PowerPoint プレゼンテーション

*グローバル投資環境
No.1454 *
ご参考資料
髙木証券投資情報部
「長短金利操作付き量的・質的金融緩
日銀金融政策決定会合~ 和」を導入
2016年9月23日作成
日銀は9月20日から21日にかけて金融政策決定会合を開催、7月28~29日に開催した
前回会合で予告した「総括的な検証」の結果を発表するとともに、「長短金利操作付き
量的・質的金融緩和」を導入することを決定した。日銀が「金融緩和強化のための新し
い枠組み」と位置付ける「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入する前提とな
った「総括的検証」の骨子は以下の通り。
【基本的見解】
(1)「量的・質的金融緩和」のメカニズム
「量的・質的金融緩和」は、実質金利を低下させた結果、経済・物価の好転をもたらし、物価の持
続的な下落という意味でのデフレではなくなった。
(2)2%の「物価安定の目標」の実現を阻害した要因
①原油価格の下落、②消費税率引き下げ後の需要の弱さ、③新興国経済の減速とそのもとでの
国際金融市場の不安定な動きといった外的な要因が発生し、実際の物価上昇率が低下、その中
で予想物価上昇率が横這いから弱含みに転じたことなど
(3)予想物価上昇率の期待形成メカニズム
実際の物価上昇率が当面低い水準で推移する中にあって、「物価安定の目標」の実現には時間
がかかる可能性に留意する必要がある。マネタリーベースと予想物価上昇率は、長期的な関係
を持つと考えられるため、マネタリーベースの長期的な増加へのコミットメントが重要だ。
(4) マイナス金利と国債買入れによるイールドカーブの押し下げ
イールドカーブの押し下げには、マイナス金利と国債買入れの組み合わせが有効である
(5) イールドカーブ引き下げの効果と影響
国債金利の低下は、貸出・社債・CP金利の低下にしっかりとつながっている。金融緩和の貸出態
度は引き続き積極的だが、貸出金利の低下は金融機関の利鞘を縮小することで実現している。
イールドカーブの過度な低下、フラット化は経済活動に悪影響を及ぼす可能性がある。
【示唆される政策の方向性】
(1) 予想物価上昇率をさらに引き上げるために、フォワード・ルッキングな期待形成を強める手段を
導入するとともに、より持続性があり、状況に応じて柔軟に対応できるスキームとする必要
(2) マネタリーベースについては、長期的な増加にコミットすることが重要である
(3) マイナス金利と国債買入れを適切に組み合わせることにより、イールドカーブ全般に影響を与え
ることができる。
(4) イールドカーブの適切な形成を促すにあたっては、①貸出・社債金利への波及、②経済への影
響、③金融機能への影響など、経済・物価・金融情勢を踏まえて判断することが適当である
また、「総括的な検証」では、追加緩和の手段として、「イールドカーブ・コントロ
ール」の2つの要素である①短期政策金利の引き下げと②長期金利操作目標の引き下げ
を行うほか、「量的・質的金融緩和」以来実施してきた③資産買入れの拡大に加えて、
状況に応じて、④マネタリーベース拡大ペースの加速を手段とすることもあるとした。
次に、「総括的な検証」を踏まえて決定された「長短金利操作付き量的・質的金融緩
和」の柱は、①長期金利の操作を行う「イールドカーブ・コントロール」、②消費者物
価上昇率の実績値が安定的に2%の「物価安定の目標」を超えるまで、マネタリーベー
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最終頁の「ご注意いただきたいこと」を必ずお読み下さい。
髙木証券投資情報部
ご参考資料
スの拡大方針を継続する「オーバーシュート型コミットメント」であるが、詳細は以下の
通り。
『当面の金融政策運営について』要旨
内容
備考
短期金利:日銀当座預金のうち政策金利残高に▲0.1%のマイナス金利を適用
金融市場調節方針
資産買入れ方針
長期金利:10年物国債金利が概ね現状程度(ゼロ%程度)で推移するよう、長 マイナス金利の深掘りは見送り。「国債買入れの下限金利を設けず、▲0.1%を
期国債の買入れを行う。国債買入額は、概ね現状程度(年間約80兆円)をめど 下回る金利での買入れも行う」とした1月のマイナス金利導入時の方針は撤回。
にしつつ、金利操作方針を実現するように運営。買入れ対象は、引き続きな幅
広い銘柄とし、平均残存期間(従来7~12年程度)の定めは廃止。
「設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業」を対象とするETFを除く5.7兆
ETFの買入れペースは年間約6兆円(うち3,000億円は「設備・人材投資に積極
円の銘柄別買入れ限度について、従来のTOPIX、日経225、JPX400の3指数
的に取り組んでいる企業」を対象とするETF)。J-REITの買入れペースは年間約
に連動するETFを対象にした時価総額比例から、3兆円を従来通りの3指数連動
900億円。
のETF比例とし、残り2.7兆円をTOPIX連動ETFの時価総額比例に変更
長短金利操作のための新
日銀が指定する利回りによる国債買入れ(指値オペ)を行う
型オペレーションの導入
「マネタリーベースの残高は、イールドカーブ・コントロールのもとで短期的に変動し
2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要
うるが、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に
な時点まで、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を継続する。今後とも、経
オーバーシュート型コミットメント
2%を超えるまで、拡大方針を継続する」とし、従来の「年間約80兆円に相当す
済・物価・金融情勢を踏まえ、2%の「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維
るペースで増加」という具体的な数値表現を撤廃する一方、あと1年強で、マネタ
持するため、必要な政策の調整を行う。
リーベースの対名目GDP比率は100%を超える見込みであることを指摘。
今回の決定からは、日銀の金融緩和の主眼が「量」から「イールドカーブ」に移行した
ような印象も受けるが、国債の年間買入れ額を弾力化したものの、概ね現状(80兆円)
をめどにしている点で、大枠は変っていないとみられるため、為替市場に対するインパク
トは乏しく、基本的には為替の先行きは米国の利上げペースに左右されると思われる。一
方、株式市場に対する影響という点では、①金融機関の収益を圧迫する点で、株式市場の
参加者が警戒していた「マイナス金利」の深掘りが見送られたほか、10年国債利回りが
概ね現状程度(ゼロ%程度)で推移するように長期国債の買入れを行うとし、買入れの下
限金利を設けないとしていた1月のマイナス金利導入時点の方針を撤回したこと(これを
受けて21日の株式市場では銀行及び保険株が急騰した)、②ETFの買入れにおけるTOPIX
連動ETFの比率が高められることにより、日銀のETF買いに対する思惑を背景に、日経平
均に対する寄与度の大きい個別銘柄の値動きが、その業績に関する材料とは無関係に大き
くなる傾向が和らぐ、という点でいくぶんポジティブだと思われる。(文責:勇崎 聡)
(出所:日本銀行より髙木証券作成)
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