乾癬の治療に用いる外用薬の主な作用について

乾癬の治療に用いる外用薬の主な作用について
監修:東京慈恵会医科大学皮膚科学教室 教授 中川
秀己 先生
日本大学医学部 皮膚科学分野 教授 照井 正 先生
かん せん
乾癬は「表皮の過剰な増殖・異常な分化」
と
「炎症」を伴う疾患です。
外用療法では主に活性型ビタミンD3外用薬とステロイド外用薬を用います。
活性型ビタミンD3外用薬
ステロイド外用薬
角層
炎症を起こす
細胞の集合・活性化
有棘層
皮膚内部の異常
表皮の異常な
分化
基底層
表皮の過剰な
増殖
尋常性乾癬の皮膚
皮膚表面の症状
りん せつ
鱗屑
(剥がれ落ちると
フケのようになる)
こう はん
紅斑(炎症・赤み)
表皮の肥厚・浸潤
(盛り上がり)
■それぞれの外用薬の特徴
活性型ビタミンD3外用薬
ステロイド外用薬
表皮の過剰な増殖を抑え、異常な分化
を正常化し、皮膚を正常な状態に導く
炎症を速やかに抑える
効果が出る
までの期間
長い
短い
良い状態を
保てる期間
長い
短い
局所
塗布部位の刺激感
毛細血管の拡張・皮膚が薄くなる
全身
高カルシウム血症・腎障害
副腎皮質機能抑制
主な作用
副作用
乾癬外用療法の流れ
寛解導入前期
寛解導入後期
寛解維持期
紅斑(炎症・赤み)と鱗屑、皮膚
の盛り上がりを同時に抑える
ために、活性型ビタミンD3外用
薬とステロイド外用薬を併用
します。
盛り上がりが平坦化して鱗屑が
消え、炎症が落ち着いて赤みが
減り、色調がピンク色になって
きたら、ステロイド外用薬の使用
量や使用回数・強さを下げます。
赤みがさらに減り、色素沈着が
混じるようになってきたら、活性
型ビタミンD3外用薬のみで表皮
の状態を整え、良い状態を保て
るよう治療を続けます。
悪い↑皮疹の状態↓良い
症状の改善にしたがって、
使用量や使用回数・強さを下げていく
ステロイド外用薬
活性型ビタミンD3外用薬
主な作用
ステロイド外用薬
紅斑(炎症・赤み)
を抑える
活性型ビタミンD3外用薬
表皮の過剰な増殖・異常な分化を正常化し、鱗屑・盛り上がりを抑える
5099420001
2015年3月作成
A0313AY-ES