Economic Indicators 定例経済指標レポート 指標名:全産業活動指数(2016年8月) 発表日2016年10月20日(木) ~先行きも足踏み状態が続く見込み~ 第一生命経済研究所 経済調査部 担当 エコノミスト 伊藤 佑隼 TEL:03-5221-4525 (単位:%) 全産業活動指数 前期比 前年比 15 5 -0.7 -0.3 6 0.5 2.3 7 0.0 1.5 8 0.0 1.5 9 -0.3 0.5 10 0.7 1.0 11 -0.8 1.3 12 -0.6 -0.6 16 1 1.2 -0.6 2 -0.9 1.6 3 0.4 0.3 4 0.9 -0.2 5 -1.3 0.3 6 1.0 0.1 7 0.2 -0.8 8 0.2 1.7 (出所)経済産業省「全産業活動指数」 第3次活動指数 前期比 前年比 -0.3 0.7 0.2 2.4 0.1 1.9 0.2 2.0 -0.4 0.8 0.6 1.6 -0.6 1.4 -0.4 0.0 0.7 0.2 0.2 2.5 -0.2 0.4 0.8 0.7 -1.1 0.4 0.7 0.5 0.2 0.0 0.0 1.0 鉱工業生産指数 前期比 前年比 -2.2 -4.5 1.7 2.1 -0.9 -0.6 -0.7 -0.9 0.3 -1.2 1.2 -1.6 -1.1 1.4 -1.2 -2.1 2.5 -4.2 -5.2 -1.2 3.8 0.2 0.5 -3.3 -2.6 -0.4 2.3 -1.5 -0.4 -4.2 1.3 4.5 建設業活動指数 前期比 前年比 -0.2 1.1 0.2 1.7 0.7 4.2 0.0 3.1 -1.0 1.6 1.3 2.7 -2.9 -0.4 -0.7 -1.5 2.7 1.2 -0.2 1.3 -1.6 -1.0 2.0 0.3 1.7 2.1 0.1 2.1 1.3 2.8 -0.8 2.1 ○ 8月の全産業活動指数は前月比+0.2% 8月の全産業活動指数は前月比+0.2%と、コンセンサス(同:+0.2%、レンジ:同+0.1%~+0.4%) 通りの結果となった。 内訳をみると、プラスに寄与したのは鉱工業生産指数 (前月比寄与度+0.26%ポイント)であった。一方 で、マイナスに寄与したのは建設業活動指数(同▲0.05%ポイント)であった。第3次産業活動指数は前月 比0.0%という結果になった。 民間、公共ともに土木活動指数が低下したことで、建設業活動指数は5ヶ月ぶりに前月比マイナスとなっ た。一方で、液晶が好調だった電子部品・デバイスやノート型パソコンが高い伸びとなった情報通信機械を 牽引役に鉱工業生産指数が前月比プラスとなり、全産業活動指数を押し上げた。全産業活動指数は、3ヶ月 連続で前月比プラスとなったものの、上昇基調に転じたと言えるほどの力強さは感じられず、均してみれば 横ばい圏での推移が続いている。 ○ 第3次産業活動指数は前月比変わらず 8月の第3次産業活動指数は前月比0.0%と前月から横這いとなった。 プラスに寄与したのは、卸売業(前月比+1.4%、前月比寄与度+0.19%ポイント)、情報通信業(同+ 1.4%、同寄与度+0.15%ポイント)、不動産業(同+1.7%、同寄与度+0.13%ポイント)などであった。 一方で、マイナスに寄与したのは、生活娯楽関連サービス(前月比▲1.5%、前月比寄与度▲0.17%ポイン 本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容 は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。 ト)、事業者向け関連サービス(同▲2.0%、同寄与度▲0.15%ポイント)、小売業(同▲1.0%、同寄与度 ▲0.1%ポイント)などであった。 鉱物・金属材料卸売業が堅調だったことから卸売業、ゲームソフトや受注ソフトウェアといったソフトウ ェア業が高い伸びとなったことから情報通信業など4業種が前月比プラスとなり、第3次産業活動指数を押 し上げた。一方で、台風や豪雨といった天候不順により来客数が減少した生活娯楽関連サービスや小売業、 建設コンサルタントの海外からの受注減少を背景に土木・建築サービス業が大きく低下した事業者向け関連 サービスなどの7業種が前月比マイナスとなり、結果として、第3次産業活動指数は前月から横這いとなっ た。 消費者マインドが低迷していることを背景に家計の活動に関連が深い小売業や生活娯楽関連サービスは足 踏み状態が続いており、牽引役不在の中で第3次産業活動指数は均してみれば横ばい圏で推移している。 ○ 先行きも足踏み状態が続く見込み 先述したように、8月の全産業活動指数は3ヶ月連続で前月比プラスとなったものの、上昇は小幅なもの にとどまっており、先行きについても足踏み状態が続くことが予想される。 建設業活動指数については、住宅着工戸数が高い水準を維持する中、年明け以降には景気対策による公共 工事の増加が牽引役になることで、緩やかに上昇していくとみられる。一方で、鉱工業生産指数は、内需の 持ち直しが緩やかなものにとどまること、依然として在庫調整圧力が残存していることに加え、海外経済の 回復の鈍さなどが輸出向けの生産を下押しすることで、引き続き横ばい圏で推移するとみられる。また、第 3次産業活動指数も、低迷している消費マインドを背景に小売業などの消費関連が力強さを欠いた動きを続 けることが予想され、引き続き足踏み状態が続くであろう。以上のようなことから、全産業活動指数は先行 きも横ばい圏での推移を続けることが予想される。 (%) 全産業活動指数(季調値) 2010年=100 全産業活動指数前年比寄与度分解 106 2.5 105 2 104 1.5 103 1 102 0.5 101 0 100 -0.5 99 -1 98 -1.5 鉱工業生産指数 97 -2 建設業活動指数 12 13 14 15 第3次産業活動指数 16 全産業活動指数 -2.5 (出所)経済産業省「全産業活動指数」 15 16 経済産業省「全産業活動指数」 2010年=100 第3次産業活動指数(季調値) 生活娯楽関連サービス 106 4.0 105 3.0 104 2.0 103 1.0 102 0.0 101 -1.0 金融業,保険業 100 -2.0 卸売業 99 -3.0 98 -4.0 第3次産業活動指数前年比寄与度(%) 医療,福祉 不動産業 小売業 事業者向け関連サービス 物品賃貸業(自動車賃貸業を 含む) 運輸業,郵便業 情報通信業 12 13 14 (出所)経済産業省「第3次産業活動指数」 15 16 14 15 16 電気・ガス・熱供給・水道業 (出所)経済産業省「第3次産業活動指数」 本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容 は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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