金融緩和の総括的な検証と新たな枠組みをどうみるか?

2016 年 9 月 26 日
片岡剛士レポート
金融緩和の総括的な検証と新たな枠組みをどうみるか?
経済政策部 上席主任研究員 片岡 剛士
日本銀行は 9 月 20 日・21 日の金融政策決定会合において、7 月 28 日・29 日に表明していた金融緩和策(「量的・
質的金融緩和」・「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」)のもとでの経済・物価動向や政策効果についての総括的な検
証を行い、その結果から新たに「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」に採用・実行に踏み込んだ。
日本銀行の今回の決定については、賛否入り混じった評価がなされているようだ。この決定をどのように考えたら良いの
だろうか。以下では内容を紹介・検討しつつ、新たな金融政策の枠組み採用がもたらす 3 つの可能性(帰結)について論
じてみることにしたい。
■「総括的な検証」のポイント
今回の金融政策決定会合では、「総括的な検証」 1として、次の 5 つのポイントが提示され、それらの結果から示唆される
政策の方向性が示されている。
図表 1 総括的な検証のポイント
1.
量的・質的金融緩和にはどのような効果があったのか
2.
2%の物価安定目標はなぜ達成できないのか
3.
予想物価上昇率はどのように決まるのか
4.
マイナス金利政策と長期国債買い入れがイールドカーブ(金利)にどう影響したのか
5.
イールドカーブの押し下げはどのような効果と影響をもたらしたのか
5 つのポイントというのは、図表 1 に示したとおり、①量的・質的金融緩和はどのような効果があり、②2%の物価安定目
標が現時点においてなぜ達成されていないのか、③予想物価上昇率はどのように決まるのか、④マイナス金利政策と長
期国債買い入れがイールドカーブにどう影響したのか、⑤イールドカーブの押し下げはどのような効果をもたらしたのか、
という点である。
■量的・質的金融緩和には効果があったのか
それぞれについてみておこう。2013 年 4 月の金融政策決定会合で決定した「量的・質的金融緩和」は、金融市場を調
整する際の日銀の目標を、それまでの政策金利(無担保コールレート(オーバーナイト物))から、日銀が供給する通貨で
ある「マネタリーベース」へと変更の上、長期国債や CP・社債・ETF・J−REIT といった様々な資産を市中から購入するこ
次の資料の(別紙 1)http://www.boj.or.jp/announcements/release_2016/k160921a.pdf 、また背景説明として
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2016/k160921b.pdf が、より分かりやすく説明した資料として、「目で見る金
融緩和の「総括的な検証」と「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2016/k160921c.pdf が公表されている。
1
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とでマネタリーベースを拡大させ、名目金利を下げ、予想インフレ率を高めることで実質金利(=名目金利−予想インフレ
率)を下げ、様々な経路を通じて総需要を刺激して 2%の物価安定目標を達成する金融政策である 2。実質金利は自然
利子率を超えて十分に下がり、経済・物価は好転し、物価の持続的な下落という意味でのデフレではなくなった、との評
価だが、これは妥当だろう。仮に「量的・質的金融緩和」の効果はなかったという評価を下すのならば、日銀は「総括的な
検証(背景説明)」の補論図表 6 においてマクロ経済モデルによるシミュレーション結果を提示しているので、これを実証
的に否定する必要があるのではないか。
■予想インフレ率はなぜ失速したのか、2%の物価安定目標はなぜ達成できないのか
しかし、前回のレポート(「求められるリフレ政策の再起動」 3)で詳細に論じたとおり、金融政策の効果はあったものの
「2%の物価安定目標」を達成するには力不足であった。日銀はこうした現状につき、2%の実現を阻害した要因として、
原油価格の下落、消費税率引き上げ後の需要の弱さ、新興国経済の減速とそのもとでの国際金融市場の不安定な動き、
といった 3 つの要因が実際の物価上昇率を低下させ、その中で適合的期待形成の要素が強いわが国の予想物価上昇
率が横ばいから弱含みに転じたと整理している。これが図表 1 における 2 つ目と 3 つ目のポイントに対応する。
図表 2 は消費者が直面している 1 年後の予想物価上昇率の動きをみている。予想物価上昇率は、安倍首相が消費税
率の引き上げ(5%→8%)を表明した 2013 年以降に伸び率の上昇は止まり、2014 年 4 月の消費税増税実行後から原油
価格の下落が始まる 2015 年半ばにかけて横ばい圏内で推移し、2015 年半ば以降伸び率は明確に落ち込みを続けてい
る。
図表 2 予想インフレ率(消費動向調査)と消費者物価指数前年比の推移
(%、前年比)
安倍首相増税表明
(2013年10月)
4
予想インフレ率
(消費動向調査)
3
マイナス金利政策(16年1月)
ETF買入れ強化
(16年7月)
2
消費税増税
(2014年4月∼)
追加緩和
(14年10月)
1.7
1
0.3
0
-0.5
-1
-2
消費者物価指数(生鮮食
品を除く総合)
消費者物価指数(食料(酒
類を除く)・エネルギーを除く
総合)
-3
1234567891011 21234567891011 21234567891011 21234567891011 21234567891011 21234567891011 21234567891011 212345678 (月)
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
(年)
(注)消費者物価指数は2015年基準値である。消費税増税による物価押し上げ分は除いている。
(出所)内閣府「消費動向調査」、総務省「消費者物価指数」
2
3
「量的・質的金融緩和」の導入について http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130404a.pdf
http://www.murc.jp/thinktank/rc/column/kataoka_column/kataoka160914.pdf
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日銀は、「総括的な検証(背景説明)」の補論図表 1 において企業・家計・専門家・市場の予想インフレ率の動きを紹介
しつつ、予想物価上昇率の動きを 3 つの局面に分解して検討を行っているが、3 つの局面は図表 2 の予想インフレ率の
局面変化と概ね同じである。
そして補論図表 3 では予想物価上昇率の要因分解を行っている。これは予想物価上昇率の動き(予想形成)が、実際
のインフレ率の動きによって形成されるとする適合的(バックワードな)期待と中央銀行のインフレ目標等により左右される
先行きの(フォワードな)期待のいずれにより大きく影響を受けるかを分析したものだが、1 年先の予想インフレ率の動きの
6 割は実績のインフレ率の動き(バックワードな期待)で説明されるとの結果が得られている。つまり、わが国の予想インフ
レ率はバックワードな期待(実際のインフレ率)により大きく影響を受けるということだ。なお、わが国の予想インフレ率の動
きが実際のインフレ率の動きに大きく影響を受けるという点は、黒田総裁も過去の講演で指摘している点であるし、三菱
UFJ モルガンスタンレー証券の嶋中雄二氏の分析 4でも示されているポイントだ。
「総括的な検証(背景説明)」の補論 2 及び補論図表 2 では、実績のインフレ率が「2%の物価安定目標」から乖
離しているのは、どんな要因が作用しているのかを要因分解の形で示している。
図表 3 は結果を転載しているが、実際の物価上昇率と物価安定目標との乖離幅が縮まり、予想物価上昇率が上昇し
た「第 1 フェーズ」の期間(2013 年 4 月から 14 年夏)では金融政策のレジーム変化による「予想インフレショック」が乖離
幅の縮小に大きく寄与している事がわかる。「第 2 フェーズ」の期間(2014 年夏から 15 年夏)に入ると、「予想インフレショ
ック」の乖離縮小効果が弱まるとともに、「実績インフレショック」が物価目標からの乖離拡大に寄与している。そして第 3 フ
ェーズの期間(2015 年夏から 16 年第 2 四半期まで)では、実績インフレ率の物価目標からの乖離は実績インフレ率の下
落によりマイナス方向に広がり、主にそれは「予想インフレショック」のマイナス寄与の拡大によることがわかる。
図表 3 実績インフレ率の物価目標(2%)からの乖離の要因分解
(注 1)実績インフレ率は消費者物価指数(除く生鮮食品・エネルギー)を用いている。よって、原油価格下落にともなう直接的な
物価への影響は除外されていると考えられる。
「いま日銀に期待される金融政策」に関する 8 つの論点」(嶋中雄二の景気サイクル最前線、2016 年 7 月 22 日)
http://www.sc.mufg.jp/report/business_cycle/snb_report/pdf/snb20160722.pdf
4
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(注 2)需給ギャップ:総需要と総供給の乖離。総需要<総供給の度合が高まるほど物価下落圧力が強まる。予想インフレショッ
ク:金融政策のレジーム変化によるインフレ予想の非連続的な変化、物価への波及ラグが長い為替レート変動の影響、エネル
ギー価格の変化によるセカンド・ラウンド・エフェクトなど、実績インフレショック:実績インフレ率の短期的な振れや需給ギャップ
では捉えきれない実体経済面の実績インフレ率への影響、物価目標アンカーショック:中長期のインフレ予想を物価目標から乖
離させるショック。
(出所)日本銀行「「量的・質的金融緩和」導入以降の経済・物価動向と政策効果についての総括的な検証【背景説明】」補論図
表 2-(2)より筆者転載。
2016 年 1 月の金融政策決定会合ではマイナス金利政策が導入された。筆者が 2016 年 3 月 18 日付のコラム(「日銀
の金融政策の真の課題とは何か」 5)で指摘したとおり、マイナス金利政策は低迷を始めた予想インフレ率を再び持ち上げ
る力を持ちえなかった。そしてそのことが足下で広がる実績のインフレ率と「2%の物価安定目標」との乖離拡大につなが
っていることが改めて整理されたということではないだろうか。
■マイナス金利政策、長期国債買い入れの金利への影響
図表 1 の 4 つ目と 5 つ目のポイントについて言及しよう。マイナス金利政策と長期国債買い入れがイールドカーブにどう
影響したのか、イールドカーブ押し下げがどのような効果と影響をもたらしたのだろうか。
日銀の整理によると、マイナス金利の導入は、2013 年 4 月以降の長期国債買い入れとの組み合わせにより、金利全般
を大きく下押しする効果をもたらした。図表 4 は量的・質的金融緩和、追加緩和、マイナス金利政策が各満期の国債金利
に与えた影響を整理している。図表からは、「量的・質的金融緩和」期(2013 年 4 月 4 日∼2014 年 10 月 30 日)は、満
期 1 年から 20 年までの金利を下げる一方で満期 25 年から 40 年までの金利を上昇させた。そして「追加緩和」期(2014
年 10 月 31 日∼2016 年 1 月 28 日)では、全ての満期において「量的・質的金融緩和」の時期と比べて金利が下がって
おり、「マイナス金利政策」期(2016 年 1 月 29 日∼9 月 20 日)では満期 1 年から 5 年までと、満期 25 年から 40 年まで
の金利が「追加緩和」期を上回って下がっている。以上からは、「量的・質的金融緩和」から「追加緩和」といった形で国債
の買い入れ額のペースを強めると国債金利には下押し圧力がかかりやすくなり、マイナス金利政策は国債買い入れと比
較して国債金利を下げる効果が大きいと言えるだろう。
日銀は、こうした国債金利の低下が貸出・社債・CP 金利の低下につながっているとし、金利の低下が経済に与える影
響は、短中期ゾーンの効果の方が長期ゾーンよりも大きく、イールドカーブの過度な低下・フラット化は、金融機能の持続
性に対する不安感をもたらし、マインド面などを通じて経済活動に悪影響を及ぼす可能性があると整理している。
市場における資金量によってほぼ決まり、日銀の金融調節の影響を受けやすい短期金利とは異なり、長期金利は、予
想インフレ率や期待潜在成長率、リスクプレミアムの影響を受けることが知られている 6。
つまり、予想インフレ率、期待潜在成長率、リスクプレミアムが高まると長期金利は上昇し、これらが低下すると長期金利
は下落する。図表 3 における予想インフレ率ショックの動向を勘案すると、マイナス金利政策導入により満期 10 年超の金
利が大きく低下した理由として、リスクプレミアムの低下やプラスの金利のついている超長期債への需要増に加えて予想
インフレ率の低下も影響しているのではないだろうか。
5
6
http://www.murc.jp/thinktank/rc/column/kataoka_column/kataoka160318.pdf
日本銀行 HP「長期金利の決まり方・・・将来の「予想」が大事 https://www.boj.or.jp/mopo/outline/expchokinri.htm/
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図表 4 各政策による国債金利への影響
(%pt)
0.20
0.10
0.00
-0.10
-0.20
-0.30
-0.40
-0.50
-0.60
-0.70
-0.80
1年
3年
2年
4年
5年
6年
量的・質的金融緩和
7年
8年
9年 10年 15年 20年 25年 30年 40年
追加緩和
マイナス金利政策
(満期)
(注)「量的・質的金融緩和」の場合は、2013 年 4 月 4 日時点(量的・質的金融緩和)から 2014 年 10 月 30 日時点(追加緩和
前日)までの金利前日差の累積値を、「追加緩和」の場合は、2014 年 10 月 31 日時点(追加緩和)から 2016 年 1 月 28 日時
点(マイナス金利政策導入前日)までの金利前日差の累積値を、「マイナス金利政策」の場合は、2016 年 1 月 29 日時点(マイ
ナス金利政策)から 2016 年 9 月 20 時点(総括的な検証前日)までの金利前日差の累積値を示している。
(出所)財務省「国債金利情報」
■新たな枠組み(その 1)−「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)」
以上、日銀の「総括的な検証」を敷衍した。これらの整理から、日銀は示唆される政策の方向性を示した上で新たな「枠
組み」を導入した。それが「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)」と「オーバーシュート型コミットメント」である(図
表 5)。
図表 5 新たな枠組み
1.長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)
・短期金利はマイナス 0.1%(現状維持)、長期金利(10 年物国債金利)を概ね 0%に誘導
2.オーバーシュート型コミットメント
・消費者物価前年比(生鮮除く総合)前年比が安定的に 2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大を継続
まず「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)」についてみていこう。イールドカーブ・コントロールとは、短期金利
については日銀当座預金のうち政策金利残高にマイナス 0.1%のマイナス金利を適用するという従来方針を維持しつつ、
新たに長期金利について 10 年物国債金利が概ね現状程度(ゼロ%程度)で推移するように促すというものである。長期
金利の維持の手段はこれまで通り長期国債の買入れであり、現状の買入れペースを維持するとのことだ。また、長短金利
操作を円滑に行うために、必要に応じ特定の満期の国債を対象として、日銀が指定する利回りによる国債買入れ(指値オ
ペ)を行うことが明記されている。
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なお「イールドカーブ・コントロール」という言葉から、日銀はマネタリーベースの拡大を主軸としたこれまでの政策枠組
みを放棄して金利を主軸とした枠組みへと政策変更を行ったという指摘があるようだが、こうした指摘は正しくない。
冒頭でも述べたとおり、「量的・質的金融緩和」はマネタリーベースの拡大を通じて、実質金利(=名目金利−予想イン
フレ率)を下げ、様々な経路を通じて総需要を刺激して 2%の物価安定目標を達成する金融政策である。そしてマイナス
金利政策の導入も、最も短い満期の金利をマイナスにすることでイールドカーブの全体的な下押しをさらに進めて、その
ことで実質金利の低下をさらに後押しする政策である。つまり、「イールドカーブ・コントロール」の採用は、「量的・質的金
融緩和」以降の金融政策の眼目であった実質金利低下を更に強化するという意味を持っている。
そして長期金利(10 年物国債金利)を現状程度で維持するとしたのは、前節におけるマイナス金利政策と長期国債買
い入れの効果と影響を踏まえてのものである。つまりマイナス金利政策と長期国債買い入れにより長期ゾーンの金利が大
幅に低下した事から、10 年物国債金利を現状程度で維持することを通じて長期ゾーンの金利が大きく低下するという事
態を避け、マイナス金利政策が持つ短期ゾーンへの金利低下という効果を最大限に活かそうというものである。
「イールドカーブ・コントロール」はあくまで新たな「枠組み」の導入であって、マイナス金利政策の深掘りや国債をはじめ
とする資産買い取りの更なる増加は(現時点では)含まれていない。今回の政策決定は追加的な緩和策の決定ではない
ことに留意すべきだろう。
■新たな枠組み(その 2)−「オーバーシュート型コミットメント」
そして今回導入されたもう一つの枠組みが「オーバーシュート型コミットメント」である。これは、消費者物価(生鮮食品除
く総合)の前年比実績値が安定的に 2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続するという約束(コミットメント)
だ。従来のコミットメントは「量的・質的金融緩和」や「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」といった枠組みを通じて 2%
の物価安定目標の早期実現を図るというものであり、2%の物価安定目標達成後には即座に引き締めを開始するとも(筆
者は全くそう思わなかったのだが)解釈可能であった。こうした可能性を明確に排除したということだ。
図表 6 は従来のコミットメントと「オーバーシュート型コミットメント」のイメージを図示している。消費者物価指数前年比が
「2%を達成するまで」という解釈も可能であった従来のコミットメントから、一時的に 2%を上振れる局面でも緩和を継続し、
安定的に 2%を超える状況が生じるまで金融緩和を継続するというより強力なコミットメントの採用が相違点である。
図表 6 従来のコミットメントと「オーバーシュート型コミットメント」との比較(イメージ図)
従来のコミットメント
オーバーシュート型コミットメント
物価上昇率(%)
金融緩和継続
2%の物価安定目標
物価上昇率(%)
金融緩和継続
金融緩和停止
2%
金融緩和停止
2%の物価安定目標
2%
実際の物価上
昇率の動き
実際の物価上
昇率の動き
(時間)
(時間)
(注)筆者作成。金融緩和停止にはバランスシートの維持といった措置も含まれる。
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予想インフレ率の動向に関する日銀の整理に基づけば、予想インフレ率はバックワード・ルッキングな期待形成とフォワ
ード・ルッキングな期待形成の双方から影響を受ける。より強力なコミットメントの採用は、将来にわたる金融政策の継続と
強化を予想させることを通じてフォワード・ルッキングな期待形成を強め、それが予想インフレ率を高めることにつながると
考えられる。
なおインフレ目標政策については、最近でもサンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁をはじめとして様々な識者がイン
フレ目標の引き上げというコミットメント強化策を提言している。つまり 2%のインフレ目標を例えば 4%に引き上げることで、
実際の物価上昇率を引き上げようとする提案だ。ただし予想インフレ率が 2%にアンカーされている米 FRB とは異なり、
日銀は物価安定目標として掲げている 2%のインフレ目標を一度も達成していないため、目標インフレ率の引き上げを採
用してもコミットメントとして信頼されない可能性もありえる。以上の事情を考慮したために、「消費者物価指数(生鮮除く総
合)」という具体的な指標を明記した上で「オーバーシュート型コミットメント」の採用を決定したのではないかと思われるの
である。
■「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)」による金利のコントロールは可能なのか−米国の経験から
次に枠組み変更が今後の金融政策に何をもたらすのかを検討してみたい。
まず「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)」については、そもそもイールドカーブを日銀が制御できるのかとい
う論点があるだろう。長期金利(10 年物国債利回り)を 0%近傍に誘導するという政策は、1942 年 3 月に米財務省が
2.5%を長期金利の上限として国債を調達し、FRB がそれに協力することを約束した経験を想起させる。2.5%の長期金
利の上限は米財務省と FRB がアコードを締結して金融政策の自律性が回復する 1951 年 3 月まで維持され、実際に長
期金利は 2.5%未満で推移した。
実際に FRB はどのような政策を行ったのだろうか。富田俊基(2004) 7によると、FRB は長期金利を一定水準に釘付け
するのではなく、短期金利(財務省短期証券(TB)3 か月物金利)を 1942 年 3 月から 1947 年 7 月までの期間に 0.375%
に釘付けし、TB 以外の利付国債について、FRB と米財務省は一定の水準を超えて金利が上昇することを防止する行動
をとることを約束したのみだった。これらの政策によって、1 年物利付国債は 0.875%∼0.9%、4 年半物には 1.5%という
暗黙の金利の天井がついた形でのイールドカーブが形成された。
第二次世界大戦が終結すると、消費者物価指数は物価統制の停止や欧州での復興需要の高まりによって 1946 年 6
月に 3%を超え、1947 年末から 48 年初にかけて 20%近くに達し、米国の財政赤字は 47 年、48 年に巨額の黒字に転じ
た。こうした中で FRB は短期金利(財務省短期証券(TB))を 47 年 7 月に 0.875%に引き上げ、47 年 8 月には 1 年物
利付国債を 0.875%で買い入れることを停止することで徐々に戦時の金利体系から離脱していく。しかし、1951 年 3 月の
アコード締結まで、短期金利の上昇にかかわらず長期金利は 2.5%未満で推移している。そして富田(2004)は、長期金
利を 2.5%未満で維持することが可能であった理由として、長期の予想インフレ率が安定的であったこと、FRB が準備率
の操作を通じて予想インフレ率の安定化に努めたこと 8を指摘している。
「財務省・連銀によるアコードの検証」、野村総合研究所『知的資産創造』2004 年 1 月号
http://www.nri.com/jp/opinion/chitekishisan/2004/pdf/cs20040108.pdf
8 FRBは準備預金を増やす事でマネタリーベースが増加したものの、準備率の引き上げによって貨幣乗数が低下したために、
マネタリーベースの増加がマネーストックの増加につながらなかったと、Eichengreen and Garber(1990) ,” Before the
Accord:U.S.Monetary-Financial Policy, 1945-51”,NBER Working Paper No.3380, June 1990.
http://www.nber.org/chapters/c11485.pdf の議論を引用しつつ整理している。
7
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以上からは、イールドカーブ・コントロール、特に日銀が長期金利(10 年物国債利回り)を 0%近傍に誘導する場合には、
長期国債買い入れ増に伴う長期金利低下圧力と、「オーバーシュート型コミットメント」採用に伴う予想インフレ率上昇を通
じた長期金利上昇圧力とを勘案しつつ誘導することが必須となるだろう。
■「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)」と「オーバーシュート型コミットメント」がもたらす 1 つ目の可能性−金
融政策の破綻への道
そして長期国債買い入れ増に伴う長期金利低下と、予想インフレ率上昇を通じた長期金利上昇という二つの効果を考
慮に入れると、「イールドカーブ・コントロール」と「オーバーシュート型コミットメント」の枠組みの今後は、以下で述べる三
つの可能性をはらんでいるのではないだろうか。
まず一つ目は、今回の枠組み変更が日銀の金融緩和策の破綻につながるという悲観的な可能性である。
図表 7 国債市場の需要と供給(イメージ)
国債価格上昇
(金利低下)の場合
国債価格低下
(金利上昇)の場合
国債価格
国債価格
需要
P’
需要
供給
c
供給
d
b
a
P
a
P
e
P’’
国債買い
取り減少
国債発行
減少
g
f
国債発行
増加
国債買い
取り増
(需要/供給)
(需要/供給)
先に述べた予想インフレ率や期待潜在成長率、リスクプレミアムが及ぼす影響を(話を単純化するため)無視すると、国
債金利(国債価格)は国債の需要と供給で決まると考えられる。
図表 7 における国債価格上昇(国債金利低下)の場合についてみていくと、国債価格がP点で成立している場合に国
債価格が上昇(国債金利低下)するには、日銀が国債買取りを増やすことで国債需要が増加する場合(d点)、政府の国
債発行が減少する場合(b点)、日銀が国債買取りを増やし、政府の国債発行が減少する場合(c点)のいずれかが生じる
必要がある。そして、国債価格低下(国債金利上昇)の場合には、日銀が国債買取りを減らすことで国債需要が減少する
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場合(e 点)、政府の国債発行が増えることで国債供給が増加する場合(g 点)、日銀が国債買取りを減らし、政府の国債
発行が増える場合(f点)のいずれかが生じる必要がある。
さて図表 7 の図式を念頭におくと、どのような可能性が考えられるのだろうか。「オーバーシュート型コミットメント」におい
てはマネタリーベースの拡大ペースを当面維持するため、長期国債の買取り増は今後も継続される。そうすると、長期国
債発行残高に占める日銀保有残高の割合はこれまで同様拡大を続けることになる。つまり需要超過圧力がかかることで、
需給動向で見た場合の国債価格には上昇圧力(金利低下圧力)がより強まることになるだろう。そしてバックワードな期待
形成(足下のインフレ率の低迷の持続)による予想インフレ率の低下圧力が「オーバーシュート型コミットメント」採用に伴う
フォワードな期待形成を通じた予想インフレ率上昇圧力よりも当面強く作用すると想定すれば、予想インフレ率は上昇し
ないし、長期金利にも上昇圧力は加わらない。そうすると、長期金利(10 年物国債金利)には低下圧力がかかるため 0%
近傍を維持することは難しくなる。長期金利(10 年物国債金利)をゼロ近傍に維持するために長期国債買取りを減らして
いけば、長期金利(10 年物国債金利)はゼロ近傍に維持できるものの、予想インフレ率は高まらないため、日銀が狙うイ
ールドカーブのフラット化の是正は進まずに、2%の物価安定目標の達成は困難になるのではないか。
バーナンキ前FRB総裁はブルッキングス研究所で公表しているブログ記事(The latest from the Bank of Japan 9)
において、今回の日銀の枠組みに際して長期金利(10 年物国債金利)に目標を設定するということと、国債買い取りのペ
ースを年 80 兆円と明示・維持することは困惑を招くと述べている。図表 7 の図式のとおり、国債の購入量(需要)の拡大を
維持しながら国債価格(金利)を維持することは不可能である。合わせてバーナンキ前総裁は、日銀が既に発行されてい
る国債のかなりの割合を保有しており、かつ民間が現在保有している国債は価格変化に敏感ではないため、日銀が長期
金利を維持するために長期国債の購入を大きく増加させるというリスクは少ないだろうと述べているが、この評価は妥当だ
ろう。つまり、以上の議論からは日銀が長期金利の維持のために必要な長期国債購入額は今後減少する可能性が高いと
考えられるのである。
日銀の政策の破綻につながる可能性を秘めているとも思える枠組み変更はなぜ行われたのだろうか。高橋洋一氏(嘉
悦大学教授)は今回の政策決定が枠組み変更に留まり、具体的な金融緩和につながらなかった理由として、日銀、財務
省、金融庁のそれぞれの思惑が影響としたと論じている
10。つまり量的緩和の拡大、長期国債の発行増、マイナス金利の
低下を避けるという日銀、財務省、金融庁の思惑が影響したということだ。
仮に高橋氏の議論のとおり、今回の政策決定が日銀、財務省、金融庁の思惑がかみ合った結果だとすると、日銀が追
加緩和手段として述べている、マイナス金利の更なる低下(短期政策金利ないし長期金利操作目標の引き下げ)や資産
買入れの拡大、マネタリーベース拡大ペースの加速といった手段が今後採用される可能性は低くなる。こうなれば、日銀
の政策は 2%の物価安定目標に届くことなく、延々と続けられることになるだろう。
■「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)」と「オーバーシュート型コミットメント」がもたらす 2 つ目の可能性−追
加緩和と連動した 2%物価安定目標達成の道
前節は今回の金融政策の枠組み変更がもたらす悲観的な可能性について述べた。そこでのポイントは、マネタリーベ
ースの拡大と長期金利を 0%近傍に維持するという量と金利の二つのコミットメントが齟齬をきたすというものであったが、
長期金利の低下圧力に見合う分だけ短期政策金利の引き下げや長期金利操作目標の引き下げといった追加緩和手段
を駆使すれば、「イールドカーブ・コントロール」と「オーバーシュート型コミットメント」の両立は可能であるとも考えられる。
https://www.brookings.edu/blog/ben-bernanke/2016/09/21/the-latest-from-the-bank-of-japan/
「高橋洋一の霞が関ウォッチ 日銀にだまされたマスコミ 「枠組み変更」、実は「何もやっていない」」
http://www.j-cast.com/2016/09/23278776.html
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田中秀臣氏(上武大学教授)は今回採用された政策枠組みをより野心的なものと評価し、事実上すべての国債金利の
目標化を狙っているのに等しいと論じている 11。先に述べたとおり、今回の枠組み変更は、長期金利の低下を徹底化する
ことを通じて総需要を押し上げ、「オーバーシュート型コミットメント」を新たに採用することでより予想インフレ率への働きか
けを強めるという意味合いを持っている。今後、金利の引き下げがさらに進むと想定すれば、新たな枠組みの採用は金融
政策がより野心的な形となったと評価することが可能だろう。
■「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)」と「オーバーシュート型コミットメント」がもたらす 3 つ目の可能性−財
政拡張と連動した 2%物価安定目標達成の道
最後に 3 つ目の可能性について検討しよう。それは政府の財政政策拡大と連動する形で(もしくは財政政策拡大と必
要に応じて追加緩和手段とを組み合わせる形で)、「イールドカーブ・コントロール」と「オーバーシュート型コミットメント」の
枠組みを両立させるという道だ。
前々節では国債買い取り増加ペースを維持しながら国債金利を維持するという「二兎を追う」目標は不可能であると述
べたが、それは「国債の供給が増えない限り」という前提付きの話である。図表 8 のように、政府が国債発行を増加させるこ
とで国債の供給を増やすのと同時に日銀が国債の買取りを進めた場合にはどうなるだろうか。この場合には均衡点は a 点
から h 点へと移動することになるため、国債価格(国債金利)は需給要因によって変化しない。
図表 8 国債市場の需要と供給(イメージその 2)
国債価格維持
(金利維持)の場合
国債価格
需要
供給
a
h
P
国債発行
増
国債買い
取り増
(需要/供給)
日銀は予想インフレ率に対してバックワードな期待形成の方がフォワードな期待形成よりも影響が大きく、かつバックワ
ードな期待形成には、原油価格の下落、消費税率引き上げ後の需要の弱さ、新興国経済の減速とそのもとでの国際金融
市場の不安定な動きが影響したと総括している。これらのうち、消費税率引き上げ後の需要の弱さについては、政府が国
11
田中秀臣「より野心的になった日本銀行のリフレ政策」、田中秀臣 街角経済学、Newsweek 日本版コラム
http://www.newsweekjapan.jp/tanaka/2016/09/post-6_1.php
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債発行を増加させることで得た財源による財政支出の増加で是正することができる。消費税率引き上げが需要の弱さの
主因であるのならば、政府は消費税率の引き上げを凍結の上で、日銀が「オーバーシュート型コミットメント」に沿う金融緩
和策を終了するまで消費税率の減税といった財政刺激策を行うことも可能である。こうした政府による総需要喚起策は、
実際の物価上昇率の高まりによるバックワードな期待形成の改善を通じて予想インフレ率を引き上げることにつながるだ
ろう。そうなれば、長期金利には予想インフレ率の引き上げを通じて上昇圧力が加わるため、「イールドカーブ・コントロー
ル」と「オーバーシュート型コミットメント」が両立する可能性が高まる。
さらに「イールドカーブ・コントロール」と「オーバーシュート型コミットメント」の二つがより強く働くことになれば、長期金利
を維持するために長期金利が 0%近傍に強固に留め置かれる事になるため、消費税率の引き上げ凍結や財政支出拡大
を通じた長期金利上昇というリスクを無効化することも可能になる。
今回の政策枠組みについての日銀公表資料(金融緩和強化のための新しい枠組み:「長短金利操作付き量的・質的
金融緩和」)を見ると、「日本銀行は、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を推進し、2%の「物価安定の目標」をでき
るだけ早期に実現する。政府の財政運営、成長力強化の取組みとの相乗的な効果により、日本経済をデフレからの脱却
と持続的な成長に導くものと考えている。」と記されている。
特に政府の財政運営との相乗的な効果についての言及は、2013 年 1 月 22 日に公表した「共同声明」、2013 年 4 月
4 日の「量的・質的金融緩和」、2014 年 10 月 31 日の「追加緩和」、2016 年 1 月 29 日の「マイナス金利付き量的・質的
金融緩和」、いずれの導入時にもなかったポイントだ。こうした点は、日銀が政府との連携を通じた 2%の物価安定目標の
達成をより強く意識していることの表れとも言える。政府は 2020 年度に名目 GDP600 兆円を達成する目標を設定してい
る。名目 GDP600 兆円達成と 2%の物価安定目標の早期達成に向けた政府側のサポートが必要だろう。
■注目すべきは次の政策対応
本稿では日銀による総括的な検証を紹介した上で、「イールドカーブ・コントロール」と「オーバーシュート型コミットメント」
の枠組みが持つ 3 つの可能性について検討した。
図表 9 は改めて 3 つの可能性についてまとめている。追加緩和がなく、緊縮的な財政スタンスが維持される状況(第 1
の可能性)では、新たな枠組みは齟齬をきたし、予想インフレ率の上昇も生じずに 2%の物価安定目標の達成は絶望的と
なるだろう。追加緩和(更なる金利低下)が実行される場合(第 2 の可能性)には、イールドカーブの低位安定を通じた総
需要の刺激と、「オーバーシュート型コミットメント」によるフォワードな予想形成が予想インフレ率上昇の力になるはずだ。
さらに国債発行増を通じた財政支出拡大が組み合わされば(第 3 の可能性)、総需要増を通じたバックワードな期待形成
と「オーバーシュート型コミットメント」によるフォワードな予想形成が予想インフレ率上昇に結びつき、政策効果を最大限
高めることにつながるだろう。
物価上昇率の伸びの低下が進む現状(図表 2)と、新たな政策枠組みが持つ特徴とを考慮に入れると、早期の追加緩
和策の実行が喫緊の課題である。早期追加緩和策の有無が今後予想される 3 つの可能性の分水嶺となるのではない
か。
バーナンキ前総裁が先のブログ記事で指摘しているとおり、長期金利をゼロに維持するという新たな枠組みは、金融政
策と財政政策の更なる連携の可能性が高まった事を示唆している。早期に 2%の物価安定目標の達成を果たすのならば、
また長引くデフレから完全に脱し、2%の物価安定目標達成の困難さを考慮するのならば、長期国債発行増を伴う財政政
策の拡大と追加緩和による財政・金融政策の更なる深化が必要だろう。
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図表 9 三つの可能性とその特徴
追加緩和
財政支出増
(国債発行増)
量的緩和と金利維持
政策効果(2%インフレ
目標達成)
第一の
可能性
(金融政策
の破綻)
なし
なし
両立不能
(量的緩和縮小)
効果小
第二の
可能性
(金融政策
のみ)
あり
なし
両立可能
効果中
第三の
可能性
(金融・財
政政策の
連携)
あり
あり
両立可能
効果大
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