同じ遺伝子なのに細胞の形や機能に多様性が生じる理由

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2016年(H28年 秋学期 、月3限・4限)
第5回:
同じ遺伝子セットなのに細胞の形や機能が変わる理由
第一回:生命誕生『遺伝子とその働き』
1個の特別な遺伝子が、次にどの遺伝子とどの遺伝子とどの遺伝子と・・・・
を働かせるかの指示を出す。結果、私達の体の形は作られる。
DNAがタンパク質をつくる転写の仕組を勉強しましたので、これをしっかり
思い出してください。ここからは、この転写の仕組を元に話が展開します。
まず、転写により作られるタンパク質は、実は、大きく二種類に分けられる
ということを紹介します。
①機能を持つ個々のタンパク質【構造タンパク・機能タンパク=部品】
例:血管に付着するコレステロールを剥ぎとるタンパク質
=普通これを『タンパク質』と我々は呼んでいる。
②転写を調節する制御タンパク質【転写調節因子】
例:ホメオティック遺伝子とマスターキー遺伝子(鍵遺伝子→転写因子)
=『グループ化された複数のタンパク』を『決められた順』に作る
この遺伝子の異常は奇形を作る
転写因子と呼ばれる一群のタンパク質は、どの遺伝子からタンパク質を作る
かと、転写されるべき遺伝子を指定する役割を持っている。これから、遺伝
子を起こす『鍵』の役割を持っていると考え、この鍵は複数の遺伝子を同時
に起こすことができる。
前半:コレステロールを除去する働きを持つタンパクの話
ポルタトーリと呼ばれる人は11番染色体上に『コレステロールを掃除す
るタンパク質』がある。普通の人のタンパク質はこの働きを持たない。
とある場所の『CGC=アルギニン』という遺伝子暗号が 『TGC=システイ
ン』に代わっていた。(ポルタトーリは『遺伝子を運ぶ人』という意味)
1654年生まれのジョバンニさん(T→C突然変異)にこの突然変異が生
じ、代々伝えられてきた。その結果、現在38人のポルタトーリがいる。
ヒトの体にある10万種類のタンパク質が部品として『命』を支えている。
髪の毛:ケラチン
体を動かす(筋肉):アクチン+ミオシン
神経伝達物質を運ぶ:キネシン
遺伝子はその一つ一つの部品タンパクを作っている
後半:ホメオティック遺伝子・マスターキー遺伝子(転写因子)
転写因子で、関連部品の遺伝子を一斉に作るための『鍵』として機能。
時間と場所に依存して、マスターキー遺伝子は順序良く働く。
マスターキー遺伝子を人為的に体に入れると、お腹に手が生えたりする。
最初に働くのがホメオティック遺伝子で、ホメオティック遺伝子の指示によ
り働くのがマスターキー遺伝子(どちらも転写因子)。
番組では、骨を作るホメオティック遺伝子が指の形の異常(奇形)を起こす
ことに触れている
1個のホメオティック遺伝子は、複数のマスターキー遺伝子を同時に働かせ
て、マスターキー遺伝子は、複数の部品遺伝子を一斉に作る。つまり、関連
する複数の遺伝子をグループ毎に作るよう遺伝子が管理している。
DNAと染色体の関係(ビデオ)
D
N
巻A
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色く
体
に
DNAはからまないように
糸巻きに巻き取られる
1
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DNAと染色体の関係(一般的説明)
染色体はヒストンタンパクがDNAを巻込んで固まったもの
DNAは細胞分裂時に染色体へと変身し、細胞分裂が終了すると解ける。
染色体=DNAが固まった状態:DNA=染色体が溶けた状態。
百科事典
(1巻)
DNA文字配列=情報
ホメオティック遺伝子・マスターキー遺伝子・部品遺伝子
一つの転写調節因子は複数
の遺伝子を同時に働かせる
ホメオティック遺伝子
指を作るマスターキー
指のタンパク
腕のタンパク2
ホメオティック遺伝子
腕を作るマスターキー
毛のタンパク3
マスターキー遺伝子