ブロッコリーの品種比較等試験(PDF:1064KB)

試験分類 優良品種等導入対策試験調査
課 題 名 ブロッコリーの品種比較等試験
実施期間 平成 27 年度
担 当 地域支援係
1 目的
この地方における8月穫りブロッコリーの優良品種を選定するとともに、新規農薬の効果について検討す
る。(生産者要望調査)
2 試験方法
(1) 試験圃場及び規模 農業支援センター露地圃場 (R-6-3,4) 計 185 ㎡
1区面積:6.16 ㎡ (32 株/区) 各2反復 【図— 1圃場図面参照】
土質・土性:礫質褐色低地土・粘土質
(2) 供試品種 標準品種1:№1「おはよう」(サカタのタネ)
標準品種2:№2「SK9-099」(サカタのタネ)
検定品種 :№3「ファーストスター」(ナコス)
№4「11FPL89」(ナコス)
№5「HA53」(ナコス)
№6「しき緑96号」(ナコス)
(3) 要因と水準
6要因(品種)×2水準(農薬)
【新規薬剤効果検証】上記品種を対象に、新規農薬と慣行農薬の効果を検証
・新規農薬《土壌灌注処理殺虫剤「ベリマークSC」(デュポン)》
・慣行農薬《土壌灌注処理殺虫剤「ジュリボフロアブル(シンジェンタ)》
(4) 耕種概要
作 型:8 月穫り
播 種:6 月 11 日 162 穴セルトレイ・菜花培土使用
定 植:7 月 6 日 (育苗日数 25 日)
栽植密度:畝幅 55cm 株間 35cm、5,194 株/10a
施 肥 法 (単位 kg/a)
・6 月 29 日全層施肥
NS604 : 9.4kg
N:P2O5:K2O=1.5:0.9:1.3
防除回数 殺虫剤 6回(試験薬剤を除く)、殺菌剤1回
3 結果の概要
(1) 生育結果
表1生育経過
定植時の
葉数(枚)
出蕾期
(月/日)
収穫期
(月/日)
花蕾発育
日数(日)
生育日数
(日)
お は よ う
2.6
8/24
8/31
7
81
2
SK9-099
2.0
8/24
8/31
7
81
3
ファーストスター
2.0
8/26
9/2
7
83
4
5
6
11FPL89
HA53
しき緑96号
2.0
2.1
2.0
8/26
8/31
8/28
9/2
9/7
9/5
7
7
8
83
88
86
№
品 種 名
1
※ ・花蕾発育日数=出雷期から収穫期までの所要日数
・生育日数=播種後、収穫期までの所要日数
表2 観察調査
品 種 名
おはよう
SK9-099
ファースト
スター
11FPL89
HA53
しき緑96号
区 別
花蕾腐敗
(軟腐含む)
アント
シアン
キャツ
アイ
ブラウン
ビーズ
リ ー フ ィ 凹凸
ー
変形
慣行
-
-
-
-
5.0
-
処理
-
-
-
-
-
-
慣行
-
-
-
-
-
-
処理
-
5.0
-
-
10.0
-
慣行
-
-
15.0
-
-
5.0
処理
-
-
10.0
-
-
15.0
慣行
処理
慣行
処理
慣行
処理
-
5.0
5.0
-
15.0
-
40.0
15.0
10.0
-
10.0
5.0
10.0
20.0
10.0
5.0
総合
評価
3.0
3.0
2.5
2.5
2.0
1.5
※ ・収穫調査時の観察結果であり、1区20株中の障害発生率(%)を表す。
・総合評価は 5 点法、1~不良、5~良、標準品種の「おはよう」を中庸の 3 とした。
(2) 生育経過
・発芽率・発芽勢等は「HA53」,「おはよう」が良好な一方、「SK9-099」,「11FPL89」は 90%以下で
あった。
不発芽率(%)
「おはよう」
4.4
「SK9-099」
13.3
「フ ァ ー ス ト ス タ ー」
6.7
「11FPL89」
12.2
「HA53」
1.7
「しき緑 96 号」
6.4
播種後4日目(6/15)の発芽状況:「おはよう」(中間2列未播種)
・
・
・
・
・
・
・
・発芽後の生育は順調に経過し、播種後 25 日目に本葉 2 葉の苗を定植した。
・定植一週間後、ほぼ活着を確認したが、通路際のB区の「SK9-099」及び「しき緑96号」においてカ
ラスのいたずらにより抜き取られた苗が出たため補植した。なお、補植苗は収穫調査株から除外した。
・その後の生育は収穫期まで順調に推移し、標準品種の生育日数 81 日程と昨年並みであり、ほぼ想定
どおりの収穫期を迎えた。
・収穫期の早晩は生育期間の早い順に「おはよう」≦「SK9-099」<「11FPL89」≦「ファーストスタ
ー」≦「しき緑96号」<「HA53」であった。
・花蕾腐敗(軟腐病を含む)は、全品種で発生が確認されなかった。
・アントシアンは「HA53」で若干の発生が認められた。(次項写真参照)
慣 行 B 区
№5 HA53
・リーフィーは「SK9-099」,「HA53」等で若干認められる程度であった。
・キャッアイは「ファーストスター」および「11FPL89」の花蕾周辺部に若干発生が認められる程度であり、
特に商品性に大きく影響する状況でなかった。
・ブラウンビーズは「しき緑96号」のみで発生を見た。(下写真参照)
4 考察
・標準品種「おはよう」より優れると思われる品種はなく、同等と思われる品種の「SK9-099」は苗質
が徒長気味にならず健苗であったが、不発芽が目立った。
・凹凸、変形は複合して発生することが多く、発生の多かった順に「HA53」>「ファーストスター」>「11
FPL89」=「しき緑96号」であった。
・今回同時に比較検討した、定植直前の土壌灌注用殺虫剤については、ベリマーク SC は慣行のジュリ
ボフロアブルと比べ殺虫効果そのものでは差が認められないほど同等の高い防虫効果があった。
加えて生育促進の傾向も見られたが、その要因は不明であった
【写真】播種後 18 日目(6/29)の育苗状況
「おはよう」
「SK9-099」
「11FPL89」
「HA53」
【写真】定植時の苗姿(本葉2枚程度)
「ファーストスター」
「しき緑96号」
品 種 名
草
丈
(cm)
おはよう
SK9-099
ファーストスター
11FPL89
HA53
しき緑96号
10.7
9.7
11.9
11.1
11.4
11.1
子葉
直上
茎径
(mm)
2.2
2.2
1.9
2.1
2.0
2.2
展開
本葉
数
2.6
2.0
2.0
2.0
2.1
2.0
◎以下に各品種の特徴を記す。
№1. 「おはよう」
・花蕾形状はやや丸みを帯び、花蕾頂部はやや盛り上がる。
・花蕾形は整い品質良好であり、この作型の有望品種と思われた。
・軽度であるがリーフィー及び空洞の発生が認められた。
№2. 「SK9-099」
・花蕾形状・品質共に標準品種の「おはよう」とほぼ同等であると思われた。
・草丈が短いが葉数型である。
・軽度ではあるが空洞の発生が見られた。
№3.「ファーストスター」
・花蕾形状はやや丸みを帯び、締りや粒の形状も良好だが若干の凸凹が見られた。
・「SK9-099」とは逆に草丈が長くて葉数が少ないタイプ。
№4.「11FPL89」
・花蕾形状はやや丸みを帯び品質良好であるが、花蕾形に若干の凸凹が見られた。
・発芽率及び収穫期の欠株率に少々難があった。
・草姿がコンパクトな分花蕾重が軽かった。
№5.「HA53」
・花蕾形状はやや丸みを帯びドーム状で良好だが、花蕾の変形が見られ、締りや粒揃
いにも難がある。
・草丈が短く葉数型である割に花蕾高が高い。
・供試品種中最も生育日数が長く、かつ収穫までの揃いが悪かった。
・高温期の作型であるにもかかわらず、軽度のアントシアニンの花蕾が散見された。
№6.「しき緑96号」
・花蕾形状はやや丸みを帯び、締りや粒の形状も良好だが若干の凸凹が見られた。
・草姿、収量性からみて供試品種の中では中庸な品種であったが、唯一ブラウン
ビーズ症状が見られたことから評価を落とした。