世羅郡農業再生協議会水田フル活用ビジョン (PDFファイル)

世羅郡農業再生協議会水田フル活用ビジョン
1
地域の作物作付の現状、地域が抱える課題
当地区は、全耕地面積に占める主食用米面積の割合が 68%で、転作作物では大豆、六条大麦、
飼料作物、飼料用米、キャベツ、アスパラガスが多い。近年農地の集積が進んで来ている集落法
人・大型経営などの担い手による転作作物への取り組みにより、比較的安定した生産が行われて
いる。
しかし主食用米の需要が減少する中で、他の作物の作付けに転換を促進することで水田の維
持・活用を図っていく必要がある。
また、農家の高齢化と、米の価格の先行き不安、イノシシ・鹿といった獣害の深刻化から、立
地条件の悪い水田では不作付地が拡大しているが、食い止める有効な手段は今のところ出ていな
い。
2
作物ごとの取組方針
町内の約 2,800ha(不作付地を含む)の水田について、適地適作を基本として、作物生産の
維持・拡大を図る。
また、持続性の高い担い手として、集落法人の育成、企業の農業参入の推進、認定農業者の
育成を重点に取り組んでおり、担い手への農地集積率は約 40%となっている。広島県農地中間
管理機構を担い手への農用地の集積・集約化を進める中間的な事業体として位置づけ、これに
より集積された担い手の生産性向上等の取り組みや地域振興作物等の生産を推進する。
(1)主食用米
気象変動の激化による米の品質低下が問題になっているが、県下で一等米の比率が最も高い
良質米の産地として積極的な販売展開を目指す。
ただし、前年の需要動向や米の集荷業者等の意向を勘案しつつ生産を行う。今後、一層の需
要拡大が見込まれる中食・外食用途への供給拡大を図るとともに、世羅コシヒカリなど地域ブ
ランドを生かしながら生産確保を図る。また、高温障害対策と良食味を狙った「あきさかり」
の栽培を拡大する。
(2)非主食用米
ア 飼料用米
当地域の場合、実需者である養鶏業が盛んであり籾での流通利用体制もかなり整備され
ているが、乾燥費用や乾燥機の清掃コスト、保管費用などの課題がある。共同乾燥施設に
ついても現状ではコンタミ対策が万全ではないため受入れに困難性があるが、ライスセン
ター再編の動きをにらみ、受け入れ体制を検討して行く。実需者への売り渡し価格が低い
だけに、立毛乾燥品種の実用化や、安定した多収品種と栽培技術の確立などを推進し面積
拡大を図る。
イ WCS 用稲
現時点では、地域内でほぼ需給が均衡している。
ウ 加工用米
県内酒造組合のカケ米を中心とした需要に対して、生産量の確保を図る。
(3)麦、大豆、飼料作物
ア 大豆については、広島県内で一番の量と質が揃った産地として評価を受けている。ま
た大豆は完全に関税ゼロの世界であり国産と輸入品の住み分けができている。しかし播
種期の湿害と 9 月の干害、除草剤の効果のブレによって、作柄が安定していない事実も
ある。今後は従来の「サチユタカ」を、梅雨明け播種が可能な品種「あきまろ」に転換
し、気象変動の激化に対応する危険分散による作付期の拡大を推進し、作付面積の維持
を図る。
イ 麦については、湿害に弱く、標高が高いことから収量水準が低いなどの課題はあるが、
県内の麦焼酎向けの需要に対応する取り組みを推進し面積拡大を図る。成熟期が5月末
となる品種の開発が待たれる。
稲・麦・大豆の二年三作が定着した集落法人の作柄が、三作物ともに良好なことから、
この拡大を目指す。
ウ 飼料作物については、畜産農家との安定した契約栽培ながされているため、今後も需
要と供給のバランスを見ながら推進する。
(4)そば
そばは、豊作年と不作年の収量差が極端なため、安定した収入が見込みにくいが、地域で
の需要に対応するため栽培の確保を図る。
(5)野菜、果樹
ア キャベツは、JAと行政が一体となって県域での生産振興を進めるなかで、新たに生産
に取り組む担い手の確保とあわせて、栽培技術の向上を図るため講習会や現地指導により
推進する。
イ アスパラガスは、広島県内で初めて作付けを始めた老舗の地域であり、適地として県内
でも最高の評価を得ている有利性がある。しかし、近年作り手の高齢化による面積減少が
懸念されているため、新たな担い手の確保により面積維持を目指す。
ウ 果樹では醸造用ぶどうが適正量の生産を確保できるようになり、後発ワイナリーにもか
かわらず全国段階の鑑評会で受賞するなど高品質生産が出来るようになった。生食用ぶど
うでは、三次や三良坂より標高が高く出荷時期が遅れるため市場でも有利販売ができるメ
リットが定着してきたため栽培面積の拡大を図る。
(6)
地力増進作物、景観形成作物
地形や水利の悪い山間棚田においては、地力増進作物・景観形成作物による対応が耕作放
棄地拡大への歯止めとなっているため、現状を維持する。
(7)不作付地の解消
不作付地の殆どは、山間棚田で圃場が狭く畦畔(法面)が高い・水便利が悪い・イノシシ
や鹿の害がひどい、といった悪条件であり、栽培しようとすれば非常にコストが高くつく。
したがって、利用権設定をしたくても受け手がいないのが実情である。
こうした中、条件不利地に対しては、地力増進作物・景観形成作物の作付けにより現状
維持を図り、また、地形や水利条件の良い圃場では、広島県農地中間管理機構によって
担い手への集積を図り、飼料用米等の新規需要米や地域振興作物等の生産を支援する。
3
作物ごとの作付予定面積
作物
平成 25 年度の作付面積
平成 28 年度の作付予定面積
平成 30 年度の目標作付面積
(ha)
(ha)
(ha)
飼料用米
1847
20
1724
65
1720
96
WCS 用稲
16
37
37
加工用米
22
32
89
0
80
0
麦
37
11
43
11
40
大豆
95
97
95
飼料作物
24
18
25
10
25
10
主食用米
備蓄米
酒造好適米
そば
84
87
93
野菜・果樹等
51
58
64
・アスパラガス
20
20
20
・キャベツ
20
25
30
・ぶどう
11
13
14
地力増進作物
16
15
15
景観形成作物
17
14
14
その他地域振興作物
4
平成 28 年度に向けた取組及び目標
該当なし