組の女子が話しかけてきた。友人もいないのに誰かと ? ら﹂ を頼めるから⋮⋮ !? ﹂ ﹂ ﹁あんたの弟に決まってるじゃない ? 草 毟 る ﹂ 七実はそんな哀れな餌を喰らうために笑みを浮かべながら歩み寄る。 化け物 あるいは化け物の餌食にならなかったかもしれない。 数に頼らなければ、七実が本気で怒っていれば、自分の危険察知能力を信じていれば、 筋が凍るような感覚に見舞われたが、すぐに気のせいに決まってると振り払う。 七実はふぅ、と花を地面に置いて立ち上がる。アミとその取り巻き2人はゾクリと背 ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹂ ! いるんでしょう ﹁⋮⋮⋮⋮その化け物がナルトを指すなら、流石に見過ごせませんが誰のことを指して ? ﹁ッ そ、そっちこそ⋮⋮ずいぶん強く出るのね。やっぱり何かあっても化け物に復讐 ⋮⋮⋮ああ、いのさんに追い払われたんですね。あなた達、強い人には強く出れないか ? 15 ﹁そう言えば自己紹介の時、私だけ趣味を言ってませんね⋮⋮⋮改めて、趣味は草むしり です﹂ その日の授業、アカデミーの生徒3人が姿を消し夕方に見つかるも皆等しく傷だらけ で、発狂していたため犯人を聞き出すことも出来なかった。 指を縦に裂かれ数を増やされたり顔の皮をはがされたり額に穴を空けられ別の子の 目を埋め込まれたりとまるで人と違う化け物を形作ろうとしているその所業に翌日の 新聞を見た多くの者が戦慄した。 ﹁怖いですね。そう思いませんシスイさん﹂ ﹁何故⋮⋮ここにいる⋮⋮﹂ ﹂ ﹁七花は今イタチさんの飼い猫ですから、会いに来るにはうちはに来るしかないでしょ う まあ、もう効きませんが⋮⋮﹂ と、七実がそこまで言った瞬間シスイの瞳が赤く染まり手裏剣のような紋様が浮か ? から。 何せ七実は無意識にうちはに決して近づかないように幻術をかけられている筈なのだ 七 実 は 何 で も な い か の よ う に 言 う。し か し シ ス イ か ら す れ ば と ん で も な い こ と だ。 ? ﹁ふふ。何故でしょう。また幻術をかけてみます 化け物 16 ﹂ ぶ。七実は一瞬だけ硬直し、しかしそれは一瞬だけで次の瞬間にはシスイに襲いかかっ た。 ﹁が の判断 それとも私を心配したアナタの判断なのかしら ﹂ ? ! に幻術を掛けるだけ﹂ 何故、うちはでもないお前が ! ﹁気にしなくて結構です。どうせ二度見て完全に覚えたこの術で、アナタは何も覚えて 来、うちは一族限定の能力で、そしてその先をいく力を持つ七実に恐怖すら覚える。 シスイは七実の眼が赤く染まり、その眼に映る三つ巴とは違う紋様に目を見開く。本 ﹁それは⋮⋮ ﹂ 遇なのだけど、安心して良いわ何もしないから。ただ、私に二度と幻術を掛けないよう ﹁嘘ね⋮⋮蟷螂さん達と似たような反応⋮⋮私に嘘は通じないわ⋮⋮⋮さてアナタの処 ﹁⋮⋮うちはの、総意だ﹂ ? 一応確認なんだけど、私をうちはから遠ざけようとしたのは私をスパイと疑ったうちは ﹁ごめんなさいね。いえ、先にやったのはアナタだもの。謝る必要なんてないわね⋮⋮ なきこと。 動いた七実に呆気を取られその一瞬の動揺があれば抑えつけるのは七実に取って苦も アカデミーを卒業していない生徒にしても⋮⋮⋮いや、下忍としても速すぎる速度で !? 17 ないことになりますから。では⋮⋮﹂ ﹂ ﹁今日はありがとうございました﹂ オレはあんたに何かしたか ? ﹁何でもありませんよ﹂ る。 うちはの移住区の出口、シスイは七花を抱えながら隣を歩く七実の言葉に首を傾げ ﹁ん ? は辺りを見回し結論づけた。 まあ、他のうちはが早まらないように監視していたことに気づいたんだろうとシスイ ﹁そうか⋮⋮﹂ 化け物 18 葬式 ﹂ 七実はうちはの里はもちろん、最近は里でもピリピリした空気に満ちているのを確認 して眼を細める。 ﹁どーしたってばよ姉ちゃん だから生まれたときのことも覚えていた。とは言え、赤子の目では靄がかかったよう 七実は第二の生を受けた時点で前世の記憶、成熟した人格を持っていた。 うだったし⋮⋮︶ に手出しは出来ないでしょう。私達の両親を殺したあの狐は憎しみなどに反応するよ ︵ナルトはある程度成長した。憎しみを十分に知れるほどに⋮⋮⋮これなら暗部も下手 は聞いてこなかった。 七実はナルトの頭を撫でて笑った。ナルトはふーん、と不思議そうな顔をするが特に ﹁何でもないわナルト。心配してくれてありがとう﹂ 今度、演劇でも見て演技を身につけようか⋮⋮。 だけナルトと共に行動していたらナルトが心配そうにこちらを見つめてきた。 そして何も知らぬ者達はその不満をナルトに向ける可能性が僅かにあるので、出来る ? 19 な状態だが⋮⋮。 ︵出来ればあの時点で視力が完全だったらナルトに施された封印も詳しく解ったのだけ 私がいなくなった後、だらしない生活を送ったりは ど今それを言っても仕方ないわね︶ ﹂ ﹁ねえナルト﹂ ﹁ ﹂ ﹁ナルトはキチンと歯磨きできる しないわよね ﹂ ! ﹁用事 ﹂ ﹁あ、そうだナルト。私、明日は用事があるの﹂ 七実はナルトの頭から手を離し空を見上げる。日が傾き、そろそろ夜になる。 ﹁そう。ならいいわ⋮⋮﹂ ボらないってばよ ﹁いきなり何だってばよ⋮⋮まあ、サボったら姉ちゃんに何されるか解らんし絶対にサ ? ? ? ? が間違っていなければ⋮⋮⋮。 のだろう。七実に探られることを恐れ、シスイは里を思う忍者だったと言う七実の認識 先日、シスイが身投げしたらしい。大方うちはが七実を警戒し始めた事に関係がある ﹁知り合いが死んだのよ。別にどうとも思ってないけど、一応恩はあるから⋮⋮⋮﹂ 葬式 20 ﹁クーデター⋮⋮﹂ イタチは、どう動くのだろう 葬式の時探りを掛けてみるか⋮⋮⋮。 ? ﹂ ? ﹁⋮⋮⋮イタチさん﹂ ﹁七実、来たのか﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹂ 七実は運ばれていく棺桶を見ながらおそらくシスイの遺族であろう遺族を見る。 七実は運ばれていく棺桶を見ながらおそらくシスイの遺族であろう者達を見る。 おそらく眼がくり抜かれているのだろう。しかし、何のために⋮⋮。 七実はシスイの棺桶に花を入れる時、シスイの死体の瞼が窪んでいるのに気づいた。 ﹁⋮⋮⋮あら 連中も、流石に葬式では何もしてこなかった。 七実は普段の着物と違い黒い着物を着て参列した。七実が来ることをよく思わない うちはシスイの葬式。 ﹁その方が良いわよね⋮⋮いえ、悪いのかしら⋮⋮﹂ 21 七実が一歩踏み出そうとするが、その前にイタチに声を掛けられる。 いっそ自分で飼えば良いのに﹂ ﹂ ﹁ええ、まあ⋮⋮イタチさんが任務でいない時代わりに遊んでくれますからね﹂ ﹁七花に会いに来てたのか ﹂ ﹁あら、私はイタチさんに会う口実で七花に会いに来ていたのですが ﹁ 兄さんと呼んでいるし⋮⋮。 ﹁父さんが呼んでたよ⋮⋮⋮あれ、そっちの子は ? ﹂ ﹁サスケ、解った。今いく⋮⋮七実、こいつはオレの弟のサスケだ﹂ ? ろうか と、その時七実と同い年ぐらいの少年が走ってくる。イタチに少しにている。兄弟だ ﹁兄さ∼ん﹂ ﹁⋮⋮⋮そうか﹂ と関わりを持ったことが無かったのでなかなか新鮮なんですよ、今の関係﹂ ﹁でもまあ、私がイタチさんを気に入っているのは本当ですよ⋮⋮ちょっと前まで誰か ? ? イタチが明らかに動揺すると七実はクスクスと笑う。 ﹁冗談ですよ⋮⋮﹂ !? じゃない。あ、私はうずまき七実と言います⋮⋮﹂ ﹁こんにちはサスケくん。アカデミーの噂はかねがね⋮⋮全部一位何ですってね、凄い 葬式 22 七実がそう言ってニッコリ笑うとサスケの顔が赤く染まる。父の下に行ったイタチ がいれば顔をひきつらせたことだろう。相手が危険すぎる。 ﹂ ? ﹂ ﹁そう言えば、うちはで思い出したんですけどアナタ、この眼について何か知りません いが⋮⋮。 イタチ以外に親しいうちは一族と言えばシスイだけだし、滅ぼうが知ったことではな 心酔している暗部のダンゾウに出来るだけ近い男が言うのだ、間違いないだろう。 暗部の男は七実に全てを報告して、七実はそれを聞き考える。既に幻術により七実に ﹁そ、ありがとう⋮⋮﹂ はイタチに命じうちはを滅ぼすつもりのようだ。弟を人質にして⋮⋮⋮。 うちはのクーデターが起きるのは間違いないらしく、そして根の頭領であるダンゾウ ﹁何でもないわ⋮⋮それじゃあね⋮⋮⋮⋮﹂ ﹁え ﹁⋮⋮⋮アナタ、イタチさんに大切に思われているのね﹂ 23 ? ﹂ ﹁それは⋮⋮万華鏡写輪眼ですね。開眼した者はいずれ光を失うと聞きます﹂ ﹁まあ、それは困ります。何か方法はありませんか ? ヒュン、と音が鳴り響き暗部の額にクナイが深々と突き刺さる。 たら弟を人質にすれば良いでしょう﹂ まあ、いざとなっ ﹁そう。ならうちはのイタチさんにでも聞いてみるわ。アナタは⋮⋮もういらない﹂ 万華鏡写輪眼を持っていた⋮⋮と﹂ ﹁申し訳ありません⋮⋮⋮ただ、初めて万華鏡写輪眼を開眼したうちはマダラは永遠の ? ﹁さて、決行日は3日後⋮⋮イタチさん、素直に話してくれるかしら 葬式 24 うちは虐殺 イタチは満月を見つめながら拳を握りしめる。 この日が来てしまった。出きるならこの日がきて欲しくは無かった。昨日程明日が ﹂ 来て欲しくないと思ったことは無いだろう。 ﹂ ﹁迷っているのですか ﹁ッ ﹂ ? ﹂ ? ﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮君をただの小娘だと思ったことは一度もない⋮⋮しかし、まさか暗部なのか う ﹁隠さなくても結構。私がここにいる時点で、私がただの小娘でないことは解るでしょ ﹁⋮⋮何の話だ まう程美しかった。 纏った七実が屋根の上に立っていた。まだ幼いと言うのに、その姿は思わず見とれてし 突 然 声 を 掛 け ら れ 振 り 向 け ば そ こ に は 月 光 を 浴 び て 何 時 に も 増 し て 儚 げ な 気 配 を !? ? 25 うちはのクーデター阻止のため、ダンゾウによるうちは殲滅を知っているのは暗部だ ? け。 ならばここにいる七実は暗部と言う可能性が出るが⋮⋮。だとしたら七実は自分以 上の天才と言うことになるのだろう。 ﹂ ﹁私が暗部、ですか⋮⋮何度かナルトを暗殺しようとしていたあの男の部下になるのは、 ﹂ それはそれで面白そうですね﹂ ﹁では、何故ここに⋮⋮ ﹁暗部の方を幻術で操って聞いたのですよ。お手伝いしましょうか ﹂ 七実がそう言ってとある一角を見つめると仮面をつけた男が姿を表す。 方と争わないためです﹂ あくまで、私の為です。尋ねたのは許可をもらうためではなく、イタチさんとそちらの 言 う も の で す よ。私 は ア ナ タ の た め に う ち は を 滅 ぼ す 手 伝 い す る の で は あ り ま せ ん。 ﹁勘違いしないように先に言っておくけど、巻き込んだと思っているならそれは傲慢と 込みたくはない⋮⋮。 僅か10にも満たない少女が、人を、それも大勢殺すのに荷担するというのだ。巻き ? ? 七実の言葉にイタチは目を見開く。 ﹁⋮⋮⋮本気か ? ﹁気づいていたか。気配は消していたはずなんだがな﹂ うちは虐殺 26 ﹁アナタも蝶々さんと同じような事を言うのですね。生きているのにそこにいないよう ﹂ に偽るなんて出来るはずがないでしょう。人は所詮、人ですよ﹂ ﹁⋮⋮そうか。所で、お前は見返りを求めないのか ﹂ !? める。 ﹁何故うちはでは無いお前が、永遠の万華鏡写輪眼を求める ? ﹁そうですか⋮⋮⋮﹂ 目の前で殺せば良い﹂ を持つ者が他の万華鏡写輪眼を移植すれば良い。万華鏡写輪眼はその者の大切な者を ﹁⋮⋮さて、永遠の万華鏡写輪眼の手に入れ方だったな⋮⋮何、簡単だ⋮⋮万華鏡写輪眼 仮面の男の言葉にイタチは苦々しい顔をして姿を消した。先に動いたのだろう。 ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮好きにしろ﹂ ﹁まあ良いさ。イタチ、協力する条件にこいつの参加も増やす﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹂ ﹂ サスケを人質にするという言葉にイタチが目を見開き仮面の男はほぅ、と七実を見つ ﹁な を人質にイタチさんから聞き出すつもりだったのですが﹂ ﹁永遠の万華鏡写輪眼の手に入れ方。うちはの大人を拷問して聞き出すか、サスケくん ? 27 七実は納得すると仮面の男に別天神を掛ける。うちはの者でなく、敵意も殺意もない 七実の行動に油断したのか仮面の男はあっさり術に掛かった。 ﹂ 七実は屋根から飛び降りて、獲物を探しにいった。 ﹁な、何者だ ﹁うるさい﹂ 壁を切り取り中にはいると男女の写輪眼を持つ者達がいた。男が印を結ぶより早く ﹁⋮⋮⋮おや、夫婦ですか⋮⋮﹂ が一人暮らしのようだ。次は広い家を襲う。 家の中に入ってきた七実に中にいた男を手刀で斬り殺す。家の中の食器などを見る !? ﹂ ﹂ 七実が腕を振るうと女の両足と男の右手と右足が切られる。 ﹁が ﹁っう !? ﹂ 男は七実を睨むがその眼はただの写輪眼だ。七実は男の首を切り落とした。 七実は床に倒れ込んだ男の前髪を掴み持ち上げる。 ! ﹁⋮⋮⋮あ⋮⋮ああ⋮│││││││ッ !! うちは虐殺 28 目の前で夫を殺された女は目を見開き血の涙を流し、声にならない悲鳴を上げる。そ ﹂ の写輪眼の三つ巴が蠢き黒の十字を作る。 ﹁死ね ﹁あは、あははは ﹂ !? ざまあみろ ﹂ ! ﹂ ? ﹂ ? 女の万華鏡写輪眼を抜き取った後、七実は一応手伝いをしに来ているのだからとうち ても他人の弱さを写し取れるのかしら ﹁まあこんなもの、私が弱くなるための足がかりなのですが⋮⋮⋮そういえば眼を変え 背骨に刺さった刃物は徐々に上がって行き、女を完全に切り裂いた。 は違和感を覚えない⋮⋮私が幻術を得意とする設定はあったでしょう ﹁幻術でアナタの夫の死体を私に見せていたんですよ。倒れて動かない死体に、アナタ や、何者かではない、つい先ほど聞いたばかりのこの声の主を忘れるはずがない⋮⋮。 女が高笑いし七実が燃えていく様を見ていると、脊椎あたりを何者かに貫かれる。い ﹁ ﹁なる程厄介な術ですね﹂ ! がその火は一向に消える気配がない。 女が叫んだ瞬間七実は黒い炎に包まれる。驚愕しながらも直ぐに水遁を使う七実だ ! 29 は一族を殺して行く。 ﹂ いくら幼い肉体を持ったとはいえ、相手は七実だ⋮⋮かつて日本最強だった錆黒鍵と 半年も幼い内から渡り合っていた化け物だ。 うちはなど相手になるわけがない。 おおかた周囲の殺気に怯えて逃げ出し池に落ちたのだろう。 七 実 は イ タ チ の 屋 敷 に 向 か い 七 花 を 探 し て い る と 池 で 溺 れ て い る 七 花 を 見 つ け た。 ﹁⋮⋮⋮おや、七花﹂ イタチと先程の仮面の男の気配しかない。 七実は弟を守ろうとした男を後ろの男ごと爪で貫き絶命させると周囲の気配を探る。 ﹁こちらはこれで最後⋮⋮イタチさん達、キチンとやってくれたでしょうか ? を後にした。 七実は七花を池からすくうと木の下に埋めてやる。そして、そのままうちはの移住区 だったということなのでしょう⋮⋮﹂ ﹁本物の七花は私にキチンと挑んできたというのにあなたは臆病ですね。まあ所詮は猫 うちは虐殺 30 旅立ちと再会 ﹂ うちはが滅んだ次の日、既に早朝から噂が広まっていた。七実は団子を食べながら後 ろに気配が現れたのを感じる。 ﹁賞金首がずいぶんと堂々としてますね﹂ 七実の言葉にイタチは団子を頬張る。 ﹁この近くにオレより強い気配はお前しかいない﹂ ﹁あの男、お前のことを忘れていた。いったい何をしたんだ ﹁幻術ですよ。小娘と侮ってくれたおかげですね﹂ ﹁⋮⋮⋮オレはお前のことを上に報告する気はない﹂ 減らしたいだろう。ダンゾウとて、うちはを三人で滅ぼした内一人は里の敵にならない はを滅ぼしたのはダンゾウの独断とはいえ里のため。ヒルゼンも里から消える人間は まあ仮に報告しても里の警戒が増えるだけで抜け忍にはならないだろう。何せうち だがそれは必要なくなった。 七実はお茶を飲みながらお礼を言う。いざとなったら抜け忍になるつもりだったの ﹁助かります﹂ ? 31 ようにするだろう。 ﹁所でイタチさん、何か変わった術をご存知ではありませんか れない﹂ ﹂ ﹁オレはこれから極秘任務に移る。暫く、或いは二度と木ノ葉の里には戻れないかもし ﹁⋮⋮⋮そうですか﹂ ﹁いくつもの里が欲しがっているようだが⋮⋮⋮﹂ ﹁独立、ですか⋮⋮﹂ ないが、そう言えば彼らの忍術を全て知っているわけではない。 まあ自分がいるのだから同じようにこの世界に新たな生を受けた真庭忍軍かも知れ ﹁この世界にもまにわにが⋮⋮﹂ を使うそうだ﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮木ノ葉の里から西に3日、独立の里真庭の里があるらしい。彼らは、独自の術 ? う。シスイも一応そうだが死んでしまったからまあ良いか、と思っている。 血の繋がりがなく対等な関係であるイタチは間違いなく七実にとって特別な存在だろ で話した事があるのは前世では敵ととがめ、後はこちらを恐れる坊主だけ。年は違うが 七実はふぅ、とため息を吐いた。実際七実はイタチを気に入っていた。何せ家族以外 ﹁それは残念ですね。私はアナタの事、気に入っていたんですが⋮⋮﹂ 旅立ちと再会 32 ﹁うちはは羨望と同時に、九尾の襲撃以来恐怖を持たれていた。そういう意味では、普通 に接してくれるお前をオレは気に入っていたよ﹂ ﹁そうですか⋮⋮⋮ではまたいずれ﹂ ﹁ええ、いつかまた⋮⋮﹂ 七実は後ろにいたイタチの気配が消えたのを感じ取り、自分も去ろうと金を払おうと して既に払われている事に気づいた。 ﹂ まあ居ればの話よね⋮⋮⋮爪合わせ、使ってはいるけど万全で 七実はそう言って立ち上がり笑みを浮かべた。 ﹁⋮⋮⋮さて、私も行くとしましょうか﹂ ﹁再会に、なるのかしら その日、うずまき七実は木ノ葉の里から姿を消した。 はないのよね。使い手がいると良いのだけど⋮⋮⋮いえ、悪いのかしら ? 七実は村を見ながら思わずと言った風に呟く。 ﹁⋮⋮独立しているだけあって、田舎ですね﹂ た後目的の里につく。 捜索隊の中に混じっていた根のメンバーを殺し、その外を幻術で里に帰し完全に撒い ? 33 ﹂ ﹁田舎で悪かったわね﹂ ﹁おや、アナタは 一応、うちは余所者にも寛大だけどスパイには容赦しない ? きか⋮⋮。 ﹁で、どっち ﹂ 術 ギラリと獰猛に目を光らせる狂犬を見て七実はふぅ、とため息を吐く。戦闘に移るべ よ﹂ ﹁真庭の里に何のようだい を名乗るらしい。目の前の女性もそうなのだろう。 狂犬と名乗っていた、真庭忍軍は12頭領と呼ばれる者達が居て、その者達は動物の名 七実が振り向けばそこには犬の被り物をした紫の髪の女が木の枝の上に居た。真庭 ﹁真庭狂犬だよお嬢ちゃん﹂ ? ? 下忍してもらえるだろうし﹂ ﹂ 達には木ノ葉の一員になって欲しいわね。そうすればアカデミーに通わずとも特例で ﹁どちらとも⋮⋮私は弱さを学びに来ましたが真庭の一員になる気は⋮⋮むしろアナタ ? あたし等に木ノ葉に仕えろって⋮⋮ ? ﹁ふーん⋮⋮ ﹂ ﹁仕えろとは言いませんよ。ただ、その方が助かるだけですし⋮⋮﹂ ﹁はあ 旅立ちと再会 34 ? 七実の言葉に狂犬は首を傾げる。 ﹂ 真庭忍軍で一番里愛が強く仲間思いの狂犬としては敵対するなら殺すが仲間になる なら受け入れる。とはいえ仲間になる気は無いという。 ﹁所で質問なのですが、アナタ前世の記憶を持っていたりしません ﹂ ? ﹂ ? ﹁はあ 弟に殺された ﹂ !? 狂犬は七実の言葉に顔をひきつらせた。七実は変なことを言ったかしらと首を傾げ ﹁そ、そう⋮⋮⋮変わってるねアンタ⋮⋮⋮﹂ ﹁殺されたのではなく殺してもらったのです。私自身、望んだ事です﹂ !? ﹁ええ、七花に殺してもらいました﹂ んだんだろ ﹁⋮⋮⋮いや、前世の遺恨は持ち込まないよ。文字通り死んだ訳だしね⋮⋮アンタも死 ﹁私と戦いますか ﹁へえ、あたしの仲間を散々殺してくれちゃった虚刀流ちゃんの姉、ねえ⋮⋮﹂ 七実がペコリとお辞儀すると狂犬は驚いたように目を見開いた。 ﹁まあそれはそれは、弟がお世話になりました﹂ てね⋮⋮﹂ ﹁⋮⋮⋮あるよ。あたしは一度死んでる。奇策師ちゃんに仕える虚刀流ちゃんに殺され ? 35 鑢七実 !? ﹂ !? た。 ﹂ ﹁おーい、狂犬殿⋮⋮里の外に余所者の気配があるって⋮⋮⋮ひ、ひい ﹂ ﹁あら、アナタは確か⋮⋮⋮真庭⋮⋮蛾、でしたっけ ﹁真庭蝶々だ ? こいつ、絶対俺たちを皆殺しに来たんだ ﹂ ﹁えっとさ蝶々ちゃん⋮⋮何があったか知んないけど、取りあえず里の中で話さない ﹁んなことできっか ! ﹂ ﹂ ﹂ ﹂ ﹁敵対する理由もないのにそんなことしませんよ。ああ、でもアナタが前世の遺恨を晴 ! ? の真庭忍軍が現れる。 頭領2人揃って何時までも戦闘音が聞こえないのを不思議に思ったのか何時しか数名 七実が笑うと蝶々は顔を青くして後ずさる。狂犬はそんな反応に首を傾げていたが、 ﹁冗談ですよ。覚えています⋮⋮アナタが居るということは、蟷螂さんや蜜蜂さんも ? ! らしたいと望むならしかたありませんね﹂ ﹁⋮⋮ッ ? !! ﹁私は何も争いにきた訳じゃありません。平和的に、お話をしましょう。ね 旅立ちと再会 36
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