「ステロイド外用薬」いつでも元気2013年3月

154 薬局の窓口から
監修/廣田憲威
(全日本民医連保険薬局委員会・薬剤師)
回答/坂部 修
(群馬・あおば薬局渋川店)
ステロイド外用薬
このコーナーでは読者のみなさんから寄せられた薬の質問に、薬剤師がお答えしていきます。日ごろ、感じている疑問を編集部までお寄せください。
Q:ステロイド剤について教えて
A:ステロイド剤は、副腎(腎臓の上にある臓器)
でつくられるホルモンと同じ成分を人工的につ
くりだし、薬にしたものです。副腎皮質ホルモ
ンはストレスから体を守ったり、糖や脂質の調
節や血圧を正常に保ったりするなど、体にとっ
症作用のはたらきで治療します。
て重要な役割を持つホルモンです。
症状や塗る場所によって、「どの強さの薬を、
ステロイド剤と言っても注射や飲み薬、外用
どれだけの量をどれだけの期間使用するのか」
薬(塗り薬)や吸入薬、点眼・点鼻薬といろい
を医師が判断し、処方します。
ろありますが、ここでは外用薬についてお話し
します。
Q:副作用があるのでは?
ステロイド外用薬はそのはたらきによって①
A:よく、「ステロイド剤は効くけど、副作用が
最 も 強 い(strongest)、 ② 非 常 に 強 い(very
怖い」という印象をお持ちの方がいらっしゃい
strong)
、③強い(strong)、④普通(medium)、
ますが、正しく使えば安全です。ステロイド剤
⑤弱い(weak)の 5 つに分けられています。
の副作用は全身的なもの(骨粗鬆症や白内障な
外用薬は皮膚から吸収されることで効果を発
ど)と局所的なものとありますが、外用薬では
揮しますが、塗る場所によって吸収率に違いが
全身的な副作用はありません。
あります。手のひらや足などは吸収率が低く、
局所的な副作用では、
「にきび」ができたり「感
陰部や顔などは高くなります。年齢によっても
染症」にかかりやすくなったりするなどがあり
違いがあり、赤ちゃんは皮膚が薄いので、吸収
ますが、使い方や使用量を守れば心配はいりま
率が高くなります。
せん。一般的には、チューブ状の外用薬で、お
Q:どんな症状の患者が利用するの?
となの人差し指の先から第一関節までの長さの
量(約 0.5 グラム)を、両手分の広さの患部に用
A:アトピー性皮膚炎、湿疹、皮膚炎、じんま
いると言われています。
しん、虫刺され、乾癬などの患者さんです。
「家族と同じような症状だから」と言って、自
ステロイド外用薬は、炎症を抑える「抗炎症
分の判断で薬を使わず、皮膚に気になる症状が
作用」と、
炎症の原因を根本から断つ「免疫抑制・
現れたら、皮膚科を受診しましょう。ステロイ
抗アレルギー作用」の 2 つのはたらきを持って
ド剤に限ったことではありませんが、必要以上
います。アトピー性皮膚炎に対しては免疫抑制・
に薬の副作用を怖がらず、不安があれば医師や
抗アレルギー作用、湿疹や皮膚炎などには抗炎
薬剤師に相談してください。
23 いつでも元気 MIN-IREN 2013.3