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広島版「学びの変革」アクション・プラン
~美術科の授業にて~
広島県立尾道特別支援学校
知的障害部門
中学部第1学年(単一)
【基礎知識】
【つながり】
【応用○ひろがり】
○自分が見つけたもの(自
然物,人の表情や動
き)に興味をもつ。
○様々な表現方法を知る。
○気になった物の色や形,成り立ち
に注意を向け見察する。
○描きたい物を整理し,構成を考え,
表現方法を模索しながら,自分で
選択して,制作を行う
○作品を鑑賞し合い,自分の作
品について具体的なイメー
ジや制作したときの気持ち
を説明することができる。
○話したい気持ちを高める。
◇学年
◇題材名
知的障害部門
中学部第1学年(単一)
「学校で見つけたものや友だち,先生を描こう,つくろう」
◇題材の目標
題材の流れ
(全6時間)
絵の具や色鉛筆,クレヨン等の素材を使って自由に表現する。
主な学習
学校で見つけたものを画用紙にこう構成し完成のイメージをもとう
1~2
○学校の中のもの(人工物,自然物)や人を見つける。
○画用紙に描き,構図を決める。
見つけたものをよく見察し,様々な表現方法を試しながら作品制作をしよう
3~8
○マスキングやスパッタリング,ローラーを使った表現を知り,体験する。
○既習事項を試しながら,作品制作をする。
作品鑑賞を行い,友だちに自分の作品について説明しよう
9
○作品タイトルやイメージを自分なりの言葉で書き出し,友だちにプレゼンテーションする。
○自分の作品と友だちの作品の良さを感じる。
<学習活動の様子>学校で見つけたものを自ら表現方法を工夫して描く
◇学習の過程
5 回目/全 6 回(1回は 1.6 時間とする)
学習活動
〇支援
◇指導上の留意事項
☆評価の見点
1
あいさつをする
◇起立できているか,あいさつが揃っているか号令係に確認をさせてから。あいさつ
ができているか見守る。
2
前時の復習をする
◇生徒の作品を見ながら,前時までの学習について思い出させる。
〇本時の学習での目標と重点ポイントを白板に板書をすることで,確認をさせる。
3
制作をする
4
振り返りをする
5
あいさつをする
◇制作に必要な道具で持っていないローラーなどが必要な場合は,教師のところまで
自分で取りにこさせる。
〇重点ポイントを踏まえて制作ができているか生徒に確認させ,必要な場合は教師も
一緒に重点ポイントを確認し,制作の手本を示す。
〇意欲的な姿を積極的に評価し,意欲が高まるようにする。また,制作が進んでいな
い場合は,描きたいイメージを原稿用紙に書いたり,簡単に教師に説明させたりす
るなど言語化させる。
〇制作する際には,生徒の作品のイメージが広がるように対話をしたり,表現方法の
模範を見せたりする。
◇制作が主体的に進んでいるか生徒の状況を見守る。
☆学校で見つけたものを自ら表現方法を工夫して描くことができたか。
〇自分が一番描きたいと思っているものが描けているかを客観的に作品から離れて
見ることで,次時では,どのように制作を進めるか考えさせる。
〇次時では,作品を完成させ,作品鑑賞を行うことを伝え,活動の見通しがもてるよ
うにする。
◇元気よくあいさつができているか見守る。
生徒の実態
○本学級には,知的障害のある生徒が5名在籍している。
○生徒たちは,自分たちで話し合いをして掃除の役割分担をすることができるが,一方的に話が
進んでしまうことが多い。また,嫌なことがあると友だちに暴言を言ったり,自分の気持ちを
上手く伝えられることができなかったりする。
○美術科においては,絵を描くことが好きだが,比率や色などを正確に捉える事ができず,イメ
ージ通りに制作ができない。描きたいものは明確にあるが,いろいろな描き方への挑戦が難し
い現状がある。また,長い時間をかけて制作の計画を練り,作品を制作する経験があまりない
点に課題の所在がある。
本実践における課題発見・解決学習のポイント
ポイント1
ポイント2
○描いてみたい,なんだろ
うと思ったものをテーマ
にさせ,教師と対話した
り,観察したりする。
○ローラー,スポンジ,マスキング
テープ,セロハンテープなど,教
室にある物を活用し,表現方法に
挑戦する。
○生徒の考えた作品タイトルと作品
の進捗状況を確かめさせ,次にど
こを描くか,どんな色を使うか教
師と一緒に考える。
ポイント3
○作品鑑賞の場面では,自分の
作品タイトル,制作意図につ
いて自分なりの言葉で紹介を
する。その後,生徒同士で質
疑応答や互いの作品について
良いところを評価したり,ア
ドバイスをしたりする。
発展的な学習について
○自分が身の回りで見つけたものについて焦点化させ,国語科において,意味を考えさせた
り,数学科において重さや長さについて実際に計量,計測させたりすることで,教科学習
や対象物そのものの理解が深まるようにしていく。
○日常生活における身近な疑問を取り上げ,友だち同士でやりとりを繰り返すことで,自分
の意見を伝えたり,友だちの意見を聞いて発想できる力が養われることを期待したい。
参考資料
「平成 28 年度広島県教育資料」広島県教育委員会