風 のかたち No.44 安田小学校長 新田 哲之 2016 年 10 月 17 日 話し合いとじゃんけん 毎朝、早く登校してくる子どもがいます。8 時前に来る子どもは半数くらいいるでしょうか。 早く来る子どもは、仲間と一緒に遊んでいます。サッカーやドッジボール、一輪車、鉄棒、竹 馬などいろいろな遊びをしています。いつも目の前で 4 年生が野球をしています。野球はアウ トとセーフで試合の流れが大きく変わるので、子どもにとって大事なことです。それだけにア ウトかセーフか判断がつきにくいとき敵と味方で話し合い、折り合いがつかなければもめるの ですが、この 4 年生はもめることがありません。先日やっと、アウトとセーフで子どもが集ま り何やら話していました。少しして、子どもは話し合いをやめて野球を再開しました。話し合 っても決着がつかないと思ったらじゃんけんで決めるそうで、子どもは話し合いよりもじゃん けんのほうがうまくいく考えでした。子どもなりのルールを作り、遊んでいたとわかりました。 アウト、セーフの判断はじゃんけんでいいのですが、じゃんけんよりも話し合いのほうを選 ぶ子どもにしたいものです。掃除当番で何をだれがやるか決めるとき、じゃんけんではなく、 「階段の雑巾かけは順番にやったらどう?」「わたしが床を拭くから、A さんは机を運んでくれ る?」のように、話し合って決めることが子どもの学びとして大切なことです。しかし、なか なか簡単には話がまとまらないことがあります。「先生、みんながわたしの言うことを聞いて くれないんです。」と腹を立てて言う子どもがいました。その子の言い分はこうです。「A さん のいうことはよく聞いているのに、わたしが言うと勝手に決めないでほしいと言われま す。」・・・。その子はいつも自分勝手な行動をとる子でした。自分勝手な人が言っても周り が納得できず、普段から公平な態度で接している A さんが言えば話し合いがうまくいく。話し 合うことの難しさがあるのですが、これも解決の道を探って乗り越えさせてやりたいことです。 先週、3 年生の社会科の研究授業がありました。「話す、聞く活動を通して思考力を高める」 をテーマに、教員の授業力向上を目的にした研究授業です。スーパーマーケット、専門店、シ ョッピングモール、ネット販売の 4 種類の中から、カレーライスを作るにはどの食材をどこで 買うか、4 人のグループでもっともよい買い方を考える授業でした。それぞれの良さがあり、答 えは一つではない学習課題なので子どもは、めいめい自分の意見を主張しあい、話し合いは盛 り上がっていました。話し合いのあとはグループ発表なので、話し合いに決着をつけなければ なりませんでした。「野菜は品数の多いスーパーがいいね。」「ショッピングモールにもたく さん野菜はあるよ。」「それじゃあ、近くて便利なスーパーにしよう。」こんなふうに話し合 っていました。 話し合うことの良さは授業を通して学びます。話し合いで高まりあうことや新しい発見があ ることが思考力を高め、話し合いがさらにうまくできるようになります。次第に相手の意見を 尊重することや自分の意見を的確に話すことができるようになります。じゃんけんもいいけれ ど話し合いのほうがもっといいと言える子どもにしていきます。
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