滞 フィリピン フィリピン滞在 滞在 在記 記 手と手をつないで No.340 柳井 美枝 よし え やな い (公社)福岡県人権研究所 特命研究員 スラムで出会った笑顔 フィリピン共和国は7000以上の 島で構成される世界第2の群島諸島で 私有地であるこの地域では、ゴミ収 集業者に地主が土地を貸したことによ まぶしく感じられました。 は対照的に、彼女たちの笑顔がとても せられても仕事のない住民たちはおそ せると言っているそうですが、移住さ ません。NGOスタッフの話によると、 を懸念してゴミの焼却処分を行ってい 政府はゴミ山周辺の住民を強制移住さ り集落がゴミ山に化したということで 今年の7月、私はこの国のほぼ中央 に位置するセブ島に滞在し、地元のN 常に近い国です。 らフィリピンは日本から距離的にも非 福岡から大阪までが約600㎞ですか めて仮設の教室を開き、その後に食事 このスタディツアーを主催するNG Oは、週末にスラムの子どもたちを集 ていました。 収業者に売ることで日々の生計を立て ベンジャー」となり、それらを廃品回 西端の与那国島まではわずか480㎞。 プラスチックなどを拾い集める「スカ が笑顔で手を振るスラムを後にしました。 なのかを考えながら、私は子どもたち らしています。自分にできることは何 同じ地球上で同じ時を過ごしていて も、私たちは本当に不平等な世界で暮 もいるそうです。 レラや結核にかかって亡くなる子ども うことです。不衛生な環境のためにコ す。 仕 事 の な い 住 民 た ち は 缶 や 紙 類、 らくゴミの山に戻ってくるだろうとい GOが主催するスタディツアーに参加 を提供しています。子どもたちの親の す。その最北端のイアミ島から日本最 しました。その日私が訪れた場所の1 ています。 「学校には行っているの」と ツをまとった少女の肩はむき出しになっ や空き瓶のようでした。だぼだぼのシャ に声をかけました。袋の中身は空き缶 大きな袋を肩に担いで歩いてくる2 人の少女が目にとまり、私は彼女たち した。 ル履きの子どもたちが走り回っていま おり、ゴミ山周辺の空き地ではサンダ むと木造やトタン作りの家屋が並んで 悪臭が漂いゴミが積み重なる路地を進 たい」と彼女は笑顔で語っていました。 そ う で す。 「将来は学校の教師になり をしていた若い女性もこの地の住人だ 頭をよぎりました。子どもたちの指導 いたNGOスタッフの言葉が一瞬私の の国でもみんな同じですよ」と言って の笑顔に引きつけられるように私は彼 は一瞬ためらいましたが、子どもたち らの衣服がひどく汚れているため、私 問者である私に抱きついてきます。彼 とです。人なつっこい子どもたちは訪 つは、ゴミ山周辺の貧しいスラムです。 ほとんどはスカベンジャーだというこ 私が尋ねると「行っている」と2人は笑 フィリピンではダイオキシンの発生 ら を 抱 き 寄 せ ま し た。 「子どもはどこ 顔で答えました。粗末で汚れた衣服と 2016.11.1(平成28年) 20 広報 だざいふ 太宰府市役所 代表電話 (921) 2121 FAX (921) 1601
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