X線エネルギーによって 物の構造のわかるセンサ 研究者:静岡大学 電子工学研究所 青木 徹 准教授 1 研究背景 X線のエネルギー情報を利用したイメージング 例えば、 従来のX線イメージング(白黒の影絵の撮像) ↓ 材料識別型X線イメージング 放射線イメージングにつきものの散乱線を除去 ↓ 高コントラスト、高解像度への対応 2 既開発のデバイスを利用した応用例 材料識別を行った例 アルミニウムケースに入れた炭素、マグネシウ ム、アルミニウムの原子番号分離画像 マグネシウム 炭素 アルミニウム アルミニウムケース(t=1.5mm) 低エネルギー 高エネルギー 撮像サンプル 原子番号識別CT像 異なるエネルギーによるX線CT像 3 従来技術とその問題点① 既に実用化されている物の構造がわかるX線イ メージングシステムには、 X線源を多エネルギー化した •大型加速器を利用した複数の単色X線源 •エネルギーフィルタを利用した擬似多色X線源 等を利用したシステムがあるが、 •大型加速器が必要(高度医療等に限定)、 •識別能が低い等の課題があり、 広く利用されるまでには至っていない。 4 従来技術とその問題点② センサとして既に実用化されているものには、 フォトンカウンティング型エネルギー弁別型セン サ(本研究グループで開発、浜松ホトニクスより 市販中)があるが、 •高い入射レート時にパイルアップに 起因するエネルギー弁別の低下が発生 •高解像度への対応に工夫が必要 等の課題があり、用途によっては新たなセン サーが求められている。 5 新技術の特徴・従来技術との比較① • 従来技術の問題点であった、 – フォトンカウンティング型では前述の課題 – 蓄積型(他社製)ではエネルギー弁別ができない という問題ため、従来は実用検査機応用で – バッチ検査で材料識別(フォトンカウンティング) – 材料識別なしでのインライン検査(蓄積型) での使用に限られていたが、両者の利点を取り 入れた新型センサにより、新たな応用が可能 6 新技術の特徴・従来技術との比較② 従来技術(本グループ開発品)は エネルギー弁別能、感度を優先。 新技術は速度、ダイナミックレンジを優先。 本技術の適用により、大規模な信号処理回路 の大幅な削減が期待できるため、基本的に はコスト削減が期待される。 ただし、総合的なコストとしてはスキャニング、 蓄積のための新たな開発が必要であり、今 後の開発課題。 7 想定される用途 • 本技術の特徴を活かすためには、インライン検 査機への応用が従来機との差別化においてメ リットが大きいと考えられる。 • バッチ検査機は従来センサ(本グループ開発品)、 インライン検査機は本センサとの使い分けが望 ましいと考えられる。 • 一般市販のセンサでは得られない原子番号識 別、電子密度識別、散乱線除去機能は医療機 器への展開も可能と思われる。 8 実用化された場合の産業への影響 • 従来機の単なる代替品ではない。 • エネルギー弁別を用いた材料識別、高画質 撮像を実用速度で実現できれば大きなシェア の可能性。 • 新しい弁別機能は非破壊検査、医療機器の 世界的大手メーカ(複数)でも視野。 9 実用化されるための条件 • 基本的動作確認段階のため、 – 画像デバイスとするための研究開発 – スキャニング、蓄積回路の開発実装 – 従来機(本グループ開発品)との性能差異のため 最適化されたソフトの開発 などの周辺の技術開発が必要 10 企業との連携 • 未解決の課題については – 既存の技術応用で克服できる部分 – 新規に技術開発が必要な部分 に分かれる。 既存の技術応用で克服できる部分は連携にて 克服できると考えている。新規に技術開発が 必要な部分も共同研究により加速できると考 えている。 11 本技術に関する知的財産権 • 発明の名称 :エネルギー弁別型X線センサ(未公開) • 発明者 :青木 徹 • 出願人 :国立大学法人 静岡大学 ◎関連する特許については静岡大学知的財産本部にお問い合せください。 知財コーディネータ;出崎一石 電話:053-478-1710 FAX:053-478-1711 E-mail:[email protected] 12
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