アピナック 錠 は大 日 本 住 友 製 薬 株 式 会 社 が 合 成 、開 発した 犬 用 慢 性 心 不 全 改 善 剤 で す 。主 薬 の Ⓡ アラセプリルは、 ACE阻害によるレニン・アンジオテンシン・アルドステロン(RAA)系を介する作用と、 RAA系を介することなく 末梢交感神経を直接抑制する作用の2つのルートにより血管拡張作用を 示します 。また 、アラセプリル の 代 謝 物 が 有 するSH基には 、 活 性 酸 素を消 去 する作 用 が あ り 、 活性酸素による傷害から臓器を保護する作用が期待できます。 2 化学名:1[ - ( S )- 3 - a c e t y l t h i o - 2 - m e t h y l p r o p a n o y l ] 1 一般的名称:アラセプリル(Alacepril) - L- pr olyl- L- phenylalanine 3 分子式・分子量 : 分子式:C 20 H 26 N 2 O 5 S 4 構造式 分子量:406.50 CH3 H3CCOSCH2 C CH2 CO N C H H 1 CONH COOH H アピナック 錠の作用機序 Ⓡ アラセプリルは経口投与後体内で「SH基」を有する2種(デアセチルアラセプリルとカプトプリル)の活性代謝物を生じ、 全く異なる機序による血管拡張作用を示します。 すなわち、デアセチルアラセプリル は、動 脈 壁 へ 良 好に移 行し、末 梢 交 感 神 経 抑 制 作 用を示 すとともに、徐 々に カプトプリルに変換されACE阻害作用による2つのルートで血管拡張作用を示します。 CH3 CH3COSCH2 CH CO N CH2 CONH CH COOH アピナック錠 (アラセプリル) Ⓡ CH3 HS CH2 CH CO N CH2 CONH CH COOH CH3 HS CH2 CH CO N デアセチル アラセプリル カプトプリル 動脈血管壁へ 良好に移行 ACE阻害作用 末梢交感神経系 抑制 レ ニ ン・ア ンジ オ テンシン・アルドス テロン系抑制 COOH カリクレイン・キニン・ プロスタグランジン 系促進 心臓の負荷軽減による慢性心不全の改善 2 大動脈壁への移行性(ラット) 高血圧自然発症ラットにアラセプリル30mg/kg経口投与後の大動脈壁中総デアセチルアラセプリル濃度は、投与 5時間後に最大となり、そのときの値は、140±40ng/gで、血漿中濃度の約7倍、消失半減期は7.5時間でした。 ■アラセプリル経口投与後の血漿中および大動脈壁中総デアセチルアラセプリル濃度(高血圧自然発症ラット) 血 漿 200 中 ま た は 大 100 動 脈 壁 中 濃 0 度 0 大動脈壁 血漿 140±40 1 3 5 7 10 投与後の時間(hr) (ng/ml or g) 14 14 C - デ アセチルアラセプリル 静 脈 内 投 与 後 の ラット 動 脈 壁 オートラジオグラムの画像 解 析 装置による擬 似カラー表 示 14 (赤く見えるのが C-デアセチルアラセプリル) n=S 平均値±S.E. (DSファーマアニマルヘルス 社内資料) 3 デアセチルアラセプリルの末梢交感神経抑制作用 ラット摘出灌流上腸間膜動脈でアンジオテンシンⅡ (AgⅡ)受容体遮断薬処置前後の電気刺激によるノルエピネフリン (NE)放出量を比較することによって、デアセチルアラセプリルには、 AgⅡ受容体を介さない直接的なNE放出抑制 作用が存在することが明らかにされました。 ■デアセチルアラセプリルの作用点 カプトプリルの作用点との比較 〔末梢交感神経末からのNE放出抑制(昇圧系抑制)作用〕 NE カプトプリルは、 AgⅡによるNE放出 促進を抑制 AgⅠ : アンジオテンシンⅠ AgⅡ:アンジオテンシンⅡ (+) NE : ノルエピネフリン (+) : 促進 Λ AgⅠ AgⅡ × 阻 害 カプトプリル 放 出 抑 制 代 謝 デアセチルアラセプリル (脱フェニルアラニン) 代 謝 : AgⅡ受容体 アラセプリル (脱アセチル) ラット摘出灌流上腸間膜動脈の電気刺激によるNE放出に及ぼす影響 AgⅡ受容体遮断薬処置前 薬物 AgⅡ受容体遮断薬処置後 デアセチルアラセプリル カプトプリル NE放出抑制 NE放出変化なし 4 (臨床薬理、 23 (1) :143、 1992) 用量反応性 慢性心不全モデル犬(ビーグル犬、 n=9)にアピナック 錠をアラセプリルとして1、 3mg/kgを単回経口投与し、 Ⓡ 肺動脈楔入圧(前負荷)および全末梢血管抵抗(後負荷)の低下を指標に用量設定試験を実施しました。その結果、 低下は1mg/kgの投与から認められ、 3mg/kgより大きな軽減が認められました。 前負荷軽減作用 後負荷軽減作用 全 0 末 梢 血 -5 管 抵 -10 抗 ︵ 肺 動 脈 -10 楔 入 圧 ︵ % ︶ -30 % ︶ 1mg/kg 3mg/kg -50 1 2 3 投与後の時間 4 5 -15 -20 1mg/kg 3mg/kg 1 2 3 投与後の時間 4 5 (DSファーマアニマルヘルス社内資料 用量設定試験) アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害作用 5 アンジオテンシンⅠ昇圧反応抑制率(覚醒正常血圧犬) 0 阻 害 率 1 3 5 7 (時間) 0 血漿ACE活性抑制率(ヒト) 0 阻 害 率 (%)20 40 40 60 60 :アラセプリル (5.6mg/kg.n=7) 100 アラセプリル(5.6mg/kg、n=7)を覚醒正常血圧 2 3 4 6 8 24 (時間) 0 (%) 20 80 1 ** *** ** *** *** 80 100 *** :アラセプリル (25mg1回経口投与 n=7) 本 態 性 高 血 圧 患 者 7 例にアラセプリル 2 5 m g 経 口 犬(雄性ビーグル犬、10∼16kg)に単回経口投与 投 与したところ、A C E 活 性 は投与後1時間から24 すると、アンジオテンシンⅠ昇 圧 反 応を著 明に抑 制 時間まで有意に低下しました。 しました。アラセプリルによるACE阻害作用は投与 1時間後に認めました。 6 (DSファーマアニマルヘルス 社内資料) 排 泄 アラセプリルをビ ーグル 犬 6 頭に1 . 8 7 m g / k g で 経 口 投 与したときの 、 総カプトプリル の 尿 中 排 泄 率 は 平 均 で 4 4 . 2 % で あり、残りは 糞 中 等に 糞中等 55.8% 尿中 44.2% 排 泄されました。 (DSファーマアニマルヘルス 開発時データ) 7 臨床試験 僧帽弁閉鎖不全症による慢性心不全と診断された犬78症例にアピナック 錠(アラセプリルとして1∼3mg/kg) Ⓡ を1日1∼2回、4週間投与した時の臨床効果を投与前後の臨床所見(一般検査、身体検査、胸部X線所見、心電図 検 査 所 見 )および心 機 能 分 類を主 治 医 の 診 断に基づきスコア化し、総 合 的に評 価しました。そ の 結 果 、有 効 率が 98.7%(77/78)と極めて良好な臨床効果が得られました。 ■スコア判定による臨床所見の改善率 総合評価 (%) 100 80 76.1% 無効 1.3%(1/78) 80.9% 65.3% 60 72.2% 65.4% 40 有効 著効 46.1% 52.6% (36/78) (41/78) 20 0 元 気 食 欲 一般検査所見 発 咳 呼 吸 困 難 身体検査所見 有効率 98. 7% (DSファーマアニマルヘルス 開発時データ)
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