人類を救うのは俺ではないような気がする 赤城九朗 ︻注意事項︼ このPDFファイルは﹁ハーメルン﹂で掲載中の作品を自動的にP DF化したものです。 小説の作者、 ﹁ハーメルン﹂の運営者に無断でPDFファイル及び作 品を引用の範囲を超える形で転載・改変・再配布・販売することを禁 じます。 ︻あらすじ︼ FGOの世界に産まれた転生者くん。 原作知識が絶対に役に立たないであろう人理修復に参加すること になったのだが、やっぱり型月の世界の人物達は全員個性的過ぎて ? 土蔵で、運命に出会う。 │││││││││││││││││ 目 次 最初はみんな、レベル1 │││││││││││││││││ 1 過ぎたるは、及ばざるがごとし ││││││││││││││ お食事中は、邪魔しちゃいけないよね │││││││││││ 8 14 20 土蔵で、運命に出会う。 なぜここに、どうして私はいるのでしょう︵心の一句︶ 魔法とか魔術のある世界に産まれたいと思った人、いるかな 無かったら研究なんてできないし、先祖にセルフギアスクロールとか 家が没落してたら魔術回路なんて期待できないし、金銭的に余裕が 決まっている。っていうか、生まれる前に大分決まってる。 ケイネス先生が言ってたみたいに、魔術師の人生は生まれた瞬間に 大変だったりするんだよね。 でもってさ、魔術刻印とか魔術回路とか、魔術を使うのが滅茶苦茶 ていくんで、お先真っ暗なんだよね。 でさ、型月の魔術師って扱ってる神秘が世代を重ねるごとに劣化し じゃないよね。 でもさ、そこってRPGみたいな感じであって、間違っても型月 ? 魔術師ってつれーわー 魔術師の家に生まれたけど、優秀な兄が居て魔術 ! 入りさせられるとかないし、聖杯戦争に首を突っ込む時期でもないか 超つまんねー ら令呪とか浮かびあがらないし、人生イージーモードだわ つまんねー ! です。 いや、あの、ほんと⋮⋮何 これは、何 なんで普通の一般人に限りなく近い没 ? それ以前に黒い騎士王と 落魔術師の次男坊が人理修復とかしなきゃいけないの ? 魔術王とかと戦わなきゃいけないの ? イジメ イジメなの ? マスター候補の一員で、一応レイシフトに参加する戦闘要員の一人 ですが、なんつうかこうアレです。カルデアに来てます。 し婿入りの予定もありません。 嘘です。確かに才能はないし家は継がないし魔術刻印も継がない ! ? 1 使われてたら一生服従とかになるし。 っかー よかったなー ! 刻印を継ぐ必要もないし、ぶっちゃけ才能とかないからよその家に婿 ! ! ? 戦うだけでも嫌なんですけど。プロローグっていうかチュートリア ルの段階で嫌なんですけど。 人類全体が特に痛みもなく滅亡するんなら、一緒に死んでもいいか なぁ⋮⋮︵末期感︶ ﹄ やだなぁ⋮⋮正直、レフのテロから生き残っても⋮⋮。 ﹄ 今すぐ手当を⋮⋮ ﹃そんな、どうしてそんな傷を⋮⋮ ﹃無茶しやがって し⋮⋮やだなぁ⋮⋮。 ﹁それでは皆、人類の未来を切り開くのよ ボカーン か。 ﹂ ちゃんとマスター全員とついでにオルガマ しての大任を果たすわよ よーし、明日は本番 ちゃんと威厳を見せて、カルデアの所長と よし、ここまで言ったら爆弾を起爆させようとか思ってたんだろう どんな気分だったんだろうな、レフ。 たんだろうな。 多分オルガマリー所長、台本をレフの旦那に添削とかしてもらって ! だって、スマホのゲームと違って死ぬかもしれないし、痛いと思う ロで楽に死にたいなとは思ってます。 いやまあ、こんなカッコいい台詞を言う言わない以前に、レフのテ とか言うポジションに収まりそうでホント嫌。 →これ俺です。 事だ。とっとと世界を救って来い、俺が死ぬ前にな⋮⋮﹄ ﹃気にするな⋮⋮まだ死なない。それよりも、此処から先はお前の仕 ! ! リーを殺して、魔術王の所に帰るぞ こっちはいつ爆発するんだろうかって身構えてたのに、なかなか焦 とか思ってたんだろうな、二人とも。 ! よーし、明日が本番 ! ! ! 2 ! 的なタイミングでテロが発生しました。 ! らされるからそわそわしてたんだ。 みたいな感じで。 レフはすごい顔でニマニマしてたし。よーし、押しちゃうぞ、押し ちゃうぞ その気持ちはすっげ│よくわかるけど、やられる側になるとマジビ ビる。 案の定炎上汚染都市冬木に到着した俺は、周囲を見渡した。 体を確認すると、ケガはない。一応、物理防御寄りの礼装を着てい たのがこの結果を出したらしい。 まあ、気休めではあった。なにせ、この時代の魔術師の中でもとく にパッとしたところのない家の、魔術刻印も継いでいない次男坊が 作った防爆的な服なんて、近代兵器爆弾の前には無力だと思ってい た。 一応、オルガマリーから距離を取っていたのが大きいのだろう。 いやまあ、できれば即死したいなとは思うけど、いざ爆弾で殺され ますってなったらスゲー怖いじゃん。そりゃ逃げたくもなるじゃん。 ﹁⋮⋮石ないかな、石⋮⋮詫び石は⋮⋮どこかな∼∼﹂ と、現実逃避しつつも燃え上がる冬木を歩く。辺り一面燃え上がっ ているので、当たり前だが煙いし熱い。 早くも爆死しとくべきだったと後悔しつつ、Fateファンなら一 度は行ってみたいが二度と行きたくない冬木の街を歩く。 FGOやってたときは親の顔よりもよく見た骸骨どもを遠目に見 つつ、周囲をスニーキングミッションする。 お前の骨が無くて、どんだけ困ったと思ってんだ。でも今は出会い たくないです、どっか行っててください。 仮に、相手が全力で戦えば勝てる程度の雑魚だったとしても、ゲー ムじゃないんだからぽちぽち押してたら勝てるわけじゃなし、危ない ことをするわけにはいかない。 男らしく戦うことだけが、戦いではないのだよ。 オルガマリー所長のテンパった声が聞こえないので、多分近くにい ないのだろう。役に立たねーな、原作主人公に合流できねーじゃねー 3 ! か。 と、呪いごとを言いたい程度には、こっちも余裕がない。多分彼女 が襲われてても見捨てるな、俺は。俺の身を守るためには仕方がない のだ、いろいろ諦めて同人誌の肥やしになってほしい。 ﹁石を使った召喚は、一周年を記念して四つから三つに変更∼∼やっ たね、リヨ∼∼∼﹂ 道を歩くが、景気よく道路とかはぶっ壊されている。 神秘の隠匿どこ行ったっていうか、人間がどこ行った。 あれか、全部骨になってそこらをうろついてるのか。 やっぱ冬木には住みたくないな。聖杯って完全に厄ネタだよね。 ﹁だけど、宝具はスキップしない∼∼やっぱ運営はクソ∼∼∼﹂ あてどもなく街をさまよう、ことはない。流石に防爆礼装なんぞ 作っている暇があるので、他の対策も練っている。練っているってい うか、運頼みではあるが某場所を目指して歩いていた。 4 地図は事前に確認して頭に叩き込んだし、一応現地の視察も済ませ てある。 寸断されている道路があるのも想定内。いくつかの迂廻路を通る と、そこはFateのホロウをプレイした方にはおなじみのエミヤ邸 があった。 こんな家に住みたいな、ライダーさんみたいな美女と︵経験値並感︶ ﹂ ﹁あったらいいな∼∼なかったらやだな∼∼⋮⋮ホラやっぱりなかっ た⋮⋮クソが 留守だなんだと言っても、そこは妖怪クソ爺の住処。どんな罠があ の青二才が乗り込むとか、余りにもあほすぎる。 が、流石にこれ以上の移動は危険だし、そもそも魔術師の家に裸同然 正直、そう遠いわけでもないのでマキリ邸を目指してもいいのだ で、ない。 ていたわけではない。 でた家があっても、その土蔵に召喚サークル的な何かがあると決まっ なく、売ってた家を買っただけである。故に、そこにエミヤ君が住ん エミヤ邸は、当たり前だが魔術師殺しのテロ屋が建設したわけでは ! るかわからないし、あってもなくてもうかつなものに触って呪われた らシャレにならん。 かと言って、アインツベルンやら遠坂邸やらはもっとやばいわけで ⋮⋮。 ﹁これはクソゲーですね、やっぱり運営は⋮⋮そんなこと言ってる場 合じゃないな﹂ 現実逃避、終了。 流石に骨に刺されて殺されるのはごめん被りたい。 運営にクレームを言いたいが、生憎クレームを入れる先はDr.ロ マンとあの所長だ。もしくは魔術王である。 流石に魔術王にクレームを入れる度胸はない。きのこにはいえる けど、魔術王には言えないという矛盾。 ﹁これはもう、最終案⋮⋮部屋の隅で指をくわえて座りこんでガタガ タ震えて救出を待つを選ぶしかないな⋮⋮﹂ 主人公君が実在するならば、今頃ダブルヒロインの予定だったけど 変更になってグラフィックの無駄遣いになった所長と合流して、キャ ス二キと一緒に打倒アルトリアで戦ってる頃だと思う。 彼らか彼女らが勝てば、世界は修復されるので帰ってこれると思 う。多分、このまま座して死を待つ方が、生存率は高いと思うぞ。 この案を採用すると問題なのは、完全に運任せということだ。下手 したら、永遠に帰れない。その前に死ぬけど。 さりとて、石を買うにもダヴィンチちゃんにカネを払うこともでき ない。 エネミーを独力で倒すという判断も無理だ。そんなことができる んなら、まずカルデアからの使者を殴り倒している。 戦うのも無理、逃げるのも無理、合流するのも無理。 ならば動かざること山の如し、静かなること林の如し。 人事はつくしたので天命を待とう。尽くした人事が少なすぎる気 もしたが、もういい、もういいんだ⋮⋮。 ﹁しゅじんこ∼∼うに∼∼∼なりたかったな∼∼∼﹂ ちょっと本音を漏らしつつ、土蔵の中から出ていこうとする。 5 どうせ死ぬなら畳の上で死にたい。ここで死ぬのは、Fateの ファンとしてはちょっと気が引けるところである。 ここで少年は、運命に出会ったのだ。 聖杯をめぐる戦いは、此処から始まったのである。 直後だった。体の中の貧相な魔術回路に火が入る。 魔力が抜けていく脱力感と、それを上回る高揚感。 それはつまり⋮⋮英霊の召喚を意味していた。 これで概念礼装が出たらもう目も当てられないところだったが、金 色に輝く光の帯は三つに分かれ、そして一つの形を成していく。 俺の手元にはセイントグラフが現れ、その裏面と表面のデザインが 明らかになっていく。 そして、その模様は余りにも想定外だった。 6 剣士の英霊セイバーでもなく、槍兵の英霊ランサーでもなく、弓兵 の英霊アーチャーでもない。 騎兵の英霊ライダーでも、暗殺者の英霊アサシンでも、魔術師の英 霊キャスターでも、狂戦士の英霊バーサーカーですらない。 これは、復讐者のサーヴァント、アヴェンジャーのモノだった。 さ、契約書です﹂ ﹁サーヴァント、アヴェンジャー。召喚に応じ参上しました﹂ お、お前かよ ﹁⋮⋮どうしました、その顔は 五つ星だとか、限定鯖だとか、最強の攻撃力だとかは関係なく、た ﹁すげェ⋮⋮これは⋮⋮惚れる⋮⋮﹂ は⋮⋮見とれていた。 あのキモいおっさんが作り上げた、一分の一スケール聖処女に、俺 の復讐者を見上げていた。 奇しくも、Fateのあの美しいシーンと同様の構図で、俺は偽り 半ば期待していたこととはいえ、俺は腰を抜かしていた。 ? ! だその女性は、ひたすらに美しかった。 7 ﹂ 最初はみんな、レベル1 ﹁ちょ、アンタ何言ってんの ﹂ ﹁初対面のサーヴァントにいきなりそれって⋮⋮ ﹁頭おかしいんじゃないの ﹂ ! ?! 貴方は私と言う悪と契約を交わした﹂ ﹂ ! になるのです﹂ ﹂ 細かいことはどうでもいいのよ 呼んだのは ﹁え、まだ契約書にサインしてない ﹁うっさいわね アンタでしょうが ? とは⋮⋮。 さっきまでの俺、ナイス ﹁で ここ何処よ ﹂ そもそもここを抜けないとフランスもくそもないしな。 でもいいや。 フランスでの戦争が混沌とするかもだけど、この際美人だからどう ! 望をシークレットガーデンにしている偽ジャンヌを呼ぶことになる ちゃったけれども、それが﹃乙女ゲーの主人公になりたい﹄という願 確かについうっかり、先ほどは﹃主人公になりたかったな﹄とか言っ ! ﹁早まりましたね、マスター。貴方はこの契約を生涯悔い続けること ﹁つまり、もはや貴方は煉獄にさえ落ちることはあり得ない﹂ ﹁分かりますか 救国の聖女の暗黒面。オルレアンの乙女とは程遠い竜の魔女﹂ ﹁ええ、そうですか。貴方にはどうやらわからないようですが、私こそ ﹁なんでもありません﹂ ﹁せっかく予行練習して、ようやく納得のいく契約の⋮⋮﹂ ?! 以上、召喚してしまった自称最強のサーヴァントの発言です。 ! ? ﹁はぁ なんでそんなところで⋮⋮って⋮⋮そういうことね、いい 様も粋なことをするじゃない﹂ 8 ? ! ﹁冬木、日本の冬木﹂ ? わ、なんでもない。なるほどね、自分で自分を殺せってことね⋮⋮神 ?! ちょっと伏線めいた発言をするが、正直彼女の事情を知っているF GOプレイヤーとしては﹃ああ⋮⋮﹄という気分である。 ニヒルに笑うが、ただの顔芸である。いやあ、それにしても駄目カ ワイイ。 ﹂ 確かに彼女は反英雄モドキだけれども、正直正当な英霊でもろくで もないやつはいるしなぁ。 話して分かる分、大分やりやすい。 ﹁それで、私を召喚したマスター様は、どのようなご用件かしら ふむ、と思考を開始する。 い。 う。 全を確保できるのでありがたかったが、それはまあ欲をかきすぎだろ 理想を言うと、ロビンフッドみたいなアーチャーがマスター的に安 あげた専門家よりはその手の輩にも対処できそうだ。 に属する炎も操れる。ゲーム外だとどんなもんかわからないが、先に 召喚されてくれた彼女は大英雄ほど負担がかからないし、且つ呪詛 ﹁ちょっと、なにじろじろ見てんのよ﹂ ント戦闘の専門家で、先のことを考えると中々難しい。 且つ戦闘能力も確保できる。だが、悲しいかな彼らは対人対サーヴァ アサシン先生こと李書文や佐々木小次郎なら魔力の負担は少なく、 弱いので戦力的にアウトだ。 フランケンシュタインちゃんならエコだが、彼女はゲーム外だと超 魔力が枯渇する。 それでも、多分ヘラクレスとかダレイオスとか、バーサーカーなら デアが負担を請け負ってくれているからだと考える。 思ったよりも魔力の負担は少ないが、それはカルデア式なのでカル えられるわけがない。 改めて言うまでもなく、俺は傍流魔術師の次男坊で、大英雄など支 ﹁ちょっと、返事は ﹂ 改めて考えれば、彼女を引いたのは戦力的にも当たりかもしれな ? 今俺が考えるべきは、目の前のサーヴァントを如何に運用するかで 9 ?! ある。 ﹁いやあ、実はこんな当たりサーヴァントを引くとは思ってなかった んで、作戦なんて考えてなかったんだ。生憎見ての通りの雑魚マス どうやら貴 そうね⋮⋮貴方みたいな弱っちいマスターに私が召喚 ターなんで、ハサンに来てもらって助けを呼ぼうかと思ってたぐらい で﹂ ﹁ふ、ふん されるのは⋮⋮じゃなかった。当たりサーヴァント 方の目は節穴みたいね﹂ ﹁じゃあ、周囲を捜索しよう。まだ誰か生存者がいるかもしれないか らな﹂ ﹁ふん⋮⋮分かったわ。まあ、この地獄みたいなところで生きていて も、幸せとは思えないですけどね﹂ ﹁なに、どこも地獄さ。気にするほど変わりはないよ﹂ 我ながら、外したかな、という返事をする。 もう少しカッコよく台詞を決めたいところだが、何分何を言って も、自分に自信がないというか、そもそもカッコを付けるほどの余裕 が今ないわけで。 カッコ悪い奴は何言ってもカッコ悪いという見本です。 ﹁なにそれ、カッコいい⋮⋮﹂ と、なぜか感銘を受けているジャンヌに背を向けて、土蔵の外を目 指した。 できれば主人公と合流し、でなければ所長の遺体でも探すとしよ う。 ﹂ キャス二キが居れば声をかけてくれるかもしれないが、それを期待 できるほど自分には主人公力がない。 ﹂ サーヴァントが戦えないわけがないじゃない ﹁色々聞きたいことはあるけど、とりあえず戦える ﹁はぁ ! ? ﹁⋮⋮やだ、ウソ⋮⋮私レベル1 ﹂ 偽ジャンヌがレベルとか言い出すと、スマホを能天気にポチポチし 意味は通じたのに、なぜか嫌な気分になる。 ? 10 ? ! ﹁いやその、ほら⋮⋮アレだよ。種火とかそういうの⋮⋮﹂ ? てた気分になる。 よかったなあ、あの時は預金通帳の事だけ心配してればよかったん だから。 さっさと持ってきなさいよ ﹂ ﹂ 普通サーヴァント 貴方マスターなんでしょ、種火運搬係じゃない 今は世界の命運以前に自分の命を心配しないといけない。 ﹁種火 どうすんのよ ﹁すみません⋮⋮初めたばかりでして⋮⋮﹂ ﹂ レベル50だぞ ﹂ いくら何でも無理だ と、他の誰かに会わないから ﹁はぁ ﹂ ﹂ そもそも再臨に 虚影の塵はともかく英雄の証がない ラクラスだから、無駄にレベル上げにくいんだぞ 第一エクスト ﹁他の生存者探すとか言ったわよね。私、せめて一段階は再臨しない ﹁何が ﹁⋮⋮嫌よ﹂ ふと思うが、とにかくないものはない。 この世界の種火ってどんなものだろうか。 私スキルレベルも1なのよ を召喚するときって、種火とか再臨素材とか溜めとくもんでしょ ﹁ちょっと⋮⋮待ちなさいよ ! ! ! ! ﹁なんでアンタそんなに私の素材に詳しいのよ 必要な素材がない ! !? ?! ひらしてるの取ればいいじゃん﹂ ﹁なんでそんな貧乏くさいことしないといけないのよ ! ﹁⋮⋮とりあえず、一回戦ってみるか﹂ て見るんだろう。 テータスも全部Fとかになるんだが⋮⋮。ステータスって、どうやっ FateはFateでもエクストラとかCCC方式なら、彼女のス さはどの程度なのか。 いや、どうでもよくはないか。どうなんだろう⋮⋮実際、彼女の強 まさかこんなどうでもいいことで揉めるとは。 ﹂ ﹁っていうか、一回再臨する程度ならそのもさもさしてるのとかひら その場合、コスト制じゃないならこっちの負担が増えるので⋮⋮。 というか、彼女を強化したら無駄に魔力消費が増えるのでは。 ! ! 11 ! ! ! ! ! ? ?! ﹁え、マジで ﹂ お 助 け キ ャ ラ と か い る か も このまま私、一面の雑魚敵相手に苦戦しながら地道に レベル上げしないといけないの ぜったいに、嫌 ⋮⋮﹂ ﹁嫌 ﹂ ﹁じ ゃ あ 他 の サ ー ヴ ァ ン ト を 探 す か ? ? ると思う。 この子、滅茶苦茶脆いし。 ﹁⋮⋮わ∼か∼り∼ま∼し∼た やればいいんでしょ、やれば ﹂ ! ﹂ ? ど。 嫌だって言ってるでしょ ﹁やっぱ、他のサーヴァント探さないか ﹁はあ 一人だと俺が危ないし﹂ こともないし、背中から骸骨に斬りかかられたらもう詰むんですけ 俺聖剣の鞘とかないし、月の聖杯戦争と違ってマスターが安全って んてないわけだし。 かと言って、ステイナイトを再現するとなると、指示できることな を再現するんだろうか。 あのRPG特有の敵も味方も棒立ちで、無抵抗に殴り殴られるアレ スマホをタップしたらその通りに動くんだろうか⋮⋮。 う。 っていうか、実際どうなんだろうか⋮⋮指示とかどうするんだろ まさかリアルで周回プレイをすることになるとは⋮⋮たまげたな。 ! けど、この場合するんだろうか。しないなら、かなりつらい戦いにな というか、どうなんだろう。原作だと体力って一戦ごとに回復する ら。 て、その結果ちょびっとずつレベル上げをしなければならないのだか だって、彼女は明らかに雑魚ですよ、という骸骨相手に必死で戦っ 確かに彼女的には面倒だし辛いことだろう。 なんだろう、俺が悪いような気がしてきた⋮⋮。 ﹁だったら我慢しないと⋮⋮﹂ ! ? ! かったら、自害させとくところだ。 12 ! う ∼ ∼ ん。こ の 面 倒 く さ さ も リ ア ル だ と う ざ い な ⋮⋮ 可 愛 く な ?! かといって、酒呑童子とかメドゥーサとか、召喚したら性的にも肉 体的にも捕食されそうだしなぁ⋮⋮。 ま か り 間 違 っ て ギ ル ガ メ ッ シ ュ と か 召 還 し た ら 殺 さ れ る し。 ジャック・ザ・リッパーも殺しに来るよな⋮⋮。 やっぱリアルで聖杯戦争とかするもんじゃねぇや。 ﹁⋮⋮じゃあ、俺はここで部屋の隅に蹲って目を閉じて耳をふさいで ﹂ 13 ガタガタ震えてるから、その間に戦ってきてくれ﹂ ﹁ふざけんじゃないわよ ! ﹂ お食事中は、邪魔しちゃいけないよね ﹁あっははははは テンション高めで戦うジャンヌ。さっきまで自分が避けていた雑 これがジャンヌ・オルタ ﹂ 魚エネミーを燃やして吹き飛ばして大はしゃぎである。 ﹁そうよ、これよ に。 ﹂ ﹁どう、マスター よ 貴方の無駄な心配は、この街と一緒に灰になるわ どうしよう、第三章ではヘラクレスと鬼ごっこをするということ いうことになるのだが。 だがその場合彼女は、FGOに準拠しないのでそんなに強くないと いいぞ、ガンバレ。お前がナンバーワンだ。 ことに集中できる。 るし、実際こちらも物陰から﹃あいつはたいした奴だ⋮⋮﹄と見守る しなくてもいいらしい。おかげで彼女は大はしゃぎで敵を殺してい どうやら、この世界はステイナイト仕様らしく、一々レベル上げを ! 事だよね。 禍々しいぞ ﹂ コンクリートの家屋は灰にならないけどニュアンスは伝わってく カッコいいぞ ﹂ ﹁しかし、レベル上げができないとなると、この蹂躙に意味はないよう 戦闘中にそんなこと考える余裕はないんだろうけれども。 サーヴァントって融通が利かねーなぁ⋮⋮。いやまあ、ぶっちゃけ 中々骨が残らないのは、景気よく壊してしまうからだと再認識する。 それにしても、地面に散乱した元エネミーを見ると、素材集めで るのは、大変お得である。 骸骨やら竜牙兵やら、そうした有象無象を薙ぎ払って機嫌がよくな ! るし。 ﹁凄いぞ ﹁そうよ、もっとほめたたえなさい ! ここまでくると逆に素直だなコイツ。 ! ! 14 ! ! ! まあ、先のことを心配するよりも、ジャンヌが可愛いことの方が大 ! な気がする⋮⋮﹂ 性能が確認できた今、只の魔力の無駄遣いの様な気がする。 というか、事実そうとしか思えなくなっていた。 ﹂ 助けを待って 本人は楽しそうだが、こっちはしんどいのでそろそろ切り上げてい そろそろ他の所行こうぜ ﹂ なんで私がそんなことしないとけいないのよ ? ただこう。 ﹁お∼∼い、ジャンヌ 助け る人がいるかもしれないだろ ﹁はあ ? ! 黒いジャンヌさんがもう一人 分と戦うつもりなんだろ そ、そんな 白いジャンヌさんまで 一体どうなっているんだ りなんだろ ていうか、アイツは敵なんだから殺せばいいじゃない﹂とか言うつも とか、そんな会話をする中で一人拗ねながら﹁言いたくないわ、っ ?! ?! !? ? ラスボスの事とかはともかく、フランスでルーラーだったころの自 いや、お前人理修復の為に召喚されたって理解しているだろ ? ! パパ﹄とか言うんだろ。 ? す﹄とか言われて顔を真っ赤にしてハッ倒すんだろ お前の行動パターンは全てお見通しだ、馬鹿め。 もしれないだろ ﹂ !? れないし﹂ ﹁なにその微妙にそそられるシチュエーション ﹂ か﹃甘い、甘い⋮⋮砂糖菓子やわぁあ﹄とか酷い目にあってるかもし 誰かがどっかの怪物に﹃おや、ロンゴミニアドがこんなところに﹄と ﹁それにほら、近くに﹃小柄な女の子みたいな顔だけど実は男の子﹄な ? ? ﹁そ、それは⋮⋮流石にないんじゃないかしら ﹂ か言いながら蹲ってる主人公の元に颯爽と別の聖女が助けに来るか ﹁ほら、かんがえてみろよ。もしかしたら﹃救国の聖女様助けてー﹄と ? で、何もかも解決した後にしれっとジルが召喚されてきて﹃パパで ﹃人形遊びは楽しかった そうやって、実際にルーラー黒ジャンヌが負けてジルが出てきたら ? 15 ! ? ? ﹁いやいや、案外どっかのヒロインが﹃いきなり訳の分からないところ に放り込まれて、周囲は化け物で大ピンチ﹄みたいなシチュエーショ ﹂ ンに陥って﹃颯爽現れた笑顔が優しい白馬の王子さま﹄が助けにくる 状況になっているかも どこのメーカーよ 腹立つわね、購入して ﹂ ! うぜ﹂ ? ﹂ 級生ライダーで、四人かなぁ﹂ ﹂ ﹁もっと細かい設定を教えなさいよ ないじゃない そんなんじゃなんにもわから の先輩アーチャーと、近所の売れないホストランサーと、謎の多い同 ﹁⋮⋮ホームステイしにきた金髪の留学生セイバーと、頼れる大学生 ﹁それ、攻略対象何人 主人公やってる蒼銀のフラグメンツで勘弁してやってください。 すみません、プロトタイプは企画が中止になったんで、ラスボスが ﹁⋮⋮で、そのゲームはどこで売ってたの ﹂ ﹁そいつぁよかった。感謝感激雨あられ、正義の味方ごっこに興じよ ﹁いいでしょう、貴方に乗せられてあげます﹂ 況なら他に手もないしな﹂ ﹁じゃあ、とりあえず先に進もう。行き当たりばったりだけど、この状 か疑問だが、気にしても仕方ないしな。 果たしてこんな彼女に世界が救えるのかとか自分の体が守れるの よし、都合よく誘導できたぞ。 プレイしてクレーム入れてやるわ ﹁どこの乙女ゲーよ ? さぼってんじゃないわよ ﹂ は未定です。ご興味のあるお方は設定資料集をご閲覧ください﹂ ﹁なによそれ ﹂ そ れ は ア レ だ よ ⋮⋮ ス マ ホ ゲ ー と か の シ ナ リ オ 書 い て る し ! 否定が強すぎて、自分の存在どころか世界観さえ揺るがしている。 究極の自己否定だな、これは。 ﹁そんなのどうだっていいじゃない ⋮⋮﹂ ﹁え ! 16 ! ! ? ﹁そんなこと一々⋮⋮まあ、思い出したら教えてやるけど⋮⋮発売日 ! ! ! ? そうか、これがアヴェンジャー、復讐者のクラスの業と言うことか。 ﹁仮に販売していたとして⋮⋮それを遊べる環境がカルデアにあるか ﹂ どうか⋮⋮というか、そもそも人理焼却してるし⋮⋮売ってても買え ないだろ﹂ ﹁おのれ魔術王⋮⋮ 人類を滅ぼされたことじゃなくて、乙女ゲーが遊べないことで怒る とか斬新なアヴェンジャーだ。 魔術王もさぞ驚くことだろう。 というか、プロトタイプが販売されていないのは、グランドキャス ターよりも遥か格上のグランドライターきのこ様とかセイバーばっ かり増やす神のせいだと思うのだが⋮⋮。 アポクリファとかストレンジフェイクとかもあるし、蒼銀のフラグ ﹂ メンツだってある。気長に待てば小説にはなるかもしれない。 ゲーム化は諦めろ、マジで。 ﹂ ﹁ねえねえ、その乙女ゲーってどんなシナリオ ﹁⋮⋮今聖杯戦争中なんですけど﹂ ﹁どうでもいいじゃない、聖杯戦争なんて それは世界観以前の問題です。 ? ﹁⋮⋮なあ、おい﹂ ﹁なによ、さっきからいい加減な返事をして ﹂ ﹁いや、ちょっと待て。マジで、変な臭いがしないか ﹂ 生死がかかっているこの状況では言わないでください。 ! ﹁ちょっと静かに﹂ うか、自分の体から出るものだとか⋮⋮。 どっちかというと、嗅ぎ覚えのあるというか、よく知っているとい いのだが、そういう不自然な臭いではなかった。 つまり、町中燃えているこの冬木では、即ち異臭のしない場所はな を放ち、実際大量に吸い込むと健康に被害が現れる。 冬木、日本に存在する多くの化学合成物質。それらは燃えると異臭 にこれ﹂ ﹁そこいらじゅう燃えてるんだから、そりゃあ変な臭いぐらい⋮⋮な ? ! 17 ! ﹁ええ、分かったわ⋮⋮﹂ ねちょ、ねちょ、ねちょ⋮⋮。 ぐちゃ、ぐちゃ、ぐちゃ⋮⋮。 ぺちゃ、ぺちゃ、ぺちゃ⋮⋮。 なにやら、エロゲーのバッドエンドを思わせる異臭と異音。 俺とジャンヌは互いの顔を見合わせ、その上で音や臭いの元を目指 した。 公園の茂み、その奥にゆっくりと顔を突っ込むと⋮⋮そこには複数 これ以上はR│18案件だ の男女の足と手が絡まっていた。 いけない ﹂ は強いけど小柄で優しい系主人公の声が聞こえるぞ それとも溶けて一飲みがええ 義を見てせざるは勇なきなり ﹁助けてぇ⋮⋮﹂ ﹁あんさんも石になります ﹂ ﹁申し訳ありませんが、今ごらんのとおり取り込み中でして⋮⋮﹂ ! なんだろう、女性の声優が演じているけど、男の子という、所謂芯 と、声が聞こえてきた。 ﹁た、助けてくださいぃ⋮⋮﹂ 流石処女、いいリアクションだ、とからかう余裕もない。 隣にいるジャンヌもいつもとは違った顔芸を披露してくれている。 声だった。 いや、オトコなんで妊娠はしませんが、色々異臭を放ちそうになる と、耳が妊娠するようなエロい声が耳に入る。 ﹁ええ、その様ですねシュテン﹂ ﹁おやまあ⋮⋮またお客さん ! ? ではない ﹂ ﹁延長時間は、どれぐらいで ﹁四半刻はなぁ ﹂ ﹁そうですね、30分ほどいただけますか ﹁ごゆるりと⋮⋮﹂ ﹂ 相手が強いか弱いかで出たり引っ込んだりする勇気など真の勇気 ! ? 18 ? ! ? ? ? ! ﹁あ、あああああああああ⋮⋮あああああああああああ い。 ﹁なななな 何やってるのよアイツら ﹂ ﹂ 勇気とか取り扱ってないんだ⋮⋮すまない、君を見捨ててすまな ごめん、俺って主人公じゃないんだ。 !!!!!!!! ちょ、貴方もまさか ﹂ 今そんな気分だ﹂ ﹁助けて、助けてぁあああああああああああああああああああ ああ、ジャンヌはかわいいなぁ⋮⋮ジルの旦那、ナイスぅ ﹁違う、違うから⋮⋮マジでここから離れたいだけだから﹂ ﹁ええええ ら、コンビニでも探して何か飲まないか ﹁そうだな、全くだな⋮⋮うん、なあジャンヌ。少し時間ができたか ! ? ればいいのだがと言い訳をしながら。 ﹂ 彼のパンツとTシャツを盗んで持ってくるので、それでチャラにな た。 彼を見捨てざるを得ない己の無力さを呪いながら、俺たちは走っ 助けを求める悲鳴。それを背後に、俺たちは走った。 ! ! ?! 何やってんのかしらあの怪物どもは ﹂ ﹁俺たちって、思ったよりも聖杯戦争してたんだな⋮⋮﹂ ﹁そうね ! スターに逆レされる系の主人公だと思います。 18禁は18禁でも、抜きゲー系だと思います。 19 ! ! 彼は彼で主人公にふさわしいと思うが、オネショタというか、モン ! 過ぎたるは、及ばざるがごとし ﹁うっうっう⋮⋮﹂ 少年のすすり泣く声。彼は今、自分の体を温めた濡れタオルで拭い ていた。 その所作は余りにも痛々しく、悲哀を誘い、エロい。 そんな少年の姿を、彼のサーヴァントである女性二人はガン見して いた。 多分、彼に着けた様々な傷を見て興奮しているのだろう。 薄い本が熱くなるどころか、もう完全に薄い本の住人である。 ﹁ゆすげ﹂ そういって、俺はミネラルウォーターを渡す。その程度には、俺に も情けがあった。 ﹁どうして⋮⋮﹂ 多分処女だからだな。こういう性犯罪は辛いものがあるのだろう。 ﹁これに懲りたら、悪のサーヴァントとは契約しないことですね﹂ ﹁悪ですか⋮⋮まあ否定はしませんが﹂ 20 と、少年が泣きながら訊ねてきた。 ﹁どうして、助けてくれなかったんですか﹂ ﹁自分の安全を確保するためだ﹂ キリッと言い切る。いやだって、君を助けようとしたら確実に殺さ れてたし。 君と言う一時被害者を救うために、二次被害が発生してはいけない のだ。 もぐもぐされなかったんだか 死ななかったので、安かったものと思っていただきたい。 PrPrで済んだのは僥倖だよ らね 気楽に生きてきたのね ﹂ 助けてって言ったら助けてもらえるなんて、貴方よっぽど ! とジャンヌは俺を擁護しているが、明らかに罪悪感を感じている。 ! ﹁ふん ﹁助けてって言ったのに⋮⋮﹂ ! ! ﹁せやね 悪同士仲良くせぇへん ﹂ ﹂ ? ﹁わ、私一応聖処女だから ﹁愛ですか⋮⋮ぷっ﹂ そういう愛は要らないから ﹂ ! が、それでも信じるんだ。 貴方はもっと真面目に私を守りなさい ほら、あれだ、何かを。 ﹁ま、マスター 多 ホラ、あ 私って聖処女だから、処女を失ったら弱体化するわよ ﹂ れよ 分 ! 貴女達みたいな品のないやつとは仲良くなんかしたく ﹁ふ、ふん と、想 定 し て い た 名 前 が 聞 こ え て き た。特 徴 的 な 服 装 だ し な ぁ ﹁アサシン、酒呑童子。よろしおす﹂ ドゥーサです﹂ ﹁⋮⋮ ま あ、敵 対 し て い る わ け で も あ り ま せ ん し ⋮⋮ ラ イ ダ ー の メ ﹂ ないけどね ! ジャーはジャンヌ・ダルク・オルタだ﹂ た っ て ク ラ ス ぐ ら い は 教 え て く れ。ち な み に こ っ ち の ア ヴ ェ ン ﹁それはそれとして、そっちの二人に聞きたいんだが⋮⋮まずさしあ ろいろされたら、そりゃあ腹だって立つだろう。 でもわからないでもないな。こんなかわいい子がどっかの男にい ! ! 強くなれ、少年よ。強くなっても状況は好転しないかもしれない もう守るものが無いので、君を守る気はない。 すまないが、君の貞操はもう失われたのだ。 恨みがましい目でこちらを見ているぐだ吉くん。 ﹁僕のことは助けてくれなかったのに⋮⋮﹂ 虐めないでくれ。これ以上悪い子になったらどうするんだ﹂ ﹁ちょい待ちちょい待ち⋮⋮あんまりウチのカワイイサーヴァントを ﹁初心やねぇ⋮⋮じゅるり﹂ ! 俺だって隠れたいので、そこはもう少し配慮してもらいたい。 と、アヴェンジャーは俺の背後に隠れた。 ﹁ひぃ ? ! 21 ! ! マジか、それだったらどんだけジル元帥は処女厨なんだ。 ! ⋮⋮。 どっちも怪物枠の反英雄で、人類の敵対者である。 まあ、頼光やらブリュンヒルデやら、反英雄じゃなくても話は通じ マジで。いや、こんな ない連中がいるので、それに比べれば当たりと言っていいだろう。 まあ、ジャンヌに比べれば外れだけどな の引かなくてよかったわ。 話でしたか﹂ ﹂ ﹁ようわからんけど、好きにやらせてもらうつもりやで ﹁よし、オッケーだな﹂ 積極的にこちらの邪魔をしないならオッケーだ。 ? ﹂ ﹁そんで、そっちは他のどっかのサーヴァントと出会ったりしたのか 置する。 人の尊厳は人理より重いのだよ。君の尊厳はもう失われたので放 こっちにはジャンヌの処女を守るという使命があるのだ。 ぐだ吉くん、君の運が悪いのだよ。諦めたまえ。 ﹂ ﹁英霊召喚⋮⋮確か過去改竄が発生したので、それを修正するという の程度知ってるんだ ﹁こっちこそよろしく。んで、お二人はとりあえずこっちの都合はど ! ﹁せやね、骨のない連中やった﹂ 出会ったらその場で燃やしてやったわよ ﹁こっちは一人も倒してない⋮⋮悪いな﹂ ﹁ハッ ﹂ ! あるのさ。 ﹂ いやいや、これはこれで結構面倒なところが まあ、そっちよりは大分マシだけどね ? ﹁ふむ⋮⋮で、ここの状況は分かってないんだろ ﹁そうですが⋮⋮﹂ ? ! うらやましいかい こちらを見て、ぐだ吉くんが恨みがましい目で見つめてくる。 と、微妙に相手を気遣うというか小芝居を挟みながら会話を進める ﹁まったくだな、運がいいのか悪いのか﹂ ! 22 ? ﹁サーヴァント、とは呼べぬような者でしたら数体倒しました﹂ ? ﹁せやね﹂ まあ、分かってたらしけこんだりしないだろう。 いや、分かっていてもしけこんでいた可能性もあるが。 なにせ相手は人間じゃないので、話が通じるとは限らないのであ る。 さて、多分冬木の聖杯を守っているのは、原作通りなら黒セイバー だろう。 ただ、同じオルタでもジャンヌ一人では荷が勝ちすぎる。 魔力供給もそうだが、単純に英霊としての格が違いすぎる。 第一、彼女の聖剣を止めるにはあのテーブルを持っているマシュ ちゃんが必要だ。 っていうか、こいつらだけで世界を救うのはごめん被る。 今度はまともな英霊に期待しましょう ﹂ ﹁まあ、こうして他のマスターとも合流できたんだ、他のマスターも探 そう﹂ ﹁そうね ﹁合流⋮⋮当てはあるのですか ﹂ 主従の心が一つになっていて、実に安心できる。 するのは怖いらしい。 強弁するジャンヌ。まあ、彼女もこんなガチの反英霊と行動を共に ! ﹂ ? い。 酒呑童子も嫌がったりしないだろうし、ぐだ吉くんに選択肢などな 大正解なので、意思の統一はできたらしい。 概ねの察しを付けているのだろう。 今度映画化する予定だったHFルートを知っているのなら、彼女も どうやらこのライダー嬢も何かを覚えているらしい。 すね﹂ ﹁そうでもありませんが⋮⋮確かにこの編成で挑むのは何かと危険で うすればいいのかなんざ分からないだろう ﹁ない。ただ、正直この面々じゃあこの場所で何が起きているのか、ど ? ﹂ ﹁ああ、そうそう。ちょいと離れたところで大きな建物が倒れる音が したような ? 23 ! ﹁そういえば⋮⋮ちょうど5回目ぐらいの時にそんな音がした気が﹂ なんの5回目なのかは聞かないでおこう。 ただ、若いってすごいねとしか言えない。 ﹁戦闘があったということは、まあ勢力が二つはあるんだろ。話が通 じる奴だといいんだが⋮⋮﹂ と、俺たちはどこぞかの公園から当てもなく歩き始めた。 足元がふらついている︵意味深︶なぐだ吉くんはメドゥーサやら酒 呑童子にしきりにセクハラされながら支えてもらっている。 あれ⋮⋮﹂ いや、支える口実でセクハラしたいだけだな。なんて自分に正直な 連中なんだ。 ﹁ねえ、いいの ﹁目を合わせるな。喰われるぞ、二重の意味で﹂ ﹁そうね⋮⋮﹂ 自然と、俺とジャンヌは前を歩いていた。 もちろん、後ろには彼女たちがいる。彼女たちに尻を向けるのは危 険だと思うが、今は別の獲物に夢中なので、その間に安全を確保しよ う。 生贄になるのは貴方の方でしたね。 ﹂ ﹁ところで、一応聞きますが、何故ライダーである私に斥候を命じない のですか つは狙撃が怖い﹂ こっちに遠距離攻撃できるアーチャーが居れば話は別だが、そう じゃない以上ライダー一人に空を飛んでもらうのは無理がありすぎ る。 たとえ﹃あの﹄アーチャーじゃなくとも、悪目立ちは非常に危険だ。 ﹁そりゃあこうやって歩き回って味方を見つけるのは効率悪いけど、 敵に見つかるよりはましだ。ああ、もちろん飛びたかったら止めない ぞ﹂ ﹁遠慮しておきます⋮⋮﹂ ﹁せやね、こうやってはんなり歩くんも趣があってええね﹂ 24 ? ﹁理由は二つ。一つはこっちにアンタを命令する権利がない。もう一 ? 燃え上がっている街でワビサビもなにもないと思うが、どうやらセ ﹂ ﹂ クハラできる相手がいるのでのんびり歩くのが楽しいらしい。 ﹁あ、あのぅ ﹂ ﹁どうした、パンツでも脱がされたのか ﹁そうですけど、そうじゃなくて そうか、もう脱がされてたのか。後ろを見なくてよかったな。 きっと、自分の背後ではエロゲーというかトラブルなことになって いるんだろう。 ﹂ Fateの原点回帰だな。いや、そんなゲームじゃないけど。 ﹁はやく合流したいんですけど ﹁それはやめてください ﹂ ﹁うだうだ⋮⋮うっさいのよ ﹂ ﹁そうか⋮⋮じゃあ二手に別れようか﹂ ! ﹁ん ﹂ 最悪マシュでもいないと、お話にならない。 じゃあ難易度高いんだよ。 たいたい、チュートリアルステージと言っても相手がアーサー王 ろうけど、こっちはこっちで命が惜しいんだ。 ごめん、君は何が何でも早くまともな連中に助けてもらいたいんだ ! ! 住宅地の向こう側辺りで、戦闘が発生している。 見たところ、サーヴァントがいるらしいのだが⋮⋮。 ただ、戦闘中というところが気にかかる。 終わるまで待つか、今すぐ行くか⋮⋮。 ﹂ ﹁どうやら、味方が居たようですね﹂ ﹁せやね﹂ ﹁い、今すぐ助けに行きましょう るとは思えない。 少なくとも、シャドウサーヴァントを除けば、そこまでの脅威がい るようにも思えない。 ただなあ⋮⋮正直、今までの経験上、少なくとも本編とそう差があ ! 25 ! ? ?! と、ジャンヌも一緒にあるものに気付いた。 ? にもかかわらず、戦闘はまだ終わりそうにない。 音が増えるばかりで、減っていないのだ。 ﹁なに悩んでんのよ、早く行きましょうよ﹂ ﹁⋮⋮あれだ、少し遠くから見てみよう﹂ ﹂ 少し大回りし、住宅地の隙間から覗いてみる。 ﹂ 踏ん張りがきかない 魔力があればよ ﹁くっっ ﹁ちぃ ﹂ ! しっかり前を見ろ ﹂ ﹁なんでよ、なんでよぉおおおおおお ! そう、多分それが原因だ。 ﹁⋮⋮魔力が足りないのですね。まあ無理もありませんが﹂ を取っている方がおかしいのだ。 そりゃあそうだろう。あんなのが揃っていて、周囲の骸骨共に後れ やら困惑しているようだった。 ライダーは、4騎の男サーヴァントに心当たりがあるらしく、なに ﹁⋮⋮まさか﹂ は頑として逃げようとしていない。 主人公らしき男女が二人を逃がそうと促しているが、それでも二人 もパニックを起こしてしゃがみこんでいた。 オルガマリーが足を引っ張るのは当たり前だが、もう一人の女の子 見るからに、彼女達が足を引っ張っている。 ﹂ ﹁やだよ、なんで私がこんな目に⋮⋮ ! オルガマリー所長、あと男が一人に女が二人だ。 驚いた。なんと、4人もいる。 その一方で、彼ら5騎のサーヴァントが守っている面々、その数に ! ﹁すみません⋮⋮私がダメなせいで⋮⋮﹂ ﹁そんなことぁねえさ ! よかった、いるはずの面々も見えた。 ﹂ と、なんだかものすごく見覚えのある連中が見えた。 ﹁ふん、もう音をあげたのか ! ! あの5騎のうち3騎は馬鹿みたいに強い筈のサーヴァントだ。 26 ! ! それを長時間戦闘させるだけの魔力を、彼女たちは持っていないの だろう。 カルデアのバックアップがあっても、維持がやっとなのだ。 それにしたって令呪があればこの場ぐらいはしのげそうなものだ が、皆経験が浅くてそんな判断ができないのだろうか。 と、主人公らしき男女はまだ諦められないらしく、周囲を見渡して ﹂ いる。突破できそうな包囲の薄い場所を探しているのだろう。 レフなの と、自分と目が合った。 ﹁なんですって、助け 早く助けなさいよ しかもあんなところで何やってるのよ これだ 残念、レフはここにはいないのさ。 ﹁レフじゃない からレフ以外は役に立たないのよ ﹁あ、じゃあ俺たちレフ探してきますね﹂ ﹁そうね、どっかにいるでしょ﹂ が守って見せる 君の遺志は、受け取った だ ﹁分かったわ ﹂ ﹁冗談だ⋮⋮アヴェンジャー ﹂ ﹁ちょ、ちょっちょ⋮⋮ちょっと待ちなさいよ ! ! ﹂ ﹂ 君は俺たちの中で永遠に生き続けるの 君が死んだぐらいで助けに行くから、安心してくれ。人理は俺たち と、意地悪気に俺とジャンヌは所長に背を向けた。 ! ! ちを見た。 現金なオルガマリー所長は、主人公らしき二人の言葉を聞いてこっ !? 如何に俺がへっぽこと言っても、流石にカルデアのバックアップが あれば一人の英霊を満足に戦わせることができる。 ﹂ なによりも、包囲の背を突けるのは非常に位置的に優位だった。 ﹂ 君がナンバーワンだ ﹂ ! ﹁って、私だけ ﹁ああ、君だけだ ﹁なんでよ、3騎もいるんでしょ ?! ! ?! 27 ? ! ! ! 黒い炎を背負って、ジャンヌが躍り出た。 ! ! ! ﹂ ﹁貴 女 が い け ば い い じ ゃ な い で す か。グ ダ キ チ は 私 が 護 衛 し ま す の で﹂ ﹁ウチがマスターは守るやさかい、あんさんがいきはったら ﹁⋮⋮ああもう いいわ、私一人でも ﹂ あと、俺を守ってもらわないとダメだし。 だ。 ぐだ吉くんをめぐって、熱い女のバトルが発生しているので無理 ? だ ﹂ ﹁君の判断は適切だった⋮⋮しかし、それでも僕らのマスターを足手 切り替える。 白馬の王子様が、にこやかに笑いながら、しかし一瞬で厳しい顔に ﹁なに⋮⋮助けられそうだったからな。無理だったら見捨ててたよ﹂ ﹁ありがとう、感謝する﹂ 骨に等しい。 英霊にとって魔力はガソリン。まともに動く英霊なら、こんな骨は 兵隊など只の骨である。 これにジャンヌの炎が加われば、前から突っ込んでくるだけの骨の 出させる酒呑童子。 釘剣を投擲するメドゥーサと瓢箪から毒ガスみたいなものを噴き ﹁ようこそ、おこしやす﹂ ﹁仕方ありませんね﹂ そうなれば、流石に反英雄の二人も戦ってくれるという寸法だ。 へ離脱してくる。 英雄。万全とは程遠いものの5騎は残ったマスターと一緒にこちら そして、一旦足手まといと役立たずが安全圏に離脱すれば、流石は を抱えても、その足は衰えない。 ジャンヌはこちらに戻ってくる。流石に筋力Aに敏捷A、女の子二人 オルガマリー所長と乙女ゲーの主人公の様なメガネっ子を抱えて、 ﹁適切な指示ね ﹂ ﹁一旦包囲に突入して、足手まといと役立たずを抱えて戻ってくるん ! まといだとか役立たずと言ったことは訂正してほしい﹂ 28 ! ! ! ﹂ その眼には、主を侮辱された故の怒りが秘められていた。 それに対して、俺は一々反発することもない。 実際に足手まといと役立たずだったじゃない ﹃アーサー王﹄とケンカするなど死ぬようなものだ。 ﹁ハッ ﹁やめろ、アヴェンジャー﹂ と、悪乗りしているジャンヌをいさめた。 この場で英雄の誇りに触れるのは余りにも愚かだ。 ﹁なによ、本当の事じゃない﹂ とう﹂ ﹁ま、まあね ﹂ ﹁ジャンヌ⋮⋮君のおかげで彼らは助かった。俺も助かった、ありが ! 最初から面倒だろこの人は。 どうやら選択肢をミスったらしい。好感度が下がったな。 ただ、そのマスターは面倒なことになったようだ。 と、目の前の彼とは和解できた。 い﹂ ﹁いいや⋮⋮僕の力不足が原因だ。君が謝ってくれたなら、それでい ﹁すまない、俺が彼女を傷つけたみたいだ﹂ うか、思いっきり卑屈だった。 いやまあ確かにそうだったけれども。やっぱりと言うかなんとい うずくまったまま、顔も合わせてくれない。 ﹁⋮⋮いいよ、どうせ私は足手まといで役立たずなんだから﹂ ﹁困ってる人にいうことじゃなかった。許してくれ﹂ げた。 と、ジャンヌを丸め込んで、彼女が助けてきたメガネの子に頭を下 のが当たり前だ﹂ ﹁じゃあ余計なことを言わなくていい。いらんことを言った俺が謝る ﹁べ、別にかばってなんか⋮⋮﹂ ﹁ただ、俺の軽口は余計だった。俺が悪いんだ、かばわなくていい﹂ ! オルガマリー所長 ? 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