インド:CIL 石炭供給と石炭需要のバランス

インド:CIL 石炭供給と石炭需要のバランス
2016 年 9 月 8 日掲載
9 月 1 日付けの地元報道によると、政府は、インド経済は未だ石炭を大量消費する段階にないと思われ、
石炭の大量の売れ残りがそれを証明しているとし、政府計画にある CIL の生産目標(2020 年までに 10 億
トン)は二の次となった。これは、CIL には、当初目標(2020 年までに 10 億トン生産)に対して、それ以下の目
標に合わせた各年度の計画が求められることを意味する。
政府は、CIL には、今、市場の消費能力に合わせた生産量が求められ、また、石炭販売を促す電子競売
を含め、更なる石炭販売方法が求められているとした。2015 年に 10 億トン目標が設定されたとき、石炭供
給量は少なく、多くの石炭火力発電所は、化石燃料の確保に悩み、高い生産目標を求めていた。その状況
の中、政府は、CIL の生産目標を 2015-2016 年度開始、2020 年までに 10 億トン到達とした。
CIL は、政府の新生産目標に対して、申し分なき反応を示し、まず 2015-2016 年度からその対応を開始
した。だが、結果は、過去数カ月にて、炭鉱坑口での巨大な在庫と、ほとんど全ての石炭火力発電所での
石炭過剰の問題が発生した。石炭貯炭では、自然発火の危険性がある。現在の石炭在庫量は 73 百万トン前
後、うち 28 百万トンは火力発電所の貯炭(発電所 21 日間稼動分)、45 百万トンは炭鉱現場の貯炭。
専門家は、火力発電所の需要は、計画では成長率 7~8%だが、現実には 4~5%であるとした。また、石
炭生産の成長率は、火力発電所の成長率よりも高く、結果的に、石炭供給過剰になるとした。
CIL は、火力発電所の需要は緩やかであり、需要に合わせた生産としているが、弱い需要のため、生産
を調整しているとした。また、石炭需要が増加すれば、石炭採掘の準備は出来ているので、生産量の増加
は可能とし、需要に合わせて、全ての機械を石炭採掘に投入できるとした。
(石炭開発部 辻
誠)
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