学習メモ

化学基礎
テレビ学習メモ
第 19 回
物質量
化学基礎監修・講師
小柳めぐみ
私たちは普段、質量〔g〕や体積〔L〕などで物質の量を表しています。化学
反応では、原子や分子、イオンなどの粒子の組み合わせが変化するので、物質
の量を粒子の個数で考えるととても便利です。しかし、原子は非常に小さい粒
子なので、とても数え切れません。そこで、考え出されたのが物質量〔mol〕で
す。12 g の炭素に含まれる炭素原子は 6.0 × 1023 個で、この数をアボガドロ数
といいます。アボガドロ数(6.0 × 1023)個の粒子の集まりが 1 mol です。今回は、
1 mol あたりの質量を求めたり、質量から物質量を求める方法を学習しましょう。
モ
ル
アボガドロ数
まず、炭素 C 12 g に含まれる炭素原子の数を求めてみましょう。
炭素原子1個の質量はおよそ 2.0 × 10 − 23g なので、
炭素の質量
炭素原子1個の質量
=
12 g
2.0×10−23g
▼
炭素原子の数=
= 6.0 × 1023
つまり、600000000000000000000000という非常に大きな数になります。
この数を、イタリアの科学者アメデオ・アボガドロ(1776 〜 1856)にちなんで、アボガドロ
数とよびます。
同様に、式量 27 のアルミニウム Al 27 g に含まれるアルミニウム原子の数は、アルミニウム
原子1個の質量が 4.5 × 10 − 23g なので、
アルミニウム原子の数=
=
アルミニウムの質量
アルミニウム原子1個の質量
27 g
4.5×10−23g
= 6.0 × 1023 となります。
また、
分子量18 の水 H2O 18 g に含まれる水分子の数は、水分子1個の質量が 3.0×10 − 23g なので、
水分子の数=
水の質量
水分子1個の質量
=
18 g
3.0×10−23g
= 6.0 × 1023 となります。
すべての物質には、その原子量や分子量、式量に単位 g をつけた質量の中に、アボガドロ数(6.0
モ ル
× 1023)個の粒子が含まれています。そこで、アボガドロ数個の粒子の集団を 1 mol といい、mol
を単位として表した粒子の数を物質量といいます。つまり、炭素原子をアボガドロ数(6.0 × 1023)
− 39 −
高校講座・学習メモ
化学基礎
19 物質量
個集めたら1 mol、アルミニウム原子をアボガドロ数(6.0 × 1023)個集めたら1 mol、水分子もア
ボガドロ数(6.0 × 1023)個集めたら1 mol です。
物質量と個数
1 mol あたりの個数 6.0 × 1023/mol をアボガドロ定数といいます。このアボガドロ定数を用
いると、物質量は、次のように求めることができます。
物質量〔mol〕=
粒子の数
アボガドロ定数6.0×1023/mol
例えば、ヘリウム原子 4.2 × 1023 個の物質量は、
粒子の数
4.2 ×1023
=
アボガドロ定数 6.0×1023/mol
= 0.70 mol となります。
また、二酸化炭素 CO2 4.0 mol 中に含まれる二酸化炭素分子の数は、
粒子の数=物質量×アボガドロ定数
= 4.0 mol × 6.0 × 1023/mol
▼
= 24 × 1023
= 2.4 × 1024 と求められます。
物質量と質量
「12 g の炭素に含まれる炭素原子は、アボガドロ数(6.0 × 1023)個」ということは、「炭素原
子がアボガドロ数(6.0 × 1023)個集まると、その質量は 12 g」であり、「1 mol の炭素の質量
は 12 g」ということができます。
炭素以外の物質の 1 mol あたりの質量を考えてみましょう。炭素の原子量は 12、水の分子量は 18
なので、炭素原子1個と水分子1個の質量の比は 12:18 です。よって、アボガドロ数(6.0 × 1023)
個の炭素原子の質量は 12 g なので、アボガドロ数(6.0 × 1023)個の水分子の質量は 18 g とな
ります。物質 1 mol あたりの質量をモル質量といい、原子量・分子量・式量に単位 g/mol をつけ
たものです。例えば、水の分子量は 18 なので、水のモル質量は 18 g/mol となります。また、塩
化マグネシウムの式量は 95 なので、塩化マグネシウムのモル質量は 95 g/mol です。
物質量は、モル質量を用いて、次のように求めることができます。
物質量〔mol〕=
質量〔g〕
モル質量〔g/mol〕
したがって、塩化マグネシウム 19 g の物質量は、
19 g
= 0.20 mol となります。
95 g/mol
− 40 −
高校講座・学習メモ
化学基礎
19 物質量
■炭素12 gの中には炭素原子が6.0×1023個含まれている。この数をアボガドロ数と
いう。
■アボガドロ数(6.0×1023)個の粒子の集まりを1 molといい、molを単位として表
した粒子の数を物質量という。
■物質1 molあたりの粒子の個数6.0×1023/molをアボガドロ定数という。
■アボガドロ定数を用いると、次のように粒子の数から物質量を求めることができる。
物質量〔mol〕=
粒子の数
アボガドロ定数6.0×1023/mol
■物質1 molあたりの質量をモル質量といい、原子量・分子量・式量に、単位g/mol
をつけたものになる。
■モル質量を用いると、次のように質量から物質量を求めることができる。
物質量〔mol〕=
質量〔g〕
モル質量〔g/mol〕
▼
− 41 −
高校講座・学習メモ