NEWS RELEASE 2016年09月05日 【格付維持】 イタリア共和国 外貨建発行体格付: A [格付の方向性:ネガティブ] 自国通貨建発行体格付: A [格付の方向性:ネガティブ] 格付投資情報センター(R&I)は上記の格付を公表しました。 【格付理由】 経済はプラス成長を回復し、今後も、緩やかな伸びが見込まれる。財政収支は改善基調にあり、政府 債務残高の上昇にもおおむね歯止めがかかった。レンツィ政権の下で成長力強化に向けた構造改革は着 実に進んでいる。成長力の底上げには一段の改革努力が必要だが、それに必要な政治的意志は整ってい るとR&Iでは判断している。このため、外貨建及び自国通貨建発行体格付を維持した。 格付の方向性を引き続きネガティブとしたのは、銀行部門の不良債権問題が経済の重荷となり、結果 として財政の改善も遅れる懸念があると判断したためだ。経済や財政の動向に加え、大手行の再建計画 の実施や不良債権の処理が進むか注目していく。 2012年から3年連続でマイナスとなっていた実質国内総生産(GDP)成長率は、2015年に0.8%のプラス に転じた。原油価格の下落や低インフレに加え、成長に配慮した財政運営を背景に民間消費が堅調に推 移した。公共投資が牽引して投資も回復に向かっている。2016年も経済は緩やかな成長が続くと見込ま れ、欧州委員会(EC)や国際通貨基金(IMF)は1%前後の成長を予測している。ただし、英国の欧州連 合(EU)離脱問題の影響、銀行部門の不良債権問題などが景気の下押し圧力となりかねない。特に2017 年以降、景気が減速しないか目配りが必要だ。 レンツィ政権は発足以来、労働市場改革を中心とした経済構造改革に取り組んでおり、各種改革で進 展がみられる。ただ、成長力の底上げにつなげるためには、規制緩和を通じた競争促進など一段の改革 の必要性が指摘されている。腰を据えた取り組みが必要なだけに、改革の流れが途絶えないよう引き続 きレンツィ首相の政治的指導力が求められる。上院の権限縮小に関する憲法改正について10月に国民投 票が予定されており、否決されれば同首相は辞任する意向を示している。構造改革の進展を占う上で、 政治の安定にも目配りが欠かせない状況だ。 不良債権の増加にはようやく歯止めがかかったものの、比率は2015年末時点で18.1%と高水準にあ る。7月29日に欧州銀行監督機構(EBA)が発表したストレステストでは、大手銀行の一つであるMonte dei Paschi di Sienaの普通株式等Tier1(CET1)比率が、悪化シナリオ下でマイナスとなることが示さ れた。同行は既に不良債権の売却と増資による再建計画を発表しているが、これで不良債権問題の解決 にメドがついたわけではない。同行の再建はもとより、銀行部門全体の不良債権の動向には引き続き注 意が必要だ。政府は不良債権を売却する際に保証を付与するスキームの導入や、銀行の資本増強と不良 債権の買い取りを目的とした投資基金Atlanteを創設。不良債権処理を加速させるための法制度面での整 備も進めてきた。こうした枠組みは、不良債権問題が財政負担となる事態を回避するものの、抜本的な 解決につながるものではない。経済環境の大幅な改善が望みにくいなか、問題の解決には相当の時間が かかろう。 2015年の一般政府財政赤字はGDP比2.6%で、前年から0.4%ポイント改善した。基礎的財政収支は黒字 が定着している。政府は、2016年以降も財政赤字を削減する計画だが、構造的財政収支(景気循環と一 時的要因を除いた収支)はむしろ悪化を見込んでいる。マイナスのGDPギャップが解消されないなかで、 政府は景気刺激と財政状況の改善という難しい政策のかじ取りを迫られている。財政収支は改善基調に あり、そのトレンドを妨げない程度に財政を緩めることは財政規律の評価を下げるものではないとR&Iで は判断している。ただし、政府債務残高は2015年末時点でGDP比132.7%と高い水準にある。増加に歯止 めが掛かったとはいえ、債務の削減には相当の時間がかかろう。 ■お問合せ先 :インベスターズ・サービス管理部 TEL.03-3276-3511 E-mail [email protected] ■報道関係のお問合せ先 :経営企画室(広報担当) TEL.03-3276-3438 株式 会社 格付投資情報センター 〒103-0027東京都中央区日本橋1-4-1 日本橋一丁目三井ビルディング http://www.r-i.co.jp 信用格付は、発行体が負う金融債務についての総合的な債務履行能力や個々の債務等が約定通りに履行される確実性(信用力)に対するR&Iの意見であり、事実の表明ではありませ ん。また、R&Iは、信用リスク以外のリスクにつき意見を表明するものではなく、投資判断や財務に関する助言や、投資の是非等の推奨をするものではありません。R&Iは、信用格付に 際し関連情報の正確性等につき独自の検証を行っておらず、これに関し何ら表明も保証もいたしません。R&Iは、信用格付(変更・取り下げ等を含む)に関連して発生する損害等につ き、何ら責任を負いません。信用格付は、原則として発行体から対価を受領して実施したものです。なお、詳細につきhttp://www.r-i.co.jp/jpn/policy/policy.html をご覧下さい。 ⓒRating and Investment Information, Inc. NEWS RELEASE 【格付対象】 発行者:イタリア共和国 名称 格付 格付の方向性 外貨建発行体格付 A(維持) ネガティブ 自国通貨建発行体格付 A(維持) ネガティブ ■お問合せ先 :インベスターズ・サービス管理部 TEL.03-3276-3511 E-mail [email protected] ■報道関係のお問合せ先 :経営企画室(広報担当) TEL.03-3276-3438 株式 会社 格付投資情報センター 〒103-0027東京都中央区日本橋1-4-1 日本橋一丁目三井ビルディング http://www.r-i.co.jp 信用格付は、発行体が負う金融債務についての総合的な債務履行能力や個々の債務等が約定通りに履行される確実性(信用力)に対するR&Iの意見であり、事実の表明ではありませ ん。また、R&Iは、信用リスク以外のリスクにつき意見を表明するものではなく、投資判断や財務に関する助言や、投資の是非等の推奨をするものではありません。R&Iは、信用格付に 際し関連情報の正確性等につき独自の検証を行っておらず、これに関し何ら表明も保証もいたしません。R&Iは、信用格付(変更・取り下げ等を含む)に関連して発生する損害等につ き、何ら責任を負いません。信用格付は、原則として発行体から対価を受領して実施したものです。なお、詳細につきhttp://www.r-i.co.jp/jpn/policy/policy.html をご覧下さい。 ⓒRating and Investment Information, Inc. NEWS RELEASE 信用格付に関わる事項 信用格付業者 登録番号 株式会社格付投資情報センター 金融庁長官(格付)第6号 直近一年以内に講じられた監督上の措置は、ありません。 主任格付アナリスト 原 一樹 信用格付の付与について 代表して責任を有する者 細田 弘 信用格付を付与した日 2016年08月29日 主要な格付方法 ソブリンの格付の考え方 [2012.03.16] 上記格付方法は、格付を行うにあたり考慮した他の格付方法とともに以下のウェブサイトに掲載して います。 http://www.r-i.co.jp/jpn/cfp/about/methodology/index.html 評価の前提は、以下のウェブサイトの格付付与方針に掲載しています。 http://www.r-i.co.jp/jpn/ratingpolicy/index.html 格付符号とその定義は、以下のウェブサイトに掲載しています。 http://www.r-i.co.jp/jpn/cfp/about/definition/index.html 格付関係者 イタリア共和国 注 格付関係者は、金融商品取引業等に関する内閣府令第三百七条に基づいて、R&Iが判断したものです。 利用した主要な情報 政府を含む公的機関が作成した財政・経済資料 品質確保のための措置 政府を含む公的機関が作成した、またはそれに準じた信頼性が確保さ れている資料であること。 情報提供者 - 信用格付の前提、意義及び限界 R&Iの信用格付は、発行体が負う金融債務についての総合的な債務履行能力や個々の債務等が約定 通りに履行される確実性(信用力)に対するR&Iの意見です。R&Iは信用格付によって、個々の債務等 の流動性リスク、市場価値リスク、価格変動リスク等、信用リスク以外のリスクについて、何ら意見 を表明するものではありません。信用格付は、いかなる意味においても、現在・過去・将来の事実の 表明ではありません。また、R&Iは、明示・黙示を問わず、提供する信用格付、又はその他の意見に ついての正確性、適時性、完全性、商品性、及び特定目的への適合性その他一切の事項について、い かなる保証もしていません。 R&Iは、信用格付を行うに際して用いた情報に対し、品質確保の措置を講じていますが、これらの 情報の正確性等について独自に検証しているわけではありません。R&Iは、必要と判断した場合に は、信用格付を変更することがあります。また、資料・情報の不足や、その他の状況により、信用格 付を保留したり、取り下げたりすることがあります。 利息・配当の繰り延べ、元本の返済猶予、債務免除等の条項がある債務等の格付は、その蓋然性が 高まったとR&Iが判断した場合、発行体格付又は保険金支払能力とのノッチ差を拡大することがあり ます。 信用格付に関わる留意事項 当該信用格付は、格付関係者からの依頼によるものではありません。 格付関係者から信用評価に重要な影響を及ぼす非公開情報は入手していません。 ■お問合せ先 :インベスターズ・サービス管理部 TEL.03-3276-3511 E-mail [email protected] ■報道関係のお問合せ先 :経営企画室(広報担当) TEL.03-3276-3438 株式 会社 格付投資情報センター 〒103-0027東京都中央区日本橋1-4-1 日本橋一丁目三井ビルディング http://www.r-i.co.jp 信用格付は、発行体が負う金融債務についての総合的な債務履行能力や個々の債務等が約定通りに履行される確実性(信用力)に対するR&Iの意見であり、事実の表明ではありませ ん。また、R&Iは、信用リスク以外のリスクにつき意見を表明するものではなく、投資判断や財務に関する助言や、投資の是非等の推奨をするものではありません。R&Iは、信用格付に 際し関連情報の正確性等につき独自の検証を行っておらず、これに関し何ら表明も保証もいたしません。R&Iは、信用格付(変更・取り下げ等を含む)に関連して発生する損害等につ き、何ら責任を負いません。信用格付は、原則として発行体から対価を受領して実施したものです。なお、詳細につきhttp://www.r-i.co.jp/jpn/policy/policy.html をご覧下さい。 ⓒRating and Investment Information, Inc.
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