豪州:BHP Billiton、QLD 州の炭鉱労働者の賃金凍結を

豪州:BHP Billiton、QLD 州の炭鉱労働者の賃金凍結を提示
2016 年 9 月 15 日掲載
9 月 8 日付けの地元紙によれば、BHP Billiton は、QLD 州の炭鉱の労働者に対し、3 年
間の給与、ボーナス、年金、家賃補助、保険支払等の凍結の受入れを求めている。
同紙によれば、9 月 5 日に BHP Billiton の経営陣が、労働組合に対して賃金をゼロサム
にするとの提示を行った。経営陣と労組との間では 1 年前から新たな労働協約における別
の契約条件を巡って交渉が行われているが決着していない。また、新たな労働協約は QLD
州の Bowen Basin の Peak Downs、Saraji 及び Goonyella の 3 カ所の原料炭の炭鉱のみが
対象になっており、従前の労働協約では 7 炭鉱がカバーされていたことから、前述の 3 炭
鉱の労組は今回の労働協約に反対している。経営陣と労組側は 9 月末に今回提示された案
について協議を行う予定である。
これらの原料炭の炭鉱は BHP Billiton と三菱商事の 50:50 の合弁である BMA 社が操業
しているが、賃金凍結が提示されるのは 2001 年の同社設立以降、初めてとなる。BMA 社
は QLD 州において最も多くの炭鉱労働者を抱えており、その労働協約は業界のベンチマー
クとなっている。なお、賃金凍結については、2015 年 10 月、BHP Billiton と三井物産の
合弁である BMC 社が操業する QLD 州の一般炭の Poitrel 炭鉱において、同炭鉱の労組
が、3 年間の契約のうち最初の 1 年間の賃金を凍結し、残り 2 年間は年間 1%の賃上げとす
ることを受け入れている。
他方、BMA 社の Blackwater 炭鉱においては炭鉱の主要業務をコントラクターの
Downer-EDI 社(同社の労働者は現場に限定した契約であり低コスト)にアウトソーシングす
ることとし、同炭鉱の労働者のうち 306 名が解雇された。同じく BMA 社の Saraji 炭鉱に
おいては、健康、安全及び環境(HSE)部門(同部門の労働者は既に労働協約を締結済みで
あり低コスト)の労働者を主要業務に充てることとした。地元紙は、これらの事例を見れ
ば、労働者の構造は変化しており、これらが、BMA 社が労組側に対して今回の提示の受け
入れを求めている理由であるとしている。
(シドニー事務所
山下 宜範)
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